JP3384312B2 - 結晶性シリコン前段膜の形成方法 - Google Patents

結晶性シリコン前段膜の形成方法

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JP3384312B2
JP3384312B2 JP994498A JP994498A JP3384312B2 JP 3384312 B2 JP3384312 B2 JP 3384312B2 JP 994498 A JP994498 A JP 994498A JP 994498 A JP994498 A JP 994498A JP 3384312 B2 JP3384312 B2 JP 3384312B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置にお
ける各画素に設けられるTFT(薄膜トランジスタ)ス
イッチ等の材料として用いられたり、集積回路、太陽電
池等に用いられる結晶性シリコン膜を形成するための前
駆体である結晶性シリコン前段膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、TFT用等の半導体膜としては、
低温下で大面積に形成できるアモルファスシリコン膜が
多く用いられてきたが、トランジスタ特性を向上させた
り、駆動回路まで一体化してデバイスを形成したりする
ために、結晶性シリコン膜であってその結晶粒径が20
0nm程度以上、特に300nm程度以上のものが求め
られている。
【0003】結晶性シリコン膜の形成方法としては、被
成膜物品を600℃以上の高温に加熱し且つ常圧ないし
は減圧下で熱CVD法により形成する方法、被成膜物品
の温度を700℃程度以上に保った状態で真空蒸着法や
スパッタ蒸着法等のPVD法により形成する方法、各種
CVD法やPVD法により比較的低温下でアモルファス
シリコン膜を形成した後、後処理として、800℃程度
以上の熱処理若しくは600℃程度で20時間程度以上
の長時間にわたる熱処理を施すことにより結晶化させる
方法、このようなアモルファスシリコン膜にレーザアニ
ール処理を施して、該膜を結晶化させる方法等が用いら
れている。
【0004】中でも、アモルファスシリコン膜にレーザ
アニール処理を施して結晶化させる方法(レーザアニー
ル法)は、前記例示したレーザアニール法以外の方法に
比べて低温下で結晶性シリコン膜が得られるため、被成
膜物品が石英等の高融点の材料からなるものに限定され
ず、例えば比較的安価な低融点ガラス等の材料からなる
物品も用いることができる。また、このようなレーザア
ニール処理は比較的短時間で行えるため、膜形成の効率
が良い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各種C
VD法、真空蒸着法、スパッタ蒸着法等により形成され
たアモルファスシリコン膜にレーザビームを照射してこ
れを結晶化する方法では、該膜を実用上求められる20
0nm以上、特に300nm以上の結晶粒径を有する結
晶性シリコン膜にするためには、非常に高いエネルギ密
度のレーザを照射しなければならないところ、これらの
成膜方法ではそれほど高い前段膜密着性は得られないた
め、レーザアニール処理時に該膜中に生じる応力により
膜の部分的な剥離(アブレーション)が生じ易い。
【0006】また、これらの方法によりアモルファスシ
リコン膜を形成する場合、その後の結晶化により形成さ
れる結晶粒径を制御し難い。このため、最終的に得られ
る膜において十分な結晶粒径が得られなかったり、逆に
結晶粒径が大きくなりすぎて粒界の凹凸ひいては膜の表
面荒れが発生するといった難点がある。そこで本発明
は、TFT用等の半導体膜としての良好な結晶性シリコ
ン膜を効率良く得るための前駆体としての結晶性シリコ
前段膜を比較的低温下で生産性良く形成できる結晶性
シリコン前段膜の形成方法を提供することを課題とす
る。
【0007】削除
【0008】また本発明は、TFT用等の半導体膜とし
ての良好な結晶性シリコン膜を得るための前駆体として
の結晶性シリコン前段膜であって、これから得られる結
晶性シリコン膜の結晶粒径を制御できる結晶性シリコン
前段膜を比較的低温下で生産性良く形成できる結晶性シ
リコン前段膜の形成方法を提供することを課題とする。
【0009】削除
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、以下において説明する(c)の結晶性シリ
コン前段膜の形成方法を提供するが、これに関連する結
晶性シリコン前段膜とその形成方法(a)、結晶性シ
リコン前段膜と結晶性シリコン前段膜の形成方法
(b)、結晶性シリコン前段膜とその形成方法(d)
等についても併せて以下に説明する。 <次のの結晶性シリコン前段膜及び(a)の結晶性シ
リコン前段膜形成方法> 結晶化処理により結晶性シリコン膜を得るための、
被成膜物品上に形成された結晶性シリコン前段膜であっ
て、該被成膜物品との界面部分に該物品との混合層を有
し、該混合層上にアモルファスシリコン層を有すること
を特徴とする結晶性シリコン前段膜。 (a) 被成膜物品上に結晶化処理により結晶性シリコ
ン膜を得るための結晶性シリコン前段膜を形成する方法
であって、該膜形成の初期に該被成膜物品にイオンビー
ムを照射して、該物品表面に該物品と膜構成物質との混
合層を形成し、その後イオンビーム照射を停止して該混
合層上にアモルファスシリコン層を形成することを特徴
とする結晶性シリコン前段膜の形成方法。
【0011】結晶性シリコン前段膜及び(a)の結
晶性シリコン前段膜の形成方法によると、結晶性シリコ
ン前段膜と被成膜物品との混合層の存在により該両者の
密着性が良好になり、その後エネルギビーム照射により
該膜を結晶化処理する場合、エネルギビーム照射により
該膜に大きな内部応力が発生しても該膜の部分的な剥離
(アブレーション)が生じ難い。またそれにより、該膜
の結晶化処理の際に照射するエネルギビームのエネルギ
密度を高くすることが可能となり、使用可能なエネルギ
密度の範囲が広がる。
【0012】<次のの結晶性シリコン前段膜及び(b)、(c)の
