JP3429525B2 - 投影レンズ系 - Google Patents

投影レンズ系

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JP3429525B2
JP3429525B2 JP11679293A JP11679293A JP3429525B2 JP 3429525 B2 JP3429525 B2 JP 3429525B2 JP 11679293 A JP11679293 A JP 11679293A JP 11679293 A JP11679293 A JP 11679293A JP 3429525 B2 JP3429525 B2 JP 3429525B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、IC、LSI等の微細
な集積回路パターンを半導体基板上に露光する投影露光
装置(以下、ステッパと言う。)に用いられる投影レン
ズ系に関し、特に、エキシマレーザ等の300nmない
し150nm程度の紫外から真空紫外に及ぶ波長域の光
源を用いて集積回路パターンを半導体基板上に露光する
のに有効な投影レンズ系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、IC、LSI、液晶ディスプ
レー、薄膜磁気ヘッドのパターンを半導体等の基板上に
露光するためにステッパが使用されているが、近年の集
積回路の集積度の向上に伴い、ステッパの投影レンズ系
にもより一層の高解像力・広露光面積化が要求されてい
る。また、集積回路の構造も、従来は比較的簡単で平坦
であったが、高集積化に伴い、表面段差の大きな複雑な
ものになっている。
【0003】一般に、レンズ系の解像力・焦点深度と波
長、開口数の間には、次式が成立する。 解像力 =k1 ・λ/NA …(式1) 焦点深度=k2 ・λ/NA2 …(式2) ただし、λは波長、NAは開口数、k1 、k2 はプロセ
スに依存する比例定数である。
【0004】したがって、投影レンズの解像力を向上さ
せるためには、露光波長を短波長化するか、NAを大き
くすればよいが、両者ともに焦点深度の低下を招く。こ
のように、高解像化と大焦点深度化の両立は、本質的に
相反するものである。
【0005】そこで、この問題点を解決するために、露
光法やプロセスの工夫により、高解像力や大焦点深度を
達成する試みがなされている。
【0006】その1つに位相シフト法がある。位相シフ
ト法については、例えば「月刊Semiconductor World ,
1992年6月」に詳しいが、代表的な位相シフトマスク
(レベンソン型位相シフトマスク)を使用した場合につ
いて、図14を用いて説明する。シフターと呼ばれる薄
膜を図14(b)のようにマスクに設け、隣合う開口部
からの光の位相を反転させると、図14(a)の従来マ
スクに比べて、回折角が半分になり、かつ、0次光がな
くなる。その結果、カットオフ周波数が従来の場合に比
較して2倍となり、かつ、焦点深度の拡大が図れるとい
うものである。
【0007】また、第2の技術としては、特開昭58−
17446号公報に示されている、いわゆるFLEX法
がある。この方法では、第1露光により図15(a)の
ような強度分布を得て、マスク像面を光軸方向の異なる
位置に結像させた第2露光で図15(b)の強度分布を
得る。これらの合成像は、図15(c)のように光軸方
向に長く光学像コントラストが維持されており、実効的
な焦点深度が拡大されるというものである。
【0008】また、第3の技術としては、特開平2−1
109号公報に示されている位相型超解像フィルタを使
用する方法がある。光軸と垂直な平面内における位相型
超解像フィルタ30の構造を図16(a)に、図16
(a)の直線Lに沿った位相型超解像フィルタ30の断
面図を図16(b)に示す。例えば、図16(b)に示
すように、ゾーンAとゾーンBの境界部で位相部に半ピ
ンチ分のズレを与えると、ゾーンAの波面AとゾーンB
の波面Bにはπの位相差が生ずる。したがって、このフ
ィルタ30を光学系の瞳面に設置すれば、位相型超解像
フィルタとして機能するので、焦点深度の拡大が図れ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術にはい
くつかの問題点がある。まず、位相シフト法では、適用
可能なパターンが限定される、高精度な位相シフトマス
クの製作・欠陥検査・欠陥修正が困難である等の問題点
がある。一方、FLEX法は、コンタクトホールのよう
な孤立パターンには有効であるが、L/Sパターンには
