JP3363141B2 - ディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

ディスプレイパネルおよびその製造方法

Info

Publication number
JP3363141B2
JP3363141B2 JP2001101471A JP2001101471A JP3363141B2 JP 3363141 B2 JP3363141 B2 JP 3363141B2 JP 2001101471 A JP2001101471 A JP 2001101471A JP 2001101471 A JP2001101471 A JP 2001101471A JP 3363141 B2 JP3363141 B2 JP 3363141B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
display panel
electrode
glass
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001101471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001345055A (ja
Inventor
純一 日比野
良樹 佐々木
勝義 山下
政文 大河
泰郎 竹内
光弘 大谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26589100&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3363141(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2001101471A priority Critical patent/JP3363141B2/ja
Publication of JP2001345055A publication Critical patent/JP2001345055A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3363141B2 publication Critical patent/JP3363141B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータやテ
レビなどの画像表示に用いられるディスプレイパネルに
関するものであって、特に、そのパネル面に銀電極が形
成されたディスプレイパネルおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータやテレビなどの画像
表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、フ
ィールドエミッションディスプレイパネルやプラズマデ
ィスプレイパネル(Plasma Display Panel 、以下、
「PDP」という。)などのディスプレイパネルは、大
型で薄型のパネルを実現することのできるカラー表示デ
バイスとして注目されており、特にPDPにおいては高
速応答性や高視野角などの優れた特徴を備えるため、各
企業や研究機関においてその普及に向けた開発が活発に
行われている。
【0003】このようなPDPにおいては、前面ガラス
基板と背面ガラス基板とがギャップ材を介して対向する
ように設けられており、前面ガラス基板における背面ガ
ラス基板と対向する側の面には、ライン状の表示電極が
複数形成されるとともにこの各電極を覆うように誘電体
層が被膜されている。一般的なPDPでは、前面ガラス
基板に硼硅素ナトリウム系ガラス材料から構成されるガ
ラス板が用いられ、表示電極にはCr−Cu−Cr電極
も用いられるが、比較的容易に形成できる銀電極が用い
られている。
【0004】この銀電極は、薄膜法によっても形成でき
るが、比較的安価に形成することができる厚膜法も用い
られてきている。この厚膜法では、例えば、銀粒子、ガ
ラスフリット、樹脂、溶剤などを含有する銀ペーストを
スクリーン印刷法によって前面ガラス基板上に塗布した
り、銀粒子、ガラスフリット、樹脂などを含有するフィ
ルムをラミネート法で貼り付けたりして、まず銀厚膜を
電極形状にパターニングする。このパターニングの後
に、ペーストやフィルムに含まれる樹脂を分解除去する
とともに銀粒子、ガラスフリットを融着させるために、
500℃以上の温度で焼成させる。この焼成によって、
銀粒子が融着してその導電性が向上するとともに、ガラ
スフリットが融着して銀粒子が前面ガラス基板に固着す
る。
【0005】この焼成後に、誘電体層を形成するため、
低融点鉛ガラスなどの粉末、樹脂、溶剤を混合したペー
ストをスクリーン印刷法やラミネート法によって銀電極
を被膜するように塗布し、溶剤を乾燥させた後、再度5
00℃以上の温度で焼成させる。これによって、ペース
ト中の樹脂が分解除去され、低融点鉛ガラスが融着され
ることによって誘電体層が形成される。なお、背面ガラ
ス基板においても前面ガラス基板と同様の電極、誘電体
層が配されており、これらは上記と同様の方法によって
形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、銀電極を備
えるPDPにおいては、上記各焼成時に銀がイオン化
し、ガラス基板に含まれるナトリウム(通常2.5〜1
5wt%程度含まれる)がイオン化したものとイオン交
換などの反応によってガラス基板内部に拡散しやすい。
この銀の拡散は、焼成時の温度と時間に比例して進行す
ると考えられるが、これにより拡散された銀はガラス基
板内部で還元されて銀コロイドを生じ、ガラスを黄色化
させやすい。特に、この黄色化が前面ガラス基板におい
て生じた場合には、PDPの駆動時に色温度の低下をも
たらし、PDPの画質を低下させる可能性が高くなる。
【0007】この黄色化を低減するため、焼成温度を低
下させることによって銀イオンの拡散を抑制することが
考えられるが、焼成温度に関しては、樹脂の分解開始温
度や、電極および誘電体層を構成する材料の軟化点に依
存するため、その温度を低下させることは困難である。
他方、焼成時間を短くして銀イオンの拡散を抑制するこ
とも考えられるが、単純に焼成時間を短くするだけでは
電極や誘電体層に樹脂が残ってしまったり、電極や誘電
体層の融着が不十分となってしまったりして、電極の導
電率や誘電体層の絶縁性が低下する恐れがある。
【0008】このような現象は、PDPのみならず、ガ
ラス基板に厚膜銀電極を形成するフィールドエミッショ
ンディスプレイパネルなどのディスプレイパネルにおい
ても同様に発生する可能性があり、ディスプレイパネル
のガラス基板の黄色化を抑制する技術が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑み、従来に比べてガラス基板の
黄色化が抑制されるディスプレイパネルおよびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るディスプレイパネルは、基板上の一方
の主面に列設された複数の電極と当該複数の電極を覆う
ように形成された誘電体層とを有する第1パネルと、第
2パネルとが隔壁を介して平行に対峙して配設されるデ
ィスプレイパネルであって、前記第1パネルは、基板の
組成にガラスを有するとともに電極の組成に銀を有し、
誘電体層中において電極の主面と誘電体層の界面から5
μm離れた点を中心とする直径5μm領域に拡散した銀
の濃度と、前記基板中において電極と基板との界面から
7.5μm離れた点を中心とする直径5μm領域に拡散
した銀の濃度との比が0.5以下であることを特徴とし
ている。
