JP3383378B2 - 積層インダクタ部品の製造方法 - Google Patents

積層インダクタ部品の製造方法

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JP3383378B2
JP3383378B2 JP27153393A JP27153393A JP3383378B2 JP 3383378 B2 JP3383378 B2 JP 3383378B2 JP 27153393 A JP27153393 A JP 27153393A JP 27153393 A JP27153393 A JP 27153393A JP 3383378 B2 JP3383378 B2 JP 3383378B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、光硬化モノマーを含有
するガラス・セラミックのスリップ材の塗布により形成
したセラミック層を積層し、さらに、その積層体内にコ
イルパターンが内装された積層インダクタ部品の製造方
法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】複数のセラミック層と複数のコイルパタ
ーンとを積層されるとともに、隣接するコイルパターン
がビアホール導体を介して接続されて成る積層インダク
タ部品の製造方法として大きく2つの製造方法が知られ
ている。 【0003】その一つの方法は、ビアホール導体となる
導体、約1ターン分のコイルパターンとなる導体膜が形
成された未焼成のグリーンシートを複数枚積層して、こ
の積層体を一体的に焼成処理するグリーンシート多層方
法があった。 【0004】また、耐熱基板上に、半ターン、例えばL
字状のコイルパターンとなる導体膜を導電性ペーストの
スクリーン印刷で形成し、続いてL字状のコイルパター
ンとなる導体膜の一端が露出するように、絶縁膜を絶縁
性ペーストのスクリーン印刷で印刷形成し、この絶縁膜
上に、先のL字状のコイルパターンとなる導体膜の一端
と接続し、そのパターンと対象形状のL字状のコイルパ
ターンとなる導体膜を導電性ペーストのスクリーン印刷
で形成し、さらに、L字状のコイルパターンとなる導体
膜の一端が露出するように、絶縁膜を絶縁性ペーストの
スクリーン印刷で印刷形成し、この工程を順次繰り返し
て積層体を形成した後、絶縁膜及び各コイルパターンと
なる導体膜を一体的に焼成処理する印刷多層方法があっ
た。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のグリー
ンシート多層方法では、各グリーンシートにビアホール
導体となる両主面に貫通した開口を有するビアホールを
形成し、このビアホール内にビアホール導体となる導電
性ペーストを充填しなくてはならない。 【0006】また、インダクタンス特性を向上させるた
めに、ビアホール導体部分で抵抗を下げることが困難で
ある。例えば、ビアホールの開口径を大きくすると、導
電性ペーストをビアホール内に充填・保持できず、導体
抜けが発生してしまうためである。 【0007】また、この導電性ペーストの充填は、グリ
ーンシートを敷紙上に載置して印刷・充填されるが、敷
紙とグリーンシートとを分離する際に、貫通穴内に充填
した導電性ペーストが敷紙に奪われてしまい、貫通穴内
に保持した導電性ペーストの表面が凹んでしまい、コイ
ルパターン間の導通不良が発生することがある。さら
に、上述のグリーンシートを高い精度で位置合わせし
て、積層しなくてはならないという問題点があった。 【0008】後者の印刷多層方法の場合、基本的には、
絶縁ペーストによって所定形状に印刷形成された絶縁膜
上に、半ターン分ずつのコイルパターンを形成し、これ
を繰り返しているため、所望のコイルのターン数を得る
ためには積層印刷数が増加してしまい、低背化が困難で
あった。 【0009】また、コイルパターン間の接続部分は、絶
縁膜が印刷しないため、導電性ペーストだけの印刷重畳
であり、非接続部分は導電性ペーストと絶縁ペーストと
の交互の印刷重畳であり、積層数が増加してしまうと、
表面が積層歪みが発生してしまい、安定した導電性ペー
ストや絶縁ペーストの印刷が困難となってしまう。 【0010】両方法によれば、インダクタンス特性を向
上させるため、コイルパターン部分の導体抵抗を下げる
構造を考慮した場合、コイルパターンとなる導体膜の厚
みは、スクリーン印刷によって形成されるため厚くし
て、20μm程度であり、導体膜の厚みを補うために、
導体膜の幅を広くすればよいが、積層インダクタ部品全
体が大型化してしまう。また、前者のグリーンシート多
層方式では導体膜厚みが厚くなると、層間のデラミネー
ションが発生し易くなる。 【0011】本発明は、上述の問題点に鑑みて案出され
たものであり、その目的は、コイルパターンの導体抵抗
を極め小さくできる積層インダクタ部品の製造方法を提
供することにある。 【0012】また、別の目的は、コイルパターン及びコ
イルパターン間を接続するビアホール導体の導体抵抗を
極めて小さくでき、さらに、積層数の増加やコイルパタ
ーンの形状に係わらず、常に絶縁膜の表面が均一とな
り、ビアホール導体の形成、コイルパターンの形成が容
易で、層間のデラミネーションの発生を抑えられる信頼
性の高い積層インダクタ部品の製造方法を提供する。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の積層インダクタ
部品の製造方法は、コイルパターン形状の貫通孔が形成
され、該貫通孔にコイルパターン導体が充填された第1
のセラミック絶縁膜と、ビアホールを有し、該ビアホー
ル内にビアホール導体が充填された第2のセラミック絶
縁膜とを重畳積層させたものを含む積層体を焼成処理し
て成る積層インダクタ部品であって、前記コイルパター
ン導体を充填させた第1のセラミック絶縁膜が、 (1)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックのス
リップ材を塗布・乾燥して絶縁膜を形成する工程と、 (2)前記絶縁膜に選択的な露光処理及び現像処理を施
して、前記絶縁膜にコイルパターン形状の貫通孔を形成
する工程と、 (3)前記貫通孔内にコイルパターン導体を充填する工
程とによって形成され、且つ前記ビアホール導体を充填
させた第2のセラミック絶縁膜が、 (4)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックのス
リップ材を塗布・乾燥して絶縁膜を形成する工程と、 (5)前記絶縁膜に選択的な露光処理及び現像処理を施
して、前記絶縁膜にビアホールを形成する工程と、 (6)前記ビアホール内にビアホール導体を充填する工
程とによって形成されることを特徴とするものである。 【0014】 【0015】ここで、コイルパターン形状の貫通孔は第
1の絶縁膜の、ビアホールは第2の絶縁膜の厚み方向が
貫通しているが、例えば貫通孔の下部開口が下部の第2
の絶縁膜及びビアホール導体膜によって閉塞され、また
ビアホールの下部開口がコイルパターン導体によって閉
塞され、また全体として「凹部」形状となるため、本発
明では、以下、コイルパターン形状の貫通孔及びビアホ
ールを「貫通凹部」と表記する。 【0016】 【作用】本発明によれば、積層体が、コイルパターンの
形状の貫通凹部にコイルパターン導体が充填された第1
のセラミック絶縁膜と、貫通凹部にビアホール導体が充
填された第2のセラミック絶縁膜と、互いに重畳してい
る。即ち、コイルパターン導体の厚みは、実質的に第1
のセラミック絶縁膜と同一の厚みとなり、第1のセラミ
ック絶縁膜の厚みの増加により、コイルパターン導体厚
みを増加させることが簡単にでき、これによりコイルパ
ターンが低抵抗となる。 【0017】また本発明によれば、第1のセラミック絶
縁膜が光硬化可能なモノマーを含む絶縁スリップ材の塗
布、乾燥、さらに、コイルパターンの形状に対応する貫
通凹部を形成するための露光・現像処理の後、導電性ペ
ーストの充填で形成される。従って、コイルパターンの
形状に対応する貫通凹部に導電性ペーストを充填して
も、そこから充填したペーストが流出することがなく、
絶縁膜と同一の厚みのコイルパターンとなる導体を簡単
に形成できる。 【0018】即ち、絶縁膜の厚みを厚くすることによ
り、コイルパターンとなる導体膜の厚みを増加させるこ
とが簡単にできるため、コイルパターンの導体抵抗を下
げることが極めて容易となる。 【0019】本発明において、ビアホール導体を有する
第2のセラミック絶縁膜として光硬化可能なモノマーを
含む絶縁スリップ材の塗布、乾燥、さらに、ビアホール
導体の形状に対応する貫通凹部を形成するための露光・
現像処理の後、導電性ペーストの充填で形成される。従
って、ビアホール導体の形状に対応する貫通凹部に導電
性ペーストを充填しても、そこから充填したペーストが
流出することがなく、安定したビアホール導体となる導
体を簡単に形成できる。 【0020】即ち、露光処理の精度により、ビアホール
導体の形状を任意形状とすることができ、ビアホール導
体部分での導体抵抗を下げることが極めて容易となる。 【0021】両絶縁膜が光硬化可能なモノマーを含むス
リップ材の塗布によって形成されるため、その絶縁膜の
下部の絶縁膜のコイルパターン導体又はビアホール導体
となる導体の状況にかかわらず、また、積層数に係わら
ず、その表面を常に均一にすることができる。従って、
その表面上に絶縁膜などを形成する場合、安定的に、且
つ簡単に形成することができる。 【0022】即ち、重畳塗布による積層方法が簡単且つ
確実に行える。また、コイルパターン及びビアホール導
体の形状精度や形成位置は、極めて位置精度が高い露光
処理によって決定されるため、積層信頼性が高い製造方
法となる。 【0023】 【実施例】以下、本発明の積層インダクタ部品の製造方
法を図面に基づいて説明する。 【0024】図1は、本発明にかかる積層インダクタ部
品の斜視図であり、図2は図1のX−X線断面図であ
り、図3(a)は図1のY−Y線断面図、図3(b)は
図1のZ−Z線断面図である。 【0025】尚、説明は9層の絶縁層からなる積層イン
ダクタ部品を用いて説明する。 【0026】図1〜図3において、1は積層体本体であ
り、4、5は端子電極である。 【0027】積層体本体1は、9層のセラミック層(以
下、単に絶縁層という)1a〜1iが積層して構成さ
れ、その内部にコイルパターン2b、2d、2f、2
h、ビアホール導体3c、3e、3gを有している。具
体的には、絶縁層1b、1d、1f、1hは第1の絶縁
層であり、コイルパターン2b、2d、2f、2hは、
絶縁層1b、1d、1f、1hの厚み方向を貫く所定パ
ターン形状で形成されている。また、絶縁層1c、1
e、1gは第2の絶縁層であり、隣接するコイルパター
ン2b、2d、2f、2hを接続するビアホール導体3
c、3e、3gは、絶縁層1c、1e、1gの厚み方向
を貫く所定形状(例えば直径)で形成されている。尚、
絶縁層1aと絶縁層1iは単なる単板状態であり、特に
絶縁層1aを最上絶縁層といい、絶縁層1iを最下絶縁
層という。 【0028】絶縁層1a〜1iは、例えば850〜10
50℃前後の比較的低い温度で焼成可能にするガラス−
セラミック材料からなり、その厚みは第1の絶縁層であ
る絶縁層1b、1d、1f、1hと第2の絶縁層である
絶縁層1c、1e、1gとでは、若干異なり、コイルパ
ターン2b、2d、2f、2hが内装された絶縁層1
b、1d、1f、1hを比較的厚く、ビアホール導体3
c、3e、3gが内装された絶縁層1c、1e、1gを
比較的薄くする方が望ましい。具体的には、絶縁層1
b、1d、1f、1hは、例えば20〜100μmであ
り、絶縁層1c、1e、1gは、例えば10〜100μ
mである。 【0029】コイルパターン2b、2d、2f、2h、
ビアホール導体3c、3e、3gは、金系、銀系、銅系
