JP3430973B2 - 酸化鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法 - Google Patents

酸化鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法

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JP3430973B2 JP15555199A JP15555199A JP3430973B2 JP 3430973 B2 JP3430973 B2 JP 3430973B2 JP 15555199 A JP15555199 A JP 15555199A JP 15555199 A JP15555199 A JP 15555199A JP 3430973 B2 JP3430973 B2 JP 3430973B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケルとスカンジ
ウムを含有する酸化鉱石からニッケルとスカンジウムを
回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スカンジウムは、高演色ランプとして体
育館やホテルなどに使用されるメタルハライドランプへ
の封入物、固体レーザー発振源としてのレーザー用単結
晶への添加剤、ディスプレイ用ブラウン管の長残光オレ
ンジ色蛍光体、強誘電体材料、圧電材料等に使用されて
いる。また近年、ルイス酸触媒としての用途も有望で、
次世代を担う新触媒としてスカンジウム化合物への期待
が大きい。
【0003】一方、資源としてのスカンジウムは、地殻
中に5〜10ppm程度含まれているが、スカンジウム
源として単独で工業的に利用できる鉱石はほとんど無い
に等しい。現在、工業的には、含有量がわずかに数pp
mから数十ppmの、錫、チタン、タングステン、ウラ
ン、タンタル、ニオブ、ボーキサイト等の精錬残滓がス
カンジウム含有原料として利用されている。
【0004】この様な原料からスカンジウムを回収する
方法として、従来は、前記精練残滓を大気圧下、酸浸出
した後、溶媒抽出、キレート抽出、イオン交換等の種々
の方法でスカンジウム以外の不純物を除去することによ
り分離回収されている。この様なスカンジウム回収方法
には次の様な問題がある。 酸浸出時に、スカンジウム以外に多量に含有される
鉄やアルミニウム等が同時に、しかもスカンジウムとほ
ぼ同じ比率で浸出される。このため、浸出液中の鉄やア
ルミニウムの濃度はスカンジウムの数百倍にもなり、以
後の液処理が複雑となる。 例えば、鉄やアルミニウムを酸浸出液から水酸化物
として除去する場合、その水酸化物はゲル状物質とな
り、除去が非常に困難である。 鉄やアルミニウムを酸浸出液から溶媒抽出、キレー
ト抽出、イオン交換により除去する場合、鉄やアルミニ
ウムの濃度を薄くする必要があり、液処理量が非常に多
くなるばかりか、最終的には鉄やアルミニウムの廃液処
理をしなければならない。 スカンジウムを高率で浸出しようとすれば、スカン
ジウム以外に多量に含有される鉄やアルミニウム等もス
カンジウムと同じ比率で浸出されるため、多量の酸が必
要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な問題点を解決し、ニッケルとスカンジウムの新規な回
収法を提供することを目的とする。特にニッケルと微量
のスカンジウムを同時に含む酸化鉱石からニッケルとス
カンジウムを回収する新規な方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ニッケル
含有酸化鉱石中に、微量ではあるが、クラーク数の2〜
20倍のスカンジウムが存在していることを発見し、こ
のスカンジウムを効率良く回収するための研究を種々重
ねた結果、温度150〜300℃、圧力5〜60kg/
cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸浸出すると、前記
酸化鉱石中の鉄とアルミニウムの浸出が抑制される一
方、ニッケルとスカンジウムはほぼ全量が選択的に効率
よく浸出されることを発見した。
