JP3439282B2 - 光信号計測装置 - Google Patents

光信号計測装置

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JP3439282B2
JP3439282B2 JP01105995A JP1105995A JP3439282B2 JP 3439282 B2 JP3439282 B2 JP 3439282B2 JP 01105995 A JP01105995 A JP 01105995A JP 1105995 A JP1105995 A JP 1105995A JP 3439282 B2 JP3439282 B2 JP 3439282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出力した特定の強度変
調周波数の成分を有する強度変調光を、所定の光伝搬媒
体中の伝搬後に受光し、受光した強度変調光の該特定の
強度変調周波数の成分を解析する光信号計測装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高速現象測定、高精度測定などに光が多
用されている。これは、光が非常に短い波長の電磁波で
あり、原理的に測定現象の情報を短時間の内に多量に担
うことが可能であることによる。また、レーザ技術の発
展によりコヒーレント性が良く、高い強度の光が得られ
るようになったことも、光の実際的な使用の拡大の原動
力となっている。一方、測定装置の大半は電気的な手法
を使用する。
【0003】近年、測定現象の高速化および高精度化に
伴い、被測定光の強度変調周波数が、後段の電気回路の
応答特性を超えるものの計測が要求されてきている。こ
うした場合には、入力光の強度変調周波数を低減する必
要がある。
【0004】図11は、こうした周波数の低減をして光
計測を行う、従来の典型的な光信号計測装置の構成図で
ある。図11に示すように、この装置は、発光部910
から出力された周波数=fの強度変調成分を含む光が、
所定の経路を介した後に受光器(PD)920で受光さ
れる。受光の結果、受光器920で生じた電気信号は、
信号混合器(ミキサ:MX)940で周波数=f+Δf
の電気信号と混合され、双方の信号の積値に応じた電気
信号に変換される。この変換後の信号は2つの周波数=
(2f+Δf,Δf)成分を含む。バンドパスフィルタ
950は、一方の周波数=Δf成分を選択して出力す
る。こうして生成された信号は、ロックインアンプ96
0に入力し、同時に入力する周波数=Δfの参照信号に
基づいて位相や振幅が解析される。この解析結果は、受
光器920で受光した光信号の位相や強度を反映してい
る。
【0005】また、強度変調光を交流成分が重畳された
信号でバイアスされたアバランシェフォトダイオード
(以後、APDと呼ぶ)で受光し、光−電気変換と周波
数低減とを同時に行う受光装置が、特開昭62−279
732で提案されている。図12は、この装置の回路構
成図である。この装置では、変調周波数=fで変調され
た強度変調光を、直流信号に重畳された周波数=f+Δ
fの信号でバイアスされたAPD970で受光する。受
光の結果、APD970で電流が生じ、位置Pでは2つ
の周波数=(2f+Δf,Δf)成分を含む電圧信号が
発生する。バンドパスフィルタ980は、一方の周波数
=Δf成分を選択して出力する。なお、アバランシェフ
ォトダイオードに替えて、光電変換効率を調整可能な光
検出器として、光電子増倍管(PMT)を採用すること
も可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の光信号計測装置
は上記のように構成されているので、次のような問題点
があった。
【0007】図11に示す従来の光信号計測装置は、背
景光(直流光あるいは測定に関係しない強度変調成分を
含む光)の大きな環境下においては、受光器920で使
用される受光素子の飽和や装置の回路素子の混変調特性
により十分な性能を発揮することができない。また、受
光器920で電気信号に変換してからミキシングを行う
ため、検出された光信号が微弱な場合には、その弱い信
号レベルにおいて良好な変換特性および高周波応答を示
す信号混合器が必要となる。また、各回路要素の発生す
るノイズ、ドリフト、またはオフセットにより差周波数
の検出精度が制限される場合もある。
【0008】図12に示すような、APD970の直流
バイアス電圧に高周波電圧を重畳してヘテロダイン信号
を受光器から直接得る従来の光周波数混合装置は、損失
の大きな電気的ミキサを用いることなく、高い変換効率
で必要なヘテロダイン信号を容易に取り出すことができ
る。しかしながら、APDは一般に図13に示すような
指数関数的な電圧−電流特性を有する。したがって、深
い変調を施すために大きな振幅値の高周波電圧を印加す
ることは、取り出すヘテロダイン信号の歪みに対しては
有効ではない。また、アバランシェ増倍ゲインを確保す
るには、ブレークダウン電圧値の極近くまでバイアス電
圧を印加することが要求されるので、温度に対して敏感
な特性を持つブレークダウン電圧値を制御するためバイ
アス電圧の温度補償回路が必須となる。更に、光−電気
変換ゲインを大きくするため、バイアス電圧値(V1
を高いレベルに設定して大きな増倍ゲインをAPDに持
たせている場合、直流的背景光あるいは測定に関係しな
い強度変調成分を含む光によって動作点が変動するとと
もに、平均電流(I0 )が増加することによりAPD自
身が飽和しやすくなる。
【0009】また、APDやPMTは、印加電圧に対す
る利得の変化が非線形であり、最適な動作条件を設計す
るのが困難であるという欠点がある。
【0010】本発明は、上記を鑑みてなされたものであ
り、背景光のような不要な入射光に対する許容性が大き
いとともに入射光強度に対して直線性良く所定の強度変
調周波数成分を計測する光信号計測装置を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光信号計測装置
は、(a)第1の周波数の成分を有する第1の電気信号
を発生する第1の信号発生器と、(b)第1の電気信号
に同期するとともに、第1の周波数の強度変調成分を有
する強度変調光を発生する発光部と、(c)第1の周波
数と第2の周波数だけ異なる第3の周波数の成分を有す
る第2の電気信号を発生する第2の信号発生器と、
