JP3461712B2 - 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents
一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォルステライト
皮膜のない一方向性電磁鋼板表面上、さらには鏡面ない
しはそれに近い状態に調整した仕上げ焼鈍後の一方向性
電磁鋼板に、張力付加型の絶縁皮膜を形成する際の張力
付与型絶縁皮膜形成方法に関し、特に皮膜密着性に関す
るものである。
皮膜のない一方向性電磁鋼板表面上、さらには鏡面ない
しはそれに近い状態に調整した仕上げ焼鈍後の一方向性
電磁鋼板に、張力付加型の絶縁皮膜を形成する際の張力
付与型絶縁皮膜形成方法に関し、特に皮膜密着性に関す
るものである。
【０００２】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は磁気鉄芯材料として
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。一般に、鉄損の
低減は鋼板に張力を付与することが有効であることが知
られている。鋼板に張力を付与するためには、鋼板より
熱膨張係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成する
ことが有効である。
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。一般に、鉄損の
低減は鋼板に張力を付与することが有効であることが知
られている。鋼板に張力を付与するためには、鋼板より
熱膨張係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成する
ことが有効である。
【０００３】仕上げ焼鈍工程中に鋼板表面の酸化物と焼
鈍分離剤とが反応して生成するフォルステライト皮膜
は、鋼板に張力を与えることができるが、さらに本皮膜
の上に、コロイド状シリカ、燐酸塩、クロム酸塩からな
る絶縁皮膜を形成する方法は、鋼板に対する張力付与の
効果が大きく、鉄損低減に有効である。従って、仕上げ
焼鈍工程で生じた皮膜を残した上で、上記のような張力
性の絶縁コーティングを施すことが一般的な一方向性電
磁鋼板の製造方法となっている。
鈍分離剤とが反応して生成するフォルステライト皮膜
は、鋼板に張力を与えることができるが、さらに本皮膜
の上に、コロイド状シリカ、燐酸塩、クロム酸塩からな
る絶縁皮膜を形成する方法は、鋼板に対する張力付与の
効果が大きく、鉄損低減に有効である。従って、仕上げ
焼鈍工程で生じた皮膜を残した上で、上記のような張力
性の絶縁コーティングを施すことが一般的な一方向性電
磁鋼板の製造方法となっている。
【０００４】一方、フォルステライト系皮膜と地鉄の乱
れた界面構造が、鉄損に対する皮膜張力効果をある程度
相殺していることが判明してきた。そこで、例えば特開
昭４９−９６９２０号公報に開示されている如く、仕上
げ焼鈍工程で生ずるフォルステライト皮膜を後工程にて
除く、あるいはフォルステライト皮膜を形成させない仕
上げ焼鈍法により、鋼板表面の磁気的平滑性を向上させ
た材料に、張力皮膜を改めて形成させ、更なる鉄損低減
を試みる技術が開発された。
れた界面構造が、鉄損に対する皮膜張力効果をある程度
相殺していることが判明してきた。そこで、例えば特開
昭４９−９６９２０号公報に開示されている如く、仕上
げ焼鈍工程で生ずるフォルステライト皮膜を後工程にて
除く、あるいはフォルステライト皮膜を形成させない仕
上げ焼鈍法により、鋼板表面の磁気的平滑性を向上させ
た材料に、張力皮膜を改めて形成させ、更なる鉄損低減
を試みる技術が開発された。
【０００５】ところで、本技術の完成のためには、一種
類の絶縁コーティングにおいて、従来の二種類の皮膜の
合計以上の張力を付与する必要がある。すなわち、絶縁
皮膜の単位体積当たりの張力を増大させることが好まし
い。これまで、特開平６−６５７５４号公報等におい
て、アルミナゾル（ベーマイト）とほう酸を含む微粒子
分散液を塗布し、乾燥・ゲル化の後、焼き付けることに
よる新しい酸化物皮膜の形成方法が提案されている。こ
の皮膜は、鋼板に対し従来の張力型絶縁皮膜に比し１．
５〜２．０倍の高い張力を付与することが可能であるた
め、磁気的平滑界面（鏡面）を有する方向性電磁鋼板の
絶縁皮膜への適用が期待される。
類の絶縁コーティングにおいて、従来の二種類の皮膜の
合計以上の張力を付与する必要がある。すなわち、絶縁
皮膜の単位体積当たりの張力を増大させることが好まし
