JP3399943B2 - 癌胎児性抗原を発現する組換えウイルスとその使用方法 - Google Patents

癌胎児性抗原を発現する組換えウイルスとその使用方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の技術分野 本発明は一般に組換えウイルスに関する。詳しくは本
発明は癌胎児性抗原が挿入された組換えワクシニアウイ
ルスなどのウイルスのベクターおよび活性免疫応答を誘
発するその使用方法に関する。
背景技術の情報 癌胎児性抗原(CEA)は、多数の原発性および転移性
の結腸直腸腫瘍を含む大部分の胃腸癌で発現され,およ
び非常に低濃度ではあるがいくつかの正常な内胚葉で誘
導される組織にもみとめられる高度にグリコシル化され
た180,000ダルトンのタンパク質である。
CEAは1965年にはじめて報告されたがその遺伝子は単
離されていなかった。そしてその配列は1987年になって
決定された(Oikawaら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,14
2巻、511〜518頁、1987年参照)。CEAは腫瘍関連の抗原
の中で最も広く研究されているものの一つである。CEA
は原発性腫瘍の切除を行った後に手術後患者を監視する
のに臨床上利用されてきた。さらに、抗CEAモノクロー
ナル抗体(MAb)は、原発性結腸腫瘍の診断画像化およ
び転移性疾患のimmunolocalizationに利用して成功して
きた(例えばSikorskaら、Cancer Det.Prev.,12巻、321
〜355頁、1988年;C.W.Vogel編集“Immunoconjugates:An
tibody Conjugates in Radioimaging and Therapy of C
ancer"259〜280頁、米国、ニューヨーク:Oxford Univer
sity Press,1987年のGoldenbergらの論文“Cancer diag
nosis and therapy with radiolabeled antibodies";Ma
chら、Immunol.Today,2巻、239〜249頁、1981年参
照)。
CEAは、ヒト内でごく弱い免疫原性であると一般に考
えられているが(正常なヒトまたは癌患者においてCEA
に対する体液性もしくは細胞性の免疫が存在するという
証拠は見出されていない)、本発明は、生体内で例えば
腫瘍の免疫治療時に抗CEA応答を誘発する、CEAの強力な
免疫原との同時表示(co−presentation)に関する。
ワクシニアウイルスは高度に免疫原性で体液性応答と
細胞性応答の両方を刺激し、腫瘍抗原を、主要細胞組織
適合性複合体抗原とともに提供することもできる。さら
に組換えワクシニアウイルスを生体内で使用すること
は、その安全性、効力、および価格から有利である。こ
のウイルスの毒力は、このウイルスの異なる株を使うこ
とによって減らすことができ;このウイルスのチミジン
キナーゼ(TK)遺伝子またはその一部を欠失させると高
度に減弱されたワクシニアウイルスが得られ;そのウイ
ルスは長期間にあたって安定なので多数のヒトに容易に
投与することができ;ワクシニアでベクター化したワク
チン(vaccinia−vectored vaccine)の開発費用は他の
多くのワクチン開発方法より少なく;および組換えワク
シニアウイルスは、これと同時表示された抗原の免疫原
性を低下させることなく、ワクシニアウイルスに予め暴
露された個体に使用できる。
組換えワクシニアウイルス構造体は、従来、B型肝
炎、単純疱疹ウイルス、パラインフルエンザ3型、およ
びラッサ熱ウイルスを含む各種の感染疾患に対して製造
され有効に利用されてきた(Mossら、Nature,311巻、67
〜69頁、1984年;Wachsmanら、Biosci.Rep.,8巻、323〜3
34頁、1988年;spriggsら、J.Virol.,62巻、1293〜1296
頁、1988年;Fisher−Hochら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,8
6巻、317〜321頁、1989年それぞれを参照)。腫瘍対抗
防護(tumor challenge protection)も、同様に組換え
ワクシニアウイルスを用いて動物モデルで示されている
(Latheら、Nature(London),326巻、878〜880頁、198
7年;Bernardsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,84巻、6854〜
6858頁、1987年;Estinら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,85
巻、1052〜1056頁、1988年参照)。
本発明は、組換えCEAワクシニアウイルスを使用する
ことからなる、胃腸癌などのCEAを発現する癌を含む、C
EAタンパク質を発現する癌の治療方法を提供するもので
ある。“癌を治療すること”とは、CEAに対する免疫応
答を誘発する組換えCEA/ワクシニアウイルスを患者に投
与する(免疫化または予防接種)ことによって、CEAを
発現する癌細胞に対して免疫系を刺激することであると
定義する。
発明の要約 本発明は、ヒト腫瘍関連抗原CEAを発現する組換えウ
イルスおよびその使用法に関する。本発明にしたがって
製造されるウイルス構造体は抗CEAモノクローナル抗体
によって認識されるタンパク質産物(CEA)を発現す
る。さらに本発明の組換えウイルスは、生体内で使用す
ると、CEAに対して体液性免疫応答および/または細胞
性応答を誘発する。
本発明の好ましい実施態様は、相同的組換えによっ
て、ワクシニアウイルスのゲノムに、2.4キロベース(k
b)のCEAのSma I制限エンドヌクレアーゼフラグメント
を挿入することによって構築されたRV−CEAと呼ばれる
組換えCEAワクシニアウイルスで構成されている。なお
上記のフラグメントは、CEAに対する完全なコーディン
グ配列、すなわち51と31の非翻訳領域の両方の部分を含
有する2,106個のヌクレオチドのコーディング領域を含
有している。得られたウイルスは、感染した細胞の表面
上にCEAを発現する。
この発明の他の態様として、本願に開示された一般原
理にしたがって製造されたRV−CEA構造体または他のワ
クシニアウイルス−CEA構造体は、CEAを発現するヒトの
癌を治療する際の治療剤として役立つと考えられる。
図面の簡単な説明 図1はRSC 11−CEAプラスミド構造体の概略図であ
る。異種遺伝子セグメントを挿入するSma I制限部位
は、ウイルスプロモーターをクローン化遺伝子とつなぐ
ワクシニアp7.5プロモーターと並んでいる。β−ガラク
トシダーゼをコードされるイー・コリ(E.coli)LacZ遺
伝子はワクシニアウイルスp11プロモーターの調節下に
ある。LacZ遺伝子とSma Iクローニング部はともに右(T
K−R)と左(TK−L)のワクシニアチミジンキナーゼ
(TK)遺伝子配列のセグメント内に含まれている。これ
らのウイルス配列は、組換えプラスミドの野性型ワクシ
ニアTK遺伝子への挿入を導く、ワクシニアTKは非必須ウ
イルス遺伝子であるが、RSC 11クローニングプラスミド
と相同的組換えを行うとTK欠失ウイルスが得られる(図
1A)。挿入遺伝子セグメントは、5′非翻訳領域の95個
の塩基対、3′非翻訳領域の264個の塩基対、およびコ
ーディング配列の2,106個の塩基対を含有するCEAのcDNA
クローンである。P1とP2はPCR DNA増幅に用いられるプ
ライマーである。そのcDNAはPSC−11 Sma Iクローニン
グ部位に平滑末端連結を行った(図1B)。得られたキメ
ラ構造体はRSC 11−CEAと呼称されるが、Bam H1による
制限エンドヌクレアーゼマッピングによって配向させ
た。
図2は組換えワクシニアCEAで誘発されたプラークを
示す。これらの組織培養プレートは、(A)野性型ウイ
ルスすなわちV−WR、または(B)組換えワクシニア−
CEAウイルスすなわちRv−CEAを感染させたHuTK 143B細
胞の集密単層を示す。そのウイルス感染は25μl/mlのBU
DRおよび300μg/mlのX−Galを補充した培地で伝播させ
た。組換えウイルスはこれらの条件下で明確な青色のプ
ラークを生成する。
図3は組換えワクシニア−CEAウイルスのサザーンブ
ロット分析の結果を示す。Hind IIIで消化したV−WRと
Rv−CEAは、(A)放射能標識を付けたワクシニアウイ
ルスDNAプローブまたは(B)放射能標識を付けたβ−
ガラクトシダーゼDNAプローブとハイブリッドを形成し
た。サザーンブロット(A)は、Rv−CEA構造体中に、
5.1キロベース(kb)のHind III jフラグメントが欠如
していることを示している、サザーンブロット(B)
は、ワクシニアHind III jフラグメント中に、組換えプ
ラスミド構造体を示すβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含
有する9.2キロベース(kb)のHind IIIフラグメントが
存在していることを示している。
図4は直接プラークハイブリッド形成による組換えウ
イルスの検出を示す。(A)V−WR,(B)Rv−CEA,ま
たは(C)組換えワクシニア−β−ガラクトシダーゼウ
イルスを細胞単層からナイロン膜に転移させて放射能標
識をつけたCEAプローブとハイブリッドを形成させた。
図5は組換えワクシニア−CEAのポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)分析の結果である。ウイルスのプラークを小
ようじで取出し、CEA遺伝子の5′−および3′−末端
で構築したプライマーを用いてPCR分析に付した。PCR反
応生成物の一部を電気泳動に付し、ナイロン膜にブロッ
トし、次いで放射能標識を付けたCEAプローブとハイブ
リッドを形成させた。レーン1はCEA−陽性の対照;レ
ーン2〜9は個々の組換えワクシニア(Rv−CEA)ウイ
ルスの単離株;レーン10は野生型(V−WR)を示す。
図6は免疫蛍光染色法で抗−CEA Mab COL−1を用い
る細胞中のCEAの免疫検定の結果、およびワクシニアウ
イルスを感染させた細胞単層の対応する光学顕微鏡写真
を示す。パネル(A)は組換えワクシニア(Rv−CEA)
を感染させたHuTK−143B細胞の光学顕微鏡写真である。
パネル(B)は、組換えワクシニア(Rv−CEA)を感染
させてMab COL−1で処理したHuTK−143B細胞を免疫蛍
光染色したものを示す。パネル(C)は野生型(V−W
R)を感染させたHuTK143B細胞の光学顕微鏡写真であ
る。パネル(D)は、野生型(V−WR)を感染させてMa
b COL−1で処理した細胞を免疫蛍光染色したものを示
す。パネル(E)は組換えワクシニア(Rv−CEA)を感
染させたHuTK143B細胞の光学顕微鏡写真である。パネル
