JP3446979B2 - 水溶性整髪料 - Google Patents

水溶性整髪料

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JP3446979B2
JP3446979B2 JP33076194A JP33076194A JP3446979B2 JP 3446979 B2 JP3446979 B2 JP 3446979B2 JP 33076194 A JP33076194 A JP 33076194A JP 33076194 A JP33076194 A JP 33076194A JP 3446979 B2 JP3446979 B2 JP 3446979B2
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正人 吉岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘアリキッド、セット
ローション、ヘアスタイリングジェル、ウォータグリー
ス、ヘアスタイリングムース剤、ヘアスタイリングブロ
ー剤などの水溶性整髪料に関し、さらに詳しくは、毛髪
を保護し、損傷した毛髪を回復させ、毛髪に艶、潤い、
はり(張り)を付与し、枝毛を防止し、毛髪の櫛通り性
を改善し、しかも保存安定性の優れた水溶性整髪料に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、整髪料としては、主成分の植物油
や鉱物油によって毛髪に粘着性や艶を付与するポマード
やヘアオイルなどの油性整髪料が用いられていたが、最
近は、油っぽさの少ないヘアリキッド、セットローショ
ン、ヘアスタイリングジェル、ヘアスタイリングムース
剤などの水溶性整髪料が主として用いられるようになっ
てきた。
【0003】これらの水溶性整髪料では、水溶性の高分
子セット剤が配合され、毛髪にセット力とともに艶を付
与するようにしている。また、より自然な毛髪の艶やは
りの追求から、これらの水溶性整髪料にも、他の化粧料
と同様にシリコーンやタンパク加水分解物を配合するこ
とが試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ーンは一般的に疎水性物質であり、ごく一部の変性シリ
コーン以外は、水溶性整髪料には配合しにくいという問
題があり、また、高分子量のシリコーンは、損傷の少な
い毛髪、すなわち疎水性の強い毛髪に対しては収着しや
すいが、損傷毛、すなわち損傷によって親水性基が表面
に露出してきて親水性が強くなった毛髪に対しては収着
しにくいといわれ、損傷毛に対して、シリコーンの有す
る特性を充分に発揮することができないという問題があ
った。
【0005】また、タンパク加水分解物は、洗髪などに
より毛髪中のタンパク成分が溶出して損傷を生じた毛髪
の回復には非常に有用であるが、タンパク加水分解物は
一般に水溶性物質であり、水溶性整髪料でも油脂類やア
ルコール類が配合されているものが多く、それらにおい
てはタンパク加水分解物の配合量が制限されたり、また
保存中にタンパク加水分解物が凝集沈殿するという問題
があった。
【0006】従って、本発明は、毛髪を保護し、損傷し
た毛髪を回復させ、毛髪に艶、潤い、はりを付与し、枝
毛を防止し、毛髪の櫛通り性を改善し、しかも保存安定
性の優れた水溶性整髪料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸側鎖の
アミノ基を含むペプチドのアミノ基にケイ素原子をただ
一つ含む官能基(シリル官能基)が共有結合した下記の
一般式(I)
【0008】
【化3】
【0009】〔式中、R1 、R2 、R3 のうち少なくと
も2個は水酸基を示し、残りはメチル基を示す。R4
側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端ア
ミノ基を除く残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ酸の
側鎖を示し、aは1または3で、mは0より大きく50
以下、nは1〜200、m+nは2〜200である(た
だし、mおよびnはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ
酸配列の順序を示すものではない)〕で表されるシリル
化ペプチド、または、下記の一般式(II)
【0010】
【化4】
【0011】〔式中、R1 、R2 、R3 のうち2個は水
酸基を示し、残りはメチル基を示す。R4 は側鎖の末端
にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除
く残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ酸の側鎖を示
し、aは1または3で、mは0より大きく50以下、n
は1〜200、m+nは2〜200である(ただし、m
およびnはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の
順序を示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチ
ドが、ペプチドの有する性質と、シリコーンの有する性
質の両方の性質を有し、このシリル化ペプチドを水溶性
高分子セット剤を含有する水溶性整髪料に配合するとき
は、毛髪を保護し、損傷した毛髪を回復させ、毛髪に
艶、潤い、柔軟性を付与し、枝毛を防止し、毛髪の櫛通
り性を改善し、しかも保存安定性の優れた水溶性整髪料
が得られることを見出し、本発明を完成するにいたっ
た。
【0012】すなわち、上記シリル化ペプチドがペプチ
ド部分の収着作用で毛髪に収着し、毛髪を保護し、損傷
した毛髪を回復させ、毛髪に潤いを付与するとともに、
シリル官能基部分もペプチド部分を介して毛髪に収着す
るので、毛髪の表面をなめらかにし、毛髪に艶や光沢を
付与し、毛髪の櫛通り性を改善するとともに、櫛通しに
よる枝毛の発生を防止する。しかも、上記シリル化ペプ
チドは、水溶性を有するので、水溶性整髪料中での保存
安定性が優れている。
【0013】本発明の水溶性整髪料は、水溶性高分子セ
ット剤と上記のシリル化ペプチドを必須成分として調製
