JP3330398B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

Info

Publication number
JP3330398B2
JP3330398B2 JP27171892A JP27171892A JP3330398B2 JP 3330398 B2 JP3330398 B2 JP 3330398B2 JP 27171892 A JP27171892 A JP 27171892A JP 27171892 A JP27171892 A JP 27171892A JP 3330398 B2 JP3330398 B2 JP 3330398B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
block copolymer
copolymer
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP27171892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06116492A (ja
Inventor
宏 西野
正治 ▲つる▼野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17503875&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3330398(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP27171892A priority Critical patent/JP3330398B2/ja
Publication of JPH06116492A publication Critical patent/JPH06116492A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3330398B2 publication Critical patent/JP3330398B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド樹脂の、本
来有する強靭性、剛性、成形性などの優れた特性を保持
しつつ、さらに低温衝撃性、伸度などを改良したポリア
ミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、強度、剛性、耐熱性
等に優れエンジニアリングプラスチックとして種々の用
途に幅広く利用されている。
【0003】近年、ポリアミド樹脂の種々の方法にて衝
撃性を改良し、自動車部品や構造部材として用いられ始
めている。自動車部品としては、たとえばアンダーフー
ドパネル、キャニスター、ルーフガイド、ジャンクショ
ンブロック、ロッカーカバー、ホイールカバーなどがあ
げられる。又構造部材としては、例えば、椅子の脚、机
の脚、自転車用ホイールリム等比較的大きな応力がかか
り、構造部品に使用され、従来は、金属材料が使われて
いた用途があげられる。
【0004】ポリアミド樹脂の衝撃性の改良手段として
は、たとえば、スチレン・ブタジエンブロック共重合
体、イソプレンブロック共重合体、またはこれらのブロ
ック共重合体を部分的に水素添加したブロック共重合体
などに、カルボン酸基またはその誘導体を含有する分子
単位結合させ編成したブロック共重合体を改質剤として
使用することもその一例である(特開昭61−1766
53,特開平3−128964)。また、オレフィン系
のエラストマー、たとえば、エチレン−α−オレフィン
共重合体などを混合して、衝撃性を改良したものもある
(特開昭62−74943)。これらの技術で得られた
材料では、低温時の衝撃強度やゲート部の衝撃強度は十
分ではなかった。また、機械的強度や成形流動性改良の
観点から、溶融粘度とポリアミドのアミノ末端基数を規
定したポリアミドと熱可塑性エラストマーからなる耐衝
撃ポリアミドに関する特許(公表公報H1−8081
2)があるが、この技術では樹脂組成物の伸度が低く、
脆性破壊しやすいという欠点を有していた。
【0005】自動車部品や構造部材に共通して要求され
る性能としては、高い強度・剛性、耐衝撃性、良外観性
及び寸法安定性を有する材料が求められている。しかし
先に示した手法によって改良された材料では、低温衝撃
に対する改良は見られるものの、樹脂組成物の伸度が低
いために、破壊に対して弱いという欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、衝撃強度、
特に低温衝撃強度及び成形流動性に優れたポリアミド樹
脂組成物を提供すること、さらにはポリアミド樹脂組成
物の高い衝撃性を維持したまま、伸度を改良すること、
すなわち、実使用下において、破壊に強い材料を提供す
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するもので、その要旨は次のとおりである。
【0008】(A)末端アミノ基濃度と末端カルボキシ
ル基濃度の比R=[NH2]/[COOH]が、0.6
≦R≦5.0、であるポリアミド樹脂と(B)ビニル芳
香族化合物と共役ジエン化合物とからなる共重合体の一
部または全部に水素化した水添ブロック共重合体と
(C)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからな
る共重合体の一部または全部に水素化した水添ブロック
共重合体に、カルボン酸基またはその誘導体基を含有す
