JP3387517B2 - 酸の製造方法 - Google Patents
酸の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイポーラ膜および陰
イオン交換膜を使用した電気透析法により水を解離さ
せ、中性塩から高い電流効率で高濃度の酸を製造する方
法に関する。
イオン交換膜を使用した電気透析法により水を解離さ
せ、中性塩から高い電流効率で高濃度の酸を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】陰イオン交換膜と陽イオン交換膜の複層
膜、いわゆるバイポーラ膜を、陰イオン交換層を陽極側
に、陽イオン交換層を陰極側にして電圧を印加せしめる
と、水が解離して水素イオンと水酸イオンを生成するこ
とは、Friletteが1956年(J.Phys.
Chem.)に報告している。このバイポーラ膜、陰イ
オン交換膜および陽イオン交換膜を1ユニットにして電
気透析することにより中性塩が分解し、酸とアルカリが
生成する。この中性塩からの酸およびアルカリの製造方
法についてはいくつかの提案がなされている。
膜、いわゆるバイポーラ膜を、陰イオン交換層を陽極側
に、陽イオン交換層を陰極側にして電圧を印加せしめる
と、水が解離して水素イオンと水酸イオンを生成するこ
とは、Friletteが1956年(J.Phys.
Chem.)に報告している。このバイポーラ膜、陰イ
オン交換膜および陽イオン交換膜を1ユニットにして電
気透析することにより中性塩が分解し、酸とアルカリが
生成する。この中性塩からの酸およびアルカリの製造方
法についてはいくつかの提案がなされている。
【0003】一方、上記バイポーラ膜、陰イオン交換膜
および陽イオン交換膜を用いて電気透析することによ
り、酸とアルカリを製造する方法は、フッ素化合物製造
の際の副性塩からのフッ酸の回収方法として特公昭56
−49842に開示され、またビスコースレーヨン湿式
紡糸浴中のアルカリ金属硫酸塩からの硫酸および水酸化
アルカリの製造方法として特公昭63−18669に開
示されている。
および陽イオン交換膜を用いて電気透析することによ
り、酸とアルカリを製造する方法は、フッ素化合物製造
の際の副性塩からのフッ酸の回収方法として特公昭56
−49842に開示され、またビスコースレーヨン湿式
紡糸浴中のアルカリ金属硫酸塩からの硫酸および水酸化
アルカリの製造方法として特公昭63−18669に開
示されている。
【0004】しかしながら、これらの従来例の方法で、
酸およびアルカリを製造回収する場合、酸濃度が10重
量%を超えると、電流効率が極端に低下する。このた
め、高濃度の酸を製造する場合には、電流効率上の問題
があるばかりでなく、場合により全く適用できない場合
もあった。
酸およびアルカリを製造回収する場合、酸濃度が10重
量%を超えると、電流効率が極端に低下する。このた
め、高濃度の酸を製造する場合には、電流効率上の問題
があるばかりでなく、場合により全く適用できない場合
もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のバイ
ポーラ膜を使用した中性塩からの酸とアルカリの製造方
法における欠点であった生成酸濃度の制約を取り除き、
高濃度の酸を高電流効率で製造または回収する方法を提
供するものである。
ポーラ膜を使用した中性塩からの酸とアルカリの製造方
法における欠点であった生成酸濃度の制約を取り除き、
高濃度の酸を高電流効率で製造または回収する方法を提
供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気透析法に
よる中性塩からの酸の製造方法において、陽極および陰
極の間に、バイポーラ膜および陰イオン交換膜を配置
し、該陰イオン交換膜として、下記式1で表される繰り
返し単位を含む重合体(式1において、R1,R2,R
3は水素原子または炭素数2までのアルキル基を示
す。)からなり、イオン交換容量が1〜5ミリ当量/g
乾燥樹脂である陰イオン交換膜を使用し、バイポーラ膜
の陰極側に接する酸水溶液の濃度を10〜25重量%と
することを特徴とする酸の製造方法である。
よる中性塩からの酸の製造方法において、陽極および陰
極の間に、バイポーラ膜および陰イオン交換膜を配置
し、該陰イオン交換膜として、下記式1で表される繰り
返し単位を含む重合体(式1において、R1,R2,R
3は水素原子または炭素数2までのアルキル基を示
す。)からなり、イオン交換容量が1〜5ミリ当量/g