【0010】このようなディスプレイパネルによれば、
誘電体層への銀の拡散が少ないので、誘電体層の絶縁破
壊が抑制されるとともに、基板への銀の拡散も少ないと
思われるので、基板の黄色化が低減される。また、上記
第1パネルが前面パネルの場合には、ディスプレイパネ
ルにおける色温度の低下を抑制することができる。
【0011】また、上記前面パネルは、その黄色化を抑
制するため、基板中における電極と基板との界面から
7.5μm離れた点を中心とする直径5μm領域の銀濃
度が0.8wt%以下となることが好ましい。さらに、
上記前面パネルは、誘電体層中における電極主面と誘電
体層との界面から5μm離れた点を中心とする直径5μ
m領域の銀濃度が0.4wt%以下となることが好まし
い。
【0012】また、本発明に係るディスプレイパネル
は、基板上の一方の主面に列設される複数の電極と当該
複数の電極を覆うように形成された誘電体層とを有する
第1パネルと、第2パネルとが隔壁を介して平行に対峙
して配設されるディスプレイパネルであって、前記第1
パネルは、基板の組成にガラスと2.5wt%以上のナ
トリウムを有するとともに電極の組成に銀を有し、基板
中において電極と基板との界面から7.5μm離れた点
を中心とする直径5μm領域のナトリウム濃度が、電極
の形成された主面と反対側の主面における直径5μm領
域のナトリウム濃度の90%以上あることを特徴とす
る。
【0013】銀はガラス組成の基板に含まれるナトリウ
ムとイオン交換を起こすと考えられており、上記のよう
にナトリウムが基板内に多く残存していれば、誘電体層
への銀の拡散も少ないと思われるので、誘電体層の絶縁
破壊が抑制されるとともに、基板への銀の拡散も少な
く、基板の黄色化が低減される。ここで、前記第1パネ
ルは、基板中における前記電極側面から3μm離れると
ともに電極と基板との界面から3μm離れた点を中心と
する直径5μm領域のナトリウム濃度が0.25wt%
以下となるようにすれば基板の黄色化が抑制される。
【0014】具体的なパネルの形状としては、前記第1
パネルの基板が、当該基板に列設された電極とディスプ
レイパネルの表示領域において直接接している形状を挙
げることができる。また、本発明に係るディスプレイパ
ネルの製造方法は、基板上に銀電極を設けるとともに当
該銀電極を覆うように誘電体層を形成するパネル形成工
程を有するディスプレイパネルの製造方法であって、前
記パネル形成工程は、基板上に銀、第1の樹脂、第1の
ガラスを含むパターン層を形成する第1の工程と、前記
第1の工程において形成されたパターン層上を覆うよう
に、第2の樹脂および第2のガラスを含む被覆層を形成
する第2の工程と、前記パターン層および被覆層を同時
焼成する第3の工程とを備え、前記第3の工程は、前記
パターン層および被覆層に含まれる第1および第2の樹
脂の分解開始温度以上まで昇温する第1ステップと、前
記第1のガラスの軟化点以上、かつ前記第2のガラスの
軟化点未満の温度範囲に保つ第2ステップと、前記第2
のガラスの軟化点以上の温度まで昇温する第3ステップ
とを備えることを特徴としている。
【0015】上記同時焼成を行う第3工程において、パ
ターン層と被覆層とが同時焼成されるので、基板ならび
に被覆層中への銀の拡散が抑制される。また、上記製造
方法によれば、第2ステップにおいて軟化される第1の
誘電体ガラスから発生するガスが未軟化の第2の誘電体
ガラスが積層した層を通って排出された後、第3ステッ
プにおいて第2の誘電体ガラスを軟化するので、第1の
誘電体ガラスに気泡が形成されず、銀電極を緻密に形成
することができる。
【0016】また、前記第2ステップは、第1ステップ
における昇温速度よりもその速度を遅くする期間を設け
ることによって、前記第1のガラスの軟化点以上、かつ
前記第2のガラスの軟化点未満の範囲に温度を保つよう
にしてもよい。ここで、前記第3の工程は、減圧雰囲気
下、乾燥ガス雰囲気下、酸化性ガス雰囲気下で行うこと
によって樹脂の焼失を促進したり、還元性ガス雰囲気下
で行うことによって銀の酸化を抑制するようにしたりし
てもよい。
【0017】また、本発明に係るディスプレイパネルの
製造方法は、前面ガラス基板上に銀電極を設けるととも
に当該銀電極を覆うように誘電体層を形成する前面パネ
ル形成工程を有するディスプレイパネルの製造方法であ
って、前記前面パネル形成工程は、前面ガラス基板上に
銀、第1の樹脂、第1のガラスを含むパターン層を形成
する第1の工程と、前記第1の工程において形成された
パターン層上を覆うように、第2の樹脂および第2のガ
ラスを含む被覆層を形成する第2の工程と、前記パター
ン層および被覆層を同時焼成する第3の工程とを備える
ことを特徴とする。
【0018】このような方法によれば、前面パネルを同
時焼成することによって焼成時間を従来に比べて短くす
ることができるので、銀が基板内に拡散することを抑制
することができ、従来に比べて色温度の高いディスプレ
イパネルを製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るディスプレイ
パネルの一例として、PDPに本発明を適用した場合に
ついて説明する。 〔第1の実施の形態〕本発明に係るPDPの第1の実施
の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】<PDPの全体構成>図1は、本発明に係
るPDPの表示領域の一部における断面斜視図であり、
図2は、図1におけるPDPのアドレス電極17上での
y−z軸断面図である。両図を参照しながらPDPの構
造について説明する。図1に示すように、PDPは、前
面パネル10と背面パネル20とが対向した状態に配さ
れて構成されている。
【0021】前面パネル10は、前面ガラス基板11、
表示電極13,14、誘電体層15、保護層16とを備
え、前面ガラス基板11の対向面上に、複数対の表示電
極13,14が交互に列設されるとともに、図2に示す
ように誘電体層15、および保護層16が各電極表面上
を覆うように順に被膜されて構成されている。前面ガラ
ス基板11は、硼硅素ナトリウム系ガラス材料からなる
平板状の基板であり、その組成にはナトリウム(Na)
が2.5wt%含まれている。このナトリウムの含有量
には特に制限は設けられないが、一般的には15wt%
程度まで含まれたものが市販されており、その含有量が
多いほど安価となるのでコスト的には好ましい。
【0022】表示電極13,14は、ともに銀を主成分
(以下、「主成分」とは、その全体の重量に対する重量の
割合が50wt%以上を示す組成のことを言う。)とす
る表示電極である。誘電体層15は、表示電極13,1
4を被覆するように形成され、例えば、酸化鉛、酸化ホ
ウ素、酸化ケイ素、および酸化アルミニウムの混合物か
らなる酸化鉛系ガラスや、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸
化ホウ素、酸化ケイ素、および酸化カルシウムの混合物
からなる酸化ビスマス系ガラスなどのガラス成分から構
成され、表示電極13,14を絶縁する働きを有する。
【0023】保護層16は、誘電体層15表面を覆うよ
うに形成されており、酸化マグネシウム(MgO)など
からなる層である。上記表示電極13,14および誘電
体層15は、後述するように同時焼成を行うことによっ
て形成されるので、前面ガラス基板11では黄色化が抑
制される。一方、背面パネル20は、背面ガラス基板2
1、アドレス電極22、可視光反射層23、隔壁24、
蛍光体層25R,G,Bを備えている。
【0024】背面ガラス基板21は、前面ガラス基板1
1と同様、硼硅素ナトリウム系ガラス材料からなる平板
状の基板であり、その組成にナトリウム(Na)を2.
