JP3399732B2 - 車両の車体パネルの放射音低減方法および車両の車体パネル - Google Patents
車両の車体パネルの放射音低減方法および車両の車体パネルInfo
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Description
の放射音低減方法および車両の車体パネルに関し、特に
車両走行中のロードノイズの低減に有効な車体パネルの
放射音低減方法およびこの方法により放射音を低減され
た車体パネルに関するものである。
ョン装置の共振やタイヤの空洞共鳴に起因して車室内へ
伝達される振動および騒音(ロードノイズ)を低減する
ために、従来より種々の防振、防音対策が施されてい
る。
の車体パネルに制振材を貼付したり、実開平4−435
78号に開示されているように、複数本のリブを交差さ
せて形成して車体パネルの面剛性を高めたりすることに
より、振動および騒音の低減を図ることが行なわれてい
る。
リブを備えた面剛性の高いパネルの場合、リブを備えて
いない場合に比較して、振動のレベルは低下するもの
の、音をより多く放射する傾向があり、そのため、車室
内に伝達される振動は低下しても、騒音は十分に低下し
ていないことがある。また、面剛性が高いと、制振材に
よる制振効果も薄らぐことも判明している。
分割振動により、数多くの振動モードが励起されるが、
振動モード間には放射効率に大きな差異が存在すること
も判明している。
振動モードの放射効率に着目した車 両の車体パネルの放
射音低減方法および車両の車体パネルを提供することを
目的とする。
パネルの放射音低減方法は、放射音を低減すべき目標周
波数fSを設定し、車両の車体パネルに励起される振動
モードをn×mモード(n=1,2,3,…所定方向の
振動の腹の数;m=1,2,3,…前記所定方向に対し
て垂直方向の振動の腹の数)とするとき、放射効率の低
いn×m=偶数となる振動モードの周波数を目標周波数
fSに近付けるべく、車体パネルの構造パラメータを調
整することを特徴とするものである(請求項1)。
ては、図1に示すように、 (a) 騒音の周波数特性等から目標周波数fSを設定し、 (b) 車体パネルの寸法、材質、支持条件等の制約条件
を抽出し、 (c) 該制約条件下で前記車体パネルに発生する複数の
振動モードのそれぞれの周波数および歪みエネルギ分布
を検出し、 (d) 図2(a),(b)および図3(a),(b)
に、目標周波数fSに対し、放射効率の低い2×2モー
ドの振動を励起させたい場合のものを一例として示すよ
うに、目標周波数fSと各振動モードの周波数との大小
関係から、変更すべき構造パラメータを決定し、 (e) 歪みエネルギが大きい部分を黒色部分で示す有限
要素法による歪みエネルギ分布図である図4(a)〜
(c)に示すように、、各振動モードの歪みエネルギ分
布から、構造パラメータを変更すべき部位(歪みエネル
ギ分布の大きい箇所)を決定すればよい(請求項2)。
い長方形でない場合、フレームまたはビードで周囲を拘
束された正方形または正方形に近い長方形を車体パネル
内に形成することが好ましい(請求項3)。
目標周波数fSとして設定すればよい(請求項4)。具
体的には、車両がストラット式サスペンションを備えて
いる場合には、このストラット式サスペンションの車幅
方向への倒れ共振周波数を前記目標周波数fSとして設
定すればよい(請求項5)。あるいは、車両のタイヤ空
洞共鳴周波数を目標周波数fSとして設定してもよい
(請求項6)。さらに、サスペンションの車幅方向への
倒れ共振周波数とタイヤ空洞共鳴周波数との双方を目標
周波数fSとして設定してもよい(請求項6)。上記車
体パネルは例えばフロアパネルである(請求項7)。
へ近付けるための上記構造パラメータの変更は、車体パ
ネルの面剛性分布を変えることにより行なう(請求項
8)。
数をその周波数よりも高い目標周波数fSに近付けるた
めには、その振動モードでの歪みエネルギ分布の大きい
部分における面剛性を調整する(請求項8)。
の部分の面曲率を調整すること、その部分に面外への突
出部を形成すること、この突出部の突出量を増大させる
こと、および、図2(b)に示すように、その部分にビ
ードを形成することのうちの少なくとも1つを行なうこ
とにより、面剛性を増大させる(請求項9)。
の周波数をその周波数よりも低い目標周波数fSに近付
けるためには、図3(a)に示すように、その振動モー
ドでの歪みエネルギ分布の大きい部分における面密度を
増大させればよいが(請求項10,11)、ビードを取