の金属材料、例えば銀系導体からなっている。 【0030】このような、積層体本体1内に、コイルパ
ターン2b−ビアホール導体3c−コイルパターン2d
−ビアホール導体3e−コイルパターン2f−ビアホー
ル導体3g−コイルパターン2hと一連に接続したコイ
ルが形成されている。 【0031】さらに、コイルパターン2bの一端は、最
上絶縁層1aと絶縁層1cに挟まれた絶縁層1bの厚み
相当部分から積層体本体1の端部に導出され、端子電極
5に接続され、コイルパターン2hの他端は、最下絶縁
層1iと絶縁層1gに挟まれた絶縁層1hの厚み相当部
分から積層体本体1の端部に導出され、端子電極4に接
続されている。 【0032】図2、図3(a)(b)に示すように、例
えばコイルパターン2b、2d間を接続するビアホール
導体3cは、隣接するコイルパターン2d、2f間を接
続するビアホール導体3eの形成位置と若干変位してい
る。同様にビアホール導体3eと3gとの形成位置と若
干変位している。尚、ビアホール導体3cと3gとは、
平面的に同じ位置に形成されている。 【0033】また、コイルパターン2b、2hは、端子
電極4、5と接続するためにその端部に延出部分が形成
されているため、コイルパターン2b、2d、2f、2
hの形状も若干異なっている。具体的には、コイルパタ
ーン2bは、図5(ヤ)のように、約半ターン形状で、
延出部分が付加されており、コイルパターン2dは、図
5(ナ)のように、約1ターン形状で、ビアホール導体
3eと接続する一端が中心よりに形成されており、コイ
ルパターン2fは、図5(ワ)のように、約1ターン形
状で、ビアホール導体3gと接続する一端が端部よりに
形成されており、コイルパターン2bは、図5(ヤ)の
ように、約半ターン形状で、延出部分が付加されてお
り、コイルパターン2hは、図5(ホ)のように、約1
ターン形状で、延出部分が付加されている。 【0034】上述の積層インダクタ部品において、コイ
ルパターン2b、2d、2f、2hが実質的に、第1の
絶縁層である絶縁層1b、1d、1f、1hの厚さ(2
0〜100μm)と同等の厚みを有しているため、従来
のグリーンシートや絶縁膜表面への印刷形成による厚
み、例えば10μmに比較して、厚くすることができ
る。これにより、コイルパターン2b、2d、2f、2
hでの導体抵抗を極小化することができるため、インダ
クタンス特性に優れた積層インダクタ部品が簡単に形成
できる。 【0035】従って、導体抵抗が小さいことから、トラ
ンスのコイル部分などに用いた場合、発熱を抑制した
り、電力変換効率を上げることができ、高周波回路の共
振回路に用いた場合、信号の減衰を小さくして、ノイズ
を小さくすることができ、L−Cフィルタ部品に用いた
場合、挿入損失を小さくしたりすることができる。 【0036】尚、上述の図1〜図3に示す積層インダク
タ部品の積層体本体1は、絶縁層1iとなる絶縁膜10
i上に、光硬化可能なモノマーを含有する絶縁スリップ
材をドクターブレード法などで絶縁膜10hを塗布・乾
燥し、さらにコイルパターン2hの形状に対応する貫通
凹部を形成するため、選択的な露光処理、現像処理を行
い、さらに、導電性ペーストを印刷、充填して、コイル
パターン2hとなる導体膜20hを形成し、その後、絶
縁膜10h及び導体膜20h上に、絶縁層1gとなる絶
縁膜を塗布・乾燥し、さらにビアホール導体3gの形状
に対応する貫通凹部を形成するため、選択的な露光処
理、現像処理を行い、さらに、導電性ペーストを印刷、
充填して、ビアホール導体3gとなる導体30gを形成
し、同様に順次、絶縁層1fとなる絶縁膜、コイルパタ
ーン2fとなる導体、絶縁層1eとなる絶縁膜、ビアホ
ール導体3eとなる導体30eを形成し、この塗布重畳
した積層体を一体的に焼成することにより形成される。 【0037】詳細には、図4に示す製造流れ図に基づい
て、必要に応じて、図5(イ)〜図5(マ)は主要工程
における平面状況を説明する図を用いて説明する。 【0038】まず、図4に示す基体を準備する工程であ
る。 【0039】基体は、塗布重畳する基準面となるもので
あり、耐熱性樹脂、ガラス、セラミックなどが用いられ
る。 【0040】次は、図4に示す最下絶縁層1iとなる絶
縁膜10i(焼成前を絶縁「膜」という)を形成する工
程である。 【0041】絶縁膜10iは、セラミック粉末、ガラス
材料、光硬化可能なモノマー、有機バインダと、有機又
は水系溶剤を均質混練して得られスリップ材を、例えば
100μm程度になるように、塗布、乾燥する工程、さ
らに、全面を露光処理して、光硬化可能なモノマーの重
合反応を発生させて、塗布膜を硬化する工程とから成
る。尚、絶縁膜10iの厚みは、塗布時に100μm程
度であっても、乾燥処理、焼成処理を行い、絶縁層1i
となる時には、その1/2程度の厚みにある。従って、
絶縁膜10iの厚みが100μmであっても、実際の絶
縁層1iの厚みは約50μm程度となる。 【0042】これにより、図5(イ)に示すように、基
体(図には現れない)上に、絶縁膜10iが形成され
る。 【0043】上述のセラミック粉末としては、クリスト
バライト、石英、コランダム(αアルミナ)、ムライ
ト、ジルコニア、コージェライト等の材料が挙げられ、
その粉末の平均粒径は、好ましくは1.0〜6.0μ
m、更に好ましくは1.5〜4.0μmである。これら
のセラミック材料は2種以上混合して用いられてもよ
い。 【0044】特に、コランダムを用いた場合、コスト的
に有利となる。尚、セラミック粉末の平均粒径が1.0
〜6.0μmと設定したのは、平均粒径が1.0μm未
満では、均質混合してスリップ化することが難しくな
り、露光時に露光光が乱反射して充分な露光ができなく
なる。逆に平均粒径が6.0μmを超えると緻密で強度
の高い積層体本体1が得られない。 【0045】上述のガラス材料としては、複数の金属酸
化物を含むガラスフリットであり、850〜1050℃
で焼成した後に、コージェライト、ムライト、アノーサ
