JP3381812B2 - 耐溶損性の優れた鋳造用金型または接溶湯部材 - Google Patents

耐溶損性の優れた鋳造用金型または接溶湯部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、十分な靭性と機械加工
性等の実用特性を備え、特に溶融金属に対する耐溶損性
に優れた溶融金属の鋳造用金型または堰、ピン等溶湯に
接する器具(以下接溶湯部材と称す)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】溶融金属の鋳造による成形(ダイカスト
または重力鋳造など)に用いられる金型や接溶湯部材
(例えば湯口堰など)には、従来、熱間ダイス鋼、高速
度工具鋼、ステンレス鋼などの鋼や鋳鉄等が用いられて
きた。現在、鋳造による成形で最も多く用いられる被成
形金属の一つはアルミニウム合金であるが、金型や接溶
湯部材として使用されている上記鉄鋼材料がアルミニウ
ム合金の溶湯と接触する部分では、これらの鉄鋼材料が
アルミニウム合金の溶湯によって溶損されて、アルミニ
ウム合金の溶湯中の鉄含有量が増加し、鋳造部品の品質
を低下せしめる。さらに、これらの金型等の溶損は操業
上種々の不都合を生ぜしめると共に、耐用期限を縮める
など悪影響を及ぼすものである。
【0003】これらの問題点を解決するために、鋳造用
金型や接溶湯部材には、従来では、溶融アルミニウム合
金と全く反応しないセラミックス系の材料や溶損を起こ
しにくいW合金、Mo合金等が一部使用されているが、
これらの材料は価格が高いことや、入子として用いた場
合、周囲の鉄鋼材料との熱膨張率の差が大きいことによ
る種々の問題が生じるうえ、強度、靭性、耐熱衝撃性の
不足などの問題点があり、折れ・欠けなどが起って、工
業上問題になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、アルミニ
ウム合金を中心とした溶融金属による鉄鋼材料や、非鉄
合金の溶損について種々検討を行なった結果、炭化物を
相当多量に分散させた鉄鋼材料が従来の当該用途用鉄鋼
材料に比べ耐溶損性が著しく優れることを見出し、超硬
度高速度工具鋼を低圧鋳造用の治工具材料として特許出
願した(特開平3-39452号)。また、同様の発想から安価
で実用上、十分な強度と靭性を持つ1.2〜2.5%C・5〜25
%Mn・4〜25%Cr鋼(以後、高C高Mn高Cr鋼と称
す)を特開平03-053046号で開示したが、これらは目的と
する金型や接溶湯部材によっては形状的な面からの機械
加工性や熱衝撃や溶損などによる耐割損性、耐折損性等
が不足する場合があることがわかった。本発明は、この
ような問題点に対し、十分な靭性、機械加工性等の実用
特性を備えており、とくに耐溶損性に優れた鋳造用金型
または接溶湯部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、実用
上、十分な強度、靭性および機械加工性を持たせるた
め、母材を上述した高C高Mn高Cr鋼のC量を低めて
低炭素のオーステナイト系合金鋼とし、機械加工後に浸
炭処理を施し、これにより表層部に炭化物を緻密に析出
させることで、優れた耐溶損性を実現したのである。同
時に浸炭処理した後、さらに窒化処理や硼化処理を単独
または複合で施すことにより、耐溶損性がより高まるこ
とも見出したのである。本発明の組成の金型や接溶湯部
材は通常の鋳造または鍛造により作製することができる
ため、セラミックスやW合金、Mo合金、超硬度高速度
工具鋼等にくらべ価格的にも有利であるので、この面か
らも実用性が大きい。
【0006】具体的に本発明の第1発明は、重量比でC
0.1%を越え1.2%以下、Si 0.1〜3%、Mn 5〜25%、
Cr 4〜25%、Niは4%以下に規制され、残部Fe及び不