有効でない。また、ステージを直接移動させて複数回の
露光を行うため、スループットが悪化する。また、位相
型超解像フィルタには、焦点深度の拡大に限界がある。
以上のように、従来技術にはいくつかの問題点がある。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、投影レンズ系の実効的
な焦点深度の拡大を図ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の投影レンズ系は、回折光学素子(以下、D
OE:Diffractive Optical Element )を少なくとも1
枚含む投影レンズ系において、該回折光学素子の中の1
枚は複数のゾーンからなり、該複数のゾーンを透過する
光束が投影レンズ系全体として光軸方向のわずかに異な
る少なくとも2点の位置に結像するように、前記複数の
ゾーンが相互に異なる結像作用を有し、前記回折光学素
子が、第1の結像作用を持った第1ゾーン群と第2の結
像作用を持った第2ゾーン群とを備え、前記第1ゾーン
群と前記第2ゾーン群とが半径方向に交互に配置されて
おり、前記第1ゾーン群と前記第2ゾーン群とが交互に
配置された回折光学素子は、半径方向の所定位置にて中
心領域Aと第1周辺領域Bとを形成し、前記中心領域A
と前記第1周辺領域Bとの間の境界部分の回折面の形状
を半ピッチ分の接続ズレを与えるように構成されている
ことを特徴とするものである。本発明のもう1つの投影
レンズ系は、回折光学素子を少なくとも1枚含む投影レ
ンズ系において、該回折光学素子の中の1枚は複数のゾ
ーンからなり、該複数のゾーンを透過する光束が投影レ
ンズ系全体として光軸方向のわずかに異なる少なくとも
2点の位置に結像するように、前記複数のゾーンが相互
に異なる結像作用を有し、前記回折光学素子が、前記の
複数のゾーンを半径方向に交互に配置した輪帯分割形状
を有すると共に、半径方向に向かって境界を備える扇型
に分割された扇型分割領域を複数有し、隣り合う2つの
前記扇型分割領域における回折面の形状が互いに異なる
ように、前記扇型分割領域の各々が形成されていること
を特徴とするものである。
【0012】
【作用】以下、本発明による投影レンズ系の作用を図面
を参照にして説明する。図1に光路を示すように、物体
2を相互にΔ離れた異なる像面3と4に同時に結像させ
る光学素子1は、FLEX法に類似した多重焦点作用を
持つ。
【0013】いま、図2(a)及び(b)に示すよう
に、物体2を像面3に結像する光学素子5と、物体2を
像面4に結像する光学素子6があるとする。図1のよう
な多重焦点作用を実現するために、本発明では、例え
ば、図3に示すように、複数のゾーンからなるDOE7
に入射する光束を、像面3に結像する光束と像面4に結
像する光束とに分割する。このように、結像作用の異な
る複数のゾーンから形成されている多重焦点DOE7を
使用すると、1回の露光で複数の結像面が形成される。
その結果、光学像のコントラストを光軸方向に長く維持
でき、実効的焦点深度の拡大を図ることができる。
【0014】したがって、高解像の光学系にこのような
多重焦点DOEを使用すれば、解像度の向上と焦点深度
の拡大を同時に実現することができる。
【0015】図1の多重焦点作用を持つ光学素子1とし
てDOEを使用する利点を以下に述べる。特に、エキシ
マレーザ等の300nmないし150nm程度の紫外か
ら真空紫外に及ぶ波長域の光源を使用した場合に、多く
の利点が生ずる。
【0016】第1には、製作が容易である。本発明のよ
うな多重焦点作用をもつ素子として屈折レンズを使用す
ると、屈折レンズの構造が非常に複雑となり、製作が極
めて困難である。これに対して、DOEの場合は、通常
の結像作用を持つDOEを作製するのも本発明の多重焦
点DOEを作製するのも製法は同じで、製作上の難易度
の差はない。
【0017】第2には、投影レンズ系の色消しが容易に
なる。前記(式1)から分かるように、レンズ系を高解
像力化するためには、短波長化するか高NA化すればよ
い。しかし、高NA化は、焦点深度の急激な減少と光学
設計上の困難を伴う。
【0018】そこで、焦点深度をあまり劣化させずに高
解像力化するために、露光波長を短波長化する試みがな
されている。具体的には、従来のステッパで使用されて
いる超高圧水銀ランプのg線(436nm)やi線(3
65nm)では、解像力が不十分となったことから、よ
り波長の短いKrFエキシマレーザ(248nm)やA
rFエキシマレーザ(193nm)が有望視されてい
る。エキシマレーザ光は、フリーランでは半値幅が0.
