JP3432257B2 - 熱電発電素子の製造方法 - Google Patents

熱電発電素子の製造方法

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JP3432257B2
JP3432257B2 JP28413493A JP28413493A JP3432257B2 JP 3432257 B2 JP3432257 B2 JP 3432257B2 JP 28413493 A JP28413493 A JP 28413493A JP 28413493 A JP28413493 A JP 28413493A JP 3432257 B2 JP3432257 B2 JP 3432257B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電材料を用いた熱電
型発電素子の製造方法に関し、とくに基板の微細加工技
術と熱電材料のメッキ技術を組み合わせた発電素子の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電対はその両端に温度差を与えること
で、電圧を発生する。この電圧を電気エネルギーとして
利用しようとするのが熱電発電である。
【0003】熱電発電は熱エネルギーを直接電気エネル
ギーに変換できる方法として、廃熱の利用などを含め、
熱エネルギーの有効な利用法として非常に注目されてい
る。
【0004】さらに、構造が簡単なため他の発電機に比
べて微小化に有利なことや、さらには酸化還元電池のよ
うに消耗せず、電解液の漏洩の問題もないことから、腕
時計のような携帯用電子機器への応用が注目されてい
る。
【0005】熱電発電素子の一般的構造を図5の斜視図
に示す。全体として板状の構造を持つ熱発電素子の中
は、p型およびn型の熱電材料を用いた熱電対70が数
多く並べられ直列に接続されている。
【0006】熱電対70の温接点71および冷接点72
は、板状の熱発電素子の表と裏の部分に位置しており、
表裏の温度差によって発電がなされることになる。
【0007】ところで、多くの研究が行われ性能指数も
高いBiTe系のものでも、現状での出力電圧は、1対
あたり400μV/℃ほどである。
【0008】携帯用電子機器への応用を考えると、使用
は室温近辺であるため、あまり温度差は期待できない。
すなわち、仮に5℃の温度差が得られたとしても1Vの
電圧を得るためには、500対の熱電対が必要である。
【0009】発電素子を大型化すれば問題はないが、5
00対の熱電対をボタン電池ほどの大きさ、たとえば1
cm角の中に集積化することは非常に難しい問題であ
る。
【0010】現在熱電発電に用いる熱電材料は、焼結法
により作製したものが主である。これを熱電対として一
本ずつ切断加工し、接合して行く方法もあるが、さらに
進んだ方法としては、たとえば特開昭63−20880
号公報に開示されている製造方法がある。
【0011】この公報に記載の製造方法は、p型および
n型の焼結材料の薄板を作成し、絶縁材料を用いて張り
合わせ、さらに薄く切断加工し、溝を入れて行くという
方法である。
【0012】これらの方法は機械加工に頼るものであ
り、その微小領域での加工には限りがある。さらに、焼
結の熱電材料は非常に脆いものが多いため、切断のみな
らず切断後の取扱いも非常に注意が必要であり、作製歩
留まりはおのずと低下してしまう。
【0013】これらから、機械加工を用いた従来法で
は、せいぜい厚さおよび幅寸法などで1mmほどの材料
を扱うのが常識的な限界と考えられ、1cm角に素子と
して作り込んだとしてもその対数は50対にしかならな
い。
【0014】また別な方法として、真空蒸着法などの被
膜形成技術を用いて、薄膜として熱電材料を作製し、そ
れをエッチング法で微細化して小さな熱電対を作って行
く方法も考えられる。
【0015】確かにこの方法では小さな対を作ることは
容易であるが、平面状に並べるだけであるから結局は多
くの対を集積化するのは難しく、また温接点と冷接点の
配置が難しい。またさらに薄膜であるが故に、抵抗値が
高くなり電流値が下がり効率が低下する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の機
械加工法、あるいは真空蒸着膜をエッチングする方法は