い。これまで、特開平６−６５７５４号公報等におい
て、アルミナゾル（ベーマイト）とほう酸を含む微粒子
分散液を塗布し、乾燥・ゲル化の後、焼き付けることに
よる新しい酸化物皮膜の形成方法が提案されている。こ
の皮膜は、鋼板に対し従来の張力型絶縁皮膜に比し１．
５〜２．０倍の高い張力を付与することが可能であるた
め、磁気的平滑界面（鏡面）を有する方向性電磁鋼板の
絶縁皮膜への適用が期待される。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】ほう酸とベーマイトを
主成分とするコーティング液から形成される皮膜は、張
力付与効果は大きいものの、鏡面状の鋼板の上に絶縁皮
膜を施した際の鉄損は、皮膜焼付けの雰囲気によって
は、期待される値よりも悪くなるという問題があった。
上記に鑑み本発明は、フォルステライト皮膜のない一方
向性電磁鋼板表面上、または鏡面ないしはそれに近い状
態に調整した仕上げ焼鈍後の一方向性電磁鋼板に、張力
付加型の絶縁皮膜を形成した際の界面酸化による鉄損劣
化を防止する手段を提供するものである。
主成分とするコーティング液から形成される皮膜は、張
力付与効果は大きいものの、鏡面状の鋼板の上に絶縁皮
膜を施した際の鉄損は、皮膜焼付けの雰囲気によって
は、期待される値よりも悪くなるという問題があった。
上記に鑑み本発明は、フォルステライト皮膜のない一方
向性電磁鋼板表面上、または鏡面ないしはそれに近い状
態に調整した仕上げ焼鈍後の一方向性電磁鋼板に、張力
付加型の絶縁皮膜を形成した際の界面酸化による鉄損劣
化を防止する手段を提供するものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面にフォル
ステライト皮膜を意図的に形成させない条件で仕上げ焼
鈍された一方向性電磁鋼板の鋼板表面、あるいは仕上げ
焼鈍後、表面に形成されたフォルステライト皮膜を除去
した一方向性電磁鋼板の鋼板表面に、ほう酸とべーマイ
トを主成分とするコーティング液を塗布、焼付けして張
力付与型の絶縁皮膜を施すにあたり、コーティング液塗
布後の焼付け雰囲気における水蒸気分圧の水素分圧に対
する比を１．０以下とすることにより低鉄損を得ること
を特徴とする一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法、を
要旨とする。
ステライト皮膜を意図的に形成させない条件で仕上げ焼
鈍された一方向性電磁鋼板の鋼板表面、あるいは仕上げ
焼鈍後、表面に形成されたフォルステライト皮膜を除去
した一方向性電磁鋼板の鋼板表面に、ほう酸とべーマイ
トを主成分とするコーティング液を塗布、焼付けして張
力付与型の絶縁皮膜を施すにあたり、コーティング液塗
布後の焼付け雰囲気における水蒸気分圧の水素分圧に対
する比を１．０以下とすることにより低鉄損を得ること
を特徴とする一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法、を
要旨とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
発明者らは、フォルステライト皮膜のない鋼板上に密着
性の優れた絶縁皮膜形成のため、以下のような試験を行
った。供試材は、Ｓｉ約３％を含有する０．２３mm板厚
の冷延板を種々用意し、特開平７−１１８７５０号公報
で示されている如く、Ｆｅ系酸化物の生成しない酸化度
の雰囲気ガスで脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてアル
ミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍においてフォ
ルステライト皮膜がなく、かつ鏡面に近い状態（中心線
平均粗さ０．２μｍ）に達成した試料を用いた。
発明者らは、フォルステライト皮膜のない鋼板上に密着
性の優れた絶縁皮膜形成のため、以下のような試験を行
った。供試材は、Ｓｉ約３％を含有する０．２３mm板厚
の冷延板を種々用意し、特開平７−１１８７５０号公報
で示されている如く、Ｆｅ系酸化物の生成しない酸化度
の雰囲気ガスで脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてアル
ミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍においてフォ
ルステライト皮膜がなく、かつ鏡面に近い状態（中心線
平均粗さ０．２μｍ）に達成した試料を用いた。
【０００９】本試験材に、焼鈍分離剤を除去するための