(d)第2の電気信号を入力し、第2の電気信号の時間
変化を反映した電圧信号に変換して出力する電圧信号供
給部と、(e)電圧信号供給部から出力される電圧信号
を入力する電圧信号印加端子を有するとともに、発光部
から出力され、所定の光伝搬媒体を伝搬した強度変調光
を受光する光導電型受光器と、(f)光導電型受光器を
介して流れる電流信号に応じた第3の電気信号を入力
し、第2の周波数と略同一の周波数の成分である第4の
電気信号を選択して出力する周波数選択器と、(g)第
1の電気信号と第2の電気信号とを入力し、第2の周波
数を有するとともに、第1の電気信号の位相および振幅
の少なくとも一方の情報を有する第5の電気信号を発生
する信号混合器と、(h)第4の電気信号と第5の電気
信号とを入力し、光導電型受光器に入射した強度変調光
の第1の周波数の成分の強度および位相の少なくともい
ずれか一方を解析する位相検波器と、を備えることを特
徴とする。
【0012】ここで、第2の電気信号の位相を変化させ
る位相調整器を更に備えることを特徴としてもよい。
【0013】また、光導電型受光器に印加される電圧信
号は、周期的であり、時間平均値が略0Vであり、且
つ、振幅が0Vとなる隣り合う時刻の中点の時刻を原点
として、振幅が時間の略偶関数であることを特徴として
もよい。
【0014】また、光導電型受光器の動作点を調整する
バイアス調整手段を更に備えることを特徴としてもよ
い。
【0015】また、光導電型受光器は、被測定光強度
が一定、印加電圧値を独立変数とした場合、印加電圧値
が0Vを含む所定の定義域において、光導電型受光器を
流れる電流量が印加電圧の略奇関数であるとともに、
印加電圧が一定、被測定光強度値を独立変数とした場
合、被測定光強度が所定の定義域において、光導電型受
光器を流れる電流量が照射信号強度の略線形関数である
ことを特徴としてもよい。ここで、光導電型受光器とし
て、整流性接合が反対向きに接続された構造を有する金
属−半導体−金属フォトディテクタが好適に使用でき
る。
【0016】
【作用】本発明の光信号計測装置では、まず、第1の信
号発生器が第1の周波数(=f)の成分を有する第1の
電気信号を発生する。発光部は、この第1の電気信号を
入力し、第1の電気信号に同期して周波数=fの強度変
調成分を有する強度変調光を発生する。
【0017】これと同時に第2の信号発生器が発生した
周波数=fと第2の周波数=Δfだけ異なる第3の周波
数=f+Δfまたはf−Δfを有する第2の電気信号が
信号供給部を介して光導電型受光器の信号供給端子に変
調電気信号として供給される。こうした変調電気信号の
態様としては、低出力インピーダンス状態で出力された
電圧信号が好適に使用される。以後、説明の簡単のた
め、代表的に第3の周波数=f+Δfとして説明を行
う。なお、第3の周波数=f−Δfとしても同様に作用
する。
【0018】発光部から出力された強度変調光は、所定
の光伝搬媒体(光ファイバ、空間等)を伝搬後、光導電
型受光器に入力する。一方、光導電型受光器は上記のよ
うに変調電気信号が供給されており、この状態で光信号
が受光部に入力されると変調電気信号がさらに変調を受
ける。この結果、光導電型受光器を流れる変調電流信号
は、強度変調光の強度変調周波数と変調電気信号の周波
数との和および差の値の周波数=(2f+Δf、Δf)
を有する成分を含む。変調電流信号に応じた第3の電気
信号は周波数選択透過器に入力し、周波数=Δfの成分
のみが選択され、第4の電気信号として出力される。こ
の第4の電気信号は強度変調光の受光部での受光時点で
の振幅と位相を反映している。
【0019】すなわち、本発明の光信号計測装置では、
受光した強度変調光の強度変調周波数の実質的な低減は
全て光導電型受光器で行い、電気的に取扱い易い周波数
領域の信号に変換後、電気的な増幅、検出などを施す。
【0020】一方、第1の電気信号と第2の電気信号と
は信号混合器で周波数混合がなされ、周波数=Δfの第
5の電気信号が生成される。この第5の電気信号は強度
変調光の発光部での発光時点での振幅と位相を反映して
いる。
【0021】第4の電気信号と第5の電気信号とはロッ
クインアンプ等の位相検波器に入力し、位相検波器で光
導電型受光器に入射した強度変調光の周波数=fの成分
の強度および位相の少なくともいずれか一方が解析され
る。
【0022】また、光導電型受光器が整流性接合が反対
向きに接続された構造を有する金属−半導体−金属フォ
トディテクタのような、被測定光強度が一定、印加電
圧値を独立変数とした場合、印加電圧値が0Vを含む所
定の定義域において、光導電型受光器を流れる電流量が
印加電圧の略奇関数であるとともに、印加電圧が一
定、被測定光強度値を独立変数とした場合、被測定光強
度が所定の定義域において、光導電型受光器を流れる電
流量が照射信号強度の略線形関数であるという性質を具
備するものであれば、光導電型受光器への供給電気信号
の非直流成分が周期的であり、時間平均値が略0であ
り、且つ、振幅が0となる隣り合う時刻の中点の時刻を
原点として、振幅が時間の略偶関数である電気信号を選
択するとともに、印加電気信号値のバイアスを調整すれ
ば、背景光の直流成分の除去がされるとともに、変調電
圧信号の周波数以外の交流的な背景光に対してもこれを
低減して測定が実施される。
【0023】なお、上記では光導電型受光器を低インピ
ーダンス駆動して、信号を電流として取り出す構成で作
用を説明したが、電流駆動して光導電型受光器の両端子
間の電圧を信号として取り出してもよいし、また、光導
電型受光器に抵抗器を直列に接続して抵抗器の両端間の
電圧を信号として取り出してもよい。
【0024】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施例
を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素に
は同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】図1は、本発明の光周波数混合装置の基本
構成図である。図1に示すように、この装置は、(a)
周波数=fの電気信号を発生する信号発生器210と、
(b)信号発生器210が出力した周波数=f(=5G
Hz)の電気信号を入力して、周波数=fの強度変調成
分を有する強度変調光を発生する発光部500と、
(c)所定の光伝搬媒体を経由した強度変調光を受光す
