JP3379145B2 - 自動工具交換装置を用いた工作機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、装着穴の穴径が互いに
異なる各主軸と工具マガジン間で工具交換を行えるよう
にした自動工具交換装置を用いた工作機械に関するもの
である。 【０００２】 【従来の技術】従来の自動工具交換装置を用いた工作機
械として、例えば特開昭６１─２５７７３７号公報に示
すように、小径工具を格納するサブ工具マガジンと、大
径工具とマザー工具を格納するメイン工具マガジンと、
上下並びに左右方向に移動し大径工具又はマザー工具を
着脱可能に装着する主軸と、サブ工具マガジンとメイン
工具マガジンのマザー工具間で小径工具の交換を行う小
径工具交換装置と、メイン工具マガジンと主軸間で大径
工具又はマザー工具の交換を行う主軸工具交換装置を備
えたものがある。 【０００３】前記大径工具として、カップ型フライス、
ドリル、エンドミル等があり、前記小径工具として、小
径砥石、ドリル、エンドミル等がある。前記カップ型フ
ライスは低速で回転させ、小径砥石は高速が回転させる
のが望ましい。前記主軸は転がり軸受を介して回転可能
に支承され、主軸の回転により転がり軸受が熱膨張する
関係上、転がり軸受のプリロードを低速回転或いは高速
回転に合わせて設定せざるを得ず、主軸の回転速度を広
範囲に対応させることは難しい。従って、低速回転或い
は高速回転において、十分な加工精度が得られない問題
があった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、外径を小さくして高速で回転させることが
できる高速用主軸と、外径を大きくして加工剛性を高め
た低速用主軸をそれぞれ用意し、工具マガジンと高速用
主軸間で小径工具交換装置を使って小径工具を交換し、
工具マガジンと低速用主軸間で大径工具交換装置を使っ
て大径工具を交換することが考えられる。 【０００５】しかしながら、このようなものでは、小径
工具の小径の被把持部を把持する小径工具交換装置と、
大径工具の大径の被把持部を把持する大径工具交換装置
をそれぞれ用意すると構造が複雑になり、高価になる問
題があった。 【０００６】 【課題を解決するための手段】本発明は上述した問題点
を解決するためになされたもので、小径工具が装着され
る小径工具用の高速回転主軸と、大径工具が装着される
大径工具用の低速回転主軸をそれぞれ用意し、自動工具
交換装置を小径工具用の主軸又は大径工具用の主軸と工
具交換できる位置に選択的に割り出す移送装置を設け、
小径工具用の主軸又は大径工具用の主軸と工具マガジン
間で共通の自動工具交換装置で工具交換が行えるよう
に、前記小径工具の自動工具交換装置に把持される被把
持部の外径と前記大径工具の自動工具交換装置に把持さ
れる被把持部の外径を同径にしたものである。 【０００７】 【作用】移送装置によって自動工具交換装置を小径工具
用の主軸又は大径工具用の主軸と工具交換できる位置に
割り出し、自動工具交換装置によって小径工具用の主軸
又は大径工具用の主軸と工具マガジン間で小径工具又は
大径工具の工具交換が行われる。 【０００８】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１において、１０はベッドであり、このベッド
１０の四隅には支柱１１が立設され、支柱１１の上端に
は天板１２が固定されている。天板１２の上面には工具
マガジン２０が固定され、工具マガジン２０は図２にも
示すように回転モータ２１と、この回転モータ２１によ
って鉛直面内で回転する回転板２２と、回転板２２に円
周等間隔に設けられたソケット２３ａ，２３ｂとを備え
ている。ソケット２３ａには小径の装着穴２４ａが形成
され、小径工具３０ａのプルスタッド３１ａに係合する
ボール２５ａを備えている。ボール２５ａはスプリング
２６ａによって付勢されている。同様にソケット２３ｂ
には大径の装着穴２４ｂが形成され、大径工具３０ｂの
プルスタッド３１ｂに係合するボール２５ｂを備えてい
る。ボール２５ｂはスプリング２６ｂによって付勢され
ている。 【０００９】前記小径工具３０ａは装着穴２４ａに装着
される小径でテーパ状のシャンク部３２ａと、後述する
交換アーム４１に把持される断面が凹状の被把持部３３
