JP5716538B2 - フェライト組成物および電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、フェライト組成物および電子部品に関し、環境温度あるいは使用温度が室温付近あるいは外気温付近、さらに詳しくは、使用温度が0〜50℃の範囲であって、高周波数かつ低磁場の環境下において、電力損失の低減と高い飽和磁束密度とを両立できる電子部品、および該電子部品に好適なフェライト組成物に関する。
近年、携帯用機器等の各種電子機器の小型・軽量化が急速に進み、それに対応すべく、各種電子機器の電気回路に用いられる電子部品の小型化・高効率化・高周波数化への要求が急速に高まっている。
たとえば、携帯用機器等のDC−DCコンバータ用のコイル磁芯としては、従来Ni−Znフェライトが用いられてきた。しかしながら、Ni−Znフェライトは比較的に電力損失が大きいため、コイル磁芯等の部品の小型化・高効率化・高周波数化への対応が困難であった。
このような問題に対し、Ni−Znフェライトに代えて、Mn−Znフェライトを用いることが考えられる。従来、Mn−Znフェライトは、電源用トランスなどに用いられ、低周波数かつ高磁場の環境下で使用されてきた。
一般にトランス等の磁芯として用いられるフェライトには、実際の使用温度域よりも高い温度域において磁気損失が最小となるような温度特性を持つことが要求されてきた。これは、使用時にトランスが磁気損失により発熱しトランス自体の温度が上昇、その結果、さらに磁気損失が増大してトランスの発熱が大きくなることを繰り返す、いわゆる熱暴走を起こす危険性があったからである。電源用トランスの場合、使用温度域は、通常、動作温度(たとえば80℃)付近の温度とされる。
ところが、近年、たとえば、トランスをフッ素系不活性液体等を用いて冷却した場合、その環境温度あるいは使用温度を室温以下、さらには任意の温度とすることが可能となっている。この場合、磁気損失が最小となる温度は特に制限されず、磁気損失の絶対値が小さいことのみが要求される。
一方、携帯用機器等のDC−DCコンバータ用のコイル磁芯として用いる場合、環境温度あるいは使用温度は室温付近あるいは外気温付近であり、トランスと比較すると、電圧も低く、熱暴走の危険は少ない。また、このような携帯用機器では、上述したように、駆動周波数の高周波数化(たとえば1MHz以上)が進み、高周波数領域における損失が小さいことが要求される。
また、トランスにおいても、DC−DCコンバータのような携帯用機器に用いられる部品においても、大電流への対応が進んでいる。そのため、このような部品に用いられる磁芯には大電流でもインダクタンスが低下しない優れた直流重畳特性が要求される。優れた直流重畳特性を実現するには、高い飽和磁束密度が必須であり、特にその環境温度あるいは使用温度において高い飽和磁束密度を有することが必要となる。
したがって、環境温度あるいは使用温度が室温付近あるいは外気温付近、さらに詳しくは0〜50℃の範囲であって、高周波数領域での磁気損失を低下させ、高い飽和磁束密度を有するフェライト組成物が求められている。
低損失で高飽和磁束密度を有するMn−Znフェライトの例として、たとえば、特許文献1では、主成分として、Feが52.4〜53.7モル%、ZnOが7.0〜11.5モル%、残部MnOとし、副成分として、CaOと、Vと、Nbと、AlまたはBiとを特定量含むMn−Znフェライトが提案されている。
しかしながら、上記のMn−Znフェライトは、特許文献1にも記載されているように、トランスの実駆動温度である60℃以上において、低周波数領域での磁気損失が最小となる温度(Pcvmin )を設定しており、室温付近かつ高周波領域では使用が適さないという問題があった。
特開2003−128458号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、使用温度あるいは環境温度が室温付近あるいは外気温付近、さらに詳しくは0〜50℃の範囲であって、高周波数かつ低磁場の環境下において、電力損失の低減と高い飽和磁束密度とを両立できる電子部品、および該電子部品に好適なフェライト組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るフェライト組成物は、主成分が、酸化鉄をFe換算で63.3〜65.5モル%、酸化亜鉛をZnO換算で11.6〜15.8モル%を含有し、残部が酸化マンガンで構成されており、前記主成分100重量%に対して、副成分として、酸化珪素をSiO換算で60〜250ppm、酸化カルシウムをCaO換算で360〜1000ppmを含有し、さらには前記主成分100重量%中に、Pbの含有量が7ppm以下、Cdの含有量が7ppm以下であることを特徴とする。
