JP3367488B2 - 磁気抵抗効果センサ、薄膜磁気ヘッド及び該薄膜磁気ヘッドを備えた薄膜ウエハ - Google Patents

磁気抵抗効果センサ、薄膜磁気ヘッド及び該薄膜磁気ヘッドを備えた薄膜ウエハ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピンバルブ(S
V)等の巨大磁気抵抗効果(GMR)又はトンネル磁気
抵抗効果(TMR)を利用しており種々の磁気検出に用
いられる磁気抵抗効果(MR)センサ、例えばハードデ
ィスク装置(HDD)等の磁気記録再生装置用の薄膜磁
気ヘッド及びこの薄膜磁気ヘッドを複数備えた薄膜ウエ
ハに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の磁気記録における記録密度の伸び
は目覚しく、年率100%の割合で記録密度が高まって
いる。この記録密度の上昇を支えているのが、薄膜磁気
ヘッドの高効率化である。異方性磁気抵抗効果(AM
R)を利用した薄膜磁気ヘッドの場合には、MR変化率
がたかだか約2%であった。これに対して、高感度及び
高出力のGMRセンサの1つであるSVを利用したSV
MRセンサを備えた薄膜磁気ヘッド(SVMRヘッド)
の場合には、MR変化率が6〜8%となり、約3倍に増
加している。
【0003】SV構造は、2つの強磁性体層を非磁性金
属層で磁気的に分離してサンドイッチ構造とし、その一
方の強磁性体層に反強磁性体層を積層することによって
その界面で生じる交換バイアス磁界をこの一方の強磁性
体層(ピンド(pinned)層)に印加するようにし
たものである。交換バイアス磁界を受けるピンド層と受
けない他方の強磁性体層(フリー(free)層)とで
は磁化反転する磁界が異なるので、非磁性金属層を挟む
これら2つの強磁性体層の磁化の向きが平行、反平行と
変化し、これにより電気抵抗率が大きく変化するのでG
MRが得られる。
【0004】SVMRヘッドの出力特性等は、非磁性金
属層を挟むこれら2つの強磁性体層(ピンド層及びフリ
ー層)の磁化のなす角度によって定まる。フリー層の磁
化方向は磁気記録媒体からの漏洩磁界の方向に容易に向
く。一方、ピンド層の磁化方向は反強磁性体層との交換
結合により一方向(ピンニングされる方向、ピンド方
向)に制御される。
【0005】SVMRヘッド動作時において、フリー層
は、磁壁の移動がない状態で磁化変化する必要がある。
これは、磁壁移動を伴う磁化変化は、磁壁移動を伴わな
い磁化変化に比べて応答が遅く、不可逆であることから
バルクハウゼンノイズと呼ばれるノイズ成分となってし
まうからである。このため、例えばハードマグネット等
を磁気多層膜の両端に配置し、フリー層にバイアス磁界
(縦バイアス磁界)を印加し、磁壁移動を抑制すること
が一般的に行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】SVMRヘッドにおい
て、ピンド層の磁化方向が外部磁界の影響を受けて動く
とすれば、フリー層の磁化方向も影響を受けその出力が
変化してしまう。実際、SVMRセンサ素子とインダク
ティブ書き込み素子とを有する複合型薄膜磁気ヘッドで
は、書き込み後の出力が2つの値をとる2値(2ステー
ト)現象を起こし易いが、これはピンド層の磁化方向が
書き込み時の磁界により動いてしまうために起こると推
察される。
【0007】一方、フリー層の磁化の向きが磁気記録媒
体表面と完全に平行ではなく磁気記録媒体方向へ傾いて
いるため、SVMRヘッドをオフトラックさせた場合に
得られるアシメトリ特性は、負側に大きくずれた特性と
なっている。この傾向は、特に、トラックエッジ部分で
大きい。アシメトリ特性が負側に大きくずれると、磁気
記録媒体上にあらかじめ記録されているサーボ信号によ
ってSVMRヘッドをトラック中心に位置制御するため
のサーボ制御に大きな問題が生じる。
【0008】従って本発明の目的は、2ステート現象等
の出力不安定性を解消することのできるMRセンサ、薄
膜磁気ヘッド及びこの薄膜磁気ヘッドを複数備えた薄膜
ウエハを提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、アシメトリ特性を向
上させることができるMRセンサ、薄膜磁気ヘッド及び
この薄膜磁気ヘッドを複数備えた薄膜ウエハを提供する
ことにある。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性層、非
磁性層を挟んで積層された第1及び第2の強磁性層(フ
リー層及びピンド層)、並びに第2の強磁性層の非磁性
層とは反対側の面に積層された反強磁性層を含むMR積
層構造体と、MR積層構造体の感磁面又は浮上面(AB