3〜0.4nm程度と大きいために、投影レンズ系の色
消しが必要となる。
【0019】ところが、エキシマレーザ光の波長領域で
は、通常のガラスの透過率が不十分であることから、使
用できる硝材は石英、蛍石、MgF2 等に限定される。
しかし、蛍石は硬度が低くて傷つきやすく光学研磨も容
易ではなく、MgF2 は潮解性がある等の加工性の問題
点があることから、投影レンズ系に実用上使用できる硝
材は石英に限定されている。
【0020】そこで、投影レンズ系は石英のみからなる
単色設計レンズとし、光源を狭帯域化することで、光学
系の色収差の発生を防ぐのが一般的方法である。しか
し、このような構成の光学系には、次のような問題点が
生ずる。 狭帯域化によりレーザの出力が低下する。 中心波長、半値幅等を高精度に維持するためにレーザ
が複雑化する。
【0021】ところで、通常の、屈折現象に基づく光学
素子は、光線はスネルの法則 n・sin θ=n’・sin θ’ …(式3) ただし、n :入射側媒質の屈折率 n’:射出側媒質の屈折率 θ :光線の入射角 θ’:光線の射出角 に基づいて曲げられる。
【0022】それに対して、DOEの場合、図4に示す
ように、光線9は回折面8で(式4)によって表現され
る回折現象により曲げられる。
【0023】 n・sin θ−n’・sin θ’=mλ/d …(式4) ただし、n :入射側媒質の屈折率 n’:射出側媒質の屈折率 θ :光線の入射角 θ’:光線の射出角 m :回折次数 λ :波長 d :DOEのピッチ (式4)から明らかなように、DOEでは、長波長の光
線の曲げ角が大きく、短波長の光線の曲げ角が小さいと
いう、通常の屈折光学素子とは逆の分散を持つ。ちなみ
に、DOEのアッベ数νd を求めてみると、νd =−
3.45となり、非常に大きな逆分散を持つことが分か
る。石英(アッベ数νd =68)との分散の差が大きい
ので、図5のように、石英基板10の表面に回折面8を
加工したDOE11を使用すれば、透過率の問題なく、
少ないレンズ枚数で効果的に色消しを行うことができ
る。したがって、高解像化するためにエキシマレーザを
使用したことに伴う色収差の問題も解消することができ
る。なお、図5に断面を示すDOE11は、回折効率を
上げるためにブレーズ化してある。
【0024】第3に、DOEを使用すると、投影レンズ
系の収差補正能力が高くなり、高NA化・広フィールド
化が比較的容易に行える。DOEの場合は、レンズの各
部で所望の光線の曲げ角を得るためには、(式4)にお
いて所望のθ’が得られるようなdを設定してやればよ
い。そして、このような非球面レンズと等価のDOEの
製作方法は、球面レンズと等価のDOEの製作方法と同
じであり、製作の難易度に差はない。すなわち、DOE
は、製作性の問題なく積極的に非球面作用を持たせるこ
とができるので、収差補正能力が大きい。
【0025】
【実施例】以下、本発明による投影レンズ系の各実施例
について説明する。まず、最初に、本発明で使用してい
るDOEを含む光学系の設計方法について述べる。
【0026】DOEを含む光学系を設計する手法とし
て、Sweatt modelが知られている。これについては、
『W.C.Sweatt, "NEW METHODS OF DESIGNING HOLOGRAPHI
C OPTCALELEMENTS", SPIE, Vol.126, pp.46-53(1977)
』に詳しいが、図6を使用して、以下に簡単に説明す
る。
【0027】図6において、12はn≫1なる屈折系レ
ンズ(ultra-high index lens )、13は法線、zは光
軸方向の座標、hは基板に沿う方向の座標とする。上記
の論文によれば、(式5)が成立する。
【0028】 (nu −1)dz/dh=n・sin θ−n’・sin θ’ …(式5) ただし、nu :ultra-high index lens の屈折率(以下
に説明する設計では、nu =10001とした。) z :ultra-high index lens の光軸方向の座標 h :光軸からの距離 n :入射側媒質の屈折率 n’:射出側媒質の屈折率 θ :光線の入射角 θ’:光線の射出角 したがって、(式4)、(式5)より、次の(式6)が
成立する。
【0029】 (nu −1)dz/dh=mλ/d …(式6) すなわち、「n≫1なる屈折系レンズの面形状」と「D
OEのピッチ」の間には、(式6)で表現される等価関