【0007】そして、この酸浸出液は、鉄、アルミニウ
ム等の不純物含有量が少なく、浸出液をPH調整するだ
けでニッケルとスカンジウムを高濃度の沈殿物として回
収できることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0008】すなわち、本発明は、ニッケル含有酸化鉱
石を、順次下記(1)〜(4)の工程で処理することに
より、ニッケル含有酸化鉱石からスカンジウムとニッケ
ルを回収することを特徴とするものである。
【0009】その要旨は特許請求の範囲の請求項1に記
載のように、 (1)前記酸化鉱石を温度150〜300℃、圧力5〜
60kg/cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸により
浸出してニッケルとスカンジウムを含む浸出液を得る浸
出工程と、 (2)前記浸出液に中和剤を加えてpHを2〜4の範囲
に調整することにより、前記浸出液中の鉄とアルミニウ
ムを沈殿物として除去する第一中和工程と、 (3)前記第一中和工程で前記沈殿物を除去した後の溶
液に、中和剤を加えてpHを4超〜7.5の範囲に調整
することにより溶液中のスカンジウムを沈殿物として回
収する第二中和工程と、 (4)更に中和剤を加えてpHを7.5超に調整するこ
とにより、溶液中のニッケルを沈殿物として回収する第
三中和工程とからなる。また、本発明の方法は、ニッケ
ル含有酸化鉱石の成分、製造設備省略など経済性等の理
由がある場合には、第一、第二、第三の中和工程の組み
合わせを変更して実施することも可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、スカンジウム回収原料として
ニッケル含有酸化鉱石を使用する。ニッケル含有酸化鉱
石としては、鉱物学的には、ラテライトやガーニエライ
トが知られており、これらの鉱石にはニッケルが0.0
5〜4.0%、鉄が15〜50%、アルミニウムが2〜
5%程度含まれており、また、0.0010〜0.01
0%のスカンジウムが含有されている。
【0011】本発明においては、まず浸出工程で、この
ようなニッケル含有酸化鉱石を酸により浸出する。
【0012】この酸による浸出において、酸を効率的に
使用し、かつ、後工程での浸出液の処理工程を容易にす
るためには、酸化鉱石からスカンジウム及びニッケルを
優先的に溶解させて、酸化鉱石に含まれる鉄、アルミニ
ウムはできるだけ浸出残滓に残すことが必要である。こ
れによって、酸の使用量が減少し、また浸出液は鉄、ア
ルミニウムの含有量が低くなって、浸出液の後処理が容
易になるためである。
【0013】このため浸出工程はオートクレーブを用
い、高温高圧で実施する。温度は150〜300℃で、
圧力は5〜60kg/cm(ゲージ圧、以下同様)、
好ましくは、温度は220〜260℃、圧力は24〜4
8kg/cmの範囲で実施する。温度が150℃未
満、圧力が5kg/cm未満であると、ニッケル及び
スカンジウムの浸出率が低くなり、浸出液の鉄、アルミ
ニウムの含有量が高くなることがあるためである。また
温度が300℃超で、圧力が60kg/cm超になる
と、ニッケル及びスカンジウムの浸出速度は速くなる
が、設備や装置が大型化してコストが嵩み、余分なエネ
ルギーを使用する等操業コストも高くなるからである。
【0014】このような高温高圧は、オートクレーブ内
に加圧水蒸気を吹き込むことによって達成される。加圧
水蒸気の吹き込みは浸出液の撹拌効果もあるため、浸出
反応が促進され、浸出時間が短縮されるという効果もあ
る。なお、加圧水蒸気吹込みの他にインペラーによる撹
拌を同時に行うと、1時間以内で浸出反応を終了するこ
とが可能である。
【0015】浸出工程に使用する酸は、硫酸、塩酸ある
いは硝酸のいずれでも可能であり、酸の使用量は、高温
高圧下で酸浸出して得られる浸出液のPHが、常温にお
いて0.5〜2となるように調整するのが好ましい。浸
出液のPHが0.5未満と低いと、浸出液中の鉄、アル
ミニウムの含有量が高くなり、また、後工程での中和に
多量の中和剤を使用するため好ましくない。一方、浸出
液のpHが2以上の高い値であると、ニッケル及びスカ
ンジウムの浸出率が低くなるため、好ましくない。