ともに、微小な領域に多くの熱電対を集積化して作り込
み熱電発電素子を作製するのは難しい。つまり従来の製
造方法では対数が増やせないため、充分な出力を有した
小さな発電素子を作り上げることは不可能である。
【0017】そこで本発明の目的は上記の問題を解決
し、小さくとも発電機として充分な出力が得られる熱電
発電素子を作製するため、微小領域に多数の熱電対を集
積化することができる、たとえば1cm角の中に500
以上の対が形成できる熱電発電素子の製造方法を提供す
ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明においては、下記に記載した製造方法を採用す
る。
【0019】本発明の熱電発電素子の製造方法は、基板
の基板おもて面から基板裏面まで貫通する第1の孔をエ
ッチングにより形成する工程と、基板裏面に形成した第
1の金属膜電極を用いて第1の孔を満たすように第1の
熱電材料からなる第1の熱電体をメッキ法により形成す
る工程と、第1の孔と交互に並び基板全体としては第1
の孔とマトリクス状に配列するよう基板裏面から基板お
もて面まで貫通する第2の孔をエッチングにより形成す
る工程と、基板おもて面に形成した第2の金属膜電極を
用いて第2の孔を満たすように第2の熱電材料からなる
第2の熱電体をメッキ法により形成する工程と、第2の
金属膜電極をパターニングすることで相隣る第1の熱電
体と第2の熱電体とを接続して温接点を形成すると共に
多数の熱電対を作製し、新しく基板裏面に形成した第3
の金属膜電極をパターニングすることにより冷接点を形
成してすべての熱電対を直列に接続したのち、基板裏面
には金属板からなる基台をすべての熱電対の冷接点と接
触するように張り付ける工程とを有することを特徴とす
る。
【0020】本発明の熱電発電素子の製造方法は、基板
の裏面に各々が交互に配列した第1の金属膜電極および
第2の金属膜電極を形成する工程と、基板おもて面から
基板裏面まで貫通するメッキ孔をエッチングにより形成
する工程と、第1の金属膜電極を用いてメッキ孔の中で
半数のメッキ孔を満たすように第1の熱電材料からなる
第1の熱電体をメッキ法により形成する工程と、第2の
金属膜電極を用いて第1の熱電体と交互に並び基板全体
としては第1の熱電体とマトリクス状に配列するよう残
りの半数のメッキ孔を満たすように第2の熱電材料から
なる第2の熱電体をメッキ法により形成する工程と、新
しく基板おもて面および基板裏面に形成した金属膜をパ
ターニングし、相隣る第1の熱電体と第2の熱電体とを
接続して基板おもて面に温接点および基板裏面には冷接
点を形成することですべての熱電対を直列に接続した
後、基板裏面には金属板からなる基台をすべての熱電対
の冷接点と接触するように張り付ける工程とを有するこ
とを特徴とする。
【0021】
【実施例】以下図面を用いて本発明の実施例における熱
電発電素子の製造方法を詳しく説明する。
【0022】
【実施例1】本発明の第1の実施例を図1(a)〜
(h)を用いて説明する。図1は、本発明の熱電発電素
子の製造方法の要部断面図である。
【0023】作製には(100)配向の約200μmの
厚さを持ち、両面研磨された低ドープシリコンウエハー
を基板10として用いる。
【0024】まず図1(a)に示すように、基板おもて
面11に、約500nmの膜厚を有する金(Au)膜を
真空蒸着法により形成する。その後、フォトレジストを
用いて、金膜上の全面に方形のパターンを、所定の大き
さと間隔をもって多数形成する。
【0025】このフォトレジストパターン(図示せず)
をエッチングのマスクとして利用して、図1(a)に示
したように金膜をエッチングし、フォトレジストと同じ
パターン形状の第1のマスク20を作製する。
【0026】このとき第1のマスク20を形成するため
の金膜のエッチングには、ヨウ素とヨウ化カリウムの混
合水溶液(今後、ヨウ素ヨウ化カリ液と記す)をエッチ
ャントとして用いる。その後、フォトレジストは専用の
剥離液で剥離除去する。
【0027】さらに引き続き基板裏面12にも約500
nmの膜厚の金膜を真空蒸着法により形成し、第1の金
属膜電極30を作製する。また第1の金属膜電極30の
上には、保護のためのテフロン系の高分子膜(図示せ
ず)をスピンコーティング法により形成しておく。