り除くこと等によってその部分の面剛性を低下させるこ
とによっても可能である。
しいときには、図3(b)に示すように、他の放射効率
の高いモード(1×1,1×3)の抑圧のために、その
モードの歪みエネルギ分布の大きい部分に制振材を添付
すればよい(請求項11)。
2モードである(請求項12)。
拘束されたほぼ矩形とされ、その車体パネルに励起され
る振動モードをn×mモード(n=1,2,3,…所定
方向の振動の腹の数;m=1,2,3,…前記所定方向
に対して垂直方向の振動の腹の数)とするとき、放射音
を低減すべき振動周波数に、放射効率の低いn×m=偶
数となる振動モードが励起されるように構造パラメータ
が設定されてなることを特徴とするものである(請求項
13)。
両のサスペンションの共振周波数に設定されているのが
好ましい(請求項14)。あるいは、放射音を低減すべ
き振動周波数が、車両のタイヤ空洞共鳴周波数に設定さ
れていてもよい(請求項15)。さらに、放射音を低減
すべき振動周波数が、サスペンションの共振周波数と、
タイヤ空洞共鳴周波数との双方に設定されていてもよい
(請求項15)。
り(請求項16)、このフロアパネルは、車体フレー
ム、サイドシルおよびフロアトンネル形成部材により周
囲を拘束されているものである(請求項17)。
(a),(b)に示すように、車体パネルの歪みエネル
ギ分布の大きい部分の面剛性分布の調整により、構造パ
ラメータの設定を行なうことができ(請求項18)、具
体的には、その部分の面曲率を調整すること、その部分
に面外への突出部を形成すること、この突出部の突出量
を調整すること、およびその部分にビードを形成するこ
とのうちの少なくとも1つを行なうことにより、面剛性
を調整する(請求項19)。
(a)に示すように、車体パネルの歪みエネルギ分布の
大きい部分の面密度分布の調整によっても構造パラメー
タの設定を行なうことができ(請求項20)、この面密
度分布の調整は、面密度の調整により、あるいは制振材
添付により行なわれる(請求項21,請求項22)。
体パネル面内に励起される振動モードと放射音エネルギ
との関係を示す説明図である。
率が高く放射音が大であるが、図5(b)に示す1×2
モードでは、放射音が相殺されて、放射効率が低下す
る。また、図5(c)に示す2×2モード、および図5
(d)に示す2×3モードでも、放射音が相殺されて、
放射効率が低くなる。
とするとき、図6に示すように、n×m=偶数(n=
1,2,3,…所定方向の振動の腹の数;m=1,2,
3,…前記所定方向に対して垂直方向の振動の腹の数)
となる振動モードが、放射音を低減すべき周波数で励起
されるようなパネル構造にすれば、有害な放射音が低減
されることになる。
00mmの大きさの薄い車体パネルに励起される低次の振
動モードの放射効率を示すグラフである。横軸は周波数
比(kbは基準の周波数)を示し、車体振動のkb/kは
0.1程度である。また、縦軸の放射効率は図の下方へ
向かうほど低下する。図7を参照すると、n×m=奇数
の場合は放射効率が高く、n×m=偶数の場合は放射効
率が低いことがわかる。そして、n×m=奇数の場合で
も1×1モードの放射効率が最も高く、n×m=偶数の
場合でも2×2モードの放射効率が最も低く、この2×
2モードの放射効率は1×1モードの放射効率の1/1000
0程度にまで低下することがわかる。
(1×2モードまたは2×2モード)が放射音を低減す
べき周波数で励起されるようなパネル構造にすれば、有
害な放射音が低減されることになる。
周波数が車体パネルに伝達されて、160Hz付近をピー
クレベルとする車室内騒音を生じたとする。そこで、上
記サスペンションの共振周波数を目標周波数fSとして
設定することにより、車室内騒音レベルを低減すること
ができる。
定在波に起因するタイヤの空洞共鳴がフロアパネルに伝
達されて、250Hz付近をピークレベルとする車室内騒
音を生じたとする。そこで、上記タイヤの空洞共鳴周波
数を目標周波数fSとして設定することにより、車室内
騒音レベルを低減することができる。
て説明する。
射音低減方法を用いて放射音低減対策の施された正方形
のフロアパネル(以下、本発明により放射音低減対策の
施されたパネルをMCP(モードコントロール パネ
ル)と呼び、対策の施される以前のパネルを単にPと呼
ぶ)をフロアトンネルの左右に備えた車両のフロントフ
ロアを示す斜視図で、2枚のフロアパネルMCPは、フ
ロアトンネル10およびサイドシル11によって左右縁
部を拘束され、かつ、No.2クロスメンバ12およびNo.