されるが、まず、シリル化ペプチドについて詳しく説明
すると、以下の通りである。
【0014】〔シリル化ペプチド〕 上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドは、例え
ば、下記の一般式(III)
【0015】
【化5】
【0016】〔式中、R6 、R7 、R8 はメチル基、炭
素数1〜3のアルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子
を示し、これらのR6 、R7 、R8 はすべて同じでもよ
く、また異なっていてもよいが、R6 、R7 、R8 のう
ちの2個以上が同時にメチル基になることはない。aは
1または3で、XはCl、Br、F、Iなどのハロゲン
原子を示す〕で表されるシリル化合物と、下記の一般式
(IV)
【0017】
【化6】
【0018】〔式中、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有
する塩基性アミノ酸のアミノ基を除く残基を示し、R5
はR4 以外のアミノ酸側鎖を示し、mは0より大きく5
0以下、nは1〜200、m+nは2〜200である〕
で表されるペプチド類とを縮合反応させることによって
得られる。
【0019】また、一般式(II)で表されるシリル化ペ
プチドは、例えば、下記の一般式(V)
【0020】
【化7】
【0021】〔式中、R6 、R7 、R8 のうちの1個は
メチル基を示し、残りの2個は炭素数1〜3のアルコキ
シ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。aは1または
3を示す〕で表されるシリル化合物と、上記の一般式
(IV)で表されるペプチド類とを縮合反応させることに
よって得られる。
【0022】〔シリル化ペプチドの特性〕 一般式(I)で表されるシリル化ペプチドや一般式(I
I)で表されるシリル化ペプチドは、その化学構造式か
らも明らかなように、それぞれ一般式(III)で表される
シリル化合物や一般式(V)で表されるシリル化合物に
基づくケイ素原子を含むシリル官能基部分と、一般式
(IV)で表されるペプチド類に基づくペプチド部分を有
するので、これを水溶性整髪料に配合すると、シリル官
能基部分の有する優れた伸展性、摩擦低減性、艶や光沢
の付与作用、撥水性の付与作用などと、ペプチド部分の
有する毛髪への収着作用、それに伴う毛髪のボリューム
アップ、ハリの付与、造膜による保護作用、保湿作用な
どを同時に発揮させることができる。しかも、ペプチド
類は、損傷毛への収着性が良いので、上記シリル化ペプ
チドは、高分子量のシリコーンオイルでは収着しにくい
損傷毛にペプチド部分を介してシリル官能基を収着させ
ることができるので、損傷毛の感触を改善するととも
に、強度の回復に寄与することができる。
【0023】従って、このシリル化ペプチドを配合して
水溶性整髪料を調製すると、上記シリル化ペプチドが毛
髪の損傷を防止し、毛髪に艶や潤いを付与し、毛髪をな
めらかにし、かつ毛髪の櫛通り性などを改善し、枝毛、
切毛の発生を防止するとともに、損傷した毛髪を回復さ
せる。
【0024】また、高分子量のシリコーンは一旦毛髪に
付着すると取れにくく、そのため、パーマ、ブリーチ、
染毛などの化学的処理を行ないにくくし、ペプチドやカ
チオン性ポリマーなどの毛髪への収着作用を減少させる
という欠点があるが、上記一般式(I)で表されるシリ
ル化ペプチドや一般式(II)で表されるシリル化ペプチ
ドは、ペプチド部分に低分子量のシリル官能基が結合し
たものであって、毛髪には通常のペプチドの収着機構で
収着するので、ペプチドを含まない洗浄剤で洗浄するこ
とにより、可逆的にシリル化ペプチドを毛髪上から脱着
することができ、上記のような弊害を生じない。
【0025】一般式(I)で表されるシリル化ペプチド
において、R1 、R2 、R3 のうち少なくとも2個を水
酸基にし、残りをメチル基に特定し、一般式(II)で表
されるシリル化ペプチドにおいて、R1 、R2 、R3
うち2個を水酸基にし、残りをメチル基に特定している
のは、一般式(I)で表されるシリル化ペプチドや一般
式(II)で表されるシリル化ペプチドが、水溶性を有
し、水溶性整髪料中での良好な保存安定性を保つように
するためである。また、aを1または3と特定している
のは、aが2の場合は一般式(III)で表されるシリル化
合物や一般式(V)で表されるシリル化合物の状態での
保存安定性が悪く、aが3より大きくなると、分子全体
中でシリル官能基部分の占める割合が小さくなり、シリ
ル官能基の有する特性を充分に発揮できなくなるためで
ある。
【0026】〔シリル化ペプチドにおけるペプチド部
分〕 一般式(I)で表されるシリル化ペプチドや一般式(I
I)で表されるシリル化ペプチドにおいて、R4 は側鎖
の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ
基を除く残基であるが、上記のような側鎖の末端にアミ
ノ基を有する塩基性アミノ酸としては、例えば、リシ
ン、アルギニン、ヒドロキシリシンなどが挙げられる。
また、R5 はR4 以外のアミノ酸の側鎖を示すが、その
ようなアミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アス
パラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、
メチオニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェ
ニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどが挙
げられる。
【0027】一般式(I)で表されるシリル化ペプチド
や一般式(II)で表されるシリル化ペプチドにおいて、
mは0より大きく50以下(0<m≦50)であって、
好ましくは0より大きく10以下(0<m≦10)であ
り、nは1〜200であって、好ましくは1〜100、
より好ましくは2〜40であり、m+nは2〜200で
あって、好ましくは2〜100、より好ましくは3〜5
0であるが、これは次の理由によるものである。
【0028】すなわち、mが上記範囲より大きくなる