ａと、ワークを加工する加工部３４ａを備えている。同
様に大径工具３０ｂは装着穴２４ｂに装着される大径で
テーパ状のシャンク部３２ｂと、後述する交換アーム４
１に把持され断面が凹状の被把持部３３ｂと、ワークを
加工する加工部３４ｂを備えている。前記小径工具３０
ａの被把持部３３ａと大径工具３０ｂの被把持部３３ｂ
は後述する同一の自動工具交換装置４０によって把持さ
れるように、同一径に形成されている。 【００１０】前記天板１２の下面には自動工具交換装置
４０が取付けられ、この自動工具交換装置４０は水平軸
線回りに旋回する交換アーム４１を備え、交換アーム４
１の両端には小径工具３０ａの被把持部３３ａ又は大径
工具３０ｂの被把持部３３ｂを着脱可能に把持する把持
部４２が設けられている。各把持部４２は、図３にも示
すように被把持部３３ａ，３３ｂに係合する断面凸状で
円弧状の固定係合部４２ａと、工具３０ａ，３０ｂが抜
けないように被把持部３３ａ，３３ｂに係合する可動係
合部４２ｂとからなり、可動係合部４２ｂは被把持部３
３ａ，３３ｂに係合する方向にスプリング４２ｃによっ
て付勢されている。前記交換アーム４１は駆動源４３に
よって水平状態から９０度旋回、前進、１８０度旋回、
後退、逆方向の９０度旋回が連続して行われ、前記９０
度旋回によって可動係合部４２ｂが後退し、スプリング
４２ｃによって可動係合部４２ｂが前進することによ
り、小径工具３０ａの被把持部３３ａ又は大径工具３０
ｂの被把持部３３ｂが機械的に把持され、前記逆方向の
９０度旋回によって可動係合部４２ｂが工具によって後
退され、スプリング４２ｃによって可動係合部４２ｂが
前進することにより、小径工具３０ａの被把持部３３ａ
又は大径工具３０ｂの被把持部３３ｂの把持の解除が機
械的になされるようになっている。 【００１１】前記ベッド１０上には案内台５０が設置さ
れ、この案内台５０にテーブル５１が交換アーム４１の
旋回軸線と直交する水平方向に移動可能に案内されてい
る。前記案内台５０にはサーボモータ１５が取付けら
れ、図略のボールネジを介してテーブル５１が図１の左
右方向に移動されるようになっいる。前記サーボモータ
１５とボールネジによってテーブル５１を移動させる移
送装置が構成される。前記テーブル５１上には主軸台５
２が設置され、この主軸台５２には図４にも示すように
小径工具用の主軸５３と大径工具用の主軸５４がそれぞ
れ交換アーム４１の旋回軸線と平行な軸線回りに回転可
能に軸承されている。前記主軸５３は高速回転用であ
り、主軸外径が小さく、主軸先端に小径工具３０ａを着
脱可能に把持する小径の装着穴５３ａが形成されてい
る。又前記主軸５４は低速回転用であり、主軸外径が大
きく、主軸先端に大径工具３０ｂを着脱可能に把持する
大径の装着穴５４ａが形成されている。前記主軸５３，
５４はそれぞれ主軸台５２に内蔵されたそれぞれのビル
トインモータ５５，５６によって回転駆動されるように
なっており、また各主軸５３，５４には装着穴５３ａ，
５４ａに装着された工具３０ａ，３０ｂのプルスタッド
３１ａ，３１ｂを把持するコレットチコャック式の把持
装置５７，５８が設けられている。 【００１２】前記工具マガジン２０，自動工具交換装置
４０及びテーブル５１は数値制御装置によって動作制御
されるようになっている。次に上述した構成に基づいて
作用について説明する。数値制御装置から小径工具交換
指令が出されると、工具マガジン２０の回転板２２が回
転され、次に使用する工具が交換アーム４１によって把
持可能な位置に割り出される。また、テーブル５１が移
動され、主軸５３の小径工具３０ａを交換アーム４１に
よって把持可能な位置に割り出される。続いて、交換ア
ーム４１が９０度旋回し、一方の把持部４２で工具マガ
ジン２０の小径工具３０ａの被把持部３３ａが機械的に
把持され、他方の把持部４２で主軸５３の小径工具３０
ａの被把持部３３ａが機械的に把持される。かかる状態
で主軸５３の把持装置５７によるプルスタッド３１ａの
把持を解除して交換アーム４１を前進させる。これによ
って、次に使用する小径工具３０ａのボール２５ａによ
る把持が自動的に解除されるとともに、ソケット２３ａ
と主軸５３から小径工具３０ａが抜き出される。次に、
交換アーム４１を１８０度旋回させ、交換アーム４１を
後退させて次に使用する小径工具３０ａを主軸５３の装
着穴５３ａに装着するとともに使用済の小径工具３０ａ