5wt%含んでいる。この背面ガラス基板21の対向面
上には、ストライプ状にアドレス電極22が列設されて
いる。アドレス電極22は、上記表示電極13,14と
同様、銀を主成分とする電極であり、この電極を覆うよ
うに可視光反射層23が被膜されている。
【0025】可視光反射層23は、例えば、上記前面パ
ネル11における誘電体層15を構成するガラス成分と
同じものに酸化チタンを含む誘電体ガラスからなる層で
あって、各蛍光体層25R,G,Bで発生する可視光を
反射する機能と、誘電体層としての機能を併せ持つ。隔
壁24は、可視光反射層23の表面上において、アドレ
ス電極22と平行に列設されている。隔壁24同士の間
には、赤色、緑色、青色を発光する各蛍光体層25R,
G,Bが順に配されている。
【0026】蛍光体層25R,G,Bは、それぞれ赤色
(R)、緑色(G)、青色(B)を発光する蛍光体粒子
が結着した層である。PDPは、上記前面パネル10と
背面パネル20とが対向するように貼り合わされるとと
もにその各パネル周囲が図示しない気密シール層により
封着され、その間に形成される放電空間26内に放電ガ
ス(例えば、ネオン95vol%とキセノン5vol%
の混合ガス)が所定の圧力(例えば、66.5kPa程
度)で封入された構成となっている。
【0027】<PDPの製造方法>本発明に係るPDP
の製造方法は、前面パネルおよび背面パネルの各電極、
誘電体層、可視光反射層の焼成方法に特徴を有してい
る。この焼成方法について説明する前に、まず、従来の
PDPの製造方法における焼成方法を説明する。なお、
各電極、誘電体層の製造方法と、背面パネルにおける電
極、可視光反射層の製造方法とは略同じであるので、前
面パネルを例に従来の製造方法について説明する。
【0028】(1)従来の前面パネルの製造方法 図3(1)〜(5)は、従来の前面パネルの各製造工程
における前面パネルの一部断面図であり、図4は、前面
パネルの焼成温度と焼成時間の関係を示すグラフであ
る。 表示電極130,140の形成 図3(1)に示すように、まず、銀粒子を主成分とし、
ガラスフリット、樹脂、溶剤などを含有する銀ペースト
を前面ガラス基板110上に厚膜スクリーン印刷法によ
ってパターニングした後、溶剤を乾燥させる。
【0029】次に、図4に示すように、これを室温B1
からガラスフリットの軟化点以上の温度B2(例えば5
80℃)まで昇温後、その温度を一定時間(t1〜t
2)保ち、焼成させることによって、図3(2)に示す
ように銀ペーストに含まれる樹脂を分解するとともに、
銀、ガラスフリットを融着させ、表示電極130,14
0を形成する。その後、表示電極および前面ガラス基板
にクラックが発生するのを防止するため、前面パネルを
温度B2から室温B1まで時間t2からt3をかけてゆ
っくりと放冷しながら冷却する。
【0030】この焼成時(時間t0〜t3)には、各表
示電極130,140と前面ガラス基板110とが接す
る界面において、各電極130,140に含まれる銀イ
オンと前面ガラス基板110内に含まれるナトリウムイ
オンとのイオン交換が始まり、一部の銀イオンが前面ガ
ラス基板110内に拡散される。 誘電体層150の形成 次に、図3(3)に示すように、表示電極130,14
0が形成された前面ガラス基板110上に、低融点鉛ガ
ラスなどの粉末、バインダ樹脂、溶剤を混合したガラス
ペーストを厚膜スクリーン印刷法によって塗布した後、
溶剤を乾燥させることによって誘電体層150となるガ
ラスペーストが図3(4)に示すような状態に被覆され
る。
【0031】その後、この前面パネルを室温B1からガ
ラスペーストに含まれるガラスフリットの軟化点以上の
温度B2(例えば580℃以上)まで再度昇温(時間t
4〜t5)して所定時間(t5〜t6)保温し、焼成す
ることによって、図3(5)に示すようにガラスペース
ト中の樹脂が分解されるとともに、ガラスフリットが融
着する。その後、前面ガラス基板110および表示電極
130,140にクラックが発生するのを防止するた
め、時間t6〜t7をかけてゆっくりと放冷することに
よって、誘電体層150が形成される。この誘電体層1
50の表面上にさらに保護層が被膜されて前面パネルが
形成される。
【0032】この焼成(時間t4〜t7)によっても各
電極130,140に含まれる銀と前面ガラス基板11
0に含まれるナトリウムとのイオン交換が行われ、前面
ガラス基板110内に銀イオンがさらに拡散される一
方、誘電体層150内部にはナトリウムイオンが拡散さ
れる。なお、従来の背面パネルにおいては、上記前面パ
ネルにおける表示電極130、140がアドレス電極に
置き換わることと、誘電体層150が可視光反射層に置
き換わることが異なり、さらに、隔壁、蛍光体層が形成
されること以外は前面パネルと同様に作製される。
【0033】このように、従来の前面パネル(背面パネ
ル)の製造方法においては、表示電極の形成と誘電体層
(可視光反射層)の形成のために、二度の焼成(時間t
0〜t3、t4〜t7)を行うので、その分焼成時間が
長くなって、表示電極に含まれる銀(銀イオンを含む)
の前面(背面)ガラス基板内への拡散量が多くなり、パ
ネルの黄色化の原因となっている。具体的には、このよ
うな2回の焼成を経て形成される前面ガラス基板におい
ては、表示電極と前面ガラス基板との界面から7.5μ
m離れた位置を中心とした直径5μm領域における前面
ガラス基板内部に拡散された銀の濃度は0.88wt%
と、0.8wt%を超える値となる。
【0034】(2)本発明にかかる前面パネルの製造方
法 つぎに、本発明に特徴的な前面パネルの製造方法につい
て図面を参照しながら説明する。図5(1)〜(5)
は、本発明に係る前面パネルの各製造工程における前面
パネルの一部断面図であり、図6は、本発明に係る前面
パネルの焼成温度と焼成時間を示すグラフである。
【0035】表示電極用ペースト塗布工程 図5(1)に示すように、前面ガラス基板11上に従来
と同様の銀を主成分とし、ガラスフリット、樹脂、溶剤
を含む銀ペーストを厚膜スクリーン印刷法によってライ
ン状にパターニングして塗布した後、乾燥させる。ここ
で、銀ペーストは、銀とガラスフリットとの合計のペー
ストに対する混合比は、90wt%以上であることが好
ましい。90wt%未満であると、銀ペーストはその粘
度が低下し、スクリーン印刷法によって前面ガラス基板
11上に形成したときに流れてしまうので、所望の形状
が得られなくなる可能性があるからである。
【0036】さらに、ペーストに対して銀を85〜95
wt%含むものを使用することが好ましい。85wt%
未満では、焼成時の収縮率が大きくなり、緻密な表示電
極を得にくくなる一方、95wt%を越えると、銀ペー
ストの粘度が高くなるので、前面ガラス基板10上に塗
布したときにしたときの厚みムラが大きく、焼成後に平