乾燥樹脂である陰イオン交換膜を使用し、バイポーラ膜
の陰極側に接する酸水溶液の濃度を10〜25重量%と
することを特徴とする酸の製造方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
【0009】本発明によれば、バイポーラ膜と従来の陰
イオン交換膜を用いる電気透析法では得られなかった濃
度5〜25重量%、特には10〜20重量%の酸が従来
と比べて高電流効率で製造できるので、従来コストの点
から工業的に実施できなかった中性塩を含む種々の排液
からの効率的な酸の回収ができ、公害防止対策上から、
更に資源の有効利用上からも極めて有用である。
イオン交換膜を用いる電気透析法では得られなかった濃
度5〜25重量%、特には10〜20重量%の酸が従来
と比べて高電流効率で製造できるので、従来コストの点
から工業的に実施できなかった中性塩を含む種々の排液
からの効率的な酸の回収ができ、公害防止対策上から、
更に資源の有効利用上からも極めて有用である。
【0010】本発明において、バイポーラ膜および陰イ
オン交換膜を使用した電気透析により高濃度の酸を製造
または回収する場合、好ましくは、図1または図2に示
した原理の電気透析槽が使用される。ここで図1の電気
透析槽では、バイポーラ膜および陰イオン交換膜に加え
て、さらに陽イオン交換膜を用いる。
オン交換膜を使用した電気透析により高濃度の酸を製造
または回収する場合、好ましくは、図1または図2に示
した原理の電気透析槽が使用される。ここで図1の電気
透析槽では、バイポーラ膜および陰イオン交換膜に加え
て、さらに陽イオン交換膜を用いる。
【0011】図1においては、陽極および陰極の間に、
バイポーラ膜Sを中心に陽極側に陽イオン交換膜Cが配
置され、陰極側には陰イオン交換膜Aが配置され、これ
で1ユニットが構成される。かくして構成される電気透
析槽の陽イオン交換膜の陽極側の画室および陰イオン交
換膜の陰極側の画室には、いずれも原料たる中性塩(図
1ではボウ硝)を含有する水溶液が供給される。バイポ
ーラ膜Sと陰イオン交換膜Aとで形成される画室には、
酸水溶液または希釈用の水が供給される。バイポーラ膜
と陽イオン交換膜Cとで形成される画室には、アルカリ
水溶液または希釈用の水が供給される。そして、電流密
度5〜40A/dm2 好ましくは5〜15A/dm2 に
て通電され、槽温25〜90℃好ましくは25〜50℃
にて運転される。
バイポーラ膜Sを中心に陽極側に陽イオン交換膜Cが配
置され、陰極側には陰イオン交換膜Aが配置され、これ
で1ユニットが構成される。かくして構成される電気透
析槽の陽イオン交換膜の陽極側の画室および陰イオン交
換膜の陰極側の画室には、いずれも原料たる中性塩(図
1ではボウ硝)を含有する水溶液が供給される。バイポ
ーラ膜Sと陰イオン交換膜Aとで形成される画室には、
酸水溶液または希釈用の水が供給される。バイポーラ膜
と陽イオン交換膜Cとで形成される画室には、アルカリ
水溶液または希釈用の水が供給される。そして、電流密
度5〜40A/dm2 好ましくは5〜15A/dm2 に
て通電され、槽温25〜90℃好ましくは25〜50℃
にて運転される。
【0012】こうすることにより、バイポーラ膜Sにお
いて水が水素イオンと水酸イオンに解離するので、バイ
ポーラ膜Sと陽イオン交換膜Cとによって形成される画
室には水酸化アルカリ(図1では水酸化ナトリウム)が
生成し、バイポーラ膜Sと陰イオン交換膜Aとによって
形成される画室には酸(図1では硫酸)が生成する。図
1では陽極と陰極の間に1ユニットを形成したものを例
示したが、通常は50〜500ユニット好ましくは10
0〜200ユニットが形成される。
いて水が水素イオンと水酸イオンに解離するので、バイ
ポーラ膜Sと陽イオン交換膜Cとによって形成される画
室には水酸化アルカリ(図1では水酸化ナトリウム)が
生成し、バイポーラ膜Sと陰イオン交換膜Aとによって
形成される画室には酸(図1では硫酸)が生成する。図
1では陽極と陰極の間に1ユニットを形成したものを例
示したが、通常は50〜500ユニット好ましくは10
0〜200ユニットが形成される。
【0013】図2においては、陽極と陰極の間にバイポ
ーラ膜Sを配置し、その両側にそれぞれ陰イオン交換膜
Aを配置して、1ユニットが形成される。かくして形成
される電気透析槽のバイポーラ膜Sの陽極側の画室に
は、中性塩(図2の場合にはボウ硝)を含有する水溶液
が供給され、バイポーラ膜Sの陰極側の画室には、生成