可避的不純物からなり、浸炭層である表層部の50μm以
上の領域が20vol%以上の炭化物を分散させる浸炭処理を
施すか、または該浸炭処理後さらに窒化処理、硼化処理
のうちのいずれかを単独または複合で施した表面処理層
を有することを特徴とする耐溶損性の優れた鋳造用金型
または接溶湯部材であり、第2発明は、重量比で、C
0.1%を越え1.2%以下、Si 0.1〜3%、Mn 5〜25%、Cr
4〜25%、さらにW,Mo,Vの一種または二種以上を
合計で0.5〜15%、Ni 0.5〜4.0%、およびCo 0.5〜1
0%の5元素から選ばれる一種または二種以上を含み、残
部Feならびに不可避的不純物からなり、表層部の50μm
以上の領域が20vol%以上の炭化物を分散させる浸炭処理
を施すか、または該浸炭処理後さらに窒化処理、硼化処
理のうちのいずれかを単独または複合で施した表面処理
層を有することを特徴とする耐溶損性の優れた鋳造用金
型または接溶湯部材である。前記5元素とは当然、W,
Mo,V,Ni,Coを意味し、これらは後述する作用
を付与するため、単独または複合で添加できる。
【0007】第3発明は、表面処理である浸炭処理は、
固体浸炭、液体浸炭、プラズマ浸炭、ガス浸炭のうちい
ずれか、窒化処理はガス窒化、イオン窒化、溶融ソルト
窒化、浸硫窒化のいずれかであることを特徴とする第1
発明または第2発明に記載の耐溶損性の優れた鋳造用金
型または接溶湯部材である。
【0008】
【作用】上述したように、本発明は、特定の組成範囲の
低C高Mn高Cr鋼(0.1〜1.2%C-5〜25%Mn-4〜25%Cr)
に浸炭処理を施すと溶融金属の溶損作用に対して高い耐
溶損性を示すことを見出したことによるものである。本
願発明の化学成分と類似する合金等は、高Mn、高Ni
鋼(たとえばMn 5〜25%、Ni 1〜15%)として知られ
ている。しかし、従来の鋼は、せいぜい非磁性かつ高硬
度を要求される用途や、析出硬化型の合金であり、本願
発明のように浸炭や他の表面処理で被覆し、流動する溶
融金属による特異な損傷、すなわち耐溶損性を目的にし
たものではない。すなわち、本願発明は構成も目的も新
規なものである。
【0009】次に本発明の成分範囲の限定理由について
述べる。Cは、母相に適度の強度と靭性を与えるために
添加するものであるが、多すぎると過剰の炭化物を生じ
鍛造性、被加工性を著しく低下させ、実用面で不都合を
生ずるので、1.2%以下とし、低すぎると上記添加の効果
が得られないので、金型または接溶湯部材においては0.
1%を越えて添加する。強度と靭性を共に得るには0.1〜
0.5%が最適である。Siは、用途に応じた耐酸化性を付
与するため 0.1%以上添加される。しかし、多すぎると
熱伝導率を低下させるので3%以下とするが、望ましい範
囲は0.1〜1.0%である。Mnは、C、Ni、Coとともに本
発明鋼の母相をオーステナイト組織とすることにより、
高い靭性を付与するために添加する。このため5%以上添
加するが、多すぎると被加工性を低下させるので25%以
下とする。そして、母相を確実にオーステナイト化し、
かつ靭性的効果を得るには10〜20%添加するのが望まし
い。
【0010】Crは、浸炭処理を施した時、Cと結合し
て表層に緻密な炭化物を形成し、また窒化処理を施した
時、Nと結合して窒化物となり、本発明鋼の最も重要な
特徴である耐溶損性を付与する。鉄鋼材料の溶融金属に
よる溶損は、溶融金属と母相のFeやNiとが化合物を形
成し、これを介して鉄鋼材料が溶融金属側に拡散するこ
とにより、進行する現象であるが、表層の緻密な炭化物
が母相を取り囲むことによって母相を溶融金属から遮蔽
することにより、溶損が進行しにくくなる。Crの過剰
な添加は、過度の炭化物を生じ、靭性、被加工性を著し
く低下させ、実用面で不都合を生ずるので、4%以上25%