る光導電型受光器を備えた受光部100と、(d)受光
部100の光導電型受光器に変調周波数=f+Δf(=
5GHz+1kHz)を有する信号を供給する信号発生
器220と、(e)受光の結果、受光部100で発生し
た電流信号に応じた電圧信号を出力する変換増幅部30
0と、(f)変換増幅部部300から出力された電圧信
号の含む周波数=Δfの成分を選択する周波数選択器4
00と、(g)信号発生器210から出力された周波数
=fの電気信号と信号発生器220から出力された周波
数=f+Δfの電気信号とを入力し、周波数混合をして
周波数=Δfの信号を出力する信号混合器600と、
(h)周波数選択器400の出力信号と信号混合器60
0の出力信号とを入力して、信号混合器600の出力信
号を基準の参照信号として周波数選択器400の出力信
号を解析し、受光部100で受光した強度変調光の強度
または位相に関する情報を得て出力する位相検波器70
0とを備える。ここで、位相検波器としては、受光部1
00で受光した強度変調光の強度および位相に関する情
報を得ることのできるロックインアンプが好適に使用で
きる。
【0026】なお、信号発生器220から出力された信
号を、入力信号の位相を変化させる位相調整器を介して
受光部100へ供給する構成とすることも可能である。
【0027】また、図1では、発光部500として、
流れる電流値に応じた強度の光を発生するレーザダイオ
ード(LD)510と、コイルL11を介して直流成
分の電流をLD510に供給する可変直流電源VEと、
信号発生器210から入力した電気信号の交流成分を
LD510の直流駆動成分に重畳させるコンデンサC1
1とを備える構成を例示している。
【0028】なお、発光部はLDを電流制御するものに
限定されるものではなく、ランプ、気体レーザ、色素レ
ーザ、固体レーザ等が発生した光を光変調器を用いて強
度変調したものを採用可能である。この場合、光変調器
として、EO変調器、AO変調器、機械的なチョッパを
好適に使用できる。また、外部からの信号に同期して発
振するモード同期レーザを使用してもよいし、レーザ自
身の構成によって決まる周波数で発振するレーザを用い
て、信号発生器210の発生信号の周波数をレーザ発振
の周波数に合せてもよい。
【0029】本発明の光信号計測装置では、受光部10
0で受光した強度変調光の強度変調周波数=fと信号発
生器220が発生する交流信号の周波数=f+Δfとの
混合、すなわち双方の信号の積演算による周波数混合を
受光部100の光導電型受光器で実行する。そして、こ
の積演算の結果として得られる双方の信号の周波数の和
の周波数=2f+Δfの成分および差の周波数=Δf成
分から周波数=Δfの成分を周波数選択器400を使
い、選択して取り出す。こうして、周波数選択器400
から出力された信号は、受光部100での受光時点での
強度変調光の強度変調周波数=fの成分の強度と位相と
を反映している。
【0030】一方、信号発生器210から出力された周
波数=fの電気信号と信号発生器220から出力された
周波数=f+Δfの電気信号とは信号混合器600で混
合され、周波数=Δfの電気信号が生成される。こうし
て生成された周波数=Δfの電気信号は、発光部500
から出力された時点での強度変調光の強度変調周波数の
成分の強度と位相とを反映している。
【0031】周波数選択器400から出力された信号と
信号混合器600から出力された信号とは位相検波器7
00に入力する。位相検波器700では、周波数選択器
400から出力された信号の強度と信号混合器600か
ら出力された信号の強度を解析するとともに、周波数選
択器400から出力された信号と信号混合器600から
出力された信号との位相差を解析して、解析結果を出力
する。
【0032】以下、本発明の光信号計測装置の具体的な
受光部および信号変換部の実施例を説明する。
【0033】図2は、図1に基本構成を示した光信号計
測装置の受光部および信号変換部の実施例の構成図であ
る。図2に示すように、この装置は、(a)被測定光を
受光する光導電型受光器を備えた受光部110と、
(b)受光部110の光導電型受光器に変調周波数=f
+Δfを有する信号を供給する信号発生器220と、
(c)受光の結果、受光部110で発生した電流信号を
電圧信号に変換する電流電圧変換部310と、(d)電
流電圧変換部310から出力された電圧信号の含む所定
の周波数成分を通過させるバンドパスフィルタ(以後、
BPFとも呼ぶ)400と、を備える。
【0034】ここで、受光部110は、信号発生器2
20から出力された電気信号を入力し、低インピーダン
ス状態で電圧信号を出力する電圧印加部111と、電
圧印加部111が出力する電圧信号(VI )を入力する
電圧印加端子を有するともに、被測定光を受光する光導
電型受光器112と、背景光などの直流光入射に対し
て出力電流値がゼロとなるように光導電型受光器112
の動作を設定するバイアス調整部113と、これらの
要素を誘起的に接続する受動素子(L1,L2,C3)
と、を備える。そして、光導電型受光器112に生じた
電流は、チョークコイルL1,L2を介して流れる。
【0035】図3は、本実施例で採用可能な電圧印加部
の回路構成図である。図3(a)の回路は、信号発生器
220から出力された電圧信号をフローティング状態の
交流電圧信号とするにあたってコンデンサC1およびコ
ンデンサC2を信号ライン挿入したものである。図3
(b)の回路は、図3(a)の回路の信号極性を反転し
たものである。図3(c)の回路は、トランスT1で信
号発生器220から出力された電圧信号を入力した、フ
ローティング状態の交流電圧信号とするものである。な
お、本実施例の装置では、図3(a)の回路を使用し
た。
【0036】また、光導電型受光器112は、GaAs
を材料として用いた金属−半導体−金属(MSM)受光
器などで構成される。この光導電型受光器112は、照
射光量が一定、印加電圧値を独立変数とした場合、印加
電圧値が0Vを含む所定の定義域において、光導電型受
光器を流れる電流量が印加電圧の奇関数である、という
特性を有している。
【0037】一般の固体光検出器(フォトダイオード:
PD、アバランシェフォトダイオード:APD)は、空
乏層容量および空乏層中を走行するキャリアの走行時間
の広がりによって動作周波数の帯域が制限されている。
また、PMTのような電子管も、管内での電子の走行時
間の広がりによって動作周波数の帯域が制限されてい
