JP3411499B2 - 耐摩耗性摺動部材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性摺動部材の製造方法

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JP3411499B2
JP3411499B2 JP11091598A JP11091598A JP3411499B2 JP 3411499 B2 JP3411499 B2 JP 3411499B2 JP 11091598 A JP11091598 A JP 11091598A JP 11091598 A JP11091598 A JP 11091598A JP 3411499 B2 JP3411499 B2 JP 3411499B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば遮断器の
操作機構などに多用されるリンク機構の摺動部材の製造
方法に関し、特に、耐摩耗性と機械強度を向上した摺動
材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は特開平6−322557号公報
の従来例として示された従来の摺動部材を示す断面図で
あり、図において、5は摺動部基材、6はグリースであ
る。また、図15は特開昭53−83938号公報に示
された従来の摺動部材を示す断面図であり、図におい
て、7は金属マトリックス、8は潤滑性微粒子、9は硬
質性微粒子である。また、図16は特開昭62−202
027号公報に示された従来の摺動部材を示す断面図で
あり、図において、10はニッケルリン合金層である。
さらに、図17は特開平6−322557号公報に示さ
れた従来の摺動部材を示す断面図であり、図において、
11は耐食性被膜、12は加熱により形成されたNi化
合物である。
【0003】次に動作について説明する。摺動部材が摺
動部基材5のままならば、例えば、リンク機構の摺動部
で、経年的に酸化劣化や腐食などが発生するだけでな
く、異常摩耗、焼付きが発生し、動作不良のような不具
合が発生する。そこで、これらの対策として、図14の
例のように、グリース6を設けることにより、基材5の
耐食性を保つと同時に、摺動部材どうしが接触するのを
避けようとする方法がとられている、また、図15の例
のように、金属マトリックス7中に潤滑性微粒子8と硬
質性粒子9とを共析させることにより、基材5の潤滑性
と耐摩耗性を向上させようとする方法がとられている。
また、図16や図17の例のように、無電解NiPめっ
きや被膜を施した後、めっき膜や被膜を加熱し硬化させ
ることにより、基材の耐食性を保つと同時に耐摩耗性を
向上させようとする方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
の例のように、グリースを塗布したものでは、使用環境
や経年的な酸化により劣化し、これを起因として動作特
性を損なうだけでなく、動作不良を起こすこともあり、
定期的なグリース補給という保守点検をしなければなら
ない等の問題がある。また、図15の例のように、金属
マトリックス中に潤滑性微粒子と硬質性微粒子を共析さ
せたものでは、金属マトリックスの硬度が十分でないた
め、クラックが発生しやすくなり、共析させた潤滑性微
粒子や硬質性微粒子が脱落しやすくなる等の問題があ
る。また、図16や図17の例のように、無電解NiP
めっきや被膜を施した後、加熱硬化させたものでは、基
材が焼き入れ可能な鋼材であった場合にはめっき膜や被
膜の加熱プロセス中に基材が軟化し、基材の機械強度が
低下する等の問題がある。
【0005】この発明は前記のような問題点を解消する
ためになされたもので、リンク機構等の摺動部材にグリ
ースを塗布することなく、耐摩耗性が十分にあるのでメ
ンテナンスなしで長期間に渡って動作特性を安定でき、
機械強度の低下もなく、製作コストの低減ができる耐摩
耗性摺動部材製造方法を提供することを目的とする。
【0006】請求項1に係る発明は、焼き入れした鋼材
を基材とし、NiPめっき、NiBめっき、あるいは、
NiWめっきから形成される膜を前記基材に被膜した
後、基材の軟化温度以下の温度で加熱し、その後冷却
(焼き戻し)し、ニッケルリン化合物、ニッケルボロン
化合物、あるいは、ニッケルタングステン化合物を前記
被膜に析出させ、前記基材の軟化を起こさずに被膜を硬
化させることを特徴とする耐摩耗性摺動部材の製造方法
である。請求項2に係る発明は、焼き入れした鋼材を基
材とし、Al 2 3 、TiO 2 、ZrO 2 、ThO 2 、Si
C、ZrB 2 およびダイヤモンドから選択された硬質粒
子が混濁したNiPめっき、NiBめっき、あるいは、
NiWめっき液中に前記基材を浸漬し、前記硬質粒子を
膜中に分散させためっき膜を前記基材に被膜した後、前
記の被膜が形成された前記基材を軟化温度以下の温度で
加熱した後冷却(焼き戻し)し、前記硬質粒子を分散さ
せたままで、ニッケルリン化合物、ニッケルボロン化合
物、あるいは、ニッケルタングステン化合物を前記被膜
に析出させ、前記基材の軟化を起こさずに被膜を硬化さ
せたことを特徴とする耐摩耗性摺動部材の製造方法であ
る。 請求項3に係る発明は、焼き入れした鋼材を基材と
し、グラファイト、4ふっ化エチレン重合体、2硫化モ
リブデンおよび窒化ボロンから選択された自己潤滑性粒
子が混濁したNiPめっき、NiBめっき、あるいは、
NiWめっき液中に前記基材を浸漬し、前記自己潤滑性
粒子を膜中に分散させためっき膜を前記基材に被膜した
後、前記の被膜が形成された前記基材を軟化温度以下の
温度で加熱した後冷却(焼き戻し)し、前記自己潤滑性
粒子を分散させたままで、ニッケルリン化合物、ニッケ
ルボロン化合物、あるいは、ニッケルタングステン化合
物を前記被膜に析出させ、前記基材の軟化を起こさずに
被膜を硬化させたことを特徴とする耐摩耗性摺動部材の
製造方法である。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】請求項に係る発明の耐摩耗性摺動部材の