以下とする。上述の効果は5〜15%添加した時、最も高く
現れる。
【0011】W,Mo,Vは、必ずしも必要でないが、
添加をすると熱処理時に時効処理した時、微細な特殊炭
化物を析出して軟化抵抗、高温強度を高める。またCと
結合して炭化物を形成し、Crの場合と同様に、耐溶損
性を付与する。さらに、母相に固溶して母相の耐溶損性
を高める効果ももつ。ただし、過度の添加は必要ではな
く、金型、接溶湯部材の使用条件に応じた強度、高温強
度に基づいて、一種または二種以上を合計で0.1%〜15%
添加すると効果が出る。これは、0.2%〜10%添加した
時、最も効果が大きいが、さらに望ましい範囲は0.2〜5
%である。
【0012】Niは、C、Mn、Coとともに本発明鋼の
母相をオーステナイト組織にして、高い靭性を付与する
ために添加してもよい。このため、C、Mn、Co量との
関係において上記効果を得るため、0.5%以上添加する
が、Niは本発明鋼の最も重要な特徴である耐溶損性を
低下させるため、多くは添加できないので4%以下とす
。望ましい添加範囲は0.5〜2.0%である。Coは、C、
Mn、Niとともに本発明の母相をオーステナイト組織と
し、高い靭性を付与するために添加してもよい元素であ
る。また同時に、高温強度を高める作用ももつ。このた
め、C、Mn、Ni量との関係において上記効果を得るた
め、0.5%以上添加するが、Coは多量に添加する必要は
なく、多すぎると靭性を減ずるので10%以下とする。望
ましい添加範囲は0.5〜5%である。
【0013】本発明は溶融金属に直接接する材料の特性
として、特に浸炭層の性状が特定のものであるところに
特徴がある。特に浸炭層が通常の浸炭層よりかなり深く
50μm以上とし、その部分の炭化物密度は20vol%以上あ
ることが必要である。この浸炭層に存在する炭化物はそ
のほとんどが鋼の中に存在するCrや選択元素として添
加されるW,Mo,Vと炭素が結合されて形成されるも
ので、通常の浸炭の時に形成される鉄炭化物は、極、少
量である。浸炭層の性状としては、炭化物が緻密に析出
していないと、優れた耐溶損性が得られないので、炭化
物密度は20vol%以上、また浸炭深さは浅すぎると十分な
耐溶損性が持続できないので50μm以上とする。なお、
浸炭深さは炭化物密度が20vol%以上あれば、よい層を意
味し、拡散層であってもよい。なお、本発明に対し公知
の快削性を付与する公知の元素、例えばS,Pb,C
a,Seなどを添加し、切削加工の特性を向上させるこ
とが可能である。
【0014】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。 (実施例1)まず、表1に示す組成の素材を準備し、図
2に示す耐アルミ溶損性試験片と耐亜鉛溶損性試験片お
よび図示しないシャルピー衝撃試験片(JIS3号)を作製し
た。比較例のうち試料No.33はSKD61、No.34は鋳
鉄FC25、No.35は高CのMn鋼である。そして、本
発明の素材のシャルピー衝撃試験片は焼なまし状態のま
まで、比較例のSKD61は所定の標準の熱処理を施し
て硬さを約HRC38に調整し、鋳鉄は鋳造まま、高C高M
n高Cr鋼(No.35)は焼なましままの状態で試験を行な
った。 さらに本発明の素材の溶損性試験片には焼なま
しままの状態から表2に示す条件で浸炭処理を施し、ま
た浸炭処理後、さらに窒化処理や硼化処理を施して、溶
融アルミと溶融亜鉛に対する溶損性試験に供し、SKD
61は熱処理後ガス窒化を施し、鋳鉄は鋳造のまま、高
C高Mn高Cr鋼(No.35)は焼なましのままで溶損性試
験を行なった。
【0015】
【表1】
【0016】図1に、本発明に係る浸炭処理後の代表的
な断面ミクロ組織写真を示す。浸炭処理によって表層に
緻密な炭化物が形成されており、これが鋳造用金型およ
び接溶湯部材の母相と溶融金属を遮蔽し、優れた耐溶損