【0028】作製した第1のマスク20はエッチング用
のマスクとして用い、図1(b)に示すように、基板1
0の露出した部分のシリコンウエハーをエッチング法に
より取り除き、第1の孔40を形成する。
【0029】基板10のエッチングには水酸化カリウム
(KOH)水溶液、あるいはヒドラジン系水溶液などの
強アルカリ水溶液を用てエッチングする、いわゆる異方
性エッチング法を採用している。
【0030】基板10として(100)配向のシリコン
ウエハーを用いると、エッチング断面には(111)面
が現れて、断面形状は直線的にエッチングされ、その角
度は常に約54゜であり再現性がよい。
【0031】エッチングは基板10を貫通するまで、つ
まりは基板裏面12の金膜の第1の金属膜電極30が現
れるまで行う。この場合、金膜はエッチャントに不溶で
あるため基板裏面12に残る。
【0032】つづいて、図1(c)に示すように第1の
孔40の中にメッキ法を用いて第1の熱電材料により満
たし、第1の熱電体50を作製する。
【0033】第1の熱電体50はn型半導体であるBi
TeSe合金を材料として用いる。電解液としては、B
i(NO3 )、TeO2 、SeO2 を含む酸性溶液を用
いている。
【0034】基板裏面12の第1の金属膜電極30をカ
ソードとし、アノードにはPt板を用いて両電極間に一
定電圧を印加する。0.5V近辺の電圧印加でBiTe
Se合金が第1の金属膜電極30上に析出される。
【0035】この場合、第1の金属膜電極30の外面は
先に述べたように高分子膜で保護されているため、Bi
TeSe合金は第1の孔40の中にのみ析出し第1の熱
電体50とすることができる。
【0036】また、シリコンウエハーは露出しているが
不純物ドープ量が低いものを用いているため、金膜と比
べてはるかに抵抗値は高く、漏洩電流は流れない。
【0037】メッキ法において、析出量は電解時の消費
電流から計算される電荷量で決まるため、電荷量の測定
によって毎回、第1の孔40の深さ分だけの析出で停止
させることは容易である。
【0038】また、電解液中のBi、Te、Seのイオ
ン濃度、あるいは印加電圧を変えることで、合金組成は
変化させることができ、これらの条件設定によって必要
な出力電圧あるいは抵抗値の材料を選択する。
【0039】そして第1の熱電体50を形成するための
メッキ終了後、高分子膜はトルエンなどの有機溶媒によ
って剥離除去する。
【0040】つぎに図1(d)に示すように、基板おも
て面11には新たに金膜を真空蒸着法で500nmの膜
厚で形成し、第2の金属膜電極21とする。
【0041】この場合、第1のマスク20として使用し
た金膜は、あらかじめヨウ素ヨウ化カリ液にてエッチン
グ除去しておくが、残しておいても問題はない。またこ
こでも第2の金属膜電極21の上面には保護のためのテ
フロン系の高分子膜(図示せず)をスピンコート法によ
り形成しておく。
【0042】そして、基板裏面12にある第1の金属膜
電極30は、第1のマスク20の作製で述べたように、
フォトレジストをエッチング用のマスクとして使用し、
ヨウ素ヨウ化カリ液を用いたエッチング法により所定の
形状にパターン化し、第2のマスク31を形成する。
【0043】第2のマスク31は、やはり残存している
基板10のシリコンウエハーのエッチング用マスクとし
て使用し、第1の孔40を形成する場合と同じ方法によ
り、図1(e)に示したような第2の孔41を形成す
る。
【0044】すなわちKOH水溶液、あるいはヒドラジ
ン系水溶液など強アルカリ水溶液を用いてエッチングす
る、いわゆる異方性エッチング法を採用し、基板10を
貫通するまで、つまりは基板おもて面11の金膜の第2
の金属膜電極21が現れるまでエッチングを行う。
【0045】この場合、第2のマスク31は先に述べた
パターニングの過程において、第2のマスク31が接し
ている第1の熱電体50の大きさよりも多少広く形成し
ている。このため、第2の孔41と第1の熱電体50と
の間には、若干の基板10材料のシリコン層が残ってお
り、両者は空間的に連続された部分はない。
【0046】このシリコン層を残すのは、後で説明する
工程で、第2の孔41の中に形成される第2の熱電体5
1と第1の熱電体50とが接触して、電気的に短絡する
のを防ぐためである。
