JP3351837B2 - 製造性及び耐高温酸化性に優れたAl含有フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

製造性及び耐高温酸化性に優れたAl含有フェライト系ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車排ガス装置,暖
房機器等の高温雰囲気に曝される用途に適したAl含有
フェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】Al含有フェライト系ステンレス鋼は、
優れた耐高温酸化特性を示し、ストーブのチムニー材等
の暖房器具や電熱用材料として広く使用されてきた。ま
た、最近では、自動車の排ガス浄化装置における触媒コ
ンバータの基材として、従来から使用されてきたセラミ
ックスに代えてAl含有フェライト系ステンレス鋼が使
用されるようになってきている。従来の触媒コンバータ
用基材としてのセラミックスは、熱衝撃に弱く、また熱
容量が大きいために触媒反応温度まで昇温するのに時間
がかかる等の欠陥がある。高Al含有フェライト系ステ
ンレス鋼等の金属を基材とするメタリックコンバータで
は、これらセラミックスに起因する欠陥を改善すること
ができる。
【0003】メタリックコンバータの基材には、板厚5
0μm程度の箔材料が使用される。しかし、箔材料では
異常酸化が発生し易い。また、過酷な酸化条件である排
ガス雰囲気中で使用されるため、非常に優れた耐高温酸
化特性が基材に要求される。この点で、耐高温酸化特性
の改善に有効なAlを多量に添加し、且つ希土類元素
(以下、REMと略記する)やYを添加した高Al含有
フェライト系ステンレス鋼が注目されており、たとえば
20Cr−5Al−REM,Y系ステンレス鋼が使用さ
れている。たとえば、0.01〜0.5重量%のYを添
加することにより耐高温酸化特性を高めたAl含有フェ
ライト系ステンレス鋼が特開平4−128344号公報
で紹介されている。また、特開平4−128345号公
報では、成分コストを可能な限り低く抑えた条件下で耐
酸化性を高めるため0.06〜0.15重量%のLn
(ランタニド族元素)を添加し、且つLnとの関係で特
定された量のPを含有させることにより熱間加工性を改
善したAl含有フェライト系ステンレス鋼が紹介されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】メタリックコンバータ
は、セラミックスコンバータに比較して排ガス浄化性能
に優れているものの、素材コストが高く、製造も困難で
ある。すなわち、メタリックコンバータ用として開発さ
れている従来のフェライト系ステンレス鋼は、多量のC
r及びAlを含むため、靭性が十分でなく、成形加工性
に問題がある。更に、高温酸化特性を改善するためRE
MやYを添加すると、スラブ及びホットコイルの靭性が
著しく低下する。その結果、熱間圧延等の際に割れが発
生し易く、作業能率及び製造歩留りが低く、鋼材コスト
を上昇させる原因になっている。
【0005】加工性は、Al含有量を低減することによ
って改善される。しかし、単にAl含有量を低下させた
だけでは、耐高温酸化特性が低下し、メタリックコンバ
ータとしての用途に適さなくなる。そのため、加工性を
ある程度犠牲にして、5%程度のAlを含有させている
現状である。このように低い加工性は、メタリックコン
バータが普及する上での障害になっている。そこで、靭
性が良好で製造し易く、鋼材コストが低く、従来の20
Cr−5Al−REM,Y系ステンレス鋼と同等以上の
耐高温酸化特性を示す材料が望まれている。本発明は、
このような要求に応えるべく案出されたものであり、A
l,Mn及びSiを低減した条件下でAl含有フェライ
ト系ステンレス鋼に微量のREM及び/又はYを特定量
のMoと共に添加することにより、従来のメタリックコ
ンバータ用ステンレス鋼に匹敵する耐高温酸化特性をも
ち、製造性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のAl含有フェラ
イト系ステンレス鋼は、その目的を達成するため、C:
0.03重量%以下,Si:0.2重量%以下,Mn:
0.3重量%以下,P:0.04重量%以下,S:0.
003重量%以下,Cr:15〜25重量%,N:0.