する酸水溶液または希釈用の水が供給され、図1と同様
に通電される。
ーラ膜Sを配置し、その両側にそれぞれ陰イオン交換膜
Aを配置して、1ユニットが形成される。かくして形成
される電気透析槽のバイポーラ膜Sの陽極側の画室に
は、中性塩(図2の場合にはボウ硝)を含有する水溶液
が供給され、バイポーラ膜Sの陰極側の画室には、生成
する酸水溶液または希釈用の水が供給され、図1と同様
に通電される。
【0014】こうすることにより、バイポーラ膜Sにお
いて水が水素イオンと水酸イオンに解離するので、バイ
ポーラ膜Sの陰極側の画室には酸(図1の場合硫酸)が
生成し、一方、陽極側の画室には水酸化アルカリ(図1
の場合水酸化ナトリウム)が生成する。図2には陽極お
よび陰極の間に1ユニットを形成したものを例示した
が、通常は50〜500ユニット好ましくは100〜2
00ユニットが形成される。
いて水が水素イオンと水酸イオンに解離するので、バイ
ポーラ膜Sの陰極側の画室には酸(図1の場合硫酸)が
生成し、一方、陽極側の画室には水酸化アルカリ(図1
の場合水酸化ナトリウム)が生成する。図2には陽極お
よび陰極の間に1ユニットを形成したものを例示した
が、通常は50〜500ユニット好ましくは100〜2
00ユニットが形成される。
【0015】本発明において使用されるバイポーラ膜と
しては、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とから形成さ
れ、通電によりその界面にて水が解離する機能を有する
限り、いずれのバイポーラ膜も使用できる。バイポーラ
膜は、好ましくは陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を密
着することによって製造されるが、その好ましい例とし
ては、特公昭59−47235、特表平1−50267
3、特開平2−131125などに示されているものが
使われる。
しては、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とから形成さ
れ、通電によりその界面にて水が解離する機能を有する
限り、いずれのバイポーラ膜も使用できる。バイポーラ
膜は、好ましくは陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を密
着することによって製造されるが、その好ましい例とし
ては、特公昭59−47235、特表平1−50267
3、特開平2−131125などに示されているものが
使われる。
【0016】上記図1および図2のように、バイポーラ
膜および陰イオン交換膜、またはさらに陽イオン交換膜
を使用する電気透析によって、酸、または、酸とアルカ
リとを製造する場合、その際の電流効率は使用する陰イ
オン交換膜によって大きく異なる。特に高濃度の酸を製
造する場合、従来は電流効率が、多くの場合高々30%
にとどまり高い電流効率を得ることはできなかった。
膜および陰イオン交換膜、またはさらに陽イオン交換膜
を使用する電気透析によって、酸、または、酸とアルカ
リとを製造する場合、その際の電流効率は使用する陰イ
オン交換膜によって大きく異なる。特に高濃度の酸を製
造する場合、従来は電流効率が、多くの場合高々30%
にとどまり高い電流効率を得ることはできなかった。
【0017】しかしながら、本発明によると、上記式1
で表される繰り返し単位を含む重合体からなり、イオン
交換容量が1〜5ミリ当量/g乾燥樹脂、好ましくは
1.5〜3ミリ当量/グラム乾燥樹脂の陰イオン交換膜
を使用した場合に予想外の高電流効率が得られることが
判明した。なお、式1において、R1 ,R2 ,R3 は、
好ましくは水素原子である。
で表される繰り返し単位を含む重合体からなり、イオン
交換容量が1〜5ミリ当量/g乾燥樹脂、好ましくは
1.5〜3ミリ当量/グラム乾燥樹脂の陰イオン交換膜
を使用した場合に予想外の高電流効率が得られることが
判明した。なお、式1において、R1 ,R2 ,R3 は、
好ましくは水素原子である。
【0018】上記式1で表される繰り返し単位を含む重
合体としては、好ましくは4−ビニルピリジンとジビニ
ルベンゼンとの共重合体、2−ビニルピリジンとジビニ
ルベンゼンとの共重合体、2,6−ジメチル−4−ビニ
ルピリジンとジビニルベンゼンとの共重合体などが使用
される。かかる共重合体には、必要に応じて他の単量
体、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、エ