【0047】つづいて図1(f)に示すように、第2の
孔41の中にもメッキ法を用い第2の熱電材料により満
たし、第2の熱電体51を作製する。
【0048】すでに作製されている第1の熱電体50、
およびこの第2の熱電体51によって素子中の熱電対が
構成される。
【0049】第2の熱電体51としては、p型半導体で
あるBiSbTe合金を材料として用いる。そして、電
解液としては、Bi(NO3 )、SbCl3 、TeO2
を含む酸性溶液を用いる。
【0050】第1の熱電体50を作製するときと同様
に、今度は基板おもて面11に形成してある第2の金属
膜電極21をカソードとし、アノードにはPt板を用い
て両電極間に一定電圧を印加する。0.5V近辺の電圧
印加でBiSbTe合金が第2の金属膜電極21上に析
出され第2の熱電体51が作製される。
【0051】第2の金属膜電極21の外面は先に述べた
ように高分子膜でおおわれているため、第2の熱電体5
1は第2の孔41中にのみ析出し、やはり基板10の厚
さ分だけ析出させるよう、反応電荷量で制御する。
【0052】また、析出物の電気特性は、メッキ浴組
成、電解電圧などを変えることで制御する。そしてメッ
キ処理後、高分子膜はトルエンなどの有機溶媒によって
剥離除去する。
【0053】さらに新たに基板裏面12には、金膜を5
00nmの膜厚で真空蒸着法により形成し、第3の金属
膜電極32を作製する。第2のマスク31はエッチング
により溶解し、その後真空蒸着を行うが、残しておいて
も問題はない。
【0054】そして、この基板裏面12の第3の金属膜
電極32、および基板おもて面11の第2の金属膜電極
21は、フォトレジストをエッチング用のマスクとして
使用し、ヨウ素ヨウ化カリ液を用いたエッチング法によ
りパターン化し、図1(g)に示すような、第1の熱電
体50および第2の熱電体51を交互に直列に接続する
電極とする。
【0055】図1においては横方向の断面図が示されて
いるが、実際の素子は方形をしており、縦方向において
は方形の辺に最も近い熱電体同士がやはり第1の金属膜
電極30あるいは第2の金属膜電極21で接続され、全
体としてすべての熱電体が直列に接続されているように
する。
【0056】そして直列に接続された熱電体の両端に位
置する金属膜電極は、出力を外部に取り出すための引き
出し用電極とする。その金属膜電極形状の一例を素子の
平面図である図2に示す。ちなみに図2に示した素子の
熱電対70は22対である。
【0057】最後に工程初期の基板10とほぼ同じ大き
さか、あるいはやや大きめの寸法を有する基台60を第
3の金属膜電極32に接着する。
【0058】基台60は熱電導が良好なものとして、銅
板、アルミニウム板、ステンレス板など金属製のものを
用いる。
【0059】この場合、第3の金属膜電極32が短絡し
てしまわないように、基台60の表面を酸化させるか、
あるいは絶縁物を基台60または第3の金属膜電極32
にコーティングするか、あるいは絶縁性の接着剤を用い
ることなどにより、必ず第3の金属膜電極32と基台6
0との間に絶縁膜61が介在するようにする。
【0060】さらに必要に応じて、残っている基板10
材料をエッチングにより溶解する。この処理により、全
体の熱伝導率を低下させることもできる。
【0061】上記の方法で作製する素子の一つとして、
台形をしたそれぞれの熱電体の底面の寸法が330μm
角であるものを作製するとする。このとき、台形の上面
寸法はおおよそ50μm角となる。
【0062】そして、第1の熱電体50と第2の熱電体
51間のスペース寸法を25μmとすると、1cm角の
基板内に横方向に23対の熱電対70が縦方向に28対
形成され、全体として644対が得られる。この素子は
裏表に5℃の温度差を与えることで1.2Vの出力が得
られる。
【0063】
【実施例2】本発明の第2の実施例における熱電発電素
子の製造方法を、図3および図4を用いて説明する。図
3(a)〜(g)は、本発明における第2の実施例の熱
電発電素子の製造方法を示す要部断面図であり、図4
は、本発明における第2の実施例の基板裏面12に形成
したメッキ用金属電極を示す平面図である。
【0064】作製には(100)配向の約200μmの
厚さを持ち、両面研磨された低ドープシリコンウエハー
を基板10として用いる。