る。そして、いずれも10GHzを越えるような動作周
波数の帯域が現在のところ得られていない。これに対
し、MSMの場合には電極間の容量が支配的であり、一
般に、この容量は空乏層容量に比較して充分小さな値の
設定が可能である。電極間容量は、電極間の端子間隔に
も依存するが、最適な端子間隔で作成することで、用意
に100GHzもの広い帯域で動作が可能となる。な
お、電極を櫛型にしたものが一般的である。
【0038】バイアス調整部113は、バイアス電圧値
を調整する可変抵抗VR1と、可変抵抗VR1の端子と
接続される、直列接続された直流電源E1,E2と、か
らなり、直流電源E1と直流電源E2との接続点は接地
電位に設定される。
【0039】また、電流電圧変換部310は、正入力端
子が接地され、負入力端子が出力端子と抵抗R1を介し
て接続された演算増幅器320から構成される。
【0040】図4は、採用可能なバンドパスフィルタの
回路構成図である。図4(a)は受動型のバンドパスフ
ィルタの回路構成例であり、図4(b)および図4
(c)は能動型のバンドパスフィルタの回路構成例であ
る。なお、本実施例では、図4(a)の受動型のバンド
パスフィルタを採用した。なお、各素子の特性値は、対
象とする周波数値によって決定される。また、位相検波
器600が電流入力が可能であれば、信号変換部300
とバンドパスフィルタ400とを省略して、位相検波器
700にコイルL2を介した信号を直接入力構成も可能
である。また、デジタルフィルタを使用することも可能
である。
【0041】本実施例の装置は、以下のようにして周波
数低減を実行する。なお、入射光は、強度が一定である
とする。
【0042】信号発生器220は周波数=f+Δfの成
分を有する交流信号を発生し、受光部110に供給す
る。受光部110では、信号発生器220から供給され
た交流信号を電圧印加部111を介して光導電型受光器
112の電圧印加端子に変調電圧信号を印加する。光導
電型受光器112の印加電圧信号として、周期的であ
り、時間平均値が略0Vであり、且つ、振幅が0Vとな
る隣り合う時刻の中点の時刻を原点として、振幅が時間
の偶関数である電圧信号が選択され、また、バイアス回
路の調整によって背景光のみの入射の状態で、光導電型
受光器112を流れる電流値(IB )が「0A」に設定
される。図5は、この状態に設定された光導電型受光器
112による変調特性の説明図である。図5に示すよう
に、印加電圧による変調にあたって「0V]が変調電圧
信号のバイアスの中心電圧値(VB )に設定される。こ
の結果、振幅が大きな変調電圧信号を使用しても、変調
出力の直線性が保証される。
【0043】この状態で、強度変調光(周波数=f)が
光導電型受光器112の受光領域に入力する。一方、光
導電型受光器112は上記のように変調電圧信号が印加
されているので、光検出信号は変調電圧信号で変調され
る。この結果、光導電型受光器112を流れる変調電流
信号は、ビート信号の周波数と変調電圧信号の周波数と
の和(2f+Δf)および差(Δf)の値の周波数を有
する成分を含む。この変調電流信号は、チョークコイル
L2を介して電流電圧変換部310に入力し、電圧信号
に変換されて出力される。電流電圧変換部310から出
力された、2つの周波数=(2f+Δf,Δf)の成分
の内、差周波数=Δfの成分のみがバンドパスフィルタ
400を通過する。
【0044】一般に、位相検波器の代表例であるロック
インアンプの動作周波数帯域は100kHz程度である
ので、周波数Δf=1kHzとした本実施例では、入手
が用意なロックインアンプを位相検波器700として採
用可能であり、精度の良い測定が可能である。なお、位
相検波器としては、ロックインアンプに限らず、交流信
号の振幅や位相が検出可能な装置であればよい。
【0045】また、上記実施例では、周波数f=5GH
z、周波数Δf=1kHzとしたが、周波数fは採用し
た光導電型受光器の動作周波数帯域内で選択すればよい
し、周波数Δfは採用した位相検波器の動作周波数帯域
内で選択すればよい。
【0046】本実施例の装置は、変形が可能である。図
6は、本実施例の装置の第1変形例の構成図である。こ
の装置は、上記の実施例の装置と電流電圧変換部の構成
のみが異なる。図6に示すように、この装置の電流電圧
変換部320は、光導電型受光器112で発生した電
流を流すことにより電流値を電圧値変換する抵抗R2
と、抵抗R2の両端に生じた電圧信号の直流分を除去
するコンデンサC4と、コンデンサC4を介して伝達
された交流信号を増幅する増幅回路321と、から構成
される。電流電圧変換部320は、実施例の電流電圧変
換部310と機能的には同一であるが、増幅回路で生じ
る1/fノイズを低減できる点で性能的に優れている。
【0047】図7は、本実施例の装置の第2変形例の構
成図である。この装置は、上記の第1変形例の装置とバ
イアス調整位置が異なる。図7に示すように、この装置
のバイアス調整点は、抵抗R2のコンデンサC4接続端
子とは異なる端子の位置である。この装置構成によって
も、実施例の装置と同一の機能を実現できる。
【0048】図8は、本発明の光信号計測装置の第1の
応用例である、散乱吸収体の内部情報の計測システムの
構成図である。図8に示すように、このシステムは、上
記の実施例の光信号計測装置の発光部500に替えて、
同一の強度変調周波数=fを有する複数の波長(λ1
…、λn;nは2以上の整数)の光を1つの光束として
出力する発光部550を使用し、更に、(a)発光部5
50が出力した強度変調光を導波して散乱吸収体901
へ向けて強度変調光を出射する光ファイバ860と、
(b)散乱吸収体901を伝搬した光を入射して、光信
号計測装置へ向けて導波する光ファイバ870と、
(c)処理部750の指示に従って、波長がλ1、…、
λnのいずれかの光を択一的に選択して透過出力する波
長フィルタ880と、(d)波長フィルタ880から出
力した光を受光部110の光導電型受光器112の受光
領域に集光する集光レンズ820と、(e)位相検波器
700から出力された信号を入力し、位相検波器700
での解析結果に基づいて、散乱吸収体901の内部の散
乱係数μsや吸収係数μaを求める処理部750とを備え
る。
【0049】ここで、発光部550は、流れる電流値
に応じた強度で波長λi (i=1、…、n)の光を発生
する発光器510i と、発光器510i から出力され
た光を集光する集光レンズ810i と、2つの光信号