イト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイ
ト、ドロマイト、ペタライト及びその置換誘導体の結晶
を少なくとも1種析出するものが挙げられる。 【0046】特に、アノーサイトまたはセルジアンを析
出する結晶化ガラスフリットを用いると、より強度の高
い積層体本体が得られ、また、コージェライトまたはム
ライトを析出し得る結晶化ガラスフリットを用いると、
焼成後の熱膨張率が低いため、この積層インダクタ部品
上に所定回路を形成して、IC等のシリコンチップを配
置するには有効となる。 【0047】上述の絶縁層の強度、熱膨張率を考慮した
最も好ましいガラス材料としては、B2 3 、Si
2 、Al2 3 、ZnO、アルカリ土類酸化物を含む
ガラスフリットである。この様なガラスフリットは、ガ
ラス化範囲が広くまた屈伏点が600〜800℃付近に
ある為、850〜1050℃程度の低温焼成に適し、且
つコイルパターン2b、2d、2f、2h、ビアホール
導体3c、3e、3gとなる銅系、銀系及び金系の導電
材料の焼結挙動に適している。 【0048】ガラス材料はスリップ材中には、フリット
の状態で混合されている。このフリットの平均粒径は、
1.0〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmで
ある。尚平均粒径が1.0μm未満の場合は、スリップ
化することが困難なであり、露光時に露光光が乱反射し
て充分な露光ができなくなる。逆に平均粒径が5.0μ
mを超えると分散性が損なわれ、具体的には絶縁材料で
あるセラミック粉末間に均等に溶解分散できず、強度が
非常に低下してしまう。 【0049】上述のセラミック材料とガラス材料との構
成比率は、850〜1050℃の比較的低温で焼成する
場合には、セラミック材料が10〜60wt%、好まし
くは30〜50wt%であり、ガラス材料が90〜40
wt%、好ましくは70wt%〜50wt%である。 【0050】ここで、セラミック材料が10wt%未
満、且つガラス材料が90wt%を越えると、絶縁層に
ガラス質が増加しすぎ、絶縁層の強度等からしても不適
切であり、また、セラミック材料が60wt%を越え、
且つガラス材料が40wt%未満となると、露光時に露
光光が乱反射して充分な露光ができなり、焼成後の絶縁
層の緻密性も損なわれる。 【0051】上述のセラミックやガラスなどの固形成分
の他に、スリップ材の構成材料としては、焼結によって
消失される光硬化可能なモノマー、有機バインダーと、
有機溶剤とを含んでいる。 【0052】光硬化可能なモノマーは、低温短時間の焼
成工程に対応するために、熱分解性に優れたものであ
り、光硬化可能なモノマーとしては、スリップ材の塗布
・乾燥後の露光によって、光重合される必要があり、遊
離ラジカルの形成、連鎖成長付加重合が可能で、2級も
しくは3級炭素を有したモノマーが好ましく、例えば少
なくとも1つの重合可能なエチレン系基を有するブチル
アクリレート等のアルキルアクリレートおよびそれらに
対応するアルキルメタクリレートが有効である。 【0053】また、テトラエチレングリコールジアクリ
レート等のポリエチングリコールジアクリレートおよび
それらに対応するメタクリレートなどが挙げられる。 【0054】光硬化可能なモノマーは、露光処理によっ
て絶縁膜10eが硬化され、現像処理によって露光部分
以外の部分が容易に除去できるように所定量添加され
る。例えば、固形成分(セラミック材料及びガラス材
料) に対して5〜15wt%以下である。 【0055】有機バインダーは、光硬化可能なモノマー
同様に熱分解性の良好なものでなくてはならない。同時
にスリップ材の粘性を決めるものである為、固形分との
濡れ性も重視せねばならず、本発明者の検討によればア
クリル酸もしくはメタクリル酸系重合体のようなカルボ
キシル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽
和化合物が好ましい。添加量としては固形分に対して2
5wt%以下が好ましい。 【0056】尚、溶剤として、有機系溶剤の他に、水系
溶剤を用いることができるが、この場合、光硬化可能な
モノマー及び有機バインダは、水溶性である必要があ
り、モノマー及びバインダには、親水性の官能基、例え
ばカルボキシル基が付加されている。その付加量は酸価
で表せば2〜300あり、好ましくは5〜100であ
る。付加量が少ない場合は水への溶解性、固定成分の粉
末の分散性が悪くなり、多い場合は熱分解性が悪くなる
ため、付加量は、水への溶解性、分散性、熱分解性を考
慮して、上述の範囲で適宜付加される。 【0057】何れの系のスリップ材においても光硬化可
能なモノマー及び有機バインダは上述したように熱分解
性の良好なものでなくてはならないが、具体的には60
0℃以下で熱分解が可能でなくてはならない。更に好ま
しくは500℃以下である。 【0058】熱分解温度が600℃を越えると、絶縁層
内に残存してしまい、カーボンとしてトラップし、基板
を灰色に変色させたり、絶縁層の絶縁抵抗までも低下さ
せてしまう。またボイドとなりデラミネーションを起こ
すことがある。 【0059】また、スリップ材には、増感剤、光開始系
材料等を必要に応じて添加しても構わない。例えば、光
開始系材料としては、ベンゾフェノン類、アシロインエ
ステル類化合物などが挙げられる。 【0060】上述のスリップ材の塗布方法は、絶縁膜1
0i上の表面を均一にするために用いられるためであ
り、例えば、ドクターブレード法(ナイフコート法)、
ロールコート法、印刷法などが挙げられる。ドクターブ
レード法では、基体の表面状況にかかわらず、絶縁膜の
表面をブレードでさらえるために、塗布後の絶縁膜10
iの表面が平坦化することができる。 【0061】乾燥方法としては、バッチ式乾燥炉、イン
ライン式乾燥炉を用いて行われ、乾燥条件は、120℃
以下が望ましい。また、急激な乾燥は、表面にクラック
を発生される可能性があるため、急加熱は避けることが