03重量%以下,Al:1重量%以上で4.5重量%未
満,Mo:0.5〜2重量%,REM及びYの1種又は
2種以上:合計で0.01〜0.15重量%を含み、残
部が実質的にFeであることを特徴とする。このAl含
有フェライト系ステンレス鋼は、更にV及び/又はTi
を合計で0.01〜0.5重量%を含むこともできる。
【0007】
【作 用】メタリックコンバータ用として使用されてい
る従来の高Al含有フェライト系ステンレス鋼が低い靭
性を示すことは、多量のCr及びAlを含有しているこ
とに原因がある。Al含有量の低下により靭性の改善が
図られるものの、単にAl含有量を低くしただけでは耐
高温酸化特性が劣化する。本発明者等は、良好な靭性が
確保されるようにAl含有量を4.5重量%未満の低下
させたフェライト系ステンレス鋼について、各種合金元
素が与える影響を調査・研究した。その結果、Mn及び
Siを低減した条件下でMoを含有させるとき、4.5
重量%未満の低いAl含有量であっても、優れた耐高温
酸化特性が得られることを見い出した。
【0008】Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高
温酸化特性は改善にMoは有効であるが、このMoの効
果は、低Mn化及び低Si化によって著しく大きくな
る。その詳細な理由は不明であるが、4.5重量%以上
の高Al含有フェライト系ステンレス鋼に匹敵する耐高
温酸化特性を付与することができる。しかも、Al含有
量が少ないことから、良好な靭性や加工性も確保され
る。本発明は、この高温雰囲気下における異常酸化の発
生機構に及ぼす各種合金元素の影響を調査・研究した結
果、完成されたものである。すなわち、Mn含有量及び
Si含有量を低下した条件下で微量のREM及び/又は
YとMoとを添加するとき、非常に優れた耐高温酸化特
性が得られ、1150℃の高温に長時間保持した場合で
も異常酸化を起こすことがなくなることを見い出した。
低Mn化及び低Si化は、その詳細な理由は不明である
が、Mo,REM,Y等の作用を有効に発揮させること
に寄与しているものと推察される。そのため、多量のM
o,REM,Y等を添加する必要がなく、良好な加工性
や強度も確保される。
【0009】以下、本発明のAl含有フェライト系ステ
ンレス鋼に含まれる合金元素及びその含有量を説明す
る。 C: C含有量の増加に伴って、異常酸化が発生し易く
なる。また、多量のC含有は、スラブ及びホットコイル
の靭性を劣化させ、熱間加工によって板材に加工するこ
とが困難になる。したがって、本発明においては、C含
有量の上限を0.03重量%に規定した。 Si: 一般的にSiはステンレス鋼の耐高温酸化性を
改善する上で有効であるとされ、積極的な合金元素とし
て耐高温酸化用ステンレス鋼に添加されている。しか
し、Al含有フェライト系ステンレス鋼においては、S
iを極力低減させることによって耐高温酸化性の改善が
図られ、異常酸化が発生しにくくなる。このようなSi
低減による効果は、本発明者等によって見出された現象
であり、Si含有量0.2重量%以下で顕著に現れる。
【0010】Mn: 熱間加工性を向上させる上で有効
な合金元素であるが、高Alフェライト系ステンレス鋼
においては耐高温酸化特性に悪影響を及ぼし、短時間で
異常酸化が発生する。Mn含有量が耐高温酸化特性に与
える影響は、本発明者等が見い出した現象であり、本成
分系鋼の表層に形成されるAl23 皮膜中にMnが混
入し、耐高温酸化特性に悪影響を及ぼすCr系,Mn系
の酸化物を生成させ、異常酸化の発生を助長する。異常
酸化を抑制し耐高温酸化特性を向上させる上から、Mn
含有量は可能な限り少なくすることが好ましい。また、
Mn含有量の低下に伴って、靭性も向上する。しかし、
製鋼用原料であるスクラップから混入することから、M
n含有量を極端に低下することは、製造コストの上昇を
招く。そこで、本発明においては、Mn含有量の上限を
0.3重量%,好ましくは0.2重量%に規定した。
【0011】P: 耐高温酸化特性に悪影響を及ぼす元
素であり、低い方が好ましい。また、P含有量が高い
と、熱延板の靭性も低下する。そこで、本発明において
は、P含有量を0.04重量%以下に規定した。 S: REM及びYと結合して硫化物系介在物となり、
鋼の表面性状を悪化させる。また、硫化物の生成によ
り、耐高温酸化特性に寄与するREM及びYを消費す
る。そのため、多量のREM,Y等を添加することが必
要となり、鋼の靭性を劣化させる。Sによる弊害は、含
有量が0.003重量%を超えると顕著に現れる。そこ
で、本発明においては、S含有量の上限を0.003重
量%,好ましくは0.002重量%に規定した。
【0012】Cr: 鋼の耐高温酸化特性を改善するた
めに必要な基本的な合金元素である。15重量%以上の
Crを含有させることにより、堅牢な酸化皮膜が形成さ
れ、鋼の異常酸化が抑制される。しかし、25重量%を
超える多量のCrを含有すると、スラブ及びホットコイ
ルの靭性が低下し、製造性が悪くなる。したがって、本
発明においては、Cr含有量を15〜25重量%の範囲
に設定した。 N: 鋼中のAlと結合し、異常酸化の起点となるAl
Nを生成する。また、ステンレス鋼の靭性を低下し、製
造性を悪化させる。そこで、本発明においては、N含有
量の上限を0.03重量%に規定した。
【0013】Al: Crと同様に耐高温酸化特性を維
持するために必要な合金元素であり、表層にAl23
を形成することによって優れた耐高温酸化特性を付与す
る。特に板厚が100μm以下の箔材料では、異常酸化
の抑制に有効なAl23 層を十分に発達させるため、
1重量%以上のAlを含有させる。しかし、4.5重量
%以上に多量のAlを含有すると、スラブ及びホットコ
イルの靭性が劣化し、製造歩留りの低下、ひいては鋼材
コストの上昇を招く。そこで、本発明においては、靭性
及び加工性を考慮して、Al含有量を1重量%以上で
4.5重量%未満の範囲に設定した。
【0014】Mo: 本発明のステンレス鋼において重
要な役割を果す合金元素である。従来、Moは、揮発性
の高い酸化物を形成し易いことから、鋼の耐高温酸化特
性を劣化するとされている。しかし、低Si化及び低M
n化した本発明のステンレス鋼においては、Moの添加
によって耐高温酸化特性が著しく改善され、高温強度も
優れたものとなる。このようなMoの効果は、0.5重
量%以上の含有量で顕著に現れる。しかし、多量にMo
を添加させると、鋼の靭性が劣化し、製造性が悪くな
る。そこで、本発明においては、Mo含有量を0.5〜
2重量%の範囲に設定した。
【0015】REM及びY: 高Alフェライト系ステ
ンレス鋼の耐高温酸化特性を改善するために重要な合金
元素である。La,Ce等のREMやYを添加すると、
鋼材表面に形成される酸化皮膜が緻密化し、安定性に優
れたものとなる。その結果、箔材料で発生し易い異常酸
化が抑制される。また、下地鋼に対する酸化皮膜の密着
性も向上する。
【0016】REM及びYが耐酸化性の向上及び異常酸
化の抑制に与える効果は、0.01重量%以上の含有で
顕著になる。しかし、0.15重量%を超える多量のR
EM及びYを含有させると、熱間加工性及び靭性が悪化
し、製造が困難になる。また、多量のREM及びY含有
は、異常酸化の起点となる非金属介在物の析出を助長さ
せ、却って耐高温酸化特性を劣化させる。したがって、
本発明においては、REM及びYの含有量を合計で0.
01〜0.15重量%の範囲に設定した。
【0017】V及びTi: 本発明のAl含有フェライ
ト系ステンレス鋼に必要に応じて添加される合金元素で
あり、鋼中のC又はNと結合することにより鋼の靭性を
著しく改善する作用を呈する。メタリックコンバータ等
の高温用途に使用されるステンレス鋼は、冷熱サイクル
を受けるため、酸化皮膜が剥離し易い環境に曝される。
下地鋼に対する酸化皮膜の密着性は、前述したREM及
びYに加え、V又はTiによっても改善することができ
る。そこで、靭性の低下や鋼材コストの上昇につながり
易いREM及びYの添加量を低く抑え、その分をV又は
Tiで補償することができる。これにより、非常に優れ
た密着性を酸化皮膜に与え、異常酸化を抑制することが
可能になる。このような効果を得るためには、合計で
0.01重量%以上のV又はTiを含有させることが必
要である。しかし、0.5重量%を超えて多量のV又は
Tiが含まれると、鋼が硬質になり、加工性が劣化す
る。そこで、V又はTiを含有させる場合には、その範
囲を0.01〜0.5重量%に設定する。
【0018】
【実施例】
実施例1:表1に示す各種ステンレス鋼を真空溶解し、
鍛造,切削,熱延を行った後、焼鈍及び冷間圧延を繰り
返し、板厚50μmの箔材料を製造した。得られた箔材
料を1150℃の酸化試験に供し、異常酸化が発生する
までの時間を調査した。異常酸化の発生は、各供試材を
適宜加熱炉から取り出し、通常検出される薄く且つ均一
な酸化皮膜の他に***状酸化物を目視観察することによ
り判定した。そして、この***状酸化物が観察されるま
での通算酸化時間を、異常酸化発生時間として表1に示
した。表1において、試験記号Aは、メタリックコンバ
ータ用として従来から使用されている鋼であり、115
0℃の加熱試験で170時間まで異常酸化を起こさな
い。試験記号Bは、A鋼に比較してAl含有量を3重量
%まで下げた鋼であり、85時間で異常酸化が発生して
いる。また、Al含有量及びCr含有量をそれぞれ3重
量%及び18重量%まで下げた鋼Cでは、80時間で異
常酸化が発生した。このことから、靭性の改善を狙って
単にCr含有量及びAl含有量を下げただけでは、メタ
リックコンバータ用として要求される高温酸化特性をも
たなくなることが判る。
【表1】
【0019】良好な靭性が確保されるAl含有量3〜4
重量%の範囲で、他の合金元素が耐高温酸化特性に与え
る影響を調査した。なお、耐高温酸化特性の改善に有効
であることが知られているREM,Y等は、原料価格が
極めて高く、しかも添加量が多くなるに従って靭性を著
しく低下させる。したがって、本実施例においては、R
EM及びYの添加量0.06重量%を限度として検討を
進めた。この検討の過程で、Mo添加により耐高温酸化
特性が改善されることを見い出した。表1の試験記号D
〜Gは、耐高温酸化特性に与えるMo含有量の影響を調
べた鋼である。D〜G鋼の耐高温酸化特性に関する試験
結果をMo含有量との関係で整理したところ、図1に示
すようにMo含有量の増加に伴って耐高温酸化特性が改
善され、異常酸化が発生するまでの時間が長くなってい
る。しかし、D〜G鋼を熱間圧延したままのホットコイ
ルは、Mo含有量の増加に伴って靭性が低下する傾向が
みられる。
【0020】試験記号H及びIとして示すように、Mn
含有量を低下した条件下でMoを添加したとき、靭性の
回復がみられた。また、Mn含有量の低下は、耐高温酸
化特性の改善にも有効であった。H鋼及びI鋼は、Mn
以外の成分含有量がG鋼とほぼ同じであるにも拘らず、
G鋼に比較して靭性が向上しており、異常酸化を発生さ
せるまでの時間も長くなっている。しかし、量産ライン
による製造を考慮するとき、スクラップから混入するM
nの含有量を低くコントロールすることは困難であるこ
とから、他の合金元素が与える影響を調査した。その結
果、Mnと共にSiを低減させるとき、靭性及び耐高温
酸化特性が更に改善されることが判った。
【0021】Siは、従来からステンレス鋼の耐高温酸
化特性の改善に有効な元素とされ、積極的に添加されて
いる。しかし、本発明者等の検討によるとき、Moを添
加したAl含有フェライト系ステンレス鋼においては、
Si含有量の増加に伴って却って耐高温酸化特性が劣化
し、異常酸化が発生し易くなることが判明した。たとえ
ば、Si含有量を低下させたMo添加Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼(試験記号J〜L)にみられるよう
に、Si含有量が低くなると共に優れた耐高温酸化特性
が示されている。また、Si含有量が少ないJ〜L鋼の
靭性は、G鋼に比較し著しく大きな値を示している。
【0022】なお、Siは脱酸効果を得るために添加さ
れることがあるが、Al含有フェライト系ステンレス鋼
では、脱酸効果の大きなAlを多量に添加していること
から、特にSi脱酸の必要はない。したがって、量産ラ
インで製造するに際し、Si含有量を極力低くすること
は可能である。以上のことから、Mn含有量及びSi含
有量を低減した条件下でMoを添加するとき、Al含有
量が低いものでも従来の高Al含有フェライト系ステン
レス鋼と同様以上の耐高温酸化特性を示すことが判る。
しかも、低Mn及び低Siによって靭性の改善が図ら
れ、割れ等の欠陥を発生させることなく熱間圧延できる
材料が得られた。
【0023】実施例2:表2に示した各種鋼を使用し、
実施例1と同様に板厚50μmの箔材料を製造した。各
供試材を1150℃の酸化試験に供し、異常酸化が発生
した時間を測定した。試験結果を、表2に併せ示す。
【表2】
【0024】本発明に従った試験番号1〜7の供試材
は、何れも異常酸化発生時間が200時間を超えてお
り、メタリックコンバータ用に従来から使用されている
比較鋼8よりも優れた耐高温酸化特性を示していた。ま
た、試験番号1〜7の供試材は、熱延したままのホット
コイルとして、19J/cm2 以上の優れた衝撃靭性を
示した。そのため、製造性に優れ、作業能率が良く、且
つ歩留りの低下が少ないことから、製造コストを低くす
ることができた。これに対し、比較鋼9,10及び12
は、Al含有量が低いことから衝撃靭性が良好であるも
のの、75時間以内に異常酸化が発生しており、耐高温
酸化特性に劣っていた。また、Al含有量及びMo含有
量を共に3重量%以上とした比較鋼11は、耐高温酸化
性が良好であるものの、衝撃靭性が極めて低く、製造が
困難であった。更に、比較鋼13は、Al,Si及びM
oを多量に含むことから、靭性が非常に低く、熱間圧延
できないものであった。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のAl含
有フェライト系ステンレス鋼においては、低Mn及び低
Siの条件下で特定量のMoを添加することにより、A
l含有量が比較的低いものであっても、優れた耐高温酸
化特性を付与することができる。しかも、Mn及びSi
の低減は、Al含有量の低下と相俟つてフェライト系ス
テンレス鋼の靭性及び製造性,加工性を改善する。した
がって、安価なコストでメタリックコンバータ等の高温
用途に適した材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 板厚50μmのAl含有フェライト系ステン
レス鋼の1150℃における異常酸化発生に及ぼすMo
含有量の影響
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−354850(JP,A) 特開 平4−147945(JP,A) 特開 平3−53025(JP,A) 特開 昭60−228616(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03重量%以下,Si:0.2
    重量%以下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04重
    量%以下,S:0.003重量%以下,Cr:15〜2
    5重量%,N:0.03重量%以下,Al:1重量%以
    上で4.5重量%未満,Mo:0.5〜2重量%,希土
    類元素及びYの1種又は2種以上:合計で0.01〜
    0.15重量%を含み、残部が実質的にFeであること
    を特徴とする製造性及び耐高温酸化性に優れたAl含有
    フェライト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 C:0.03重量%以下,Si:0.2
    重量%以下,Mn:0.3重量%以下,P:0.04重
    量%以下,S:0.003重量%以下,Cr:15〜2
    5重量%,N:0.03重量%以下,Al:1重量%以
    上で4.5重量%未満,Mo:0.5〜2重量%,V及
    び/又はTi:合計で0.01〜0.5重量%,希土類
    元素及びYの1種又は2種以上:合計で0.01〜0.
    15重量%を含み、残部が実質的にFeであることを特
    徴とする製造性及び耐高温酸化性に優れたAl含有フェ
    ライト系ステンレス鋼。
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CN105304258A (zh) * 2015-12-03 2016-02-03 钢铁研究总院 一种耐腐蚀软磁合金

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