【0016】以上の条件で酸浸出すると、ニッケルとス
カンジウムは95%以上が浸出され、一方、鉄及びアル
ミニウムの浸出率はそれぞれ5%以下及び10%以下に
抑制される。
【0017】このようにして得た、浸出工程からの浸出
液は、ニッケル、スカンジウムの他に鉄及びアルミニウ
ムも含まれており、本発明の方法においては、第一中和
工程、として、浸出液に中和剤を加えてPHを2〜4の
範囲に調整する。
【0018】この第一中和工程では、浸出液中の鉄とア
ルミニウムが優先的に中和され、沈殿して、ニッケル、
スカンジウムから分離される。中和剤としては、アルカ
リ化合物を用いるのが最も簡便であるが、入手可能であ
れば、アルカリ化合物を含有する鉱石等も使用可能であ
る。アルカリ化合物としてはマグネシウム、カルシウ
ム、ナトリウムの酸化物、マグネシウム、カルシウム、
ナトリウム、アンモニアの炭酸塩、あるいはマグネシウ
ム、カルシウム、ナトリウム、アンモニアの水酸化物等
が使用できる。なおpHが2未満であると鉄、アルミニ
ウムの中和沈殿が完全でなく、またPHが4超であると
鉄、アルミニウム以外にニッケル、スカンジウムの沈殿
も生成するため、第一中和工程は、pHを2〜4の範囲
に調整する必要がある。
【0019】このようにして第一中和工程で生成した鉄
及びアルミニウムの沈殿物は、ろ過等の公知の方法によ
り分離、除去し、残液として第一中和溶液を得る。
【0020】第一中和工程から得られた第一中和溶液
は、鉄及びアルミニウムが除去されており、ニッケル及
びスカンジウムが含有されている。本発明の方法におい
ては、次に第一中和溶液にまた中和剤を加えてPHを4
超〜7.5の範囲に調整する、第二中和工程を実施す
る。
【0021】この第二中和工程では、第一中和溶液中の
スカンジウムが優先的に中和され、沈殿して、ニッケル
と分離される。中和剤としては第一中和工程の場合と同
様に、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムの酸化
物、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、アンモニ
アの炭酸塩、あるいはマグネシウム、カルシウム、ナト
リウム、アンモニアの水酸化物等のアルカリ化含物が使
用できる。なおPHが4未満であるとスカンジウムの中
和沈殿が完全でなく、またPHが7.5超であるとスカ
ンジウム以外にニッケルの沈殿も生成するため、第二中
和工程では、PHを4超〜7.5の範囲に調整する必要
がある。
【0022】このようにして生じた第二中和工程でのス
カンジウムの沈殿物は、ろ過等の公知の方法により分
離、回収し、その残液として第二中和溶液を得る。ここ
で回収されたスカンジウムの濃縮沈殿物は、スカンジウ
ムの水酸化物あるいは炭酸塩の形態となつており、これ
らのスカンジウムの水酸化物あるいは炭酸塩へのスカン
ジウムの濃縮倍率は、元の酸化鉱石のスカンジウムの4
0〜2000倍となる。
【0023】また第二中和工程で得られるスカンジウム
の濃縮沈殿物は、スカンジウムの高純度化、回収のため
の主原料として使用する場合、酸への溶解が容易であ
り、また鉄やアルミニウム等の不純物の少ない高濃度の
スカンジウム含有液が得られる。このため、従来から実
施されている溶媒抽出、キレート抽出あるいはイオン交
換により、容易にスカンジウムの高純度化が可能であ
り、その技術的及び経済的効果は大きい。
【0024】一方、第二中和工程から得られた第二中和
溶液には、鉄、アルミニウム及びスカンジウムが除かれ
ており、ニッケルが含有されている。本発明の方法にお
いては、この第二中和溶液に更に中和剤を加えてPHを
7.5超に調整する、第三中和工程を実施する。
【0025】この第三中和工程では、第二中和溶液中の
ニッケルが中和され、沈殿する。中和剤としては、マグ
ネシウム、カルシウム、ナトリウムの酸化物、炭酸塩、
あるいは水酸化物等のアルカリ化合物が使用できる。な
おPHが7.5以下であるとニッケルの中和沈殿が完全
でなくなるため、第三中和工程では、PHを7.5超に
調整する必要がある。
【0026】このようにして生成した第三中和工程での
ニッケルの沈殿物は、ろ過等の公知の方法により分離、
回収し、残液として第三中和溶液を得る。ここで回収さ
