JP3363122B2 - カバー一体型ガスケットの製造方法 - Google Patents

カバー一体型ガスケットの製造方法

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JP3363122B2 JP2000066202A JP2000066202A JP3363122B2 JP 3363122 B2 JP3363122 B2 JP 3363122B2 JP 2000066202 A JP2000066202 A JP 2000066202A JP 2000066202 A JP2000066202 A JP 2000066202A JP 3363122 B2 JP3363122 B2 JP 3363122B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マー組成物の射出成形により、ガスケット性能に優れた
カバー一体型ガスケットを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ等の電子機器は高性
能化、小型化が進み、複雑な回路構成を有するようにな
っており、わずかな塵によっても障害が起こるため、実
用上、防塵の必要性が高まっており、通常は、これらの
電子機器を内蔵する箱状の本体とカバー体との接合面に
ガスケットを挟持して取付ボルト等により締結して密封
一体化することがなされている。また、使用時の取り扱
いを簡単にするため、ガスケット部とカバー体とが一体
となったカバー一体型ガスケットの形でも多く用いられ
る。かかるカバー一体型ガスケットは、金属製カバー体
の表面に熱可塑性エラストマーを射出または押出しし、
ガスケット部を形成する方法により製造されるが、その
際の熱可塑性エラストマーの射出または押出しの方向
は、ガスケット部の使用時の当接面(使用に際して容器
本体に当接して密封を実現する為の面、以下単に”当接
面”と記すことがある。)の方向からとするのが通常で
あった。しかしながら、この場合は次のような不都合が
あった。 熱可塑性エラストマーの射出または押出しの為の流し
口をガスケット部とは別に設けると、そのためのスペー
スが必要となるため、ガスケット設計上の制約が発生す
る。 スペース問題を避けるためガスケット部の使用時の当
接面上に流し口を設けると、ガスケット面の平面性が失
われガスケット性能に支障がでる恐れがある。 ガスケットゴム部を金属カバー表面のできるだけ端に
設置しようとすると、射出口もカバー端部へ設けること
が必要になるが、金属カバー端部は、カバーの剛性をと
る目的でガスケットを設ける側へ曲げてある事が多いた
めに、設計上射出口をカバー端部へ設けることが難し
い。つまり、射出成形機の射出口と金属カバーの端部曲
げ部が干渉するのである。従って、金属カバーの端へガ
スケットゴム部を設けることは容易には出来ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、設計上の制約やガスケット面の平面性が失わ
れてガスケット性能に支障が出るようなことなしに、カ
バー一体型ガスケットを製造する方法を提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究の結果、熱可塑性エラストマー組
成物をガスケット部の当接面とは異なる方向から金型内
に射出注入することにより、その目的を達成しうること
を見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成した
ものである。
【0005】すなわち、本発明は、金属製カバー体を金
型内に設置し、該カバー体の表面に熱可塑性エラストマ
ー組成物からなるガスケット材を射出してガスケット部
を成形するに際し、熱可塑性エラストマー組成物をガス
ケット部の使用時の当接面とは異なる方向から射出注入
する、カバー一体型ガスケットの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の方法において、ガスケッ
ト部の当接面とは異なる方向とは、ガスケット部の裏
面、即ち、金属製カバーと接触する面の方向及びガスケ
ット部の側面の方向を意味するが、それらの方向からの
射出注入の方法を、図1〜4により説明する。図1は、
熱可塑性エラストマー組成物からなるガスケット材をガ
スケット部の(当接面に対する)裏面、即ち、金属製カ
バーと接触する面の方向から射出した場合の例を示す平
面図であり、図2は図1におけるA−A’線断面図であ
る。図1において、4辺をL字型に折り曲げた形状の金
属製カバー1上にガスケット部2が形成されており、ガ
スケット部2の図示されている面が当接面である。図2
に示したように、金属製カバー1には予め孔(ピンホー
ル)3が明けられており、この金属製カバーを金型内に
設置して、熱可塑性エラストマー組成物を、ガスケット
部の裏面、即ち金属製カバーと接触する面の方向(図2
中に矢印4で示した。)からこの金属製カバー1の孔3
を通じて金型内のキャビティーに射出注入することによ
り、カバー一体型ガスケットが製造される。
【0007】図3は、熱可塑性エラストマー組成物をガ
スケット部の側面の方向から射出した場合の例を示す平
面図であり、図4は図3におけるA−A’線断面図であ
る。図3において、金属製カバー1上にガスケット部2
が形成されており、ガスケット部2の図示されている面