本発明では、室温付近あるいは外気温付近、さらに詳しくは0〜50℃の温度範囲での使用を考慮し、磁気損失が極小となる温度(Tsp)が0〜50℃の範囲となるように主成分を決定し、さらに副成分の含有量を上記の特定の範囲としている。このようにすることで飽和磁束密度Bsを高く保ちつつ、高周波領域(たとえば、1MHz以上)においても電力損失(Pcv)を低減できるフェライト組成物を得ることができる。
本発明に係る電子部品は、上記に記載のフェライト組成物から構成されるフェライトコアを有し、1MHz以上の周波数領域で使用される。
本発明に係る電子部品は、フェライト組成物のTspが0〜50℃の範囲にあるため、使用温度あるいは環境温度が室温付近あるいは外気温付近にある部品として用いた場合に電力損失を低減することができる。しかも、本発明のフェライト組成物は、電力損失の低減と高い飽和磁束密度とを両立しているため、そのフェライト組成物から成るフェライトコアを有する電子部品の省電力を実現することができる。
本発明に係る電子部品としては、特に制限されないが、携帯用機器等に用いられるDC−DCコンバータのコイル部品などが挙げられる。コイル部品としては、インダクタやチョークコイル等が挙げられる。また、Tspを示す温度付近までトランスを冷却することで、本発明に係る電子部品をトランスにも好適に用いることができる。トランス部品としては、スイッチング用、インバータ用等の電源トランス等が挙げられる。
図1は本発明の一実施形態に係るDC−DCコンバータ用フェライトコアである。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
本実施形態に係るDC−DCコンバータ用フェライトコアとしては、図1に示したトロイダル型のほか、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、ポット型、カップ型等を例示することができる。このDC−DCコンバータ用フェライトコアの周囲に巻き線を所定巻数だけ巻回することにより所望のコイル磁芯を得る。
本実施形態に係るDC−DCコンバータ用フェライトコアは、本実施形態に係るフェライト組成物で構成してある。
本実施形態に係るフェライト組成物は、Mn−Zn系フェライトであり、主成分として、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を含有している。また、本実施形態に係るフェライト組成物の磁気損失が極小となる温度(Tsp)は、0〜50℃の範囲にある。
従来、Mn−Zn系フェライトにおいて、Tspを示す温度は、結晶磁気異方性によって説明がなされていた。すなわち、結晶磁気異方性定数K1の符号が温度上昇に伴って、負から正の値に変わるK1=0の温度において、磁気損失が極小値を持つと言われている。
また、この温度は、透磁率が極大となる、いわゆる透磁率のセカンダリーピークと一致することが知られている。上記のK1は、温度上昇に対して単調に増加するが、Fe2+ は正のK1を持つため、Fe2+ の量が増加すると(すなわち、Fe量が増加すると)、セカンダリーピークの温度は低温側に移動する。
上記の知見および実験結果に基づき、「電子材料シリーズ フェライト」(丸善株式会社発行、昭和63年)の79頁には、Fe量をXモル%、ZnO量をZモル%とした場合に、Tspを求める式として、下記の式が記載されている。
Tsp=−45.5(X+0.2Z)+2620
また、Fe量を増やすことで、高い飽和磁束密度が得られやすいことが知られている。しかしながら、Fe量が多くなると、飽和磁束密度は、Fe量だけではなく、Fe量とZnO量との比率にも影響されると考えられる。
本実施形態に係るフェライト組成物のTspは0〜50℃の範囲にある。このようなフェライト組成物では、Fe量を増加させることで、Tspを上記の範囲内とし、飽和磁束密度を高めることが考えられる。そこで、上記の式を用いてFe量およびZnO量を決定しようとすると、たとえばFe量が64.4モル%で、ZnOを13.7モル%とし、残部をMnOとすると、Tspが−400℃以下となってしまい、現実的ではない。
そのため、上記のTspを求める式は、Fe量が多い(たとえば、63モル%以上)場合には、成り立たないと考えられる。ところが、Fe量が多い場合にTspを求める指標となるものが存在しないため、Fe量が多い場合に、1MHz以上の高周波領域において、高い飽和磁束密度を有するフェライト組成物については、何ら知見がなかった。