れたニッケルの濃縮沈殿物は、ニッケルの水酸化物ある
いは炭酸塩の形態となっており、このニッケルの水酸化
物あるいは炭酸塩へのニッケルの濃縮倍率は、元の酸化
鉱石のニッケルの10〜1000倍となる。
【0027】この第三中和工程でニッケルの濃縮沈殿物
と分離した第三中和溶液は、マグネシウム、カルシウム
あるいはナトリウム以外の金属、特に重金属は含有して
いないので、海洋等の水域に放流しても、公害上の問題
はないのでそのまま放流するか、あるいは第一〜第二中
和工程で中和剤としてアンモニア化合物を使用した場合
には、アンモニアを分離回収した後に放流することがで
きる。
【0028】このように、本発明は、比較的簡単な工程
により、ニッケル及びスカンジウムを含有する酸化鉱石
から有用なニッケルとスカンジウムを回収することが可
能である。
【0029】本発明の方法は、前述した錫、チタン、タ
ングステン、ウラン、タンタル、ニオブ、ボーキサイト
等の精錬残滓を原料とするスカンジウムの回収にも利用
できるものである。
【0030】また、本発明の方法は、ニッケル含有酸化
鉱石の成分、製造設備省略など経済性等の理由がある場
合には、第一、第二、第三の中和工程の組み合わせを変
更して実施することも可能である。
【0031】例えば、ニッケル含有酸化鉱石の鉄やアル
ミニウムの含有量が低い場合には、中和工程を分割する
ことなく、一回の中和工程で、ニッケル、スカンジウ
ム、鉄、アルミニウムを同時に沈殿として回収すること
も可能である。この場合は、中和剤として、マグネシウ
ム、カルシウム、ナトリウムの酸化物、炭酸塩、あるい
は水酸化物等のアルカリ化合物を使用し、PHを7.5
超に調整する。
【0032】また、例えば、ニッケル含有酸化鉱石から
回収するニッケル化合物を既存のニッケル回収工程に適
した形態とするために、ニッケル含有酸化鉱石に含まれ
る成分のうち、スカンジウム、鉄、アルミニウムが共存
する沈殿物として回収し、ニッケルは別個の沈殿物とし
て回収することも可能である。この場合は、最初にPH
を2〜7.5の範囲に調整してスカンジウム、鉄、アル
ミニウムを沈殿させて、生成した沈殿物を分離した後、
次いでPHを7.5超に調整してニッケルを沈殿させれ
ばよい。この場合、ニッケルの回収は中和剤による中和
だけでなく、硫化、水素還元等の公知の方法によっても
可能である。
【0033】さらに、例えばニッケル含有酸化鉱石中の
ニッケル含有量が低く、スカンジウム含有量が多い場合
には、鉄とアルミニウムを中和剤による中和、洗殿させ
た後、スカンジウムとニッケルが共存する沈殿物として
回収することも可能である。この場合は、最初にPHを
2〜4の範囲に調整して鉄、アルミニウムを沈殿させ
て、次にpHを7.5超に調整してニッケルとスカンジ
ウムを同時に中和・沈殿させる方法による。
【0034】さらに、浸出液そのものを直接溶媒抽出、
キレート抽出、イオン交換等の工程に供給することも可
能である。
【0035】以下本発明の具体的な実施例について説明
する。なお、実施例において%と表示する場合は、いず
れも重量%(Wt%)である。
【0036】
【実施例1】ガーニエライト鉱石(Ni:1.6%、S
c:0.003%、Fe:30.5%、Al:2.0
%)を水により25%スラリー濃度とし、98%硫酸を
鉱石1kgに対し240g加え、オートクレーブにより
温度240℃、圧力35kg/cmで1時間浸出した
後、オートクレーブの圧力を大気圧まで下げた。
【0037】この浸出液の常温でのPHは0.95で、
Ni:7.9g/l、Sc:0.015g/l、Fe:
1.3g/l、Al:0.3g/lの濃度の浸出液が得
られた。この時のNi,Scの浸出率はともに95%で
あり、Fe,Alの浸出率は0.8%と3.0%に抑制
された。なお、浸出率とは鉱石に含有されているNi及
びScの重量に対して、浸出されたNi及びScの重量
の百分率である。またFe、Alの浸出率についても同
様である。
【0038】この浸出液に炭酸カルシウムを加えてPH
を3.5とし、FeとAlを炭酸塩として沈殿除去し
た。この時のFeとAlの沈殿除去率はそれぞれ95%
と87%であった。またScの沈殿率は5%であり、N
iのそれは0.3%であった。なお、沈殿除去率とは浸