【0065】まず図3(a)に示すように、基板おもて
面11に、約500nmの膜厚の金膜を真空蒸着法によ
り形成する。その後、フォトレジストをエッチング用の
マスク膜として用いて、金膜上の全面に方形のパターン
を、所定の大きさと間隔をもって多数形成する。
【0066】そしてこのフォトレジストパターンを利用
し、図3(a)に示したように金膜をヨウ素とヨウ化カ
リウムの混合水溶液(今後、ヨウ素ヨウ化カリ液と記
す)でエッチングし、フォトレジストと同じパターン形
状の第1のマスク20を作製する。その後、フォトレジ
ストは専用の剥離液で剥離除去する。
【0067】つぎに図3(b)に示すように、基板裏面
12にも同様に。約500nmの膜厚の金膜を真空蒸着
法により形成する。この金膜もフォトレジストおよびヨ
ウ素ヨウ化カリ液を用いた方法で、図3(b)および図
4に示したように2つの部分にエッチングパターン化
し、第1の金属膜電極30および第2の金属膜電極21
を形成する。
【0068】この第1の金属膜電極30と第2の金属膜
電極21とはそれぞれパッド部33を有し、両者のパッ
ド部33は交互に配列する。
【0069】またパッド部33の数および位置は、先に
説明した第1のマスク20で形成した方形パターンの数
および位置に一致している。
【0070】さらにこの後、基板裏面12の全面には、
保護のためのテフロン系の高分子膜(図示せず)をスピ
ンコート法により形成しておく。
【0071】先に作製した第1のマスク20はエッチン
グ用マスクとして用い、図3(c)に示すように、基板
10の露出した部分のシリコンをエッチング法により取
り除き、メッキ孔42を形成する。
【0072】この基板10のエッチングは実施例1と同
様にKOH水溶液、あるいはヒドラジン系水溶液などの
強アルカリ水溶液を利用する異方性エッチングを適用す
る。
【0073】基板10のエッチングは、図3(c)に示
すように、基板10を貫通し、基板裏面12の第1の金
属膜電極30および第2の金属膜電極21が露出するま
で行う。
【0074】つぎに図3(d)に示すように、メッキ孔
42の半数に相当する基板裏面12の第1の金属膜電極
30が露出しているメッキ孔42の中を、メッキ法を用
いて第1の熱電材料により満たし、第1の熱電体50を
作製する。
【0075】第1の熱電体50はn型半導体であるBi
TeSe合金を材料として用いる。そして電解液として
は、Bi(NO3 )、TeO2 、SeO2 を含む酸性溶
液を用いる。
【0076】基板裏面12の第1の金属膜電極30をカ
ソードとし、アノードにはPt板を用いて両電極間に一
定電圧を印加する。0.5V近辺の電圧印加でBiTe
Se合金が第1の金属膜電極30上に析出される。
【0077】この場合、第1の金属膜電極30の外面は
高分子膜であらかじめ覆ってあるため、BiTeSe合
金はメッキ孔42の中にのみ析出し、第1の熱電体50
とすることができる。
【0078】また、基板10のシリコンウエハーは露出
しているが不純物ドープ量が低いものを用いているた
め、金膜と比べてはるかに抵抗値は高く漏洩電流は流れ
ない。
【0079】電解液中のBi、Te、Seのイオン濃
度、あるいは印加電圧を変えることで第1の熱電体50
の合金組成は変化させることができ、これらの条件設定
によって必要な出力電圧、あるいは抵抗値の材料を選択
できる。
【0080】つづいて図3(e)に示すように、残りの
メッキ孔42、つまり基板裏面12の第2の金属膜電極
21が露出しているメッキ孔42の中も、メッキ法を用
い第2の熱電材料により満たし、第2の熱電体51を作
製する。
【0081】すでに作製されている第1の熱電体50、
およびこの第2の熱電体51は交互に形成され、全体と
してはマトリックス状に形成され、熱電対が構成され
る。
【0082】第2の熱電体51はp型半導体であるBi
SbTe合金を材料として用いる。そして、電解液とし
ては、Bi(NO3 )、SbCl3 、TeO2 を含む酸
性溶液を用いる。
【0083】第1の熱電体50を作製するときと同様
に、今度は基板裏面12の第2の金属膜電極21をカソ
ードとし、アノードにはPt板を用いて両電極間に一定
電圧を印加する。0.5V近辺の電圧印加でBiSbT
e合金が第2の金属膜電極21上に析出し、第2の熱電
