JP3419080B2 - 回転電機 - Google Patents

回転電機

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、回転電機の冷却ファン
構造にし、例えばオルタネ−タに好適な冷却ファン構造
に関する。
【０００２】
【従来の技術】特開昭６３−２６５５４５号公報は、ロ
ータコアの両端部にシュラウド付の軸流ファンを設置し
たオルタネータを開示している。このシュラウドは各軸
流翼の外周端に固定されて、冷却風が遠心方向へ逸脱す
ることなくロータを良好に冷却するように工夫されてい
る。
【０００３】一方、現在多用されている一般のオルタネ
ータは、ロータコアの端部に遠心ファンを設置してい
る。この遠心ファンは放射状に配設された複数の遠心翼
からなり、この遠心翼から遠心方向へ吹き出される遠心
冷却風により静止状態で冷却条件が悪いステータコイル
のコイルエンドを良好に冷却するよう工夫している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
従来技術の内、前者のオルタネータでは、ステータコイ
ルの冷却が困難となる不具合がある。また後者のオルタ
ネータでは、ステータコイルエンドの回転軸と対向する
面付近の冷却風の屈曲、旋回により生じる渦流によっ
て、流体圧力損失が発生し、冷却風流量の減少を引き起
こす不具合があり、また、遠心翼とステータコイルエン
ドの位置関係により、ステータコイルの冷却性が左右さ
れ、磁気回路設計が制限される。
【０００５】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、冷却風の流体圧力損失を抑えて冷却風流量を増大
させ、且つ、遠心翼とステータコイルエンドの位置関係
に関係なく、ステータコイルを良好に冷却できる回転電
機を提供することを目的としている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本願の第１の発明は、冷
却風吐出窓が周壁に開口されたハウジングと、前記ハウ
ジングの内周面に固定される円筒状のステータコアと、
前記ステータコアに巻装されるステータコイルと、前記
ステータコアの内部に位置し前記ハウジングに回転自在
に支承されるロータコアと、前記ロータコアに巻装され
るロ−タコイルと、前記ロ−タコアの少なくとも一方の
端面に冷却風を発生させる複数の遠心翼からなる冷却フ
ァンとを備えた回転電機において、前記冷却ファンは、
前記各遠心翼を連結してなり、前記冷却風を前記ステー
タコイルエンドの内縁端部方向と外縁端部方向とに分離
するための偏向翼を備える構成としている。
【０００７】また、本願の第２の発明は、前記偏向翼の
外径側の末端部が前記ステータコイルエンドの前記外縁
端部に近接している。その結果、冷却風を内縁端部方向
と外縁端部方向とに効率よく分離することができ、より
冷却性を向上できる。また、本願の第３の発明は、前記
遠心翼がベ−ス部により連結され、このベ−ス部が前記
ロ−タコアの端面に固定されているので、遠心翼のロ−
タコアへの取り付けが容易に行え、安定して固定でき
る。
【０００８】また、本願の第４の発明は、前記ステータ
コイルエンドの前記内縁端部とステ−タコアとの間には
冷却風の通路となる風穴が形成されており、且つ、前記
ロータコアの肩部が略面取り形状を成している。その結
果、ステータコイルエンドの内縁端部付近の冷却風の流
れがスム−ズ化し、冷却性が一層向上できる。また、本
願の第５の発明は、前記偏向翼が前記遠心翼と樹脂にて
一体成形されているので、偏向翼の角度設定が正確にで
き、製造も容易となる。
【０００９】また、本願の第６の発明は、前記回転電機
はオルタネ−タであり、前記ロータコアは複数の爪状磁
極を有し、前記冷却ファンはオルタネ−タの整流装置が
設けられるリア側のファンであるので、冷却風の流れの
悪いオルタネ−タのリア側においても、コイルエンドを
良好に冷却することができる。また、本願の第７の発明
は、前記偏向翼が、前記ロ−タコアの端面側に凸となる
ように湾曲しているので、流体損失が少なく、遠心方向
への風の流れを円滑に行うことができる。
【００１０】また、本願の第８の発明は、前記偏向翼
が、その軸方向断面形状が略くさび状であるので、簡単
な翼形状で冷却風の分離を良好に行うことができる。ま
た、本願の第９の発明は、冷却風吐出窓が周壁に開口さ
れたハウジングと、前記ハウジングの内周面に固定され
る円筒状のステータコアと、前記ステータコアに巻装さ
れるステータコイルと、前記ステータコアの内部に位置
し前記ハウジングに回転自在に支承されるロータコア
と、前記ロータコアに巻装されるロ−タコイルと、前記
