JP3337937B2 - フェライト磁性材料およびフェライトコア - Google Patents

フェライト磁性材料およびフェライトコア

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JP3337937B2 JP09836097A JP9836097A JP3337937B2 JP 3337937 B2 JP3337937 B2 JP 3337937B2 JP 09836097 A JP09836097 A JP 09836097A JP 9836097 A JP9836097 A JP 9836097A JP 3337937 B2 JP3337937 B2 JP 3337937B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高抵抗かつ低損失
のフェライト磁性材料と、電源トランス用や加速器用の
フェライトコアとに関する。
【0002】
【従来の技術】電源トランス、チョークコイル等のイン
ダクタンス素子のコアには、軟磁性フェライトが多用さ
れている。
【0003】Ni−Cu−Zn系フェライトは、固有抵
抗が1×108 Ω・cm以上と高いことから、高周波用の
インダクタンス素子に好適であり、例えば特開昭62−
56358号公報にはローパスフィルタ用コアに適用す
ることが、特開平1−101609号公報には1MHz 以
上の高周波で用いられるインダクタに適用することが、
特開平1−101610号公報には1MHz 以上の高周波
で用いられるチップインダクタに適用することが記載さ
れている。また、特開昭62−56358号公報に示さ
れるように、表面に絶縁被覆を設けることなく直接巻線
することが可能であるため、低コスト化が図れる。
【0004】しかし、Ni−Cu−Zn系フェライトは
パワーロスが比較的大きいことから、電源トランス用コ
アに使用することは難しい。
【0005】電源トランス用コア材料としてはMn−Z
n系フェライトが一般的であり、各種副成分を添加する
ことにより低損失化が図られている。しかし、Mn−Z
nフェライトは固有抵抗が1×103 Ω・cm程度と低い
ため、高周波用には不適であり、また、コアとしたとき
に直接巻線することはできない。
【0006】また、粒子加速器用のフェライト材として
は、Ni−Cu−Zn系として、前記特開昭62−56
358号公報に記載されている基本組成のものが知られ
ている。しかし、この組成のものは前記のようにパワー
ロスが大きく、加速器の効率化、高エネルギー化といっ
た性能の向上を図る上で大きな障害となっている。ま
た、Ni−Cu−Zn系フェライトにCoOを添加する
ことによってQ特性が向上することは従来より知られて
いる。図9,図10に従来のFe23:49 mol%、C
uO:3 mol%、NiO:18 mol%、ZnO:30 m
ol%の基本組成に、CoOを0.1〜1.0wt%まで添
加した場合の1MHz−25mT、室温(RT)および10
0℃でのパワーロスとμQf積を示す。図において、C
oOを0.04 mol%添加した場合、100℃でのパワ
ーロスが240kW/m3、μQf積が9×109と、従来
のもの(330kW/m3)に比べて27%の低損失になっ
ているが、この値は上記の用途としては不十分であり、
さらなる低損失化が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Ni
−Cu−Zn系フェライトの電力損失を低減し、粒子加
速器用、電源トランス用として有用なフェライトコアを
実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)のいずれかの構成により達成される。 (1) 主成分として、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜15 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :15〜35 mol%総計100 mol% 含有し、この主成分の100 wt%
対し、副成分として 酸化コバルトをCoO換算で :0.05〜1.5wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.05〜0.8wt
%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.03〜0.5wt
% 含有するフェライト磁性材料。 (2) 前記主成分の含有量が、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜10 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :25〜35 mol% である上記(1)のフェライト磁性材料。 (3) 前記主成分中の酸化鉄が、 Fe23 換算で48〜50 mol%である上記(1)ま
たは(2)のフェライト磁性材料。 (4) 前記副成分が、主成分に対し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1 〜1.1wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.06〜0.75
wt%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.06〜0.35