(F)は組換えワクシニア(Rv−CEA)を感染させてMab
B72.3で処理したHuTK143B細胞を免疫蛍光染色したもの
を示す。
図7は野生型ウイルスおよび組換えCEA−ワクシニア
ウイルスで免疫化したマウスの抗−CEA抗体応答を比較
している。8週齢のC57/BL6マウス10頭づつのグループ
を、ワクシニアウイルス(V−WR)またはその組換え誘
導体(Rv−CEA)1×108pfuを含有する粗製溶液100μl
の腹腔内注射を3回14日間隔で行って免疫化した。血清
試料を、一次免疫化を行ってから2週間後と、三次免疫
化を行ってから1週間後に収集した。抗−CEA抗体を酵
素結合イムノソルベント検定法(ELISA法)で定量し
た。
図8はヒトCEAを形質同入されてそれを発現するマウ
ス腺癌細胞系の増殖に対する、組換えCEA−ワクシニア
構造体の投与の効果を示す。10頭のC57/B16雌マウスか
らなる群に、CEAを発現するマウス結腸癌MCA38腫瘍細胞
2×105を皮下注射した。7日後に、これらマウスに、
尾部の乱切法によって、野生型(V−WR)ワクシニアま
たは組換え(Rv−CEA)ワクシニア1×1010pfuの10μl
を投与し、次いで14日間づつ間隔をおいて2回追加の接
種を行った。皮下の腫瘍を一週間毎に、2方向の寸法を
側定し;式:幅×長さ÷2によってその容積を計算し
た。パネル(A)は、野生型ワクシニア(V−WR)ウイ
ルスを接種された10頭の個々のマウスの腫瘍の増殖を示
す。パネル(B)は、ヒトCEAを含有する組換えワクシ
ニア(Rv−CEA)ウイルスを接種された10頭の個々のマ
ウスの腫瘍の増殖を示す。
図9は、組換えCEAワクシニア構造体を用いて3回免
疫化した後のヒトCEAを形質導入されてヒトCEAを発現す
るマウス腺癌細胞系の皮下増殖の阻害を示す。10頭のC5
7/B16雌マウスからなる群を、尾部の乱切法にて、粗製
野生型ワクシニア(V−WR)または組換えワクシニア
(Rv−CEA)の10μlで免疫化した。各免疫化は14日間
隔で行った。予防接種を−30日、−16日、−2日目に行
った。最後の免疫化を行ってから2日目に、ヒトCEAを
発現するMCA38結腸癌細胞2×105を皮下に移植した。パ
ネル(A)は野生型(V−WR)ウイルスで免疫化された
10頭の個々の動物の腫瘍の増殖を示す。パネル(B)は
ヒトCEAを含有する組換えワクシニア(Rv−CEA)ウイル
スで免疫化した10頭の動物の腫瘍の増殖を示す。
図10は、ヒトCEAを発現するマウス腺癌細胞系の増殖
に対する、組換えCEAワクシニア構造体と組合わせたシ
クロホスファミド投与の効果を示す。C57/BL6雌マウス
に、腫腫を移植する2日前に、腹腔内注射までシクロホ
スファミド(100mg/kg)を投与した。ヒトCEAを発現す
るMCA38腺癌細胞2×105を皮下注射で移植し、2日後
に、尾部乱切法で、野生型ワクシニア(V−WR)または
組換えワクシニア(Rv−CEA)の1×1010pfuの10μlを
投与し、続いて14日間づつ間隔をおいて2回追加の接種
を行った。皮下の腫瘍を1週間毎に2方向の寸法を測定
し、容積を計算した。パネル(A)は、シクロホスファ
ミドを投与されかつ野生型ワクシニア(V−WR)ウイル
スを接種された10匹の個々のマウスの腫瘍の増殖を示
す。パネル(B)は、ヒトCEAを含有する組換えワクシ
ニア(Rv−CEA)ウイルスを接種した10頭の個々のマウ
スの腫瘍の増殖を示す。矢印はワクシニア接種の日を示
す。
図11は、ヒトCEAを発現するマウス腺癌細胞系の増殖
に対する、組換えヒトインターロイキン−2(rh IL−
2)および組換えCEAワクシニア構造体の投与の効果を
示す。5頭づつのマウスからなる群にヒトCEAを発現す
る2×105のMCA38マウス腺癌細胞を移植した。組換えヒ
トインターロイキン−2(rh IL−2)は、1日に2回
づつ腹腔内注射(25,000単位/注射)で、腫瘍移植後+
1,+2,+3,+4日後に投与した。野生型ワクシニア(V
−WR)ウイルスまたは組換えワクシニア(Rv−CEA)ウ
イルスの1×1010pfuの10μlを、尾部乱切法によって
腫瘍移植+2日後に投与した。2回の追加の免疫化を14
日間の間隔をおいて行った。矢印は免疫化の日を示し、
星印は組換えヒトインターロイキン−2(rh IL−2)
を注射した日を示す。パネル(A)は組換えヒトインタ
ーロイキン−2(rh IL−2)だけを投与された動物の
腫瘍の増殖を示す。パネル(B)は、rh IL−2と野生
型ワクシニアウイルス(V−WR)を42日間にわたって投
与された動物の腫瘍の増殖を示す。パネル(C)はrh I
L−2と組換えワクシニア(Rv−CEA)ウイルスを投与さ
れた動物の腫瘍の増殖を示す。
図12は、移植された、ヒトCEAを発現するマウス腺癌
細胞系の増殖に対する、組換えCEAワクシニア構造体の
事前の予防接種の効果を示す。10頭づつの群のマウス
に、尾部乱切法で、V−NYC(パネルAとC)またはrV
(NYC)−CEA(パネルBとD)の107pfuの10μlを予防
接種した。3回の予防接種を14日間隔で行った。最後の
予防接種を行ってから7日後(0日)に、2×105の腫
瘍細胞を、皮下接種によって移植した。パネルAとB
は、非CEA発現性細胞系NC38の増殖速度を示し、パネル
CとDはCEA発現性腫瘍すなわちMC−38−CEA−2の増殖
速度を示す。二方向の測定を一週間毎に行った。
図13は、CEAを形質導入されたかまたは導入されなか
ったMC−38マウス結腸腺癌を有するマウスのrV(NYC)
−CEAによる治療を示す。10頭づつのマウスの群に、2
×105のMC−38細胞(パネルAとB)またはCEAを形質導
入されたMC−38−CEA−2細胞(パネルCとD)を皮下
に注射した(0日)。7日後、動物に尾部乱切法で、V
−NYC(パネルAとC)またはrV(NYC)−CEA(パネル
BとD)の107pfuの10μlをワクチン注射した。2回の
追加の予防接種を14日間間隔をおいて、21日目と35日目
に行った。腫瘍を2方向について一週間毎に測定した。
図14は、サルに組換えワクシニアウイルスを接種した
際の抗体応答を示す。動物に、1日目、42日目、84日目
に(矢印)、V−NYC(白記号)またはrV(NYC)−CEA
(黒記号)を予防接種した。抗CEA抗体を、異なる時点
でELISA法によって定量した。
図15は、rV−CEAで誘発されたサルの抗血清によるヒ
トPBMCのADCC活性の特異性を示す。(A)rV−CEAを2
回接種したサルから得た血清を、CEAタンパク質を発現
するマウス腫瘍細胞に対する活性についてADCC検定法で
試験した。ヒトPBMCを添加する前に、標的細胞(1×10
4)は、免疫剤血清の1:50希釈液(白記号)または2回
目の免疫化後21日目に得られた血清(黒記号)とともに
37℃にて1時間、前インキュベーションを行った。血清
は、CEAでトランスフェクトされたマウス結腸癌細胞系
(四角記号)または形質導入されなかった対照の腫瘍細
胞(円形記号)に対するADCC活性について試験した。
(B)はヒトエフェクター細胞を18時間IL−2(100U/m
l)で前処理したことを除いて(A)に同じである。血
清は、CEAでトランスフェクトされたマウス結腸癌細胞
系に対するADCC活性について試験した。
特定の実施態様の詳細な説明 本発明は、癌胎児性抗原(CEA)が挿入されているワ
クシニアウイルスなどのウイルスのベクターを含有する
組換えウイルスであって、そのウイルスに感染した細胞
の表面にCEAまたはその抗原性フラグメントを発現し、
かつCEAおよびCEAを発現する細胞に対して生体内で免疫
応答を誘発する組換えウイルスに関する。ワクシニアウ
イルスは、好ましくは、CEAもしくはその免疫原性フラ
グメントが挿入もしくは組換えられているV−WRもしく
はNYCの株のウイルスであり、または他の弱毒ヒトワク
シニアウイルス株を用いることができる。免疫原として
用いる組換えワクシニア製剤の製造については例えば米
国特許第4,722,848号と同第5,017,487号およびPCT特許
願公開第WO87/022038号に記載されている。なおこれら
の文献は本願に援用するものである。このワクシニアウ
イルスは、CEAの発現を増大するプロモーター、例えば
プラスミドPMJ601の合成の後期プロモーターを含有して
いる。(Davison,A.J.およびMoss,B.,Nucl.Acids Res.,
18巻、4285〜4286頁、1990年)。当業者にとって明らか
なように他のウイルスベクターも使用することができ
る。これらのウイルスとしては例えば、CEAまたはその
所望の免疫原性部分をコードするDNAが挿入されている
バキュロウイルス(例えばヨーロッパ特許第228036号に
報告されている)、ヒトアデノウイルス、SV40、鶏痘ま
たはウシ乳頭腫ウイルスがある。本発明に用いられる他
のベクターとしては、サルモネラ(Salmonella)属の細
菌〔例えばサルモネラ・ティフィ(Salmonella typh
i)〕およびBCG(Bacille Calmette Guerin)(Stover
ら、Nature,351巻、456〜460頁、1991年に製造されてい
る。なおこの文献は本願に援用するものとする)のベク
ターがある。
さらにCEAは単一もしくは多数の免疫優性のT細胞エ
ピトープを含有していてもよい。Rv−CEAからなるCEA/
ワクシニアウイルスは、ATCCに受託番号第VR2323号で寄
託されている。CEAの配列はOikawaら、Biochem.Biophy
s.Res.Comm.,142巻、511〜518頁、1987年に報告されて
おり、ヒトCEAをコードするcDNAクローンの特性決定結
果はZimmermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.,84巻、2960〜2
964頁、1987年に記載されている。なおこれらの文献は
本願に援用するものとする。本発明に用いるために、こ
れらの配列は、CEAの配列の全体または抗原性部分から
誘導することができる。ヌクレオチドまたはアミノ酸配
列は変えてもよく、または同定された抗原性部分は当該
技術分野の当業者にとって周知の技術にしたがって本発
明の組換えワクチン製剤に挿入される。
他の実施態様において、本発明は上記の組換えウイル
スおよび医薬として許容される希釈剤、担体もしくは賦
形剤からなる医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物
は、投与の経路によって選択された量の組換えCEA/ワク
シニアウイルスを含有している。好ましい投与経路とし
ては、静脈内、腹腔内、皮膚すりこみ、経口、皮下また
は皮膚内の経路がある。当該技術分野の当業者は、特定
の治療方法において投与すべき量は容易に決定できるこ
とが分かるであろう。適切な量は、105pfu〜109pfuの範
囲に入ると考えられる。
他の実施態様について、本発明は、癌の細胞がCEAを
発現する癌にかかっている患者に上記組換えウイルスを