出液中に含有されているFe及びAlの重量に対して、
沈殿除去されたFe及びAlの重量の百分率である。
【0039】次に、FeとAlを沈殿除去した後の液
に、炭酸ナトリウムを加えてPHを5.8とし、Scを
炭酸塩として沈殿回収した。この時のScの沈殿回収率
は98%であった。Niの沈殿率は2.8%であった。
また、Scの沈殿回収率とは、浸出液中に含有されてい
るScの重量に対して沈殿回収されたScの重量の百分
率であり、Niの沈殿率とは、浸出液中に含有されてい
るNiの重量に対して、沈殿したNiの重量の百分率で
ある。
【0040】この炭酸塩の成分は、Ni:29.3%、
Sc:1.86%、Fe:8.6%,Al:5,2%
で、Scは、元のガーニエライト鉱石のScに対し62
0倍に濃縮された。
【0041】またScを炭酸塩として回収した後の液に
中和剤として酸化マグネシウムを加えてPHを8.0と
し、Niを水酸化物として回収した。この時のNiの沈
殿への回収率は100%で、Ni:45.3%の水酸化
物が沈殿として得られた。Niは、元のガーニエライト
鉱石のNiに対し28倍に濃縮された。このように、本
実施例では浸出液に含有されているFeやAlを最初に
沈殿、除去しておくので、その後の処理で得られるSc
やNiの沈殿物は純度が高いものが得られる効果があ
る。
【0042】
【実施例2】ラテライト鉱石(Ni:1.1%、Sc:
0.005%、Fe:45.2%、Al:2.8%)を
水により30%スラリー濃度とし、98%硫酸を鉱石1
kgに対し145g加え、オートクレーブにより温度2
40℃、圧力35kg/cmで1時間浸出した後、オ
ートクレーブの圧力を大気圧まで下げた。
【0043】この浸出液の常温でのpHは1.02で、
Ni:5.4g/l、Sc:0.025g/l、Fe:
1.2g/l,Al:0.4g/lの濃度の浸出液が得
られた。この時のNi,Scの浸出率はともに95%で
あり、Fe,Alの浸出率は0.5%と2.8%に抑制
された。
【0044】この浸出液に中和剤としてアンモニア水を
加えてpHを5.5とし、Sc,Fe及びAlを水酸化
物として沈殿させて分離、回収した。この時のSc,F
e,及びAlの沈殿回収率はそれぞれ98%,100%
及び100%であった。また、Niの沈殿率は0%であ
った。この水酸化物の成分は、Sc:0.67%、F
e:32.2%,Al:10.7%であった。Scは元
のラテライト鉱石のScに対し134倍となった。
【0045】Sc、Fe、Alを水酸化物として回収し
た後の液に、水酸化ナトリウムを加えてPHを8.2と
し、Niを水酸化物として沈殿させた。この時のNiの
沈殿回収率は100%であり、Ni:48.6%の水酸
化物が得られた。Niは、元のラテライト鉱石のNiに
対し44倍となった。本実施例は浸出液に含有されてい
るSc、Fe、Alを最初に水酸化物として沈殿、回収
する方法で、その後の工程でNiのみを回収すれば良い
ので、処理設備、処理工程が省略できる効果がある。
【0046】
【実施例3】実施例2で得た浸出液に中和剤として炭酸
ナトリウムを加えてPHを7.8とし、Ni,Sc,F
e及びAlの全量を炭酸塩として沈殿させて分離、回収
した。
【0047】この炭酸塩の成分は、Ni:32.3%、
Sc:0.15%、Fe:7.2%,Al:2.4%
で、NiとScは、元のラテライト鉱石のNiとScに
対しともに30倍に濃縮された。本実旋例は浸出液に含
有されているSc、Fe、Al、Niを全て水酸化物と
して沈殿、回収する方法であり、前記実施例2に比較し
ても、更に処理設備、処理工程が省略できる効果があ
る。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明は比較的簡単な技
術的手段により、ニッケル及びスカンジウムを含有する
酸化鉱石から有用なニッケルとスカンジウムを高収率で
回収する方法を提供するものであり、その技術的効果及
び経済的効果は極めて大きい。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−143588(JP,A) 特開 昭63−83234(JP,A) 特開 昭51−149117(JP,A) 特開 平9−143589(JP,A) 特開 平9−194211(JP,A) 特開 平9−176756(JP,A) 特開2000−234130(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルとスカンジウムを含有する酸化
    鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法におい
    て、 (1)酸化鉱石を温度150〜300℃、圧力5〜60
    kg/cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸により浸出
    してニッケルとスカンジウムを含む浸出液を得る浸出工
    程と、 (2)浸出液に中和剤を加えてpHを2〜4の範囲に調
    整することにより、浸出液中の鉄とアルミニウムを沈殿
    物として除去する第一中和工程と、 (3)第一中和工程で沈殿物を除去した後の溶液に、中
    和剤を加えてpHを4超〜7.5の範囲に調整すること
    により溶液中のスカンジウムを沈殿物として回収する第
    二中和工程と、 (4)更に中和剤を加えてpHを7.5超に調整するこ
    とにより、溶液中のニッケルを沈殿物として回収する第
    三中和工程とからなることを特徴とする、酸化鉱石から
    ニッケルとスカンジウムを回収する方法。
  2. 【請求項2】 ニッケルとスカンジウムを含有する酸化
    鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法におい
    て、 (1)酸化鉱石を温度150〜300℃、圧力5〜60
    kg/cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸により浸出
    してニッケルとスカンジウムを含む浸出液を得る浸出工
    程と、 (2)浸出液に中和剤を加えてpHを7.5超の範囲に
    調整することにより、浸出液中のニッケルとスカンジウ
    ムと鉄とアルミニウムを沈殿物として回収する中和工程
    とからなることを特徴とする、酸化鉱石からニッケルと
    スカンジウムを回収する方法。
  3. 【請求項3】 ニッケルとスカンジウムを含有する酸化
    鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法におい
    て、 (1)酸化鉱石を温度150〜300℃、圧力5〜60
    kg/cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸により浸出
    してニッケルとスカンジウムを含む浸出液を得る浸出工
    程と、 (2)浸出液に中和剤を加えてpHを2〜7.5の範囲
    に調整することにより、浸出液中のスカンジウムと鉄と
    アルミニウムを沈殿物として回収する中和工程と、 (3)前記中和工程で沈殿物を回収した後の溶液に、更
    に中和剤を加えてpHを7.5超に調整することにより
    溶液中のニッケルを沈殿物として回収する中和工程とか
    らなることを特徴とする、酸化鉱石からニッケルとスカ
    ンジウムを回収する方法。
  4. 【請求項4】 ニッケルとスカンジウムを含有する酸化
    鉱石からニッケルとスカンジウムを回収する方法におい
    て、 (1)酸化鉱石を温度150〜300℃、圧力5〜60
    kg/cm(ゲージ圧)の高温高圧下で酸により浸出
    してニッケルとスカンジウムを含む浸出液を得る浸出工
    程と、 (2)浸出液に中和剤を加えてpHを2〜4の範囲に調
    整することにより、浸出液中の鉄とアルミニウムを沈殿
    物として除去する中和工程と、 (3)前記中和工程で沈殿物を除去した後の溶液に、更
    に中和剤を加えてpHを7.5超に調整することによ
    り、溶液中のニッケルとスカンジウムを沈殿物として回
    収する中和工程とからなることを特徴とする、酸化鉱石
    からニッケルとスカンジウムを回収する方法。
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