結晶性シリコン前段膜形成方法> 結晶化処理により結晶性シリコン膜を得るための、
被成膜物品上に形成された結晶性シリコン前段膜であっ
て、該被成膜物品との界面部分にシリコンの微結晶核層
を有し、該微結晶核層上にアモルファスシリコン層を有
することを特徴とする結晶性シリコン前段膜。 (b) 被成膜物品上に結晶化処理により結晶性シリコ
ン膜を得るための結晶性シリコン前段膜を形成する方法
であって、該膜形成の初期に該被成膜物品にイオンビー
ムを照射して、該物品表面にシリコンの微結晶核層を形
成し、その後イオンビーム照射を停止して該微結晶核層
上にアモルファスシリコン層を形成することを特徴とす
る結晶性シリコン前段膜の形成方法。 (c) 被成膜物品上に結晶化処理により結晶性シリコ
ン膜を得るための結晶性シリコン前段膜を形成する方法
であって、該膜形成に先立ち該被成膜物品にイオンビー
ムを照射することでその後の膜形成において該物品表面
にシリコンの微結晶核層を形成させ、該微結晶核層上に
アモルファスシリコン層を形成することを特徴とする結
晶性シリコン前段膜の形成方法。
【0013】なお、(c)の方法において、膜形成に先
立ち被成膜物品にイオンビームを照射し、引き続き膜形
成の初期にもこれと並行してイオンビームを照射しても
構わない。前記の結晶性シリコン前段膜及び(b)、
(c)の結晶性シリコン前段膜の形成方法によると、微
結晶核層の微結晶核の結晶粒径、微結晶核の密度、微結
晶核層の層厚等を調整することにより、その後形成され
る結晶性シリコン膜の結晶粒径、結晶粒界における凹凸
等を調整することができ、最終的に、表面荒れのない良
好な結晶性を有するシリコン膜を得ることができる。
【0014】また、エネルギビームの照射により該前段
膜に結晶化処理を施す場合、シリコン前段膜の微結晶核
の結晶粒径が小さいと、高いエネルギ密度のエネルギビ
ームによる結晶化処理が可能であることは勿論のこと、
微結晶核の結晶粒径が小さいほど低いエネルギ密度のエ
ネルギビームでも結晶化処理が可能である。従って、微
結晶核層の微結晶核の結晶粒径等を調整することによ
り、低いエネルギ密度から高いエネルギ密度までの広範
囲のエネルギビームにより良好な結晶を成長させること
ができるため、エネルギビームの出力の精度をそれほど
良くしなくてもよくなり、その結果、エネルギビーム照
射装置コストを下げることができる。また、低エネルギ
密度のエネルギビームでも足りるようにできるため、該
装置の寿命を長くすることができる。
【0015】高いエネルギ密度のエネルギビームを照射
するためには高出力のエネルギビーム照射装置が必要で
あるが、この場合、装置がコスト高につくとともに、高
出力により照射されるエネルギビームが不安定なものに
なって、均一な結晶を成長させ難い。しかし、結晶
性シリコン前段膜及び(b)、(c)の方法によると、
微結晶核層の存在により低いエネルギ密度の安定領域の
エネルギビームで結晶化させることができ、低コストで
安定した均一な膜質の結晶性シリコン膜を得ることがで
きる。
【0016】<次のの結晶性シリコン前段膜及び(d)の結晶性シ
リコン前段膜形成方法> 結晶化処理により結晶性シリコン膜を得るための、
被成膜物品上に形成された結晶性シリコン前段膜であっ
て、前記被成膜物品との界面部分に該物品との混合層及
びシリコンの微結晶核層を有し、これらの層上にアモル
ファスシリコン層を有することを特徴とする結晶性シリ
コン前段膜。 (d) 被成膜物品上に結晶化処理により結晶性シリコ
ン膜を得るための結晶性シリコン前段膜を形成する方法
であって、該膜形成の初期に該被成膜物品にイオンビー
ムを照射して、該物品表面に該物品と膜構成物質との混
合層及びシリコンの微結晶核層を形成し、その後イオン
ビーム照射を停止してこれらの層上にアモルファスシリ
コン層を形成することを特徴とする結晶性シリコン前段
膜の形成方法。
【0017】結晶性シリコン前段膜及び(d)の結
晶性シリコン前段膜の形成方法によると、その後の結晶
化処理のためのエネルギビーム照射において、膜剥がれ
が生じ難く且つ表面荒れのない良好な結晶性を有する結
晶性シリコン膜を得ることができる。前記及びの結
晶性シリコン前段膜において、前記シリコンの微結晶核
層の層厚は30nm程度以下であることが好ましい。3
0nmより大きくなってくると、例えば300nm以上
の結晶粒径の結晶性シリコン膜を得るために必要なエネ
ルギビームのエネルギ密度が大きくなりすぎ、エネルギ
ビーム出力が不安定になって、却って、最終的に得られ
る膜の結晶粒径が不均一になったり、表面の凹凸が大き
くなって好ましくない。また、それには限定されない
が、該微結晶核層の層厚は10nm程度までの値に設定
することができる。層厚が余り小さくなってくると微結
晶核層形成の効果が十分に得られない。
【0018】また前記及びの結晶性シリコン前段膜
において、前記微結晶核の結晶粒径は30nm程度以下
であることが好ましい。30nmより大きくなってくる
と、例えば300nm以上の結晶粒径の結晶性シリコン
膜を得るために必要なエネルギビームのエネルギ密度が
大きくなりすぎ、エネルギビーム出力が不安定になっ
て、却って、最終的に得られる膜の結晶粒径が不均一に
なったり、表面の凹凸が大きくなって好ましくない。ま
た、それには限定されないが、該微結晶核の結晶粒径は
5nm程度までの値に設定することができる。粒径が余
り小さくなってくると、微結晶核層形成の効果が十分に
得られない。
【0019】また前記及びの結晶性シリコン前段膜
において、前記微結晶核の密度は、1×1011個/cm
2 程度以下であることが好ましい。1×1011個/cm
2 より高くなってくると、その後のエネルギビーム照射
により大きな結晶粒が育たず、300nm以上の結晶粒
径が得られ難い。また、それには限定されないが、1×
109 個/cm2 程度までの値に設定することができ
る。微結晶核の密度が余り小さくなってくると、微結晶
核層の効果が十分に得られず、また結晶化処理のための
エネルギビームのエネルギ密度の最適値幅が狭くなる。
この範囲内で、微結晶核密度を低くすると大きい結晶粒
が成長し、逆に微結晶核密度を高くすると小さい結晶粒
が成長し、いずれも粒界の凹凸を小さくすることができ