投与することからなる該患者を治療する方法に関する。
さらに具体的に述べると、その癌の細胞は、胃腸、乳
房、すい臓、膀胱、卵巣、肺、または前立腺の癌細胞、
またはCEAエピトープを発現する上皮由来の癌である。
一つの好ましい実施態様において、上記の方法にはさら
に上記組換えウイルスとともに、生体応答調節剤を投与
することが含まれる。好ましくは、生体応答調節剤は、
インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−
6(IL−6)、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TN
F)およびシクロホスファミドからなる群から選択さ
れ、その製造もしくは入手性は当該技術分野の当業者に
は公知である。例えば組換えヒトIL−2の製造は米国特
許第4,738,927号および同第4,992,367号に詳細に記載さ
れており、およびTNFの発現は米国特許第4,650,674号に
詳細に記載されている。なおこれらの各文献は本願に援
用するものとする。上記の方法にはさらに組換えウイル
スとアジュバントを投与することを含まれる。当該技術
分野の当業者であれば、特定の処理法で投与すべき量は
容易に決定できることは分かるであろう。適切なアジュ
バントとしては、限定はないが、無機のゲル、例えば水
酸化アルミニウム、ミョウバン、リゾレシチンのような
表面活性物質、プルロニックポリオール類、ポリアニオ
ン類、ペプチド類、オイルエマルション類がある。
別の実施態様において、本発明は、癌細胞の定着と増
殖を防止するために、CEAに対する哺乳類の免疫系を刺
激する方法であって、前記刺激を行うのに充分な量の前
記組換えウイルスを哺乳類に投与することからなる方法
を提供するものである。ワクシニアウイルスとしてはNY
C株のウイルス、または弱毒ヒトワクシニアウイルス株
で組換えたウイルスでもよい。1つの好ましい実施態様
において、前記の方法はさらに、組換えウイルスととも
に生体応答調節剤を投与する方法が含まれる(なお好ま
しくは、生体応答調節剤は、インターロイキン−2(IL
−2)、インターロイキン−6(IL−6)、インターフ
ェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、およびシクロホスファ
ミドからなる群から選択される)。また上記の方法に
は、組換えウイルスをアジュバントとともに投与する方
法が含まれる。当該技術分野の当業者であれば、特定の
治療法について投与すべき量は容易に決定できることは
分かるであろう。好ましい投与経路は上記のとおりであ
る。
本発明は下記の実施例でさらに詳細に説明するがこれ
らの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1 組換えワクシニアウイルス−CEAの構築 組換えワクシニアウイルスはMackettらが報告したの
とほぼ同様にして構築した(D.M.Glover編集DNA Clonin
g:A Practical Approach,191−211頁、Oxford Press,19
85年の“The construction and characterization of v
accinia virus recombinants expressing foreign gene
s")。具体的に述べると、ヒトCEA cDNAのクローンをヒ
ト結腸腫瘍細胞ライブラリーから単離した。GEO細胞由
来のポリA+DNA(Laboratory of Tumor Immunology an
d Biology,NCI)を単離し、cDNAを逆転写で合成し、次
いでDNAポリメラーゼによって二本鎖にした。制限酵素H
ind IIIとBam H1の部位を含有するリンカーをcDNAに連
結し、定方向クローン化ベクタ・λorf−8に挿入した
(Mcissnerら、PNAS,84巻、4171〜4175頁、1987年に記
載された方法にしたがって行った)。CEAを含有する組
換えプラークは核酸ハイブリッド形成法を用いて検出し
た。陽性のプラークを精製して配列を決定した。2.8キ
ロベース(kb)のクローンが、ポリA゜尾部を含む5′
非翻訳領域の100個のヌクレオチドを越えて、CEAの全コ
ーディング領域(2,106個のヌクレオチド)を含有する
ことが分かった。2.4キロベース(kb)のSma Iフラグメ
ントを上記のクローンから単離し、供与プラスミドpSC
−11のSma I制限部位に平滑末端連結を行った。プラス
ミド挿入断片の配向は、Bam H1エンドヌクレアーゼ消化
と分析によって測定した。生成したプラスミドの構造体
をPSC11−CEAと命名した(図1)。
ウイルスキメラウイルスのHind III Jフラグメント中
に非必須TK遺伝子を有するワクシニアウイルスと、PSC1
1−CEAとの相同的組換え(Mackettらの上記文献;PNAS,7
9巻、7415〜7419頁、1982年参照)。組換えウイルス中
に、β−ガラクトシダーゼをコードするPSC11−CEA Lac
Z遺伝子が存在するので選択方法が提供される。
組換えウイルスrV−CEAを次のようにして構築した。
ほゞ集密したCV−1細胞、アフリカグリーンサル腎臓細
胞(ATCC No.CCL70)の60mm組織培養皿を、V−WRの約
0.20プラーク形成単位/細胞(pfu/細胞)に約2時間37
℃で感染させた。感染を進行させながら、pSC11−CEA D
NAの沈澱を、1mlのトランスフェクション緩衝液〔0.14M
NaCl,5mM KCl,1mM Na2HPO4,0.1%デキストロースおよ
び20mM HEPES(4〔2−ヒドロキシエチル〕−1−ピペ
ラジン−エタンスルホン酸)〕、7.0〜7.1に調節したp
H,5μgのキメラpSC11−CEAプラスミドDNA、および担体
としての1μgのワクシニアウイルスDNAを用いて製造
した。この溶液を混合し、約50μlの2.5M CaCl2を添加
し、その混合物をゆっくり攪拌し、次いでDNAを沈澱さ
せながら、室温で約20分間貯蔵した。
感染後、ウイルス接種物を吸引してCV−1単一層を取
出し、1×リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回すすいだ。
上記のDNA沈澱物をCV−1単層に滴下して加え、その細
胞上に室温で約30分静置し、次に5%ウシ胎児血清(FC
S)を補充した新しい培地(ダルベッユの培地;Gibco/BR
L)5mlを添加し、細胞を37℃で約3時間インキュベート
した。次に培地を皿から吸引し、5%FCSを補充した新
しい培地5mlで置換し、細胞を37℃で再びインキュベー
トした。なおこのインキュベーションの時間は約48時間
であった。
インキュベーションに続いて細胞を培地にスクレープ
(scrape)し遠心分離で集めた。得られた細胞のペレッ
トを、MEM(最小必須培地;Gibco/BRL)0.5mlに再懸濁さ
せた。細胞を3サイクルの凍結−解凍に付し、続いて、
450ワットの水浴ソニケーターで約1分間音波処理する
ことによって、細胞から子孫ウイルスを放出させた。
子孫ウイルスと野生型V−WR対照を、HuTK- 143B細
胞、すなわち欠損チミジンキナーゼ遺伝子を有するヒト
骨肉腫細胞系の密集単層上に、2μg/mlの5−ブロモデ
オキシウリジン(BuDR;Boehringer Mannheim Biochemic
alsから入手した)および300μg/mlの5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドイル−β−D−ガラクトシダーゼ
(X−Gal;Gibco/BRL)の存在下でプレートした。組換
えウイルスのクローンは、青色のプラークの生成で立証
されるHuTK- 143B細胞上での増殖で選択した。(図2B) 次にプラークを単離し、先に述べたのと類似の選択条
件を用いてプラークを5ラウンド精製することによって
子孫ウイルスを精製した。精製ウイルス単離株の高力価
の溶液を、標準の方法にしたがって組織培養フラスコ中
で連続継代によって製造した(Mackettらの1982年の前
記文献参照)。一般に1×108pfu/ml〜1×109pfu/mlの
力価が得られた。ウイルス株は−70℃で貯蔵した。
実施例2 試験 組換えワクシニアウイルス−CEA DNAを抽出し、その
ウイルスゲノムをHind III制限エンドヌクレアーゼ消化
とサザーンブロッティングで分析した。この考察を行う
ために、好ましい組換えワクシニアウイルス−CEA単離
株のrV−CEAのみを参照する。
組換えウイルスDNAと野生型の対照ウイルスDNAの試料
を得るために、HuTK- 143B細胞のほゞ集密状態の単層
を、先に述べたのとほゞ同様にして、約30pfu/細胞のV
−WRまたはrV−CEAを感染させた。感染は、最大の細胞
変性効果がみとめられるまで約24時間進行させ、次に細
胞を培地中にスクレープし、遠心分離でペレット化し、
次いで約50μlの1×PBS中に再懸濁させた。
各試料に、300μlの低塩緩衝液〔pH8.0に緩衝された
20mMトリス−HCl(トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン)、10mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、お
よび0.75%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)およびBoe
hringer Mannheim Biochemicalsから入手したプロティ
ナーゼK(10mg/ml)の20μl〕を添加して混合した。
得られた混合物を、振盪しながら37℃で一夜インキュベ
ートし、次いでフェノール/クロロホルムの混合物で2
回抽出し次にクロロホルムだけで2回抽出した。酢酸ナ
トリウムpH5.0を0.3Nになるまで添加し、2倍容積のエ
タノールを添加してDNAを沈澱させた。そのDNAを遠心分
離によって集めて、70%エタノールで2回洗浄し、乾燥
し次いで下記のようにして分析した。
実施例3 制限エンドヌクレアーゼによる分析 V−WRとrV−CEAのDNAを、メーカーの指示(Gibco/ER
L)の指示にしたがいHind IIIエンドヌクレアーゼで消
化し、0.6%アガロースゲル上45ボルトで一夜電気泳動
させた。そのDNAをBiotranナイロン膜(ICN)に転移さ
せて、P32−dCTPで標識をつけたワクシニアウイルスDNA
プローブとハイブリッドを形成させた。ワクシニアウイ
ルスのDNAは上記の所定の方法で単離した。20A260単位
の精製野生型ワクシニアウイルス(約50μg)を、50mM
トリス−HCl;pH7〜8〔トリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン〕中に入れ最終容積を1.2mlにした。この溶
液に、0.1mlの10%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.