る分子単位が結合されている変性ブロック共重合体から
なる組成物であって、該組成物中、(B),(C)のい
ずれの共重合体について、共役ジエン化合物の不飽和度
が20%を超えず、ビニル芳香族化合物の量がビニル芳
香族化合物および共役ジエン化合物の合計量に対して1
0〜50重量%であり、さらに、(B)/(C)=1/
99〜99/1の比率で、かつ(A)が50〜98重量
%、(B)が1〜50重量%、(C)1〜50重量%の
範囲にあり、(A)+(B)+(C)=100重量%を
満たすものである樹脂組成物(D)100重量部に対し
て(E)エチレン−α−オレフィン系共重合体0−20
0重量部、(F)数平均分子量500から50,000
であり末端のみに酸無水基を有するオレフィン系ポリマ
ー0〜20重量部からなるポリアミド樹脂組成物であ
る。
【0009】以下に発明の内容を詳細に説明する。
【0010】本発明に用いる(A)成分として用いられ
るポリアミド樹脂としては、ジカルボン酸とジアミンの
重縮合物、ω−アミノ酸の自己縮合物、環状ラクタムの
開環重合体などであり、具体的には、ナイロン6,ナイ
ロン9,ナイロン10,ナイロン12,ナイロン46,
ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等の脂
肪族ポリアミドや、ナイロン6T,ナイロン6I等の芳
香族ポリアミド樹脂およびナイロンのコポリマーおよび
ブレンド物である。これらのポリアミド樹脂の数平均分
子量は特に制約はないが、約5000−100,000
であり、10,000−50,000のものがより好ま
しい。
【0011】本発明のポリアミド樹脂は、末端基濃度の
比[NH2]/[COOH]=Rとした時、0.6≦R
≦5.0、であることが必要であり、好ましくは、0.
6≦R≦4.0、さらに好ましくは、0.6≦R≦3.
0である。Rが、5.0を越えると、得られた樹脂組成
物のゲル化が生じ、押し出しが困難になり、ペレット化
できないという問題を有する。Rが0.6未満になる
と、(B)と(C)成分の分散が悪く、成形品に層剥離
が生じるという欠点を有する。Rが上記本発明の比率の
時のみ、ゲル化を生じず、低温衝撃強度、伸度が改良さ
れたものが得られる。
【0012】ポリアミド樹脂は、50重量%未満の場合
押し出し安定性が悪く、98重量%を越えると得られた
樹脂組成物の衝撃強度が改善されない。
【0013】本発明に用いる水添ブロック共重合体
(B)は、ビニル芳香族化合物ブロックと共役ジエン化
合物ブロックを主体とする重合体ブロックとから構成さ
れているブロック共重合体の共役ジエン部分の不飽和度
が20%を超えない程度までに選択的に水添されたもの
である。
【0014】本発明に用いる水添ブロック共重合体
(B)において、ビニル芳香族化合物ブロックの含有率
は10〜50重量%、特に好ましくは13〜45重量%
の範囲である。水添ブロック共重合体中のビニル芳香族
化合物の含有率が50%を超えると常温における耐衝撃
性は保持されるものの、低温における耐衝撃性は著しく
低下する。一方、ビニル芳香族化合物の含有率が10重
量%未満の場合は、水添ブロック共重合体のペレット化
が著しく困難となり、工業的に極めて不利な結果をもた
らす。これに対して、ビニル芳香族化合物の含有率が1
0から50重量%、特に好ましくは13から45重量%
である場合において、ポリアミド樹脂の剛性低下がな
く、高い低温耐衝撃性を有する組成物が得られる。
【0015】本発明における水添前のブロック共重合体
を構成するビニル芳香族化合物としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルスチレン、ビニルトルエン、
ビニルナフタレンなどが例示されるが、特にスチレンが
好ましい。また共役ジエン化合物としては、1,3−ブ
タジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレンなどが例
示されるが特に1,3−ブタジエンが好ましい。
【0016】本発明に使用するブロック共重合体は、通
常、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンな
どの不活性炭化水素溶媒中で、ブチルリチウムなどの有
機リチウム化合物またはナトリウムナフタレンなどを触
媒として、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物をモ
ノマーとするアニオンリビング重合法により合成される
が、本発明においては、いかなる手段を用いて合成され
たものであっても、上記の範囲のものであれば特に制限
されるものではない。
【0017】上記のブロック共重合体を、公知の方法、
たとえば特開昭42−8704号公報に記載の方法で水
添することにより、ビニル芳香族化合物の芳香族二重結
合の20%を越えない部分および共役ジエン化合物の脂
肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されている
部分水素添加ブロック共重合体が合成される。
【0018】本発明でいう共役ジエン化合物の不飽和度
とは、共役ジエン化合物に含まれる炭素・炭素二重結合
の割合のことであって、これは従来公知の技術、たとえ
ばヨード滴定法によって求められる。
【0019】本発明で用いる変性ブロック共重合体
(C)は、ビニル芳香族化合物ブロックと共役ジエン化
合物ブロックを主体とする重合体ブロックとから構成さ
れているブロック共重合体の共役ジエン部分の不飽和度
