JP3366670B2 - 給紙装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は給紙装置に関し、よ
り詳しくはスキュー取りしつつ用紙を給送するための給
紙装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】用紙を順次給送してゆく過程でこれにた
わみをつけてスキューを解消する技術についてはこれま
でに多くの提案がなされている。 【０００３】特公昭５８−６６３３号公報に開示された
装置は、逆転しているプラテンとこれに接して転動する
従動ローラのニップ部に用紙を送り込んでこれにたわみ
付けをすることにより、その際の用紙のコシによって前
縁を正しい向きに揃えるようにしたものであるが、この
ものは、プラテンと従動ローラへの用紙の当り具合によ
っては用紙の先端が巻き込まれて折れ易くなるばかりで
なく、給紙ローラの送り込みによって用紙にたわみ付け
をするものである関係上、厚手の用紙に対しては十分な
たわみ付けができず、またたわみ付けに多くの時間を要
してスループットを低下させたり、信頼性を損ねかねな
いといった問題を生じさせる。 【０００４】これに対して、特公昭６２−３８２６１号
公報に開示された装置は、用紙の先端部を一旦引き込ん
だ後にドライブローラと従動ローラを逆転させ、これら
のローラと給紙ローラとの間で用紙にたわみ付けをする
ことによってスキュー取りをするようにしたものである
が、このものも、ドライブローラを逆転させるだけでた
わみ付けするようにしているためスループットが低下す
るばかりでなく、厚手の用紙を送る場合には、停止して
いる給紙ローラとの間で用紙がスリップして十分なたわ
み付けができないといった問題が生じる。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、
用紙のスキュー取りのための適正なたわみ付けを短時間
にかつ確実に行うことのできる新たな給紙装置を提供す
ることにある。 【０００６】 【発明を解決するための手段】すなわち、本発明はこの
ような課題を達成するための給紙装置として、印字部方
向へ用紙を引込むときは逆転方向に、ついで引込んだ用
紙を引戻すときは正転方向に、最後に用紙を印字部に向
けて送り込むときは逆転方向に、それぞれ回転方向を切
替えられつつ駆動手段に駆動されて回転する駆動歯車
と、この駆動歯車と噛合ってその逆転時にはプラテンに
紙送り方向の、正転時には反紙送り方向の回転を伝える
プラテン歯車と、駆動歯車と噛合ってその周上を自転し
つつ公転して、その正転時には給紙歯車に給紙方向の回
転を伝えるべく噛合い、逆転時には前記給紙歯車との噛
合いを断つように離間し、さらに、その回転方向の如何
に拘りなく給紙ローラとプラテンとの間に配設した給紙
補助ローラと一体をなす給紙補助歯車に対して、常時紙
送り方向の回転を伝えるべく公転方向に応じて直接もし
くは中間歯車を介して噛合う遊星歯車とによって構成し
たものである。 【０００７】 【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の実施例につ
いて説明する。図面はいずれも本発明の一実施例を示し
たものである。 【０００８】はじめに、本発明の一実施例をなす給紙装
置について説明すると、図１はこの給紙装置を備えたプ
リンタの概要構成を示したもので、用紙収納部９に積層
された用紙６は、正転方向に駆動される給紙ローラ５に
より給紙補助ローラ３とこのローラ３に接して転動する
補助従動ローラ１０のニップ部に送り込まれ、さらにこ
こから用紙挿入口１１を経て、正転方向及び逆転方向に
切換え可能なプラテン１と、このプラテン１に接して転
動する従動ローラ２によって印字ヘッド８のもとへ送り
込まれるように構成されている。 【０００９】なお、図中符号４は用紙の有無を判別すべ
く用紙挿入口１１と従動ローラ２との間に配設された用
紙検知センサを示している。 【００１０】図２（ａ）乃至（ｄ）は、これらの各ロー
ラ１、３、５に駆動力を伝達する輪列機構を、それぞれ
タイミング動作をもって示したものである。 【００１１】図示しない駆動モータにより正転方向（図
の反時計方向）及び逆転方向（図の時計方向）に切換え
られて回転する駆動歯車１４には、プラテン３と一体の
プラテン歯車１ｇが直接噛合っており、さらに、この駆
動歯車１４の周上には、三叉をなす共通のレバー１５に
結合された第１、第２、第３の各遊星歯車１６、１７、
１８が自転動及び公転動自在に噛合っていて、駆動歯車
１４の正転時には、第１の遊星歯車１６により給紙補助
歯車３ｇを介してこれと一体の給紙補助ローラ３に正転
駆動力を伝達し（図２（ｄ））、また駆動歯車１４の逆
転時には、第２の遊星歯車１７によりアイドラ１９を介
して給紙補助ローラ３と一体の給紙補助歯車４９に正転
駆動力を伝達する一方、第３の遊星歯車１８により給紙
歯車５９を介してこれと一体の給紙ローラ５に正転駆動
力を伝えるように（図２（ｃ））構成されている。 【００１２】つぎに、このように構成された給紙装置に
よる給紙動作を動作タイミングを示す図２、図３と図４
乃至図７をもとに説明する。 【００１３】時点ａで出力した給紙指令信号により、始
めに図示しない駆動モータに駆動された駆動歯車１４
が、図２（ａ）に示したように、図中時計方向へ逆転し
始めると、これと噛合う第３の遊星歯車１８が図中時計
方向に公転し、給紙歯車５ｇを介して給紙ローラ５を紙
送り方向に回転させ、用紙収納部９内の用紙６を引出し
てこれを給紙補助ローラ３のもとへ給送する（図２
（ａ）、図４）。 【００１４】そして、この間の用紙の搬送量は、給紙ロ
ーラ５と給紙補助ローラ３との間の用紙経路長に合わせ
てステップモータとしての駆動モータに印加するパルス
数で規定されているから、時点ｂで駆動モータへこのパ
ルス数が印加されると、駆動歯車１４は図中反時計方
向、つまり正転方向に切換えられる（図３）。 【００１５】これにより、図２（ｂ）に示したように、
駆動歯車１４と噛合う第２の遊星歯車１７は図中反時計
方向に公転し、その公転に要する若干の時間Δｔをおい
て給紙補助歯車３ｇと直接噛合って給紙補助ローラ３を
再び正転させ、給紙ローラ５によって引出されてきた用
紙６をプラテン１に向けて送り出し、同時に、駆動歯車
１４と直接噛合うプラテン歯車１ｇは駆動歯車１４の逆
転により正転に切換わって、用紙検知センサ４を越えて
送られてきた用紙６の先端を従動ローラ２とともに印字
ヘッド８側へ例えば９mm程度引込む（図２（ｂ）、図
５）。 【００１６】そして、用紙検知センサ４から従動ローラ
２がプラテン１と接するニップ部までの紙送り量は駆動
モータに印加するパルス数で規定されているから、その
パルス数が駆動モータに印加された時点ｃに至ったら、
駆動歯車１４は再度逆転に切換えられる（図３）。 【００１７】これにより駆動歯車１４と直接噛合ってい
るプラテン歯車１ｇはプラテン１の回転方向を反紙送り
方向に切換えて、印字ヘッド８側に引込んだ用紙６を押
戻す一方、図２（ｂ）に示した離間位置からそれぞれア
イドラ１９及び給紙歯車５ｇと噛合う図２（ｃ）の位置
まで第２、第３の遊星歯車１７、１８を図中時計方向に
公転させ、その公転に要する若干の時間Δｔをおいて再
び給紙補助ローラ３と給紙ローラ５に紙送り方向の回転
を伝えて用紙６を送り出す。 【００１８】そして、用紙６の先端がプラテン１と従動
ローラ２のニップ部を超えるのに必要な時間ｔだけ駆動
歯車１４を逆転させて時点ｄに至ると、プラテン１は、
図３に示したように、時点ｃから時点ｄに至るまでの前
段階で、用紙６の先端を引込んだ量Δｌ、つまり９mm程
度押戻す一方、給紙補助ローラ３は（ｔ−Δｔ）時間分
正転して用紙６を送り出すため、プラテン１と給紙補助
ローラ３との間には（Ｌ−ｌ）に相当する長さだけ用紙
６のたわみが形成され、これによって生じた用紙６の反
発力（バックテンション）によりプラテン１と従動ロー
ラ２のニップ部との間で用紙６の前縁をプラテン１の軸
心方向と平行な向きに正しく揃えて用紙６のスキューを
確実に除去する（図２（ｃ）、図６）。 【００１９】そして最後に時点ｄで駆動歯車１４を再び
正転に切換え、これと直接噛合うプラテン歯車１ｇを介
してプラテン１を正転させて用紙６を印字ヘッド４に向
けて送り出す一方、駆動歯車１４と噛合う第１、第２の
遊星歯車１６、１８を図中反時計方向に公転させ、公転
に要する若干の時間Δｔをおいてこの遊星歯車１６を給
紙補助歯車３ｇに直接噛合わせ、給紙補助ローラ３を正
転動させて用紙６の先端後方を後続させるとともに、給
紙ローラ歯車５ｇとの噛合いを解いて給紙ローラ５への
駆動力伝達を断つ（図２（ｄ）、図７）。 【００２０】これにより、駆動力伝達を断たれた給紙ロ
ーラ５は、用紙６上を空転して紙送りの際の負荷を軽減
するとともに、この用紙６が送り出された後は、回転を
停止してつぎの用紙６の送り出しを確実に抑える。 【００２１】ところで、以上はプラテンと給紙補助ロー
ラを働かせることにより用紙のたわみ付けを行わす動作
を遊星歯車機構によって可能とした実施例についての説
明であるが、プラテンと給紙補助ローラ及び給紙ローラ
のそれぞれに関連した動作を行なわせる手段としては、
上述した実施例以外に、プランジャを用いた輪列切換え
機構や、プラテン、給紙補助ローラ、給紙ローラのそれ
ぞれを別の駆動モータによって駆動するようにした機構
を用いることもできる。 【００２２】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、用紙
の引込み行程では駆動歯車を逆方向に回転させてプラテ
ンに対しては紙送り方向の回転を、給紙ローラに対して
は給紙方向の回転を伝え、用紙の引戻し行程では駆動歯
車を正方向に回転させてプラテンに対して反紙送り方向
の回転を伝える一方、給紙ローラには回転駆動力を断
ち、さらに駆動歯車の回転方向の如何に拘りなく給紙補
助ローラに対しては遊星歯車を介して常時紙送り方向の
回転を伝えるようにしたので、用紙を引込んだ後で引戻
すことにより、この前縁をプラテンと従動ローラのニッ
プ部に正しく当接させることができるばかりでなく、逆
転を始めたプラテンと正転を続ける給紙補助ローラとの
協動作業により、用紙をスリップさせることなくしかも
スキュー防止に必要なたるみ付けを通常の半分程度の時
間で行わすことを可能として、スループットを大幅に増
大させることができると同時に、スキュー取りの後での
用紙の送り込み行程では、遊星歯車の他方への公転動作
により給紙ローラを一時的に空転させ、駆動モータへ過
度の負荷が作用するのをふせいで、その分駆動モータを
さらに小型化することができる。 【００２３】しかも、遊星歯車機構を用いることによ
り、プラテンの回転方向切換えや給紙ローラへの駆動力
の切断さらには給紙補助ローラへの同一方向の回転伝達
と行った複雑な操作を、駆動歯車の回転方向の切換えと
いう簡単な動作によって可能にするばかりでなく、駆動
歯車の回転方向の切換えの過程で給紙補助歯車との一時
的な非噛合い状態を作り出すことにより、駆動モータへ
急激な負荷が及ぶのを回避して、より小型の駆動モータ
の使用を可能にする。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一実施例をなす給紙装置を備えたプリ
ンタについての図である。 【図２】（ａ）乃至（ｄ）は各スキュー取りのプロセス
と、輪列の動きについて示した説明図である。 【図３】各スキュー取りの動作タイミングを示した図で
ある。 【図４】スキュー取りの最初の動作について示した図で
ある。 【図５】スキュー取りの２番目の動作について示した図
である。 【図６】スキュー取りの３番目の動作について示した図
である。 【図７】スキュー取り後の紙送り動作について示した図
である。 【符号の説明】 １ プラテン ２ 従動ローラ ３ 給紙補助ローラ ３ｇ 給紙補助歯車 ５ 給紙ローラ ５ｇ 給紙歯車 ６ 用紙 ８ 印字ヘッド １４ 駆動歯車 １５ 三叉アーム １６、１７、１８ 遊星歯車

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 印字部方向へ用紙を引込むときは逆転方
   向に、ついで引込んだ用紙を引戻すときは正転方向に、
   最後に用紙を印字部に向けて送り込むときは逆転方向
   に、それぞれ回転方向を切替えられつつ駆動手段に駆動
   されて回転する駆動歯車と、 該駆動歯車と噛合ってその逆転時にはプラテンに紙送り
   方向の、正転時には反紙送り方向の回転を伝えるプラテ
   ン歯車と、前 記駆動歯車と噛合ってその周上を自転しつつ公転し
   て、その正転時には給紙歯車に給紙方向の回転を伝える
   べく噛合い、逆転時には前記給紙歯車との噛合いを断つ
   ように離間し、さらに、その回転方向の如何に拘りなく
   給紙ローラと前記プラテンとの間に配設した給紙補助ロ
   ーラと一体をなす給紙補助歯車に対しては、常時紙送り
   方向の回転を伝えるべく公転方向に応じて直接もしくは
   中間歯車を介して噛合う遊星歯車と、 を備えた給紙装置。