が当接面である。 図4に示したように、金属製カバー
1には予め孔(ピンホール)3が明けられており、この
金属製カバーを金型内に設置して、熱可塑性エラストマ
ー組成物をガスケット部の側面の方向(図4中に矢印4
で示した。)からこの孔3を通じて金型内に射出注入す
ることにより、カバー一体型ガスケットが製造される。
なお、図3、4の例においては、ガスケット部の側面の
方向に金属製カバー1がL字型に折り曲げた形状で存在
するため、予め孔を明けているが、この部分に金属製カ
バーが存在しない場合は、金属製カバーに孔を明ける必
要はない。また、図3、4の例においては、ランナー部
5も残存するが、ガスケット部の機能には何ら影響な
い。
【0008】金属製カバーの孔は、ガスケット部の形
状、大きさなどにより、1個又は2個以上を適当な位置
に明けるのが適当である。金属製カバーには、フェノー
ル樹脂、ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤等の接着
剤を予め塗布しておくことにより、ガスケット部を強固
に保持し、成形時または使用時にガスケット部が金属製
カバーから剥れたり金型側に残るのを防ぐことができる
が、後記する、本発明者らが提案する熱可塑性エラスト
マー組成物、特に変性ポリオレフィン系樹脂を構成成分
とする熱可塑性エラストマー組成物は、金属との接着性
に極めて優れており、これらを使用した場合は、接着剤
の塗布等を施すことなく、ガスケット部を強固に保持し
たカバー一体型ガスケットを製造することができる。
【0009】本発明のカバー一体型ガスケットの製造方
法で使用するカバーを形成する金属板としては、特に制
限はなく、例えば冷延鋼板,亜鉛めっき鋼板,アルミニ
ウム/亜鉛合金めっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニ
ウム板,アルミニウム合金板,マグネシウム板,マグネ
シウム合金板などの中から、カバー体の用途に応じて適
宜選択して用いることができる。また、マグネシウムを
射出成形したものも用いることができる。耐食性の点か
ら、無電解ニッケルめっき処理を施した金属板が好適で
ある。この無電解ニッケルめっき処理方法としては、従
来金属素材に適用されている公知の方法、例えば硫酸ニ
ッケル,次亜リン酸ナトリウム,乳酸,プロピオン酸な
どを適当な割合で含有するpH4.0〜5.0程度で、かつ
温度85〜95℃程度の水溶液からなる無電解ニッケル
めっき浴中に、金属板を浸漬する方法などを用いること
ができる。本発明で用いられる金属板の厚さは、カバー
体の用途に応じて適宜選定されるが、通常0.3〜1.0m
m、好ましくは0.4〜0.6mmの範囲である。
【0010】本発明のカバー一体型ガスケットの製造方
法で使用する熱可塑性エラストマーとしては、特に制約
はなく、例えばスチレン系,オレフィン系,ウレタン
系,エステル系等の熱可塑性エラストマーを用いること
ができる。本発明者らは、先にゴム弾性に優れ、オイル
保持性が良く、低硬度で、ヘタリ性に優れ、かつ圧縮永
久歪みの小さいガスケット材として、(a)ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つ
と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少
なくとも一つからなるブロック共重合体に水素添加して
得られる水添ブロック共重合体であって、その重量平均
分子量が15万以上であって、ビニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックがポリスチレンであって、水添
ブロック共重合体中に占めるそのポリスチレン含有量が
20〜40重量%である水添ブロック共重合体100重
量部、(b)40℃における動粘度が300mm2 -1
以上である非芳香族系ゴム用軟化剤50〜200重量
部、及び(c)ポリプロピレンを主成分とするポリオレ
フィン系樹脂5〜50重量部からなり、その硬度がJI
S K6253に準拠したタイプAデュロメーターで5
0°以下、JIS K6262に準拠して測定した25
%圧縮下で70℃、22時間放置した後の圧縮永久歪み
率が50%以下の熱可塑性エラストマー組成物を提案し
たが、この熱可塑性エラストマー組成物も本発明のカバ
ー一体型ガスケットの製造方法において好適に使用しう
るものである。
【0011】本発明者らは、さらに、上記熱可塑性エラ
ストマー組成物の金属との接着性を改良したものとし
て、(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロ
ックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共
重合体に水素添加して得られる水添ブロック共重合体で
あって、重量平均分子量が20万以上であって、ビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックがスチレンで
あって、水添ブロック共重合体中に占めるそのポリスチ
レン量比率が重量比率で20〜40%である水添ブロッ
ク共重合体100重量部、(b)40℃における動粘度
が300mm2 -1以上である非芳香族系ゴム用軟化剤
100〜200重量部、及び(c)変性ポリオレフィン
系樹脂10〜50重量部からなる熱可塑性エラストマー
組成物であって、その硬度がJISK6253に準拠し