3クロスメンバ13によって前後縁を拘束されているこ
とによって全周を拘束されている。
低減対策の施された4枚のフロアパネルMCPがNo.2
クロスメンバ12の前後に設けられている場合の車両の
フロアを示す斜視図であり、フロアパネルMCPのフロ
アトンネル10側は、トンネルサイドレインフォースメ
ント14によって拘束され、それぞれ全周を拘束されて
いる。各フロアパネルMCPに描かれている4個の円形
は、後述するように放射音低減対策のための凸部ないし
凹部を示し、図9と図10とでは、前方側のフロアパネ
ルMCPにおける凸部ないし凹部の配列が異なってい
る。
位置決め用の穴あるいは突起が設けられているが、これ
らが、MCPの動作に悪影響を与える位置(例えば、2
×2モードの歪みエネルギが小さい位置)にならないよ
うに、凸部ないし凹部の配列を決定している。
の車体パネルの放射音低減方法において、放射効率の低
い振動モード(1×2モードまたは2×2モード)のモ
ード周波数を目標周波数fSに近付ける場合の実施の形
態を説明するフローチャートである。以下このフローチ
ャートに沿って説明する。なお、Sは各ステップを表
す。
周波数fSの設定: 本発明の方法においては、先ず放射音を低減すべき周波
数を目標周波数fSとして設定する。
車両がストラット式サスペンションを備えている場合
に、車両走行中における上記ストラット式サスペンショ
ンの車幅方向への倒れ共振がフロアパネルPに伝達され
て、図13に示すように、1/3オクターブバンド分析を
行なうと、160Hzバンドに騒音レベルのピークを生じ
る。そこで、160Hzを放射音を低減すべき目標周波数
fSとして設定している。このオクターブバンド分析に
ついては一般に知られているので、ここでの説明は省略
する(例えば、北村恒二著「新訂・騒音と振動のシステ
ム計測」コロナ社刊、昭和50年2月10日初版発行参
照)。音の測定・分析については、この「バンド」とい
う単位が一般的に用いられており、また、この「バン
ド」という言葉は「帯域」とも記載される。本明細書の
請求項16〜18における「振動周波数」はこの「バン
ド」という幅を持った値を含んでいる。
においても騒音レベルのピークが認められるが、これは
走行車両走行時にタイヤに発生する定在波に起因するタ
イヤの空洞共鳴の周波数であり、この騒音レベルも大き
いときには、後述するように、160Hzに併せて250
Hzも目標周波数fSとして設定すればよい。
概略的に示す測定装置を用いて測定することができる。
すなわち、図14に平面図で示す車体1のホイールに対
して加振器2から車幅方向の振動を加え、この加振器2
の出力と、サスペンション上部に取り付けた加速度セン
サ3の出力とを周波数分析器4に入力して、共振周波数
を測定することができる。
に概略的に示す測定装置を用いて測定することができ
る。すなわち、タイヤ5に対して加振器2から上下方向
の振動を加え、この加振器2の出力と、サスペンション
上部に取り付けた加速度センサ3の出力とを周波数分析
器4に入力して、共振周波数を測定することができる。
出する。パネルPの初期条件を、図16に示すように、
450×450×0.65mm(縦×横×厚さ)の寸法を
有しフレームFによって全周を拘束されたSPC製のフ
ラットパネルとする。
ク: パネルPの形状がほぼ正方形(または長方形)であるか
否かをチェックし(S3)、上述のように正方形(また
は正方形に近い長方形)の場合はそのままでよいが(S
3:YES)、に正方形(または正方形に近い長方形)
でなければ(S3:NO)、パネルP内にフレームまた
はビードにより周囲を拘束された正方形(または正方形
に近い長方形)のパネルをつくり、このパネルに対して
放射音低減対策を施す(S4)。この理由は、正方形パ
ネルで得られる2×2モードが放射効率がより低いから
である。
振動モードの周波数調査および歪みエネルギ分布調査: パネルPの各振動モードの周波数および歪みエネルギ分
布は計算解析によっても求めることができる。そして、
各振動モードの周波数の調査結果から、後のステップ
で、目標周波数に対し比較的放射効率の低い2×2モー
ドを励起させたい場合の対策である図2(a),(b)
および図3(a),(b)に示すように、変更パラメー
タを決定するとともに、図4(a)〜(c)に示す有限