を入力し、合波して出力する合波器520j (j=1、
…、n−1)と、コイルL11を介して直流成分の電
流を発光器510i に供給する可変直流電源VEと、
信号発生器210から入力した電気信号の交流成分を発
光器510i の直流駆動成分に重畳させるコンデンサC
11とを備える。
【0050】また、処理部750は、光拡散理論によ
って得られる理論式に、光強度変調周波数=f、波長フ
ィルタ880が選択出力した光の波長(=λi )を使用
した場合に、位相検波器700で解析された位相変化の
値を代入して、散乱係数μsや吸収係数μa を求める演
算処理器751と、演算処理器751の指示により、
演算処理器751が求めた散乱係数μs や吸収係数μa
などを表示する表示器752とを備える。
【0051】図8のシステムでは、以下のようにして、
散乱吸収体の内部情報を計測する。処理部750は、波
長フィルタ880に波長=λ1 の光の透過を指示する。
また、信号発生器220は周波数=f+Δfの信号を発
生し、出力された周波数=f+Δfの信号は、電圧印加
部111で低インピーダンスの電圧信号に変換され、光
導電型受光器112の電圧印加端子に供給される。
【0052】一方、発光部550が波長=λi の成分を
含む強度変調周波数=fを有する強度変調光を出力す
る。発光部500から出力された強度変調光は、光ファ
イバ860を介した後に散乱吸収体901に照射され
る。散乱吸収体901に入射した強度変調光は、散乱吸
収体901内を伝搬し、その一部が光ファイバ870に
入力し、光ファイバ870を介して波長フィルタ880
に入力する。波長フィルタ880では、波長=λ1 の光
が選択されて透過出力され、集光レンズ820を介し
て、受光部110の光導電型受光器112に入射する。
【0053】上記のように、光導電型受光器112には
周波数=f+Δfの電圧信号が印加されているので、光
導電型受光器112では周波数=(2f+Δf、Δf)
という2つの周波数成分を有する電流信号が発生する。
この電流信号は信号変換器310で電圧信号に変換され
た後、バンドパスフィルタ400で周波数=Δfの成分
が選択される。こうして選択された周波数=Δfの信号
が位相検波器700に入力する。
【0054】これと同時に、信号発生器210から出力
された周波数=fの電気信号と信号発生器220から出
力された周波数=f+Δfの電気信号とは信号混合器6
00で混合され、周波数=Δfを有する電気信号が生成
される。この周波数=Δfの信号が参照信号として位相
検波器700に入力する。なお、信号混合器600によ
り選択された周波数=Δfの信号は、発光部550から
出力された時点での強度変調光の波長=λ1 の成分の強
度と位相とを反映している。
【0055】位相検波器700は2種の周波数=Δfの
信号を入力し、これら2種の信号を比較して、参照信号
に対する光導電型受光器112が受光した強度変調周波
数=f1の成分の強度および位相を解析して、強度情報
および位相情報を処理部750へ向けて出力する。処理
部750の演算処理器751は、波長=λ1の成分の強
度情報および位相情報を入力し、データとして格納す
る。
【0056】次に、処理部750は、波長フィルタ88
0に波長=λk (k=2、…、n)の光の透過出力を順
次指示する。そして、波長フィルタ880に透過波長を
指定する度に、上記と同様に動作して、処理部750の
演算処理器751は、波長=λk の成分の強度情報およ
び位相情報を入力し、データとして格納する。
【0057】こうして、波長=λi についての強度情報
データおよび位相情報データを収集した後、演算処理部
751は収集データを光拡散理論によって得られる理論
式に代入して演算を実行し、散乱吸収対901の散乱係
数μs や吸収係数μa を求める。演算処理部751は、
演算実行後に散乱係数μs や吸収係数μa を表示器75
2に通知し、求めた散乱係数μs や吸収係数μa を表示
する。
【0058】以上の計測を時間経過とともに行うことに
より、散乱吸収体901の内部の散乱係数μs や吸収係
数μa の時間変化を計測することができる。
【0059】本応用例で使用する光信号計測装置につい
ては、上記の光信号計測装置の実施例における変形と同
様の変形が可能である。
【0060】また、被測定物である散乱吸収体901に
光を入射するにあたって、光ファイバ860の出射端と
散乱吸収体901との間に光学素子を配置することが可
能である。例えば、光ファイバ860の出射端と散乱
吸収体901との間に凸レンズや凹面鏡を配置して光を
散乱吸収体901の入射位置に集光したり入射光の平行
光化を行うことも可能であるし、光ファイバ860の
出射端と散乱吸収体901との間に光散乱体を配置して
拡散光を散乱吸収体901に入射することも可能である
し、また、光ファイバ860の出射端と散乱吸収体9
01との間に散乱吸収体901と略同一の屈折率を有す
る光学部材を配置して、散乱吸収体901の表面での反
射を低減することも可能である。
【0061】また、被測定物である散乱吸収体901に
光を入射するにあたって、光ファイバを用いずに、出射
光の進行方向の直線性が良い光源(例えば、レーザ光
源)から出射された光を直接、散乱吸収体901に照射
することも可能である。
【0062】更に、散乱吸収体901に接して、LED
やLDなどの微小光源を配置することも可能である。
【0063】なお、演算処理器での演算に使用する散乱
吸収体内部の光の伝搬モデルに付随した演算アルゴリズ
ムによっては、散乱吸収体への光入射位置は微小な一点
である必要はなく、適当な径あるいは適当な強度分布を
有する光を入射してもよい。
【0064】演算処理器の演算に使用される式としては
光拡散方程式が代表的であるが、光が散乱吸収体90
1の内部を散乱しながら伝搬して検出されるまでの実効
的な伝搬距離に依存して、吸収が生じる物理的な事実に
基づいて得られる式や、光が散乱吸収体901中を伝
搬する際の平均光路長と、検出される位相変化、振幅変
化、または変調度の変化との関係を表した式を使用して
もよい。
【0065】本応用例では、受光素子である光導電型受
光器を1つのみ用いたが、受光部に入射する光を波長分
光し、夫々の波長ごとに光導電型受光器を配置してもよ
い。但し、こうした場合には、各波長ごとに位相検波器
を用意するか、位相検波器に入力する信号をどの光導電
型受光器に由来するかを選択することが必要となる。