チレン、プロピレン等を10〜40重量%共重合するこ
とができる。いずれにせよ、本発明ではこれら共重合体
中、上記式1で表される繰り返し単位は、20〜60重
量%、特には30〜50重量%含まれるのが好ましい。
そして、かかる重合体のピリジン複素環の窒素原子に好
ましくは塩酸または硫酸などの酸によりプロトンを付加
して、ピリジニウム化することにより陰イオン交換膜と
される。
合体としては、好ましくは4−ビニルピリジンとジビニ
ルベンゼンとの共重合体、2−ビニルピリジンとジビニ
ルベンゼンとの共重合体、2,6−ジメチル−4−ビニ
ルピリジンとジビニルベンゼンとの共重合体などが使用
される。かかる共重合体には、必要に応じて他の単量
体、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、エ
チレン、プロピレン等を10〜40重量%共重合するこ
とができる。いずれにせよ、本発明ではこれら共重合体
中、上記式1で表される繰り返し単位は、20〜60重
量%、特には30〜50重量%含まれるのが好ましい。
そして、かかる重合体のピリジン複素環の窒素原子に好
ましくは塩酸または硫酸などの酸によりプロトンを付加
して、ピリジニウム化することにより陰イオン交換膜と
される。
【0019】本発明で使用される陰イオン交換膜は、種
々の方法にて製造されるが、好ましくは必要に応じて補
強し、機械的強度を改善することができる。かかる場
合、重合体のフィルムに上記陰イオン交換膜を構成する
単量体混合物を含浸させて放射線にてグラフト重合しそ
の後に上記単量体混合物を共重合する方法、または重合
体の織布もしくは不織布等に陰イオン交換膜を構成する
単量体を含浸させその後共重合させる方法が採用され
る。
々の方法にて製造されるが、好ましくは必要に応じて補
強し、機械的強度を改善することができる。かかる場
合、重合体のフィルムに上記陰イオン交換膜を構成する
単量体混合物を含浸させて放射線にてグラフト重合しそ
の後に上記単量体混合物を共重合する方法、または重合
体の織布もしくは不織布等に陰イオン交換膜を構成する
単量体を含浸させその後共重合させる方法が採用され
る。
【0020】上記補強のために使用される重合体として
は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフ
ルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロプロピレン共重合体、ポリ(クロロトリフル
オロエチレン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリ酢酸ビニルまたはポリメタクリル酸メチル
等の重合体が使用される。
は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフ
ルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロプロピレン共重合体、ポリ(クロロトリフル
オロエチレン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリ酢酸ビニルまたはポリメタクリル酸メチル
等の重合体が使用される。
【0021】本発明において使用される陰イオン交換膜
の厚さは、好ましくは10μm以上、特に好ましくは5
0μm〜200μmである。膜厚が薄いと機械的強度の
面で不十分になる可能性があり、一方あまり厚いと膜の
電気抵抗が大きくなり好ましくない。
の厚さは、好ましくは10μm以上、特に好ましくは5
0μm〜200μmである。膜厚が薄いと機械的強度の
面で不十分になる可能性があり、一方あまり厚いと膜の
電気抵抗が大きくなり好ましくない。
【0022】本発明においてバイポーラ膜および陰イオ
ン交換膜とともに陽イオン交換膜を用いる場合、その陽
イオン交換膜としてはいずれの陽イオン交換膜でも使用
できるが、製造するアルカリの濃度に応じて、水酸イオ
ンの透過性の小さい膜を使用することが好ましい。これ
により、高濃度の酸とともに高濃度のアルカリも製造す
ることができる。
ン交換膜とともに陽イオン交換膜を用いる場合、その陽
イオン交換膜としてはいずれの陽イオン交換膜でも使用
できるが、製造するアルカリの濃度に応じて、水酸イオ
ンの透過性の小さい膜を使用することが好ましい。これ
により、高濃度の酸とともに高濃度のアルカリも製造す
ることができる。
【0023】本発明において、酸およびアルカリの製造
に使用される原料である中性塩としては、水溶液中でほ