と、側鎖のアミノ基に結合するシリル官能基が増え、ペ
プチド本来の毛髪への収着作用が減少し、nが上記範囲
より大きくなると、ペプチド部分に対するシリル官能基
部分の割合が少なくなり、シリル官能基部分が有する効
果を充分に発揮することができなくなり、m+nが上記
範囲より大きくなると、ペプチドとしての毛髪への収着
性や浸透性が低分子量のペプチドに比べて減少する上
に、保存中に凝集しやすくなり、保存安定性が低下す
る。
【0029】なお、上記のm、nやm+nは、理論的に
は整数であるが、ペプチド部分が後述するような加水分
解タンパクである場合は、該加水分解タンパクが分子量
の異なるものの混合物として得られるため、測定値は平
均値になる。
【0030】上記一般式(IV)で表されるペプチド類に
は、ペプチドまたはペプチドのエステルが含まれる。
【0031】上記ペプチドは、天然ペプチド、合成ペプ
チド、タンパク質(蛋白質)を酸、アルカリまたは酵素
で部分加水分解して得られる加水分解ペプチドなどであ
る。
【0032】天然ペプチドとしては、例えば、グルタチ
オン、バシトラシンA、インシュリン、グルカゴン、オ
キシトシン、バソプレシンなどが挙げられ、合成ペプチ
ドとしては、例えば、ポリグリシン、ポリリシン、ポリ
グルタミン酸、ポリセリンなどが挙げられる。
【0033】加水分解ペプチドとしては、例えば、コラ
ーゲン(その変成物であるゼラチンも含む)、ケラチ
ン、絹フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリ
ン、エラスチン、鶏、あひるなどの卵の卵黄タンパク、
卵白タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、トウモロ
コシタンパク、米(米糠)タンパク、ジャガイモタンパ
クなどの動植物由来のタンパク、あるいは、サッカロミ
セス属、カンディタ属、エンドミコプシス属の酵母菌
や、いわゆるビール酵母、清酒酵母といわれる酵母菌よ
り分離した酵母タンパク、キノコ類(担子菌)より抽出
したタンパク、クロレラより分離したタンパクなどの微
生物由来のタンパクを、酸、アルカリまたは酵素で部分
的に加水分解して得られるペプチドなどが挙げられる。
【0034】上記ペプチドのエステルとしては、上記ペ
プチドのカルボキシル基における炭素数1〜20の炭化
水素アルコールとのエステル、例えば、メチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピル
エステル、ラウリルエステル、セチルエステル、2−エ
チルヘキシルエステル、2−ヘキシルデシルエステル、
ステアリルエステルなどが挙げられる。
【0035】〔シリル化ペプチドの合成〕 上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドや一般式
(II)で表されるシリル化ペプチドは、上記一般式(II
I)で表されるシリル化合物や一般式(V)で表されるシ
リル化合物と一般式(IV)で表されるペプチド類とを接
触反応させて得られたものであるが、一般式(III)で表
されるシリル化合物や一般式(V)で表されるシリル化
合物は、シランカップリング剤として市販されているも
のを使用することができる。そのようなシランカップリ
ング剤としては、例えば、東芝シリコーン(株)製のT
SL8390、TSL8219、TSL8395、TS
L8326、TSL8325、TSL8320、TSL
8355、TSL8350(いずれも、商品名)、日本
ユニカー(株)製のA−143(商品名)、東レ・ダウ
コーニング・シリコーン(株)製のSH6040、SH
6076(いずれも、商品名)、信越シリコーン(株)
製のKBM403、KBM402、KBM703(いず
れも、商品名)などが挙げられる。
【0036】上記一般式(III)で表されるシリル化合物
や一般式(V)で表されるシリル化合物と一般式(IV)
で表されるペプチド類との反応は、例えば、まず、シリ
ル化合物を30〜50℃の水中で5〜20分間攪拌して
加水分解することにより、ケイ素原子に結合するアルコ
キシ基やハロゲン原子を水酸基に変換した後、この水酸
基化したシリル化合物を一般式(IV)で表されるペプチ
ド類の溶液に滴下し、両者を接触させることによって行
われる。
【0037】上記反応に際して、ペプチド類は30〜5
0重量%程度の水溶液にするのが好ましく、水酸基化し
たシリル化合物の滴下は30分〜5時間で終了するのが
好ましい。
【0038】一般式(III)で表されるシリル化合物を用
いる場合は、反応時、反応によってハロゲン化水素が生
成して反応液のpHが低下するので、反応と同時に水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液を滴
下して、反応系内のpHを8〜11、特に9〜10に保
つことが好ましい。また、一般式(V)で表されるシリ
ル化合物を用いる場合は、反応によるpHの低下は生じ
ないが、反応は塩基性側で進行するので、ペプチド溶液
のpHを8〜11、特に9〜10に保つことが好まし
い。
【0039】反応は常温でも進行するが、温度が高くな
るほど反応速度が速くなる。しかし、pHが高い状態で
温度が高くなるとシリル化合物の加水分解が促進される
ため、高くても70℃以下にすることが好ましく、特に
40〜60℃で行うのが好ましい。
【0040】反応の進行と終了は、ファン・スレーク
(Van Slyke)法により、反応中のペプチド類
のアミノ態窒素量を測定することによって確認すること
ができる。
【0041】反応終了後、反応液は中和した後、適宜濃
縮して、イオン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾
過、限外濾過などによって精製し、液体のまま、あるい
は粉末化して水溶性整髪料の調製に供される。
【0042】上記一般式(I)で表されるシリル化ペプ
チドにおいて、ペプチドのアミノ基へのシリル官能基
(すなわち、ケイ素原子をただ一つ含む官能基)の導入
率は50%以上85%以下が好ましい。シリル官能基の
導入率が50%より少ない場合はシリル化合物に基づく
特性が充分に発揮されないおそれがあり、また85%よ
り多くなると疎水性が増して親水性が減少するおそれが
ある。