重要となる。 【0062】露光処理は、絶縁膜10iを光硬化させ
て、後述の絶縁膜10dの現像処理時に、この絶縁膜1
0iが侵されないようにするものであり、絶縁膜10i
の全面に、低圧、高圧、超高圧の水銀灯系露光光を、例
えば強度10〜20mJ/cm2程度、時間15〜30
秒程度照射する。 【0063】次は、図4に示す第1の絶縁膜である絶縁
膜10hを形成する工程である。 【0064】絶縁膜10hは、絶縁膜10i上に、上述
のスリップ材を塗布・乾燥する過程(図5(ロ)参照)
と、絶縁層1hに形成されるコイルパターン2hの形状
に対応して選択的に露光処理により、貫通凹部の溶化部
20h’を形成する過程(図5(ハ)参照)と、これを
現像処理により、溶化部20h’を除去して貫通凹部2
0hを形成する過程(図5(ニ)参照)により形成され
る。 【0065】塗布・乾燥は、絶縁膜10iからのブレー
ドの間隔を制御して、例えば厚み150μmでスリップ
材を塗布し、上述の乾燥条件で乾燥をおこなう。尚、こ
のようにスリップ材の塗布時150μmてあっても、乾
燥、焼成した絶縁層1iの厚みは約75μmとなる。 【0066】露光処理は、絶縁膜10hの光硬化モノマ
ーが、光重合されるネガ型であるため、貫通凹部20h
となる溶化部20h’のみが露光光が照射されないよう
所定パターンのフォトターゲットを、絶縁膜10hの表
面に載置、又は近接配置して、低圧、高圧、超高圧の水
銀灯系露光光を、例えば強度10〜20mJ/cm2
度、時間15〜30秒程度照射する。この露光処理によ
り、絶縁膜10hの貫通凹部20hとなる以外の部分
が、光硬化可能なモノマーの光重合反応を起こす。尚、
露光装置は所謂写真製版技術に用いられる一般的なもの
でよい。 【0067】現像処理は、露光処理した絶縁膜10hの
溶化部20h’に、クロロセン、1,1,1−トリクロ
ロエタン、アルカリ現像溶剤などの現像液を、例えばス
プレー現像法やパドル現像法によって、噴射したり、接
触したりして、現像処理を行う。現像条件として、スプ
レー現像法で30秒程度の噴射により行われる。この現
像処理は、露光処理によって形成された溶化部20h’
が徐々に除去され、下の層の光硬化処理された絶縁膜1
0iが貫通凹部20hから露出するまで行われる。その
後、必要に応じて洗浄及び乾燥を行なう。 【0068】これにより、コイルパターン2hの形状に
対応し、その厚み部分が除去された貫通凹部20hを有
する絶縁膜10hが形成されることになる。 【0069】次は、図4に示すコイルパターン2hとな
るコイルパターン導体21hを形成する工程である。 【0070】このコイルパターン導体21hは、例えば
Ag系導電性ペーストを用いてスクリーン印刷を、所定
形状に1回又は複数回行うことにより、貫通凹部20h
を充填して、さらに、乾燥して、露光処理による光硬化
で形成する(図5(ホ)参照)。 【0071】導電性ペーストは、金、銀、銅もしくはそ
の合金のうち少なくとも1つの金属材料、例えば銀の粉
末と、低融点ガラス成分と、光硬化モノマー、有機バイ
ンダーと及び有機溶剤とを均質混練したものが用いられ
る。特に、焼成温度が850℃〜1050℃と比較的低
いため、絶縁膜の焼結挙動を考慮して、低融点ガラス成
分の屈伏点を700℃〜800℃となるものを使用する
ことが重要である。 【0072】露光処理は、導体21hの光硬化モノマー
を光重合させて、後述の絶縁膜10gの現像処理時に、
この導体21hが侵されないようにするものであり、導
体21hの全面に上述露光条件で行う。 【0073】これにより、絶縁膜10h内に、絶縁膜1
0hの厚みと略同等の厚みを有する導体21hが形成さ
れることになる。 【0074】次は、図4に示す第2の絶縁膜である絶縁
膜10gを形成する工程である。 【0075】絶縁膜10gは、絶縁膜10h上に、上述
のスリップ材を塗布・乾燥する過程(図5(へ)参照)
と、絶縁層1に形成されるビアホール導体3gの形状に
対応して選択的に露光処理により、貫通凹部の溶化部3
0g’を形成する過程(図5(ト)参照)と、これを現
像処理により、溶化部30g’を除去して貫通凹部30
gを形成する過程(図5(チ)参照)により形成され
る。 【0076】塗布・乾燥は、絶縁膜10h表面からのブ
レードの間隔を制御して、例えば厚み100μmでスリ
ップ材を塗布し、上述の乾燥条件で乾燥をおこなう。 【0077】露光処理、現像処理は、絶縁膜10gの厚
みは、絶縁膜10hに比較して薄いため、上述の露光条
件、現像条件に比較して、短時間、又は比較的弱い強
度、比較的薄い濃度で行うことも可能である。 【0078】尚、現像処理は、光硬化処理により形成さ
れた溶化部30g’が徐々に除去され、絶縁膜10gの
厚みが全て除去され、貫通凹部30gの底面から導体2
1hが露出するまで行われる。その後、必要に応じて洗
浄及び乾燥を行なう。 【0079】これにより、ビアホール導体3gの形状に
対応し、その厚み部分が除去された貫通凹部30gを有
する絶縁膜10gが形成されることになる。 【0080】次は、図4に示すビアホール導体3gとな
る導体31gを形成する工程である。 【0081】導体31gは、例えばAg系導電性ペース
トを用いて、スクリーン印刷を所定形状に1回又は複数
回の印刷をして、貫通凹部30gに充填し、乾燥して、
露光処理による光硬化を行い形成する(図5(リ)参
照)。 【0082】導電性ペーストは、上述のコイルパターン
2hとなる導体21hに用いたものと同様、銀の粉末
と、低融点ガラス成分と、光硬化モノマー、有機バイン
ダーと及び有機溶剤とを均質混練したものが用いられ、
また、露光処理は導体膜21hと同様に上述露光条件で
行う。 【0083】これにより、絶縁膜10g内に、絶縁膜1
0gの厚みを貫通するビアホール導体3gとなる導体3
1gが形成されることになる。 【0084】その後、図4に示す第1の絶縁膜の形成工
程、コイルパターンとなる導体膜の形成工程、第2の絶
縁膜の形成工程、ビアホール導体となる導体の形成工程