そこで、本発明者等は鋭意実験を行い、フェライト組成物中の酸化鉄の含有量が比較的多い場合に、Tspと酸化鉄および酸化亜鉛とが、上記の式とは異なる関係を有することを見出した。すなわち、主成分が、酸化鉄をFe換算で63.3〜65.5モル%、好ましくは63.9〜65.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で11.6〜15.8モル%、好ましくは12.0〜15.8モル%を含有し、残部を酸化マンガンとした場合にTspが0〜50℃の範囲となることを本発明者等は見出した。
酸化鉄あるいは酸化亜鉛の含有量が少ない場合には、磁気損失が極小となる温度(Tsp)が0℃未満となり、また多すぎると50℃を超える。
本実施形態に係るフェライト組成物は、上記の組成範囲の主成分に加え、副成分として、酸化ケイ素および酸化カルシウムを含有している。このような副成分を含有させることで、電力損失の絶対値を小さくし、かつ高い飽和磁束密度を得ることができる。
酸化ケイ素の含有量は、主成分100重量%に対して、SiO換算で、60〜250ppm、好ましくは60〜200ppmである。酸化ケイ素の含有量が多くても少なすぎても、高周波数領域での電力損失が劣化する傾向にある。
酸化カルシウムの含有量は、主成分100重量%に対して、CaO換算で、360〜1000ppm、好ましくは630〜830ppmである。酸化カルシウムの含有量が多くても少なすぎても、高周波数領域での電力損失が劣化する傾向にある。
また、本実施形態に係るフェライト組成物は、上記主成分および副成分の他に、CdおよびPbを含有している。このような成分を所定の範囲に制御することにより、高周波数領域での電力損失の劣化を防止することができる。
Pbの含有量は、主成分100重量%中に、7ppm以下、好ましくは2〜7ppm、より好ましくは、5〜7ppmである。その含有量が、主成分100重量%中に、7ppmを超えると、高周波数領域での電力損失が劣化する傾向にある。
Cdの含有量は、主成分100重量%中に、7ppm以下、好ましくは2〜7ppm、より好ましくは、5〜7ppmである。その含有量が、主成分100重量%中に、7ppmを超えると、高周波数領域での電力損失が劣化する傾向にある。
PbおよびCdは、主成分原料である酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マンガン中に含まれることがある。主成分中のPbおよびCdの含有量が所定の範囲を超えると、高周波数領域での電力損失が劣化する傾向にあることが、本願発明者らによって見出された。そこで、本発明では、原料中のCdおよびPdの含有量を厳密に管理し、上記の範囲内となるようにする。なお、PbおよびCdの含有量を所定の範囲に制御する方法は、特に限定されない。
この他、本実施形態に係るフェライト組成物には、原料中の不可避的不純物元素の酸化物が数ppm〜数百ppm程度含まれ得る。
具体的には、B、C、S、Cl、As、Se、Br、Te、Iや、Li、Na、Mg、Al、K、Ga、Ge、Sr、In、Sn、Sb、Ba、Bi等の典型金属元素や、Sc、Ti、V、Cr、Y、Nb、Mo、Pd、Ag、Hf、Ta等の遷移金属元素が挙げられる。
次に、本実施形態に係るフェライト組成物の製造方法の一例を説明する。
まず、出発原料(主成分の原料および副成分の原料)を、所定の組成比となるように秤量して混合し、原料混合物を得る。混合する方法としては、たとえば、ボールミルを用いて行う湿式混合や、乾式ミキサーを用いて行う乾式混合が挙げられる。なお、平均粒径が0.1〜3μmの出発原料を用いることが好ましい。
主成分の原料としては、酸化鉄(α−Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マンガン(Mn)、あるいは複合酸化物などを用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物等を用いることができる。焼成により上記した酸化物になるものとしては、たとえば、金属単体、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、有機金属化合物等が挙げられる。なお、主成分中の酸化マンガンの含有量はMnO換算で計算されるが、主成分の原料としては、Mnが好ましく用いられる。
