JP3370105B2 - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

積層フィルムの製造方法

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JP3370105B2 JP16284692A JP16284692A JP3370105B2 JP 3370105 B2 JP3370105 B2 JP 3370105B2 JP 16284692 A JP16284692 A JP 16284692A JP 16284692 A JP16284692 A JP 16284692A JP 3370105 B2 JP3370105 B2 JP 3370105B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、積層ポリエステルフィ
ルムの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エステルフィルムは、物理的、化学的特性に優れ、産業
用基材として広く用いられている。就中、二軸配向ポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルムは、特に機
械的強度、寸法安定性、平面性等に優れることから、磁
気記録媒体用ベースフィルム、感熱転写基材用、コンデ
ンサ用、電気絶縁体用、フレキシブルプリント基板用、
製版用、包装用、ラベル用、等の用途で今や必要不可欠
なものになっている。 【0003】かかる多種の用途においてその要求に合わ
せてフィルム品質の設計がなされているが、いずれの用
途においてもフィルム価格の低下の要求が近年特に強く
なってきた。このような状況下、ポリエステルフィルム
の製造に当たり、フィルム品質を少なくとも低下させず
にコスト低減を図ることが求められている。特に磁気記
録媒体用基材として用いる場合には、フィルムに粒径や
含有量が特定された微粒子を含有させて、その表面粗
度,滑り性等を好適な範囲に調節している。それに加
え、磁気記録媒体とした際の電磁変換特性やドロップア
ウト等の特性を悪化させないようにするため、表面に粗
大突起を形成させるような大きな粒子や異物をフィルム
に存在させないことが重要である。かかる高度なフィル
ム品質を維持することは困難であった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑みて鋭意検討した結果、ポリエステル製造、フィル
ム製造を連続的に行うことにより、高度なフィルム品質
を有する積層フィルムが得られることを見いだし、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、エ
ステル化反応、重合反応を連続的に行って得られたポリ
エステルをチップ化することなく、少なくとも一つのフ
ィルム製造工程に直接移送し、共押出積層成形する製造
方法であって、前記フィルム製造工程が少なくとも一つ
の混練押出機を有することを特徴とする積層フィルムの
製造方法に存する。 【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうポリエステルとは、テレフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸と、エチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールのような脂肪族グリコールと
を重縮合させて得られるポリマーである。かかるポリマ
ーの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)やポリエチレン2,6−ナフタレート(P
EN)等が例示される。また、これらのポリマーはホモ
ポリマーのほかに第三成分あるいはいくつかの成分を含
有した共重合体であっても構わない。この場合、ジカル
ボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、およびオキシカルボン酸成分として例えばp
−オキシ安息香酸、グリコール成分として例えばエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等が挙げられる。 【0006】本発明で用いるポリエステルの極限粘度
は、通常0.45〜1.0である。0.45未満では、
フィルム製造時の破断等のトラブルが生じやすくなる傾
向があり、生産性が低下したり、フィルムの機械的強度
が低下することがある。一方、1.0を超える場合は、
ポリエステル製造時の生産性が低下することがある。本
発明の特徴は、連続重合で製造されたポリエステルを直
接フィルム製造装置に導き、積層フィルムを製造するこ
とにある。 【0007】まず、ポリエステルの連続重合方法につい
ては公知の方法が採用できる。例えば、複数の反応槽を