たタイプAデュロメーターで50°以下、JIS K6
262に準拠して測定した25%圧縮下で70℃、22
時間放置した後の材料の圧縮永久歪み率が50%以下で
ある樹脂組成物を提案しているが、この熱可塑性エラス
トマー組成物は本発明のカバー一体型ガスケットの製造
方法において、特に好適に使用しうるものである。
【0012】この、金属との接着性が改良された熱可塑
性エラストマー組成物において、(a)成分の水添ブロ
ック共重合体は、例えば、ポリブタジエンとポリスチレ
ンとのブロック共重合体、及びポリイソプレンとポリス
チレンとのブロック共重合体、あるいは、ポリブタジエ
ン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリス
チレンとのブロック共重合体を水添して得ることがで
き、特に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重
合体、又はスチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共
重合体が好ましい。具体的には、結晶性ポリエチレンと
ポリスチレンとのジブロック共重合体,スチレン−エチ
レン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(S
EBS),スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン
のトリブロック共重合(SEPS),スチレン−エチレ
ンプロピレン/エチレンブチレン−スチレンブロック共
重合体などを挙げることができるが、中でも、SEB
S,SEPS又はスチレン−エチレンプロピレン/エチ
レンブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。
【0013】これらの水添ブロック共重合体の重量平均
分子量は20万以上であり、特に40〜70万が好まし
い。この重量平均分子量が20万未満であると、軟化剤
のブリードが著しく、圧縮永久歪みが大きく、実際の使
用には耐えないという不都合が生じる。上記水添ブロッ
ク共重合体の(非晶質)スチレンブロックの含有量は、
20〜40重量%である。この含有量が20重量%未満
では、圧縮永久歪が大きくなり、40重量%を超えると
硬度が高くなりすぎる。
【0014】(非晶質)スチレンブロック部のガラス転
移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上
であるものが望ましい。また、両末端の非晶質スチレン
ブロックを連結する部分の重合体としては、やはり非晶
質のものが好ましく、例えば、エチレン−ブチレン共重
合体、ブタジエン重合体,イソプレン重合体等の水添物
を挙げることができ、これらのブロックあるいはランダ
ム共重合体であってもよい。なお、これらの水添ブロッ
ク共重合体は主に単独で用いられるが、二種以上をブレ
ンドして用いてもよい。分子量やスチレン量の異なる2
種類以上の共重合体をブレンドすることにより成形時の
流動性を改良できる。これら水添ブロック共重合体は、
(株)クラレ製セプトン(商品名),シェル化学(株)
製クレイトンG(商品名),旭化成(株)製タフテック
(商品名)等として市販されているものから容易に入手
できるものである。
【0015】前記の、金属との接着性が改良された熱可
塑性エラストマー組成物において、(b)成分の非芳香
族系ゴム用軟化剤は、本発明の樹脂組成物を低硬度化す
る為に配合するものであり、40℃におけ動粘度が30
0mm2 -1以上のものを使用する。この軟化剤の40
℃における動粘度が300mm2 -1未満であると、揮
発による組成物の重量減やブリードが著しく、実際の使
用に耐えないという不都合が生じる。この動粘度は、実
用上及び製造上の点から、40℃において300〜10
000mm2 -1であることが好ましく、特に300〜
5000mm2 -1が好ましい。また、分子量の観点か
らは、重量平均分子量は20000未満、特に1000
0以下、とりわけ5000以下であるものが好ましい。
このような軟化剤としては、通常、室温で液体または液
状のものが好適に用いられる。このような性状を有する
軟化剤としては、例えば鉱物油系,植物油系,合成系な
どの各種非芳香族系ゴム用軟化剤の中から適宜選択する
ことができる。ここで、鉱物油系としては、ナフテン
系,パラフィン系などのプロセス油が挙げられ、植物油
系としては、ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,
大豆油,パーム油,梛子油,落花生油,木ろう,パイン
オイル,オリーブ油などが挙げられる。なかでも、特に
鉱物油系のパラフィン系オイル,ナフテン系オイル又は
合成系のポリイソブチレン系オイルから選択される一種
又は二種以上であって、その数平均分子量が450〜5
000であるものが好ましい。
【0016】なお、これらの軟化剤は一種を単独で用い
てもよく、互いの相溶性が良好であれば二種以上を混合
して用いてもよい。これらの軟化剤の配合量は、前記
(a)成分100重量部に対し、100〜200重量部
であるが、好ましくは100〜150重量部である。こ
の配合量が100重量部未満では充分な低硬度化が達成
できず熱可塑性材料の柔軟性が不充分となるおそれがあ
り、また200重量部を超えると軟化剤がブリードしや