係が成立するので、Sweatt modelにより設計した ultr
a-high index lens の面形状から、DOEのピッチ分布
を求めることができる。
【0030】具体的には、ultra-high index lens を
(式7)で定義される非球面レンズとして設計したとす
ると、 z=ch2 /{1+〔1−c2 (k+1)h21/2 } +Ah4 +Bh6 +Ch8 +Dh10 …(式7) ただし、z :光軸でレンズに接する接平面からのずれ(サグ値) c :曲率 h :光軸からの距離 k :円錐定数 A :4次非球面係数 B :6次非球面係数 C :8次非球面係数 D :10次非球面係数 (式6)、(式7)より、 d=mλ/〔(n−1)dz/dh〕 =[mλ/(n−1)]×[ch/〔1−c2 (k+1)h21/2 +4Ah3 +6Bh5 +8Ch7 +10Dh9 -1 …(式8) が得られる。この(式8)に従ってDOEのピッチd分
布を決めればよい。なお、以下に示す実施例では、非球
面項として10次までしか使用していないが、もちろん
12次、14次・・の非球面項を使用してもよい。
【0031】(第1実施例)本実施例におけるDOEを
使用した投影レンズ系14の数値データは後記するが、
その断面図を図7に示す。図7において、符号15が本
発明の多重焦点DOEで、そのDOE15の構造を図8
に示す。
【0032】図8に示すように、本実施例のDOE15
は、各ゾーンの面積が等しくなるような所定の幅を有す
る複数の輪帯ゾーン19と20に分割され、各ゾーンは
交互にわずかに異なる結像作用を有する。ここでは、輪
帯ゾーン19は図2(a)の5に相当する結像作用を持
ち、輪帯ゾーン20は図2(b)の6に相当する結像作
用を持つ。このように、結像作用の異なる輪帯を半径方
向に交互に配した多重焦点DOE15は、図3の7に相
当する結像作用を持つ。すなわち、物点を発した光束の
中、輪帯ゾーン19を通過した光束は、像点aに、ま
た、輪帯ゾーン20のを通過した光束は像点aから光軸
方向にΔだけ離れた像点bに集光する。したがって、こ
の多重焦点DOE15を含む投影レンズ系14でマスク
像を結像すると、デフォーカスに対する光強度分布が大
きく改善され、実効的焦点深度の拡大が行われる。
【0033】図2(a)の5に相当するDOE19を使
用した場合(DOE15を輪帯19のみで構成した場
合)と、図2(b)の6に相当するDOE20を使用し
た場合(DOE15を輪帯20のみで構成した場合)
の、デフォーカスと軸上MTFの関係をそれぞれ図9の
(a)、(b)に示す。MTFの空間周波数はカットオ
フ周波数の約半分の1900本/mm、各ベスト像面の
離れ量ΔはΔ=1μmとした。2つの焦点に対応する曲
線(a)、(b)共回折限界の良好な特性を示し、高解
像ステッパレンズとして十分使用可能である。これは、
DOEの持つ高い収差補正能力を反映している。
【0034】この際、実際の使用状況、例えば、使用す
る投影レンズ系の解像力と露光するパターンの微細度に
応じて、像面の離れ量Δや各ゾーンの幅・数を最適化す
ればよい。2重焦点の場合、Δを大きくしすぎると、2
つの像面の間の像光強度が劣化する。そこで、 0<Δ<3λ/NA2 となるようにするとよい。
【0035】本実施例は、2重焦点の各像面の光量を等
しくするために、各ゾーンの面積を等しくしているが、
各ゾーンの面積は不均等でもよい。
【0036】また、本実施例では、DOE15に2重焦
点作用を持たせているが、3重焦点、4重焦点等の多重
焦点作用を持たせてももちろんよい。
【0037】なお、多重焦点DOE15は、結像光が輪
帯19、20のそれぞれを効率良く透過するように、そ
れぞれの領域でブレーズ化している。あるいは、例えば
特開平2−1109号公報に示されるように、「露光→
エッチング(又は、デポジション)」の工程をn回繰り
返すことにより、DOE15の各リング断面形状を2n
段の階段形状にして、ブレーズ近似して製作することも
可能である。
【0038】次に、図7に示した投影レンズ系14の詳
細について、以下に述べる。図2(a)の5に相当する
DOE19を使用した場合(DOE15を輪帯19のみ
で構成した場合)と、図2(b)の6に相当するDOE
20を使用した場合(DOE15を輪帯20のみで構成
した場合)の、それぞれの像面における球面収差、非点