要素法による歪みエネルギ分布(黒色部分の歪みエネル
ギが大きい)の調査結果から変更位置を決定する。
波数を測定装置を用いて実際に測定する場合の概略図で
ある。防音箱6に車体1から切り出したフロアパネルP
を周囲を拘束した状態で取り付け、パネルPに対して加
振器2から上下方向の振動を加え、この加振器2の出力
と、フロアパネルPに取り付けた加速度センサ3の出力
とを周波数分析器4に入力するとともに、パネルPの上
面近傍に音響インテンシティプローブ7を設け、このプ
ローブ7の出力を音響インテンシティ分析器(A.I.
分析器)8に加え、両分析器4,8の出力をコンピュー
タ9に入力して、各振動モードの周波数、放射音響パワ
ーおよび放射効率を求めることができる。
いての振動モード周波数の測定装置の概略図である。こ
の場合は、例えば車体1のNo.2クロスメンバ12(図
9,図10参照)に対して加振器2から上下方向の振動
を加え、この加振器2の出力と、フロアパネルPに取り
付けた加速度センサ3の出力とを周波数分析器4に入力
するとともに、フロアパネルPの上面近傍に音響インテ
ンシティプローブ7を設け、このプローブ7の出力を音
響インテンシティ分析器8に加え、両分析器4,8の出
力をコンンピュータ9に入力して、各振動モードの周波
数、放射音響パワーおよび放射効率を求めることができ
る。
モードの周波数fnと目標周波数fSとの比較:フラット
パネルPにおける放射効率の低い振動モード(1×2モ
ードまたは2×2モード)の周波数fnが目標周波数fS
よりも高いか否かを判定し(S6)、fn>fSであれば
(S6:YES)、S8へ進み、fn≦fSであれば(S
6:NO)、fnが目標周波数fSよりも低いか否かを判
定し(S7)、fn<fSであれば(S7:YES)、図
2(a),(b)に示すように、面剛性分布変更により
fnをfSに近付けるべく、図12のS9へ進み、fn=
fSであれば(S7:NO)、図12のS13へ進む。
タの選択: fn>fSのときには(S6:YES)、パネルPの制約
条件、すなわち、寸法、材質、支持条件等から構造パラ
メータの変更を、面剛性分布の変更(S9)によって行
なうかあるいは面密度分布の変更(S11)にって行な
うかを選択する。
き、fnを下げてfSに一致させる場合、 (1)面剛性分布の変更 すなわち、図4(a)の歪みエネルギの大きい黒色領域
にビードや凹凸があれば、これを除いてフラットにする
ことでfnを下げる。
にビードや凹凸形状がある場合でも、あるいはフラット
であっても、この領域に制振材等の剛性に影響のない、
かつ質量付加の影響の大きい材料を貼付する。フラット
パネルの剛性を下げるには、一部を薄くしなければなら
ないので、技術的に困難であり、面密度分布の変更を選
択するしかない。
によるfnの調整: (例1)曲面の形成によるfnの調整 ステップ5の調査の結果、初期状態のパネル(フラット
パネル)に励起する1×2モードの歪みエネルギ大の部
分が図19に斜線で示すような領域に存在し、その振動
周波数が例えば56.4Hzである場合、図20に示すよ
うに、パネル面の前記エネルギ大の部分に曲面を形成し
て面剛性を高めることにより、1×2モードの振動周波
数fnを目標周波数fS(=160Hz)に近付けることが
できる。なお、図20において、図(a)はパネルMC
Pの斜視図、図(b)は平面図、図(c)は図(b)の
c−c線に沿った断面図、図(d)は図(b)を矢dの
方向から視た図、図(e)は図(b)を矢eの方向から
視た図である。
みの深さを変えて局部剛性を変更することにより、図2
2に示すように、振動周波数fnが変化する。本例で
は、曲面の窪みの深さが約4.5mmで、1×2モード
の振動周波数を160Hzにすることができた。
整 ステップ5の調査の結果、初期状態のフラットパネルP
に励起する2×2モード(実線)および斜め2×2モー
ド(破線)の歪みエネルギ分布が図23に示すような領
域(斜線)になっており、2×2モードの振動周波数が
77Hz、斜め2×2モードの振動周波数が53Hzであっ
た。車室内騒音レベルは、図13に示すように、160
Hzと250Hzの双方のバンドでピークを示している。
うに、2×2モードについては、歪みエネルギ大の部分