すくなり、かつ熱可塑性材料の機械的強度が低下する原
因となる。なお、この軟化剤の配合量は、(a)成分の
水添ブロック共重合体の分子量及び該水添ブロック共重
合体に添加される他の成分の種類に応じて、上記範囲で
適宜選定することが好ましい。これらの軟化剤は、出光
興産(株)製ダイアナプロセスオイルシリーズ(商品
名)、日本サン石油(株)製サンバーシリーズ(商品
名),サンセンシリーズ(商品名)、三井化学(株)製
ルーカントシリーズ(商品名)等として市販されている
ものから容易に入手できるものである。
【0017】前記の、金属との接着性が改良された熱可
塑性エラストマー組成物において、(c)成分の変成ポ
リオレフィン系樹脂は、加工性、耐熱特性の向上を図る
と共に、金属との接着性を向上させる為に配合するもの
である。この、変性される、ポリオレフィン系樹脂とし
ては、ポリプロピレンを主体としたものが好ましく、ア
イソタクティックポリプロピレン,プロピレンと他の少
量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロピレン
−エチレン共重合体,プロピレン/4−メチル−1−ペ
ンテン共重合体)などを挙げることができる。ポリオレ
フィン系樹脂としてアイソタクティックポリプロピレン
の共重合体を用いる場合、そのMFR(JIS K72
10に準拠、230℃、2.16kg荷重下)が0.1g/
10分以上、特に0.5g/10分以上の範囲のものが好
適に使用できる。
【0018】変成ポリオレフィン系樹脂は、かかるポリ
オレフィン系樹脂に官能基を有する重合性化合物を重合
させたものであるが、特に、赤外線吸収スペクトルの波
数1500〜2000cm-1に吸収帯を持つ官能基を有
するポリオレフィン系樹脂が好ましい。すなわち、「高
分子分析ハンドブック」(紀伊国屋書店)によれば、プ
ラスチック、ゴムなどの高分子材料の赤外線分析の「定
性分析への応用」として、高分子組成物に特有な「特性
吸収帯」があり、1550〜1950cm-1の範囲にお
いてポリマーの官能基に特徴的な吸収帯があることが判
っている。例えば、「ケトン、アルデヒド、アミドなど
のカルボニル基による」吸収が「1700cm-1付近に
現れ」、「エステル、酸塩化物、酸無水物の場合には、
より高波数側の1850〜1725cm-1付近に吸収が
現われ」、「解離したカルボン酸の場合には1610〜
1550cm-1」に吸収帯があると記載されている。更
に、詳しく「1750〜1720cm-1領域にカルボニ
ルに特有の」吸収があることも記載されている。また、
無水マレイン酸をグラフトしたポリプロピレンの赤外線
吸収スペクトルに関して特に「無水マレイン酸のC=O
伸縮振動が1785および1860cm-1付近に現われ
る」旨記載されている。一方、該ハンドブックに記載さ
れている純粋なポリプロピレンの赤外線吸収スペクトル
には、この領域(1550〜1950cm-1)に赤外線
の吸収がない。本発明者らは、鋭意研究の結果、150
0〜2000cm-1の領域に吸収帯をもつ官能基(無水
マレイン酸、アクリル酸、アミド、カルボン酸エステル
など)を有するポリオレフィン系樹脂が前記(c)成分
として、好ましいことを発見した。
【0019】この、1500〜2000cm-1の領域に
吸収帯をもつ官能基としては、不飽和カルボン酸、特に
無水マレイン酸、アクリル酸などの状態であるものがよ
り好ましく、酸エステルになっているものよりも良好な
接着性を示す。このような官能基を有するポリオレフィ
ン系樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル
(株)製ニュクレルシリーズ(商品名),三洋化成
(株)製ユーメックスシリーズ(商品名),エクソン化
学(株)製エクセラーシリーズ(商品名),ユニロイヤ
ル(株)製ポリボンドシリーズ(商品名),三井化学
(株)製アドマーシリーズ(商品名)等として市販され
ているものを利用できる。また、変成率(重量%:ポリ
プロピレン100重量部に対して使用する変成剤の重量
部)は、十分な接着性を得るためには、1重量%以上が
好ましい。また、(c)成分の配合量は、前記(a)成
分100重量部に対し、10〜50重量部であるが、好
ましくは10〜30重量部である。この配合量が10重
量部以下では、必要な接着性は得られず、50重量部を
超えると得られる熱可塑性材料の硬度が高くなり過ぎ
る。これらの成分(a)、(b)及び)(c)からなる
本発明の樹脂組成物は、硬度がJIS K6253に準
拠したタイプAデュロメーターで50°以下で、JIS
K6262に準拠して測定した25%圧縮下で70
℃、22時間放置した後の材料の圧縮永久歪み率が50
%以下のものであり、これらの条件が満たされない場合
は、ガスケット材としての使用に適さないものとなる。
【0020】また、本発明で使用する熱可塑性エラスト
マー組成物には、クレー,珪藻土,タルク,硫酸バリウ
ム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物,
マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウムなどのりん
片状無機系添加剤、各種の金属粉,ガラス粉,セラミッ
クス粉,粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉
末状固体充填剤,その他の各種の天然または人工の短繊