副成分の原料としては、主成分の原料の場合と同様に、酸化物だけではなく複合酸化物や焼成後に酸化物となる化合物を用いればよい。酸化ケイ素(SiO)の場合には、SiOを用いることが好ましい。また、酸化カルシウム(CaO)の場合には、炭酸カルシウム(CaCO)を用いることが好ましい。
なお、CdおよびPbについては、主成分の原料である酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンに含まれる。そのため、CdおよびPbの含有量の異なる種々の酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガン原料の使用量を調整することで、CdおよびPbの含有量を調整することができる。
次に、原料混合物の仮焼きを行い、仮焼き材料を得る。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。こうした仮焼きは、好ましくは800〜1100℃の温度で、通常1〜3時間程度行う。仮焼きは、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気や純酸素雰囲気で行っても良い。なお、主成分の原料と副成分の原料との混合は、仮焼きの前に行なってもよく、仮焼き後に行なってもよい。
次に、仮焼き材料の粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼き材料の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体とするために行われる。仮焼き材料が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。湿式粉砕は、仮焼き材料の平均粒径が、好ましくは1〜2μm程度となるまで行う。
次に、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、たとえば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、低温乾燥する方法である。
次に、造粒物を所定形状に成形し、成形体を得る。造粒物の成形としては、たとえば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよいが、本実施形態ではトロイダル型形状とされる。
次に、成形体の本焼成を行い、焼結体(本実施形態のフェライト組成物)を得る。本焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。このような本焼成は、好ましくは900〜1300℃の温度で、通常2〜5時間程度行う。本焼成は、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気で行っても良い。
このような工程を経て、本実施形態に係るフェライト組成物は製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
たとえば、上述した実施形態では、トロイダル型形状とするために、本焼成前に該形状に成形しているが、本焼成後に該形状に成形(加工)してもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、主成分の原料として、Fe、ZnOおよびMnを準備した。副成分の原料として、SiOおよびCaCOを準備した。
なお、CdおよびPbについては、主成分の原料である酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンに含まれる。そのため、最終的に得られるサンプルが表1〜表3に記載のCd量およびPb量を含有するよう、CdおよびPbの含有量の異なる種々の酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガン原料の使用量を調整して準備した。
次に、準備した主成分の原料の粉末を秤量し、さらに、副成分の原料の粉末を表1に示す量となるように秤量した後、ボールミルで5時間湿式混合して原料混合物を得た。
次に、得られた原料混合物を、空気中において950℃で2時間仮焼して仮焼き材料とした後、ボールミルで20時間湿式粉砕して、平均粒径が1.5μmである粉砕材料を得た。
次に、この粉砕材料を乾燥した後、該粉砕材料100重量%に、バインダーとしてのポリビニルアルコールを1.0重量%添加して造粒し、20メッシュの篩で整粒して顆粒とした。この顆粒を196MPa(2ton/cm)の圧力で加圧成形して、トロイダル形状(寸法=外径22mm×内径12mm×高さ6mm)の成形体を得た。