に深さ5mmの窪みを設けることによって面剛性を高め、
斜め2×2モードについては、歪みエネルギ大の部分に
中心方向に延びるビード21を設けることによって面剛
性を高めた。なお、図24において、図(a)はパネル
MCPの斜視図、図(b)は平面図、図(c)は図
(b)のc−c線に沿った断面図、図(d)は図(b)
を矢dの方向から視た図、図(e)は図(b)を矢eの
方向から視た図である。
線上に腹を生じる斜め2×2モードの振動周波数が18
4Hzに上昇し、また、図27に示すように対角線上に腹
を生じる2×2モードの振動周波数が274Hzに上昇し
た。そして、粗粒路における時速60kmの定常走行時の
車室内騒音レベルを図28に示すように約5dB低下させ
ることができた。
によるfnの調整 パネルP面上に、図29に示すような高さ2mmの4個の
凸面を配置した場合の計算解析結果では、図30に示す
ように、対角線上に腹を生じる2×2モードの振動周波
数が172Hzになった。
2個の凹部によるfnの調整 図31に示すように、パネルP面の一方の対角線上に高
さ3mmの2個の凸部を、他方の対角線上に深さ3mmの2
個の凹部を配置した場合の計算解析結果では、図32に
示すように、中心線上に腹を生じる2×2モードの振動
周波数が164Hzになった。
ビード22を形成した場合の計算解析結果では、図34
に示すように、対角線に腹を生じる2×2モードの振動
周波数が159Hzになった。
更によるfnの調整: (例)パネルPの2×2モード周波数よりも低い周波数
を目標周波数fSに設定する場合図35に示すように、
車室内騒音レベルに50Hzバンドのピークが生じている
場合、図36に示すように、対角線に沿って質量23を
添加して対角線上の面密度を高める。図37は、パネル
の面密度を高めるため、パネル面に重量物を添加したと
きの添加重量に対する2×2モードの周波数変化の関係
を示す図である。この場合は、480gの質量添加によ
り、図36に示すような対角線上に腹を生じる2×2モ
ード周波数は50.0Hzに低下し、その結果、図38に
示すように、50Hzにおける車室内騒音レベルが約7dB
低下した。
変更による2×2モード以外の振動モードの抑圧: フラットパネルPの2×2モード周波数に近い周波数を
目標周波数fSに設定する場合には、制振材添付により
ダンピング分布を変更し、2×2モード以外の振動モー
ドを抑圧する(S13)。
ベルがフラットパネルの2×2モード周波数に近い80
Hzに山を示した場合、図3(b)に示すようにパネルに
制振材を添付することにより、図40に示すように、パ
ネルの音響放射パワー全体が低下し、その結果、車室内
騒音レベルも図41に示すように低下した。
の処理の後においても、制振材添付によるダンピング分
布の変更により(S14)、2×2モード以外の振動モ
ードを抑圧するのがよい。
合わせ(2×2モードの場合)> (1) 面剛性分布変更:車室内騒音レベルが図13に示
すように160Hzバンドおよび250Hzバンドにピ
ークを有する場合、前述した図24の窪みの深さを5mm
とする曲面形成により、160Hzおよび250Hzを
狙ったfnの調整を行なう。
の周波数(1/3オクターブバンド中心周波数)は下記の
表1のようになり、放射効率の高い1×1モードが10
0Hzバンドに発生し、悪影響が生じている。
に、中央部分の面密度を制振材24の貼付により高めて
1×1モードの周波数を低周波域にシフトする。その結
果、主要なモードの周波数(1/3オクターブバンド中心
周波数)は下記の表2のようになり、1×1モード周波
数は50Hzバンドにシフトされて悪影響は小さくなっ
た。なお、図42において、図(a)はパネルMCPの
斜視図、図(b)は平面図、図(c)は図(b)のc−
c線に沿った断面図、図(d)は図(b)の矢dの方向
から視た図、図(e)は図(b)の矢eの方向から視た
図である。
450×450×0.65mm(縦×横×厚さ)の寸法を
有するが、3本の縦方向のビード25が平行に設けられ
ていて高い面剛性を有する全周を拘束されたSPC製の
フロアパネルPを初期状態とする。なお、図43におい
て、図(a)はパネルPの平面図、図(b)は図(a)
の矢bの方向から視た図、図(c)は図(a)のc−c
線に沿った断面図、図(d)は図(a)の矢dの方向か