が20%を超えない程度までに選択的に水添されたブロ
ック共重合体に、カルボン酸基またはその誘導体基を含
有する分子単位との付加反応および/またはグラフト反
応により得ることができる。
【0020】本発明で用いる変性ブロック共重合体
(C)において、ビニル芳香族化合物ブロックの含有率
は10%〜50%、特に好ましくは13〜45重量%の
範囲である。水添ブロック共重合体中のビニル芳香族化
合物の含有率が50%を超えると常温における耐衝撃性
は保持されるものの、低温における耐衝撃性は著しく低
下する。一方、ビニル芳香族化合物の含有率が10%未
満の場合は、水添ブロック共重合体のペレット化が著し
く困難となり、工業的に極めて不利な結果をもたらす。
これに対して、ビニル芳香族化合物の含有率が10から
50重量%、特に好ましくは13から45重量%である
場合においては、得られたポリアミド樹脂組成物の剛性
低下が少なく、高い低温耐衝撃性を有するものが得られ
る。
【0021】本発明で用いられるカルボン酸基またはそ
の誘導体基を含有する分子単位とは、マレイン酸、無水
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、ハイミック酸、無水ハイミック酸、クロトン
酸などであるが、特に無水マレイン酸が好ましい。
【0022】カルボン酸基またはその誘導体基を含有す
る分子単位の水添されたブロック共重合体への付加量
は、ブロック共重合体100重量部に対して0.001
から20重量部が好ましく、0.1から5重量部が特に
好ましい。付加量が0.001重量部未満では、組成物
とした場合、改質がほとんど見られない。20重量部を
超えると、配合されたポリアミド樹脂が着色、分子量低
下などの好ましからざる結果を与えることになる。
【0023】カルボン酸基またはその誘導体基を含有す
る分子単位の水添されたブロック共重合体への付加反
応、および/またはグラフト反応は、従来公知の方法を
用いることができ、溶媒の存在下、あるいは非存在下、
ラジカル発生剤の共存下に行うことが好ましい。
【0024】ラジカル発生剤としては、ベンゾイルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−
ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどを
使用することができる。
【0025】本発明において成分(B)と成分(C)に
おける芳香族化合物と共役ジエン化合物の比率について
は、成分(B)と成分(C)を構成する芳香族化合物の
割合が同じであっても良いし、異なっていても良い。成
分(B)と成分(C)の配合比(B)/(C)=1/9
9〜99/1の比率である。成分(B)の芳香族化合物
の比率を成分(C)の芳香族化合物の比率より小さくす
ることがゲル防止の点で有効であり好ましい。
【0026】本発明において成分(B)と成分(C)の
配合量の合計は、樹脂組成物の2重量%以上50重量%
以下である。成分(B)と成分(C)の配合量の合計
が、2重量%以下の場合、衝撃強度の改善が見られず、
50重量%を越える場合は、押し出し安定性が悪くな
る。
【0027】本発明において(A),(B),(C)か
らなる樹脂組成物(D)は、衝撃強度、特に低温のIz
od衝撃強度に優れ、成形流動性が良好なものである。
【0028】前述したように樹脂組成物(D)は衝撃強
度及び成形流動性に優れたものであるがさらに、樹脂組
成物の伸度を向上させるために鋭意検討した結果、樹脂
組成物(D)とエチレン−α−オレフィン系共重合体
(E)とからなる樹脂組成物(D′)は、上記樹脂組成
物(D)の特徴である高い衝撃強度を保持させたまま、
成形品の引っ張り伸度を向上させ、さらには成形品のゲ
ート部のIzod衝撃強度を改良することができる。
【0029】本発明のエチレン−α−オレフィン系共重
合体(E)の配合量は、上記ポリアミド樹脂、水添ブロ
ック共重合体(B)と変性ブロック共重合体(C)とか
らなる樹脂組成物(D)100重量部に対して、5−2
00重量部である。好ましくは10−100重量部、さ
らに好ましくは15−50重量部である。配合量の上限
200重量部を越えて添加すると、樹脂組成物の機械的
強度が低下する。
【0030】本発明のエチレン−α−オレフィン系共重
合体(E)において、共重合モノマーとして使用される
α−オレフィンとしては、炭素数3−12のα−オレフ
ィンであり、具体例としては、プロピレン、ブテン−
1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン
−1、などである。好ましくはプロピレンである。これ
らのα−オレフィンは、1種単独で使用することも、ま
た、2種以上を併用することもできる。
【0031】また、前記エチレン−α−オレフィン系共
重合体としては、非共役ジエン化合物を共重合させたも
のも可能であり、該非共役ジエン化合物としては以下の
化合物が挙げられる。
【0032】ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタ
ジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−
メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン、5−イソプロピルビリデン−2−ノルボル
ネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−