直列につなぎ、重合の原料および重合触媒、助剤、添加
剤、微粒子等を最初の段階あるいは任意の段階で添加
し、反応槽の温度、圧力および反応物の移動速度等を調
節して所定の極限粘度、添加物量のポリエステルを得る
方法、あるいは1つ以上の横型反応槽で温度や圧力を調
節する方法また複数の反応槽と1つ以上の横型反応槽と
を組み合わせる方法等が挙げられる。 【0008】得られたポリエステルをチップ化すること
なく、フィルム製造装置に直接導いてフィルムを製造す
るが、本発明においてはフィルム製造装置が少なくとも
一つの混練機を有する必要がある。ここでいう混練機と
は、ポリマーに微粒子粉末および/または微粒子を含有
するポリマーを注入混練できるものである。かかる混練
機としては1軸または2軸の熱可塑性樹脂の混練押出機
が好ましく、混練押出工程の1か所以上で微粒子粉末や
微粒子を含有するポリマーを連続的かつ定量的に添加あ
るいは注入できるものが好ましい。 【0009】具体的には例えば粒子粉末やポリマーを混
練押出機の1か所以上で公知の定量フィーダーを用いて
添加する方法等を用いる。混練押出機には、連続重合に
よって得られたポリエステルの一部を導入し、微粒子粉
末を添加混練して積層フィルムの原料とすることが、コ
スト低減等の点から最も好ましい。また、微粒子を含有
するポリマーを微粒子粉末と共にあるいは微粒子粉末な
しに添加する方法や、連続重合で得られたポリマーを導
入せずに、あらかじめ微粒子を含有させたポリマーのみ
を混練押出機にて溶融押出して、積層フィルムの原料と
することもできる。 【0010】また該混練押出機の1か所以上にベント口
を設け、減圧または真空にする方法も好ましく採用され
る。この方法により、ポリエステルの極限粘度の低下を
抑制することができ、微粒子を水や有機溶媒のスラリー
として添加することや、微粒子を含有するポリマーを乾
燥工程なしで使用可能とすること、あるいはポリエステ
ル中のオリゴマーを低減することが可能となり好まし
い。ポリマーを導く部分は、温度調節された導管であっ
てもよく、スクリューを有する押出機であってもよい。 【0011】上記混練押出機等により調整した、微粒子
を含有するポリエステル(A層)と、連続重合にて得ら
れたポリエステル(B層)とを原料として、通常、積層
フィルムを製造する。すなわち、それぞれのポリエステ
ルを溶融した状態でフィードブロックあるいはマルチマ
ニホールドダイ等、周知の共押出積層装置を用いて2層
または3層以上の積層フィルムを製造する。以下、上記
A層およびB層の積層フィルムを本発明の一例として説
明する。 【0012】積層フィルムのそれぞれの層厚みは、通常
ギヤポンプによるポリマー吐出量にて調節する。また、
それぞれのポリマーは、積層する前の段階でフィルター
にて濾過を行うことがフィルム品質の点で好ましい。こ
の際、使用するフィルターとしては、ステンレス鋼細線
による不織布型フィルター、焼結金属、ガラスファイバ
ー等が挙げられる。また、その目開きは、60μm以
下、さらには40μm以下、特に20μm以下が望まし
い。磁気記録媒体ベースフィルム用として製造する場合
は、フィルム表面の粗大突起発生を防止するため、フィ
ルム最外層となるポリマーのフィルター目開きは好まし
くは20μm以下、さらには10μm以下であることが
望ましい。 【0013】本発明で用いることのできる微粒子の例と
しては、カオリン、タルク、二酸化チタン、二酸化ケイ
素、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニ
ウム、ゼオライト、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カ
ーボンブラック、あるいは特公昭59−5216号公
報、特開昭59−217755号公報に記載されている
ような高分子粒子等を挙げることができる。 【0014】本発明においては、フィルム製造工程での
フィルム表面キズ発生防止、走行性巻上げ性の向上、あ
るいは該フィルムを加工する際の作業性、生産性向上お
よびフィルムを加工後の製品の品質向上等の目的で通
常、上記微粒子を用いる。フィルムの各用途によって添
加すべき微粒子の好適な粒径、添加量の範囲は異なる
が、通常、微粒子の平均粒径は0.01〜5.0μm、
好ましくは0.1〜3.0μmであり、添加量は粒子を
含有するポリマーに対して好ましくは0.005〜20
重量%、さらに好ましくは0.01〜15重量%、特に
好ましくは0.05〜10重量%である。特に磁気記録
媒体ベースフィルム用である場合は、平均粒径は好まし
くは0.05〜1.0μm、さらに好ましくは0.1〜
0.7μmであり、添加量は0.05〜10重量%が好
ましい。平均粒径が0.01μm未満あるいは添加量が
0.005重量%未満の場合は、走行性や巻き特性等の
向上効果が不足する傾向があり、また5.0μmを超え
る場合は、フィルム表面の粗面化が大きく品質低下が著
しくなる。また粒子添加量が20重量%を超えると粒子