とんどイオンに解離する電解質であり、かつ、解離して
生成するカチオンの水酸化物またはアニオンの水素イオ
ン化合物の溶解性が良いものであればいずれも使用でき
る。その例としてはアルカリ金属の塩、アミン類の塩化
合物、アンモニウムの塩等が挙げられる。
に使用される原料である中性塩としては、水溶液中でほ
とんどイオンに解離する電解質であり、かつ、解離して
生成するカチオンの水酸化物またはアニオンの水素イオ
ン化合物の溶解性が良いものであればいずれも使用でき
る。その例としてはアルカリ金属の塩、アミン類の塩化
合物、アンモニウムの塩等が挙げられる。
【0024】本発明による酸の製造方法の具体例として
は、ボウ硝、食塩からそれぞれ酸として硫酸、塩酸、ア
ルカリとして苛性ソーダを製造する中性塩の複分解によ
る酸とアルカリの製造の他に、金属精錬で排出される排
液の処理、排煙脱硫の際に副生するボウ硝排液の処理、
あるいはビスコースレーヨン湿式紡糸の際に副生される
ボウ硝排液などからの高濃度の酸、およびアルカリの回
収処理が挙げられる。
は、ボウ硝、食塩からそれぞれ酸として硫酸、塩酸、ア
ルカリとして苛性ソーダを製造する中性塩の複分解によ
る酸とアルカリの製造の他に、金属精錬で排出される排
液の処理、排煙脱硫の際に副生するボウ硝排液の処理、
あるいはビスコースレーヨン湿式紡糸の際に副生される
ボウ硝排液などからの高濃度の酸、およびアルカリの回
収処理が挙げられる。
【0025】以下実施例により本発明を説明するが、か
かる実施例により本発明が制限されるものではない。
かる実施例により本発明が制限されるものではない。
【0026】
【実施例】[実施例1]
陰イオン交換膜としては、4−ビニルピリジン、スチレ
ン、ジビニルベンゼンの単量体混合溶液をポリ塩化ビニ
ル製織布に含浸させた後共重合させて得られる膜を10
重量%の塩酸に55℃で18時間浸漬させることにより
ピリジニウム化した陰イオン交換膜(イオン交換容量
2.2ミリ当量/g、厚さ120μm)を使用した。バ
イポーラ膜としては、陰イオン交換膜として強塩基性陰
イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオンAMP)
と強酸性陽イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオ
ンCMV)を重ね合わせたものを使用した。陽イオン交
換膜としては、フッ素系強酸性陽イオン交換膜(旭硝子
社製、商品名フレミオン)を使用した。
ン、ジビニルベンゼンの単量体混合溶液をポリ塩化ビニ
ル製織布に含浸させた後共重合させて得られる膜を10
重量%の塩酸に55℃で18時間浸漬させることにより
ピリジニウム化した陰イオン交換膜(イオン交換容量
2.2ミリ当量/g、厚さ120μm)を使用した。バ
イポーラ膜としては、陰イオン交換膜として強塩基性陰
イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオンAMP)
と強酸性陽イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオ
ンCMV)を重ね合わせたものを使用した。陽イオン交
換膜としては、フッ素系強酸性陽イオン交換膜(旭硝子
社製、商品名フレミオン)を使用した。
【0027】バイポーラ膜の陰イオン交換膜側が陽極側
に、陽イオン交換膜側が陰極側になるようにして、図1
に示すように、陽極室/陰イオン交換膜/中性塩室/陽
イオン交換膜/アルカリ生成室/バイポーラ膜/酸生成
室/陰イオン交換膜/中性塩室/陰極室の順に電気透析
槽を組みあげた。各室の厚さは1cmとした。
に、陽イオン交換膜側が陰極側になるようにして、図1
に示すように、陽極室/陰イオン交換膜/中性塩室/陽
イオン交換膜/アルカリ生成室/バイポーラ膜/酸生成
室/陰イオン交換膜/中性塩室/陰極室の順に電気透析
槽を組みあげた。各室の厚さは1cmとした。
【0028】次いで、陽極室、陰極室および中性塩室に
15重量%の硫酸ナトリウム(ボウ硝)水溶液を、アル
カリ生成室には20重量%の水酸化ナトリウム水溶液
を、酸生成室には10〜25重量%の硫酸水溶液を満た
した。電流密度10A/dm2の直流電流にて電気透析
を実施した。酸生成室に表1で示す酸を生成する場合の
各電流効率を算出した。その結果を表1に示す。
15重量%の硫酸ナトリウム(ボウ硝)水溶液を、アル
カリ生成室には20重量%の水酸化ナトリウム水溶液
を、酸生成室には10〜25重量%の硫酸水溶液を満た