ロ−タコアの少なくとも一方の端面に冷却風を発生させ
る複数の遠心翼からなる冷却ファンとを備えた回転電機
において、前記冷却ファンは、前記各遠心翼を周方向に
連結する偏向翼を有し、この偏向翼は軸方向に傾斜し、
前記冷却風を前記ステータコイルエンドの内縁端部と外
縁端部とに導くことを特徴としており、第１の発明と同
様に、冷却風の流体圧力損失を抑えて冷却風流量を増大
させ、且つ、ステータコイルを良好に冷却できる。
【００１１】
【作用及び発明の効果】本願の発明では、各遠心翼を連
結してなり、冷却風をステータコイルエンドの内縁端部
方向と外縁端部方向とに分離するための偏向翼を備えて
いるので、各翼間空間にて遠心方向へ加速された冷却風
の一部は強制的にコイルエンドの回転軸と対向する面を
含む内縁端部方向へ偏向され、これにより、ステータコ
イルエンドの冷却効率を増大させることができる。ま
た、この偏向翼は、コイルエンドの回転軸と対向する面
の付近に生じる渦流の外縁端部への流 出を抑え、ステ
ータコイルエンド外縁端部を冷却する冷却風の流れを円
滑にし、その冷却風量を増大させることができる。
【００１２】
【実施例】本発明の一実施例である回転電機をなす車両
用交流発電機を図１で説明する。まず、この発電機の基
本構成を略述する。フロントフレーム１１とリヤフレー
ム１２からなるフレーム（本発明でいうハウジング）１
は複数の締結ボルト１３で締結されており、フレーム１
は回転軸２を回転自在に支承し、回転軸２にはランデル
型界磁鉄心（本発明でいうロータコア）３１が固定さ
れ、界磁鉄心３１には界磁コイル（本発明でいうロータ
コイル）３２が巻装されている。界磁鉄心３１及び界磁
コイル３２は回転子を構成する。フレーム１の内周面に
は界磁鉄心３１を囲んで電機子鉄心（本発明でいうステ
ータコア）３３が固定され、電機子鉄心３３には電機子
コイル（本発明でいうステータコイル）３４が巻装され
ている。電機子鉄心３３及び電機子コイル３４は固定子
を構成する。
【００１３】リヤフレーム１２の後端面を囲覆してカバ
ー４が固定されており、リヤフレーム１２とカバー４と
の間に電気部品室Ｓが形成されている。電気部品室Ｓに
は整流装置やブラシやレギュレータが収容されている。
エンジンによりプーリー２１を通じて回転軸２をベルト
駆動するとともに、界磁コイル３２に通電して励磁を行
うと、電機子コイル３４で発生した三相交流電圧が整流
装置で三相全波整流されて出力される。
【００１４】以下、本実施例の特徴部分を、図１に示す
断面図、図２に示す回転子の斜視図を参照して説明す
る。回転軸２には界磁鉄心３１を挟んで遠心ファン５及
び遠心ファン６が配設されている。遠心ファン６は８枚
の遠心翼６０からなり、この遠心翼６０はベ−ス部８
に、−体的に形成されており、このベ−ス部８が界磁鉄
心３１の端面に固定されている。。
【００１５】フロントフレーム１１の周壁には多数の冷
却窓ｗ’が周方向へ並んで開口されており、リヤフレー
ム１２の周壁には遠心ファン６を囲んで多数の冷却窓ｗ
が周方向へ並んで開口されている。ファン５により生起
された風は冷却窓ｗ’から吹き出され、ファン６より生
起された風は冷却窓ｗから遠心方向へ吹き出され（図１
にて実線で図示）。
【００１６】各遠心翼６０の間に周方向に形成される翼
間空間には、それぞれ遠心方向に向かうにつれて軸方向
内側へ斜設された偏向翼７が配設されており、各偏向翼
７の両端は各遠心翼６０と樹脂材により一体成形されて
いる。そして各偏向翼７は全体として環状（正確に言え
ば切頭円錐筒形状）に形成されている。これにより、遠
心翼６０で形成された冷却風の一部は各偏向翼７により
軸方向内側（内縁端部方向）へ偏向されて冷却風ａとし
てリヤ側コイルエンド３４Ｒの回転軸に対向する面及び
内縁端部を良好に冷却する。その際、冷却風ａはロ−タ
コア３１の肩部面取り、及びリヤ側コイルエンド３４Ｒ
の根元部の風穴によって形成される通風路を通り、冷却
吐出窓Ｗから遠心方向へ吐出される。また、その一部は
冷却風ｂとして、リヤ側コイルエンド３４Ｒの外縁端部
を冷却し、冷却吐出窓Ｗから吐出される。
そして、各偏向翼７の配置位置及び角度を変更す
ることにより、各遠心翼６０とリヤ側コイルエンド３４
Ｒの位置関係に関係なく、リヤ側コイルエンドを良好に
冷却することができる。 （実施例２）他の実施例を図３を参照して説明する。
【００１７】この実施例は、各偏向翼７の形状及び位置
を除いて実施例１と同じである。この実施例でも、各偏
向翼７は、ほぼリヤ側コイルエンド３４Ｒの外縁端部に
向けて斜設されているが、この翼形状はロ−タコア３１
の端面側に凸となるように形成されている。これによ
り、流体損失が更に低減でき、遠心方向への風の流れを