2mlの60%スクロース、0.4mlのプロテイナーゼK(10mg
/ml;Boehringer Mannheim Biochemicals社)を添加し、
37℃で4時間インキュベートした。この溶液を、50mMト
リス−HCl pH7〜8と平衡化させたフェノールの等容積
で2回抽出し、次いでフェノール/クロロホルム(1:
1)で一回抽出した。1/10の容積の1M酢酸ナトリウム(p
H7.0)と、2.5倍の容積のエタノールとを加え、DNAを約
20℃で一夜沈澱させた。DNAを遠心分離で集め、上澄み
液を吸引し、ペレットを95%エタノールで洗浄し、風乾
させた。乾燥したペレットを水100μlに再懸濁させそ
の濃度を260nm波長光の吸光度で測定した。このDNA 25
μgに、メーカーの指示にしたがってGibco/BRL Random
Primers DNA Labelling Systemを用いて、P32−dCTPで
標識をつけた。そのフィルターを、40%ホルムアミド
(Clonetech)と5×デンハート(0.1%Ficoll400,(Si
gma社);0.1%ポリビニルピロリジン(Sigma社)と0.1
%BSA(ウシ血清アルブミン、Boehringer Mannheim Bio
chemicals);3×SSC(0.45M NaCl,0.045Mクエン酸ナト
リウム)、2.5%硫酸デキストラン(Sigma社)および0.
1mg/ml変性サケ***DNA(Lofstrand Laboratories)中
で37℃にて一夜、前インキュベートした。変性ワクシニ
アウイルスdCTPで標識をつけたプローブ1×106cpm/ml
を添加し、攪拌しながら37℃で一夜ハイブリッド形成を
行った。フィルターを、2×SSCと0.1%SDS中で室温に
て15分間づつ2回洗浄し、次に0.1×SSC,0.1%SDS中65
℃で15分間づつ2回洗浄した。そのブロットをX線フィ
ルムに4時間暴露し、現像し、野生型Hind III Jフラグ
メントに対応する5.1キロベース(kb)の存在について
分析した。
V−WR DNAはHind III Jフラグメントに対応する5.1
キロベース(kb)のバンドを含む一般的なワクシニアウ
イルスの制限パターン(MaCarronら、Virol.,86巻、88
〜101頁、1978年)を示した。それに対して、rV−CEA D
NAは、キメラプラスミド構造体をウイルスTK遺伝子に挿
入したため5.1Hind IIIのバンドを示さなかった。
図3Aに示すように、野生型V−WR DNAの5.1キロベー
ス(kb)のHind III Jフラグメントはワクシニアウイル
スDNAプローブとハイブリッドを形成した。rV−CEA DNA
中上記の大きさの範囲には対応するバンドはみとめられ
なかった。したがって、rV−CEA DNAには明らかに5.1キ
ロベース(kb)のHind III Jフラグメントが欠除してい
る。
組換えJフラグメントの大きさを測定するため、Hind
IIIで消化したV−WR,rV−CEAおよびヒトゲノムDNAを
含有するサザーンブロットを、P32−dCTPで標識をつけ
てプローブで、イー・コリのβ−ガラクトシダーゼ遺伝
子とハイブリッドを形成させた。ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)は、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の1キロベー
ス(kb)のフラグメントを結合した特定の20個の塩基か
らなる2株のオリゴマー(5′GGGAAAACCCTGGCGTTACC
3′と5′TCGAATCAGCAACGGCTTGC3′)をプライマーとし
て用いて行った。これはVSC 8からPCRさせた(PCR′
d)が、その1キロベース(kb)のバンドは0.8%アガ
ロースゲルから切断され、メーカーの指示にしたがって
Gibco/BRL Random Rrimers Labeling Systemを使って標
識を付け、配列はShapiraら、Gene,25巻、71〜82頁、19
83年から得た。
図3Bに示すように、β−ガラクトシダーゼ遺伝子は、
RV−CEAウイルスDNAブロット中の9.2kbの明確なバンド
で明らかなように組換えウイルス中に存在している。こ
の結果は、組換えHind III Jフラグメントの考えられる
大きさと一致している。β−ガラクトシダーゼ遺伝子は
野性型ワクシニアのゲノム中には存在せずヒトゲノムDN
A中に存在する。
実施例4 プラークハイブリッド形成分析 組換えワクシニアウイルスゲノム中のCEA遺伝子の存
在は、DNAハイブリッド形成とポリメラーゼ連鎖反応(P
CR)分析で測定した。
ハイブリッド形成の試験では、60nm組織培養皿内で増
殖させたHuTK- 143B細胞のほゞ集密した単層に、負の対
照として約10pfu/細胞のrV−CEA,V−WRを感染させ、お
よび組換えワクシニア−β−ガラクトシダーゼウイルス
(VSC 8,Bernard Moss博士、NIAID、米国、メリーラン
ド州、ベセズダから入手)を正の対照として感染させ
た。VSC 8は、ワクシニアTK遺伝子に挿入されたイー・
コリLacZ遺伝子を含有する組換えワクシニアウイルスで
ある(Chakrabartiら、Mol.Cell.Biol.,5巻、3403〜340
9頁、1985年)。感染させた細胞を37℃で約24時間イン
キューベートし、インキュベーションに続いてウイルス
DNAは、ナイロン膜を細胞単層の上に約10分間直接当て
ることによって該膜に直接転移させた。DNAの転移が完
了した後、膜をプレートから取外し、変性し、中和し、
次いで2×SSC(0.3M NaCl,0.03Mクエン酸ナトリウム)
中に数分間浸漬した。次にDNAは、転移ランプ(Foto Dy
ne社、米国、ウィスコンシン州、ニューベルリン)を用
い、約2分間紫外(UV)線に暴露することによって、膜
に架橋させた。UVへの暴露に続いて、膜はP32−dCTPで
標識を付けたCEAプローブとハイブリッドを形成させ、
X線フィルムに一夜暴露した。そのCEAプローブは、Vec
tor pGEM 7(John Shively博士、米国、カリフォルニア
州、デュアート、シティ・オブ・ホープ)から切取った
560個の塩基対のPST Iフラグメントであった。このフラ
グメント25ngに、メーカーの指示にしたがってGibco/BR
LのRandom Primers Labeling Systemを用いてdCTP32
標識を付けた。このプローブを先に述べたのと同様にし
てブロットとハイブリッドを形成させた。
図4に示すように、rV−CEAプラーク(図4B)はCEAプ
ローブと良好にハイブリッドを形成したが、V−WR(図
4A)とVSC 8プラーク(図4C)はハイブリッドを形成し
なかった。
実施例5 ポリメラーゼ連鎖反応の分析 PCRを試験するために、HuTK- 143B細胞のほぼ密集し
た単層を60mmの組織培養皿中で増殖させ、約10pfu/細胞
のrV−CEAまたはV−WRを感染させ、次いで37℃で約24
時間インキュベートした。感染に続いて、単層をアガロ
ースの重層で覆って、ウイルスプラークの位置を皿上に
固定した。次に個々のプラークを、小ようじにする転移
によって単離し、カルシウムもしくはマグネシウムなし
の1×PBS約1ml中にいれ、約10分間沸騰させ次いで氷冷
させた。
標準のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、Cetus Corp.
が供給する増幅キットを用いメーカーの指示にしたがっ
て実施した。この試験を行うために、全CEA cDNAセグメ
ントを認識するオリゴヌクレオチドのプライマーをPCR
反応を開始するために構築した。すなわち、プライマー
をCEA遺伝子の5′と3′の末端から構築した(図1AのP
1とP2参照)。野生型ワクシニアウイルスのプラークは
負の対照として使用した。
ウイルスの増幅を30サイクル行ってから、各プラーク
の単離物の試料を1%アガロースゲル上で電気泳動を行
わせ、ナイロン膜に転移させ、次いで前記のようにして
放射能標識をつけたCEAプローブとハイブリッドを形成
させた。結果を図5に示す。組換え単離物の全部とCEA
の正の対照(レーン1−9)はCEA遺伝子プローブとハ
イブリッドを形成したが、一方野生型ワクシニアウイル
スのDNA(レーン10)はハイブリッド形成を全く示さな
かった。
実施例6 タンパク質発現の分析 CEAタンパク質の発現と位置は、MAb COL−1すなわち
CEAに対して特異的でかつ反応性のマウスモノクローナ
ル抗体を用いて、V−WRとrV−CEAを感染させた細胞の
免疫蛍光染色を行うことによって測定した(Muranoら、
Cancer Res.,45巻、5769〜5780頁、1985年)。CEAタン
パク質の発現を試験するため、HuTK- 143B細胞のほゞ集
密した単層に、V−WRもしくはrV−CEAの30pfu/細胞を
接種し、約5時間37℃でインキュベートした。ウイルス
接種物を細胞から吸引し、単層を1×PBSで3回洗浄し
た。次に細胞を、新しく調製した、2%パラホルムアル
デヒドPBS溶液を用いて室温で約30分間固定した。固定
した後、細胞は最少必須培地(MEM;Gibco/BRL)で3回
洗浄し、次いでPBS中1%BSAで約30分間“ブロック(bl
ock)”した。
上記処理に続いて、固定しブロックした細胞は、1μ
g/mlのMAb COL−1またはMAb B72.3(Laboratory of Tu
mor Immunology and Biology and Biology,NCI)すなわ
ちCEAと反応しない負の対照のマウス抗体を添加して処
理し、室温で約1時間振盪した。次に細胞を1×PBSで
5回洗浄し、次いで蛍光抱合ヤギ抗マウス第二抗体(Ki
rkegaard and Perry Laboratories,Inc.)を1:100の希
釈率で添加した。約30分後に、細胞を1×PBSで5回洗
浄し、次いでCEAの発現と細胞位置を免疫蛍光顕微鏡で
測定した。免疫蛍光染色は初期ウイルス感染してから5
時間以内が最高であった。ウイルスとともにさらにイン
キュベートして感染した細胞を細胞溶解させて膜タンパ
ク質を分解させた。
図6Aと6Bに示すように、組換えワクシニア(rV−CE
A)を感染させた細胞は、蛍光によって、Mab COL−1で
ステイン(stain)している明確な細胞表面を示し、感
染細胞の細胞膜中にCEAを発現する組換えワクシニア(r
V−CEA)ウイルスはCEAの通常の細胞位置と一致した。
それに対して、野生型ワクシニア(V−WR)ウイルスを
感染させた細胞は、COL−1での免疫蛍光ステイニング
を示すことができなかった(図6Cと6D)。イソタイプ−
整合(matched)負対照抗体B72.3での免疫蛍光ステイニ
ングは、組換えワクシニア(rV−CEA)ウイルスを感染
させた細胞に画像を誘発できなかった(図6Eと6F)。
実施例7 ELISA分析 8週齢のC57/BL6雌マウス(Frederick Cancer Resear
ch Facility)の試験試料当り10頭づつに、約1×108pf
uの野生型(V−WR)または組換えワクシニア(rV−CE
A)を含有する粗製溶液100μlを、腹腔内(IP)注射で
14日間隔で3回接種した。一次注射を行ってから約2週
間後と三次注射を行ってから1週間後に、各マウスから
血液を抜出し血清を分離した。下記の表1と図7に示す
ように、マウスは、接種してから約14日間以内でCEAに
対する抗体力価を示し、および続く免疫化で増強された
応答を示した。
抗−CEAと抗ワクシニアウイルスの抗体は、酵素結合
イムノソルベント検定法(ELISA)によって次のように
して血清中で定量した。
野性型(V−WR)抗原(すなわち約1×107のウイル
ス粒子)を含有する0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.