坦な電極を得にくくなるからである。
【0037】ガラスフリットは、その軟化点が350〜
500℃程度であるものが好ましい。軟化点が低すぎる
と、焼成時において樹脂が分解する前に軟化して樹脂の
分解を妨げる一方、軟化点が高すぎると、ガラスフリッ
トの軟化不足によって表示電極と前面ガラス基板との密
着が不十分になる恐れがあるからである。このガラスフ
リットは、ペーストに対して1〜10wt%の割合で含
まれるものが好ましい。ガラスフリットの含有量が1w
t%未満の場合には、前面ガラス基板に対する接着力が
得られにくいし、10wt%を越える場合には、焼成時
にペーストに含まれる樹脂の分解を妨げる恐れがあるか
らである。
【0038】また、樹脂としては、ポリメチルメタクリ
レート、エチルセルロース、ニトロセルロースなど、焼
成により分解しやすい、すなわち空気中での分解開始温
度が約300〜350℃の範囲内に入るような樹脂が選
択され、さらに、分解終了温度が誘電体層15に含まれ
るガラス成分の軟化点より低いものを用いれば、表示電
極13,14の樹脂が分解した後に誘電体層15を融着
固化することができるので、樹脂の分解時に発生する泡
が電極13,14内に残存することを抑制できると考え
られる。
【0039】上記樹脂は、銀ペーストを塗布する際に最
適な粘度になるように、銀ペーストに対して1〜10w
t%含まれるようにすることが好ましい。樹脂の含有量
が1wt%未満の場合には、ペーストの粘性が小さくな
り、塗布したときに所定の電極の形状を維持しにくくな
る可能性がある一方、逆に10wt%を越えて含まれて
いれば、銀ペーストの粘度が非常に高くなるので、ガラ
ス基板上に塗布したときに厚みムラが大きくなってしま
うからである。なお、上記分解開始温度、分解終了温度
とは、TG−DTA(thermogravimetric-differential
thermal analysis)分析装置を用いて、昇温速度10
℃/分で昇温したときの測定値である。
【0040】また、溶剤としては、エチレングリコール
などのアルコール系、ターピネオールなどのテルペン
系、メチルエチルケトンなどのケトン系、カルビトール
などのエーテル系などが用いられる。このような銀ペー
ストにおける銀とガラスフリットの混合物の熱膨張係数
は、75〜85×10-7/Kの範囲内となるようなもの
を用いることが好ましい。これにより、表示電極13,
14の熱膨張係数が前面ガラス基板11の熱膨張係数に
近似するため、焼成時における表示電極13,14と前
面ガラス基板11との界面に発生する熱膨張による応力
が小さくなり、表示電極13,14が前面ガラス基板1
1から剥離することを抑制することができる。
【0041】誘電体層被覆工程 次に、上記表示電極用ペースト塗布工程において塗布さ
れた表示電極13,14上に酸化鉛系ガラスや酸化ビス
マス系ガラスからなるガラス、樹脂、溶剤からなるガラ
スペーストを厚膜スクリーン印刷法やダイコート塗布法
によって塗布する。
【0042】ここで、ガラスペースト中のガラスは、そ
の熱膨張係数が上記表示電極13,14の形成に用いら
れた銀とガラスフリットの混合物の熱膨張係数よりも大
きいものが好ましい。後述する降温過程において、誘電
体層15の方がより収縮することになるので、表示電極
13,14と誘電体層15との界面に空隙が生じること
が防止されるからである。このガラスの軟化点は、上記
表示電極13,14の形成に用いられたガラスフリット
の軟化点よりも大きいものが用いられ、ガラスペースト
中の樹脂は、その分解開始温度が、表示電極13,14
の形成に用いられた樹脂の分解開始温度よりも低いもの
が用いられる。
【0043】このように誘電体層15を形成するガラス
ペーストが塗布された前面パネルは、恒温乾燥機などに
静置されてペースト中の溶剤が蒸発される。 焼成工程 第1焼成ステップ(時間t10〜t11) 次に、上記溶剤が蒸発した前面パネルを焼成炉中に静置
させ、図6の時間t10〜t11に示すように、5〜2
0℃/分の昇温速度で表示電極13,14および誘電体
層15の各ペーストに含まれた樹脂の分解開始温度(メ
チルメタアクリレートであれば約200℃)以上の温度
A2まで昇温させる。これによって、銀ペースト、ガラ
スペースト中に含まれる樹脂が分解されるので、図5
(3)のように、誘電体層15にはガラス粒子151間
に空隙部分が生じる。
【0044】第2焼成ステップ(時間t11〜t12) 温度A2まで到達したら、これ以降は、昇温速度を例え
ば5℃/分未満に遅くする、もしくは昇温を停止して一
定温度に保ち、銀ペーストに含まれるガラスフリットの
軟化点以上かつガラスペーストに含まれるガラスの軟化
点以下の温度に保つようにする。
【0045】これにより、銀ペーストおよびガラスペー
スト中の樹脂が完全に分解されるとともに、銀ペースト
中のフリットガラスが融着して図5(4)のように表示
電極13,14が形成される。ここで、上述したように
ガラスペースト中の樹脂の分解開始温度が、表示電極1
3,14の形成に用いられた銀ペーストの樹脂の分解開
始温度よりも低いものであれば、この時点ですでにガラ
スペースト中の樹脂はほとんど分解されるとともにガラ
ス粒が残存した状態となり、ガラス粒間にできる空隙を
通って、銀ペースト中の樹脂の分解に必要な酸素の供給
が増加するので、銀ペースト中の樹脂は容易に分解が進
行する。また、この空隙を通して表示電極13,14の
軟化時に発生する泡を焼成炉内に放出することができる
ので、表示電極13,14内には気泡が形成されにくく
なっている。そのため、表示電極13,14は緻密に構
成されるので高い導電性を示すようになる。
【0046】この第2焼成ステップにおいて樹脂の分解
を促進するために、焼成炉内に酸素などの酸化剤ガスを
供給することによって酸化ガス雰囲気で満たして樹脂の
酸化を促進したり、乾燥ガス雰囲気にして樹脂の燃焼に
よって発生する水分を除去して焼成を促進したりするよ
うにすれば、より完全にペースト中の樹脂分解を行うこ
とができる。他方、銀などの金属は酸化されやすいた
め、焼成炉内を水素などの還元性ガス雰囲気で満たすよ
うにして酸化を防止するようにしてもよい。また、樹脂
の分解時に発生するガスを速やかに焼成炉外に排出して
表示電極13,14内に気泡が形成されるのを防止する
ために焼成炉内を減圧するようにしてもよい。この減圧
は、第2焼成ステップ中において連続的に行うことが好
ましいが、瞬間的であっても気泡の形成を抑制すること
ができる。
【0047】第3焼成ステップ(時間t12〜t13) 第2焼成ステップにおいて、銀ペーストおよびガラスペ
ースト中の樹脂が完全に分解されたら、再度一定の昇温
速度(例えば、5〜20℃/分)を保ちながら誘電体層
のガラスにおける軟化点以上の温度A3まで昇温させ
る。 第4焼成ステップ(時間t13〜t14) その後、昇温速度を第3焼成ステップにおける昇温速度