を積層構造に応じて所定回数繰り返す。 【0085】例えば、第1の絶縁膜である絶縁膜10f
を、スリップ材の塗布、乾燥(図5(ヌ)参照)、溶化
部20f’を形成するための選択的な露光処理(図5
(ル)参照)、貫通凹部20fを形成するための現像処
理(図5(ヲ)参照)により形成し、コイルパターン2
fとなる導体21fを導電性ペーストの充填、硬化処理
(図5(ワ)参照)により形成し、第2の絶縁膜である
絶縁膜10eを、スリップ材の塗布、乾燥(図5(カ)
参照)、溶化部30e’を形成するための選択的な露光
処理(図5(ヨ)参照)、貫通凹部30eを形成するた
めの現像処理(図5(タ)参照)により形成し、ビアホ
ール導体3eとなる導体31eを導電性ペーストの充
填、硬化処理(図5(レ)参照)により形成し、第1の
絶縁膜である絶縁膜10dを、スリップ材の塗布、乾燥
(図5(ソ)参照)、溶化部20d’を形成するための
選択的な露光処理(図5(ツ)参照)、貫通凹部20d
を形成するための現像処理(図5(ネ)参照)により形
成し、コイルパターン2dとなる導体21dを導電性ペ
ーストの充填、硬化処理(図5(ナ)参照)により形成
し、第2の絶縁膜である絶縁膜10cを、スリップ材の
塗布、乾燥(図5(ラ)参照)、溶化部30c’を形成
するための選択的な露光処理(図5(ム)参照)、貫通
凹部30cを形成するための現像処理(図5(ウ)参
照)により形成し、ビアホール導体3cとなる導体31
cを導電性ペーストの充填、硬化処理(図5(ヰ)参
照)により形成し、第1の絶縁膜である絶縁膜10b
を、スリップ材の塗布、乾燥(図5(ノ)参照)、溶化
部20b’を形成するための選択的な露光処理(図5
(オ)参照)、貫通凹部20bを形成するための現像処
理(図5(ク)参照)により形成し、コイルパターン2
bとなる導体21bを導電性ペーストの充填、硬化処理
(図5(ヤ)参照)により形成する。 【0086】次は、図4に示す最上絶縁層1aとなる絶
縁膜10aを形成する工程である。 【0087】絶縁膜10aは、絶縁膜10b及びコイル
パターン2bとなる導体21b上にスリップ材の塗布・
乾燥して形成される(図5(マ)参照)。この絶縁膜1
0aは、導体膜21bが外部衝撃から保護のために形成
されるものであるため、その厚みは、絶縁膜10iと同
様に例えば100μm程度あれば充分である。 【0088】また、絶縁膜10aは単なる単板状態であ
るため、特に選択的な露光処理や現像処理を行う必要は
ない。 【0089】次は、図4に示す基体の分離工程である。
この分離により、未焼成状態の積層体本体が達成される
ことになる。尚、上述の工程を、複数個の部品が抽出で
きるように形成しておき、この時点で、個々の部品の形
状に応じて分割溝を形成してもよい。 【0090】次は、図4に示す一体焼成の工程である。 【0091】絶縁膜10a〜10i、コイルパターン2
b、2d、2f、2hとなる導体21b、21d、21
f、21h及びビアホール導体3c、3e、3gと導体
31c、31e、31gから成る上述の積層体本体を一
体焼成を行う。 【0092】焼成は、脱バインダー過程と焼結過程から
なる。脱バインダー過程は、絶縁膜10a〜10i、コ
イルパターン2b、2d、2f、2hとなる導体21
b、21d、21f、21h及びビアホール導体3c、
3e、3gと導体31c、31e、31gに含まれる有
機成分を消失するためであり、例えば600℃以下であ
る。また、焼結過程は、絶縁膜10a〜10iのガラス
成分を充分に軟化させて、セラミック粉末の粒界に均一
に充填させ、積層体本体1の一定強度を達成させ、同時
に、導体21b、21d、21f、21h及び導体31
c、31e、31gの銀系粉末を粒成長させて、低抵抗
化させるとともに、絶縁層と一体化させるものであり、
酸化性雰囲気又は中性雰囲気でピーク温度850〜10
50℃で行う。 【0093】これにより、絶縁膜10a〜10iが絶縁
層1a〜1iとなり、導体21b、21d、21f、2
1hがコイルパターン2b、2d、2f、2hとなり、
導体31c、31e、31gがビアホール導体3c、3
e、3gとなり、積層体本体1が形成される。その後、
焼結された積層体本体1を、必要に応じて分割溝に沿っ
て分割を行い、個々の積層インダクタ部品の形状とす
る。 【0094】次は、図4に示す端子電極の形成工程であ
る。 【0095】端子電極4、端子電極5は、焼成された積
層体本体1で、コイルパターン2bの他端、コイルパタ
ーン2hの一端が延出する端部に、銀系導電性ペースト
の焼きつけを行い、さらにその表面にメッキ層を被着し
て形成される。 【0096】上述の積層インダクタ部品の製造方法にお
いて、絶縁膜10a〜10iが、スリップ材の塗布によ
って形成され、積層体本体1がその塗布の繰り返しによ
る重畳であるため、従来のグリーンシート多層のように
グリーンシートを予め形成する必要がなく、一連のイン
ライン製造工程で簡単に形成できる。 【0097】また、絶縁膜10a〜10iの厚みの制御
がブレードなどの高さによって精度よく制御できる。こ
のため、コイルパターン2b、2d、2f、2hの厚み
を規制する第1の絶縁膜10b、10d、10f、10
hを比較的厚くし、また、ビアホール導体3c、3e、
3gの厚み方向の長さを規制する第2の絶縁膜10c、
10e、10gの厚みを比較的薄くすることができ、目
的に応じた(導体抵抗や露光、現像処理の条件などを考
慮した)絶縁膜10a〜10Iの厚みが容易に達成でき
る。 【0098】また、重畳工程中において、最上層に位置
する絶縁膜が下層に位置する絶縁膜10b〜10iやコ
イルパターン2b、2d、2f、2hとなる導体21
b、21d、21f、21hやビアホール導体3c、3
e、3gとなる導体31c、31e、31gの構造や積
層状態に係わらず常に均一な表面とすることができるた
め、従来の印刷多層のように積層の増加により表面が歪
んだりすることが一切ないため、その絶縁膜上に処理が
確実に行えるとともに、積層数を任意に増加することが