製造方法は、硬化のために焼き入れした鋼材の基材に、
NiPめっき、NiBめっき、あるいは、NiWめっき
等から形成される膜を被膜した後、加熱し、その後冷却
し、ニッケルリン化合物、ニッケルボロン化合物、ある
いは、ニッケルタングステン化合物等を被膜中に析出さ
せるので、基材である鋼材の軟化を起こさずに被膜中に
ニッケルリン化合物、もしくは、ニッケルボロン化合
物、あるいは、ニッケルタングステン化合物を析出し、
被膜は硬化し、耐摩耗性がよくなり、リンク機構等が動
作してもメンテナンスなしで長期間安定的に動作を維持
できる。
【0014】
【0015】請求項に係る発明の耐摩耗性摺動部材の
製造方法は、硬化のために焼き入れした鋼材の基材に、
Al23、TiO2、ZrO2、ThO2、SiC、Zr
2、ダイヤモンド等の硬質粒子を分散したNiPめっ
き、NiBめっき、あるいは、NiWめっき等から形成
される膜を被膜した後、加熱し、その後冷却し、ニッケ
ルリン化合物、ニッケルボロン化合物、あるいは、ニッ
ケルタングステン化合物等を被膜中に析出させるので、
基材の鋼材は軟化を起こさずに硬化安定したままで、機
械強度の低下がなく、被膜はニッケルリン化合物、ニッ
ケルボロン化合物、あるいは、ニッケルタングステン化
合物を析出し、被膜は硬化し、かつ、被膜中にはAl2
3、TiO2、ZrO2、ThO2、SiC、ZrB2
ダイヤモンド等の硬質粒子を分散しており、被膜は一層
硬化しており、耐摩耗性が一層よくなり、リンク機構等
が動作してもメンテナンスなしで長期間安定的に動作を
維持できる。
【0016】
【0017】請求項に係る発明の耐摩耗性摺動部材の
製造方法は、硬化のために焼き入れした鋼材の基材に、
グラファイト、4ふっ化エチレン重合体、2硫化モリブ
デン、窒化ボロン等の自己潤滑性粒子を分散したNiP
めっき、NiBめっき、あるいは、NiWめっき等から
形成される膜を被膜した後、加熱し、その後冷却し、ニ
ッケルリン化合物、ニッケルボロン化合物、あるいは、
ニッケルタングステン化合物等を被膜中に析出させるの
で、基材の鋼材は軟化を起こさずに硬化安定したまま
で、機械強度の低下がなく、被膜はニッケルリン化合
物、ニッケルボロン化合物、あるいは、ニッケルタング
ステン化合物を析出し、被膜は硬化し、かつ、被膜中に
はグラファイト、4ふっ化エチレン重合体、2硫化モリ
ブデン、窒化ボロン等の自己潤滑性粒子を分散してお
り、被膜は低摩擦化しており、耐摩耗性や潤滑性がよく
なり、リンク機構等が動作してもメンテナンスなしで長
期間安定的に動作を維持できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。 実施の形態1.(参考例) 実施の形態1.は、耐摩耗性摺動部材の一例であり、図
1はこの発明を示す断面図で、図において、1は浸炭焼
き入れ焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM415(J
IS規格)であり、2はNi3Pを析出した無電解Ni
Pめっき被膜である。
【0019】Ni3Pは硬質であり、Ni3Pを析出した
無電解NiPめっき被膜は実開昭64−45769によ
るとビッカース硬度で約HV800以上もあることが知
られている。また、浸炭焼き入れ焼き戻したクロムモリ
ブデン鋼SCM415の表面からの深さと硬度との関係
を図2に示す。この図から表面ではHV700程度の硬
度を持って硬化していることがわかる。また、この図か
ら、約HV420以上を焼き入れによる硬化層と考える
と、その硬化層は表面下0.9mmの深さまであること
がわかる。なお、いまの場合、無電解NiPめっき被膜
の熱処理をしていない場合のビッカース硬度は約HV4
20(図4から)なので、硬化層の境界を約HV420
とした。
【0020】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、2のNi3Pを析出し
た無電解NiPめっきも基材であるクロムモリブデン鋼
も硬化しているため、耐摩耗性が向上し、長期間に渡っ
てメンテナンスなしで、安定した動作を保つことができ
るようになる。
【0021】実施の形態2.(参考例) 実施の形態2.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形態
であり、前記実施の形態1.との相違点に限って説明す
る。
【0022】前記実施の形態1.では、焼き入れ焼き戻
しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM4
15としたが、SCM418やSCM420やSCM4
21等のクロムモリブデン鋼であればよく、前記実施の
形態1.と同様の効果を奏する。
【0023】実施の形態3.(参考例) 実施の形態3.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形態
であり、前記実施の形態1.との相違点に限って説明す
る。
【0024】前記実施の形態1.では、焼き入れ焼き戻
しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM4
15としたが、SNCM220、SNCM420等のよ
うなニッケルクロムモリブデン鋼や、SNC415、S
NC418等のようなニッケルクロム鋼やSMn42
0、SMn433等のようなマンガンクロム鋼やSCr
415、SCr420等のようなクロム鋼やS15C、
S45C等のような炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻し
が可能な鋼材であればよく、前記実施の形態1.と同様
の効果を奏する。
【0025】実施の形態4.(参考例) 実施の形態4.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形態
であり、前記実施の形態1.との相違点に限って説明す