(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジ
エン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデ
カトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒド
ロインデン、2,2−ジシクロペンテニル、トランス−
1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエ
ン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オク
タジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−
オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエ
ン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8
−ノナジエンなど、これらの非共役ジエン化合物の中
で、特に5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび/ま
たはジシクロペンタジエンが好ましい。
【0033】さらに上記の樹脂組成物(D)とオレフィ
ン系ポリマー(F)からなる樹脂組成物(D”)は、高
い衝撃性に加えて、押し出し安定性と低温Izod衝撃
強度が向上したものであり、高い信頼性の要求される自
動車部品用途や構造部材用途に好適である。
【0034】本発明に用いるオレフィン系ポリマーの配
合量は、上記ポリアミド樹脂(A)、水添ブロック共重
合体(B)と変性ブロック共重合体(C)とからなる樹
脂組成物(D)100重量部に対して、0.01〜20
重量部である。
【0035】オレフィン系ポリマーを樹脂組成物(D)
に少量配合するだけで、低温のIzod衝撃強度を著し
く向上させ、また、押し出し安定性が非常に良くなる。
20重量部を越えて添加すると、逆に押し出し安定性が
非常に悪くなり、ペレタイズできず、目的とする樹脂組
成物を得ることができない。
【0036】本発明に用いる数平均分子量500から5
0,000であり末端のみに酸無水基を有するオレフィ
ン系ポリマー(F)は、WO89−08120に記載さ
れているポリマーであり、主鎖が、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリオクテ
ニレン、α−オレフィンの共重合体であるエチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−1,6−ヘキサジエン共重合体、エチ
レン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルンネ
ン共重合体、ジエン系モノマーの単独重合体であるポリ
ブタジエン、共重合体であるブタジエン−スチレン共重
合体、ブタジエン−スチレン共重合体の水素添加物、
1,2−ポリブタジエンの水素添加物、1,4−ポリブ
タジエンの水素添加物、及び1,2−ポリブタジエンと
1,4−ポリブタジエンの混合体の水素添加物などのオ
レフィン系ポリマーであって、末端に酸無水基を含有す
る分子単位が結合したポリマーである。最も好適な末端
に酸無水基を有するオレフィン系ポリマー()の例と
しては、両末端に水酸基を有する水添ポリブタジエンと
無水トリメット酸クロライドとの反応生成物である末端
トリメリット酸無水物変性水添ポリブタジエンを挙げる
ことができる。本発明のオレフィン系ポリマーは酸無水
基を末端にのみに有することが重要である。末端であれ
ば、片末端でも両末端でもよいが、両末端に結合してい
る方が望ましい。
【0037】本発明においてオレフィン系ポリマーの数
平均分子量が500より低いとオレフィン系ポリマーそ
のものが、熱的に不安定となり、組成物の加工時に揮発
して発泡などの良くない状況を引き起こしたり、また混
和剤としての働きも成分(F)主鎖部分と成分(B)お
よび/または成分(C)のブロック共重合体との絡み合
いが不十分となり分散効率の向上効果はある程度はある
ものの靭性(引張伸度や耐衝撃性)が十分でないという
結果となる。好ましくは1,000以上である。また、
数平均分子量が50,000を越えると末端の酸無水基
の濃度が低くなるために混和剤としての働きが悪くな
る。また、分子量が高いと溶融粘性あるいは溶液粘性が
高くなるために末端に酸無水基を導入する際の取扱いが
困難になる。それ故、数平均分子量は好ましくは20,
000以下、さらに好ましくは10,000以下、もっ
とも好ましくは6,000以下である。
【0038】また、樹脂組成物(D)に対して、成分
(E)と成分(F)とを同時に、混合させることも可能
であり、そのときの配合量には、上記に示す成分
(E)、成分(F)の配合量の範囲内であれば、成分
(E),成分(F)をそれぞれ樹脂組成物(D)に配合
した時の効果が十分に発揮されるものである。
【0039】本発明の組成物に、必要に応じて、他のゴ
ム、他の熱可塑性樹脂や通常の熱可塑性樹脂に添加され
る酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑
剤、難粘剤、染料、顔料、造核剤、ガラス繊維などの補
強剤などの、種々の添加剤を配合することも特に制限さ
れるものではない。
【0040】本発明の樹脂組成物を製造するためには、
従来公知のいかなる技術を用いても良いが、押出し機、
バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて溶融混合する