【0066】なお、被測定物である散乱吸収体として生
体、雲等に、本応用例または本応用例の変形の適用が可
能である。
【0067】図9は、本発明の光信号計測装置の第2の
応用例である、散乱吸収体の内部情報の計測システムの
構成図である。図9に示すように、このシステムでは、
周波数=fの信号を発生する信号発生器210と、
信号発生器210から出力された周波数=fの信号を入
力し、周波数=i・f(i=1、…、n;nは2以上の
整数)の成分を含む信号を出力する非線形素子231と
を備える発振部230が発光部500へ強度変調信号を
供給するとともに、周波数=f+Δfの信号を発生す
る信号発生器220と、信号発生器220から出力さ
れた周波数=f+Δfの信号を入力し、周波数=i・
(f+Δf)の成分を含む信号を出力する非線形素子2
41とを備える発振部240が受光部110へ変調信号
を供給する。ここで、非線形素子231、241は、入
力信号に歪を与えるものであればよく、インパルス状の
電気信号を得るコムジェネレータ、能動的な回路である
パルスジェネレータを好適に用いることができる。
【0068】また、このシステムは、発振部230の出
力信号と発振部240の出力信号とが信号混合器600
で混合された結果生じる周波数=i・Δf(i=1、
…、n)の各成分に応じて、周波数=i・Δfのいずれ
か1つの成分を透過するフィルタ710i と、位相検波
器700i とを備える。
【0069】更に、このシステムは、上記の光信号計測
装置に加えて、(a)発光部500が出力した強度変調
光を集光する集光レンズ810と、(b)集光レンズ8
10が集光した光を導波して散乱吸収体901へ向けて
強度変調光を出射する光ファイバ860と、(c)散乱
吸収体901を伝搬した光を入射して、光信号計測装置
へ向けて導波する光ファイバ870と、(d)光ファイ
バ870から出力した光を受光部100の光導電型受光
器110の受光領域に集光する集光レンズ820と、
(e)位相検波器700i から出力された信号を入力
し、位相検波器700での解析結果に基づいて、散乱吸
収体901の内部の散乱係数μs や吸収係数μa を求め
る処理部750とを備える。ここで、処理部750は、
光拡散理論によって得られる理論式に、光強度変調周
波数=f1 、…、fn を使用した場合に、位相検波器7
00で解析された位相変化の値を代入して、散乱係数μ
s や吸収係数μa を求める演算処理器761と、演算
処理器761の指示により、演算処理器761が求めた
散乱係数μs や吸収係数μa などを表示する表示器75
2とを備える。
【0070】図9のシステムでは、以下のようにして、
散乱吸収体の内部情報を計測する。
【0071】発振部240から出力された周波数=i・
(f+Δf)の成分を含む信号は、電圧印加部111で
低インピーダンスの電圧信号に変換され、光導電型受光
器112の電圧印加端子に供給される。
【0072】一方、発光部500に信号発生器230が
周波数=f1 、…、fn の各成分を有する光強度変調信
号入力し、この光強度変調信号に同期して、周波数=f
1 、…、fn の各成分を有する強度変調光を出力する。
発光部500から出力された強度変調光は、集光レンズ
810および光ファイバ860を順次介した後に散乱吸
収体901に照射される。散乱吸収体901に入射した
強度変調光は、散乱吸収体901内を伝搬し、その一部
が光ファイバ870し、光ファイバ870および集光レ
ンズ820を介して、受光部110の光導電型受光器1
12に入射する。
【0073】上記のように、光導電型受光器112には
周波数=i・(f+Δf)の電圧信号が印加されている
ので、光導電型受光器112では低周波数の成分として
周波数=i・Δfの成分を有する電流信号が発生する。
この電流信号は信号変換器310で電圧信号に変換され
た後、バンドパスフィルタ400で周波数=i・Δfの
成分が選択される。こうして選択された周波数=i・Δ
fの全ての成分を有する信号が位相検波器700i の全
てに入力する。
【0074】これと同時に、発振部230から出力され
た周波数=f1 、…、fn の電気信号と発振部240か
ら出力された周波数=i・(f+Δf)の全て成分の電
気信号とは信号混合器600で混合され、周波数=i・
Δfの成分を有する電気信号が生成される。こうして生
成された信号はフィルタ710i により夫々周波数=i
・Δfの成分が選択され、この周波数=i・Δfの信号
が参照信号として個別に位相検波器700i に入力す
る。なお、フィルタ710i により選択された周波数=
i・Δfの各成分信号は、発光部500から出力された
時点での強度変調光の強度変調周波数=i・fの成分の
強度と位相とを反映している。
【0075】各位相検波器700i は2種の周波数=i
・Δfの信号を入力し、これら2種の信号を比較して、
参照信号に対する光導電型受光器112が受光した強度
変調周波数=fi の成分の強度および位相を解析して、
強度情報および位相情報を処理部760へ向けて出力す
る。処理部760の演算処理器761は、強度変調周波
数=fi の各成分の強度情報および位相情報を入力し、
データとして格納する。
【0076】こうして、強度変調周波数=f1 、…、f
n についての強度情報データおよび位相情報データを収
集した後、演算処理部761は収集データを光拡散理論
によって得られる理論式に代入して演算を実行し、散乱
吸収体901の散乱係数μsや吸収係数μa を求める。
演算処理部761は、演算実行後に散乱係数μs や吸収
係数μa を表示器752に通知し、求めた散乱係数μs
や吸収係数μa を表示する。
【0077】以上の計測を時間経過とともに行うことに
より、散乱吸収体901の内部の散乱係数μs や吸収係
数μa の時間変化を計測することができる。
【0078】本応用例で使用する光信号計測装置につい
ては、上記の光信号計測装置の実施例における変形と同
様の変形が可能である。
【0079】また、第1の応用例と同様に、被測定物で
ある散乱吸収体901に光を入射するにあたっての変形
が可能である。
【0080】また、第1の応用例と同様に、演算処理器
の演算に使用される式としては光拡散方程式が代表的で
あるが、光が散乱吸収体901の内部を散乱しながら
伝搬して検出されるまでの実効的な伝搬距離に依存し
て、吸収が生じる物理的な事実に基づいて得られる式
や、光が散乱吸収体901中を伝搬する際の平均光路