性を実現する。このような優れた耐溶損性を目的として
低C高Mn高Crオーステナイト鋼に浸炭処理を施すこ
とは従来なかったものである。
【0017】そして、耐アルミ溶損性試験は、アルミ合
金ADC12の700℃の溶湯中に試験片を3時間浸漬し、
試験片の試験前後の重量比で耐溶損性を比較した。耐亜
鉛溶損試験についても同様に行った。試験片は、亜鉛合
金ZAC2の600℃の溶湯中に20時間、浸漬した。ま
た、一方で機械加工性の評価として被削性試験を行なっ
た。テストは焼なましままの各試料の母材をエンドミル
で切削した時のエンドミル刃先摩耗量を測定した。切削
条件は回転速度 9m/min、送り 0.05mm/刃、切込 0.5mmW
×10mmh、切削油使用とした。
【0018】
【表2】
【0019】表3および表4は耐溶損性試験、被削性試
験、および2mmUノッチシャルピー衝撃試験の結果を示
す。そして、表3および表4には表面処理方法と浸炭深
さおよび浸炭部の炭化物密度を併示する。比較として前
述したSKD61,FC25および本願出願人が提案し
た高C高Mn高Crから作製した試験片のデータも併記
した。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】表3および表4に示す耐溶損性試験は、図
2に示す形状の試験片を製作した後、表面処理を施して
試験に供し、また被削性試験とシャルピー衝撃試験は表
面処理を施さないで試験を行なった。さらに前述したよ
うに、比較例のSKD61は、硬さをHRC38狙いで熱処
理を施し、さらに520℃×10時間のガス窒化のみを施し
て耐溶損性の試験に供し、鋳鉄 FC25は鋳造ままの状態
から試験片に加工してそのまま試験を行ない、高C高M
n高Cr鋼は焼なましままの状態で試験を行なった。浸
炭層の確認について、その深さは光学顕微鏡を用いて観
察し、浸炭部の炭化物密度は浸炭層の領域の断面ミクロ
組織の画像解析とX線回折実験により求めた。
【0023】溶損試験後は、図2に示すように部分的に
くびれを生じるように溶損されて重量が減少するので、
この重量減の大小により耐溶損性を評価した。また、試
料No.1〜32は浸炭処理のまま、試料No.33〜39は浸炭
処理後窒化処理または硼化処理が施し、No.40は浸炭処
理後硼化処理を施し、さらに窒化処理を施してある。表
3および表4によれば、本発明の素材No.1〜32の耐ア
ルミ溶損性、耐亜鉛溶損性は、SKD61に窒化処理を
施したもの、FC25、高C高Mn高Cr鋼に比べ、著
しく優れることがわかる。また、浸炭処理後さらに窒化
処理や硼化処理を行なうことによって、一層表面処理の
効果が大きくなり、耐Al溶損性の向上効果が顕著であ
る。また、比較例の試料No.41は素材No.1に対し、950
℃×1時間の固体浸炭処理を施し、浸炭深さと炭化物密
度を本発明の規定から外れるようにしてあるが、耐溶損
性は従来の高C高Mn高Cr鋼と大差はなく、耐溶損性
はそれほど高くならない。
【0024】また本発明に係る低C高Mn高Cr鋼は、
従来の高C高Mn高Cr鋼に比べ被削性およびシャルピ
ー衝撃値が著しく優れ、折損、破損等が起こりにくいこ
とがわかる。なお、本実施例では、アルミ合金と亜鉛合
金に対する溶損試験の結果を示したが、一般に溶融金属
による金型等の溶損は、溶融金属と金型等の母相である
金属との接触による化合物形成により進行するので、本
発明に係る金型等は、アルミ系や亜鉛系に対するのと同
様にその他の溶融金属、例えば、鉄系や銅系の合金に対
する耐溶損性も優れることが推定される。
【0025】(実施例2)次に前述の素材から、金型を
製作し、実用テストを行なった結果を示す。アルミダイ
カスト金型の一部を入子とし、これを素材No.1,No.20
およびSKD61(素材No.33)から製作した。素材No.