体51を作製することができる。
【0084】ここで第2の熱電体51は、基板10の厚
さ分だけ析出させるように反応電荷量で制御し、また析
出物の電気特性は、メッキ浴組成、電解電圧などを変え
ることで制御できる。
【0085】この第1の熱電体50と第2の熱電体51
とのメッキ工程の後、保護用の高分子膜はトルエンなど
の有機溶剤を用いて剥離除去する。
【0086】さらに図3(f)に示すように、新たに基
板おもて面11および基板裏面12には、金膜を500
nmの膜厚で真空蒸着法により形成する。
【0087】その後、フォトレジストをエッチング用の
マスクとして使用し、ヨウ素ヨウ化カリ液を用いたエッ
チング法により、それぞれ金膜をパターン化し、図3
(f)に示したように隣り合う第1の熱電体50と第2
の熱電体51とを接続し、基板おもて面11では温接点
71を形成し、基板裏面12では冷接点72をそれぞれ
形成する。
【0088】そしてそれぞれの温接点71と冷接点72
とは、基板内のすべての熱電体において接続を行い、す
べての熱電体が直列に接続されるようにする。
【0089】ここで、第1のマスク20、第1の金属膜
電極30、および第2の金属膜電極21は真空蒸着に先
立ち溶解しておくが、残しておいても問題はない。
【0090】最後に工程初期の基板10とほぼ同じ大き
さか、あるいはやや大きめの寸法の基台60を冷接点7
2に接着する。
【0091】基台60は熱電導が良好なものとして、銅
板、アルミニウム板、ステンレス板など金属製のものを
用いる。
【0092】この場合、冷接点72が短絡してしまわな
いように基台60の表面を酸化させるか、あるいは絶縁
物を基台60または冷接点72にコーティングするか、
あるいは絶縁性の接着剤を用いることなどにより、必ず
冷接点72と基台60との間に絶縁膜61が介在するよ
うにする。
【0093】さらに必要に応じて、残っている基板10
材料をエッチングにより溶解する。この処理により、全
体の熱伝導率を低下させることもできる。
【0094】上記の方法で作製する素子の一つとして、
台形をしたそれぞれの熱電体の底面寸法が300μm角
であるものを作製するとする。このとき、台形の上面寸
法はおおよそ27μm角となる。
【0095】そして、第1の熱電体50と第2の熱電体
51間のスペース寸法を10μmとすると、1cm角の
基板内に横方向に16対の熱電対70が縦方向に32対
形成され、全体として512対が得られる。この素子は
裏表に5℃の温度差を与えることで1Vの出力が得られ
る。
【0096】以上、実施例1および実施例2においては
基板10材料として(100)配向のシリコンウエハー
を用いたが、(110)配向のシリコンウエハーを用い
ることもできる。
【0097】また、基板10材料としてシリコンウエハ
ーの代わりに、感光性セラミックスを用いることも可能
である。
【0098】さらに、電極材料やマスク材料として金膜
のかわりにチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミ
ニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)などを用いる
ことが可能である。エッチング用のマスクとしてのみ用
いるのであれば、SiO2 膜あるいはSi34 膜も用
いることができる。
【0099】そしてこれらの被膜の形成法も真空蒸着法
のみならず、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、CVD法なども適用できる。さらに、熱電体として
は、メッキ可能な公知の材料がいずれも利用可能であ
る。
【0100】
【発明の効果】以上の説明からより明らかなように、本
発明によれば、フォトリソグラフィーとエッチング技術
による基板の微細加工と熱電材料のメッキ形成という方
法を組み合わせるという新しい方法で、狭い領域に微細
な熱電対を多数形成することが可能となる。
【0101】この製造方法は、充分な出力を有した微小
な熱電発電素子を作製するに有効であり、作製された熱
電発電素子は従来以上の集積密度と出力密度を持つもの
である。この方法で熱電発電素子を微小化して行くこと
で、従来実用化できなかった腕時計などの携帯用電子機
器へ温度差発電を利用できる可能性が生まれる。さらに