る。
【0026】前記実施の形態1.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであればよ
く、前記実施の形態1.と同様の効果を奏する。また、
無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきでも前
記実施の形態1.と同様な効果を奏する。
【0027】実施の形態5.(参考例) 実施の形態5.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形態
であり、前記実施の形態1.との相違点に限って説明す
る。
【0028】前記実施の形態1.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態1.と同様の効果を奏する。また、
無電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきでも前
記実施の形態1.と同様な効果を奏する。
【0029】実施の形態6.(参考例) 実施の形態6.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形態
であり、前記実施の形態1.との相違点に限って説明す
る。
【0030】前記実施の形態1.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっきで
あればよく、前記実施の形態1.と同様の効果を奏す
る。また、無電解NiWめっきだけでなく電解NiWめ
っきでも前記実施の形態1.と同様な効果を奏する。
【0031】実施の形態7. 実施の形態7.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺動
部材の製造方法の一例であり、図3はこの発明の製造プ
ロセスを示す図で、図11は従来行われていた製造プロ
セスを示す図である。
【0032】従来の製造プロセスでは、焼き入れ焼き戻
しが可能な鋼材を事前に焼き入れ焼き戻しした後に、め
っき被膜し、その後、めっき被膜の硬化のために加熱処
理する。図4に無電解NiPめっき膜のビッカース硬度
と熱処理温度との関係を示す。図4から、耐摩耗性、す
なわち、被膜の硬度の点では、めっき被膜の加熱処理と
しては約400℃が最適であることがわかる。しかし、
図11に示すように、400℃で加熱処理をすると、基
材が軟化し、軟らかい基材の上に硬いめっき膜が被膜さ
れた構造になる。そのため、リンク機構等の摺動部材の
ように高荷重がかかる部材ではめっき膜に簡単に亀裂が
発生し、めっき膜が剥がれやすくなる。
【0033】図5に浸炭焼き入れしたクロムモリブデン
鋼415を一定温度で4時間だけ焼き戻した場合の硬化
層深さと焼き戻し温度との関係を示す。なお、硬化層は
HV420よりも硬度が高い層と定義した。また、図5
から焼き戻し温度が300℃以上の場合には硬化層が少
なくなっていることがわかる。図6に無電解NiPめっ
き膜の熱処理温度をパラメータとした場合の硬度と熱処
理時間の関係を示す。よって、この場合の基材の軟化温
度は約300℃と考えられる。図6から300℃以下の
熱処理温度でも熱処理時間をかけることにより、めっき
膜は十分に硬化していることがわかる。例えば、200
℃で熱処理するならば、約2000分の時間をかければ
めっき膜は硬化することがわかる。したがって、図3に
示した製造プロセスのように、浸炭焼き入れしたクロム
モリブデン鋼415に無電解NiPめっきを施し、その
後、被膜したクロムモリブデン鋼を200〜300℃で
長時間、熱処理すれば、基材の軟化を生ぜずに被膜の硬
度を上げることが出来ることがわかる。
【0034】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、2のNi3Pを析出し
た無電解NiPめっきも基材であるクロムモリブデン鋼
も硬化しているため、耐摩耗性が向上し、長期間に渡っ
てメンテナンスなしで、安定した動作を保つことができ
るようになる。
【0035】実施の形態8. 実施の形態8.は、請求項に係る発明の摩耗性摺動部
材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の形態
7.との相違点に限って説明する。
【0036】前記実施の形態7では、焼き入れした鋼材
として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、SC
M418やSCM420やSCM421等のクロムモリ
ブデン鋼であればよく、前記実施の形態7.と同様の効
果を奏する。
【0037】実施の形態9. 実施の形態9.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺動
部材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の形
態7.との相違点に限って説明する。
【0038】前記実施の形態7.では、焼き入れした鋼
材として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、S
NCM220、SNCM420等のようなニッケルクロ
ムモリブデン鋼や、SNC415、SNC418等のよ
うなニッケルクロム鋼やSMn420、SMn433等
のようなマンガンクロム鋼やSCr415、SCr42
0等のようなクロム鋼やS15C、S45C等のような
炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻しが可能な鋼材であれ
ばよく、前記実施の形態7.と同様の効果を奏する。
【0039】実施の形態10. 実施の形態10.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態7.と
の相違点に限って説明する。
【0040】前記実施の形態7.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであればよ
く、前記実施の形態7.と同様の効果を奏する。また、
無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきでも前
記実施の形態7.と同様な効果を奏する。
【0041】実施の形態11. 実施の形態11.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態7.と
の相違点に限って説明する。
【0042】前記実施の形態7.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態7と同様の効果を奏する。また、無
電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきでも前記
実施の形態7.と同様な効果を奏する。
【0043】実施の形態12. 実施の形態12.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態7.と
の相違点に限って説明する。
【0044】前記実施の形態7.では、めっき被膜はN
3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッケ
ルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっきで
もよく、前記実施の形態7と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiWめっきだけでなく電解NiWめっきで
も前記実施の形態7と同様な効果を奏する。
【0045】実施の形態13.(参考例) 実施の形態13.は、耐摩耗性摺動部材の一例であり、
図7はこの発明を示す断面図で、図において、1は浸炭
焼き入れ焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM415
(JIS規格)であり、2はNi3Pを析出した無電解
NiPめっき被膜、3はSiCである。
【0046】Ni3Pは硬質であり、Ni3Pを析出した
無電解NiPめっき被膜はビッカース硬度で約HV80
0以上もあることが知られている。また、浸炭焼き入れ
焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM415の表面はH
V700程度の硬度を持って硬化している。また、無電
解NiPめっき膜中のSiCは硬質粒子である。したが
って、基材、被膜ともに硬度が高くなっており、耐摩耗
性がよくなっていることがわかる。
【0047】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、2のNi3Pを析出し
た無電解NiPめっきも基材であるクロムモリブデン鋼
も硬化し、さらに、めっき膜中には硬質粒子であるSi
Cを持っているのため、耐摩耗性が向上し、長期間に渡
ってメンテナンスなしで、安定した動作を保つことがで
きるようになる。
【0048】実施の形態14.(参考例) 実施の形態14.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0049】前記実施の形態13.では、焼き入れ焼き
戻しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM
415としたが、SCM418やSCM420やSCM
421等のクロムモリブデン鋼であればよく、前記実施
の形態13.と同様の効果を奏する。
【0050】実施の形態15.(参考例) 実施の形態15.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0051】前記実施の形態13では、焼き入れ焼き戻
しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM4
15としたが、SNCM220、SNCM420等のよ
うなニッケルクロムモリブデン鋼や、SNC415、S
NC418等のようなニッケルクロム鋼やSMn42
0、SMn433等のようなマンガンクロム鋼やSCr
415、SCr420等のようなクロム鋼やS15C、
S45C等のような炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻し
が可能な鋼材であればよく、前記実施の形態13.と同
様の効果を奏する。
【0052】実施の形態16.(参考例) 実施の形態16.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0053】前記実施の形態13.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであれば
よく、前記実施の形態13.と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきで
も前記実施の形態13.と同様な効果を奏する。
【0054】実施の形態17.(参考例) 実施の形態17.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0055】前記実施の形態13.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態13.と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきで
も前記実施の形態13.と同様な効果を奏する。
【0056】実施の形態18.(参考例) 実施の形態18.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0057】前記実施の形態13.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっき
でもよく、前記実施の形態13.と同様の効果を奏す
る。また、無電解NiWめっきだけでなく電解NiWめ