wt% 含有する上記(1)〜(3)のいずれかのフェライト磁
性材料。 (5) 前記副成分が、主成分に対し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1〜0.9wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.1〜0.5wt
%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.1〜0.3wt% 含有する上記(4)のフェライト磁性材料。 (6) 上記(1)〜(5)のいずれかのフェライト磁
性材料からなり、f・Bm 積が25 kTHz (f=1〜1
0MHz)において、100℃でのパワーロスが210kW
/m3以下、25℃でのパワーロスが140kW/m3以下で
あるフェライトコア。 (7) 粒子加速器に使用される上記(6)のフェライ
トコア。 (8) 1〜10MHzの高周波スイッチング用電源トラ
ンスに使用される上記(6)のフェライトコア。
【0009】
【作用】本発明のフェライト磁性材料は、Ni−Cu−
Znフェライトに、副成分としてWO3、CoOおよび
Bi23 を所定量添加したものである。副成分として
これらの酸化物を添加することにより、損失を著しく低
減することができる。このため、本発明のフェライト磁
性材料は、従来のNi−Cu−Znフェライトでは適用
困難であった電源トランス用コアに好適である。そし
て、本発明のフェライト磁性材料は、従来のNi−Cu
−Znフェライトと同様に固有抵抗が高く、コアとした
ときに絶縁被覆なしに直接巻線が可能であるため、安価
なコアが実現する。
【0010】ところで、トランスにある電流を流した場
合、発生する電圧Vmは、 Vm=2πf・n・A・Bm で表される。ここで、f:周波数、n:巻数、A:コア
の断面積、Bm:最大磁束密度である。また、コアロス
PcvはBmの2〜3乗に比例する。
【0011】従って、例えば1MHz−25mTの条件下で
材質aのPcvが50,材質bのPcvが10である場合、
材質bに加える最大磁束密度Bmを約2倍の50mTにま
で上げたとしても両者のPcvはまだ同じ大きさである。
そこで、上式より、f,nを同一条件でみた場合、同じ
レベルのVmを得るためには、材質bはコアの断面積が
材質aのものの1/2でよいことになる。つまり、Pcv
が低い場合コアサイズが小さくても同レベルのVmを取
り出すことが可能であり、部品の小型化を図る上で、P
cvの低減が極めて重要な意味を持つ。
【0012】また、本発明のフェライト磁性材料は、学
術研究用、医療用等の粒子加速器のコアにも好適に用い
ることができる。すなわち、本発明のフェライト磁性材
料からなるコアは低損失であるため、粒子加速器の高出
力化に有効である。
【0013】ところで、加速器用フェライト材に要求さ
れる特性としては大きく分けて2点あり、μQf積が大
きいこと、Q-loss effect(Q−損失効果:直流バイア
スをかけた場合のQの低下)が少ないことが挙げられ
る。一般にμQf積を大きく(コアロスを小さく)する
ためには、CuOやCoOを含有させればよいが、これ
らを含有させた場合、Q-loss effectが発生し、加速用
のフェライト材としては不利となる。
【0014】本発明のフェライト磁性材料はCoOを含
有した場合も、実用上支障のない範囲にあり、Q-loss
effectにより生じるマイナス効果よりも、後述の実施例
に示すように、コアロスの低減による、高出力化への効
果が極めて大きく、加速器用コアとして極めて優れた特
性を示す。また、一部の粒子加速器では、直流バイアス
を用いないものがあり、この場合にはQ-loss effectが
発生しないため、特に本発明のコアの低ロス特性が十分
に発揮され、極めて良好な結果を得ることができる。
【0015】上記した特開平1−101609号公報の
特許請求の範囲第1項には、0.05〜1.0wt%のC
34 と、0.05〜4.0wt%のSiO2 とを含む
Ni−Cu−Znフェライトからなる高周波用磁性材料
が記載されており、同第8項には、さらに0.1〜12
wt%のBi23 を添加する旨の記載がある。しかし、
同公報には、WO3 を添加する旨の記載はなく、本発明
とは異なる。また、同公報には、Co34 とBi2
3 とを複合添加した実施例もない。また、同公報記載の
磁性材料は、TV、ビデオテープレコーダ等に用いられ
るインダクタに適用される。そして、その際に、加圧や
磁場変化によるインダクタンス変化が小さいので、回路
の信頼性が向上することを効果とするものである。すな
わち、同公報記載の磁性材料は、いわゆる信号系のイン
ダクタに好適なものである。これに対し本発明のフェラ
イト磁性材料は、いわゆるパワー材であって、投入され
るパワーが大きいため損失が低いことが最重要である。
この点からも、同公報と本願発明とは全く異なるもので
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成を詳細
に説明する。本発明のフェライト磁性材料は、主成分と
して、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜15 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :15〜35 mol% 含有し、この主成分に対し、副成分として、主成分に対