S)に平行な方向の両方の縁端面にそれぞれ接して設け
られておりこのMR積層構造体に縦バイアス磁界を印加
する縦バイアス手段とを備えたMRセンサ、薄膜磁気ヘ
ッド及びこの薄膜磁気ヘッドを複数備えた薄膜ウエハに
関する。特に本発明では、MR積層構造体の形状を、そ
の両方の縁端面が感磁面又はABSに垂直な方向に対し
て互いに同一の方向に傾斜するように構成している。
【0015】GMR、TMR等のMR積層構造体の感磁
面又はABSと平行な方向の両方の縁端面が感磁面又は
ABSに垂直な方向に対して互いに同一の方向に傾斜し
ている。換言すれば、MR積層構造体と縦バイアス手段
との境界面が、感磁面又はABSに垂直ではなく、縦バ
イアス手段の存在する方向(磁気ヘッドの場合にトラッ
ク幅方向)に傾いて形成されている。
【0016】このように、MR積層構造体の縁端面を傾
けることにより、ピンド層の縁端面が傾くのでその形状
異方性と、ピンド層の膜自体の異方性とが角度をなして
いるため、ピンド層に外部磁界が印加されてもその磁化
方向が元に戻り易くなる。その結果、書き込み磁界等の
外部磁界により生じる2ステート現象等の出力不安定性
が解消される。
【0017】さらに、MR積層構造体の縁端面を傾ける
ことにより、磁気記録媒体方向へ傾いていたフリー層の
磁化の向きが補正され、アシメトリ特性の中心からのず
れが小さくなる。その結果、サーボ制御特性が大幅に向
上する。
【0018】なお、特開平8−18120号公報には、
MR素子の形状をその両端が傾斜した形状とすることが
開示されているが、この従来技術は、バイアス磁界を印
加することなくMR素子の単磁区化を図るためのもので
あり、本発明とは、その目的及び構造が、さらには作用
効果も全く異なるものである。
【0019】また、特開平8−235534号公報に
は、AMRを利用した薄膜磁気ヘッドにおいて、MR膜
の磁化がABSに対して斜めに45°の方向を向いてい
ることによってオフトラック時の感度分布が左右非対称
となってしまう問題を解決する技術として、MR膜の一
方の外縁を下縁に対して鈍角をなすように傾斜させるこ
とが開示されている。AMRヘッドの場合、MR素子を
通過する磁気媒体からの磁束がMR膜の上述の磁化方向
に対して垂直となるため、MR素子の左右で感度が異な
ることを防止するためにMR膜をこのように構成してい
るのである。
【0020】周知のように、GMR、TMRヘッドの動
作原理、さらには素子自身の磁化状態は、AMRヘッド
のそれらとは全く異なる。特に、本発明におけるGM
R、TMR等のMR積層構造体では、フリー層の磁化方
向がABSにほぼ平行であり、AMRヘッドのごとき感
度分布が左右非対称となる問題は全く生じないのであ
る。本発明では、特にピンド層の磁気的安定化のため
に、このピンド層の磁化方向をその磁化容易軸に対して
傾斜するように構成しているのである。従って、この従
来技術には、本発明の思想、目的も作用効果も何等開示
されていない。
【0021】特開平10−105929号公報には、G
MR効果にAMR効果を加算するべくGMRヘッドのリ
ード導体の形状を45°傾ける技術が開示されている。
しかしながら、この従来技術は、リード導体のみを傾斜
させるものであり、本発明とは、その目的及び構造も、
さらには作用効果も全く異なるものである。
【0022】両方の縁端面が、感磁面又はABSに垂直
な方向に対して縦バイアス磁界の進む方向とは逆方向又
は同じ方向に傾斜していることが好ましい。
【0023】また、両方の縁端面が、感磁面又はABS
に垂直な方向に対して傾斜する角度は、0°より大きけ
れば本発明の出力安定性の効果は多少なりとも生じる。
実際には、この角度は5°以上の値が選ばれる。また、
この角度があまり大きくなると、出力が低下するため、
60°以下とすることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態とし
て、薄膜磁気ヘッドのSVMRセンサをABS側から見
た概略図であり、図2はそのSVMR積層構造体及び縦
バイアス磁界を発生する磁石層の基本構造を示す斜視図
である。
【0025】図1において、10は下部シールド層、1
1は下部シールド層10上に積層された下部シールドギ
ャップ層、12は下部シールドギャップ層11上に形成
されたSVMR積層構造体、13及び14はSVMR積
層構造体12のABSに平行な方向の両端に接して形成
されており、このSVMR積層構造体12に単磁区化制
御のための縦バイアス磁界を印加する永久磁石層、15
はSVMR積層構造体12並びに永久磁石層13及び1
4上に形成された上部シールドギャップ層、16は上部
シールドギャップ層15上に積層された上部シールド層
をそれぞれ示している。