っきでも前記実施の形態13.と同様な効果を奏する。
【0058】実施の形態19.(参考例) 実施の形態19.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態13.との相違点に限って説
明する。
【0059】前記実施の形態13.では、硬質粒子はS
iCとしたが、Al23、TiO2、ZrO2、Th
2、ZrB2、ダイヤモンド等の硬質粒子であればよ
く、前記実施の形態13.と同様の効果を奏する。
【0060】実施の形態20. 実施の形態20.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の一例であり、図8はこの発明の製造
プロセスを示す図で、図12は従来行われていた製造プ
ロセスを示す図である。
【0061】従来の製造プロセスでは、焼き入れ焼き戻
しが可能な鋼材を事前に焼き入れ焼き戻しした後に、め
っき被膜し、その後、めっき被膜の硬化のために加熱処
理する。図4に無電解NiPめっき膜のビッカース硬度
と熱処理温度との関係を示す。図4から、耐摩耗性、す
なわち、被膜の硬度の点では、めっき被膜の加熱処理と
しては約400℃が最適であることがわかる。このよう
に、無電解NiPめっき膜が400℃で最高に硬化する
現象はめっき液に硬質粒子SiCを分散させた場合も同
様である。しかし、図12に示すように、400℃で加
熱処理をすると、基材が軟化し、軟らかい基材の上に硬
いめっき膜が被膜された構造になる。そのため、リンク
機構等の摺動部材のように高荷重がかかる部材ではめっ
き膜に簡単に亀裂が発生し、めっき膜が剥がれやすくな
る。
【0062】図5に浸炭焼き入れしたクロムモリブデン
鋼415を一定温度で4時間だけ焼き戻した場合の硬化
層深さと焼き戻し温度との関係を示す。なお、硬化層は
HV420よりも硬度が高い層と定義した。また、図5
から焼き戻し温度が300℃以上の場合には硬化層が少
なくなっていることがわかる。図6に無電解NiPめっ
き膜の熱処理温度をパラメータとした場合の硬度と熱処
理時間の関係を示す。図6から300℃以下の熱処理温
度でも熱処理時間をかけることにより、めっき膜は十分
に硬化していることがわかる。例えば、200℃で熱処
理するならば、約2000分の時間をかければめっき膜
は硬化することがわかる。この現象は、無電解NiPめ
っき膜だけのものでなく、硬質粒子を分散させた場合も
同様である。したがって、図8に示した製造プロセスの
ように、浸炭焼き入れしたクロムモリブデン鋼415に
硬質粒子SiCを分散させた無電解NiPめっきを施
し、その後、被膜したクロムモリブデン鋼を200〜3
00℃で長時間、熱処理すれば、基材の軟化を生ぜずに
被膜の硬度を上げることが出来ることがわかる。
【0063】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、めっき膜中のSiCが
硬質なだけでなく、2のNi3Pを析出した無電解Ni
Pめっきも基材であるクロムモリブデン鋼も硬化してい
るため、耐摩耗性が向上し、長期間に渡ってメンテナン
スなしで、安定した動作を保つことができるようにな
る。
【0064】実施の形態21. 実施の形態21.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の
形態20.との相違点に限って説明する。
【0065】前記実施の形態20.では、焼き入れした
鋼材として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、
SCM418やSCM420やSCM421等のクロム
モリブデン鋼であればよく、前記実施の形態20.と同
様の効果を奏する。
【0066】実施の形態22. 実施の形態22.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の
形態20.との相違点に限って説明する。
【0067】前記実施の形態20.では、焼き入れした
鋼材として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、
SNCM220、SNCM420等のようなニッケルク
ロムモリブデン鋼や、SNC415、SNC418等の
ようなニッケルクロム鋼やSMn420、SMn433
等のようなマンガンクロム鋼やSCr415、SCr4
20等のようなクロム鋼やS15C、S45C等のよう
な炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻しが可能な鋼材であ
ればよく、前記実施の形態20.と同様の効果を奏す
る。
【0068】実施の形態23. 実施の形態23.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態20.
との相違点に限って説明する。
【0069】前記実施の形態20.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであれば
よく、前記実施の形態20.と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきで
も前記実施の形態20.と同様な効果を奏する。
【0070】実施の形態24. 実施の形態24.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態20.
との相違点に限って説明する。
【0071】前記実施の形態20.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態20と同様の効果を奏する。また、
無電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきでも前
記実施の形態20.と同様な効果を奏する。
【0072】実施の形態25. 実施の形態25.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態20.