方法などが好適に用いられる。
【0041】本発明に於いては、物性を改良する目的で
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を混合しても良い。
その熱可塑性樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重
合体、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体など
の熱可塑性エラストマーや、あるいはこれらのα,β−
不飽和カルボン酸、またはその誘導体グラフト物あるい
は共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテル、
ポリエステル、ポリアリレーンサルファイト、ポリサル
ホン、ポリカーボネイト、ポリアミドイミドなどが挙げ
られる。
【0042】
【実施例】
(評価方法)以下の実施例および比較例にて成形された
試験片の評価は、以下のとおりである。
【0043】(1)引張伸度 :ASTM638に
準じて行った。
【0044】(2)Izod衝撃強度:ASTM256に
準じて行った。
【0045】(3)ゲート部Izod衝撃強度の測定は、
図1の平板(130mm×130mm×3mm)を成形
し、図1に示すようにゲート部から試験片A、B、C
(図1に示す斜線部)を切り出して、ASTM256に
準じて測定を行った。
【0046】(4)末端基濃度測定 アミノ基:フェノール水溶液中に溶解したポリアミド樹
脂を1/10規定の塩酸で電位差滴定して求めた。
【0047】カルボキシル基:ベンジルアルコール中に
ポリアミド樹脂を加熱溶解し、フェノールフタレインを
加え1/10規定のNaOHエチレングリコール液で滴
定して求めた。
【0048】(材料)以下の実施例および比較例におい
て使用された材料は次のとおりである。
【0049】水添ブロック共重合体(B):旭化成工業
(株)製 タフテックH1051 エチレン−α−オレフィン系共重合体:三井石油化学工
業(株)製 タフマーP−0180 オレフィン系ポリマ−:末端トリメリット酸無水物変性
水添ポリブタジエン 東邦化学工業(株)製 TA−101 製造例1 アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩に対し
て、所定量のヘキサメチレンジアミンか、もしくはアジ
ピン酸を配合した後、通常のナイロン66の重合方法に
従い重合して表1に示すポリアミド樹脂A〜Dを得た。
【0050】製造例2 水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体(タフテッ
クH1051)の100重量部に対して、3.0重量部
の無水マレイン酸、0.2重量部の2,5−ジメチル−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25
B:日本油脂株式会社製)を均一にドライブレンドした
後、窒素雰囲気下で、シリンダー温度220度から25
0度に設置した45mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工
(株)PCM−45)で溶融混練し、(C)変性ブロッ
ク共重合体を得た。
【0051】実施例1 製造例1のポリアミド樹脂Bを80重量部と水添ブロッ
ク共重合体10重量部と製造例2の変性ブロック共重合
体10重量部とをドライブレンドしたものを、45mm
φ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)に
て、溶融混合して得られたペレットを日精樹脂(株)P
S−40E射出成形機により射出成形を行い各試験片を
作成した。組成と測定結果を表2に示す。
【0052】実施例2 製造例1のポリアミド樹脂Cを80重量部と水添ブロッ
ク共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロック共
重合体10重量部とをドライブレンドしたものを、45
mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)
にて、溶融混合して得られたペレットを日精樹脂(株)
PS−40E射出成形機により射出成形を行い各試験片
を作成した。組成と測定結果を表2に示す。
【0053】実施例3 製造例1のポリアミド樹脂Bを80重量部と水添ブロッ
ク共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロック共
重合体10重量部とエチレン−α−オレフィン系共重合
体5重量部とをドライブレンドしたものを、45mmφ
2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)にて、
溶融混合して得られたペレットを日精樹脂(株)PS−
40E射出成形機により射出成形を行い各試験片を作成
した。組成と測定結果を表2に示す。
【0054】実施例4 実施例1と同じポリアミド樹脂Bを80重量部と水添ブ
ロック共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロッ
ク共重合体10重量部とをドライブレンドしたものを、
45mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−4
5)にて、押し出し機ベント口より、末端にのみ酸無水
基をもつオレフィン系ポリマー(TA−101)を1.