1は固体浸炭後、溶融ソルト窒化、No.20はプラズマ浸
炭のみ、さらにSKD61は熱処理後、溶融ソルト窒化法に
より窒化処理を施した。入子は、アルミ合金の溶湯が、
ゲートから直接衝突するゲート正面部に組み込んだ。表
5にそれぞれの金型入子の寿命を示す。SKD61は55
00ショット使用した時点で溶損により金型表面が肌あれ
を生じ使用を停止した。これに対し、本発明は共に45,0
00ショットでも肌あれを生ぜず、さらに続けて使用が可
能であった。
【0026】
【表5】
【0027】(実施例3)次に、低圧鋳造によってアル
ミ製品の成形に用いる湯口堰のロワーホルダを製作し
た。湯口堰の構造を図3に示す。図2の1bがロワーホ
ルダである。入子2はセラミックス製、アッパーホルダ
1aとセンターホルダ1cはSKD61製とした。表6
に製作した湯口堰を実機に組み込んで、鋳造テストを行
なった時のロワーホルダの耐久性を示す。
【0028】
【表6】
【0029】SKD61では100回の鋳造で溶損が進
み、セラミックス製の入子との間にすきまを生じ、鋳造
中に溶湯が湯口堰より漏れ出したが、本発明に係る湯口
堰はいずれもほぼ4500回まで使用することができた。ま
た浸炭処理後、さらに浸硫窒化、イオン窒化または硼化
処理を施したものは6000ショット鋳造を行なっても溶湯
の漏れは生じなかった。また比較例である高C高Mn高
Cr鋼は1500ショットで溶損が生じた。本実施例では、
接溶湯部材として湯口堰を用いて本発明を説明したが、
他に中子ピン等直接溶湯と接触する部位の器具にも使え
るものである。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、アルミ合
金を始めとする溶融金属鋳造用の金型や接溶湯部材とし
て、従来材SKD61に代表される熱間ダイス鋼や鋳鉄
等に比べ著しく耐溶損性に優れるため、これらの耐久寿
命に大幅な向上効果をもたらすものである。また同様に
耐溶損性が優れる超硬度高速度工具鋼、高C高Mn高Cr
鋼やセラミックスが実用上、折損、破損、機械加工性の
問題点から適用が進まなかったのに対し、本発明は靭
性、機械加工性にも優れるため実用性も大きい。さらに
従来のW合金やMo合金に比べ、安価に製造できるとい
う利点もある。このように本発明はその工業的価値は極
めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳造用金型または接溶湯部材に係る浸
炭処理層の代表的な断面ミクロ金属組織写真である。
【図2】溶融アルミおよび溶融亜鉛に対する耐溶損試験
片と溶損状況を示す図である。
【図3】本発明の鋳造用金型または接溶湯部材に係り、
実施例3で使用した湯口堰の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 湯口堰、1a アッパホルダ、1b ロワーホル
ダ、1c センタホルダ、2 入子、3 金型、4 湯
流れ方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/58 C22C 38/58 C23C 8/32 C23C 8/32 8/34 8/34 (56)参考文献 特開 平1−205064(JP,A) 特開 平3−219050(JP,A) 特開 平4−56749(JP,A) 特開 昭61−33734(JP,A) 特開 平4−72004(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/00 - 8/80 B22D 17/22 B22C 9/06 C22C 38/00,38/38,38/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C 0.1%を越え1.2%以下、S
    i 0.1〜3%、Mn 5〜25%、Cr 4〜25%、Niは4%以下
    に規制され、残部Feならびに不可避的不純物からな
    り、表層部の50μm以上の領域が20vol%以上の炭化物を
    分散させる浸炭処理を施すか、または最表層部は該浸炭
    処理後さらに窒化処理、硼化処理のうちのいずれかを単
    独または複合で施した表面処理層を有することを特徴と
    する耐溶損性の優れた鋳造用金型または接溶湯部材。
  2. 【請求項2】 重量比で、C 0.1%を越え1.2%以下、S
    i 0.1〜3%、Mn 5〜25%、Cr 4〜25%、さらにW,M
    o,Vの一種または二種以上を合計で0.1〜15%、Ni
    0.5〜4%、およびCo 0.5〜10%の5元素から選ばれる一
    種または二種以上を含み、残部Feならびに不可避的不
    純物からなり、表層部の50μm以上の領域が20vol%以上
    の炭化物を分散させる浸炭処理を施すか、または最表層
    部は該浸炭処理後さらに窒化処理、硼化処理のうちのい
    ずれかを単独または複合で施した表面処理層を有するこ
    とを特徴とする耐溶損性の優れた鋳造用金型または接溶
    湯部材。
  3. 【請求項3】 表面処理である浸炭処理は、固体浸炭、
    液体浸炭、プラズマ浸炭、ガス浸炭のうちいずれか、窒
    化処理はガス窒化、イオン窒化、溶融ソルト窒化、浸硫
    窒化のいずれかであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の耐溶損性の優れた鋳造用金型または接溶湯部
    材。
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