し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.05〜1.5wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.05〜0.8wt
%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.03〜0.5wt
% 含有する。
【0017】また、主成分の好ましい含有量は、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜10 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :25〜35 mol% であり、あるいは前記主成分中の酸化鉄が、Fe23
換算で48〜50 mol%であってもよい。
【0018】また、好ましくは副成分が、主成分に対
し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1 〜1.1wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.06〜0.75
wt%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.06〜0.35
wt% 含有し、特に副成分が、主成分に対し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1〜0.9wt
%、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.1〜0.5wt
%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.1〜0.3wt% 含有することが好ましい。
【0019】主組成の酸化鉄成分がFe23量換算で4
7 mol%未満であると、非磁性層の生成量が増加し、コ
アロス劣化の原因となる。また、主組成のFe23が5
0 mol%を超えると、焼結性が著しく劣化する。この酸
化鉄成分は50 mol%を超えない範囲で50 mol%に近
いことが好ましい。
【0020】主組成の酸化ニッケル成分がNiO量換算
で10 mol%未満ではコアロス特性が劣化し、25 mol
%を超えるとコスト高となる。
【0021】主組成の酸化銅成分がCuO量換算で2 m
ol%未満では焼結性が劣化し、15mol%を超えると相
対的に酸化ニッケル量が減少してしまいコアロス特性が
劣化する。
【0022】主組成の酸化亜鉛成分がZnO量換算で1
5 mol%未満では透磁率が低下し、35 mol%を超える
とキュリー温度が低下する。
【0023】表1に主組成の組成を変えて測定したコア
ロスの値を示す(表中、室温をRTと表示する)。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように主組成の最適範囲
は、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜15 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :15〜35 mol% であり、好ましくは、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜10 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :25〜35 mol% であり、あるいは前記主成分中の酸化鉄が、Fe23
換算で48〜50 mol%であってもよい。
【0026】さらに本発明のフェライトコアは、上記フ
ェライト磁性材料からなり、f・Bm 積が25 kTHz
(f=1〜10MHz)において、100℃でのパワーロ
スが210kW/m3以下、25℃でのパワーロスが140
kW/m3以下である。このフェライトコアは、好ましくは
周波数1MHz以上の高周波用電源コア、あるいは加速器
用コアとして使用される。
【0027】
【0028】
【0029】本発明のフェライト磁性材料は、副成分と
して酸化タングステン、酸化コバルトおよび酸化ビスマ
スを添加する。これらを組み合わせて添加することによ
り、さらにコアロスが改善され、特に1M 以上、さら
には1〜10M での高周波領域でコアロスが改善でき
る。これらの内、少なくとも1種が少なすぎても多すぎ
てもコアロス低減効果が小さくなり、また、副成分が多
すぎると透磁率が低くなってしまう。
【0030】本発明のフェライト磁性材料は、25〜1
00℃程度の広い温度範囲において損失低減効果が大き
いが、特に低温域、例えば25℃以上60℃未満でのコ
アロスを低くしたい場合には、酸化コバルト含有量を
0.2wt%以上とすることが好ましく、また、特に高温
域、例えば60〜100℃での損失を低くしたい場合に
は、副成分の含有量を上記した好ましい範囲とすること
が好ましい。本発明では、例えば1MHz 、25mTの条件
で25℃における損失を140kW/m3 以下とすることが
でき、同条件で100℃における損失を210kW/m3
下とすることができる。
【0031】なお、本発明のフェライト磁性材料中に
は、上記以外の元素が微量添加物ないし不可避的不純物
として含まれていてもよい。このような元素としては、