6)100μlで、96ウェル微量滴定プレートを一夜コート
した。次にこのプレートを、0.1%グルタルアルデヒド
を含有するトリス緩衝食塩水(TBS)中の1%BSAでブロ
ックし、PBSで3回洗い、次いで先に得られたマウス血
清とともに室温で約1時間インキュベートした。
ワクシニア抗原V−WRに結合したマウス血清抗体を、
Gibco/BRLから入手したImmuno Select Kitを用いて検出
した。このキットによって、固体支持体に固定化された
抗原に対するポリクローナルまたはモノクローナルのウ
サギもしくはマウスの一次抗体を検出できる。ビオチニ
ル化された二次抗体(ヤギ抗マウス)をストレプタピデ
ン−アルカリホスファターゼ接合体に結合させ、この予
め製造した複合体を、一次抗体に続いてELISAプレート
に添加する。そのプレートをトリスで緩衝した食塩(TB
S)で洗浄し、得られたアルカリホスファターゼ複合体
は色素原pNPP(リン酸p−ニトロフェニル)を用いて検
出する。この反応は水酸化ナトリウムを添加することに
よって停止させ、試料の405nm波長光の吸光度をELISA読
取装置(Bio−Tek Microplate Reader,Model EL 310)
で読取った。ウサギのポリクローナル抗ワクシニア抗体
(米国、メリーランド州ベセズダ、NIALDのMark Buller
博士提供)を抗ワクシニアのプレートで正の対照として
使用した。
試験抗原としてCEAを用いて同様の手順にしたがって
行った。96ウェルの微量滴定プレートを100μl(250n
g)の精製CEAタンパク質(International Enzyme社、米
国、カリフォルニア州、サン・ディエゴ)でコートし37
℃で一夜保管した。次にプレートを1%BSA含有TBSでブ
ロックした。正の対照の抗体としてMab COL−1を使用
したこと以外は前述のELISA法を実施した。
これらの試験の結果をまとめ、A405の読取り値対Mab
COL−1の添加量の関係を示す標準曲線を作成した。次
に、各試験試料中に存在するCEA特異的抗体の量は、適
切な希釈で得られた直線部分のA405読取り値からMabの
当量で計算し、そして抗ワクシニア抗体の産生量は抗CE
A抗体の産生量と相関関係があった。この試験の結果を
図7に要約した。
ELISA試験においては、マウスのワクシニアウイルス
自体に対する生体内応答も抗ワクシニア抗体について検
定することによって測定してマウスがワクシニアウイル
スで適正に免疫化されていたことを保証した。表1はワ
クシニアウイルスに対する抗体応答を示し、明らかに、
マウスがウイルスの適正な接種物を受けたことを示して
いる。
この生体内試験の場合、マウスの対照グループは2週
間間隔で1×108pfu/mlの野生型ワクシニア(V−WR)
を受けた。これらのマウスは、組換えウイルス(rV−CE
A)で処理した動物と比べた場合、ワクシニアウイルス
に対して類似の抗体応答を行った。対照の動物はCEAに
対する抗体応答をしなかった(表1、図7)。予防接種
を行ったマウスは、免疫化に続く42日間の観察期間に毒
性の徴候を全く示さなかった。
これらのデータは、組換えワクシニア(rV−CEA)ウ
イルスを接種すると、免疫系がヒトCEAを認識し、かつ
抗原に対する体液性免疫応答をマウントする(mount)
ことができるようになることを示唆している。
実施例8 治療試験 Frederic Cancer Research Facilityから入手した4
〜5週齢の雌C57/BL6マウスに、ヒトCEA遺伝子を予め形
質導入したMCA38マウス腺癌細胞2×105を皮下注射によ
って接種した。これらの細胞はCOL−1エピトープを含
有するヒトCEA遺伝子を発現することが分かった。1グ
ループ当り10頭づつの動物に、腫瘍を移植してから7日
後に、野生型のV−WRまたは組換えワクシニアのrV−CE
Aの1×1010pfuを含有する粗製溶液10μlを、尾部乱切
法で接種した。第二および第三の免疫化を14日間隔で行
った。動物は腫瘍の存在について一週間毎に検査した。
腫瘍はキャリペで2方向の寸法を測定、その容積を式:
×長さ÷2を用いて計算した。
図8は、野生型ワクシニアウイルス(V−WR、図8A)
または組換えワクシニアウイルス(rV−CEA、図8B)を
投与された10頭の個々のマウスの7日間かけて定着させ
た皮下腫瘍の増殖の結果を示す。ヒトCEAを含有する組
換えワクシニアウイルスを受けた動物は42日間の経過を
通じて腫瘍増殖の劇的な減少を経験した。さらに組換え
ワクシニア(rV−CEA)を受けた動物のうちの2頭は腫
瘍を全く発現しなかった。これらの腫瘍なしの動物は、
次いで2×105のMCA38CEA−形質導入細胞を再度移植し
た。90日後、これらの動物は腫瘍なしのまゝであった。
これに対して、野性型(V−WR)ウイルスを投与された
動物は、急速に増殖する腫瘍を発現した。ワクシニア構
造体を受けなかった動物も腫瘍を発現し、その増殖速度
は野性型ワクシニア(V−WR)を投与された動物と類似
していた。
実施例9 防止試験 Frederic Cancer Research Facilityから入手した5
〜6週齢の雌C57/BL6マウスに、1×1010pfuのウイルス
を含有する粗製溶液10μlを、14日間隔で3回接種し
た。1グループ当り10頭づつの動物に、野生型ワクシニ
ア(V−WR)ウイルスまたは組換えワクシニア(rV−CE
A)ウイルスを投与した。最後の免疫化を行ってから2
日後、ヒトCEA遺伝子を形質導入された2×105のMCA38
マウス腺癌細胞をマウスに皮下移植した。動物は腫瘍の
存在について1週間毎に検査した。腫瘍はキャリパによ
って2方向の寸法を測定し、容積を式:幅×長さ÷2
を用いて計算した。
図9は、野生型ワクシニアウイルス(V−WR、図9A)
または組換えワクシニアウイルス(rV−CEA、図9B)を
3回投与した後の10頭の個々のマウスの皮下腫瘍の増殖
の結果を示す。組換えワクシニア(rV−CEA)で免疫化
を行うと、腫瘍の増殖が劇的に減少するのみならず腫瘍
増殖の開始が7〜10日間遅れた。これに対して、野生型
ウイルス(V−WR)を投与された動物は観察期間の56日
を通じて急速に腫瘍が増殖した。
実施例10 ワクシニアとシクロホスファミドによる治療 Frederic Cancer Research Facilityから入手した4
〜5週齢の雌C57/BL6マウスを、腹腔内注射によってシ
クロホスファミド(100mg/kg)で処理した。この注射を
してから2日後、ヒトCEA遺伝子で形質導入されたMCA38
マウス腺癌細胞2×105を皮下注射で移植した。10頭の
動物からなるグループに、野性型ウイルスのV−WRまた
は組換えワクシニアウイルスrV−CEAの1×1010pfuを含
有する粗製溶液10μlを、腫瘍移植して2日後に、尾部
乱切法によって接種した。第二と第三の接種は14日間の
間隔で行った。動物は腫瘍の存在について1週間毎に検
査した。腫瘍はキャリパで2方向の寸法を測定し、式:
×長さ÷2を用いて容積を計算した。
シクロホスファミドは、癌を有する動物またはヒトの
免疫応答を和らげると考えられるアルキル化剤である。
サプレッサーT細胞は、リンパ球の他の分集団に作用し
ない濃度で上記医薬に対して感受性であることは公知で
ある。したがってこの医薬は、恐らく、腫瘍細胞に対す
る宿主細胞の免疫認識と免疫応答を促進することができ
るであろう。予防接種を行う前に投与されるシクロホス
ファミドによる宿主の免疫系の免疫調節によって、免疫
化に対する抗腫瘍応答を増大することができることを本
願発明者らは実証する。
図10は、シクロホスファミドとワクシニアによる免疫
化を与えられた動物中のMCA38ヒトCEAを発現する腫瘍の
増殖の結果を示す。10頭の個々の動物には、腫瘍を移植
した後、野性型ワクシニア(V−WR;図10A)または組換
え体(rV−CEA;図10B)による免疫化を3回行った。シ
クロホスファミドと組換えワクシニア(rV−CEA)を受
けている動物は49日間にわたって腫瘍の大きさが劇的に
減少していることを示した。2頭の動物は腫瘍を発現し
なかった。これらの動物には、CEAを発現するMCA38マウ
ス腺癌細胞2×105を再度移植したが再移植後120日目で
も腫瘍を発現しなかった。それに対して、野生型(V−
WR)ワクシニアとシクロホスファミドを投与された動物
は腫瘍の増殖を停止させることができなかった。ワクシ
ニアを受けなかったがシクロホスファミドを受けた動物
は腫瘍の増殖を阻害できなかった。
実施例11 ワクシニアとヒト組換えインターロイキン−2による治
療 Frederick Cancer Research Facilityから入手した4
〜5週齢の雌C57/BL6のマウスに、ヒトCEAを発現するMC
A38マウス腺癌細胞2×105を皮下注射で接種した。腫瘍
を移植後、+1,+2,+3および+4日目に25,000単位の
精製組換えヒトインターロイキン−2(rh IL−2;Cetus
Corp.),3.6×106単位/mgを、1日に2回マウスに腹腔
内注射で投与した。また+2日目に、動物に、野生型
(V−WR)または組換えワクシニア(rV−CEA)のウイ
ルスの1×1010pfuの10μlを尾部乱切法によって投与
した。次の2回の免疫化は14日間の間隔で行った。動物
は腫瘍の存在について1週間毎に検査した。腫瘍はキャ
リパで2方向の寸法を測定し、容積を式:幅×長さ÷
2を用いて計算した。
両者のマウス腫瘍モデルと転移性癌に冒されているヒ
トの治療とにおける抗腫瘍効果は、個々の組換えサイト
カイン類の高い投与量を使って、時々達成されている。
例えばRosenbergら(N.Eng.J.Med.,131巻、1485〜1492
頁、1985年)は、マウスとヒトにおいて、高投与量のイ
ンターロイキン−2だけを用いるかまたは養子細胞治療
を組合わせて腫瘍の退縮を達成した。インターロイキン
−2は活性化ヘルパーTリンパ球によって放出されるタ
ンパク質である。抗原でトリガーされるTリンパ球と、
悪性になることが多い細胞障害性T細胞との膨脹のため