水洗を行った後、ほう酸とベーマイトを主成分とする絶
縁コーティング液（酸化物換算モル比＝０．５）を、鋼
板表面に片面当たり４．０g/ｍ2 塗布し、８００℃にて
窒素の分圧（残りは水素）と露点を変えることにより、
水蒸気分圧の水素分圧に対する比を種々変化させた。以
上のようなプロセスにより得た材料について、レーザー
照射により磁区細分化処理を行った後、鉄損評価を行っ
た。結果を表１に示す。焼付け雰囲気の水蒸気分圧の水
素分圧に対する比の増加に伴い、鉄損が悪くなることが
わかる。
水洗を行った後、ほう酸とベーマイトを主成分とする絶
縁コーティング液（酸化物換算モル比＝０．５）を、鋼
板表面に片面当たり４．０g/ｍ2 塗布し、８００℃にて
窒素の分圧（残りは水素）と露点を変えることにより、
水蒸気分圧の水素分圧に対する比を種々変化させた。以
上のようなプロセスにより得た材料について、レーザー
照射により磁区細分化処理を行った後、鉄損評価を行っ
た。結果を表１に示す。焼付け雰囲気の水蒸気分圧の水
素分圧に対する比の増加に伴い、鉄損が悪くなることが
わかる。
【００１０】従来のフォルステライト皮膜が形成された
鋼板上への絶縁皮膜形成においては、雰囲気の水蒸気分
圧の水素分圧に対する比を意図的に制御する必要がなか
ったが、フォルステライト皮膜のない今回試験材の場合
には、該雰囲気での焼付けでは表１に示すように、水蒸
気分圧の水素分圧に対する比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 （ＰＨ2
Ｏ、ＰＨ2 はそれぞれ雰囲気中の水蒸気分圧、水素分
圧）が１．０を超えると鉄損が悪くなることから、本発
明者らは、フォルステライト皮膜のない鋼板上への絶縁
皮膜形成に関して、その焼付け雰囲気の分圧比を、ＰＨ
2 Ｏ／ＰＨ2 ≦１．０とする必要があることを新規に知
見し、発明を完成させた。
鋼板上への絶縁皮膜形成においては、雰囲気の水蒸気分
圧の水素分圧に対する比を意図的に制御する必要がなか
ったが、フォルステライト皮膜のない今回試験材の場合
には、該雰囲気での焼付けでは表１に示すように、水蒸
気分圧の水素分圧に対する比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 （ＰＨ2
Ｏ、ＰＨ2 はそれぞれ雰囲気中の水蒸気分圧、水素分
圧）が１．０を超えると鉄損が悪くなることから、本発
明者らは、フォルステライト皮膜のない鋼板上への絶縁
皮膜形成に関して、その焼付け雰囲気の分圧比を、ＰＨ
2 Ｏ／ＰＨ2 ≦１．０とする必要があることを新規に知
見し、発明を完成させた。
【００１１】
【表１】
【００１２】上記のように、フォルステライト皮膜のな
い鋼板に対し、高い水蒸気分圧／水素分圧比の焼鈍雰囲
気にて焼付けを行うと、鉄損が悪くなる理由は、以下の
ように考えることができる。すなわち、焼鈍の際に形成
される皮膜が、高い酸素ポテンシャルを遮蔽しきれず、
皮膜−地鉄界面が高い酸素ポテンシャルとなり、界面酸
化によって荒れを生じるからある。
い鋼板に対し、高い水蒸気分圧／水素分圧比の焼鈍雰囲
気にて焼付けを行うと、鉄損が悪くなる理由は、以下の
ように考えることができる。すなわち、焼鈍の際に形成
される皮膜が、高い酸素ポテンシャルを遮蔽しきれず、
皮膜−地鉄界面が高い酸素ポテンシャルとなり、界面酸
化によって荒れを生じるからある。
【００１３】絶縁皮膜コーティング液の組成が、ほう酸
とベーマイトを主成分とする場合には、それぞれの酸化
物換算のモル比で、０．２≦Ｂ2 Ｏ3 ≦Ａｌ2 Ｏ3 ≦
１．０とする必要がある。この理由は、組成比がこの範
囲を超えてＢ2 Ｏ3 が少ない場合、皮膜張力が小さくな
るため十分な鉄損改善効果が得られず、一方、Ｂ2 Ｏ3
が多すぎる場合、化学量論組成からの過剰分は未反応物
として残存し、耐水性、耐食性の低下、及び耐熱性、耐
スティッキング性の劣化を招くため、である。
とベーマイトを主成分とする場合には、それぞれの酸化
物換算のモル比で、０．２≦Ｂ2 Ｏ3 ≦Ａｌ2 Ｏ3 ≦
１．０とする必要がある。この理由は、組成比がこの範
囲を超えてＢ2 Ｏ3 が少ない場合、皮膜張力が小さくな
るため十分な鉄損改善効果が得られず、一方、Ｂ2 Ｏ3
が多すぎる場合、化学量論組成からの過剰分は未反応物
として残存し、耐水性、耐食性の低下、及び耐熱性、耐
スティッキング性の劣化を招くため、である。
【００１４】上記コーティング液を鋼板表面に塗布する
手段は、今回示したようなロールコーターを用いる以外
に、ディップ法、スプレー吹付け、あるいは電気泳動法
など、従来公知のいずれの方法でも可能である。絶縁皮