よりも遅く、例えば5℃/分未満に遅くするもしくは昇
温速度を0にして、ガラスペースト中のガラスの軟化点
以上の温度A3以上となるように保つようにする。これ
によって、図5(5)に示すように、ガラスペーストに
含まれていたガラス粒151が融着され、緻密な構造を
有する誘電体層15が形成される。
【0048】第5焼成ステップ(時間t14〜t15) 次に、焼成炉内で高温になった前面パネルを室温まで温
度を下げる。ここで、誘電体層15および表示電極1
3,14にクラックが入ることを抑制するため、前面パ
ネルをゆっくりと放冷して降温させるようにしている。
この後、焼成炉から前面パネルを取り出し、CVD法な
どを用いて誘電体層15表面上にMgOを製膜すること
によって保護層が形成され、前面パネル10が形成され
る。
【0049】上述したような前面パネルの製造方法によ
れば、前面パネルにおける電極と誘電体層を、1回の焼
成だけで形成することができ、従来の製造方法よりも焼
成時間を短くできるので、銀の前面ガラス基板内への拡
散が抑制され、表示電極13,14と前面ガラス基板1
1との界面から7.5μm離れた位置における前面ガラ
ス基板内部に拡散された銀の濃度(直径5μm範囲)は
0.8wt%以下と従来に比べて少なくなる。
【0050】(3)背面パネルの形成方法 背面パネル20の製造方法の一例について、図1,2を
参照しながら説明する。背面パネル20は、まず、背面
ガラス基板21上に、上記表示電極の形成に用いたもの
と同じ電極用の銀ペーストをスクリーン印刷し焼成する
ことによって、アドレス電極22を列設された状態に形
成する。その上に上記誘電体層15の形成に用いたもの
と同じ成分に酸化チタンを含むガラスペーストをスクリ
ーン印刷法を用いて塗布することにより可視光反射層2
3を形成する。そして、上記前面パネルの焼成工程と同
様に焼成を行い、鉛系のガラス材料を含むペーストをス
クリーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した
後焼成することによって隔壁24を形成する。この隔壁
24により、放電空間26は、x軸方向にセル(単位発
光領域)毎に区画される。ここで、アドレス電極22お
よび可視光反射層23の焼成は、隔壁24を印刷した後
にまとめて焼成するようにしてもよい。
【0051】この隔壁24と隔壁24の間の溝には、赤
色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有
機バインダとからなるペースト状の蛍光体インキを塗布
する。これを400〜590℃の温度で焼成して有機バ
インダを焼失させることによって、各蛍光体粒子が結着
してなる蛍光体層25R,25G,25Bが形成され
る。
【0052】(4)パネル貼り合わせによるPDPの作
製 このようにして作製された前面パネル10と背面パネル
20は、表示電極13,14とアドレス電極22とが直
交するように重ね合わせられるとともに、パネル周縁に
封着用ガラスを介挿させ、これを例えば450℃程度で
10〜20分間焼成して気密シール層(不図示)が形成
されることにより封着される。そして、一旦放電空間2
6内を高真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気し
たのち、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe
系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによって
PDPが作製される。
【0053】上述したように、このような焼成ステップ
を経て形成される前面パネル10、および背面パネル2
0においては、焼成回数を従来に比べて減らすことがで
きるので、前面ガラス基板11に拡散する銀の量を抑制
することができる。したがって、PDPにおいては黄色
化が抑制されるので、色バランスの低下を抑制すること
ができる。また、表示電極13,14内の気泡の形成も
抑制されるので、緻密で導電性に優れる表示電極を得る
ことができる。また、焼成回数を従来よりも減らせるの
で、製造段階における時間、および加熱に必要なエネル
ギーなどを節約することができ、製造コストを低減する
ことも可能となる。
【0054】<実施例> (1)実施例サンプル PDPの前面パネルを図5,6を用いて説明した方法に
より形成した前面パネルの実施例サンプルを作製した。 (2)比較例サンプル PDPの前面パネルを図3,4を用いて説明した方法に
より形成した前面パネルの比較例サンプルを作製した。
【0055】(3)実験 実験方法 上記各実施例サンプルおよび比較例サンプルにおいて前
面ガラス基板内に拡散した銀、ナトリウムの量を測定し
た。測定位置については図7に示す。図7は、銀、ナト
リウムを測定位置を示すための実施例サンプルおよび比
較例サンプルにおける前面パネルの一部断面図を示す。
同図に示すように、実施例サンプルおよび比較例サンプ
ルの前面ガラス基板内において、前面ガラス基板11と
表示電極13(14)との界面から7.5μmの距離離
れた直径5μmの領域P1における銀、ナトリウムの量
を測定し、比較検討した。
【0056】加えて、表示電極13(14)の側面から
3μm離れるとともに、前面ガラス基板11から3μm
離れた位置の誘電体層15における直径5μmの領域P
2および、表示電極13(14)の主面と誘電体層15
との界面から5μm離れた点を中心とした誘電体層15
の直径5μmの領域P3での銀、ナトリウムの量を測定
し、比較検討した。
【0057】なお、ブランクとして、前面パネルを形成
する前の前面ガラス基板においても領域P1における
銀、ナトリウムの量を測定した。 実験条件 実施例サンプルおよび比較例サンプルに用いた前面ガラ
ス基板内に含まれるナトリウムの含有量=2.96wt
% 使用機器:日本電子製波長分散型X線マイクロアナライ
ザ JXA−8900R 加速電圧:10kV 照射電流:40nA ビーム径:5μm 上記測定機器を用いて、波長分散型X線マイクロアナラ
イザによる銀、ナトリウムの定量分析を行った。
【0058】(4)結果と考察:実験結果を表1に示
す。
【0059】
【表1】 この表からも分かるとおり、実施例サンプルにおいて
は、領域P1において銀の拡散量が0.73wt%とな
っており、比較例サンプルの0.88wt%と比較して
約17%低減していることが分かる。この値は、低くな
る方が基板の黄色化を抑制する意味で好ましく、従来の
製造方法では0.8wt%以下にすることが難しかった
が、実施例の製造方法では0.8wt%以下となること
が分かる。また、上記のように銀が前面ガラス基板内に
拡散する一方、イオン交換によって前面ガラス基板内の
ナトリウムが誘電体層に移動するのであるが、実施例サ