2重量部添加、溶融混合して得られたペレットを日精樹
脂(株)PS−40E射出成形機により射出成形を行い
各試験片を作成した。組成と測定結果を表2に示す。
【0055】実施例5 実施例1と同じポリアミド樹脂Bを80重量部と水添ブ
ロック共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロッ
ク共重合体10重量部とエチレン−α−オレフィン系共
重合体5重量部とをドライブレンドしたものを、45m
mφ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)に
て、押し出し機ベント口より、実施例4と同じオレフィ
ン系ポリマーを1.2重量部添加、溶融混合して得られ
たペレットを日精樹脂(株)PS−40E射出成形機に
より射出成形を行い各試験片を作成した。組成と測定結
果を表2に示す。
【0056】実施例6 実施例1と同じポリアミド樹脂Bを80重量部と水添ブ
ロック共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロッ
ク共重合体10重量部とエチレン−α−オレフィン系共
重合体10重量部とをドライブレンドしたものを、45
mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)
にて、押し出し機ベント口より、実施例4と同じオレフ
ィン系ポリマーを1.2重量部添加、溶融混合して得ら
れたペレットを日精樹脂(株)PS−40E射出成形機
により射出成形を行い各試験片を作成した。組成と測定
結果を表2に示す。
【0057】比較例1 製造例1のポリアミド樹脂Aを80重量部と水添ブロッ
ク共重合体10重量部と実施例1と同じ変性ブロック共
重合体10重量部とをドライブレンドしたものを、45
mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)
にて、溶融混合して得られたペレットを日精樹脂(株)
PS−40E射出成形機により射出成形を行い各試験片
を作成した。組成と測定結果を表2に示す。
【0058】比較例2 製造例1のポリアミド樹脂Dを80重量部と水添ブロッ
ク共重合体10重量部と実施例1変性ブロック共重合体
10重量部とをドライブレンドしたものを、45mmφ
2軸押し出し機(池貝鉄工(株)PCM−45)にて、
溶融混合して得られたペレットを日精樹脂(株)PS−
40E射出成形機により射出成形を行い各試験片を作成
した。組成と測定結果を表2に示す。
【0059】比較例3 製造例1のポリアミド樹脂Bを80重量部と実施例1と
同じ変性ブロック共重合体20重量部とをドライブレン
ドしたものを、45mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工
(株)PCM−45)にて、溶融混合して得られたペレ
ットを日精樹脂(株)PS−40E射出成形機により射
出成形を行い各試験片を作成した。組成と測定結果を表
2に示す。
【0060】比較例4 製造例1のポリアミド樹脂Aを80重量部と実施例1と
同じ変性ブロック共重合体20重量部とをドライブレン
ドしたものを、45mmφ2軸押し出し機(池貝鉄工
(株)PCM−45)にて、溶融混合して得られたペレ
ットを日精樹脂(株)PS−40E射出成形機により射
出成形を行い各試験片を作成した。組成と測定結果を表
2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】(注)(1) 分散性:成形品を熱キシレンで
抽出した後、その成形品を走査型電子顕微鏡で観察して
判断した。
【0064】(2) 押出性:押出時のサ−ジングの有無で
判断した。
【0065】(3) 流動長(cm):射出成形時に、厚さ
2mm、幅5mmのスパイラル状の金型内を溶融樹脂が
流動した長さを求めた。
【0066】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形
流動性、及び押出し安定性に優れている。また、樹脂組
成物の低温衝撃性と引っ張り伸度が向上しており、すな
わち、実使用下において、衝撃強度が高く破壊に強い材
料であり、幅広い用途に用いることができる。特に高い
信頼性の要求される自動車部品、例えばアンダーフード
パネル、キャンスター、ルーフガイド、ジャンクション
ブロック、ロッカーカバー、ホイールカバー等に用いる
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例のゲート部IzodA,B,
Cの測定個所を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)末端アミノ基濃度と末端カルボキ
    シル基濃度の比R=[NH2]/[COOH]が、0.