のポリマー中での分散が均一でなくなり、凝集粒子が発
生してフィルム品質を低下させたり、フィルターの目詰
まりを起こして生産性を悪化させたりすることがある。 【0015】微粒子は1種類を配合してもよいし2種類
以上を同時に含有させても構わない。特に磁気記録媒体
用においては、粒子の平均粒径が1.0μmを超えた
り、添加量が10重量%を超える場合には電磁変換特性
が悪化することがある。また、特にメタルパウダー型等
の高密度磁気記録媒体用においては、表面に形成される
突起の高さ、広がりの均一性が高度に要求されるため、
含有させる粒子についても粒度分布がシャープであるこ
とが必要である。具体的には、以下に示す粒度分布値が
1.90以下、さらに1.60以下特に1.50以下で
あることが好ましい。 【0016】粒度分布値=d25/d75 (式中、d25/d75は粒子群の粒径分布における等価球
形分布における積算(重量基準)を大粒子側から行い2
5%、75%に相当する粒径(μm)を示す) 粒度分布値が1.90を超える場合は大きな粒子も混在
してしまうため、大突起を形成しやすく、高度な電磁変
更特性は得られなくなる。 【0017】粒度分布値が小さい、すなわち粒度分布が
シャープな粒子を得るためには、粒子の粉砕、分級工程
において、特に分級条件を強化または最適化する等の方
法、あるいは合成法で微粒子を製造することにより粒径
分布がシャープなものまたは単分散のものを得る等の方
法が挙げられる。単分散の粒子の例としては、単分散球
状シリカ粒子、単分散球状架橋高分子粒子、単分散炭酸
カルシウム粒子等が挙げられる。 【0018】フィルム厚み構成については、含有する微
粒子の粒径等により好適な範囲は異なるが、生産性の点
から粒子を含有する層(例えば上述のA層)を厚くする
ことは好ましくなく、通常0.1〜20μm、好ましく
は0.5〜10μmの範囲とする。特に磁気記録媒体ベ
ースフィルム用とするときは、A層厚みは通常0.1〜
5μm好ましくは0.3〜3μmとする。 【0019】一方、B層原料については、通常、微粒子
等を含有しないクリアなポリエステルとして製造される
が、必要に応じて重合工程の任意の段階で微粒子を添加
することも可能である。微粒子の例としてはA層の場合
と同様のものが挙げられる。ただし添加量としては1重
量%以下が好ましい。この場合には、いわゆる析出粒子
も使用することができる。ここでいう析出粒子とは、例
えば触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属化
合物を用いて重合することにより、反応系内に析出する
ものを指す。また、重合反応時にテレフタル酸を添加す
ることにより析出させてもよい。これらの場合、リン
酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ
ブチル、酸性リン酸エチル、亜リン酸、亜リン酸トリメ
チル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル等のリ
ン化合物の一種以上を存在させておいてもよい。 【0020】いずれにしても本発明でいうポリエステル
生成反応中に生成する微細な析出化合物にはカルシウ
ム、リチウム、アンチモン、リン等の元素が一種以上含
まれている。B層中に微粒子を含有させることにより、
フィルム製造工程や加工工程でフィルム表面の傷の発生
を防止する等の効果が得られる。 【0021】特に磁気記録媒体ベースフィルム用として
使用する場合、フィルムの耐擦傷性を高度に改良するた
めに、A層、またはA、B両層に酸化アルミニウムを含
有させることが好ましい。かかる目的で使用される酸化
アルミニウム粒子としては、平均粒径0.5μm以下、
好ましくは0.1μm以下のデルタ型もしくはガンマ型
の酸化アルミニウム粒子、特にデルタ型のそれが好まし
く用いられる。これらの粒子の製造法としては、例えば
熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料として
火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明ばん
熱分解法すなわち水酸化アルミニウムを出発原料とし、
硫酸と反応させて硫酸アルミとした後、硫酸アンモニウ
ムと反応させアンモニウム明ばんとして焼成する方法等
を挙げることができる。 【0022】これらの方法により得られる酸化アルミニ
ウムの一次粒径は通常5〜40nmの範囲にあるが、し
ばしば0.5μmを超える凝集体を成形しているので、
適度に解砕して使用することが望ましい。この場合、多
少凝集した二次粒子となっていてもよいが、見かけ上の
平均粒径は0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下
とするのが良い。 【0023】次に本発明のフィルムの製造方法について