例えばSi、Ca、P、Cr等の少なくとも1種が挙げ
られる。これらの元素の含有量は、金属換算で合計20
00ppm 以下であることが好ましい。
【0032】上記した主成分および副成分の各含有量
は、フェライト磁性材料中に存在する各金属が上記化学
量論組成の酸化物として存在するとして算出した換算値
である。なお、これら各金属酸化物は通常化学量論組成
で含有されるが、この値から多少偏倚した組成で含有さ
れていてもよい。
【0033】本発明のフェライト磁性材料を用いて、通
常、以下に説明する方法により、フェライトコアを製造
することが好ましい。
【0034】この方法では、まず、主成分原料と副成分
原料との混合物を用意する。主成分原料としては、Ni
−Cu−Znフェライト製造に通常用いられるもの、す
なわち、酸化物または焼成により酸化物となる各種化合
物を用いればよい。主成分原料は、フェライトの最終組
成として前記した量比になるように混合される。また、
副成分原料としては、各金属の酸化物または焼成により
酸化物となる化合物を用いればよい。
【0035】次いで、主成分原料と副成分原料との混合
物を仮焼する。仮焼は酸化性雰囲気中、通常は空気中で
行えばよく、仮焼温度は800〜1000℃、仮焼時間
は1〜3時間とすることが好ましい。
【0036】仮焼物を粉砕した後、適当なバインダー、
例えばポリビニルアルコール等を適当量加えて、トロイ
ダル状等の所望の形状に成形する。
【0037】次いで、成形体を焼成する。焼成は酸化性
雰囲気中、通常は空気中で行えばよく、焼成温度は90
0〜1100℃、焼成時間は2〜5時間とすることが好
ましい。
【0038】得られたフェライト材のグレインサイズと
しては、0.5〜6μm 程度、特に1〜3μm 程度が好
ましい。グレインサイズが0.5〜6μm の範囲を超え
ると、特性が悪化してくる。
【0039】本発明のフェライト材を用いたコアは、ス
イッチング用、インバータ用などの電源トランス等、い
わゆるパワー材として好ましく用いられる。本発明が適
用されるコア形状は特に限定されず、いわゆるトロイダ
ル型、EE型、EI型、EER型、UU型、UI型、ド
ラム型、ポット型、カップ型等の各種形状のコアに本発
明は適用できる。その他パワー用としては、チョ−クコ
イル等のコアとしても用いることができる。
【0040】さらに本発明のフェライト材は、粒子加速
器の電源用のコアとして有用である。中でも加速電圧発
生用高周波キャビティーコアとして有用である。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】〔実施例1〕 主成分原料としてFe23 、NiO、CuO、ZnO
を、副成分原料としてWO3 、Bi23 、CoOとC
23 との混合物を用意した。
【0060】主成分および副成分原料を下記に示す組成
となるように秤量して混合し、混合物を空気中におい
て800〜900℃で2時間仮焼した後、粉砕した。粉
砕物にバインダを加え、加圧成形した。成形体を空気中
において1000〜1100℃で2時間焼成し、外径1
8mm、内径10mm、高さ5mmのトロイダル状のコアサン
プルを得た。
【0061】(組成1) 主成分 Fe23 :49 mol%、 NiO :18 mol%、 CuO : 3 mol%、 ZnO :30 mol% 副成分(主成分全量を100wt%として) CoO :0.4wt%、 WO3 :0.05〜1.0wt%、 Bi23 :0.2wt%
【0062】各サンプルについて、B−Hアナライザー
により、1MHz 、25mTでのコアロス(Pcv)を25
℃(図中RTと表示)および100℃において測定し
た。結果を図1に示す。また、同一条件でのμQf積を
BHアナライザーにより測定した。結果を図2に示す。
【0063】図1、図2から明らかなように、100℃
のコアロス(Pcv)は、WO3の添加量が0.5〜0.
75wt%の範囲で210kW/m3以下、0.07〜0.5
wt%の範囲で180kW/m3以下となり、25℃のコアロ
ス(Pcv)は、WO3の添加量が0.06〜0.8wt%
の範囲で140kW/m3以下、0.1〜0.7wt%の範囲
で100kW/m3以下となっている。また、100℃のμ
Qf積は、WO3の添加量が0.05〜0.75wt%の
範囲で7×109以上、0.07〜0.5wt%の範囲で
8×109以上となり、25℃のμQf積は、WO3の添
加量が0.06〜0.8wt%の範囲で1×1010以上、
0.1〜0.7wt%の範囲で1.7×1010以上となっ
ている。
【0064】〔実施例2〕 主成分と副成分に、下記の組成2を用いた他は実施例1
と同様にしてコアサンプルを得た。
【0065】(組成2) 主成分 Fe23 :49 mol%、 NiO :18 mol%、 CuO : 3 mol%、 ZnO :30 mol% 副成分(主成分全量を100wt%として) CoO :0.4wt%、 WO3 :0.3wt%、 Bi23 :0.02〜0.8wt%
【0066】各サンプルについて、B−Hアナライザー
により、1MHz 、25mTでのコアロス(Pcv)を25
℃(図中RTと表示)および100℃において測定し
た。結果を図3に示す。また、同一条件でのμQf積を
BHアナライザーにより測定した。結果を図4に示す。
【0067】図2、図3から明らかなように、100℃
のコアロス(Pcv)は、Bi23の添加量が0.03〜
0.5wt%の範囲で300kW/m3以下、0.06〜0.