【0043】また、一般式(II)で表されるシリル化ペ
プチドにおいて、ペプチドのアミノ基へのシリル官能基
の導入率は50%以上75%以下が好ましい。シリル官
能基の導入率が50%より少ない場合はシリル化合物に
基づく特性が充分に発揮されないおそれがあり、また7
5%より多くなると疎水性が増して親水性が減少するお
それがある。
【0044】〔シリル化ペプチドの配合量〕 一般式(I)で表されるシリル化ペプチドまたは一般式
(II)で表されるシリル化ペプチドの水溶性整髪料への
配合量(水溶性整髪料中での含有量)としては、0.1
〜20重量%が好ましく、特に0.5〜15重量%がよ
り好ましい。すなわち、シリル化ペプチドの水溶性整髪
料への配合量が、上記範囲より少ない場合は、毛髪に艶
や潤いを付与したり、毛髪を保護したり、櫛通り性を改
善する効果が充分に発揮されず、また、シリル化ペプチ
ドの水溶性整髪料への配合量が上記範囲より多くなって
も、配合量の増加に伴う効果の増加がほとんど認められ
ない上に、ペプチド部分に起因するベトツキを生じるよ
うになるからである。そして、水溶性整髪料への配合に
あたって、上記シリル化ペプチドは単独で用いてもよい
し、2種以上混合して用いてもよい。
【0045】〔水溶性高分子セット剤〕 水溶性高分子セット剤としては、特に限定されることな
く、従来と同様に天然セット剤、半合成セット剤、合成
セット剤のいずれも用いることができる。天然および半
合成の水溶性高分子セット剤としては、例えば、エチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、天然タンパク質加水分解
物またはその4級化誘導体などが挙げられる。また、合
成の水溶性高分子セット剤としては、例えば、ポリビニ
ルピロリドン、ビニルピロリドン・アルキルアミノアク
リレート共重合体、ポリビニルピロリドン・酢酸ビニル
共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸およ
び/またはメタクリル酸とアクリル酸アルキルエステル
および/またはメタクリル酸アルキルエステルとの共重
合体などが挙げられる。
【0046】この水溶性高分子セット剤の水溶性整髪料
中の含有量としては、0.1〜10重量%、特に0.5
〜5重量%が好ましい。すなわち、水溶性高分子セット
剤の水溶性整髪料中での含有量が上記範囲より少ない場
合は、毛髪をセットする作用が充分に発揮されず、水溶
性高分子セット剤の水溶性整髪料中での含有量が上記範
囲より多くなると、毛髪が硬張ったり、天然物系のセッ
ト剤では、吸湿性が大きくなってベタついたり、セット
保持力が低下するおそれがある。
【0047】〔シリル化ペプチド配合水溶性整髪料の調
製〕 本発明の水溶性整髪料は、ヘアリキッド、セットローシ
ョン、ヘアスタイリングジェル、ヘアスタイリングムー
ス剤、ヘアスタイリングブロー剤、ウォータグリースな
どを対象とし、水溶性高分子セット剤など、それらの水
溶性整髪料に通常必要とされる成分を配合した上で、上
記のシリル化ペプチドを配合することによって調製され
る。ただし、配合の順序はいずれが先であってもよく、
例えば、水溶性高分子セット剤などを含有し、ヘアリキ
ッド、セットローション、ヘアスタイリングジェル、ヘ
アスタイリングムース剤、ヘアスタイリングブロー剤、
ウォータグリースなどとして調製済みのものにシリル化
ペプチドを配合してもよいし、また、それらの水溶性整
髪料の調製時に、水溶性高分子セット剤や、他の成分と
共にシリル化ペプチドを配合してもよい。
【0048】上記シリル化ペプチドは、水溶性高分子セ
ット剤以外にも、種々の他の成分と併用可能であり、そ
れぞれの水溶性整髪料において、必要に応じ、適宜他の
成分と併用される。
【0049】そのような成分としては、例えば、ラウリ
ル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミン、
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノール
アミンなどのアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(2
EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(な
お、EOはエチレンオキサイドで、EOの前の数値はエ
チレンオキサイドの付加モル数を示す)、ポリオキシエ
チレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15のいずれ
かまたは2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリウムな
どのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウ
リルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼン
スルホン酸トリエタノールアミンなどのアルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(3EO)トリデ
シルエーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシエチレン
アルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸サルコンシナト
リウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイ
ル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイル−L−グ
ルタミン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸−L−
グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミ
ン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリ
ンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムな
どのN−アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンスル
ホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナ
トリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク
酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエトキシエチル
スルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク
酸二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウ
ム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキル(炭素数12〜16)エーテルリン酸
(2〜12EO)、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテ
ルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク
酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル
エーテルリン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリ
ウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、コラーゲ
ン、ケラチン、フィブロイン、カゼイン、大豆、小麦、
トウモロコシ、イモ類、酵母などの動植物や微生物由来
のタンパク加水分解物を炭素数8〜20の脂肪酸でアシ
ル化したアシル化加水分解タンパクまたはそれらのナト
リウム、カリウム、トリエタノールアミンなどの塩類な
どのアニオン性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボ
キシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベ
タイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリウムベ
タインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル
−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ス
テアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメ
チルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ヤ
シ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキル−
N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾ
リニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カ
ルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダ
ゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル
−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチ
ルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、N−ヤ
シ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロ
リドンカルボン酸塩などの両性界面活性剤、ポリオキシ
エチレンアルキル(炭素数12〜14)エーテル(7E
O)、ポリオキエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレ
ンオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンステアリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビトール・ラノリン(40EO)、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエ
ーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチ
レンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステア
リルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリ
コシドなどのノニオン性界面活性剤、塩化ステアリルト
リメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニ
ウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩
化ステアリルビス(ジエチレングリコール)ヒドロキシ
エチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニ
ウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ト
リ〔ポリオキシエチレン(5EO)〕ステアリルアンモ
ニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウ
ム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ヨウ化セチ
ルトリメチルアンモニウム、塩化オレイルベンジルジメ
チルアンモニウム、塩化オレイルビス〔ポリオキシエチ
レン(15EO)〕メチルアンモニウム、アルキルトリ
メチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウ
ム塩、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモ
ニウム、塩化ミンク油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒ
ドロキシエチルアンモニウム、塩化γ−グルコンアミド
プロピルジメチルヒドロキシアンモニウム、アルキルピ
リジニウム塩などのカチオン性界面活性剤、イソステア
リン酸ジエタノールアミド、ウンデシレン酸モノエタノ
ールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪
酸モノエタノールアミド、硬化牛脂脂肪酸ジエタノール
アミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン
酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸モノエタ
ノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ
油脂肪酸エタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノール
アミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン
酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、
ラノリン脂肪酸ジエタノールアミドなどの増粘剤、ワッ
クス、パラフィン、脂肪酸エステル、グリセライド、動
植物油などの油脂類、動植物抽出物、コラーゲン、ケラ
チン、フィブロイン、セリシン、カゼイン、大豆、小
麦、トウモロコシ、ジャガイモ、米(米糠)、酵母、キ
ノコ類などの動植物および微生物由来のタンパク質の加
水分解ペプチドやそのペプチドエステル誘導体類、プロ
ピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチ
レングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール
などの湿潤剤、エタノール、メタノール、プロピルアル
コール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール
類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイ
ルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコー
ル類、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリ
ウム、DL−アラニン、L−アルギニン、グリシン、L
−グルタミン酸、L−システイン、L−スレオニンなど
のアミノ酸などを挙げることができる。
【0050】また、鎖状または環状のメチルポリシロキ
サン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシ
ロキサンポリエチレングリコール共重合体、ジメチルポ
リシロキサンポリプロピレン共重合体、アミノ変性シリ
コーン、第4級アンモニウム変性シリコーンなどのシリ
コーンを併用した場合、上記シリル化ペプチドのシリル
官能基部分がシリコーンと相溶性を有するため、シリコ
ーンの水溶性整髪料中での乳化安定剤を増加させるの
で、シリコーンの作用が発揮されやすくなる。
【0051】
【発明の効果】本発明の水溶性整髪料は、毛髪を保護
し、損傷した毛髪を回復させ、毛髪に艶、光沢や潤いや
はりを付与する。特にシリル化ペプチドが、ペプチド部
分を介してシリル官能基を毛髪に収着させるので、毛髪
に艶や潤いを付与すると共に、毛髪の櫛通り性を改善
し、櫛通しによる枝毛の発生を防止する。また、本発明
の水溶性整髪料は、シリル化ペプチドが水溶性を有する
ので、保存安定性も優れている。
【0052】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、ただし、本発明はそれらの実施例のみ
に限定されるものではない。なお、実施例や比較例中に
おける各成分の配合量はいずれも重量部によるものであ
り、配合量が固形分量でないものについては、成分名の
あとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、実施例など
において濃度を示す%は重量%である。
【0053】実施例1および比較例1〜2 表1に示す組成の3種類のセットローションを調製し、
それぞれのセットローションをシャンプーで洗浄した毛
髪に使用して、処理後の毛髪の艶、潤いおよびセット保
持率を調べた。
【0054】これら実施例1および比較例1〜2のセッ
トローションにおけるシリル化ペプチドの使用状況につ
いて説明すると、実施例1においては、シリル化ペプチ
ドとして、一般式(I)において、R1 =CH3 、R2
=OH、R3 =OHで、a=3、mの平均値=2、nの
平均値=8、m+nの平均値=10で、シリル官能基の
導入率61%のシリル化加水分解ケラチンを用いてい
る。比較例1では、シリル化加水分解ケラチンに代え
て、シリコーンとして、メチルフェニルポリシロキサン
〔東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH556
(商品名)〕を用い、比較例2では、シリル化ペプチ
ド、シリコーンのいずれも用いていない。
【0055】
【表1】
【0056】上記のセットローションによる処理に先立
ち、毛髪をあらかじめ2%ポリオキシエチレン(10E
O)ノニルフェニルエーテル水溶液で洗浄し、水でゆす
いで温室で風乾した。この毛髪より20本を選び出し、
その20本を一束とし、毛根側を揃えて接着剤で固定
し、長さを18cmに揃え、直径10mmで長さ80m
mのロッドに巻き付け、両端を輪ゴムで固定した。この
ロッドをそれぞれ実施例1および比較例1〜2のセット
ローションに10秒間浸漬し、浸漬後、過剰のセットロ
ーションをタオルで吸い取った後、毛束をロッドに巻き
付けたまま室温で12時間風乾した。
【0057】乾燥後、毛束をロッドから外して毛根側を
上にして吊り下げ、この時の毛束の長さを測定し、0時