長と、検出される位相変化、振幅変化、または変調度の
変化との関係を表した式を使用してもよい。
【0081】また、第1の応用例と同様に、本応用例に
おいては、本発明の光信号計測装置が1つである場合を
示したが、本発明の光信号計測装置を複数として複数の
方向から散乱吸収体への光入射を行うとともに、複数の
方向から出射される光を同時計測し、夫々の光信号計測
装置が夫々の位相変化および強度変化に基づいて、各方
向ごとの散乱係数や吸収係数を求めることも可能であ
る。これにより、散乱吸収体の内部の散乱係数や吸収係
数に関する断層像を得ることが可能になる。
【0082】図10は、本発明の光信号計測装置の第3
の応用例である、被測定物の変位を計測する変位計のシ
ステムの構成図である。図10に示すように、このシス
テムは、上記の実施例の光信号計測装置に加えて、
(a)発光部500が出力した強度変調光をコリメート
するコリメートレンズ830と、(b)被測定物903
で反射された強度変調光を受光部110の光導電型受光
器112の受光領域に集光する集光レンズ840とを備
えるとともに、処理部750に替えて、時間を隔てて求
めた位相情報に基づいて被測定物の変位を求める処理部
770を使用する。
【0083】処理部770は、位相検波器700で解
析された位相変化の値を時間を隔てて収集し、被測定物
903の変位量を求める演算処理器771と、演算処
理器771の指示により、演算処理器771が求めた変
位量などを表示する表示器752とを備える。
【0084】なお、本応用例の被測定物903には反射
鏡905が取り付けられており、効率良く照射光を受光
部110へ向けて反射する。また、効率良く照射光を反
射するにあたって、反射鏡に替えてコーナーキューブを
使用することも可能である。さらに、反射鏡やコーナー
キューブのような反射体を使用せずに、被測定物903
での照射光に由来する散乱光を検出することとしてもよ
い。
【0085】本応用例のシステムでは、以下のようにし
て、被測定物の変位を計測する。
【0086】発光部500のLD510から出力された
周波数=fの強度変調光がコリメートレンズ830でコ
リメートされた後、被測定物903へ向けて出射され
る。被測定物903に照射された強度変調光で反射鏡9
05に入射したものは、受光部110へ向けて反射され
る。この反射された強度変調光は、集光レンズ840で
光導電型受光器112の受光領域に集光される。
【0087】以後、上記の光信号計測装置の実施例と同
様に光信号計測装置が動作して、位相検波器700から
位相情報が出力される。
【0088】この状態で、演算処理器771は、まず、
時刻t1に位相情報を収集して格納する。次に、演算処
理器771は、時間Tを隔てた時刻t2(=t1+T)
に位相情報を収集して格納する。時刻t1における被測
定物903の位置と時刻t2における被測定物903の
位置とが光軸方向に関して異なっていれば、各時刻で収
集した位相情報が互いに異なり、この相違は時刻t1か
ら時刻t2にかけての被測定物903の光軸方向におけ
る変位を反映している。演算処理器771は、収集した
2つの位相情報に基づいて、2つの時刻における受光し
た強度変調光の位相差を求め、この位相差から被測定物
903の変位量を演算して求める。こうして得られた変
位量は表示器752に表示される。
【0089】本応用例では、更に、演算処理器771に
おいて変位量を時間Tで除算して被測定物903の変位
速度を求めることも可能である。
【0090】また、演算処理器771が更に時刻t3、
…、で位相情報を収集することにより、被測定物903
の変位の時間変化、更には、被測定物903の変位速度
の時間変化を計測することができる。
【0091】本応用例は、測距システムへの変形が可能
である。この場合には、既知の距離に被測定物を設置し
た場合の位相情報を演算処理器で予め収集して格納して
おく。その後、収集した位相情報と比較し、演算するこ
とにより測距を実行する。
【0092】本応用例では、強度変調周波数として1種
の周波数=(f)を使用したが、第1の応用例のように
複数の強度変調周波数=(fi ;i=1,…)を使用
し、光導電型受光器への電圧印加端子に供給する電圧信
号の周波数をfi +Δf;i=1,…の中から択一的に
選択することも可能である。着目する強度変調周波数に
よって検出可能な距離範囲が異なるが、着目する強度変
調周波数を変化させることにより広い距離範囲での測距
が可能となる。
【0093】本発明は、上記の実施例に限定されるもの
ではなく、変形が可能である。例えば、光導電型受光器
には、MSMと同様の電極構造を有し、エネルギ−バン
ドギャップに対応する波長よりも長波長に感度を有する
ものや、MSMの電極構造に加えて背面にショットキ接
触電極を設けて、基板(GaAs)のエネルギ−バンド
ギャップに対応する波長よりも長波長に感度を有するも
のを使用することが可能である。また、上記のGaAs
に代えて、InPやGaPが好適に使用できる。また、
光通信の長波長域の用途に関してはInGaAsなどの
混晶化合物半導体が使用できる。更に、応答周波数は制
限されるがPbS,CdS,CdSeなどの光導電型受
光器を使用することも可能である。
【0094】また、上記の実施例では、光導電型受光器
を低インピーダンス駆動して、信号を電流として取り出
す構成で作用を説明したが、電流駆動して光導電型受光
器の両端子間の電圧を信号として取り出してもよいし、
また、光導電型受光器に抵抗器を直列に接続して抵抗器
の両端間の電圧を信号として取り出してもよい。なお、
光導電型受光器の両端子間の電圧を信号として取り出す
場合には、電流電圧変換部は不要となる。
【0095】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明の光
信号計測装置によれば、受光素子に光導電型受光器を採
用し、光信号の入射の場合の強度変調周波数の低減を実
施する光検出信号の変調をこの光導電型受光器で行うこ
ととしたので、部品点数を減らしつつ広い周波数測定範
囲に渡って周波数混合による強度変調周波数の低減動作
を実行し、後段の電気回路にとって取扱い易い周波数成
分の電気信号を供給することができる。
【0096】更に、光導電型受光器として、金属−半導
体−金属ホトディテクタ(MSM)などの照射光量が一
定で印加電圧値を独立変数とした場合、印加電圧値が0