最終的に表面平滑な結晶性シリコン膜を得ることができ
る。
【0020】微結晶核層の層厚、微結晶核の結晶粒径、
微結晶核密度を上記範囲に設定すれば、例えば300n
m以上の結晶粒径の結晶性シリコン膜を得るために照射
すべきエネルギビームのエネルギ密度を広い範囲から選
ぶことができる。従って、安定した出力領域のエネルギ
ビームを用いることができ、均一な結晶粒径を有し、表
面平滑な結晶性シリコン膜を得ることができる。
【0021】前記(b)、(c)及び(d)の方法にお
いて、前記微結晶核層を形成するためには、イオンビー
ムのイオン照射エネルギは500eV〜10keV程度
とすればよい。500eVより小さくなってくると微結
晶核が形成され難くなり、10keVより大きくなって
くると熱的損傷等の損傷を被成膜物品に与える恐れがあ
る。
【0022】また前記の(a)及び(d)の方法におい
て、前記混合層を形成するためには、イオンビームのイ
オン照射エネルギは2keV〜10keV程度とすれば
よい。2keVより小さくなってくると混合層が十分に
形成されず、10keVより大きくなってくると熱的損
傷等の損傷を被成膜物品に与える恐れがある。この範囲
では、微結晶核層を形成できるとともに被成膜物品との
界面部分に該物品との混合層を形成できる。
【0023】また、いずれの場合もイオン照射量は5×
1013個/cm2 〜1×1015個/cm2 程度とするこ
とが好ましい。5×1013個/cm2 より少なくなって
くると、混合層を形成しようとする場合に該層を十分に
形成できないからであり、1×1015個/cm2 より多
くなってくると、結晶化処理工程における膜の欠陥回復
が困難となるからである。
【0024】前記の(b)、(c)、(d)の各方法に
おいて、微結晶核の結晶粒径、微結晶核密度はイオンビ
ームのイオン種、照射エネルギ、イオン電流等を制御す
ることで調整できる。また、微結晶核層の層厚はイオン
種、イオンビーム照射時間、イオン電流等を適宜設定す
ることで調整できる。前記、及びの結晶性シリコ
ン前段膜は、全体として膜中水素濃度が3×1021個/
cm3 程度以下であることが好ましい。また、該前段膜
の膜中水素は存在しないことが最も好ましいが、このよ
うな膜を形成することは技術的に困難である。同様に前
記各前段膜形成方法においても全体として膜中水素濃度
が3×1021個/cm3 程度以下の結晶性シリコン前段
膜を形成することが好ましい。これにより、エネルギビ
ームを照射して該膜を結晶化させる場合にも、前処理と
して脱水素処理を行うことなく膜中水素の突沸による膜
質の低下を抑制でき、その分生産性を向上させることが
できる。
【0025】前記の(b)、(c)及び(d)の各方法
においては、イオンビーム照射を結晶性シリコン前段膜
形成の全体にわたり行わず、膜形成前及び(又は)膜形
成初期に限定して、微結晶核層の形成を前段膜と被成膜
物品との界面部分に限定したので、その後の結晶化処理
により均一な粒径のシリコン結晶を成長させやすく、最
終的に得られる結晶性シリコン膜の表面の欠陥(凹凸)
を低減することができる。また、再結晶化により微結晶
を核として結晶粒の成長が進むため最終的に得られる膜
全体の結晶粒内の欠陥を低減することができる。なお、
上層のアモルファスシリコンはエネルギビームの吸収率
が高いため、低いエネルギ密度のエネルギビームの照射
でも溶けて、該微結晶を核として再結晶化がすすむ。
【0026】また、前記(a)、(b)、(c)、
(d)の各結晶性シリコン前段膜の形成方法において
は、膜形成をプラズマCVD法等のCVD法により形成
することができ、その場合、成膜原料ガスとしては、シ
リコン系ガス(モノシラン(SiH4 )ガス、ジシラン
(Si2 6 )ガス等の水素化シリコンガス、4フッ化
シリコン(SiF4 )ガス等のフッ化シリコンガス、4
塩化シリコン(SiCl4 )ガス等の塩化シリコンガス
等)を含むガスを用いることができる。また、かかるシ
リコン系ガスに加えて水素(H2 )ガスを含むガスを用
いることができる。
【0027】前記成膜原料ガスとして水素ガスを用いる
ことにより、前記シリコン系ガスの分解により放出され
たシリコン原子やSiHn 分子(n=1〜3)と水素と
の反応が促進されて、シリコン−シリコンネットワーク
中のダングリングボンドや膜中欠陥が低減される。ま
た、前記(a)、(b)、(c)、(d)の方法におい
て、前記イオンビームのイオン種として、不活性ガス
(ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴ
ン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン
(Xe)ガス等)、反応性ガス(水素(H2 )ガス、フ
ッ素(F2 )ガス、フッ化水素(HF)ガス等)及び前
記成膜原料ガスとして例示したシリコン系ガスのうち少
なくとも一種のガスのイオンを用いることができる。な
お、Arガスイオン以上の質量数を有する不活性ガスイ
オンについては、そのイオンが形成される膜に損傷を与
えたり、良質な前段膜を形成することが困難になったり
して、その後のエネルギビームの照射による再結晶化工
程で、膜中にボイドや欠陥が生じる恐れがあるようなと
きは、このようなイオンを用いなければよい。
【0028】前記(a)、(b)、(d)の方法におい
て、膜形成とともにイオンビーム照射を行う混合層形成
時又は(及び)微結晶核層形成時は、例えば成膜原料ガ
スに電力を供給してこれをプラズマ化するプラズマCV
D法、スパッタ法等により膜形成することができる。そ
の上層の形成は、それには限定されないが、プラズマC
VD法、熱CVD法等のCVD法、さらにはスパッタ
法、真空蒸着法等で行うことができる。
【0029】また、前記(c)の方法における膜形成方
法は、それには限定されないが、プラズマCVD法、熱
CVD法等のCVD法、スパッタ法、真空蒸着法等を採
用できる。また、以上に基づき次の(i) 、(ii)、(iii)
の結晶性シリコン膜を提供することができる。 (i) 前記の結晶性シリコン前段膜にエネルギビーム
を照射して該膜を結晶化させることにより得られたこと