をソケット２３ａの装着穴２４ａに装着する。このと
き、使用済の小径工具３０ａがボール２４ａによって自
動的に把持される。続いて、次に使用する小径工具３０
ａのプルスタッド３１ａが主軸５３の把持装置５７によ
って把持され、交換アーム４１を逆方向に９０度旋回さ
せ、交換アーム４１の把持部４２による小径工具３０ａ
の被把持部３３ａの把持を機械的に解除する。続いて、
主軸５３を回転させるとともにテーブル５１が移動して
ワークの加工が行われる。このとき、大径工具３０ｂ側
の主軸５４は遊んでおり、ワークの加工は行わない。 【００１３】大径工具３０ｂの交換も小径工具３０ａの
場合と同様になされ、この場合、数値制御装置の大径工
具交換指令によって、テーブル５１を主軸４３の大径工
具３０ｂが交換アーム４１によって把持可能な位置に割
り出す。このように、小径工具用の主軸５３と大径工具
用の主軸５４を備え、主軸回転速度に応じて小径工具用
の主軸５３と大径工具用の主軸５４を選択して使用する
ことにより、加工精度の向上が図れる。即ち、小径工具
用の主軸５３を使って小径砥石を高速回転させることに
よって、加工精度を向上させることができ、加工剛性の
高い大径工具用の主軸５４を使ってカップ型フライス等
を低速回転させることによって、加工精度を向上させる
ことができる。 【００１４】また、小径工具３０ａの被把持部３３ａと
大径工具３０ｂの被把持部３０ｂを同一径にし、共通の
自動工具交換装置４０によって把持できるようにしたの
で、構造が簡単になり、安価な工作機械を提供できる。
なお、上述した実施例は、テーブル５１を移動させ、自
動工具交換装置４０によって工具交換可能な位置に小径
工具用の主軸５３又は大径工具用の主軸５４を割り出す
例について述べたが、工具マガジン２０と自動工具交換
装置４０を移動させ、自動工具交換装置４０を主軸５３
の小径工具３０ａ又は主軸５４の大径工具３０ｂと工具
交換可能な位置に割り出しても良い。また、小径工具用
の工具マガジンを小径工具用の主軸５３に対応する位置
に設け、大径工具用の工具マガジンを大径工具用の主軸
５４に対応する位置に設け、自動工具交換装置４０を小
径工具用の工具マガジン並びに小径工具用の主軸５３又
は大径工具用の工具マガジン並びに大径工具用の主軸５
４と工具交換可能な位置を割り出すようにしても良い。 【００１５】以上説明したように本発明によれば、小径
工具の被把持部と大径工具の被把持部を同一径にしたこ
とにより、共通の自動工具交換装置によって高速回転用
の小径工具の被把持部と低速回転用の大径工具の被把持
部を把持することができる。よって、構造が簡単にな
り、安価な工作機械を提供できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明に係る自動工具交換装置を用いた工作機
械の正面図。 【図２】図１におけるＡ矢視断面図。 【図３】交換アームの一部断面図。 【図４】図１におけるＢ−Ｂ断面図。 【符号の説明】 １０ ベッド １５ サーボモータ（移送装置） ２０ 工具マガジン ３０ａ 小径工具 ３０ｂ 大径工具 ３２ａ シャンク部 ３２ｂ シャンク部 ３３ａ 被把持部 ３３ｂ 被把持部 ４０ 自動工具交換装置 ５１ テーブル ５２ 主軸台 ５３ 主軸 ５３ａ 装着穴 ５４ 主軸 ５４ａ 装着穴

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】回転する主軸を備え、主軸の先端に工具が
   着脱可能に装着される装着穴を形成した主軸台と、複数
   の工具を格納する工具マガジンと、主軸と工具マガジン
   間で工具交換を行う自動工具交換装置とを備えた自動工
   具交換装置を用いた工作機械において、小径工具の小径
   のシャンク部が装着される装着穴を有する小径工具用の
   高速回転主軸と、大径工具の大径のシャンク部が装着さ
   れる装着穴を有する大径工具用の低速回転主軸をそれぞ
   れ設け、前記自動工具交換装置を小径工具用の主軸又は
   大径工具用の主軸と工具交換できる位置に選択的に割り
   出す移送装置を設け、前記小径工具の自動工具交換装置
   に把持される被把持部の外径と前記大径工具の自動工具
   交換装置に把持される被把持部の外径を同径にしたこと
   を特徴とする自動工具交換装置を用いた工作機械。