35wt%の範囲で210kW/m3以下となり、25℃のコ
アロス(Pcv)は、Bi23の添加量が0.02〜0.
65wt%の範囲で200kW/m3以下、0.03〜0.5
wt%の範囲で140kW/m3以下となっている。また、1
00℃のμQf積は、Bi23の添加量が0.03〜
0.5wt%の範囲で5×109以上、0.06〜0.3
5wt%の範囲で8×109以上となり、25℃のμQf
積は、Bi23の添加量が0.02〜0.65wt%の範
囲で6×109以上、0.03〜0.5wt%の範囲で9
×109以上となっている。
【0068】〔実施例3〕 主成分と副成分に、下記の組成3を用いた他は実施例1
と同様にしてコアサンプルを得た。
【0069】(組成3) 主成分 Fe23 :49 mol%、 NiO :18 mol%、 CuO : 3 mol%、 ZnO :30 mol% 副成分(主成分全量を100wt%として) CoO :0.05〜2.0wt%、 WO3 :0.3wt%、 Bi23 :0.2wt%
【0070】各サンプルについて、B−Hアナライザー
により、1MHz 、25mTでのコアロス(Pcv)を25
℃(図中RTと表示)および100℃において測定し
た。結果を図5に示す。また、同一条件でのμQf積を
BHアナライザーにより測定した。結果を図6に示す。
【0071】図5、図6から明らかなように、100℃
のコアロス(Pcv)は、CoOの添加量が0.05〜
1.3wt%の範囲で250kW/m3以下、0.05〜1.
1wt%の範囲で210kW/m3以下、0.05〜0.9wt
%の範囲で180kW/m3以下となり、25℃のコアロス
(Pcv)は、CoOの添加量が0.05〜1.8wt%の
範囲で200kW/m3以下、0.1〜1.5wt%の範囲で
140kW/m3以下、0.2〜1.2wt%の範囲で100
kW/m3以下となっている。また、100℃のμQf積
は、CoOの添加量が0.05〜1.3wt%の範囲で6
×109以上、0.05〜1.1wt%の範囲で7×109
以上、0.05〜0.9wt%の範囲で8×109以上と
なり、25℃のμQf積は、CoOの添加量が0.05
〜1.8wt%の範囲で9×109以上、0.1〜1.5w
t%の範囲で1×1010以上、0.2〜1.2wt%の範
囲で1.5×1010以上となっている。
【0072】〔実施例4〕 主成分と副成分に、下記の組成4および組成5を用いた
他は実施例1と同様にしてコアサンプルを得た。
【0073】(組成4) 主成分 Fe23 :49 mol%、 NiO :18 mol%、 CuO : 3 mol%、 ZnO :30 mol% 副成分(主成分全量を100wt%として) CoO :0.3wt%、 WO3 :0.7wt%、 Bi23 :0.2wt%
【0074】(組成5) 組成4の副成分(主成分全量を100wt%として)を CoO :0.4wt%、 WO3 :0.3wt%、 Bi23 :0.2wt% としたもの。
【0075】組成4、組成5の各サンプルについて、f
・Bm=25kTHzでのμQfの周波数特性およびPcv
の周波数特性を、BHアナライザーにより測定した。得
られた結果をそれぞれ図7、図8に示す。図7、図8
ら明らかなように、μQf積、Pcvともに周波数依存性
を示し、2〜6MHz付近にそのピークを有するが、組成
5の方が広い周波数特性を有している。
【0076】〔実施例5〕 実施例1〜4 のコアサンプルと同一組成のサンプルを用
いて、加速器用の高圧発生用電源トランスを作製した。
得られたトランスは、従来のトランスと比較して約3割
程度高出力にすることができた。
【0077】〔実施例6〕 実施例1〜4 のコアサンプルと同一組成のサンプルを用
いて、加速器用の高周波キャビティーを作製した。得ら
れたキャビティーを用いて粒子の加速試験を行ったとこ
ろ、良好な性能を示した。
【0078】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Ni−C
u−Zn系フェライトの電力損失を低減し、小型、低損
失の電源トランス、高性能の粒子加速器等を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 組成1 のフェライトに、WO3:0.05〜
1.0wt%添加した場合のコアロスPcvを、1MHz−2
5mT、100℃と25℃(RT)の条件で測定したグラ
フである。
【図2】 図1 と同一のフェライトについてのμQf積
を、1MHz−25mT、100℃と25℃(RT)の条件
で測定したグラフである。
【図3】 組成2 のフェライトに、Bi23 :0.02
〜0.8wt%添加した場合のコアロスPcvを、1MHz−