    6≦R≦5.0、であるポリアミド樹脂と (B)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからな
    る共重合体の一部または全部に水素化した水添ブロック
    共重合体と(C)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合
    物とからなる共重合体の一部または全部に水素化した水
    添ブロック共重合体に、カルボン酸基またはその誘導体
    基を含有する分子単位が結合されている変性ブロック共
    重合体からなる組成物であって、該組成物中、(B),
    (C)のいずれの共重合体について、共役ジエン化合物
    の不飽和度が20%を超えず、ビニル芳香族化合物の量
    がビニル芳香族化合物および共役ジエン化合物の合計量
    に対して10〜50重量%であり、さらに、(B)/
    (C)=1/99〜99/1の比率で、かつ(A)が5
    0〜98重量%、(B)が1〜50重量%、(C)1〜
    50重量%の範囲にあり、(A)+(B)+(C)=1
    00重量%を満たすものである樹脂組成物(D)100
    重量部に対して(E)エチレン−α−オレフィン系共重
    合体0−200重量部、(F)数平均分子量500から
    50,000であり末端のみに酸無水基を有するオレフ
    ィン系ポリマー0〜20重量部からなるポリアミド樹脂
    組成物。
JP27171892A 1992-10-09 1992-10-09 ポリアミド樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3330398B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27171892A JP3330398B2 (ja) 1992-10-09 1992-10-09 ポリアミド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27171892A JP3330398B2 (ja) 1992-10-09 1992-10-09 ポリアミド樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06116492A JPH06116492A (ja) 1994-04-26
JP3330398B2 true JP3330398B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=17503875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27171892A Expired - Lifetime JP3330398B2 (ja) 1992-10-09 1992-10-09 ポリアミド樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3330398B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1270970A (en) * 1985-09-21 1990-06-26 Kazuaki Saito Impact-resistant polyamide composition
JPS6268850A (ja) * 1985-09-21 1987-03-28 Asahi Chem Ind Co Ltd 耐衝撃性に優れたポリアミド含有樹脂組成物
JP3049753B2 (ja) * 1990-10-08 2000-06-05 東レ株式会社 ポリアミド吹込成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06116492A (ja) 1994-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0753027B1 (en) Thermoplastic elastomers having improved surface properties
EP0219973B1 (en) Impact resistant polyamide compositions
EP0889095A1 (en) Polyamide resin composition
JP2001146533A (ja) 高耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
US4317764A (en) Polybutylene terephthalate molding blends
JPH11335553A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2005112990A5 (ja)
JP3330398B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2701147B2 (ja) ポリマーブレンド組成物
JPH0826213B2 (ja) 樹脂組成物
JPH09272780A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0616924A (ja) ウエルド特性の改良された樹脂組成物
JPH06179791A (ja) 樹脂組成物
JP2005298578A (ja) 配電機器用耐衝撃性樹脂成形品
JPH0649340A (ja) ビスフェノール系熱可塑性樹脂組成物
JP3382347B2 (ja) 耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物
JPH0693180A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP7197056B1 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、成形品および成形品の製造方法
JPH06116491A (ja) ブロー成形用樹脂組成物
JP2004359966A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000063666A (ja) 自動車電装部品ハウジング用ポリアミド樹脂組成物
JP2003160710A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP2662646B2 (ja) 自動車用ジャンクションブロック
JPH11140307A (ja) ポリアミド系樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2003192871A (ja) ポリアセタール樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719

Year of fee payment: 11