ンプルにおいては前面ガラス基板のナトリウム濃度が
2.70wt%と、前面パネル形成前の2.96wt%
からあまり減少していないことが分かる。この前面パネ
ル形成前の前面ガラス基板のナトリウム濃度は、前面パ
ネル形成後の前面ガラス基板における電極と反対側の主
面において測定した濃度を代用することができる。これ
は、電極と反対側の主面において、ナトリウムと銀のイ
オン交換はほとんど起こっていないことが実験的に確認
されているからである。
【0060】また、領域P2,P3においても、銀、ナ
トリウムの拡散量ともに、実施例サンプルの方が比較例
サンプルに比べて少ないことが分かる。特に領域P2に
おけるナトリウムの量が比較例サンプルの0.33wt
%に対して実施例サンプルでは0.20wt%と小さ
く、実施例サンプルにおいては銀とナトリウムのイオン
交換が比較的抑制されていると考えられる。この値は、
パネルの黄色化を抑制する意味で低い方が好ましく、従
来の方法では0.25wt%以下にすることが難しかっ
たが、実施例の方法では、0.25wt%以下となって
いる。領域P3においては、実施例サンプルにおいて、
銀の拡散量が0.33wt%となっており、比較例サン
プルの0.48wt%と比較して低いことが分かる。こ
の値は、パネルの黄色化を抑制する意味で低い方が好ま
しく、従来の方法では0.4wt%以下にできなかった
が、実施例の方法では、0.4wt%以下となっている
ことが分かる。
【0061】領域P3と領域P1における銀濃度の比を
比較してみると、実施例サンプルが0.45に対して比
較例サンプルが0.54と実施例サンプルの方が小さく
なっている。この比の値は、パネルの黄色化、誘電体層
の絶縁破壊を抑制するために0.5以下となることが好
ましい。すなわち、0.5以下の値をとることによっ
て、銀の誘電体層への拡散が抑制され、パネルの黄色化
を抑制できるとともに、導電性を有する銀が誘電体層に
拡散されることによる絶縁破壊も抑制することができる
と考えられる。
【0062】これらのことは、実施例サンプルの製造方
法における焼成回数を従来に比べて減少することができ
るので、銀の前面ガラス基板への拡散(ナトリウムの誘
電体層への拡散)が抑制された結果であると考えられ
る。 <本実施の形態に係る変形例> (1)上記実施の形態においては、前面パネルにライン
状の表示電極を形成したが、異なる形状の電極を形成す
る場合においても本発明を実施することができる。
【0063】本変形例におけるPDPは、上記実施の形
態のPDPと略同じ構造であり、図8に示す表示電極2
30,240の構造が異なるのみである。図8は、本変
形例における前面パネルの要部平面図である。同図に示
すように、表示電極230,240は、対となって平行
に列設されている。
【0064】表示電極230は、ライン部231,23
2と、架橋部233とを備え、間隔を開けて平行に列設
されるライン部231,232間を複数の架橋部233
によって連結された構成(以下、このような構造を「フ
ェンス形状」という。)をしている。この表示電極23
0は、表示領域において図示しない前面ガラス基板と直
接接するように形成されている。
【0065】表示電極240は、ライン部241,24
2と架橋部243を備え、表示電極230と同様、フェ
ンス形状に構成されている。各表示電極230,240
は、本実施の形態と同様の方法によって形成することが
でき、前面ガラス基板上に銀ペーストをスクリーン印刷
によって形成する際に、フェンス形状に塗布することに
よって形成される。
【0066】このような構造の表示電極においても、上
記実施の形態の製造方法を適用することによって、黄色
化が抑制されるPDPを提供することができる。 (2)上記実施の形態においては、PDPを例に説明し
てきたが、ガラス基板に厚膜からなる銀電極を形成する
ようなフィールドエミッションディスプレイパネルなど
のディスプレイパネルにおいても同様にディスプレイパ
ネルのガラス基板の黄色化を抑制することができる。
【0067】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
ディスプレイパネルは、基板上の一方の主面に列設され
た複数の電極と当該複数の電極を覆うように形成された
誘電体層とを有する第1パネルと、第2パネルとが隔壁
を介して平行に対峙して配設されるディスプレイパネル
であって、前記第1パネルは、基板の組成にガラスを有
するとともに電極の組成に銀を有し、誘電体層中におい
て電極の主面と誘電体層の界面から5μm離れた点を中
心とする直径5μm領域に拡散した銀の濃度と、基板中
において電極と基板との界面から7.5μm離れた点を
中心とする直径5μm領域に拡散した銀の濃度との比が
0.5以下となるようにしているので、誘電体層への銀
の拡散が少なく、誘電体層の絶縁破壊が抑制されるとと
もに、基板への銀の拡散も少ないと思われる。したがっ
て、基板の黄色化が低減される。上記パネルが前面パネ
ルであれば、光を透過する基板の黄色化が抑制されるの
で、ディスプレイパネルの色温度の低下を抑制すること
ができる。
【0068】また、本発明に係るディスプレイパネルの
製造方法は、前面ガラス基板上に銀電極を設けるととも
に当該銀電極を覆うように誘電体層を形成する前面パネ
ル形成工程を有するディスプレイパネルの製造方法であ
って、前記前面パネル形成工程は、前面ガラス基板上に
銀、第1の樹脂、第1のガラスを含むパターン層を形成
する第1の工程と、前記第1の工程において形成された
パターン層上を覆うように、第2の樹脂および第2のガ
ラスを含む被覆層を形成する第2の工程と、前記パター
ン層および被覆層を同時焼成する第3の工程とを備える
ので、パターン層と被覆層とを同時焼成することによっ
て焼成する時間を従来に比べて短くすることができ、銀
が前面ガラス基板内に拡散することを抑制することがで
きる。そのため、前面ガラス基板の黄色化が抑制され、
従来に比べて色温度の高いディスプレイパネルを製造す
ることができる上、製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るPDPの一部概略断
面斜視図である。
【図2】図1におけるPDPをx軸方向から見たときの
一部を拡大した断面図である。
【図3】従来のPDPの前面パネルを形成する方法を示
すためのPDPの工程図を示し、(1)〜(5)の番号
順に進行する。
【図4】従来のPDPの前面パネルの焼成工程における
焼成温度と焼成時間の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係るPDPの前面パネル
を形成する方法を示すためのPDPの工程図を示し、
(1)〜(5)の番号順に進行する。
【図6】本発明の実施の形態に係るPDPの前面パネル
の焼成工程における焼成温度と焼成時間の関係を示すグ