との相違点に限って説明する。
【0073】前記実施の形態20.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっき
であればよく、前記実施の形態20.と同様の効果を奏
する。また、無電解NiWめっきだけでなく電解NiW
めっきでも前記実施の形態20.と同様な効果を奏す
る。
【0074】実施の形態26. 実施の形態26.請求項に係る発明の耐摩耗性摺動部
材の他の実施の形態であり、前記実施の形態20.との
相違点に限って説明する。
【0075】前記実施の形態20.では、硬質粒子はS
iCとしたが、Al23、TiO2、ZrO2、Th
2、ZrB2、ダイヤモンド等の硬質粒子であればよ
く、前記実施の形態20.と同様の効果を奏する。
【0076】実施の形態27.(参考例) 実施の形態27.は、耐摩耗性摺動部材の一例であり、
図9はこの発明を示す断面図で、図において、1は浸炭
焼き入れ焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM415
(JIS規格)であり、2はNi3Pを析出した無電解
NiPめっき被膜、4はふっ化エチレン重合体である。
【0077】Ni3Pは硬質であり、Ni3Pを析出した
無電解NiPめっき被膜はビッカース硬度で約HV80
0以上もあることが知られている。また、浸炭焼き入れ
焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM415の表面はH
V700程度の硬度を持って硬化している。また、無電
解NiPめっき膜中の4ふっ化エチレン重合体は自己潤
滑性粒子であり、潤滑性に優れている。したがって、基
材、被膜ともに硬度が高くなっており、耐摩耗性がよく
なっていることがわかる。
【0078】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、2のNi3Pを析出し
た無電解NiPめっきも基材であるクロムモリブデン鋼
も硬化し、さらに、めっき膜中には自己潤滑性粒子であ
る4ふっ化エチレン重合体を持っているため、潤滑性が
あり、耐摩耗性が向上し、長期間に渡ってメンテナンス
なしで、安定した動作を保つことができるようになる。
【0079】実施の形態28.(参考例) 実施の形態28.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0080】前記実施の形態27では、焼き入れ焼き戻
しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM4
15としたが、SCM418やSCM420やSCM4
21等のクロムモリブデン鋼であればよく、前記実施の
形態27.と同様の効果を奏する。
【0081】実施の形態29.(参考例) 実施の形態29.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0082】前記実施の形態27では、焼き入れ焼き戻
しした鋼材として、浸炭焼き入れ焼き戻ししたSCM4
15としたが、SNCM220、SNCM420等のよ
うなニッケルクロムモリブデン鋼や、SNC415、S
NC418等のようなニッケルクロム鋼やSMn42
0、SMn433等のようなマンガンクロム鋼やSCr
415、SCr420等のようなクロム鋼やS15C、
S45C等のような炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻し
が可能な鋼材であればよく、前記実施の形態27.と同
様の効果を奏する。
【0083】実施の形態30.(参考例) 実施の形態30.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0084】前記実施の形態27.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであれば
よく、前記実施の形態27と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきで
も前記実施の形態27.と同様な効果を奏する。
【0085】実施の形態31.(参考例) 実施の形態31.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0086】前記実施の形態27.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態27.と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきで
も前記実施の形態27.と同様な効果を奏する。
【0087】実施の形態32.(参考例) 実施の形態32.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0088】前記実施の形態27.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっき
であればよく、前記実施の形態27と同様の効果を奏す
る。また、無電解NiWめっきだけでなく電解NiWめ
っきでも前記実施の形態27.と同様な効果を奏する。
【0089】実施の形態33.(参考例) 実施の形態33.は、耐摩耗性摺動部材の他の実施の形
態であり、前記実施の形態27.との相違点に限って説
明する。
【0090】前記実施の形態27.では、自己潤滑性粒
子は4ふっ化エチレン重合体としたが、グラファイト、
2硫化モリブデン、窒化ボロン等の自己潤滑性粒子であ
ればよく、前記実施の形態27.と同様の効果を奏す
る。
【0091】実施の形態34. 実施の形態34.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の一実施の形態であり、図10はこの
発明の製造プロセスを示す図で、図13は従来行われて
いた製造プロセスを示す図である。
【0092】従来の製造プロセスでは、焼き入れ焼き戻
しが可能な鋼材を事前に焼き入れ焼き戻しした後に、め
っき被膜し、その後、めっき被膜の硬化のために加熱処
理する。図4に無電解NiPめっき膜のビッカース硬度
と熱処理温度との関係を示す。図4から、耐摩耗性、す
なわち、被膜の硬度の点では、めっき被膜の加熱処理と
しては約400℃が最適であることがわかる。このよう
に、無電解NiPめっき膜が400℃で最高に硬化する
現象はめっき液に自己潤滑性粒子4ふっ化エチレン重合
体を分散させた場合も同様である。しかし、図13に示
すように、400℃で加熱処理をすると、基材が軟化
し、軟らかい基材の上に硬いめっき膜が被膜された構造
になる。そのため、リンク機構等の摺動部材のように高
荷重がかかる部材ではめっき膜に簡単に亀裂が発生し、
めっき膜が剥がれやすくなる。
【0093】図5に浸炭焼き入れしたクロムモリブデン
鋼415を一定温度で4時間だけ焼き戻した場合の硬化
層深さと焼き戻し温度との関係を示す。なお、硬化層は
HV420よりも硬度が高い層と定義した。また、図5
から焼き戻し温度が300℃以上の場合には硬化層が少
なくなっていることがわかる。図6に無電解NiPめっ
き膜の熱処理温度をパラメータとした場合の硬度と熱処
理時間の関係を示す。図6から300℃以下の熱処理温