述べる。A層およびB層の原料をそれぞれ溶融した状態
でフィードブロックあるいはマルチマニホールドダイ等
で積層し、口金から2または3層の溶融シートを押出
し、冷却ロールで冷却固化して未延伸フィルムを得る方
法が良い。この場合、シートの平面性を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要が
あり、本発明においては静電印加密着法および/または
液体塗布密着法が好ましく採用される。 【0024】静電印加密着法とは、通常、シートの上面
側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張り、該
電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することにより
シートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向上させる
方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ドラ
ム表面の全体または一部(例えばシート両端部と接触す
る部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、ドラ
ムとシートとの密着性を向上させる方法である。本発明
においては、必要に応じ両者を併用してもよい。 【0025】得られた未延伸フィルムを、通常、少なく
とも一軸方向に延伸するが、機械的強度、寸法安定性等
の点から、二軸方向に延伸して二軸に配向させることが
好ましい。二軸延伸に関する延伸条件について具体的に
述べると、前記未延伸シートを、好ましくは70〜15
0℃、さらに好ましくは80〜130℃の温度範囲で、
まず一方向にロールもしくはテンター方式の延伸機によ
り3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延伸する。
次に一段目と直交する方向に好ましくは70〜125
℃、さらに好ましくは80〜115℃の温度範囲で3.
0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延伸を行い、17
0〜250℃の温度で定長下、または30%以内の制限
収縮あるいは伸長下で熱処理を行い。二軸配向フィルム
を得る。 【0026】一方向の延伸を2段階以上で行う方法も用
いることができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上
記した範囲に入ることが望ましい。また、前記未延伸シ
ートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延
伸することも可能である。また、必要に応じて、熱処理
を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸
してもよい。 【0027】本発明においては、フィルム製造装置を、
1つの連続重合装置に対し、2系列以上設けることが望
ましい。連続重合装置は、通常スケールメリットを生か
すため、生産量が大きく、数10トン/日あるいはそれ
以上に達する。ポリマーの極限粘度や色目等の品質を安
定化させるためには、生産速度を一定に保つことが好ま
しい。しかしながら、フィルム製造においては、ポリマ
ー吐出量や製造ラインスピードを変更してフィルム厚み
等の制御を行うため、ポリマー消費量を常に一定とする
ことは難しい。また、特に厚み10μm程度以下の薄い
フィルムを製造する場合は、ポリマー消費量が少なく、
連続重合法で製造したポリマーを効率良く消費すること
は困難となってしまう。従って、本発明においては、か
かる問題点を解消すべく、1つの連続重合装置に対し、
2系列以上のフィルム製造装置を設けることが好まし
い。また、そのとき、混練機やポリマー吐出量、製膜設
備等の点で25μm程度以下の薄いフィルムを製造する
系列と、400μm程度の厚いフィルムを製造できる系
列とを同時に設けることが生産性の点からさらに好まし
い。 【0028】本発明においては、フィルム製造時に発生
するフィルム耳部等のスクラップ部分を再生原料として
利用するための溶融押出し装置も同時に設置することが
好ましい。かかる再生ポリマーは、積層フィルムのう
ち、B層に含有させることが好ましく、また、再生ポリ
マーのみでC層として形成させてもよい。いずれにして
も、再生ポリマーをA層に混合しないことがフィルム品
質を高度に保つために望ましい。 【0029】本発明においては、フィルム製造装置以外
にポリエステルをチップ状にカットする装置を設けるこ
とが好ましい。フィルム製造においては、製膜条件の変
更やポリマーフィルターの交換、あるいはフィルム破断
等のトラブル時も含め、ラインの速度を大きく低下させ
たり、停止することがしばしばある。そのような場合で
も、本発明の装置においてはポリマーの製造が継続され
るため、余剰となるポリマーの効率的な処理が必要であ