この製造方法は温度差発電のみならず、小型の熱電冷却
あるいは熱電加熱装置などの新しい製造方法として応用
が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における熱電発電素子の
製造方法を示した要部断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例における熱電発電素子の
製造方法により作製した熱電発電素子を示す平面図であ
る。
【図3】本発明の第2の実施例における熱電発電素子の
製造方法を示した要部断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例における熱電発電素子の
製造方法により作製した基板裏面に形成したメッキ用の
金属膜電極を示す平面図である。
【図5】熱電発電素子の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 基板 11 基板おもて面 12 基板裏面 20 第1のマスク 21 第2の金属膜電極 30 第1の金属膜電極 31 第2のマスク 32 第3の金属膜電極 40 第1の孔 41 第2の孔 42 メッキ孔 50 第1の熱電体 51 第2の熱電体 60 基台 61 絶縁膜 70 熱電対 71 温接点 72 冷接点

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の基板おもて面には第1のマスクを
    形成し、基板裏面には第1の金属膜電極を形成する工程
    と、基板おもて面から基板裏面まで貫通する第1の孔を
    エッチングにより形成する工程と、基板裏面に形成した
    第1の金属膜電極を用いて第1の孔を満たすように第1
    の熱電材料からなる第1の熱電体をメッキ法により形成
    する工程と、基板おもて面には第2の金属膜電極を形成
    し、基板裏面には第2のマスクを形成する工程と、第1
    の孔と交互に並び基板全体としては第1の孔とマトリク
    ス状に配列するよう基板裏面から基板おもて面まで貫通
    する第2の孔をエッチングにより形成する工程と、基板
    おもて面に形成した第2の金属膜電極を用いて第2の孔
    を満たすように第2の熱電材料からなる第2の熱電体を
    メッキ法により形成する工程と、第2の金属膜電極をパ
    ターニングすることで相隣る第1の熱電体と第2の熱電
    体とを接続して温接点を形成すると共に多数の熱電対を
    作製する工程と、基板裏面には第3の金属膜電極を形成
    し、つづいてパターニングすることにより冷接点を形成
    してすべての熱電対を直列に接続する工程と、基板裏面
    には金属板からなる基台をすべての熱電対の冷接点と接
    触するようにり付ける工程とを有することを特徴とす
    る熱電発電素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板の裏面に各々が交互に配列した第1
    の金属膜電極および第2の金属膜電極を形成する工程
    と、基板おもて面から基板裏面まで貫通するメッキ孔を
    エッチングにより形成する工程と、第1の金属膜電極を
    用いてメッキ孔の中で半数のメッキ孔を満たすように第
    1の熱電材料からなる第1の熱電体をメッキ法により形
    成する工程と、第2の金属膜電極を用いて第1の熱電体
    と交互に並び基板全体としては第1の熱電体とマトリク
    ス状に配列するよう残りの半数のメッキ孔を満たすよう
    に第2の熱電材料からなる第2の熱電体をメッキ法によ
    り形成する工程と、新たに基板おもて面および基板裏面
    金属膜を形成し、つづいてパターニングすることで
    相隣る第1の熱電体と第2の熱電体とを接続してすべて
    の熱電対を直列化するように基板おもて面に温接点およ
    び基板裏面には冷接点を形成する工程と、基板裏面には
    金属板からなる基台をすべての熱電対の冷接点と接触す
    るようにり付ける工程とを有することを特徴とする熱
    電発電素子の製造方法。
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