次に、これら各成形体を、酸素分圧を適宜制御しながら、1270℃で2.5時間焼成して、焼結体としてのトロイダルコアサンプルを得た。得られたサンプルについて、蛍光X線分析を行い、フェライトコアの組成を測定した。結果を表1〜3に示す。
<電力損失(Pcv)>
得られたトロイダルコアサンプルに、1次巻線および2次巻線を3回ずつ巻回し、1MHz−50mTの条件において、−10〜60℃における電力損失を測定し、損失が最小となる温度(Tsp)を求め、25℃での電力損失Pcvを算出した(単位:kW/m)。測定は、B−Hアナライザー(岩崎通信機株式会社製SY−8217)を用いて行った。結果を表1〜3に示す。
<飽和磁束密度(Bs)>
得られたトロイダルコアサンプルに、巻線を60回巻回した後、B−Hカーブトレーサー(理研電子株式会社製Model BHS40)を用いて2kA/mの磁場を印加したときの飽和磁束密度Bsを25℃および100℃において測定した(単位:mT)。結果を表1〜3に示す。
また、表1〜3には、1MHzにおけるフェライトコアの品質係数を示すPcv/Bsを示した。Pcvが小さいほど、あるいは、Bsが大きいほど、このPcv/Bsは小さくなる。したがって、Pcv/Bsの値が小さいほど、電力損失の低減と高い飽和磁束密度とを両立できるため好ましい。本実施例では、Pcv/Bsは1.30未満を良好とし、より好ましくは、1.25以下である。
Figure 0005716538
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表1より、副成分であるSiOおよびCaOが同時に含有され、また原料中から含まれるPbおよびCdの含有量が本発明の範囲内にあり、かつ主組成の含有量が本発明の範囲内である場合、すなわち実施例1〜8に係る試料では、電力損失が最小となる温度(Tsp)が0〜50℃の範囲内であることが確認できた。さらに、実施例1〜8に係る試料では、高周波数領域(1MHz)における電力損失(Pcv)が低く、しかも高い飽和磁束密度(Bs)が得られ、Pcv/Bsで表される品質係数が良好となることが確認できた。
これに対し、表1より、主成分組成のうち、酸化鉄Feあるいは酸化亜鉛をZnOの含有量が本発明の範囲外となっている場合(比較例1〜4)では、品質係数Pcv/Bsが悪化する傾向が確認できた。
また、表2より、副成分(SiOおよびCaO)を含有させても、Tspは変化せず、その含有量を本発明の範囲内とすることで(実施例9〜13)、1MHzにおける電力損失の低減および高い飽和磁束密度を両立でき、品質係数Pcv/Bsが良好となることが確認できた。
これに対し、表2より、副成分である酸化ケイ素SiOあるいは酸化カルシウムCaOの含有量が本発明の範囲外となっている場合(比較例5〜8)では、品質係数Pcv/Bsが悪化する傾向が確認できた。
また、表3より、Cd、Pbの含有量が本発明の範囲内である場合(実施例14〜21)、1MHzにおける電力損失の低減および高い飽和磁束密度を両立でき、品質係数Pcv/Bsが良好となることが確認できた。
これに対し、表3より、CdまたはPbが本発明の範囲外となっている場合(比較例9および10)では、品質係数Pcv/Bsが良好な範囲とならないことが確認された。
本発明に係る電子部品は、使用温度域において電力損失が低減され、しかも高い飽和磁束密度が得られる。本発明に係る電子部品を携帯用機器等に用いた場合であっても、電池等の消耗が抑制でき、省電力を実現することができる。

Claims (3)

  1. 主成分が酸化鉄をFe換算で63.3〜65.5モル%、酸化亜鉛をZnO換算で11.6〜15.8モル%を含有し、残部が酸化マンガンで構成されており、前記主成分100重量%に対して、副成分として、酸化珪素をSiO換算で60〜250ppm、酸化カルシウムをCaO換算で360〜1000ppmを含有し、さらには前記主成分100重量%中に、Pbの含有量が7ppm以下、Cdの含有量が7ppm以下であり、
    磁気損失が極小となる温度(Tsp)が、0〜50℃の範囲にあることを特徴とするフェライト組成物。
  2. 請求項1に記載のフェライト組成物から構成されるフェライトコアを有し、温度が0〜50℃の範囲で使用される電子部品。
  3. 請求項1に記載のフェライト組成物から構成されるフェライトコアを有し、1MHz以上の周波数領域で使用される電子部品。
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