を特徴とする結晶性シリコン膜。 (ii) 前記の結晶性シリコン前段膜にエネルギビーム
を照射して該膜を結晶化させることにより得られたこと
を特徴とする結晶性シリコン膜。 (iii) 前記の結晶性シリコン前段膜にエネルギビー
ムを照射して該膜を結晶化させることにより得られたこ
とを特徴とする結晶性シリコン膜。
【0030】前記の(i) 及び(iii) の結晶性シリコン膜
は、混合層を有する結晶性シリコン前段膜にエネルギビ
ームを照射して得られたものであるため、被成膜物品と
の密着性が良好なものである。また、前記の(ii)及び(i
ii) の結晶性シリコン膜は、微結晶核層を有する結晶性
シリコン前段膜にエネルギビームを照射して得られたも
のであるため、表面荒れがなく良好な結晶性を有するも
のである。
【0031】前記各結晶性シリコン膜の粒径は300n
m程度以上であることが実用上望ましい。上限は特に限
定されないが、普通には1000nm程度までのものが
形成される。また、既述の結晶性シリコン前段膜形成方
法を基にして次の(A)、(B)、(C)及び(D)の
結晶性シリコン膜の形成方法を提供することができる。 (A) 前記(a)の方法により形成された結晶性シリ
コン前段膜にエネルギビームを照射して該前段膜を結晶
化させることで結晶性シリコン膜を得ることを特徴とす
る結晶性シリコン膜の形成方法。 (B) 前記(b)の方法により形成された結晶性シリ
コン前段膜にエネルギビームを照射して該前段膜を結晶
化させることで結晶性シリコン膜を得ることを特徴とす
る結晶性シリコン膜の形成方法。 (C) 前記(c)の方法により形成された結晶性シリ
コン前段膜にエネルギビームを照射して該前段膜を結晶
化させることで結晶性シリコン膜を得ることを特徴とす
る結晶性シリコン膜の形成方法。 (D) 前記(d)の方法により形成された結晶性シリ
コン前段膜にエネルギビームを照射して該前段膜を結晶
化させることで結晶性シリコン膜を得ることを特徴とす
る結晶性シリコン膜の形成方法。
【0032】前記(A)及び(D)の結晶性シリコン膜
の形成方法によると、結晶性シリコン前段膜の膜密着性
が高いため、該膜を結晶化させる際に照射するエネルギ
ビームのエネルギ密度を高くすることが可能となる。ま
た、前記の(B)、(C)、(D)の結晶性シリコン膜
の形成方法によると、結晶性シリコン前段膜の微結晶核
層の微結晶核の結晶粒径、微結晶核の密度、微結晶核層
の層厚等を調整することにより、結晶性シリコン膜の結
晶粒径、結晶粒界における凹凸等を調整することがで
き、表面荒れのない良好な結晶性を有するシリコン膜を
得ることができる。また、微結晶核層を有する前段膜に
エネルギビームを照射するため、低いエネルギ密度から
高いエネルギ密度までの広範囲のエネルギビームにより
良好な結晶を成長させることができる。これにより、エ
ネルギビームの出力の精度をそれほど良くしなくてもよ
くなり、その結果、エネルギビーム照射装置コストを下
げることができるとともに、該装置の寿命を長くするこ
とができる。
【0033】また、微結晶核層の微結晶核の結晶粒径を
小さく抑えることにより、低いエネルギ密度の安定領域
のエネルギビームで前段膜を再結晶化させることがで
き、低コストで安定した膜質の結晶性シリコン膜を得る
ことができる。これらのことから、前記の(A)、
(B)、(C)及び(D)の結晶性シリコン膜の形成方
法によると、生産性良く、従って安価に結晶性シリコン
膜が得られる。また、前記の(i) 、(ii)、及び(iii) の
結晶性シリコン膜は、生産性良く、安価に得られるもの
である。
【0034】前記エネルギビームとしては、代表的には
各種レーザ(例えばKrFレーザ、XeClレーザ、A
rイオンレーザ等)を用いることができ、この他電子ビ
ーム等も用いることができる。なお、前記(i) 、(ii)及
び(iii) の結晶性シリコン膜は、結晶性シリコン前段膜
へのエネルギビームの照射による他、該前段膜の加熱処
理等によっても得ることができる。
【0035】結晶性シリコン膜の膜厚は、該膜の使用目
的によっても異なるが、通常TFTデバイス等に用いら
れる結晶性シリコン膜の膜厚は30nm〜100nm程
度である。また、これらの膜が形成される被成膜物品は
特に限定されないが、石英基板、無アルカリガラス基板
及びこれらの基板上に酸化シリコン膜を形成したもの等
を例示できる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態等を図
面を参照して説明する。図1は、結晶性シリコン前段膜
の形成を行うことができる成膜装置の1例の概略構成を
示す図である。この装置は、プラズマ生成室Cを有し、
室Cには真空排気部18が接続されるとともに、原料ガ
ス供給部12が接続されている。原料ガス供給部12に
は、室C内の円筒状電極14aの下部領域に成膜原料ガ
スを導入できるガス噴出用リング状パイプ及びこれに接
続された原料ガス源、マスフローコントローラ等が含ま
れるが、図中にはガス噴出用リング状パイプのみ示しそ
れ以外は図示を省略している。また室C内には被成膜物
品保持部材11が設置され、保持部材11は被成膜物品
10を搬入搬出すべく図示しない駆動部により水平往復
動可能で、室C内では被成膜物品加熱用ヒータ9上に配
置される。また、保持部材11に保持される被成膜物品
10周縁部に対向する位置には、円筒状電極14aが設
置される。電極14aには整合器16を介して高周波電
源17が接続されている。また、プラズマ生成室の外周
の円筒状電極14aに対応する位置には、プラズマ安定
維持のための磁場を入れる磁石100bが設けられてい
る。
【0037】また、円筒状電極14aを挟み、保持部材
11に対向する位置にはイオン源2が設けられている。
イオン源2にはイオン源用ガス供給部1が接続されてい
るとともに、ガスプラズマ化のために整合器3を介して
高周波電源4が接続されている。イオン源2の周囲にも
プラズマ安定維持のための磁場を入れる磁石100aが
設けられている。なお、ガス供給部1にもガス源等が含
まれるが、これらは図示を省略している。また、イオン
源2は、イオンを引き出すためのここでは3枚の電極