円滑にできる （実施例３）他の実施例を図４を参照して説明する。
【００１８】この実施例は、各偏向翼７の形状及び位置
を除いて実施例１と同じである。この実施例では、各偏
向翼７の断面は略くさび状（三角形状または台形状）を
有している。そして、その一頂点７０ａは各遠心翼６０
の間の翼間空間内にて冷却風の方向と逆方向へ伸設され
ている。これにより、簡単な翼形状で冷却風が低流体圧
力損失で２つの流れに分離される。
【００１９】上記各実施例では、リヤ側冷却ファンに本
発明を適用したが、これに限定されるものではなく、フ
ロント側の冷却ファンについても同様の効果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】一実施例の車両用交流発電機の断面図である。
【図２】図１のロータの斜視図である。
【図３】他の実施例を示す断面図である。
【図４】更に他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
６ 遠心ファン ７ 偏向翼 ８ ベ−ス部 １１ フロントフレーム（ハウジング） １２ リヤフレーム（ハウジング） ３１ 界磁鉄心（ロータコア） ３３ 電機子鉄心（ステータコア） ３４ ステータコイル ３４Ｒ リヤ側コイルエンド ６０ 遠心翼 ｗ、ｗ’は冷却窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H02K 9/06,3/24

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 冷却風吐出窓が周壁に開口されたハウジ
    ングと、前記ハウジングの内周面に固定される円筒状の
    ステータコアと、前記ステータコアに巻装されるステー
    タコイルと、前記ステータコアの内部に位置し前記ハウ
    ジングに回転自在に支承されるロータコアと、前記ロー
    タコアに巻装されるロ−タコイルと、前記ロ−タコアの
    少なくとも一方の端面に冷却風を発生させる複数の遠心
    翼からなる冷却ファンとを備えた回転電機において、 前記冷却ファンは、前記各遠心翼を連結してなり、前記
    冷却風を前記ステータコイルエンドの内縁端部方向と外
    縁端部方向とに分離するための偏向翼を備えることを特
    徴とする回転電機。
  2. 【請求項２】 前記偏向翼は、その外径側の末端部が前
    記ステータコイルエンドの前記外縁端部に近接している
    ことを特徴とする請求項１記載の回転電機。
  3. 【請求項３】 前記複数の遠心翼は、ベ−ス部により連
    結され、このベ−ス部が前記ロ−タコアの端面に固定さ
    れることを特徴とする請求項１記載の回転電機。
  4. 【請求項４】 前記ステータコイルエンドの前記内縁端
    部と前記ステ−タコアとの間には前記冷却風の通路とな
    る風穴が形成されており、且つ、前記ロータコアの肩部
    が略面取り形状を成していることを特徴とする請求項１
    記載の回転電機。
  5. 【請求項５】 前記偏向翼は前記遠心翼と樹脂にて一体
    成形されていることを特徴とする請求項１記載の回転電
    機。
  6. 【請求項６】 前記回転電機はオルタネ−タであり、前
    記ロータコアは複数の爪状磁極を有し、前記冷却ファン
    はオルタネ−タの整流装置が設けられるリア側のファン
    であることを特徴とする請求項１記載の回転電機。
  7. 【請求項７】 前記冷却ファンの偏向翼は、前記ロ−タ
    コアの端面側に凸となるように湾曲していることを特徴
    とする請求項１記載の回転電機。
  8. 【請求項８】 前記冷却ファンの偏向翼は、その軸方向
    断面形状が略くさび状であることを特徴とする請求項１
    記載の回転電機。
  9. 【請求項９】 冷却風吐出窓が周壁に開口されたハウジ
    ングと、前記ハウジングの内周面に固定される円筒状の
    ステータコアと、前記ステータコアに巻装されるステー
    タコイルと、前記ステータコアの内部に位置し前記ハウ
    ジングに回転自在に支承されるロータコアと、前記ロー
    タコアに巻装されるロ−タコイルと、前記ロ−タコアの
    少なくとも一方の端面に冷却風を発生させる複数の遠心
    翼からなる冷却ファンとを備えた回転電機において、 前記冷却ファンは、前記各遠心翼を周方向に連結する偏
    向翼を有し、この偏向翼は軸方向に傾斜し、前記冷却風
    を前記ステータコイルエンドの内縁端部と外縁端部とに
    導くことを特徴とする回転電機。
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