【0026】SVMR積層構造体12は、図2に示すよ
うに、2つの強磁性層120及び122と、これらを磁
気的に分離してサンドイッチ構造とする非磁性金属層1
21とを備えている。強磁性層122上には反強磁性層
123が積層されており、その界面で生じる交換バイア
ス磁界がこの強磁性層(ピンド層)122に印加されて
ピンニングされる。強磁性層120は交換バイアス磁界
が印加されないフリー層である。なお、図2において、
17はABS、18及び19はSVMR積層構造体12
と永久磁石層13及び14との境界面をそれぞれ示して
いる。
【0027】図2から明らかのように、SVMR積層構
造体12と永久磁石層13及び14との境界面18及び
19は、ABS17に垂直な方向20に対して角度θだ
け傾斜している。即ち、SVMR積層構造体12のトラ
ック幅方向の縁端面は、ABS17に垂直ではなく、ト
ラック幅方向に角度θだけ傾いて形成されている。本実
施形態では、特に、境界面18及び19が、ABS17
に垂直な方向20に対して縦バイアス磁界の進む方向2
1とは逆方向に角度θだけ傾斜している。角度θは、0
°より大きければ出力安定性の効果は多少なりとも生じ
るが、実際には、好ましくは2°以上、より好ましくは
5°以上であり、また、60°以下であることが望まし
い。
【0028】図3は従来のSVMRセンサについて実験
的に求めた、書き込みサイクルに対するピーク出力電圧
特性を示す図であり、図4〜図6は本実施形態のSVM
Rセンサについて実験的に求めた、書き込みサイクルに
対するピーク出力電圧特性を示す図であり、図7は図4
〜図6の結果も含めた傾斜角度θに対する出力安定性C
OV特性を示す図である。これら実験における書き込み
は、各回の書き込みサイクルの最終ビットの極性を正、
負に交互に変化させて行っている。ただし、図4の実験
データはθ=5°の場合、図5の実験データはθ=15
°の場合、図6の実験データはθ=60°の場合であ
る。
【0029】ここで、出力安定性COV(%)は、書き
込み等の他の動作を間に挟んで出力測定を100回行
い、その平均値をmean、その標準偏差をσとした場
合に、COV=σ/mean×100で与えられる。C
OVが小さいほどヘッドが安定していることを示してい
る。
【0030】従来のSVMRセンサとインダクティブ書
き込み素子とを有する複合型薄膜磁気ヘッドでは、ピン
ド層の磁化方向が書き込み磁界の影響を受けて動いてし
まい、フリー層の磁化方向もその影響を受けて出力特性
が変化してしまう。即ち、図3に示すように、書き込み
後の出力が2つの値をとる2値(2ステート)現象を起
こしてしまう。
【0031】これに対して本実施形態のように、境界面
18及び19をθ=15°だけ傾斜させると、図5に示
すように、2ステート現象という出力変動がほとんど無
くなっている。これは、境界面18及び19を傾けるこ
とによるピンド層の形状異方性と、ピンド層の膜自体の
異方性とが角度をなしているため、ピンド層に外部磁界
が印加されてもその磁化方向が元に戻り易くなるため、
換言すればピンド層の動きやすさが制限されるためであ
ると推察される。
【0032】図7に示すように、境界面18及び19の
傾斜角度θは、0°より大きければ出力変動抑制効果は
多少なりとも生じる。この種の薄膜磁気ヘッドに対する
出力安定性COVに対する要求は、通常、COVが2%
以下であり、図7より傾斜角度θが2°であってもこの
要求は満足される。実際、この傾斜角度θとしては、好
ましくは2°以上の値、より好ましくは5°以上の値が
選ばれる。また、図6に示すように、この傾斜角度θが
あまり大きくなると、出力が低下するため、60°以下
とすることが好ましい。
【0033】図8は従来のSVMRセンサについて実験
的に求めた、オフトラック位置に対するアシンメトリ特
性を示す図であり、図9は本実施形態のSVMRセンサ
について実験的に求めた、オフトラック位置に対するア
シンメトリ特性を示す図である。ただし、図9の実験デ
ータは、θ=15°の場合である。
【0034】先に述べたように、SVMRセンサにおい
ては、ピンド層からの磁気記録媒体に垂直な磁界がフリ
ー層に印加される構造上、その動作点がピンド層からの
磁界によってずれる。このため、図8(A)に示すよう
に、SVMRヘッドをオフトラックさせた場合に得られ
るアシメトリ特性が、負側に大きくずれてしまう。アシ
メトリ特性が負側に大きくずれると、磁気記録媒体上に
あらかじめ記録されているサーボ信号によってSVMR
ヘッドをトラック中心に位置制御するためのサーボ制御
が正しく行われない。図8(A)のアシンメトリ特性か
ら推察すると、図8(B)に示すように、従来のSVM