の長さ(L0 )とした。次にこの毛束を吊り下げたまま
58%の恒湿槽中で20時間放置した後、毛束の長さを
測定し、これをL20とし、以下の式によりセット保持率
を求めた。その結果を表2に示す。
【0058】
【0059】また、セット保持率の測定前に、これらの
毛束をロッドから外した時点で毛髪の艶、潤いを10人
の女性パネラーに評価させた。
【0060】評価基準は、最も良いものを〔2点〕と
し、2番目に良いものを〔1点〕とし、悪いものを〔0
点〕として、表2にその結果を5人の平均値で示してい
る。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示すように、実施例1のセットロー
ションは、比較例1〜2のセットローションに比べて、
毛髪の艶、潤いの評価値が高く、シリル化ペプチドがよ
く毛髪に収着して、毛髪に艶、潤いを付与することが明
らかにされていた。また、実施例1のセット保持率は、
シリル化ペプチドやシリコーンを配合していない比較例
2よりやや良い程度であったが、シリコーンを配合した
比較例1ではシリコーンの影響でセット保持率が下がっ
ているのに対し、実施例1のセット保持率が比較例2と
同等以上であることから、シリル化ペプチドがセット剤
の作用を妨げないことが明らかにされていた。
【0063】実施例2および比較例3〜4 表3に示す組成の3種類のヘアスタイリングジェルを調
製し、それぞれのヘアスタイリングジェルを用いた場合
の毛髪の艶、潤いおよびセット保持率を実施例1と同様
に調べた。
【0064】実施例2においては、シリル化ペプチドと
して、一般式(II)において、R1=CH3 、R2 =O
H、R3 =OHで、a=3、mの平均値=1.4、nの
平均値=18.6、m+nの平均値=20で、シリル官
能基の導入率67%のシリル化加水分解コラーゲンを用
いている。比較例3では、シリル化加水分解コラーゲン
に代えて、シリコーンとして、水溶性のジメチルシロキ
サン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合
体〔東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH377
1C(商品名)〕を用い、比較例4では、シリル化ペプ
チド、シリコーンとも用いていない。
【0065】
【表3】
【0066】上記ヘアスタイリングジェルによる処理に
先立ち、実施例1と同じ方法で毛髪を処理した。ただ、
これらのヘアスタイリングジェルは、ゲルタイプのた
め、毛束への処理では、上記実施例2および比較例3〜
4のヘアスタイリングジェルをそれぞれ0.2g用い
て、ロッドに巻き付けた毛髪によくのばしながら塗り付
けた。ロッドから外した直後の毛髪の艶、潤いを10人
の女性パネラーに実施例1と同じ評価基準で評価させ、
また、セット保持率も実施例1と同様に調べた。表4に
それらの結果を示す。
【0067】
【表4】
【0068】表4に示すように、実施例2のヘアスタイ
リングジェルは、比較例3〜4のヘアスタイリングジェ
ルに比べて、毛髪の艶、潤いのいずれも評価値が高く、
セット保持率も良く、シリル化加水分解コラーゲンが毛
髪に収着して、毛髪に艶、潤いを付与し、かつスタイリ
ング作用を妨げないことが明らかにされていた。
【0069】実施例3および比較例5〜6 表5に示す組成の3種類のヘアスタイリングムース用ベ
ースを調製し、該スタイリングムース用ベースと液化石
油ガス(LPG)とを90:10(重量比)でスプレー
容器に充填して、スタイリングムースとし、パーマネン
トウェーブ処理を施した毛髪に使用して、毛髪のまとま
りやすさ、艶、潤い、櫛通り性および毛髪の引張り強度
について評価した。
【0070】実施例3では、シリル化ペプチドとして、
一般式(I)において、R1 、R2、R3 がいずれもO
Hで、a=1、mの平均値=1、nの平均値=8で、m
+nの平均値=9で、シリル官能基の導入率64%のシ
リル化加水分解カゼインを用いている。比較例5では、
シリル化加水分解カゼインに代えて、シリコーンオイル
として、アモジメチコーンエマルジョン〔東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン社製SM8702C(商品名)〕
を用い、比較例6では、シリル化ペプチド、シリコーン
のいずれも用いていない。
【0071】
【表5】
【0072】上記ヘアスタイリングムース剤による処理
に先立ち、長さ15cmで重さ1gの毛束を2%ポリオ
キシエチレンノニルフェノール水溶液で洗浄し、水でゆ
すいだ後、この毛束を以下の手順でパーマネントウェー
ブ処理した。すなわち、各毛束を直径10cmで長さ8
cmのロッドに巻き付け、28%アンモニア水でpHを
9.2に調整した6%チオグリコール酸溶液5mlを塗
布し、ラップでロッドを覆い15分間放置した。流水中
で10秒間洗浄後、6%臭素酸ナトリウム溶液5mlを
塗布し、ラップで覆い15分間放置した後、流水中で3
0秒間洗浄した。
【0073】毛束をロッドからはずし、毛髪が濡れた状
態で実施例3および比較例5〜6のヘアスタイリングム
ース剤をそれぞれ2gずつ各毛束にすり込むように塗布
した後、ヘアドライヤーで乾燥した。
【0074】乾燥後の毛髪の艶、潤い、櫛通り性につい
て10人のパネラー(女性6人、男性4人)に、実施例
1と同じ評価基準で評価させた。
【0075】また、上記各毛束より30本の毛髪を抜き
取り、各毛髪の引張り強度を測定した。すなわち、各毛
髪の端から7.5cmの部分の長径および短径をマイク
ロメータで測定して断面積を計算した後、その部分の引
張り強度を引張り試験機〔不動工業(株)製、レオメー
タ〕で測定し、断面積当たりの引張り強度を算出した。
【0076】なお、引張り強度試験において、上記ヘア
スタイリングムース剤による処理を施していないパーマ
ネントウェーブ処理毛の引張り強度は28.4kgf/
mm2 であり、これをもとにして、各ヘアスタイリング
ムース剤で処理した毛髪の強度増加率を算出した。それ
らの結果を表6に示す。評価値はいずれも平均値であ
る。
【0077】
【表6】
【0078】表6に示すように、実施例3のヘアスタイ
リングムース剤を使用した場合は、比較例5や比較例6
のヘアスタイリングムース剤を使用した場合に比べて、