Vを含む所定の定義域において、光導電型受光器を流れ
る電流量が印加電圧の略奇関数であるとともに、印加電
圧が一定で照射光量値を独立変数とした場合、照射光量
が所定の定義域において、前記光導電型受光器を流れる
電流量が照射光量の略線形関数であるものを採用し、光
導電型受光器に印加される電圧信号として、周期的であ
り、時間平均値が略0であり、且つ、振幅が0となる隣
り合う時刻の中点の時刻を原点として、振幅が時間の偶
関数である電圧信号を採用したので、背景光の影響を低
減でき、精度良く周波数混合を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光信号計測装置の基本構成図である。
【図2】本発明の光信号計測装置の実施例の構成図であ
る。
【図3】実施例の光信号計測装置で採用可能な電圧印加
部の回路構成図である。
【図4】実施例の光信号計測装置で採用可能なバンドパ
スフィルタの回路構成図である。
【図5】実施例の光信号計測装置での変調特性の説明図
である。
【図6】実施例の光信号計測装置の第1変形例の構成図
である。
【図7】実施例の光信号計測装置の第2変形例の構成図
である。
【図8】本発明の光信号計測装置の第1の応用例のシス
テムの構成図である。
【図9】本発明の光信号計測装置の第2の応用例のシス
テムの構成図である。
【図10】本発明の光信号計測装置の第3の応用例のシ
ステムの構成図である。
【図11】光信号計測装置の従来例1の構成図である。
【図12】光信号計測装置の従来例2の構成図である。
【図13】従来例2の変調特性の説明図である。
【符号の説明】
100,110,120,130…受光部、111…電
圧印加部、112,132…光導電型受光器、113…
バイアス調整部、131…定電流駆動回路、135…演
算増幅器、136…差動増幅器、210,220…信号
発生器、230,240…発振部、300…変換増幅部
部、310,320…電流電圧変換部、330…差動増
幅器、400…周波数選択器、410…バンドパスフィ
ルタ、500,550…発光部、510…レーザダイオ
ード、511,512,513…発光器、600…信号
混合器、700…位相検波器、710…フィルタ、75
0,760,770…処理部、751,761,771
…演算処理器、752…表示器、810,820,83
0,840…レンズ、860,870…光ファイバ、8
80…波長フィルタ、910…受光器、930,950
…バンドパスフィルタ、940…混合器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−279732(JP,A) 特開 昭59−1256(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 1/00 - 1/02 G01J 1/42 - 1/46 G01D 5/26 G01R 15/07 G01R 23/14 G01R 33/032 G01L 1/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の周波数の成分を有する第1の電気
    信号を発生する第1の信号発生器と、 前記第1の電気信号に同期するとともに、前記第1の周
    波数の強度変調成分を有する強度変調光を発生する発光
    部と、 前記第1の周波数と第2の周波数だけ異なる第3の周波
    数の成分を有する第2の電気信号を発生する第2の信号
    発生器と、 前記第2の電気信号を入力し、前記第2の電気信号の時
    間変化を反映した電圧信号に変換して出力する電圧信号
    供給部と、 前記の電圧信号供給部から出力される電圧信号を入力す
    る電圧信号印加端子を有するとともに、前記発光部から
    出力され、所定の光伝搬媒体を伝搬した前記強度変調光
    を受光する光導電型受光器と、 前記光導電型受光器を介して流れる電流信号に応じた第
    3の電気信号を入力し、前記第2の周波数と略同一の周
    波数の成分である第4の電気信号を選択して出力する周
    波数選択器と、 前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とを入力し、
    前記第2の周波数を有するとともに、前記第1の電気信
    号の位相および振幅の少なくとも一方の情報を有する第
    5の電気信号を発生する信号混合器と、 前記第4の電気信号と前記第5の電気信号とを入力し、
    前記光導電型受光器に入射した前記強度変調光の前記第
    1の周波数の成分の強度および位相の少なくともいずれ
    か一方を解析する位相検波器と、 を備えることを特徴とする光信号計測装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の電気信号の位相を変化させる
    位相調整器を更に備える、ことを特徴とする請求項1記
    載の光信号計測装置。
  3. 【請求項3】 前記光導電型受光器に印加される電圧信
    号は、周期的であり、時間平均値が略0Vであり、且
    つ、振幅が0Vとなる隣り合う時刻の中点の時刻を原点
    として、振幅が時間の略偶関数であることを特徴とする
    請求項1記載の光信号計測装置。
  4. 【請求項4】 前記光導電型受光器の動作点を調整する
    バイアス調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求
    項1記載の光信号計測装置。
  5. 【請求項5】 前記光導電型受光器は、 被測定光強度が一定、印加電圧値を独立変数とした場
    合、印加電圧値が0Vを含む所定の定義域において、前
    記光導電型受光器を流れる電流量が印加電圧の略奇関数
    であるとともに、 印加電圧が一定、被測定光強度値を独立変数とした場
    合、被測定光強度が所定の定義域において、前記光導電
    型受光器を流れる電流量が照射信号強度の略線形関数で
    ある、 ことを特徴とする請求項1記載の光信号計測装置。
  6. 【請求項6】 前記光導電型受光器は、整流性接合が反
    対向きに接続された構造を有する金属−半導体−金属フ
    ォトディテクタである、ことを特徴とする請求項5記載
    の光信号計測装置。
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