度でも熱処理時間をかけることにより、めっき膜は十分
に硬化していることがわかる。例えば、200℃で熱処
理するならば、約2000分の時間をかければめっき膜
は硬化することがわかる。この現象は、無電解NiPめ
っき膜だけのものでなく、自己潤滑性粒子を分散させた
場合も同様である。したがって、図10に示した製造プ
ロセスのように、浸炭焼き入れしたクロムモリブデン鋼
415に自己潤滑性粒子4ふっ化エチレン重合体を分散
させた無電解NiPめっきを施し、その後、被膜したク
ロムモリブデン鋼を200〜300℃で長時間、熱処理
すれば、基材の軟化を生ぜずに被膜の硬度を上げること
が出来ることがわかる。
【0094】いま、リンク機構等の動作が行われると、
機構内の摺動部材が摺動するが、めっき膜中の4ふっ化
エチレン重合体が潤滑性を示すだけでなく、2のNi3
Pを析出した無電解NiPめっきも基材であるクロムモ
リブデン鋼も硬化しているため、耐摩耗性が向上し、長
期間に渡ってメンテナンスなしで、安定した動作を保つ
ことができるようになる。
【0095】実施の形態35. 実施の形態35.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の
形態34.との相違点に限って説明する。
【0096】前記実施の形態34.は、焼き入れした鋼
材として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、S
CM418やSCM420やSCM421等のクロムモ
リブデン鋼であればよく、前記実施の形態34.と同様
の効果を奏する。
【0097】実施の形態36. 実施の形態36.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の製造方法の他の実施の形態であり、前記実施の
形態34.との相違点に限って説明する。
【0098】前記実施の形態34.では、焼き入れした
鋼材として、浸炭焼き入れしたSCM415としたが、
SNCM220、SNCM420等のようなニッケルク
ロムモリブデン鋼や、SNC415、SNC418等の
ようなニッケルクロム鋼やSMn420、SMn433
等のようなマンガンクロム鋼やSCr415、SCr4
20等のようなクロム鋼やS15C、S45Cのような
炭素鋼等のような焼き入れ焼き戻しが可能な鋼材であれ
ばよく、前記実施の形態34.と同様の効果を奏する。
【0099】実施の形態37. 実施の形態37.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態34.
との相違点に限って説明する。
【0100】前記実施の形態34.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルリン化合物を析出した無電解NiPめっきであれば
よく、前記実施の形態34.と同様の効果を奏する。ま
た、無電解NiPめっきだけでなく電解NiPめっきで
も前記実施の形態34.と同様な効果を奏する。
【0101】実施の形態38. 実施の形態38.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態34.
との相違点に限って説明する。
【0102】前記実施の形態34.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルボロン化合物を析出した無電解NiBめっきでもよ
く、前記実施の形態34と同様の効果を奏する。また、
無電解NiBめっきだけでなく電解NiBめっきでも前
記実施の形態34.と同様な効果を奏する。
【0103】実施の形態39. 実施の形態39.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態34.
との相違点に限って説明する。
【0104】前記実施の形態34.では、めっき被膜は
Ni3Pを析出した無電解NiPめっきとしたが、ニッ
ケルタングステン化合物を析出した無電解NiWめっき
であればよく、前記実施の形態34.と同様の効果を奏
する。また、無電解NiWめっきだけでなく電解NiW
めっきでも前記実施の形態34.と同様な効果を奏す
る。
【0105】実施の形態40. 実施の形態40.は、請求項に係る発明の耐摩耗性摺
動部材の他の実施の形態であり、前記実施の形態34.
との相違点に限って説明する。
【0106】前記実施の形態34では、自己潤滑性粒子
は4ふっ化エチレン重合体としたが、グラファイト、2
硫化モリブデン、窒化ボロン等の自己潤滑性粒子であれ
ばよく、前記実施の形態34と同様の効果を奏する。
【0107】
【発明の効果】請求項1に係る耐摩耗性摺動部材の製造
方法は、硬化のために焼き入れした鋼材の基材にめっき
被膜した後、200〜300℃の低温で4時間以上の長
時間の加熱、冷却しているので、基材は軟化せず、被膜
中にニッケルリン化合物、もしくは、ニッケルボロン化
合物、あるいは、ニッケルタングステン化合物等を析出
させ、被膜は硬化、耐摩耗性がよくなる効果がある。
た、請求項2に係る耐摩耗性摺動部材の製造方法は、硬
化のために焼き入れした鋼材の基材にめっき被膜した
後、200〜300℃の低温で4時間以上の長時間の加
熱、冷却しているので、基材は軟化せず、被膜中にニッ
ケルリン化合物、もしくはニッケルボロン化合物、ある
いは、ニッケルタングステン化合物等を析出させ、被膜
は硬化、耐摩耗性がよくなる効果がある。また、被膜中
にはAl 2 3 、TiO 2 、ZrO 2 、ThO 2 、SiC、
ZrB 2 、ダイヤモンド等の硬質粒子を分散しており、
被膜は一層硬化しており、耐摩耗性が一層よくなる効果
がある。 また、請求項3に係る耐摩耗性摺動部材の製造
方法は、硬化のために焼き入れした鋼材の基材にめっき
被膜した後、200〜300℃の低温で4時間以上の長
時間の加熱、冷却しているので、基材は軟化せず、被膜
中にニッケルリン化合物、もしくはニッケルボロン化合
物、あるいは、ニッケルタングステン化合物等を析出さ
せ、被膜は硬化し、耐摩耗性がよくなる効果がある。ま
た、被膜中にはグラファイト、4ふっ化エチレン重合
体、2硫化モリブデン、窒化ボロン等の自己潤滑性粒子
を分散しているので、被膜は潤滑性がよくなり、より安
定した動作になる効果がある。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1.による耐摩耗性摺動部材の断
面図である。
【図2】 実施の形態1.による浸炭焼き入れ焼き戻し
たクロムモリブデン鋼SCM415の表面からの深さと
硬度との関係を示す図である。
【図3】 請求項の発明に対応した実施の形態7.に
よる耐摩耗性摺動部材の製造方法を示す製造プロセス図
である。
【図4】 実施の形態7.による無電解NiPめっき膜
のビッカース硬度と熱処理温度との関係を示す図であ
る。
【図5】 実施の形態7.による浸炭焼き入れしたクロ
ムモリブデン鋼415を一定温度で4時間だけ焼き戻し
た場合の硬化層深さと焼き戻し温度との関係を示す図で
ある。
【図6】 実施の形態7.による無電解NiPめっき膜
の熱処理温度をパラメータとした場合の硬度と熱処理時
間の関係を示す図である。
【図7】 実施の形態13.による耐摩耗性摺動部材の
断面図である。
【図8】 請求項の発明に対応した実施の形態20.