Rセンサにおけるフリー層80内の磁化方向81は、磁
気記録媒体表面と完全に平行ではなく磁気記録媒体方向
へ傾いている。
【0035】これに対して本実施形態のように、境界面
18及び19を傾斜させると、図9(A)に示すよう
に、SVMRヘッドをオフトラックさせた場合に得られ
るアシメトリの中心からのずれがかなり小さくなり、良
好な特性が得られている。このアシンメトリ特性から推
察すると、図9(B)に示すように、フリー層120の
図にて右側(永久磁石14側)の部分における磁化方向
91が、図8(B)の場合と逆に、磁気記録媒体側(A
BS側)とは反対側へ傾いている。良好なアシメトリ特
性が得られれば、サーボ制御が正しくより精度良く行わ
れることとなる。
【0036】本実施形態に係るSVMR積層構造体12
の層構成は、特に限定はない。つまり、SVMR積層構
造体を構成する各層は、それぞれの機能を示す物質で構
成すればよい。例えば、反強磁性層123には、PtM
n、NiMn、IrMn等を、強磁性層(ピンド層)1
22には、Co、FeCo、NiFe等を、非磁性金属
層121には、Cu、Ag、Au等を、強磁性層(フリ
ー層)120にはFeCo、NiCo、FeCoNi等
をそれぞれ用いることができる。また、永久磁石層13
及び14には、CoPt、CoCrPt、SmCoを用
いることができる。さらに、これらの各層の他に、下地
膜、電子反射膜、バイアスキャンセル膜、保護膜等を含
んでいてもよい。さらにその積層順序は、基板側から、
反強磁性層、強磁性層(ピンド層)、非磁性金属層及び
強磁性層(フリー層)としてもよい。
【0037】なお、縦バイアス磁界を印加する手段とし
ては、永久磁石層に限定されることなく、例えば反強磁
性層と強磁性層との積層体であってもよい。
【0038】本実施形態では、スピンバルブ積層体の1
つの具体的な例として、基板にAlTiCを、強磁性層
(フリー層)120にNiFe/Coを、非磁性金属層
121にCuを強磁性層(ピンド層)122にCoを、
反強磁性層123にFeMnを用いている。
【0039】このSVMR積層構造体12を形成するに
は、まず、AlTiC基板(ウエハ)上に下地層(Al
)、下シールド層(FeAlSi)及び下ギャッ
プ層(Al)を形成した後、下地層(Ta)を5
nm、フリー層を構成する強磁性層(NiFe/Co)
120をそれぞれ9nm及び1nm、非磁性金属層(C
u)121を2.5nm、ピンド層を構成する強磁性層
(Co)122を2.5nm、反強磁性層(FeMn)
123を10nm、並びに保護層(Ta)を5nmでそ
れぞれRFスパッタ法により成膜する。
【0040】次いで、SVMR積層構造体12のトラッ
ク幅方向の両端縁に相当する部分がABSに垂直な方向
に対して角度θだけ上述のごとく傾斜しているパターニ
ング用のレジストを形成した後、イオンミリングにより
加工して、上述のごとくトラック幅方向の両端縁が傾斜
したSVMR積層構造体12を形成する。
【0041】その後、下地層(TiW)を10nm、永
久磁石層(CoPt)13及び14を50nm、及び電
極膜(Ta)を50nm形成し、さらに上部ギャップ層
(Al)及び上部シールド層(NiFe)を形成
することにより、ウエハ上に多数の再生用のSVMRヘ
ッドを完成する。
【0042】このようにして完成したウエハについて、
フリー層120及びピンド層122の磁化方向を互いに
直交化させるために、所定のアニール処理を行う。
【0043】図10は本発明の他の実施形態におけるS
VMR積層構造体及び縦バイアス磁界を発生する磁石層
の基本構造を示す斜視図である。
【0044】本実施形態におけるSVMR積層構造体1
02は、同図に示すように、2つの強磁性層1020及
び1022と、これらを磁気的に分離してサンドイッチ
構造とする非磁性金属層1021とを備えている。強磁
性層1022上には反強磁性層1023が積層されてお
り、その界面で生じる交換バイアス磁界がこの強磁性層
(ピンド層)1022に印加されてピンニングされる。
強磁性層1020は交換バイアス磁界が印加されないフ
リー層である。なお、図10において、107はAB
S、108及び109はSVMR積層構造体102と永
久磁石層103及び104との境界面をそれぞれ示して
いる。
【0045】図10から明らかのように、SVMR積層
構造体102と永久磁石層103及び104との境界面
108及び109は、ABS107に垂直な方向110
に対して角度θ(5°≦θ≦60°)だけ傾斜してい
る。即ち、SVMR積層構造体102のトラック幅方向
の縁端面は、ABS107に垂直ではなく、トラック幅
方向に角度θだけ傾いて形成されている。本実施形態で
は、特に、境界面108及び109が、ABS107に