(イオン源側から加速電極、減速電極、接地電極)から
なる引き出し電極系21を有している。引き出し電極系
21とイオン源2との間には加速電源5及び減速電源6
が接続されている。なお、イオン源2の励起方法はここ
では高周波型を示しているが、この他フィラメント型、
マイクロ波型等を採用できる。また、引き出し電極系は
3枚電極構造に限定されず1枚〜4枚の電極からなるも
のでよい。
【0038】この装置を用いて結晶性シリコン前段膜を
形成するにあたっては、被成膜物品10を保持部材11
により保持してプラズマ生成室C内に搬入しヒータ9上
の所定の成膜位置に設置するとともに、室C内を真空排
気部18の運転にて所定の到達圧力とする。次いで、原
料ガス供給部12からプラズマ生成室C内にシリコン系
ガス及び水素ガスを含む原料ガスを導入するとともに、
整合器16を介して高周波電源17から円筒状電極14
aに高周波電力を供給して前記導入したガスをプラズマ
化し、図中13で示す位置、すなわち被成膜物品10の
周縁部の近傍位置にプラズマを形成する。
【0039】被成膜物品10をプラズマに曝してその表
面に膜を堆積させるとともに、膜形成の初期に該膜形成
面にイオンビームを照射する。イオンビーム照射は次の
ようにして行う。すなわち、イオン源2にイオン源用ガ
ス供給部1からイオンの原料ガスを導入し、これに整合
器3を介して電源4から高周波電力を供給して、図中8
で示すイオン源内の位置にプラズマを発生させ、引き出
し電極系21に電源5、6により適当な電圧を印加する
ことによりプラズマ8から加速エネルギ500eV〜1
0keV、より好ましくは2keV〜10keVでイオ
ンを引き出し、円筒状電極14aの開口部を通して被成
膜物品10に該イオンビームを照射する。イオン照射量
は5×1013個/cm2 〜1×1015個/cm2 とす
る。イオンビームのイオン種は不活性ガス、反応性ガス
及びシリコン系ガスのうち少なくとも一種のガスのイオ
ンを用いる。なお、プラズマ生成室Cとイオン源2とで
同じ原料ガスを用いる場合は、プラズマ生成室C内に原
料ガス供給部12から導入したガス又はイオン源2内に
ガス供給部1から導入したガスを双方で共用することも
できる。 イオンビームのイオン加速エネルギを500
eV〜10keVの範囲に設定することにより、イオン
ビーム照射を行った分だけ被成膜物品10表面にシリコ
ンの微結晶核層が形成される。また、イオン加速エネル
ギを特に2keV〜10keVの範囲に設定することに
より、該シリコン微結晶核層に加えて、被成膜物品10
の表面に物品10と膜構成物質との混合層が形成され
る。
【0040】所望の厚さの微結晶核層或いは混合層及び
微結晶核層を形成した後、イオンビーム照射を停止し、
プラズマの形成は継続して該層上にアモルファスシリコ
ン層を形成する。このようにして結晶性シリコン前段膜
が形成される。なお、成膜の初期にイオンビームを並行
して照射するのに代えて、或いはこれに加えて成膜前
に、被成膜物品10に対して加速エネルギ500eV〜
10keVでイオンビーム照射を行うこともできる。こ
れによっても微結晶核層を有する結晶性シリコン前段膜
を形成することができる。
【0041】イオンビーム照射を膜形成の初期に該膜形
成とともに行う場合、又は(及び)該膜形成の前に行う
場合のいずれの場合も、イオンビームのイオン種、イオ
ン電流、照射時間を調整することにより微結晶核層の厚
さを10nm〜30nmとする。また、イオンビームの
イオン種、照射エネルギ、イオン電流を調整することに
より微結晶核の結晶粒径は5nm〜30nmとし、その
密度は1×109 個/cm2 以上1×1011個/cm2
以下とする。
【0042】また、イオン種、イオン照射エネルギ、成
膜原料ガス種、そのガス圧比率、全体のガス圧、ガスプ
ラズマ化用電力の大きさ、成膜温度を適宜選択又は調整
することにより、全体として膜中水素濃度が3×1021
個/cm3 以下の結晶性シリコン前段膜とする。このよ
うに、イオンビーム照射を結晶性シリコン前段膜形成の
全体にわたり行わず、その初期に限定して又は(及び)
膜形成前に行って微結晶核層を前段膜と被成膜物品の表
面部分に限定することにより、最終的に得られる結晶性
シリコン膜の表面の欠陥(凹凸)を低減することができ
るとともに、結晶粒内の欠陥を低減することができる。
【0043】また、微結晶核層の存在により、低いエネ
ルギ密度から高いエネルギ密度までの広範囲のエネルギ
ビームにより良好な結晶を成長させることができるた
め、エネルギビームの出力の精度をそれほど良くしなく
てもよくなり、装置コストの低減、装置寿命の延長を図
ることができる。また、安定した低いエネルギ密度のエ
ネルギビームで結晶化処理を行うこともできるため、低
コストで安定した膜質の結晶性シリコン膜を得ることが
できる。
【0044】また、被成膜物品10の表面に該物品と膜
構成物質との混合層を形成することにより、結晶性シリ
コン前段膜と被成膜物品10との密着性が良好となり、
その後の結晶化処理工程でのエネルギビームの照射によ
り該膜内に大きな応力が発生しても該膜の剥離が生じ難
い。次いで、このようにして得られた結晶シリコン前段
膜を前記成膜装置から搬出し、レーザ照射装置を用い
て、該成膜面にレーザビームを照射して結晶粒径300
nm以上の結晶性シリコンを得る。
【0045】なお、前記方法により形成される結晶性シ
リコン前段膜の例の一部の拡大断面を図2の(A)図、
(B)図にそれぞれ示す。図2の(A)図の結晶性シリ
コン前段膜M1は、被成膜物品10上に微結晶核層L1
及びアモルファスシリコン層A1がこの順で形成された
ものである。図2の(B)図の結晶性シリコン前段膜M
2は、被成膜物品10上に微結晶核層L2及びアモルフ
ァスシリコン層A2がこの順で形成され、微結晶核層L
2と被成膜物品10との界面部分に該両者の混合層mが
形成されたものである。
【0046】また、図3は結晶性シリコン前段膜の形成
に用いることができる成膜装置の他の例の概略構成を示
す図である。この装置は、図1に示す成膜装置(イオン
ビーム照射及びプラズマCVDの双方を行える成膜装
置)に、プラズマCVD装置を連設したものであり、図