した。電流密度10A/dm2の直流電流にて電気透析
を実施した。酸生成室に表1で示す酸を生成する場合の
各電流効率を算出した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】[実施例2]
陰イオン交換膜およびバイポーラ膜は実施例1で使用し
たものと同様の膜を用い、図2に示すように、陽極室/
バイポーラ膜/酸生成室/陰イオン交換膜/中性塩室/
バイポーラ膜/酸生成室/陰イオン交換膜/中性塩室/
バイポーラ膜/陰極室の順に電気透析槽を組みあげた。
たものと同様の膜を用い、図2に示すように、陽極室/
バイポーラ膜/酸生成室/陰イオン交換膜/中性塩室/
バイポーラ膜/酸生成室/陰イオン交換膜/中性塩室/
バイポーラ膜/陰極室の順に電気透析槽を組みあげた。
【0031】各室の厚さは1cmとした。次いで陽極
室、陰極室および中性塩室に15重量%の硫酸ナトリウ
ム(ボウ硝)水溶液を、酸生成室には10〜25重量%
の硫酸水溶液を満たした。電流密度10A/dm2 の直
流電流を流し、電気透析を実施した。酸生成室に表2で
示す酸を生成した場合の各電流効率を算出した。その結
果を表2に示す。
室、陰極室および中性塩室に15重量%の硫酸ナトリウ
ム(ボウ硝)水溶液を、酸生成室には10〜25重量%
の硫酸水溶液を満たした。電流密度10A/dm2 の直
流電流を流し、電気透析を実施した。酸生成室に表2で
示す酸を生成した場合の各電流効率を算出した。その結
果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】[比較例1]
陰イオン交換膜として4級アンモニウム塩をイオン交換
基とする陰イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオ
ンAMV(スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体にイ
オン交換基として4級アンモニウム塩が導入された陰イ
オン交換膜。)、イオン交換容量2.2ミリ当量/g、
厚さ125μm)を用いた。バイポーラ膜および陽イオ
ン交換膜は実施例1と同様のものを用いた。実施例1と
同様に図1に示すように順次電気透析槽を組みあげて、
電気透析を行った。
基とする陰イオン交換膜(旭硝子社製、商品名セレミオ
ンAMV(スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体にイ
オン交換基として4級アンモニウム塩が導入された陰イ
オン交換膜。)、イオン交換容量2.2ミリ当量/g、
厚さ125μm)を用いた。バイポーラ膜および陽イオ
ン交換膜は実施例1と同様のものを用いた。実施例1と
同様に図1に示すように順次電気透析槽を組みあげて、
電気透析を行った。
【0034】実施例1の場合と同様に、陽極室、陰極室
および中性塩室には15重量%の硫酸ナトリウム(ボウ
硝)水溶液を、アルカリ生成室には20重量%の水酸化
ナトリウム水溶液を、酸生成室には10〜25重量%の
硫酸水溶液を満たし、電流密度は10A/dm2 とし
た。実施例1と同様に酸生成室にて表3に示す濃度の酸
を生成する場合の各電流効率を算出した。その結果を表
3に示す。この場合、実施例1と比較して、酸生成電流
効率が大幅に低下していることがわかる。
および中性塩室には15重量%の硫酸ナトリウム(ボウ
硝)水溶液を、アルカリ生成室には20重量%の水酸化
ナトリウム水溶液を、酸生成室には10〜25重量%の
硫酸水溶液を満たし、電流密度は10A/dm2 とし
た。実施例1と同様に酸生成室にて表3に示す濃度の酸
を生成する場合の各電流効率を算出した。その結果を表
3に示す。この場合、実施例1と比較して、酸生成電流
効率が大幅に低下していることがわかる。
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、ボウ硝などの中性塩か
ら5〜25重量%の高濃度の酸および必要に応じてアル
カリが電流効率50%以上で製造でき、従来品質上およ
びコスト上の理由から工業的に実施できなかった中性塩
を含む種々の産業排液からの高濃度酸および必要に応じ
てアルカリが回収でき、これを通じて公害防止の上で、
更にまた、資源回収による有効利用の上からも極めて有
用である。
ら5〜25重量%の高濃度の酸および必要に応じてアル
カリが電流効率50%以上で製造でき、従来品質上およ
びコスト上の理由から工業的に実施できなかった中性塩
を含む種々の産業排液からの高濃度酸および必要に応じ
てアルカリが回収でき、これを通じて公害防止の上で、
更にまた、資源回収による有効利用の上からも極めて有
用である。
【図1】本発明を実施するための好ましい電気透析槽の
原理説明図
原理説明図
【図2】本発明を実施するための他の好ましい電気透析
槽の原理説明図
槽の原理説明図
A:陰イオン交換膜
C:陽イオン交換膜
S:バイポーラ膜
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平2−129010(JP,A)
特公 昭63−18669(JP,B2)
Claims (4)
- 【請求項1】電気透析法による中性塩からの酸の製造方
法において、陽極および陰極の間に、バイポーラ膜およ
び陰イオン交換膜を配置し、該陰イオン交換膜として、
下記式1で表される繰り返し単位を含む重合体(式1に
おいて、R1,R2,R3は水素原子または炭素数2ま
でのアルキル基を示す。)からなり、イオン交換容量が
1〜5ミリ当量/g乾燥樹脂である陰イオン交換膜を使
用し、バイポーラ膜の陰極側に接する酸水溶液の濃度を
10〜25重量%とすることを特徴とする酸の製造方
法。 【化1】 - 【請求項2】陰イオン交換膜が、ビニルピリジンとジビ
ニルベンゼンの共重合体であって、ピリジン複素環を酸
によりピリジニウム化した陰イオン交換膜である請求項
1に記載の酸の製造方法。 - 【請求項3】バイポーラ膜の陰極側に陰イオン交換膜を
配置し、陽極側には、さらに陽イオン交換膜を配置する
請求項1または2に記載の酸の製造方法。 - 【請求項4】バイポーラ膜の陽極側および陰極側にそれ
ぞれ陰イオン交換膜を配置する請求項1または2に記載
の酸の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35921091A JP3387517B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | 酸の製造方法 |
EP92115507A EP0531999A1 (en) | 1991-09-11 | 1992-09-10 | Method for producing an acid and/or alkali metal hydroxide |
US08/183,233 US5397445A (en) | 1991-09-11 | 1994-01-19 | Method for producing an acid and/or alkali metal hydroxide |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35921091A JP3387517B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | 酸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05184877A JPH05184877A (ja) | 1993-07-27 |
JP3387517B2 true JP3387517B2 (ja) | 2003-03-17 |
Family
ID=18463325
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35921091A Expired - Fee Related JP3387517B2 (ja) | 1991-09-11 | 1991-12-28 | 酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3387517B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4925687B2 (ja) * | 2006-02-23 | 2012-05-09 | 株式会社アストム | 高純度無機酸の回収方法 |
JP2022149276A (ja) | 2021-03-25 | 2022-10-06 | 株式会社アストム | アニオン交換膜及びその製造方法 |
-
1991
- 1991-12-28 JP JP35921091A patent/JP3387517B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05184877A (ja) | 1993-07-27 |
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