垂直な方向110に対して縦バイアス磁界の進む方向1
11と同じ方向に角度θだけ傾斜している。
【0046】本実施形態におけるその他の構成及び変更
態様は、図1及び図2の実施形態の場合と同じである。
【0047】本実施形態の構成によれば、2ステート現
象による出力変動の抑制効果については、図1及び図2
の実施形態の場合とほぼ同様の効果が得られる。アシメ
トリ特性については、図1及び図2の実施形態の場合よ
り多少のずれが生じるが、これは電気的回路によって補
償可能である。
【0048】なお、以上述べた実施形態は、SVMR積
層構造体と永久磁石層との両方の境界面をABSに垂直
な方向に対して傾斜させるものであるが、一方の境界面
のみを傾斜させてもある程度の効果が得られる。しかし
ながらこの場合、スロートハイト(MRハイト)の加工
時にその加工量に応じてトラック幅が変化してしまうと
いう問題を有している。
【0049】また、以上述べた実施形態では、SVMR
センサを用いて本発明を説明したが、その他のGMRセ
ンサ、TMRセンサについても同様に本発明を適用可能
である。
【0050】以上述べた実施形態及び実施例は全て本発
明を例示的に示すものであって限定的に示すものではな
く、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施す
ることができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲
及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0051】
【0052】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、GMR、TMR等のMR積層構造体の感磁面又は
ABSと平行な方向の両方の縁端面が感磁面又はABS
に垂直な方向に対して互いに同一の方向に傾斜してい
る。換言すれば、MR積層構造体と縦バイアス手段との
境界面が、感磁面又はABSに垂直ではなく、縦バイア
ス手段の存在する方向(磁気ヘッドの場合にトラック幅
方向)に傾いて形成されている。このように、MR積層
構造体の縁端面を傾けることにより、ピンド層の縁端面
が傾くのでその形状異方性と、ピンド層の膜自体の異方
性とが角度をなしているため、ピンド層に外部磁界が印
加されてもその磁化方向が元に戻り易くなる。その結
果、書き込み磁界等の外部磁界により生じる2ステート
現象等の出力不安定性が解消される。さらに、MR積層
構造体の縁端面を傾けることにより、磁気記録媒体方向
へ傾いていたフリー層の磁化の向きが補正され、アシメ
トリ特性の中心からのずれが小さくなる。その結果、サ
ーボ制御特性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、薄膜磁気ヘッドの
SVMRセンサをABS側から見た概略図である。
【図2】図1の実施形態におけるSVMR積層構造体及
び縦バイアス磁界を発生する磁石層の基本構造を示す斜
視図である。
【図3】従来のSVMRセンサについて実験的に求め
た、書き込みサイクルに対するピーク出力電圧特性を示
す図である。
【図4】図1の実施形態のSVMRセンサについて実験
的に求めた、書き込みサイクルに対するピーク出力電圧
特性を示す図である。
【図5】図1の実施形態のSVMRセンサについて実験
的に求めた、書き込みサイクルに対するピーク出力電圧
特性を示す図である。
【図6】図1の実施形態のSVMRセンサについて実験
的に求めた、書き込みサイクルに対するピーク出力電圧
特性を示す図である。
【図7】図1の実施形態のSVMRセンサについて実験
的に求めた、傾斜角度θに対する出力安定性特性を示す
図である。
【図8】従来のSVMRセンサについて実験的に求め
た、オフトラック位置に対するアシンメトリ特性を示す
図である。
【図9】図1の実施形態のSVMRセンサについて実験
的に求めた、オフトラック位置に対するアシンメトリ特
性を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態におけるにおけるSV
MR積層構造体及び縦バイアス磁界を発生する磁石層の
基本構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 下部シールド層 11 下部シールドギャップ層 12、102 SVMR積層構造体 13、14、103、104 永久磁石層 15 上部シールドギャップ層 16 上部シールド層 17、107 ABS 18、19、108、109 境界面 20、110 ABSに垂直な方向 21、111 縦バイアス磁界の進む方向 120、122、1020、1022 強磁性層 121、1021 非磁性金属層 123、1023 反強磁性層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層、該非磁性層を挟んで積層され