にインターロイキン−2は必須である。インターロイキ
ン2(IL−2)で膨脹される細胞障害性T細胞は、生体
内で抗腫瘍活性を保持することが分かっている。
またインターロイキン2はナチュラルキラー(NK)細
胞の増殖を促進し、かつナチュラルキラー細胞障害性を
生体内で増大する。組換え体の予防接種を行う前に、組
換えヒトインターロイキン−2(rh IL−2)で宿主の
免疫系を免疫調節すると、抗腫瘍応答が増大されること
が実証された。
図11は、ヒトCEAを発現するMCA38マウス腺癌細胞の増
殖に対する、組換えヒトインターロイキン−2(rh IL
−2)および組換えワクシニアウイルス(rV−CEA)の
投与の効果を示す。5頭づつの動物からなる群に、組換
えヒトインターロイキン−2(rh IL−2)だけの投与
(図11A)、または組換えヒトインターロイキン−2の
投与およびこれに続く野生型ワクシニアウイルス(V−
WR;図11B)もしくは組換えワクシニア(rV−CEA;図11
C)での、腫瘍移植してから2日後の尾部乱切法による
免疫化を行った。組換えヒトインターロイキン−2(rh
IL−2)と組換えワクシニアウイルス(rV−CEA)を受
けた動物は42日間の過程にわたって腫瘍の増殖の劇的減
少を示した。それに対して、組換えヒトインターロイキ
ン−2(rh IL−2)と野生型(V−WR)ウイルス、ま
たは組換えヒトインターロイキン−2(rh IL−2)だ
けを投与された動物は、急速に増殖する腫瘍を発現し
た。
実施例12 ワクシニアのニューヨークシティ株を用いる組換えワク
シニア−CEAの構築と試験 組換えCEA−ワクシニアウイルスを、ATCC(No.VR−32
5;ロックビル)から入手したワクシニアウイルスをニュ
ーヨーク市衛生局株を用いて製造した。上記実施例1に
記載されているヒトCEA遺伝子を含有するpSC−11プラス
ミドの相同的組換えによって、rV(NYC)−CEAと命名さ
れた組換えウイルスを製造した。pSC−11プラスミドは
ワクシニアウイルスの後期プロモーターp−11の制御下
にあるイー・コリLacZ遺伝子を含有していた。このプラ
スミドを使用することによって、組換えウイルス粒子を
得る選択法が得られる。rV(NYC)−CEAの発現は、MAb
COL−1を用いるウエスターンブロット分析法で検出し
た。ウイルスは、遠心分離で直接ペレット化したHela細
胞の攪拌培養で増殖させ、次にMackettら、J.Virol.,49
巻、857〜864頁、1984年に記載の方法にしたがい、20〜
40%のスクロースの勾配液で精製した。なおこの文献は
本願に援用するものとする。
rV(NYC)−CEAおよびrV(WR)−CEAの組換え構造体
によって発現されたCEA産物の分子量は抗CEA MAb COL−
1を用いウェスターンブロット分析法で測定した。精製
ヒトCEAの18キロダルトンの産物と、株化されたヒト結
腸癌細胞系GEOの抽出物中に検出されたCEAとを対照に使
用した。V−NYC,rV(NYC)−CEA,V−WRおよびrV(WR)
−CEAを感染させた細胞の抽出物を膜に移し、COL−1に
ついて分析した。rV(NYC)−CEAを感染させた細胞は90
キロダルトンの産物を発現したが、野性型V−NYCまた
はV−NRを感染させた細胞はCEAの存在を全く示さなか
った。一方rV(WR)−CEAを感染させた細胞を90キロダ
ルトンと180キロダルトンの産物を発現したがこれらの
産物はCOL−1と反応した。発現産物が変化する理由は
現在分かっていないが、rV(NYC)−CEAまたはrV(WR)
−CEAを感染させたBS−C−1をノーザンブロット分析
法で分析したところ2.4〜2.5kbのmRNA種が検出された
が、このことは全CEA転写物がこれらの細胞中に存在し
ていることを示している。
より二層変性されたrV(NYC)−CEAの構造体を、動物
モデル中に腫瘍移植体が定着するのを防止するために使
用した。形質導入されたヒトCEA遺伝子を有するMC−38
結腸癌細胞およびもっていない該細胞を、抗腫瘍作用が
CEAに対して特異的であるか否かを決定するために用い
た。また野生型V−NYCは、発生した防御免疫応答がNYC
ワクシニア株に挿入されたヒトCEA遺伝子の結果である
ことを確認するための対照免疫原として用いた。
12A図と12B図に示すように、野生型、またはCEA挿入
断片なしの組換えワクシニア構造体はいずれも、移植さ
れたCEA非導入腫瘍細胞の増殖に対して保護を与えなか
った。各グループ中の10頭のマウス全部から、腫瘍がほ
ゞ同じ速度で迅速に増殖した。CEA非導入およびCEA導入
のMC−38腫瘍は、ワクシニアの接種を全く受けていない
対照動物中で類似の速度で増殖し、および野生型のワク
シニア(V−NYC)の接種を受けたマウス中で増殖する
腫瘍と同じ速度で増殖した。
図12Cと12Dは、CEA導入結腸癌細胞の移植を阻害する
際のV−NYC対rV(NYC)−CEAの効力を比較している。
図12Cに示すように、野生型V−NYCを接種したマウスに
おいては、移植された腫瘍の8/10が迅速に増殖し、最終
的には10個の腫瘍がすべて増殖した。これに対して、rV
(NYC)−CEA構造体を接種した10種のマウスには腫瘍が
全く増殖しなかった。さらにrV(NYC)−CEAで免疫化し
たこれらのマウスは、その最初の腫瘍移植に続く120日
間は腫瘍が全くなかった。また120日目に1×106のCEA
形質導入腫瘍細胞を移植したがやはり続く120日間の観
察期間を通じて腫瘍はなかった。rV(NYC)−CEAまたは
V−NYCの投与による毒性は全くみとめられなかった。
rV(NYC)−CEA構造体を予防接種すると、腫瘍の治療
に有効であることが分かった。すなわち定着した腫瘍の
増殖を阻害することが分かった。組換えワクシニアウイ
ルスによる治療を行う7日前に、腫瘍を動物に移植し
た。図13Aと13Bに示すように、MC−38癌細胞(非CEA形
質導入)の増殖速度は、V−NYCまたはrV(NYC)−CEA
の構造体が処理に用いられていても類似していた。また
CEA形質導入MC−38細胞を有するマウスも野生型V−NYC
で処理された場合は類似の腫瘍増殖速度示した(図13
C)。しかしこれに対して、腫瘍を有するマウスでrV(N
YC)−CEA構造体で処理された10頭はすべて腫瘍の増殖
が大きく低下した(図13D)。さらにこのグループの3
頭の動物は4ヶ月間腫瘍を発現しなかったが、CEA形質
導入MC−38細胞1×106を再び移植したがその後の120日
間の観察期間を通じて腫瘍なしのままであった。非CEA
形質導入MC−38腫瘍を反対側の側部に同時に移植したと
ころその部位で増殖した。rV(NYC)−CEAの投与による
毒性は、処理された動物に全くみとめられなかった。
rV(NYC)−CEAワクシニアワクチンによってもたらさ
れた免疫応答の性質を試験した。表2に見られるよう
に、CEAに対する血清の力価は、rV(NYC)−CEAを投与
されたマウスの場合1:700〜1:5,250(平均1:2,255)で
あったが、V−NYCを接種された14頭のマウス全部と前
接種された(pre−inoculation)24頭のマウス全部の血
清の力価は1:20以下(平均≦1:82)であった。前接種グ
ループと、いずれかのワクシニア構造体を接種されたグ
ループとの全血清はすべて、力価が1:750の一頭のマウ
スを除いて、オボアルブミンに対する反応性が負もしく
は弱い陽性であった。rV(NYC)−CEAを接種した後の抗
体力価の増大の動力学も監視した。rV(NYC)−CEAの第
1回の接種の後、抗CEA力価はゆるやかに上昇し、第2
回と3回の接種を行った後大きく増大した。
rV(NYC)−CEAと野生型rV−NYCを接種されたマウス
の体液性応答。C57BL16マウスに、精製されたrV(NYC)
−CEAまたはV−NYCの107pfuを尾部乱切法で3回接種し
た。免疫化前に(preと呼称する)、1:50で開始し5倍
希釈の血清を採取し、免疫化後35日目に、精製CEAと対
照抗原のオボアルブミンに対する反応性についてELISA
法で試験した。個々の血清の力価は、光学濃度(A490)
0.5における希釈ファクターとして測定した。
rV(NYC)−CEA構造体に対する細胞仲介免疫応答は遅
延型過敏症(DTH):リンパ球増殖および細胞毒性に関
する検定法を用いて測定した。DTH反応は、rV(NYC)−
CEAまたはV−NYCを2回もしくは3回、尾部乱切法で接
種されたマウス(14日間隔で107pfuの10μlを接種)に
ついて測定した。最後のワクシニア接種を終って6日
後、一方の肉趾に、イラディエートされた(irradiate
d)非形質導入MC−38細胞(PBS中5×105MC−38細胞の2
0μl)を、他方の内趾にイラディエートされたCEA−形
質導入MC−38細胞(PBS中5×105のMC−38−CEA−2細
胞)を注射した。肉趾の厚さを接種してから48時間後に
測定した。
対照のPBS溶液を注射したマウスには内趾間に差異は
ほとんど見られないか又は全くみとめられなかったの
で、ベースライン値を決定するのに用いた。マウスにV
−NYC構造体を2回接種したときに同様の負の結果が得
られた。rV(NYC)−CEAを2回注射された10頭のマウス
のうち2頭は、CEA形質導入腫瘍細胞を注射された内趾
にいくらか異なる膨張を示した。V−NYC構造体を3回
注射されたマウスは、CEA形質導入腫瘍に対してDTH応答
をほとんど示さないかまたは全く示さなかったが、rV
(NYC)−CEA構造体を3回注射されたマウスの大部分
(14/20)は、CEA−形質導入腫瘍細胞に対して異なるDT
H反応性を示した。rV(NYC)−CEA構造体とV−NYC構造
体の3回の注射後のDTHの試験結果の差は統計的に有意
な差であった。(p<0.001,スチューデント検定法)。
したがって、これらの試験結果は、rV(NYC)−CEAの3
回の投与が、ヒトCEA形質導入腫瘍細胞に対しDTH反応を
もたらす2回の投与より明らかに優れている(p値<0.