る。フィルム製造系列を複数有していても、安定生産中
に原料ポリマー消費量を変更することは難しく、生産性
の点から好ましくない。そこでポリエステルをチップ状
にカットする装置を設ける方法を採用することが望まし
い。かかる装置は、ポリマーの吐出量を変更してもカッ
ターの速度調節が簡単にでき、生産性の点で好ましい。
また、かかるチップカット装置は、その能力にもよる
が、通常2系列以上並列して設けることにより、吐出量
の変更範囲を大きくすることができる。 【0030】またかかるチップ製造系列についても、溶
融ポリマーの流路と並列して混練機を設け、ポリマーの
一部、又は全部を該混練機に通し、先に例示したような
微粒子を添加、混練分散し、微粒子含有ポリマーチップ
を製造することも好ましい。 【0031】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用い
た物性測定法を以下に示すとおりである。また、実施例
中、「部」および「%」とあるのは各々「重量部」およ
び「重量%」を意味する。 【0032】(1)極限粘度(〔η〕) ポリマー1gをフェノール/テトラクロルエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30
℃で測定した。 【0033】(2)微粒子の平均粒径(d50)および粒
径分布値(d25/d75)(株)島津製作所社製遠心沈降
式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークス
の抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定し
た。測定された粒子の等価球形分布における積算(重量
基準)50%の値を用いて平均粒径(d50)とした。ま
た同時に大粒子側から積算して25%、75%に相当す
る粒径をそれぞれd25,d75とし、粒度分布値(d25
75)を求めた。 【0034】(3)フィルム積層厚み 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−900を用いて断面
の顕微鏡写真を撮影し、粒子を含有するA層の厚みを測
定した。ただし、加速電圧は300kV、倍率はA層厚
みに応じ、1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測
定は50点行い、測定値の厚い方から10点、薄い方か
ら10点を削除して30点を平均して測定値とした。B
層あるいはフィルム全体の厚みについてもTEMにより
行ったが、厚みが25μmを超える場合には、通常のマ
イクロメータを使用した。 【0035】実施例1 ポリエチレンテレフタレート40〔トン/日〕を生産可
能な連続重合装置を用いた。すなわち、3槽よりなるエ
ステル化反応槽を直列に設置し、第1槽にあらかじめ重
合度2〜3の反応液を滞留させておき、テレフタル酸と
エチレングリコールを混合したスラリーを連続的に供給
し、エステル化反応を行った。移送ポンプにて反応生成
物を第2槽、第3槽へと移送し、さらに反応を進行さ
せ、プレポリマーを得た。プレポリマーを引き続き横型
重合槽にて高真空度下で重縮合反応を行い、極限粘度
0.640のポリエチレンテレフタレートを連続的に製
造した。得られたポリマーは透明性に優れ、ポリマー品
質も良好で、フィルム製造用として十分使用できるもの
であった。得られたポリマーを分配器により、フィルム
製造装置(I)フィルム製造装置(II)およびチップカ
ッターのラインへそれぞれ供給した。 【0036】(i)フィルム製造装置(I)ライン 供給されたポリマーを分配器により、混練機側へ13%
のポリマーを、ギヤポンプ側へ87%のポリマーを流し
た。流量は、ギヤポンプにて調節した。混練機におい
て、平均粒径0.3μm、粒度分布値1.5の合成炭酸
カルシウム粒子をポリマーに対し0.8%添加した。得
られた粒子含有ポリマーを、目開き10μmのステンレ
ス製不織布型フィルターを通しA層原料とした。一方、
ギヤポンプおよび目開き20μmのステンレス製不織布
型フィルターを通した原料をB層原料とした。 【0037】これらのポリマーをフィードブロックにて
合流積層し、静電印加密着法を用いて、表面温度を40
℃に設定した冷却ロール上で冷却固化し、A/B/Aの
層構成を有する積層未延伸シートを得た。次いで、得ら
れたシートを縦方向に85℃にて3.7倍延伸し、引き
続きテンターに導いて横方向に100℃で3.6倍延伸
し、更に、縦方向に1.13倍延伸した後、225℃に
て熱処理を行い、厚さ15μmの二軸配向積層フィルム
を得た。A/B/A層の厚みはそれぞれ1/13/1μ
mであった。 【0038】(ii)フィルム製造装置(II)ライン 供給されたポリマーを分配器により2つの混練機側へ
8:92の重量比で分配した。一方の混練機において、
平均粒径1.3μmのシリカ粒子をポリマーに対し0.