収差、ディストーション、コマ収差を表す収差図をそれ
ぞれ図10、図11に示す。このように良好な収差補正
がなされている理由について述べる。
【0039】本実施例のように広フィールドレンズを設
計するには、ペッツバール和の補正が重要である。図7
の投影レンズ系14は、レンズL7とレンズL8からな
るレンズ群16、及び、レンズL12とレンズL13か
らなるレンズ群17という互いに凹面を向かい合わせた
レンズ群を2組備えており、両レンズ群16、17の間
に凸レンズ群18を配置している。この構成により、上
記の凹面での光線高を比較的小さくし、この凹面の凹パ
ワーを強くすることで、ペッツバール和の補正を行って
いる。また、DOE15は屈折率無限大なる屈折系レン
ズと等価であるので、ペッツバール和は全く悪化させな
い。
【0040】一般に、ステッパレンズの場合、球面収差
の補正が特に重要である。色収差としては、波長変動に
よるガウス像面の移動(軸上色収差)の補正が重要であ
る。したがって、球面収差、軸上色収差の補正に有効な
瞳付近あるいはマージナル光線高が大きい箇所にDOE
を使用すると効果的であるので、本実施例では、マージ
ナル光線高が大きな箇所にDOE15を配置している。
また、本実施例におけるDOE15は、非球面作用によ
り屈折系で発生している収差と逆符号の大きな収差を発
生させ、レンズ系の収差を良好に補正している。以上述
べたような理由により、投影レンズ系14は良好な性能
を達成している。
【0041】また、本実施例の投影レンズ系14は、デ
フォーカスによる像形状の変化を防ぐために、像側(ウ
エハ側)テレセントリックとしている。
【0042】図2(a)の5に相当するDOE19を使
用した場合と、図2(b)の6に相当するDOE20を
使用した場合では、当然ながら射出瞳位置は異なるが、
本実施例では、射出瞳位置の差は0.2μm程度と実用
上問題ないレベルになっている。また、瞳収差も少な
く、実用上問題ない。
【0043】本実施例では、DOEの収差補正効果を大
きくするために、比較的光束径の大きな箇所にDOE1
5を使用しているが、あまり外径の大きなDOEを使用
したくない場合には、本発明の多重焦点作用を持つDO
E15を、瞳付近の光束径が比較的小さな箇所に配置す
ればよい。
【0044】以下、この実施例の数値データを示す。面
番号は、レンズ面の物体側から数えた通し番号であり、
面番号に、上記したように、DOE15が相当するultr
a-high index lens のレンズ面の番号を含めてある。R
は曲率半径、dは面間隔、VMは硝材で、硝材名のDO
Eは上記のultra-high index lens を構成する仮想硝材
を示す。ここでは、ultra-high index lens を構成する
仮想硝材の屈折率は10001、石英の屈折率は1.5
08379としている。また、λは波長、NAは開口
数、φは露光領域の直径、□は露光領域の1辺の長さ、
βは倍率、OIDは物像間距離を示す。この実施例の第
33面が非球面で、非球面形状は(式7)で定義してい
る。また、第31面と第32面で定義されるのがDOE
15の基板で、第33面と第34面で定義されるのが回
折面を表すultra-high index lensである。本実施例で
は、前述したように高解像力を達成するために、KrF
エキシマレーザを露光光源としている。また、本実施例
の場合、DOE15の最小ピッチは約4.2μm(+1
次光の場合)と製作可能な値である。
【0045】第1実施例 λ= 248nm,NA=0.48,φ=36mm(□25mm),
β=1/5,OID=800 mm 面番号 R d VM 物点 ∞ 120.000 1 -167.091 10.000 石英 2 -220.301 0.100 3 391.804 10.000 石英 4 143.316 10.955 5 392.338 10.000 石英 6 173.912 11.404 7 1141.448 17.336 石英 8 -263.656 0.100 9 178.092 22.471 石英 10 -842.798 0.100 11 221.371 23.979 石英 12 -242.910 0.359 13 1269.457 10.000 石英 14 74.859 22.064 15 -176.106 10.000 石英 16 122.286 42.427 17 394.138 10.000 