1の装置のプラズマ生成室Cにゲート弁Gを介してもう
一つのプラズマ生成室C´が接続されている。プラズマ
生成室C´はその内部に高周波電極14b及びこれに対
向する接地電極14cを設置してある。電極14cは被
成膜物品10及びこれを保持する保持部材11が設置さ
れるものであり、内部に物品加熱用ヒータ9´を内蔵し
ている。プラズマ生成室C´は真空排気部18´により
所望の到達圧力に排気でき、ガス供給部12´からガス
ノズルを兼ねる電極14bを介して成膜原料ガスを供給
できる。
【0047】高周波電極14bには整合器3´を介して
高周波電源4´を接続してある。この装置を用いて結晶
性シリコン前段膜を形成するにあたっては、当初ゲート
弁Gは閉じておき、被成膜物品10を保持部材11によ
り保持してプラズマ生成室C内に搬入し、ヒータ9上の
所定の成膜位置に設置するとともに、室C内を真空排気
部の運転にて所定到達圧力とする。次いで、イオン源2
からイオンビームを500eV〜10keVの照射エネ
ルギで引出し、被成膜物品10に対して5×1013個/
cm2 〜1×1015個/cm2 照射する。このようにし
て物品10上にシリコンの微結晶核層を形成する。
【0048】次いで、弁Gを開き、真空排気装置18´
の運転にて所定の到達圧力に設定したプラズマ生成室C
´内に、保持部材11に保持した被成膜物品10を搬入
し、電極14c上に設置する。その後弁Gを閉じる。さ
らに、ガス供給部12´から成膜室内に成膜原料ガスを
導入し、また電極14b、14c間に高周波電源4´か
らマッチングボックス3´を介して高周波電力を供給し
て成膜原料ガスをプラズマ化して、該プラズマの下で被
成膜物品10の微結晶核層上にアモルファスシリコン層
を形成し、かくして微結晶核層を有し、上層がアモルフ
ァスシリコン層である結晶性シリコンの前段膜を得る。
【0049】なお、プラズマ生成室C内でプラズマ13
の形成及びイオンビーム照射の双方を行って混合層及び
微結晶核層を形成し、その上層のアモルファスシリコン
層の形成をプラズマ生成室C´内で行うこともできる。
使用する成膜原料ガス、イオンビームのイオン種、微結
晶核層の層厚、微結晶核の結晶粒径、その密度等は前記
図1の装置による場合と同様とする。
【0050】次いで、このようにして得られた結晶性シ
リコン前段膜を前記成膜装置から搬出し、レーザ照射装
置を用いて、該成膜面にレーザビームを照射して結晶粒
径300nm以上の結晶性シリコン膜を得る。次に、図
1及び図3の装置を用いた本発明方法実施の具体例及び
それにより得られた結晶性シリコン膜について説明す
る。併せて、平行平板型プラズマCVD法によりアモル
ファスシリコン膜を形成し、該膜にレーザビームを照射
して結晶化した比較例についても述べる。
【0051】なお、以下の各実施例は被成膜物品を変え
てそれぞれ50回づつ行った。また、以下の実施例にお
いて、微結晶核層の層厚(微結晶核が存在する範囲)は
透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定し、前段膜
の微結晶核の結晶粒径及び結晶性シリコン膜における結
晶粒径はレーザラマン分光分析におけるピーク位置及び
走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果から求めた。微
結晶核層における微結晶核の密度は走査型電子顕微鏡観
察により測定した。 実施例1 ・結晶性シリコン前段膜の形成(図1の装置) 図1の装置を用い、被成膜物品を成膜原料ガスのプラズ
マに曝して該物品上に膜形成するとともに、該膜形成の
初期に該膜形成面にイオンビーム照射を行って、該物品
上に結晶性シリコン前段膜を形成した。 成膜条件 被成膜物品 無アルカリガラス基板 成膜原料ガス SiH4 50% H2 50% 励起用高周波 13.56MHz イオン源 イオン種 H、SiHの各正イオン イオン照射エネルギ 2keV イオン照射量 1×1014〜1×1015個/cm2 成膜圧力 1×10-4Torr 成膜温度 300℃ イオン照射層の厚さ 30nm 全体の膜厚 50nm ・結晶化処理 結晶化処理条件 レーザビーム エキシマレーザ(XeCl)、波長308nm エネルギ密度 100〜400mJ/cm2 処理温度 室温 この結果、レーザアニール前の結晶性シリコン前段膜で
は、微結晶核は被成膜物品の表面から30nm以内の範
囲に存在し、その微結晶核の結晶粒径は15〜25n
m、密度は約1.0×1010個/cm2 であった。ま
た、その上層には微結晶核は観察されずアモルファスシ
リコン層であることが確認された。
【0052】レーザアニール後の膜については、レーザ
ビームのエネルギ密度100〜400mJ/cm2 の範
囲で、結晶化シリコンによるピーク(ラマンシフト=5
20cm-1)が検出され、またSEM観察の結果から粒
径150nm以上の結晶が形成されていることが確認さ
れた。また、エネルギ密度230〜320mJ/cm2
の範囲で粒径300nm以上の結晶が確認された。ま
た、レーザビームのエネルギ密度200〜300mJ/
cm2 の範囲で、ラマンシフト520cm-1における半
値幅は6cm-1であり、秩序性が高く、良好な結晶性を
有するシリコン膜が得られたことがわかる。なお、単結
晶シリコンの場合はラマンシフト520cm-1における
半値幅は5cm-1であった。レーザエネルギ密度が30
0mJ/cm2 以上と高い場合にもレーザビーム照射に
よる膜剥離は生じなかった。
【0053】なお、前記実施例1及び後述する比較例に
おけるレーザビームのエネルギ密度と最終的に得られる
結晶性シリコン膜の結晶粒径との関係を図4に示す。 実施例2 ・結晶性シリコン前段膜の形成(図3の装置) 図3の装置を用い、プラズマ生成室C内で被成膜物品を
成膜原料ガスのプラズマに曝して該物品上に膜形成する
とともに、該膜形成面にイオンビーム照射を行った後、
プラズマ生成室C´内で該物品を同じ成膜原料ガスのプ
ラズマに曝して引き続き膜形成を行い、結晶性シリコン