できる。 【0099】特に、コイルパターン2b、2d、2f、
2hとなる導体21b、21d、21f、21hやビア
ホール導体3c、3e、3gとなる導体31c、31
e、31gが、位置ずれにより貫通凹部20b、20
d、20f、20h、30c、30e、30gから若干
外れて、絶縁膜10b〜10hに存在しても、それを吸
収して最上層に位置する絶縁膜の表面を均一面とするこ
とができる。 【0100】また、コイルパターン2b、2d、2f、
2hに関して、コイルパターン2b、2d、2f、2h
となる導体21b、21d、21f、21hは、第1の
絶縁膜である絶縁膜10b、10d、10f、10hの
厚み全体を貫通する所定形状の貫通凹部20b、20
d、20f、20hへの導電性ペーストの印刷・充填に
より形成される。 【0101】従って、貫通凹部20b、20d、20
f、20hの形状によって、コイルパターン2b、2
d、2f、2hの形状が規制されるため、絶縁層1b、
1d、1f、1hの厚みと略同一の厚みを有する低導体
抵抗で、且つ所定形状のコイルパターン2b、2d、2
f、2hを簡単に形成することができる。 【0102】また、貫通凹部20b、20d、20f、
20hが選択的な露光処理と現像処理によって形成され
るため、位置精度の高い露光処理によって、所定形状の
貫通凹部20b、20d、20f、20hを形成するこ
とができる。また、現像処理が下層のビアホール導体3
c、3e、3gとなる導体31c、31e、31gの表
面が露出するまで行われるため、コイルパターン2b、
2d、2f、2hとビアホール導体3c、3e、3gと
の接続を確実に行うことができる。 【0103】さらに、所定形状の貫通凹部20b、20
d、20f、20hへの導電性ペーストの充填であるた
め、従来のスクリーン印刷で発生した印刷ダレが一切な
く、導電性ペーストが流出することなく、コイルパター
ン2b、2d、2f、2hの高密度化にも容易に対応で
きる。 【0104】また、ビアホール導体3c、3e、3gに
関しても、コイルパターン2b、2d、2f、2hと同
様に、貫通凹部30c、30e、30gの形状によっ
て、ビアホール導体3c、3e、3gの形状が規制され
るため、比較的大きな形状で、絶縁層1c、1e、1g
の厚みを比較的薄くすることにより、低導体抵抗で、且
つ所定形状のビアホール導体3c、3e、3gを簡単に
形成することができる。 【0105】また、選択的な露光処理と現像処理によっ
て貫通凹部30c、30e、30gが形成され、その貫
通凹部30c、30e、30内の導電性ペーストの充填
を行うことから、形状、位置の精度が高く、コイルパタ
ーン2b、2d、2f、2hとの接続信頼性が向上し、
導電性ペーストの流出がなく、高密度化にも容易に対応
できる。 【0106】このような、コイルパターン2b、2d、
2f、2hとビアホール導体3c、3e、3gとの組み
合わせにより、極めて導体抵抗が低く、インダクタンス
特性に優れた積層インダクタ部品となる。 【0107】尚、上述の製造方法では、第1の絶縁膜を
スリップ材塗布により形成し、その後コイルパターン形
状に応じて選択的に露光処理し、現像処理して貫通凹部
を形成し、コイルパターンとなる導体膜を形成し、さら
にその表面に、第2の絶縁膜をスリップ材塗布により形
成し、その後ビアホール導体形状に応じて選択的に露光
処理し、現像処理して貫通凹部を形成し、ビアホール導
体となる導体を形成していたが、コイルパターン形状に
応じた貫通凹部の形成の工程とビアホール導体形状に応
じた貫通凹部の形成の工程とを、1対の第1の絶縁膜と
第2の絶縁膜で同時に形成しても構わない。勿論、この
時、ビアホール導体用の貫通凹部は、コイルパターン用
の貫通凹部から露出することになるため、第2の絶縁膜
上に第1の絶縁膜を重畳した状態で行なわれるものであ
る。 【0108】同様に、コイルパターン形状に応じた貫通
凹部に導電性ペーストを充填する工程とビアホール導体
形状に応じた貫通凹部に導電性ペーストを充填する工程
とを同時の工程で形成しても構わない。 【0109】この製造方法の概略は、第2の絶縁膜をス
リップ材塗布により形成し、その後ビアホール導体形状
に応じて選択的な露光処理する。続いて、第1の絶縁膜
をスリップ材塗布により形成し、その後コイルパターン
形状に応じて選択的に露光処理する。その後、上層に第
1の絶縁膜、下層に第2の絶縁膜となった両絶縁膜に対
して一括的に現像処理して、第1の絶縁膜からコイルパ
ターン形状に応じた貫通凹部を形成し、コイルパターン
用の貫通凹部から第2の絶縁膜からビアホール導体形状
に応じた貫通凹部を形成する。続いて、この貫通凹部に
コイルパターンとなる導体膜及びビアホール導体となる
導体を形成すべく導電性ペーストを充填する。 【0110】また、貫通凹部は別々の工程で形成し、コ
イルパターンとなる導体膜及びビアホール導体となる導
体を同一工程で形成しても構わない。 【0111】この製造方法の概略は、第2の絶縁膜をス
リップ材塗布により形成し、その後ビアホール導体形状
に応じて選択的に露光処理し、現像処理によりビアホー
ル導体用の貫通凹部を形成する。続いて、第1の絶縁膜
をスリップ材塗布により形成し、その後コイルパターン
形状に応じて選択的に露光処理し、現像処理によりコイ
ルパターン用の貫通凹部を形成する。このとき、コイル
パターン用の貫通凹部内にビアホール導体用貫通凹部が
存在することになり、コイルパターン用の貫通凹部の形
成時に、ビアホール導体用貫通凹部に入り込んだ第1の
絶縁膜をも除去することができる。続いて、この貫通凹
部にコイルパターンとなる導体膜及びビアホール導体と
なる導体を導電性ペーストを充填する。 【0112】このような製造方法では、貫通凹部の形成
工程や導電性ペーストの充填工程が集約できるため、製
造方法の簡略化が達成できる。 【0113】また、図4、図5の製造方法では、コイル
パターンとなる導体膜、ビアホール導体となる導体を形
成するための導電性ペーストとして、光硬化可能なモノ