維,長繊維(例えば、ガラスファイバー,金属ファイバ
ー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合す
ることができる。
【0021】また、中空フィラー、例えば、ガラスバル
ーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン,
ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フ
ィラーを配合することにより、軽量化を図ることができ
る。更に軽量化などの各種物性の改善のために、各種発
泡剤を混入することも可能であり、また、混合時等に機
械的に気体を混ぜ込むことも可能である。
【0022】また、他の添加剤として、必要に応じて、
難燃剤,抗菌剤,ヒンダードアミン系光安定剤,紫外線
吸収剤,酸化防止剤,着色剤,クマロン樹脂,クマロン
−インデン樹脂,フェノールテルペン樹脂,石油系炭化
水素,ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファ
イヤー)、レオストマーB(商品名:理研ビニル社製)
などの各種接着剤性エラストマー、ハイブラー(商品
名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両
末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合
体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボ
ルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)など
の他の熱可塑性エラストマー又は樹脂などを併用するこ
とができる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例において使用
した熱可塑性エラストマー組成物は、重量平均分子量が
35万でポリスチレン含有量30重量%の以上のSEP
S100重量部、40℃における動粘度が380mm2
-1のパラフィン系オイル150重量部及び変性率5重
量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン25重量部を
十分に混練したもので、JIS K6253に準拠し、
タイプAデュロメーターで測定した硬度が30°、JI
S K6262に準拠し、25%圧縮下で70℃、22
時間放置した後の圧縮永久歪みが30%のものである。
【0024】実施例1 図1及び2により説明したガスケット部の裏面、即ち、
金属製カバーと接触する面の方向から熱可塑性エラスト
マー組成物を射出注入する方法により、図1及び2に示
した形状の金属(アルミ)製カバー一体型ガスケットを
製造した。射出条件は、射出温度200℃、射出サイク
ル20秒であり、形成されたガスケット部は、幅1m
m、高さ1mmで1辺50mmの□形状である。得られ
たカバー一体型ガスケットにおいて、ガスケット部は、
射出操作における脱型(金型を開いて成形物を取り出す
操作)の際に金属製カバーから剥離することなく金属製
カバーの固着されており、しかもその当接面で非常に優
れた平面性を保持していた。
【0025】実施例2 図3及び4により説明したガスケット部の側面の方向か
ら熱可塑性エラストマー組成物を射出注入する方法によ
り、図3及び4に示した形状の金属(アルミ)製カバー
一体型ガスケットを製造した。射出条件及び形成された
ガスケット部の寸法・形状は、実施例1の場合と同様で
ある。得られたカバー一体型ガスケットにおいて、ガス
ケット部は、射出操作における脱型(金型を開いて成形
物を取り出す操作)の際に金属製カバーから剥離するこ
となく金属製カバーの固着されており、しかもその当接
面で非常に優れた平面性を保持していた。
【0026】比較例1 実施例1の場合と同様のカバー一体型ガスケットを、熱
可塑性エラストマー組成物を射出注入する方向を、ガス
ケット部の当接面の方向(図2の左から右へ向かう方
向)に変えた以外は、実施例1と全く同様にして製造し
た。得られたカバー一体型ガスケットにおいて、ガスケ
ット部は、射出操作における脱型(金型を開いて成形物
を取り出す操作)の際に金属製カバーから剥離すること
なく金属製カバーの固着されていたが、その当接面のラ
ンナー部は完全に除去することはできず、当接面の平面
性が損なわれる結果となった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、設計上の制約やガスケ
ット面の平面性が失われてガスケット性能に支障がでる
ようなことなしに、カバー一体型ガスケットを製造する
ことができ、かくして得られるカバー一体型ガスケット
は、特に、高い防塵性を要求されるハードディスクドラ
イブ用のガスケット材として好適に用いられるが、その
他にも、通常のガスケット材、パッキング材として、気
密性が要求される部位のいずれにも好適に使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法で得られるカバー一体型ガスケ
ットの1例を示す平面図である。
【図2】 図1における、A−A’線断面図である。
【図3】 本発明の方法で得られるカバー一体型ガスケ
ットの他の1例を示す平面図である。
【図4】 図3における、A−A’線断面図である。
【符号の説明】
1:金属製カバー 2:ガスケット部 3:孔(ピンホール) 4:射出注入方向 5:ランナー部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 3/10 C09K 3/10 K R Z F16J 15/00 F16J 15/00 B // B29K 21:00 B29K 21:00 B29L 31:26 B29L 31:26 (56)参考文献 特開 昭54−113651(JP,A) 特開 昭57−150550(JP,A) 特開 平1−93320(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製カバーを金型内に設置し、該カバ
    ーの表面に熱可塑性エラストマー組成物からなるガスケ
    ット材を射出してガスケット部を成形するに際し、熱可
    塑性エラストマー組成物を使用時のガスケット部の当接
    面とは異なる方向から射出注入することを特徴とする、
    カバー一体型ガスケットの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー組成物を、ガスケ
    ット部の裏面方向から、金属製カバーに予め空けた孔を
    通じて、射出注入することを特徴とする、請求項1に記
    載のカバー一体型ガスケットの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマー組成物を、ガスケ
    ット部の側面方向から射出注入することを特徴とする、
    請求項1に記載のカバー一体型ガスケットの製造方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性エラストマー組成物が、(a)
    ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少な
    くとも一つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
    ロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体に水
    素添加して得られる水添ブロック共重合体であって、そ
    の重量平均分子量が15万以上であって、ビニル芳香族
    化合物を主体とする重合体ブロックがポリスチレンであ
    って、水添ブロック共重合体中に占めるそのポリスチレ
    ン含有量が20〜40重量%である水添ブロック共重合
    体100重量部、(b)40℃における動粘度が300
    mm2 -1以上である非芳香族系ゴム用軟化剤50〜2
    00重量部、及び(c)ポリプロピレンを主成分とする
    ポリオレフィン系樹脂5〜50重量部からなり、その硬
    度がJIS K6253に準拠したタイプAデュロメー
    ターで50°以下、JIS K6262に準拠して測定
    した25%圧縮下で70℃、22時間放置した後の圧縮
    永久歪み率が50%以下の熱可塑性エラストマー組成物
    であることを特徴とする請求項1に記載のカバー一体型
    ガスケットの製造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマー組成物が、(a)
    ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少な
    くとも一つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
    ロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体に水
    素添加して得られる水添ブロック共重合体であって、重
    量平均分子量が20万以上であって、ビニル芳香族化合
    物を主体とする重合体ブロックがスチレンであって、水
    添ブロック共重合体中に占めるそのポリスチレン含有量
    が20〜40重量%である水添ブロック共重合体100
    重量部、(b)40℃における動粘度が300mm2
    -1以上である非芳香族系ゴム用軟化剤100〜200重
    量部、及び(c)変性ポリオレフィン系樹脂10〜50
    重量部からなり、その硬度がJIS K6253に準拠
    したタイプAデュロメーターで50°以下、JIS K
    6262に準拠して測定した25%圧縮下で70℃、2
    2時間放置した後の圧縮永久歪み率が50%以下の熱可
    塑性エラストマー組成物であることを特徴とする請求項
    1に記載のカバー一体型ガスケットの製造方法。
  6. 【請求項6】 (c)変性ポリオレフィン系樹脂が、ポ
    リエチレン又はポリプロピレンを主成分とするポリオレ
    フィン系樹脂を不飽和カルボン酸類又はアクリル酸類で
    変性した樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の
    カバー一体型ガスケットの製造方法。
  7. 【請求項7】 不飽和カルボン酸類が、無水マレイン酸
    であることを特徴とする請求項6に記載のカバー一体型
    ガスケットの製造方法。
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