膜焼付けの際の焼鈍温度については特に規定しないが、
ほう酸とベーマイトの反応促進の観点からは５００℃以
上が好ましく、鋼板の軟化による通板性劣化防止の点か
らは１０００℃以下が望ましい。
手段は、今回示したようなロールコーターを用いる以外
に、ディップ法、スプレー吹付け、あるいは電気泳動法
など、従来公知のいずれの方法でも可能である。絶縁皮
膜焼付けの際の焼鈍温度については特に規定しないが、
ほう酸とベーマイトの反応促進の観点からは５００℃以
上が好ましく、鋼板の軟化による通板性劣化防止の点か
らは１０００℃以下が望ましい。
【００１５】また水蒸気／水素分圧比は、ＰＨ2 Ｏ／Ｐ
Ｈ2 ≦１．０の範囲に規定したが、０．０１未満で実施
を行なえばより鉄損特性の良好な製品が製造可能とな
る。ここで、鋼板表面が磁気的平滑界面（鏡面）を有す
る場合には、本発明はさらに効果的である。磁気的平滑
界面（鏡面）とは、中心線平均粗さで０．４μｍ以下の
鋼板表面を意味している。
Ｈ2 ≦１．０の範囲に規定したが、０．０１未満で実施
を行なえばより鉄損特性の良好な製品が製造可能とな
る。ここで、鋼板表面が磁気的平滑界面（鏡面）を有す
る場合には、本発明はさらに効果的である。磁気的平滑
界面（鏡面）とは、中心線平均粗さで０．４μｍ以下の
鋼板表面を意味している。
【００１６】フォルステライト皮膜のない表面への絶縁
皮膜形成において、焼鈍雰囲気を規定した先行知見とし
ては、特開平９−７８２５３号公報において、下限をＰ
Ｈ2Ｏ／ＰＨ2 ＝０．０１としている。しかしながらこ
の規定は、燐酸塩とコロイダルシリカを主体とするコー
ティング液を塗布、焼付けによる皮膜形成をさせた場合
に、ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が０．０１未満の雰囲気で焼き付
けた場合に、皮膜の一部が結晶化して微少なクラックが
入ることを防止し、ひいては皮膜の密着性を改善するも
のである。これに対して本発明の場合は、ほう酸とベー
マイトを主成分とするコーティング液を採用しているた
め、前記の問題は全く生じないのである。
皮膜形成において、焼鈍雰囲気を規定した先行知見とし
ては、特開平９−７８２５３号公報において、下限をＰ
Ｈ2Ｏ／ＰＨ2 ＝０．０１としている。しかしながらこ
の規定は、燐酸塩とコロイダルシリカを主体とするコー
ティング液を塗布、焼付けによる皮膜形成をさせた場合
に、ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が０．０１未満の雰囲気で焼き付
けた場合に、皮膜の一部が結晶化して微少なクラックが
入ることを防止し、ひいては皮膜の密着性を改善するも
のである。これに対して本発明の場合は、ほう酸とベー
マイトを主成分とするコーティング液を採用しているた
め、前記の問題は全く生じないのである。
【００１７】
【実施例】（実施例１）供試材は、Ｓｉ約３％を含有す
る０．２３mm板厚の冷延板を、Ｆｅ系酸化物の生成しな
い酸化度の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤
としてアルミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍に
おいて鏡面に近い状態（中心線平均粗さ０．２μｍ）に
達成した材料を用いた。上記試料に、ほう酸とベーマイ
トを主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換算モル
比＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．５g/ｍ2 塗
布し、８００℃で種々の酸素ポテンシャルを有する雰囲
気にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結果を表
２に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が１．
０以下で、鉄損が良好となる。
る０．２３mm板厚の冷延板を、Ｆｅ系酸化物の生成しな
い酸化度の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤
としてアルミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍に
おいて鏡面に近い状態（中心線平均粗さ０．２μｍ）に
達成した材料を用いた。上記試料に、ほう酸とベーマイ
トを主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換算モル
比＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．５g/ｍ2 塗
布し、８００℃で種々の酸素ポテンシャルを有する雰囲
気にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結果を表
２に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が１．
０以下で、鉄損が良好となる。
【００１８】
【表２】
【００１９】（実施例２）供試材は、Ｓｉ約３％を含有
する０．２３mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、酸
洗によりＳｉＯ2 皮膜を除去した。さらに焼鈍分離剤と
してアルミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍にお
いて鏡面に近い状態（中心線平均粗さ０．１μｍ）に達
成した材料を用いた。上記試料に、ほう酸とベーマイト
を主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換算モル比
＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．０g/ｍ2 塗布
し、８５０℃で種々の酸素ポテンシャルを有する雰囲気
にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結果を表３
に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が１．０
以下で、鉄損が良好となる。
する０．２３mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、酸
洗によりＳｉＯ2 皮膜を除去した。さらに焼鈍分離剤と
してアルミナを用いることにより、最終仕上げ焼鈍にお
いて鏡面に近い状態（中心線平均粗さ０．１μｍ）に達
成した材料を用いた。上記試料に、ほう酸とベーマイト
を主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換算モル比
＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．０g/ｍ2 塗布
し、８５０℃で種々の酸素ポテンシャルを有する雰囲気
にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結果を表３
に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2 が１．０
以下で、鉄損が良好となる。
【００２０】
【表３】
【００２１】（実施例３）供試材は、Ｓｉ約３％を含有
する０．２３mm板厚の種々の冷延板に脱炭焼鈍を施した
後、ＭｇＯを塗布し仕上げ焼鈍を行ないフォルステライ
ト皮膜を形成させた。続いて、酸洗によりフォルステラ
イト皮膜を除去し、鋼板表面に地鉄を露出させた後に、
化学研磨により鋼板表面を鏡面に近い状態（中心線平均
粗さ０．１μｍ）に仕上げた。上記試料に、ほう酸とベ
ーマイトを主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換
算モル比＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．０g/
ｍ2 塗布し、９００℃で種々の酸素ポテンシャルを有す
る雰囲気にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結
果を表４に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2
が１．０以下で、鉄損が良好となる。
する０．２３mm板厚の種々の冷延板に脱炭焼鈍を施した
後、ＭｇＯを塗布し仕上げ焼鈍を行ないフォルステライ
ト皮膜を形成させた。続いて、酸洗によりフォルステラ
イト皮膜を除去し、鋼板表面に地鉄を露出させた後に、
化学研磨により鋼板表面を鏡面に近い状態（中心線平均
粗さ０．１μｍ）に仕上げた。上記試料に、ほう酸とベ
ーマイトを主成分とする絶縁コーティング液（酸化物換
算モル比＝０．５）を、鋼板表面に片面当たり４．０g/
ｍ2 塗布し、９００℃で種々の酸素ポテンシャルを有す
る雰囲気にて焼き付けた。絶縁皮膜形成後の鉄損評価結
果を表４に示す。水蒸気／水素分圧比ＰＨ2 Ｏ／ＰＨ2
が１．０以下で、鉄損が良好となる。
【００２２】
【表４】