ら視た図である。この場合、下記の表3に示すように、
2×2モードも斜め2×2モードも生じておらず、しか
も160Hzバンドに1×1モードが存在し、250Hzバ
ンドに3×1モードが存在して悪影響を与えている。
ド25の深さを浅くし、あるいは傾斜を緩やかにして面
剛性を下げるとともに、パネルPの中心線に沿って横方
向のビード26を追加することにより、下記の表4に示
すように、1×1モードは50Hzバンドにシフトされ、
3×1モードは消滅するとともに、騒音低減効果を有す
る2×2モードが160Hzバンドに出現した。なお、図
44において、図(a)はパネルMCPの平面図、図
(b)は図(a)の矢bの方向から視た図、図(c)は
図(a)のc−c線に沿った断面図、図(d)は図
(a)の矢dの方向から視た図である。
前記と同様の450×450×0.65mm(縦×横×厚
さ)の寸法を有するが、3本の縦方向のリブ27が平行
に設けられていて高い面密度を有する全周を拘束された
SPC製のフロアパネルPを初期状態とする。なお、図
45において、図(a)はパネルPの平面図、図(b)
は図(a)の矢bの方向から視た図、図(c)は図
(a)のc−c線に沿った断面図、図(d)は図(a)
の矢dの方向から視た図である。この場合、下記の表5
に示すように、2×2モードも斜め2×2モードも生じ
ておらず、しかも50Hzバンドに高いレベルの1×1モ
ードが存在し、100Hzバンドに3×1モードが存在し
て悪影響を与えている。
27の高さを低くし、あるいは幅を細くして面密度を下
げるとともに、パネルPの中心線に沿って横方向のリブ
28を追加することにより、下記の表6に示すように、
1×1モードのレベルが低下し、3×1モードは消滅す
るとともに、騒音低減効果を有する2×2モードが16
0Hz帯に出現した。なお、図46において、図(a)は
パネルMCPの平面図、図(b)は図(a)の矢bの方
向から視た図、図(c)は図(a)のc−c線に沿った
断面図、図(d)は図(a)の矢dの方向から視た図で
ある。
Pをフロアトンネル10の左右に備えた車両のフロント
フロアを前述の図8よりもより詳細に示す拡大斜視図、
図48は図47のA−A線に沿った断面図である。2枚
のフロアパネルMCPは、フロアトンネル10およびサ
イドシル11によって左右縁部を拘束され、No.2およ
びNo.3クロスメンバ(図示は省略)によって前後縁を
拘束されている。そして、図31と同様に、パネルP面
の一方の対角線上に高さ3mm程度の2個の凸部14,1
4を、他方の対角線上に深さ3mm程度の2個の凹部1
5,15を配置した場合であり、中心線上に腹を生じる
2×2モードが約160Hzで励起されて、車室内騒音を
低減するように構成されている。
MCPの一方の凹部15の中央には水抜き孔16が形成
され、他方の凹部15には位置出し孔17が形成されて
いるが、これら孔16,17の存在によって、フロアパ
ネルMCPの騒音低減効果が減退されるおそれはないも
のである。
えたフロアパネルMCPの一例を示す平面図であり、図
50および図51はそれぞれ、図49のA−A線、B−
Bに沿った断面図である。また、図52は、4個の凹部
15を対角線上に備えたフロアパネルMCPを備えた車
両のフロントフロアの部分的平面図であり、図53は図
53のA−A線に沿った断面図である。図52に符号2
9,30で示す線は、剛性向上のために設けられた折れ
部である。
線上に備えた本発明によるフロアパネルMCPをフロア
トンネル10の左右に備えた車両のフロントフロアを前
述の図10よりもより詳細に示す拡大斜視図である。図
54に符号31で示す線は、剛性向上のために設けられ
た折れ部である。
ネルの放射音低減方法およびこの方法により放射音を低
減された車両の車体パネルの構成が明らかになったが、
本発明は、フロアパネルのみでなく、振動が伝達されて
放射音を発生する可能性のある種々の車体パネルに適応
可能である。
法の一実施の形態において、放射音低減対策に先だって
初期状態のフラットパネルに対して行なわれる処理の説
明図
じて選択される構造パラメータ調整態様を示す説明図
じて選択される構造パラメータ調整態様を示す説明図
要素法による歪みエネルギ分布図
ネルギとの関係を示す説明図
ラフ
の一例を示す斜視図
の他の例を示す斜視図