1%添加した後、目開き20μmのステンレス製不織布
型フィルターを通し、A層原料とした。もう一方の混練
機においては、本装置で同条件でフィルムを製造した際
の耳部等のスクラップより得られた自己再生原料を、そ
の割合がB層原料のうち37%となるように配合、混練
し、目開き20μmのフィルターを通してB層原料とし
た。 【0039】これらのポリマーをフィードブロックにて
合流積層し、フィルム製造装置(I)ラインと同様にし
てA/B/A積層未延伸シートを得た。次いで、得られ
たシートを縦方向に85℃で3.6倍に延伸し、引き続
き、テンターにて横方向に120℃にて4.0倍延伸し
た。次いで幅方向に10%の弛緩率で弛緩処理を行いな
がら、240℃にて熱固定を行った。得られたフィルム
の厚みは75μm、A/B/A層の厚みはそれぞれ2/
71/2μmであった。 【0040】(iii)チップカッター(C1 ) 供給されたポリマーを分配器にて分配し、混練機にて平
均粒径0.3μmの酸化チタン粒子を配合して得られた
粒子配合ポリマーと前記分配器から供給されたポリマー
とをサモジナイザーで混合し、酸化チタン含有量15%
のポリマーチップを製造した。 【0041】(iv) チップカッター(C2 ) 連続重合後の透明なポリマーをそのままチップ化原料と
して得た。フィルム製造装置(I)にて得られたフィル
ムは、高度の滑り走行性と、平坦性を有し、高密度磁気
記録媒体ベースフィルム用として好適であった。またフ
ィルム製造装置(II)にて得られたフィルムは、高度の
透明性と滑り性を同時に満足し、透明導電膜、製版用等
として好適であった。 【0042】また、それぞれのフィルム製造ラインにお
いて、厚み調整やフィルター交換作業等でポリマー消費
量が変化した場合でも、チップカッターC2 およびC1
(主としてC2 )におけるチップ原料製造量を調節する
ことにより、簡単に対処でき、連続重合装置でのポリマ
ー製造量を安定にして、ポリマー品質も一定に保つこと
が可能であった。 【0043】実施例2 実施例1においてフィルム製造装置(II)のラインで、
混練機にて配合する粒子を、平均粒径0.3μm、粒度
分布値1.4のスチレン、ジビニルベンゼンを主成分と
する単分散球状架橋高分子粒子、添加量を1.0%と
し、厚みをA/B層それぞれ1/6μmとして2層フィ
ルムを製造した。得られたフィルムは、A層に高さが均
一で小さく、多数の突起が形成され、高度な滑り性を有
し、B層が極めて平坦な、表裏異なる表面を有する高密
度磁気記録用フィルムとして好適なものであった。 【0044】 【発明の効果】本発明によれば、高品質のポリエステル
フィルムを生産性良く安価に製造することが可能であ
り、その用途としては、磁気記録媒体を始め、電気絶縁
体用、コンデンサ誘電体用、フレキシブルプリント基板
用、製版用、ラベル用、包装用、マットフィルム、感熱
孔版印刷原紙用、電子写真用、等が挙げられ、本発明の
工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の概略説明図。 【符号の説明】 1 エステル化反応槽 2 連続重合反応槽 3 チップカッター 4 混練押出機 5 混練押出機 6 積層ダイ 7 フィルム製造装置 8 分配器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/00 - 47/96 B32B 1/00 - 35/00 C08J 5/00 - 5/02 C08J 5/12 - 5/22 106 B29B 7/00 - 11/14 B29B 13/00 - 15/06 B29C 31/00 - 31/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 エステル化反応、重合反応を連続的に行
    って得られたポリエステルをチップ化することなく、少
    なくとも一つのフィルム製造工程に直接移送し、共押出
    積層成形する製造方法であって、前記フィルム製造工程
    が少なくとも一つの混練押出機を有することを特徴とす
    る積層フィルムの製造方法。
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