001対<0.01)ことを示した。
rV(NYC)−CEAのワクチン注射の結果起こるリンパ球
増殖応答を評価するため、第3と最後のワクシニアを接
種後28日目に未免疫化マウスまたは免疫化マウスから単
離した脾臓T細胞を、各種の刺激に対する応答における
増殖で示される機能応答能と抗原特異性について試験し
た(表3)。試験したTリンパ球の3グループの中の、
rV(NYC)−CEAで免疫化されたマウスのグループだけが
可溶性CEAに応答した。CEAに対する抗原特異性はオボア
ルブミンすなわち関連のない可溶性抗原を用いて示した
が、オボアルブミンはこれらのマウス由来のリンパ球を
刺激しなかった。CEAに加えて、rV(NYC)−CEAマウス
由来のリンパ球は、生体外でのリコールチャレンジ(re
call challenge)のUV不活性化ワクシニアウイルスに対
して応答した。さらにV−NYCを受けているが免疫化さ
れていないマウス由来のリンパ球はUV不活性化ワクシニ
アウイルスに対する反応性を示した。したがってこのこ
とは、V−NYCグループの、このウイルス抗原に対する
特異性および未機能応答能を確証している。最後に、リ
ンパ球の3グループ全部が、機能T細胞適応能の一般的
尺度としてのConAに対して強く応答した。したがってrV
(NYC)−CEAで免疫化されているがV−NYCで免疫化さ
れていないと、CEAに対するT細胞の応答性を誘発し
た。このことは生体内の抗腫瘍作用と関連がある。
動物中のワクチン誘発抗CEA細胞障害性応答の存在を
評価するため、第2回のワクシニア接種後5日目に、V
−NYCまたはrV(NYC)−CEAで免疫化されたマウスから
脾臓Tリンパ球を直接単離した。というのはCTLの誘発
が追加免疫化後(boost)すぐに最大になるからであ
る。表4にその結果を示したが、rV(NYC)−CEAで免疫
化され、V−NYCでは免疫化されていないマウス由来の
リンパ球は、同族体の抗原を有するMC−38−CEA−2腫
瘍細胞の溶解を仲介した。これに対して、両エフェクタ
ーグループを有する類似のインキュベーション条件下、
溶菌活性のバックグランドレベルだけが、MC−38、すな
わちCEA−陰性腫瘍標的に対して検出できた。ConAの存
在下(ConAは抗原特異的認識を妨げかつレクチン依存性
細胞障害性を促進する)、両方のエフェクターのグルー
プは効率的にMC−38を溶解した。このことはV−NYCを
受けているマウス由来のリンパ球は溶解活性があり、腫
瘍細胞系は溶解作用に対して本質的に抵抗性ではないこ
とを確証している。
実施例13 霊長類内でのrV(NYC)−CEAワクチンの免疫原性と安全
性 rV(NYC)−CEAワクチンによって霊長類内にもたらさ
れる免疫応答を測定しおよびこのワクチンの安全性を評
価するために試験を行った。
12頭の5〜7年齢の成熟アカゲザル〔マカカ・ムラタ
ー(Macaca mulatta)〕を使用した。これらのサルは、
rV(NYC)−CEAまたはV−NYCの1×108もしくは5×10
8プラーク形成単位(pfu)を含有する精製ウイルス10μ
lまたは50μlを用い、皮膚乱切法で6週間間隔にて3
回または4回免疫化した。4頭の動物が1×108pfuのrV
(NYC)−CEAを受け、4頭の動物が5×108pfuのrV(NY
C)−CEAを受け、および4頭の動物が5×108pfuのV−
NYCを受けた。免疫化の方法は表5に詳細に記載してあ
る。
安全性:ワクチンによってもたらされる外傷の面積を
各接種後続いて24時間分析した。一般にはじめの2回の
接種後の方が第3もしくは第4の接種後と比べて腫れが
大きい。しかし各免疫後の外傷の期間はほゞ同じであっ
た。ワクチン注射に続く局所リンパ節の腫れはいくつか
のサルでは第1回の免疫化後の方が第2、第3または第
4の免疫化の場合より大きかった。一般に、rV(NYC)
−CEAワクチンまたはV−NYCワクチンの使用によってパ
ラメータに差はみとめられなかった。
野生型ワクシニアウイルスを受けているサルは、体
温、体重、局所のリンパ節症、および巨脾腫と肝腫の存
在については組換えワクシニアウイルスを受けているサ
ルと同等であった。ゆるやかな体温上昇はワクチン注射
後すべての動物に見られた。ゆるやかな局所リンパ節症
が免疫化後に続く数週間にわたってみとめられたが、ど
の動物にも、体重減少、肝腫または巨脾腫の徴候は全く
なく、対照と組換えワクシニア投与の動物間に差は全く
みとめられなかった。動物は、全血球計算、鑑別血球計
算、肝臓の化学的性質(血清アルブミン、ビリルビン、
SGOT,SGPTおよびγ−グルタミルトランスペプチダー
ゼ)および腎臓の化学的性質(血液尿素窒素および血清
クレアチニンのレベル)について試験したが、これらに
ついてはすべて試験期間を通じて全動物について正常の
まゝであるか、または組換えワクチンの注射と野生型ワ
クチンの注射を行った動物との間に有意差は全くみとめ
られなかった。
サル(とヒト)の顆粒球を、非特異的交差反応性抗原
(NCA)とCEAの発現について評価した。CEA遺伝子は免
疫グロブリン遺伝子のスーパーファミリーに属すること
が報告されており、正常なヒト顆粒球に見られるNCAの
ようないくつかの正常な成人組織に発現するタンパク質
といくらかの相同性を共有していることが報告されてい
る。CEAはヒトの顆粒球で発現することは今まで報告さ
れていない。NCAに対する免疫交差反応性を誘発する可
能性は鑑別血球計算およびELISA法によって評価した。
鑑別血球計算ではワクチン注射を行った動物のいずれに
ついても全く差がなく、かつ抗NCA応答はrV(NYC)−CE
Aのワクチン注射によって誘発されなかった。サルの顆
粒球の表面NCAの発現は、モノクローナル抗体のB6.2
(これがヒトNCAと反応することはすでに報告されてい
る:Horan Handら、Int.J.Biol.Markers,7巻、1〜15
頁、1992年)およびB1.1(NCAとCEAが共有しているエピ
トープと反応することはすでに報告されている;Kuroki
ら、Int.J.Cancer,44巻、208〜218頁、1989年)を用い
てフローサイトメトリー(flow cytometry)で測定し
た。両抗体はサルの顆粒球の表面上のNCAに対して有意
な表面反応性を示した。動物を、CEAを発現する組換え
ワクシニアウイルスで免疫化してもNCAエピトープに対
して明らかな免疫応答を誘発しなかった。
免疫原性:免疫化したサルを、rV(NYC)−CEAによっ
て誘発される体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方に
ついて試験した。
各サルからの血清を、CEA,NCAおよび対照抗原として
のオボアルブミン(OVA)に対する免疫反応性についてE
LISA法で分析した。抗−CEA抗体は、精製CEA,NCA(Koro
kiら、Cancer Res.,211巻、713〜720頁、1981年の方法
にしたがって正常なヒトの肺の過塩素酸による粗製抽出
物から精製)、またはPBS中のオボアルブミン(Sigma
社、米国、セント・ルイス)の100ngでコートした微量
滴定プレートを使ってELISA法で定量した。プレートはP
BS中5%のBSAでブロックし、乾燥し使用するまで−20
℃で貯蔵した。そしてプレートは種々の希釈率のサル血
清および標準対照としてのMabCOL−1とともに37℃で1
時間インキュベートした。プレートを洗浄し、抗体は、
西洋ワサビペルオキシダーゼを接合したヤギ抗ヒトIgG
F2特異的抗血清(1:8000;South−ern Biotechnology,In
c.,米国、アラバマ州、バーミンガム)で検出し、続い
て、0.015%過酸化水素と2.8mMのO−フェニレンジアミ
ン二塩酸を含有する0.17リン酸−クエン酸緩衝液pH5.0
の100μlとともに10分間インキュベートした。4N硫酸2
5μlを添加して反応を停止させ、Bio−Tekの微小プレ
ートELISA読取り器を用いて490nmで吸光度を読取った。
結果を表6に示したが、免疫前の血清はすべて3種の
全抗原に対して陰性であった。一次の免疫化後28日目に
おいて、8頭のrV(NYC)−CEAを接種されたサルのなか
の2頭に、CEAに対する強い抗体力価(1:1,000血清希釈
より大きい)が観察された。49日目すなわち第1回の追
加免疫化後1週間目に1:2500の血清希釈以上に大きい抗
体力価がrV(NYC)−CEAを受けている8頭のすべてのサ
ルにみとめられたがV−NYCを受けているサルのどれに
もみとめられなかった。63日目にも類似の結果がみとめ
られた。91日目(第2回の追加免疫化後7日目)には、
rV(NYC)−CEAを受けて試験された7頭のすべてのサル
に1:1,000血清希釈以上に大きい抗体力価がみとめら
れ、そのうち四頭の力価は1:5,800以上に大きかった。r
V(NYC)−CEAを受けている8頭のサルのうちの1頭は9
1日目にNCAに対する免疫応答が1:1250であることがみと
められたが、OVAに対する反応性もいくらかこのサルに
みとめられた。別の2頭のサル、すなわちV−NYCを受
けている一頭とrV(NYC)−CEAを受けている一頭も91日
目にNCAに対する抗体力価をいくらか示したがOVAに対し
ても同じ力価がみとめられた。このことは潜在的な非特
異的反応性があることを示唆している。したがって、rV
(NYC)−CEAは、アカゲザル中のCEAに発現されたエピ
トープに対して強い応答を誘発したが、NCA特異的エピ
トープに対してはほとんどまたは全く応答しなかったよ
うである。抗CEA応答の時間の経過による力価を図14に
示す。
rV−CEAの最初のワクチン注射をした後35日目の1頭
のサル由来の血清試料を、CEA,NCAおよびオボアルブミ
ンに対する反応性についてウエスターンブロット法で分
析した。精製CEAを認識するがオボアルブミンまたは精
製NCAは認識しない抗血清がブロット中に見出された。
同じサル由来の免疫前の血清はCEA,NCAまたはオボアル
ブミンを検出しなかった。CEAとNCAをそれぞれ認識する