アのさらに他の例を示す斜視図
方法の一実施の形態の説明に供するフローチャートの前
半部分
方法の一実施の形態の説明に供するフローチャートの後
半部分
特性図
図
方法が適用されるフラットパネルの平面図
の概略図
装置の概略図
歪みエネルギ分布図
成して面剛性を高めることによりモード周波数を調整し
たパネルの斜視図、三面図および断面図
の説明図
ラフ
よび斜め2×2モードの歪みエネルギ分布図
形成して面剛性を高めることによりモード周波数を調整
したパネルの斜視図、三面図および断面図
た斜め2×2モードの歪みエネルギ分布図
た2×2モードの歪みエネルギ分布図
車室内騒音の周波数特性図
形成したパネルの斜視図
ドに発生した2×2モードの歪みエネルギ分布図
形成したパネルの斜視図
ドに発生した斜め2×2モードの歪みエネルギ分布図
を形成したパネルの斜視図
ドに発生した2×2モードの歪みエネルギ分布図
の周波数特性図
2モードの歪みエネルギ分布図
フ
を表す車室内騒音の周波数特性
音の周波数特性図
の低減効果を示す周波数特性図
騒音の周波数特性図
変更によりモード周波数を調整したパネルの斜視図、三
面図および断面図
よび断面図
低減対策を施したパネルの三面図および断面図
び断面図
低減対策を施したパネルの三面図および断面図
のフロントフロアの一例構成を示す斜視図
態を示す平面図
のフロントフロアの他の構成を示す平面図
のフロントフロアのさらに他の構成を示す斜視図
Claims (22)
- 【請求項1】 放射音を低減すべき目標周波数fSを設
定し、車両の車体パネル(P)に励起される振動モード
をn×mモード(n=1,2,3,…所定方向の振動の
腹の数;m=1,2,3,…前記所定方向に対して垂直
方向の振動の腹の数)とするとき、放射効率の低いn×
m=偶数となる振動モードの周波数を前記目標周波数f
Sに近付けるべく、前記パネル(P)の構造パラメータ
を調整することを特徴とする車両の車体パネルの放射音
低減方法。 - 【請求項2】 (a) 前記車体パネル(P)の寸法、材
質、支持条件等の制約条件を抽出し、 (b) 該制約条件下で前記車体パネル(P)に発生する
複数の振動モードのそれぞれの周波数および歪みエネル
ギ分布を検出し、 (c) 前記目標周波数fSと各振動モードの周波数との大
小関係から、変更すべき構造パラメータを決定し、 (d) 各振動モードの歪みエネルギ分布から、前記構造
パラメータを変更すべき部位を決定することを特徴とす
る請求項1記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項3】 前記車体パネル(P)が正方形または正
方形に近い長方形でない場合、フレームまたはビードで
周囲を拘束された正方形または正方形に近い長方形を前
記車体パネル(P)内に形成することを特徴とする請求
項2記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項4】 前記車両のサスペンションの共振周波数
を前記目標周波数fSとして設定することを特徴とする
請求項1ないし3のうちのいずれか1項記載の車両の車
体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項5】 前記車両がストラット式サスペンション
を備えており、該ストラット式サスペンションの車幅方
向への倒れ共振周波数を前記目標周波数fSとして設定
することを特徴とする請求項4記載の車両の車体パネル
の放射音低減方法。 - 【請求項6】 前記車両のタイヤ空洞共鳴周波数を前記
目標周波数fSとして設定することを特徴とする請求項
1ないし5のうちのいずれか1項記載の車両の車体パネ
ルの放射音低減方法。 - 【請求項7】 前記車体パネル(P)がフロアパネルよ
りなることを特徴とする請求項4ないし6のうちのいず
れか1項記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項8】 前記構造パラメータの変更を、前記車体
パネル(P)の歪みエネルギ分布の大きい部分の面剛性
分布を変化させることにより行なうことを特徴とする請
求項2記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項9】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ分