毛髪の艶、潤い、櫛通り性のいずれの項目についても評
価値が高く、毛髪の引張り強度も、未処理毛に対する強
度増加が比較例6の約2.5倍増加していて、シリル化
加水分解カゼインが毛髪に収着して、損傷した毛髪の回
復に寄与していることが明らかにされていた。比較例5
の引張り強度は比較例6より低かったが、これはパーマ
ネントウェーブ処理で毛髪が損傷し、シリコーンが損傷
毛に収着しにくく、損傷した毛髪を回復させる作用がな
いことによるものと思われる。
【0079】実施例4および比較例7 下記に示す組成のヘアリキッドを調製した。このヘアリ
キッドにおいては、シリル化ペプチドとして、一般式
(I)において、R1 =CH3 、R2 =OH、R3 =O
Hで、a=3、mの平均値=1、nの平均値=7、m+
nの平均値=8で、シリル官能基の導入率65%のシリ
ル化加水分解小麦タンパクを用いている。
【0080】これとは別に、シリル化加水分解小麦タン
パクを配合せず、そのぶん、滅菌イオン交換水を増量
し、他の組成は実施例4と同一にしたヘアリキッドを調
製し、それを比較例7とした。なお、各成分の配合量は
重量部である。
【0081】 シリル化加水分解小麦タンパク(m+n=8)、(20%) 12.5 アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル 1.0 共重合体(互応化学社製プラサイズL−53P、50%) ポリオキシプロピレンブチルエーテル(40EO) 20.0 エタノール 50.0 エデト酸二ナトリウム 0.1 香料 適量 滅菌イオン交換水 計100とする
【0082】上記のヘアリキッドについて、次の評価を
行った。すなわち、5人の男性パネラーに、毎日一度、
最初の5日間は、比較例7のヘアリキッドで処理しても
らい、次の5日間は実施例4のヘアリキッドで処理して
もらった。5日間の実施例4のヘアリキッドの使用後、
毛髪のまとまりやすさ、艶、潤いおよび櫛通り性が、比
較例7のヘアリキッドを使用していた時より良くなった
か、悪くなったか、あるいは変わらなかったかを回答さ
せた。その結果を表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】表7に示すように、パネラー全員が、シリ
ル化加水分解小麦タンパクを配合した実施例4のヘアリ
キッド使用後は、使用前に比べて、毛髪のまとまりやす
さ、艶、潤いおよび櫛通り性が改善されたと答えてい
て、シリル化加水分解小麦タンパクが、毛髪に艶や潤い
を付与し、櫛通り性を改善するとともに、毛髪のセット
性を向上させる作用を有することが明らかにされてい
た。
【0085】〔シリル化ペプチド配合水溶性整髪料の保
存安定性〕 上記実施例1のセットローションおよび実施例4のヘア
リキッドを室温(15〜25℃)で45日間保存し、沈
殿や層分離が生じるか否かを目視により観察したが、濁
りや層分離はまったく生じなかった。なお、実施例2の
ヘアスタイリングジェルはゲル状であり、実施例3のヘ
アスタイリングムースは液化石油ガスとスプレー容器に
充填していて、沈殿や層分離の観察ができないため、試
験に供しなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大海 須恵子 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株式会社成和化成内 (56)参考文献 特開 平3−223207(JP,A) 特開 平4−368317(JP,A) 特開 平5−221836(JP,A) 特開 昭61−12609(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/11

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性高分子セット剤を含有する水溶性
    整髪料において、アミノ酸側鎖のアミノ基を含むペプチ
    ドのアミノ基にケイ素原子をただ一つ含む官能基が共有
    結合した下記の一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 、R2 、R3 のうち少なくとも2個は水酸
    基を示し、残りはメチル基を示す。R4 は側鎖の末端に
    アミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く
    残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ酸の側鎖を示し、
    aは1または3で、mは0より大きく50以下、nは1
    〜200、m+nは2〜200である(ただし、mおよ
    びnはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序
    を示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチド、
    または、下記の一般式(II) 【化2】 〔式中、R1 、R2 、R3 のうち2個は水酸基を示し、
    残りはメチル基を示す。R4 は側鎖の末端にアミノ基を
    有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く残基を示
    し、R5 はR4 以外のアミノ酸の側鎖を示し、aは1ま
    たは3で、mは0より大きく50以下、nは1〜20
    0、m+nは2〜200である(ただし、mおよびnは
    アミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示す
    ものではない)〕で表されるシリル化ペプチドを配合し
    たことを特徴とする水溶性整髪料。
  2. 【請求項2】 シリル化ペプチドの配合量が0.1〜2
    0重量%である請求項1記載の水溶性整髪料。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子セット剤の含有量が0.1
    〜10重量%である請求項1または2記載の水溶性整髪
    料。
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