25mT、100℃と25℃(RT)の条件で測定したグ
ラフである。
【図4】 図3 と同一のフェライトについてのμQf積
を、1MHz−25mT、100℃と25℃(RT)の条件
で測定したグラフである。
【図5】 組成3 のフェライトに、CoO:0.05〜
2.0wt%、添加した場合のコアロスPcvを、1MHz−
25mT、100℃と25℃(RT)の条件で測定したグ
ラフである。
【図6】 図5 と同一のフェライトについてのμQf積
を、1MHz−25mT、100℃と25℃(RT)の条件
で測定したグラフである。
【図7】 組成4と組成5 のフェライトのμQf積の周波
数特性を、f・Bm=25kTHzの条件で測定したグラ
フである。
【図8】 組成4と組成5 のフェライトのパワーロスPcv
の周波数特性を、f・Bm=25kTHzの条件で測定し
たグラフである。
【図9】 従来のフェライトに、CoO:0.1〜1.0
wt%添加した場合のコアロスPcvを、1MHz−25mT、
100℃と25℃(RT)の条件で測定したグラフであ
る。
【図10】 従来のフェライトに、CoO:0.1〜1.
0wt%添加した場合のμQf積を、1MHz−25mT、1
00℃と25℃(RT)の条件で測定したグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 荒 健輔 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−267724(JP,A) 特開 平1−101609(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分として、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜15 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :15〜35 mol%総計100 mol% 含有し、この主成分の100 wt%
    対し、副成分として 酸化コバルトをCoO換算で :0.05〜1.5wt
    %、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.05〜0.8wt
    %、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.03〜0.5wt
    % 含有するフェライト磁性材料。
  2. 【請求項2】 前記主成分の含有量が、 酸化鉄をFe23 換算で :47〜50 mol%、 酸化ニッケルをNiO換算で :10〜25 mol%、 酸化銅をCuO換算で : 2〜10 mol%、 酸化亜鉛をZnO換算で :25〜35 mol% である請求項1のフェライト磁性材料。
  3. 【請求項3】 前記主成分中の酸化鉄が、 Fe23 換算で48〜50 mol%である請求項1また
    は2のフェライト磁性材料。
  4. 【請求項4】 前記副成分が、主成分に対し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1 〜1.1wt
    %、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.06〜0.75
    wt%、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.06〜0.35
    wt% 含有する請求項1〜3のいずれかのフェライト磁性材
    料。
  5. 【請求項5】 前記副成分が、主成分に対し、 酸化コバルトをCoO換算で :0.1〜0.9wt
    %、 酸化タングステンをWO3 換算で:0.1〜0.5wt
    %、 酸化ビスマスをBi23 換算で:0.1〜0.3wt% 含有する請求項4のフェライト磁性材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかのフェライト磁
    性材料からなり、f・Bm 積が25 kTHz (f=1〜1
    0MHz)において、100℃でのパワーロスが210kW
    /m3以下、25℃でのパワーロスが140kW/m3以下で
    あるフェライトコア。
  7. 【請求項7】 粒子加速器に使用される請求項6のフェ
    ライトコア。
  8. 【請求項8】 1〜10MHzの高周波スイッチング用電
    源トランスに使用される請求項6のフェライトコア。
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