前段膜を形成した。 成膜条件 被成膜物品 無アルカリガラス基板 イ.プラズマ生成室C内でのプラズマ形成及びイオンビーム照射 成膜原料ガス SiH4 50% H2 50% 励起用高周波 13.56MHz イオン源 イオン種 H、SiHの各正イオン イオン照射エネルギ 2keV イオン照射量 1×1014〜1×1015個/cm2 成膜圧力 1×10-4Torr 成膜温度 300℃ イオン照射層の厚さ 30nm ロ.プラズマ生成室C´内でのプラズマ形成 成膜原料ガス SiH4 50% H2 50% 励起用高周波 13.56MHz 成膜圧力 2×10-1Torr 成膜温度 300℃ 全体の膜厚 50nm ・結晶化処理 結晶化処理条件 レーザビーム エキシマレーザ(XeCl)、波長308nm エネルギ密度 100〜400mJ/cm2 処理温度 室温 この結果、レーザアニール前の結晶性シリコン前段膜で
は、微結晶核は被成膜物品の表面から30nm以内の範
囲に存在し、微結晶核の結晶粒径は15〜25nm、密
度は約1.0×1010個/cm2 であった。また、その
上層には微結晶核は観察されずアモルファスシリコン層
であることが確認された。
【0054】レーザアニール後の膜については、レーザ
ビームのエネルギ密度100〜400mJ/cm2 の範
囲で、結晶化シリコンによるピーク(ラマンシフト=5
20cm-1)が検出され、またSEM観察の結果から粒
径150nm以上の結晶が形成されていることが確認さ
れた。また、エネルギ密度230〜320mJ/cm2
の範囲で粒径300nm以上の結晶が確認された。ま
た、レーザビームのエネルギ密度200〜300mJ/
cm2 の範囲で、ラマンシフト520cm-1における半
値幅は6cm-1であり、秩序性が高く、良好な結晶性を
有するシリコン膜が得られたことがわかる。なお、レー
ザエネルギ密度が300mJ/cm2 以上と高い場合に
もレーザビーム照射による膜剥離は生じなかった。 実施例3 ・結晶性シリコン前段膜の形成(図3の装置) 図3の装置を用い、プラズマ生成室C内で被成膜物品に
イオンビーム照射を行った後、プラズマ生成室C´内で
該物品を実施例2の場合と同じ成膜原料ガスのプラズマ
に曝して膜形成を行い、結晶性シリコン前段膜を形成し
た。 成膜条件 被成膜物品 無アルカリガラス基板 イ.プラズマ生成室C内でのイオンビーム照射 イオン源 イオン種 H、SiHの各正イオン イオン照射エネルギ 2keV イオン照射量 1×1014〜1×1015個/cm2 処理圧力 1×10-4Torr 処理温度 300℃ ロ.プラズマ生成室C´内でのプラズマ形成 成膜原料ガス SiH4 50% H2 50% 励起用高周波 13.56MHz 成膜圧力 2×10-1Torr 成膜温度 300℃ 全体の膜厚 50nm ・結晶化処理 結晶化処理条件 レーザビーム エキシマレーザ(XeCl)、波長308nm エネルギ密度 100〜400mJ/cm2 処理温度 室温 この結果、レーザアニール前の結晶性シリコン前段膜で
は、微結晶核は被成膜物品の表面から30nm以内の範
囲に存在し、微結晶核の結晶粒径は10〜15nm、密
度は約1.0×1010個/cm2 であった。また、その
上層には微結晶核は観察されずアモルファスシリコン層
であることが確認された。
【0055】レーザアニール後の膜については、レーザ
ビームのエネルギ密度100〜400mJ/cm2 の範
囲で、結晶化シリコンによるピーク(ラマンシフト=5
20cm-1)が検出され、またSEM観察の結果から粒
径150nm以上の結晶が形成されていることが確認さ
れた。また、エネルギ密度230〜320mJ/cm2
の範囲で粒径300nm以上の結晶が確認された。ま
た、レーザビームのエネルギ密度200〜300mJ/
cm2 の範囲で、ラマンシフト520cm-1における半
値幅は6cm-1であり、秩序性が高く、良好な結晶性を
有するシリコン膜が得られたことがわかる。 比較例1 従来の平行平板型プラズマCVD装置を用いて、次の条
件でアモルファスシリコン膜を形成した。 次いで、このアモルファスシリコン膜に窒素雰囲気・大
気圧下で、450℃、2時間の脱水素処理を施した後、
次の条件でレーザアニール処理を施した。脱水素処理を
施すのは、アモルファスシリコン膜には大量の水素が混
入しており、そのままの状態でレーザビームを照射する
と、この膜中の水素が突沸して膜質を低下させ易いから
である。
【0056】 レーザビーム エキシマレーザ(XeCl)、波長308nm エネルギ密度 100〜400mJ/cm2 処理温度 室温 この結果、レーザアニール前の膜は完全なアモルファス
シリコン膜で微結晶核は認められなかった。レーザアニ
ール後の膜については、レーザビームのエネルギ密度1
50〜400mJ/cm2 の範囲で、結晶化シリコンに
よるピーク(ラマンシフト=520cm-1)が検出さ
れ、また、エネルギ密度220〜270mJ/cm2
狭い範囲でのみ、SEM観察の結果から粒径250nm
以上の結晶が形成されていることが確認された。また、
エネルギ密度240mJ/cm2 でのみ、粒径300n
m以上の結晶が確認された。また、レーザビームのエネ
ルギ密度250〜270mJ/cm2 の範囲で、ラマン
シフト520cm-1における半値幅は6cm-1であっ
た。さらに、レーザエネルギ密度350〜400mJ/
cm2 の範囲ではレーザビーム照射による部分的な膜剥
離が認められた。
【0057】以上の結果、本発明実施例1、2及び3に
よると、アモルファスシリコン膜をレーザビーム照射に
より結晶化させた比較例に比べて、結晶化処理の際に広
い範囲からレーザエネルギ密度を選択して所定の結晶粒
径が得られることが分かる。また、本発明実施例1、2
及び3によると、高いエネルギ密度のレーザビームの照
射によっても膜の剥離が生じなかったが、これは被成膜
物品との界面に該物品との混合層が形成されていること
によるものと考えられる。
【0058】また、本発明実施例1、2及び3では比較
例のようにレーザアニール処理前に脱水素処理を施す必
要がないため、効率良く良質な結晶性を有するシリコン
膜が得られることも分かる。また、前記本発明実施例1
において、レーザビームのエネルギ密度を250mJ/
cm2 とし、結晶性シリコン前段膜形成時のイオンビー
ム照射エネルギ及びイオン照射量を調整して微結晶核密
度を1×109 個/cm2 〜1×1011個/cm2 の範
囲で変化させて前段膜を形成し、微結晶核密度と最終的
に得られる結晶性シリコン膜の結晶粒径との関係を調べ
た。結果を図5に示す。
【0059】これによると、エネルギ密度250mJ/
cm2 の場合、微結晶核密度2×109 〜3×1010
/cm2 の範囲で250nm以上の粒径が得られ、微結
晶核密度6×109 〜1.5×1010個/cm2 の範囲
で300nm以上の粒径が得られたことが分かる。
【0060】
【発明の効果】本発明によると、TFT用等の半導体膜
としての良好な結晶性シリコン膜を効率良く得るための
前駆体としての結晶性シリコン前段膜を比較的低温下で
生産性良く形成できる結晶性シリコン前段膜の形成方法
を提供することができる。
【0061】削除
【0062】また本発明によると、TFT用等の半導体
膜としての良好な結晶性シリコン膜を得るための前駆体
としての結晶性シリコン前段膜であって、これから得ら
れる結晶性シリコン膜の結晶粒径を制御できる結晶性シ
リコン前段膜を比較的低温下で生産性良く形成できる結
晶性シリコン前段膜の形成方法を提供することができ
る。
【0063】削除
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶性シリコン前段膜の形成方法を実施できる
成膜装置の1例の概略構成を示す図である。
【図2】(A)図、(B)図はそれぞれ結晶性シリコン
前段膜の一部の拡大断面図である。
【図3】結晶性シリコン前段膜の形成方法を実施できる
成膜装置の他の例の概略構成を示す図である。
【図4】結晶性シリコン膜の形成方法及び従来の結晶性
シリコン膜の形成方法のそれぞれにおけるレーザビーム
のエネルギ密度と結晶性シリコン膜の結晶粒径との関係
の1例を示す図である。
【図5】結晶性シリコン膜の形成方法における、前段膜
の微結晶核密度と結晶性シリコン膜の結晶粒径との関係
の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 イオン源用ガス導入口 2 イオン源 21 引き出し電極 3、3´、16 整合器 4、4´、17 高周波電源 5 加速電源 6 減速電源 8 イオン源内プラズマ 9、9´ 被成膜物品加熱用ヒータ 10 被成膜物品 11 被成膜物品保持部材 12、12’ 原料ガス供給部 13 原料ガスプラズマ 14a 円筒状電極 14b 高周波電極 14c 接地電極 18、18´ 真空排気部 C、C´ プラズマ生成室 L1、L2 微結晶核層 A1、A2 アモルファスシリコン層 M1、M2 結晶性シリコン前段膜 m 混合層 100a、100b 磁石 G ゲート弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C23C 14/22 C23C 14/22 A (72)発明者 村上 浩 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電 機株式会社内 (72)発明者 岸田 茂明 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電 機株式会社内 (72)発明者 江部 明憲 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電 機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電 機株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−195492(JP,A) 特開 平6−132220(JP,A) 特開 平8−88174(JP,A) 特開 平9−251958(JP,A) 特開 平9−48696(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被成膜物品上に結晶化処理により結晶性
    シリコン膜を得るための結晶性シリコン前段膜を形成す
    方法であって、該膜形成に先立ち該被成膜物品にイオ
    ンビームを照射することでその後の膜形成において該物
    品表面にシリコンの微結晶核層を形成させ、該微結晶核
    層上にアモルファスシリコン層を形成することを特徴と
    する結晶性シリコン前段膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記イオンビームのイオン照射エネルギ
    を500eV〜10keVとする請求項1記載の結晶性
    シリコン前段膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 シリコン系ガス及び水素ガスを含むガス
    を成膜原料ガスとするCVD法により膜形成する請求項
    1又は2記載の結晶性シリコン前段膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記イオンビームのイオン種として、不
    活性ガス、反応性ガス、シリコン系ガスのうち少なくと
    も1種のガスのイオンを用いる請求項1、2又は3記載
    の結晶性シリコン前段膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記微結晶核層を層厚30nm以下に形
    成する請求項1から4のいずれかに記載の結晶性シリコ
    ン前段膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記微結晶核層における微結晶核の結晶
    粒径を30nm以下とする請求項1から5のいずれかに
    記載の結晶性シリコン前段膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記微結晶核層における微結晶核の密度
    を1×10 11 個/cm 2 以下とする請求項1から6のい
    ずれかに記載の結晶性シリコン前段膜の形成方法。
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