【００２３】
【発明の効果】本発明は、フォルステライト皮膜のない
一方向性電磁鋼板表面上、または鏡面ないしはそれに近
い状態に調整した仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板に、絶
縁皮膜を形成した際の鉄損劣化を防止する手段を提供す
るものである。従って、鉄損低減を目的とした磁気的平
滑性効果を最大限に発揮させるものであり、その工業的
効果は甚大である。
一方向性電磁鋼板表面上、または鏡面ないしはそれに近
い状態に調整した仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板に、絶
縁皮膜を形成した際の鉄損劣化を防止する手段を提供す
るものである。従って、鉄損低減を目的とした磁気的平
滑性効果を最大限に発揮させるものであり、その工業的
効果は甚大である。
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(56)参考文献 特開 平５−311353（ＪＰ，Ａ)
特開 平９−78253（ＪＰ，Ａ)
特開 平６−65754（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C23C 22/00
H01F 1/18
Claims (5)
- 【請求項１】 表面にフォルステライト皮膜を意図的に
形成させない条件で仕上げ焼鈍された一方向性電磁鋼板
の鋼板表面に、ほう酸とべーマイトを主成分とするコー
ティング液を塗布、焼付けして張力付与型の絶縁皮膜を
施すにあたり、コーティング液塗布後の焼付け雰囲気に
おける水蒸気分圧の水素分圧に対する比を１．０以下と
することにより低鉄損を得ることを特徴とする一方向性
電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項２】 仕上げ焼鈍後、表面に形成されたフォル
ステライト皮膜を除去した一方向性電磁鋼板の鋼板表面
に、ほう酸とべーマイトを主成分とするコーティング液
を塗布、焼付けして張力付与型の絶縁皮膜を施すにあた
り、コーティング液塗布後の焼付け雰囲気における水蒸
気分圧の水素分圧に対する比を１．０以下とすることに
より低鉄損を得ることを特徴とする一方向性電磁鋼板の
絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項３】 コーティング液塗布後の焼付け雰囲気に
おける水蒸気分圧の水素分圧に対する比を０．０１未満
とすることを特徴とする請求項１または２に記載の一方
向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項４】 ほう酸とベーマイトの組成比を、それぞ
れ酸化物換算のモル比で、０．２≦Ｂ2 Ｏ3 ／Ａｌ2 Ｏ
3 ／≦１．０とすることを特徴とする、請求項１乃至３
のいずれか１項に記載の一方向性電磁鋼板絶縁皮膜形成
方法。 - 【請求項５】 請求項１乃至４に記載した方法で絶縁皮
膜が形成され、かつ磁気的平滑界面を有することを特徴
とする一方向性電磁鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04800498A JP3461712B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04800498A JP3461712B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
Publications (2)
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| JPH11241171A JPH11241171A (ja) | 1999-09-07 |
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| JP04800498A Expired - Lifetime JP3461712B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
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-
1998
- 1998-02-27 JP JP04800498A patent/JP3461712B2/ja not_active Expired - Lifetime
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