モノクローナル抗体COL−1とB6.2を陽性の対照として
使用した。
rV(NYC)−CEAワクチンによって誘発された免疫グロ
ブリンの生物活性を、エフェクターとしてヒト末梢血液
単核細胞を用い、標的としてヒトCEA形質導入マウス腫
瘍細胞系を用いる抗体依存性細胞障害検定法で分析し
た。非CEA形質導入細胞は対照として用いた。図15Aに示
すように、CEAを発現する腫瘍細胞の特異的溶解(1ysi
s)は、rV(NYC)−CEAで免疫化されたサル由来の血清
を使ったときにみとめられたが、標的として非形質導入
腫瘍細胞を用いたときには溶解は全くみとめられなかっ
た。免疫前の血清またはV−NYCを接種されたサル由来
の血清には溶解は全くみられなかった。図15Bに示すよ
うに、rV(NYC)−CEAで免疫化されたサル由来の血清の
ADCC活性は、IL−2で活性化されたヒト末梢血液単核細
胞を使って増大された。
rV(NYC)−CEAで誘発された細胞免疫応答を、遅延型
過敏症(DTH)応答とリンパ球増殖検定法で評価した。D
TH応答は最後の免疫化後7日目に皮膚試験を行って評価
した。精製CEA(Vitro Diagnostics社、米国、コロラド
州、リトルトン)とオボアルブミン(Sigma社、ミズー
リ州、セント・ルイス)の100μgを含有するPBS 0.1mg
を皮内注射した。陽性の対照として、UV不活性化ワクシ
ニアウイルス1×107pfu(10分間254nm)を注射した。
腫れと紅斑を48時間後に測定し、次いで陽性応答のパン
チ生検試料を採取し、その反応のDTH性を組織病理学的
試験によって確認した。その試験結果は、免疫原として
rV(NYC)−CEAを受けている7頭のサル全部と、免疫原
として対照のV−NYCを受けている5頭のうち4頭と
は、不活性化V−NYCワクシニアウイルスの注射に対し
て陽性のDTHで応答した。一方これら12頭のサルのどれ
も、オボアルブミン対照の抗原接種に対して応答しなか
った。V−NYCを接種されたサルのどれも接種抗原(Cha
llenge antigen)としてのCEAに応答しなかったが、rV
(NYC)−CEAで免疫化された8頭のサルの中の7頭がCE
A抗原の注射に対してDTH反応で応答した。これらの試験
結果は図16に示す。
リンパ球増殖検定法を行うため、免疫化サルから、そ
れらの最後の免疫化を行ってから6箇月後または12箇月
後にPBMCを単離した。PBMCはLymphocyte Separation Me
diumを用いヘパリン処理を行った血液から単離し、PBMC
は、10%の熱不活性化ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640
の0.2ml中2×105の細胞を平底96ウエルプレート(Cost
ar社、米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ)の1
ウエル当りにプレートし、適切な抗原とともに6日間ま
たはコンカナバリンA(ConA;Sigma社)とともに3日間
培養した。細胞は、インキュベーションの最後の18〜24
時間に、1μCi/ウエルの〔3H〕−チミジン(New Engla
nd Nuclear社)とともにインキュベートして標識をつ
け、PHD細胞ハーベスター(Cambridge Technology社、
米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ)で収穫し
た。取込まれた放射能を液体シンチレーション分光法
(Beckman LS 3801)で測定し、3個のウエルから得た
試験結果を平均し、平均値±SEMとして報告した。
試験結果を表7に示すが、すべてのサルはrV(NYC)
−CEAまたはV−NYCを受けているにかかわらず良好に応
答したことを示した。V−NYCで免疫化されたサルから
は、オボアルブミンに比べてCEAに対して特異的なリン
パ球応答はほとんどないか全くなかった。しかしCEA対
オボアルブミンに対する鑑別応答は、rV(NYC)−CEAで
免疫化された3頭のサルに、最後の免疫化を行ってから
12箇月目にもみられた。したがってこれらの試験結果と
DTHの結果は、rV(NYC)−CEAワクチンの、CEAに対する
特異的細胞応答を誘発する性能を示している。
先に挙げた刊行物はすべて、その全体を本願に援用す
るものとする。
上記発明は、明白に理解するために詳細に説明した
が、当該技術分野の当業者であれば、上記の開示事項を
呼んで、形態と細部の種々の変更は、本発明の真の適用
範囲と後述の特許請求の範囲から逸脱することなく実施
できることが分かるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 35/00 C12N 15/00 A C12N 7/00 A61K 37/66 G (56)参考文献 特開 昭63−119681(JP,A) Proc.Natl.Acad.sc i.USA(1982)Vol.79,p. 7415−7419 Biochem.Biophys.R es.Commun.(1987)Vol. 142,No.2,p.511−518 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 7/00 A61K 38/00 - 39/00 A61K 45/00 A61P 35/00 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】癌胎児性抗原(CEA)遺伝子が挿入された
    ワクシニアウイルスからなる組換えウイルスであって; このウイルスに感染した細胞の表面にCEAを発現し、か
    つCEAおよびCEAを発現する細胞に対して特異的な生体内
    免疫応答を誘発する組換えウイルス。
  2. 【請求項2】前記ワクシニアウイルスがV−WR株のウイ
    ルスである請求の範囲第1項記載の組換えウイルス。
  3. 【請求項3】前記ワクシニアウイルスがNYC株のウイル
    スである請求の範囲第1項記載の組換えウイルス。
  4. 【請求項4】前記ワクシニアウイルスが他の弱毒ヒトワ
    クシニアウイルス株で組換えられている請求の範囲第1
    項記載の組換えウイルス。
  5. 【請求項5】前記CEAが単一または多数の免疫優性T細
    胞エピトープからなる請求の範囲第1項記載の組換えウ
    イルス。
  6. 【請求項6】rV−CEAで構成されている組換え癌胎児性
    抗原/ワクシニアウイルス(ATCC受託番号VR2323)。
  7. 【請求項7】前記ワクシニアウイルスがCEAの発現を増
    大するプロモーターを含有している請求の範囲第1項記
    載の組換えウイルス。
  8. 【請求項8】請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1項
    記載の組換えウイルスを含んで成る、癌の細胞がCEAを
    発現する癌にかかっている患者の治療のための医薬組成
    物。
  9. 【請求項9】前記癌細胞が胃腸、***、すい臓、膀胱、
    卵巣、肺または前立腺の癌細胞である請求の範囲第8項
    記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】前記癌細胞が、CEAエピトープを発現す
    る上皮誘導癌細胞からなる請求の範囲第8項記載の医薬
    組成物。
  11. 【請求項11】生体応答調節剤と共に投与するための請
    求の範囲第8項記載の医薬組成物。
  12. 【請求項12】前記生体応答調節剤がインターロイキン
    −2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、イ
    ンターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)およびシクロホ
    スファミドからなる群から選択される請求の範囲第11項
    記載の医薬組成物。
  13. 【請求項13】アジュバントと共に投与するための請求
    の範囲第8項記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】癌細胞の定着と増殖を防止するために、
    CEAに対する哺乳類の免疫系を刺激するための、請求項
    1〜7のいずれか1項記載の組換えウイルスを含んで成
    る医薬組成物。
  15. 【請求項15】前記ワクシニアウイルスがNYC株のウイ
    ルスである請求の範囲第14項記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】前記ワクシニアウイルスが、弱毒ヒトワ
    クシニアウイルス株で組換えられている請求の範囲第14
    項記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】生体応答調節剤と共に投与される請求の
    範囲第14項〜第16項のいずれか1項記載の医薬組成物。
  18. 【請求項18】前記生体応答調節剤が、インターロイキ
    ン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、
    インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)およびシクロ
    ホスファミドからなる群から選択される請求の範囲第17
    項記載の医薬組成物。
  19. 【請求項19】アジュバントと共に投与される請求の範
    囲第14項記載の医薬組成物。
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EP0770131A1 (en) Immunodominant polypeptides

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