マーを含有する導電性ペーストを用い、夫々の貫通凹部
に充填した後、その導体膜及び導体の全体を露光処理に
より光硬化させている。これは、その上部に形成される
絶縁膜に貫通凹部を形成するために現像処理した時、導
体膜及び導体が浸食されない組成を有する導電性ペース
トを用いれば、この導電性ペーストの充填後の光硬化処
理が不要となるからである。 【0114】尚、上述の実施例で、最も基本的な積層イ
ンダクタ部品で説明したが、積層体本体の厚み方向へ貫
通穴を形成し、コイルパターン2b、2d、2f、2h
の中央部分にE型フェライトコア部材を挿入してもよ
い。 【0115】また、端子電極4、5は積層体本体1の端
部に形成されているが、積層体本体の表面又は裏面に形
成しても構わない。この場合には、一連に接続されたコ
イルパターンの両端から積層体本体1の主面にビアホー
ル導体を延出させることによって達成される。 【0116】さらに、積層体本体1には、複数のコイル
パターン2を形成しても構わないし、また、この複数の
コイルパターン2どうしを容量結合させて、L−Cのフ
ィルタ回路、共振回路、トランスを構成しても構わな
い。 【0117】さらに、積層体本体の一部に、コイルパタ
ーン2と接続する内部配線を内装したり、さらに表面に
コイルパターン2と接続する表面配線を形成したりして
も構わない。 【0118】また、上述の実施例において、スリップ材
のセラミック成分ととしては、Fe2 3 などのフェラ
イト磁性体粉末を所定量添加して、透磁率を所定値に制
御することもできる。 【0119】 【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法によれ
ば、コイルパターンが第1の絶縁層の厚みと同一の厚み
とすることができるため、導体抵抗を極め小さくできる
積層インダクタ部品が簡単に形成できる。 【0120】また、本発明の製造方法では、導体抵抗が
小さいコルパターン及びコイルパターン間を接続するビ
アホール導体を簡単に形成することができる。しかもビ
アホール導体、コイルパターンが選択的な露光処理と現
像処理によって形成された貫通凹部の形状が決まるた
め、形状の精度を高めることが簡単であり、また、貫通
凹部への導電性ペーストの充填を簡単に行うことができ
る。 【0121】さらに、積層数の増加やコイルパターンの
形状に係わらず、常に絶縁膜の表面が均一となり、ビア
ホール導体の形成、コイルパターンの形成が容易とな
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る積層インダクタ部品の外観斜視図
である。 【図2】図1中のX−X線断面図である。 【図3】(a)は図1中のY−Y線断面図であり、
(b)は図1中のZ−Z線断面図である。 【図4】本発明の積層インダクタ部品の製造工程を説明
するための流れ図である。 【図5】(イ)〜(マ)は、製造における主要工程の平
面図である。 【符号の説明】 1a〜1i・・・・・・・絶縁層 1b、1d、1f、1h・・第1の絶縁層 1c、1e、1g・・・・・第2の絶縁層 10a〜10i・・・絶縁膜 10b、10d、10f、10h・・第1の絶縁膜 10c、10e、10g・・・・・第2の絶縁膜 2b、2d、2f、2h・・・・・・コイルパターン 21b、21d、21f、21h・・・・・・コイルパ
ターンとなる導体 3c、3e、3g・・・・・・・・・ビアホール導体 31c、31e、31g・・・・・・ビアホール導体と
なる導体 20b、20d、20f、20h30c、30e、30
g・・・・・貫通凹部 4、5・・・・・端子電極
フロントページの続き (72)発明者 古橋 和雅 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ 株式会社鹿児島国分工場内 (72)発明者 末永 弘 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ 株式会社鹿児島国分工場内 (56)参考文献 特開 昭59−204215(JP,A) 特開 平3−219606(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 17/00 H01F 41/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】コイルパターン形状の貫通孔が形成され、
    該貫通孔にコイルパターン導体が充填された第1のセラ
    ミック絶縁膜と、ビアホールを有し、該ビアホール内に
    ビアホール導体が充填された第2のセラミック絶縁膜と
    を重畳積層させたものを含む積層体を焼成処理して成る
    積層インダクタ部品であって、 前記コイルパターン導体を充填させた第1のセラミック
    絶縁膜が、 (1)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックのス
    リップ材を塗布・乾燥して絶縁膜を形成する工程と、 (2)前記絶縁膜に選択的な露光処理及び現像処理を施
    して、前記絶縁膜にコイルパターン形状の貫通孔を形成
    する工程と、 (3)前記貫通孔内にコイルパターン導体を充填する工
    程とによって形成され、且つ前記ビアホール導体を充填
    させた第2のセラミック絶縁膜が、 (4)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックのス
    リップ材を塗布・乾燥して絶縁膜を形成する工程と、 (5)前記絶縁膜に選択的な露光処理及び現像処理を施
    して、前記絶縁膜にビアホールを形成する工程と、 (6)前記ビアホール内にビアホール導体を充填する工
    程とによって形成されることを特徴とする積層インダク
    タ部品の製造方法。
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