による耐摩耗性摺動部材の製造方法を示す製造プロセス
図である。
【図9】 実施の形態27.による耐摩耗性摺動部材の
断面図である。
【図10】 請求項の発明に対応した実施の形態3
4.による耐摩耗性摺動部材の製造方法を示す製造プロ
セスを示す図である。
【図11】 従来例の耐摩耗性摺動部材の製造方法を示
す製造プロセス図である。
【図12】 従来例の耐摩耗性摺動部材の製造方法を示
す製造プロセス図である。
【図13】 従来例の耐摩耗性摺動部材の製造方法を示
す製造プロセス図である。
【図14】 従来例の摺動部材を示す断面図である。
【図15】 他の従来例の摺動部材を示す断面図であ
る。
【図16】 他の従来例の摺動部材を示す断面図であ
る。
【図17】 他の従来例の摺動部材を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 浸炭焼き入れ焼き戻したクロムモリブデン鋼SCM
415、2 Ni3Pを析出した無電解NiPめっき被
膜、3 SiC、4 4ふっ化エチレン重合体、5 摺
動部基材、6 グリース、7 金属マトリックス、8
潤滑性微粒子、9 硬質性微粒子、10 ニッケルリン
合金層、11 耐食性被膜、12 加熱により形成され
たNi化合物。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−20982(JP,A) 特開 平6−322557(JP,A) 特開 平3−138374(JP,A) 特開 平8−134659(JP,A) 特開 平7−102383(JP,A) 特開 昭63−153282(JP,A) 特開 平6−313434(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/52

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼き入れした鋼材を基材とし、NiPめ
    っき、NiBめっき、あるいは、NiWめっきから形成
    される膜を前記基材に被膜した後、基材の軟化温度以下
    の温度で加熱し、その後冷却(焼き戻し)し、ニッケル
    リン化合物、ニッケルボロン化合物、あるいは、ニッケ
    ルタングステン化合物を前記被膜に析出させ、前記基材
    の軟化を起こさずに被膜を硬化させることを特徴とする
    耐摩耗性摺動部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼き入れした鋼材を基材とし、Al
    23、TiO2、ZrO2、ThO2、SiC、ZrB2
    よびダイヤモンドから選択された硬質粒子が混濁したN
    iPめっき、NiBめっき、あるいは、NiWめっき液
    中に前記基材を浸漬し、前記硬質粒子を膜中に分散させ
    ためっき膜を前記基材に被膜した後、前記の被膜が形成
    された前記基材を軟化温度以下の温度で加熱した後冷却
    (焼き戻し)し、前記硬質粒子を分散させたままで、ニ
    ッケルリン化合物、ニッケルボロン化合物、あるいは、
    ニッケルタングステン化合物を前記被膜に析出させ、前
    記基材の軟化を起こさずに被膜を硬化させたことを特徴
    とする耐摩耗性摺動部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼き入れした鋼材を基材とし、グラファ
    イト、4ふっ化エチレン重合体、2硫化モリブデンおよ
    び窒化ボロンから選択された自己潤滑性粒子が混濁した
    NiPめっき、NiBめっき、あるいは、NiWめっき
    液中に前記基材を浸漬し、前記自己潤滑性粒子を膜中に
    分散させためっき膜を前記基材に被膜した後、前記の被
    膜が形成された前記基材を軟化温度以下の温度で加熱し
    た後冷却(焼き戻し)し、前記自己潤滑性粒子を分散さ
    せたままで、ニッケルリン化合物、ニッケルボロン化合
    物、あるいは、ニッケルタングステン化合物を前記被膜
    に析出させ、前記基材の軟化を起こさずに被膜を硬化さ
    せたことを特徴とする耐摩耗性摺動部材の製造方法。
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