    た第1及び第2の強磁性層、並びに該第2の強磁性層の
    前記非磁性層とは反対側の面に積層された反強磁性層を
    含む磁気抵抗効果積層構造体と、該磁気抵抗効果積層構
    造体の感磁面に平行な方向の両方の縁端面にそれぞれ接
    して設けられており該磁気抵抗効果積層構造体に縦バイ
    アス磁界を印加する縦バイアス手段とを備えた磁気抵抗
    効果センサであって、前記磁気抵抗効果積層構造体の前
    記両方の縁端面が前記感磁面に垂直な方向に対して互い
    に同一の方向に傾斜していることを特徴とする磁気抵抗
    効果センサ。
  2. 【請求項2】 前記両方の縁端面が、前記感磁面に垂直
    な方向に対して前記縦バイアス磁界の進む方向とは逆方
    向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のセ
    ンサ。
  3. 【請求項3】 前記両方の縁端面が、前記感磁面に垂直
    な方向に対して前記縦バイアス磁界の進む方向と同じ方
    向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のセ
    ンサ。
  4. 【請求項4】 前記両方の縁端面が、前記感磁面に垂直
    な方向に対して2°以上傾斜していることを特徴とする
    請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
  5. 【請求項5】 前記両方の縁端面が、前記感磁面に垂直
    な方向に対して5°以上傾斜していることを特徴とする
    請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
  6. 【請求項6】 前記両方の縁端面が、前記感磁面に垂直
    な方向に対して60°以下で傾斜していることを特徴と
    する請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
  7. 【請求項7】 非磁性層、該非磁性層を挟んで積層され
    た第1及び第2の強磁性層、並びに該第2の強磁性層の
    前記非磁性層とは反対側の面に積層された反強磁性層を
    含む磁気抵抗効果積層構造体と、該磁気抵抗効果積層構
    造体のトラック幅方向の両方の縁端面にそれぞれ接して
    設けられており該磁気抵抗効果積層構造体に縦バイアス
    磁界を印加する縦バイアス手段とを備えた薄膜磁気ヘッ
    ドであって、前記磁気抵抗効果積層構造体の前記両方の
    縁端面が当該薄膜磁気ヘッドの浮上面に垂直な方向に対
    して互いに同一の方向に傾斜していることを特徴とする
    薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記両方の縁端面が、前記浮上面に垂直
    な方向に対して前記縦バイアス磁界の進む方向とは逆方
    向に傾斜していることを特徴とする請求項7に記載のヘ
    ッド。
  9. 【請求項9】 前記両方の縁端面が、前記浮上面に垂直
    な方向に対して前記縦バイアス磁界の進む方向と同じ方
    向に傾斜していることを特徴とする請求項7に記載のヘ
    ッド。
  10. 【請求項10】 前記両方の縁端面が、当該薄膜磁気ヘ
    ッドの浮上面に垂直な方向に対して2°以上傾斜してい
    ることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記
    載のヘッド。
  11. 【請求項11】 前記両方の縁端面が、当該薄膜磁気ヘ
    ッドの浮上面に垂直な方向に対して5°以上傾斜してい
    ることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記
    載のヘッド。
  12. 【請求項12】 前記両方の縁端面が、当該薄膜磁気ヘ
    ッドの浮上面に垂直な方向に対して60°以下で傾斜し
    ていることを特徴とする請求項7から11のいずれか1
    項に記載のヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項7から12のいずれか1項に記
    載の薄膜磁気ヘッドを複数備えたことを特徴とする薄膜
    ウエハ。
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