石英 18 175.766 30.559 19 174.474 20.470 石英 20 -378.324 0.100 21 300.206 11.822 石英 22 3770.502 0.100 23 236.098 10.042 石英 24 141.985 27.902 25 -106.885 10.000 石英 26 430.396 54.720 27 10132.811 17.921 石英 28 -311.818 5.238 29 552.716 31.806 石英 30 -222.709 0.100 31 ∞ 10.000 石英(DOEの基板) 32 ∞ 0.000 33(非球面)(19) 2.80941 ×107 0.000 DOE (20) 2.80968 ×107 34 ∞ 0.100 35 462.221 30.751 石英 36 -255.706 0.100 37 120.114 50.000 石英 38 526.404 4.447 39 177.603 27.882 石英 40 58.574 13.389 41 135.821 10.000 石英 42 72.347 0.100 43 57.087 13.499 石英 44 74.847 31.119 45 82.137 10.000 石英 46 53.189 0.100 47 47.110 20.539 石英 48 -179.488 3.901 49 -99.190 10.000 石英 50 -317.487 12.000 像面 ∞ 非球面係数 第33面(DOE19) 第33面(DOE20) R= 2.80941 ×107 R= 2.80968 ×107 k= -1 (放物面) k= -1 (放物面) A= -3.22280 ×10-12 A= -3.22278 ×10-12 B= -1.06989 ×10-17 B= -1.07041 ×10-17 C= -2.48146 ×10-22 C= -2.47291 ×10-22 D= -1.88973 ×10-26 D= -1.89479 ×10-26
【0046】(第2実施例) 本実施例の多重焦点DOE21を図12に示す。多重焦
点DOE21は、第1の結像作用を持つゾーン群22と
第2の結像作用を持つゾーン群23を半径方向に交互に
配置している。そして、領域Aと領域Bの境界には、図
16(b)に示すように、半ピッチ分の接続ズレを与え
ている。この結果、領域Aを透過する波面と領域Bを透
過する波面にはπの位相差が生じている。そのため、本
実施例のDOE21を光学系の瞳面に配置することによ
り、位相型超解像フィルタ作用と多重焦点作用により、
より一層の実効的焦点深度の拡大と解像力の向上を実現
することができる。
【0047】なお、本実施例では、位相差の生じている
領域は領域Aと領域Bの2つだけであるが、領域の数を
3つ以上に増やしてももちろんよいし、位相差もπ以外
の任意の値でよい。屈折系光学素子と異なり、DOEは
製作性の問題なく、このような複雑な結像作用を容易に
持たせることができる。
【0048】(第3実施例)本実施例では、特定開口比
の光線がある特定の像面のみに結像するのを防ぐため
に、図13に示すように、輪帯分割に加え、扇型分割を
施し、1つの輪帯上の各分割領域が各々形成される複数
の像面の各々の形成に寄与するよう構成している。それ
以外の構成は、第1実施例と同様である。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の投影レン
ズ系は、DOEが異なる焦点距離の複数のゾーンから形
成されている多重焦点レンズであるので、1回の露光で
複数の結像面が形成される。その結果、光学像のコント
ラストを光軸方向に長く維持することができ、実効的焦
点深度の拡大を図ることができる。したがって、高解像
の光学系を使用すれば、解像度の向上と焦点深度の拡大
を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いる多重焦点作用を持つ光学
素子の光路を示す図である。
【図2】図1の光学素子の各結像作用を示す図である。
【図3】本発明において用いる多重焦点作用を持つ回折
光学素子の概念図である。
【図4】回折光学素子の原理を説明するための図であ
る。
【図5】回折光学素子の1形態を示す断面図である。
【図6】回折光学素子が相当するultra-high index len
s の説明図である。