ラフである。
【図7】実施例、比較例サンプルにおける銀、ナトリウ
ムの量を測定した位置を示すためのPDPの一部を拡大
した断面図である。
【図8】実施の形態の変形例におけるPDPの前面パネ
ルの一部を示す平面図である。
【符号の説明】
10 前面パネル 11 前面ガラス基板 13,14 表示電極 15 誘電体層 16 保護層 20 背面パネル 21 背面ガラス基板 22 アドレス電極 23 可視光反射層 24 隔壁 25R,G,B 蛍光体層 26 放電空間 151 ガラス粒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大河 政文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 竹内 泰郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大谷 光弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開2000−226233(JP,A) 特開2000−156168(JP,A) 特開 平10−302648(JP,A) 特開 平9−171769(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 11/02 H01J 9/02 H01J 17/16

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に配設された銀を含む電極と当
    極を覆うように形成された誘電体層とを有するパ
    を備えたディスプレイパネルであって、 前記パネルは、基板中における電極と基板との界面から
    7.5μm離れた点を中心とする直径5μm領域の銀濃
    度が0.8wt%以下である ことを特徴とするディスプ
    レイパネル。
  2. 【請求項2】 前記パネルは、ディスプレイパネルの表
    示方向前面に配される前面パネルであることを特徴とす
    る請求項1に記載のディスプレイパネル。
  3. 【請求項3】 前記パネルは、基板の組成にガラスを有
    するとともに電極の組成に銀を有し、誘電体層中におい
    て電極の主面と誘電体層の界面から5μm離れた点を中
    心とする直径5μm領域に拡散した銀の濃度の、基板中
    において電極と基板との界面から7.5μm離れた点を
    中心とする直径5μm領域に拡散した銀の濃度との比が
    0.5以下であることを特徴とする請求項に記載のデ
    ィスプレイパネル。
  4. 【請求項4】 基板上に配設された銀を含む電極と当該
    電極を覆うように形成された誘電体層とを有するパネル
    を有するディスプレイパネルであって、 誘電体層中における電極主面と誘電体層との界面から5
    μm離れた点を中心とする直径5μm領域の銀濃度が
    0.4wt%以下であることを特徴とするディスプレイ
    パネル。
  5. 【請求項5】 基板上に配設された銀を含む電極と当
    極を覆うように形成された誘電体層とを有するパ
    を備えたディスプレイパネルであって、 前記パネルは、基板の組成にガラスと2.5wt%以上
    のナトリウムを有するとともに電極の組成に銀を有し、
    基板中において電極と基板との界面から7.5μm離れ
    た点を中心とする直径5μm領域のナトリウム濃度が、
    電極の形成された主面と反対側の主面における直径5μ
    m領域のナトリウム濃度の90%以上あることを特徴と
    するディスプレイパネル。
  6. 【請求項6】 前記パネルは、誘電体中における前記電
    極側面から3μm離れるとともに電極と基板との界面か
    ら3μm離れた点を中心とする直径5μm領域のナトリ
    ウム濃度が0.25wt%以下であることを特徴とする
    請求項5に記載のディスプレイパネル。
  7. 【請求項7】 前記ディスプレイパネルは、プラズマデ
    ィスプレイパネルであることを特徴とする請求項2に記
    載のディスプレイパネル。
  8. 【請求項8】 ガラス基板上に銀を含む電極を設けると
    ともに当該銀電極を覆うように誘電体層を形成するパ
    ル形成工程を有するディスプレイパネルの製造方法であ
    って、前記パネル 形成工程は、ガラス基板上に銀、第1の樹
    脂、第1のガラスを含むパターン層を形成する第1の工
    程と、 前記第1の工程において形成されたパターン層上を覆う
    ように、第2の樹脂および第2のガラスを含む被覆層を
    形成する第2の工程と、 前記パターン層および被覆層を同時焼成する第3の工程
    とを備えることを特徴とするディスプレイパネルの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記第3の工程は、前記パターン層およ
    び被覆層に含まれる第1、第2の樹脂の分解開始温度以
    上まで昇温する第1ステップと、 前記第1のガラスの軟化点以上、かつ前記第2のガラス
    の軟化点未満の温度範囲に保つ第2ステップと、 前記第2のガラスの軟化点以上の温度まで昇温する第3
    ステップとを備えることを特徴とする請求項に記載の
    ディスプレイパネルの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第2ステップは、第1ステップに
    おける昇温速度よりもその速度を遅くする期間を設ける
    ことによって、前記第1のガラスの軟化点以上、かつ前
    記第2のガラスの軟化点未満の範囲に温度を保つことを
    特徴とする請求項に記載のディスプレイパネルの製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記第3の工程は、減圧雰囲気下で行
    うことを特徴とする請求項に記載のディスプレイパネ
    ルの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第3の工程は、還元性ガス雰囲気
    下で行うことを特徴とする請求項に記載のディスプレ
    イパネルの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第3の工程は、酸化性ガス雰囲気
    下で行うことを特徴とする請求項に記載のディスプレ
    イパネルの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第3の工程は、乾燥ガス雰囲気下
    で行うことを特徴とする請求項に記載のディスプレイ
    パネルの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の工程は、ガラス基板上に