布の大きい部分の面剛性分布を、面曲率の調整、突出部
(14,15)の形成、突出部(14,15)の突出量
の調整、およびビード(22)の形成のうちの少なくと
も1つにより変化させることを特徴とする請求項8記載
の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項10】 前記構造パラメータの変更を、前記車
体パネル(P)の歪みエネルギ分布の大きい部分の面密
度分布を変化させることにより行なうことを特徴とする
請求項2記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項11】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分の面密度分布を、面密度の調整および
/または制振材(24)添付により変化させることを特
徴とする請求項10記載の車両の車体パネルの放射音低
減方法。 - 【請求項12】 前記振動モードが2×2モードよりな
ることを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか
1項記載の車両の車体パネルの放射音低減方法。 - 【請求項13】 車両の車体パネル(P)であって、該
車体パネル(P)は、周囲を拘束されたほぼ矩形とさ
れ、その車体パネル(P)に励起される振動モードをn
×mモード(n=1,2,3,…所定方向の振動の腹の
数;m=1,2,3,…前記所定方向に対して垂直方向
の振動の腹の数)とするとき、放射音を低減すべき振動
周波数に、放射効率の低いn×m=偶数となる振動モー
ドが励起されるように構造パラメータが設定されてなる
ことを特徴とする車両の車体パネル。 - 【請求項14】 前記放射音を低減すべき振動周波数
が、前記車両のサスペンションの共振周波数に設定され
てなることを特徴とする請求項13記載の車両の車体パ
ネル。 - 【請求項15】 前記放射音を低減すべき振動周波数
が、前記車両のタイヤ空洞共鳴周波数に設定されてなる
ことを特徴とする請求項13または14記載の車両の車
体パネル。 - 【請求項16】 前記車体パネル(P)がフロアパネル
よりなることを特徴とする請求項14または15記載の
車両の車体パネル。 - 【請求項17】 前記フロアパネル(P)が、車体フレ
ーム(12,13)、サイドシル11およびフロアトン
ネル10形成部材により周囲を拘束されてなることを特
徴とする請求項16記載の車両の車体パネル。 - 【請求項18】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分の面剛性分布の調整により、前記構造
パラメータの設定が行なわれてなることを特徴とする請
求項13ないし17のうちのいずれか1項記載の車両の
車体パネル。 - 【請求項19】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分の面曲率の調整、突出部(14,1
5)の形成、該突出部(14,15)の突出量の調整、
およびビード(22)の形成のうちの少なくとも1つに
より、面剛性分布の調整が行なわれてなることを特徴と
する請求項18記載の車両の車体パネル。 - 【請求項20】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分の面密度分布の調整により、前記構造
パラメータの設定が行なわれてなることを特徴とする請
求項13ないし19のうちのいずれか1項記載の車両の
車体パネル。 - 【請求項21】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分の面密度の調整により、面密度分布の
調整が行なわれてなることを特徴とする請求項20記載
の車両の車体パネル。 - 【請求項22】 前記車体パネル(P)の歪みエネルギ
分布の大きい部分への制振材(24)添付により、面密
度分布の調整が行なわれてなることを特徴とする請求項
20または21記載の車両の車体パネル。
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