【図7】本発明の投影レンズ系の第1実施例の断面図で
ある。
【図8】第1実施例中の回折光学素子の正面図である。
【図9】第1実施例の各輪帯によるデフォーカスとMT
Fの関係を示す図である。
【図10】第1実施例の一方の輪帯を通過する結像の球
面収差、非点収差、ディストーション、コマ収差を表す
収差図である。
【図11】第1実施例の他方の輪帯を通過する結像の図
10と同様な収差図である。
【図12】第2実施例の多重焦点作用を持つ回折光学素
子の正面図である。
【図13】第3実施例の多重焦点作用を持つ回折光学素
子の正面図である。
【図14】従来技術である位相シフト法の説明図であ
る。
【図15】従来技術であるFLEX法の説明図である。
【図16】従来技術である位相型超解像フィルタの説明
図である。
【符号の説明】
1…多重焦点作用を持つ光学素子 2…物体 3…第1の像面 4…第2の像面 5…第1の像面を形成する光学素子 6…第2の像面を形成する光学素子 7…多重焦点作用を持つDOE 8…回折面 9…光線 10…DOEの基板 11…ブレーズ化DOE 12…ultra-high index lens 13…法線 14…第1実施例における投影レンズ 15…第1実施例における多重焦点DOE 16…互いに凹面を向かい合わせた第1のレンズ群 17…互いに凹面を向かい合わせた第2のレンズ群 18…両レンズ群の間の凸レンズ群 19…第1の結像作用を持つ輪帯 20…第2の結像作用を持つ輪帯 21…第2実施例における多重焦点DOE 22…第1の結像作用を持つ輪帯 23…第2の結像作用を持つ輪帯 24…第3実施例における多重焦点DOE L7、L8…第1のレンズ群を構成するレンズ L12、L13…第2のレンズ群を構成するレンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/42 G02B 13/18 G02B 5/18 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折光学素子を少なくとも1枚含む投影
    レンズ系において、該回折光学素子の中の1枚は複数の
    ゾーンからなり、該複数のゾーンを透過する光束が投影
    レンズ系全体として光軸方向のわずかに異なる少なくと
    も2点の位置に結像するように、前記複数のゾーンが相
    互に異なる結像作用を有し、 前記回折光学素子が、第1の結像作用を持った第1ゾー
    ン群と第2の結像作用を持った第2ゾーン群とを備え、 前記第1ゾーン群と前記第2ゾーン群とが半径方向に交
    互に配置されており、 前記第1ゾーン群と前記第2ゾーン群とが交互に配置さ
    れた回折光学素子は、半径方向の所定位置にて中心領域
    Aと第1周辺領域Bとを形成し、前記中心領域Aと前記
    第1周辺領域Bとの間の境界部分の回折面の形状を半ピ
    ッチ分の接続ズレを与えるように構成されていることを
    特徴とする投影レンズ系。
  2. 【請求項2】 回折光学素子を少なくとも1枚含む投影
    レンズ系において、該回折光学素子の中の1枚は複数の
    ゾーンからなり、該複数のゾーンを透過する光束が投影
    レンズ系全体として光軸方向のわずかに異なる少なくと
    も2点の位置に結像するように、前記複数のゾーンが相
    互に異なる結像作用を有し、 前記回折光学素子が、前記の複数のゾーンを半径方向に
    交互に配置した輪帯分割形状を有すると共に、半径方向
    に向かって境界を備える扇型分割された扇型分割領域
    を複数有し、隣り合う2つの前記扇型分割領域における回折面の形状
    が互いに異なるように、 前記扇型分割領域の各々が形成
    されていることを特徴とする投影レンズ系。
  3. 【請求項3】 前記の光軸方向のわずかに異なる少なく
    とも2点の結像位置の間隔(離れ量)をΔ、そのとき、
    光束の波長をλ、開口数をNAとすると、以下の条件を
    満足し、前記の複数のゾーンを有する回折光学素子は、
    各ゾーンの面積を等しくするように構成されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の投影レンズ系。 0<Δ<3λ/NA 2
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