    銀、第1の樹脂、第1のガラスを含むパターン層を直接
    形成することを特徴とする請求項に記載のディスプレ
    イパネルの製造方法。
  16. 【請求項16】 第2の樹脂の分解開始温度は、第1の
    樹脂の分解開始温度よりも低いことを特徴とする請求項
    8〜10の何れかに記載のディスプレイパネルの製造方
    法。
JP2001101471A 2000-03-31 2001-03-30 ディスプレイパネルおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3363141B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001101471A JP3363141B2 (ja) 2000-03-31 2001-03-30 ディスプレイパネルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000097306 2000-03-31
JP2000-97306 2000-03-31
JP2001101471A JP3363141B2 (ja) 2000-03-31 2001-03-30 ディスプレイパネルおよびその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002289542A Division JP2003115261A (ja) 2000-03-31 2002-10-02 ディスプレイパネルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001345055A JP2001345055A (ja) 2001-12-14
JP3363141B2 true JP3363141B2 (ja) 2003-01-08

Family

ID=26589100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001101471A Expired - Fee Related JP3363141B2 (ja) 2000-03-31 2001-03-30 ディスプレイパネルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3363141B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001345055A (ja) 2001-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100254479B1 (ko) 플라즈마 디스플레이판넬 및 그 제조방법
US6614184B2 (en) Display panel and display panel production method
JP2003115261A (ja) ディスプレイパネルの製造方法
JP3363141B2 (ja) ディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2002373592A (ja) プラズマディスプレイパネル用電極およびその製造方法
KR20060116117A (ko) 플라즈마 디스플레이 패널의 제조방법
JP2000011898A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2002367518A (ja) プラズマディスプレイパネル用電極、プラズマディスプレイパネル
KR100831009B1 (ko) 플라스마 디스플레이 패널
JP2004247211A (ja) 厚膜シート電極の製造方法
JP4017816B2 (ja) プラズマディスプレイの製造方法
JP3846636B2 (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
KR100696634B1 (ko) 가스 방전 표시 장치 및 그 제조 방법
JP3946241B2 (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP2002015664A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2000123743A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2001057152A (ja) カラーpdpの製造方法
JP3965974B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
KR100823203B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 소자의 전면판 구조 및 그 제조방법
JP2004146231A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2002324491A (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP4197190B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4162692B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2858203B2 (ja) 蛍光表示管およびその製造方法
JPH10302652A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071025

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081025

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091025

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091025

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101025

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111025

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121025

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131025

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees