JP3328100B2 - 眼光学系のシミュレーション装置 - Google Patents

眼光学系のシミュレーション装置

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JP3328100B2 JP08785495A JP8785495A JP3328100B2 JP 3328100 B2 JP3328100 B2 JP 3328100B2 JP 08785495 A JP08785495 A JP 08785495A JP 8785495 A JP8785495 A JP 8785495A JP 3328100 B2 JP3328100 B2 JP 3328100B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は眼光学系のシミュレーシ
ョン装置に関し、特に眼鏡レンズ等の光学レンズを装用
したときの網膜像をシミュレーションする眼光学系のシ
ミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】正常な視力を維持するために、眼鏡レン
ズ等の光学レンズが使用される。眼鏡レンズは、光学的
特性の異なるものが多数販売されている。眼鏡レンズの
分類を光学的仕様別に大きく分けると、1つのレンズ内
において1つの焦点を有する単焦点レンズと、1つのレ
ンズ内において複数の焦点を有する多焦点レンズとに分
けられる。さらに、単焦点レンズは球面レンズと非球面
レンズとに分けられる。非球面レンズの設計はメーカに
よって異なる。同様に、多焦点レンズにおいても多くの
種類に分けられる。例えば二重焦点レンズ、三重焦点レ
ンズ、累進多焦点レンズがあり、これらのレンズはさら
に細分化される。
【0003】光学レンズの選定の際には、これらの多種
多様の光学的仕様のレンズから装用者に適したレンズを
選定することになる。その選定における判断材料として
は、装用者に適したレンズ度数を有する複数種のレンズ
を用意して実際に装用するか、あるいは眼鏡店の店員が
装用者の要望を聞くことによって、店員が選定する方法
があった。
【0004】ところが、装用者に適した度数を有する複
数種の光学的仕様別のレンズを眼鏡店で所有すること
は、種類が膨大となり実際には困難である。一方、店員
が装用者に希望を聞いて選定する方法は、店員の熟練を
要する。さらに、店員には、装用者にとって実際にどの
ように見えるかを知ることはできないため、常に正確な
判断をすることは困難である。
【0005】このような問題点を解決するために、眼鏡
等を装用した時の網膜像をシミュレーションできる眼光
学系のシミュレーション装置がある。まず第1の眼光学
系のシミュレーション装置では、光源画面からの平行光
線を光学レンズ及び角膜等の光学系内を追跡し、PSF
(Point Spread Function )を求める。PSFとは、物
体上の一点から発した光が像面上どのように分布するか
を表す関数である。このPSFと原画像データとから網
膜像データを演算する。このようにして得られた網膜像
データを、表示装置の画面に表示することによって、ど
のように画像が見えるかを客観的に判断することができ
る。このような例として本出願人は特願平7−2693
6号を出願している。
【0006】さらに押し進めて、光の色収差の影響を考
慮にいれた第2の眼光学系のシミュレーション装置も考
えられている。つまり、レンズ等の光学材料の屈折率は
波長に依存し、短波長ほど高い値となる。そこで、複数
の波長におけるPSFを求め、原画像データと各波長ご
とのPSFにより、波長ごとの単色網膜像データを生成
する。これらの単色網膜像データを合成することによ
り、色収差をも含めた網膜像のシミュレーションを行う
ことができる。このような例として本出願人は特願平7
−71502号を出願している。
【0007】一方、上記の第1の眼光学系のシミュレー
ション装置では、人眼が一定の方向を向いているときに
網膜に焦点を結ぶことのできる範囲の画像しかシミュレ
ーションすることができない。ところが、現実に眼鏡を
装用した時には、眼を回旋することにより広い範囲の任
意の像に焦点を結ばせることが可能である。そこで、人
眼を回旋させて見渡すことのできる範囲の情景画像をシ
ミュレーションすることができる第3の眼光学系のシミ
ュレーション装置が考えられている。
【0008】第3の眼光学系のシミュレーション装置で
は、眼を回旋することにより全体を見渡すことができる
ような大きな光源画面を想定し、光源画面上に格子状に
整列した視点を設定する。この視点を見たときのPSF
をそれぞれ求め、全ての視点に対応するPSFを用いて
網膜像を生成するようにしている。これにより、眼を回
旋させて周辺を見渡した場合の情景画像をシミュレーシ
ョンすることができる。このような例として本出願人は
特願平7−71503号を出願している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、色収差の影響
が顕著に現れるのは回旋角度が大きい場合であるのに反
し、従来の眼光学系のシミュレーション装置は、眼を回
旋させて周辺を見渡した場合の情景画像を、色収差まで
を考慮してシミュレーションすることはできなかった。
従って、情景画像の見え方をシミュレーションしても、
その光学レンズの色収差の影響を含めた特性を正確に認
識することができなかった。
【0010】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、眼鏡等の光学レンズを装用した際の人眼の回
旋を伴う広い角度の情景を、色収差の影響を含めてシミ
ュレーションできる眼光学系のシミュレーション装置を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、光学レンズを装用したときの網膜像をシ
ミュレーションする眼光学系のシミュレーション装置に
おいて、所定の位置に置かれた光源画面に複数の視点が
定められ、複数設定された波長それぞれにおいて、前記
視点における像が網膜に焦点を結ぶように人眼が回旋し
た状態での前記光学レンズ及び前記人眼に関する光学系
データに基づいて、前記視点ごとのPSF(Point Spre
ad Function )を演算するPSF演算手段と、原画像デ
ータと、それぞれの前記波長に対応する前記視点ごとの
前記PSFによってたたみ込み積分を行い、人眼が回旋
することにより見渡した場合に網膜に写し出される像の
前記波長に対応した像を連続的に表示した前記波長ごと
の単色情景画像を演算する情景画像演算手段と、前記波
長ごとの前記単色情景像を合成し、情景画像を生成する
情景画像合成手段と、を有することを特徴とする眼光学
系のシミュレーション装置が提供される。
【0012】
【作用】PSF演算手段は、所定の位置に置かれた光源
画面に複数の視点が定められ、複数設定された波長それ
ぞれにおいて、視点における像が網膜に焦点を結ぶよう
に人眼が回旋した状態での光学レンズ及び人眼に関する
光学系データに基づいて、視点ごとのPSF(Point Sp
read Function )を演算する。情景画像演算手段は、原
画像データと、それぞれの波長に対応する視点ごとのP
SFによってたたみ込み積分を行い、人眼が回旋するこ
とにより見渡した場合に網膜に写し出される像の波長に
対応した像を連続的に表示した波長ごとの単色情景画像
を演算する。情景画像合成手段は、波長ごとの単色情景
像を合成し、情景画像を生成する。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の眼光学系のシミュレーション装置
の原理図である。このシミュレーション装置では、人眼
を回旋させなければ全体を見渡すことのできない程の十
分大きな光源画面を想定する。光源画面には、格子状に
整列した視点が設定されている。そして、この光源画面
上に描かれる原画像データ1を設定する。
【0014】画像分解手段2は、原画像データ1を複数
設定された波長ごとの単色画像データ3a〜3cに分解
する。この単色画像データ3a〜3cは、原画像データ
1から一定の波長のスペクトルのみを抽出することによ
り得られる画像データである。つまり、原画像データ1
をスペクトル分解し、予め設定されている波長のスペク
トルにより得られる画像データを全ての波長において求
めることにより、各波長ごとの単色画像データ3a〜3
cが生成される。この時設定される波長は任意に設定す
ることができ、例えば、可視光の波長領域において、数
nm間隔に設定することができる。
【0015】なお、原画像データ1が白黒のデータのよ
うに、一定の色で描かれている場合には、スペクトル分
解した際に各スペクトルにより得られる像の形状は全て
同じとなる。このときは、原画像データ1を分解せず
に、そのまま各波長の単色画像データ3a〜3cとする
ことができる。つまり、この場合は画像分解手段2が不
要となる。
【0016】このように生成された単色画像データ3a
〜3cそれぞれに対応して情景画像生成部10a〜10
cが設けられている。情景画像生成部10aには、光源
画面に設定された視点それぞれに対応してPSF(Poin
t Spread Function )算出部12〜14が設けられてい
る。例えば、光源画面を縦方向をm、横方向をnに分解
する場合にはm×n個のPSF算出部が設けられる。
【0017】各PSF算出部12〜14には、対応する
視点における像が網膜に焦点を結ぶように人眼を回旋さ
せた状態での光学系データ12c,13c,14cが設
定されている。この光学系データ12c,13c,14
cは、対応する視点の位置データ、光学レンズに関する
データ、及び人眼に関するデータである。光学レンズに
関するデータは、レンズの凸面の曲率、凹面の曲率、屈
折率等である。これらのデータは、そのレンズの設計値
から求めることができる。人眼に関するデータは、角
膜、瞳孔、水晶体、網膜、及び回旋角度等のデータであ
る。これらのデータは、基本的にはグルストランドの模
型を使用して求め、眼軸長、若しくは角膜の凸面の曲率
半径の値を装用者の視力に応じて決定する。このときの
各媒体の屈折率は、対応する波長の光のおける屈折率で
ある。
【0018】PSF演算手段12b,13b,14b
は、光学系データ12c,13c,14cを基にPSF
12a,13a,14aを求める。PSF12a,13
a,14aはある視点から発した光が像面上にどのよう
に分布するかを表す関数である。情景画像演算手段11
は、対応する単色画像データ3aをPSF12a,13
a,14aによってたたみ込み積分を行い、単色情景画
像データ4aを求める。
【0019】同様に、他の情景画像生成部10b,10
cにおいても、対応する波長における光学系データを基
に単色情景画像データ4b,4cを生成する。情景画像
合成手段5は、生成された単色情景画像データ4a,4
b,4cを合成し情景画像データ6を生成する。表示制
御手段7は、情景画像データ6から得られる像を表示装
置8に表示する。これにより、色収差の影響が加味され
たうえで、視線を上下左右に動かして認識することので
きる全体の情景が表示画面上に表示される。このように
して、色収差の影響を含めた情景画像のシミュレーショ
ンを行うことができる。
【0020】次に、本発明の眼光学系のシミュレーショ
ン装置におけるシミュレーションの手順をさらに詳しく
説明する。まず、シミュレーションによる表示対象とな
る原画像データを設定する。この原画像データは、人眼
を回旋することにより焦点を合わせることのできる範囲
内の光源画面上に描かれる。
【0021】図2は光源画面を示す図である。光源画面
20には、格子状に整列した複数の視点が設定されてい
る。この光源画面20は、X軸に垂直な平面であり、中
心部がX軸上にある。そして、Y軸方向にm個(y1
m )に分解し、Z軸方向にn個(y1 〜yn )に分解
している。従って、光源画面上に、m×n個の視点が設
けられる。この光学画面20上の各視点において光の強
度を与えることにより、任意の形状の原画像データが設
定される。
【0022】原画像データは予め設定された波長ごとに
のスペクトルに分解される。この時に設定される波長
は、d線(He)、F線(H)、C線(H)の3つであ
ってもよいし、e線、F’線、C’線の3つであっても
よい。また、前期の波長を含むさらに多くの波長に分解
するか、380nm〜780nmまでの5nm間隔のス
ペクトルに分解することも可能である。
【0023】さらに、人眼が回旋しながら光源画面を見
る際の光学系データを波長ごとに設定する。このとき設
定すべき光学系データを得るには、眼鏡レンズの各波長
における屈折率が必要である。光学レンズの屈折率は材
質により特定されるものであり、一般的には、分散能の
逆数であるアッベ数を用いてレンズの特性が示されてい
る。アッベ数には、d線を基準とするものと、e線を基
準とするものがある。なお、最近ではe線(Hg)を基
準としたアッベ数が多く用いられているが、e線を基準
とした場合とd線を基準とした場合との違いは、e線を
基準とした場合の方が値が若干小さくなるのみであり、
分散の度合いを表す意味においては同じである。
【0024】d線を基準とするアッベ数νd は、以下の
式で定義される。
【0025】
【数1】νd =(nd −1)/(nF −nC ) ここで、nd はd線(589nm)に対する媒質の屈折
率であり、nF はF線(486nm)に対する媒質の屈
折率であり、nC はC線(656nm)に対する媒質の
屈折率である。
【0026】一方、e線を基準とするアッベ数(νe
は、以下の式で定義される。
【0027】
【数2】νe =(ne −1)/(nF'−nC') ここで、ne はe線(540.07nm)、nF'はF’
線(479.99nm)、nC'はC’線(643.85
nm)の屈折率である。
【0028】このアッベ数は、値が小さいほど波長の変
化に伴う屈折率の変化が大きい。逆に言えば、各種製造
販売されている眼鏡レンズに表示されているアッベ数が
大きいほど、そのレンズの周辺での色収差、すなわち色
ズレが少ない。一般に、眼鏡レンズとして用いる場合、
アッベ数については40以上が望ましい(d線を基準と
した場合)とされており、逆に色収差の影響が顕著にな
るのは、レンズの度数がアッベ数の1/10以上の場合
であるとされている。
【0029】以上のようなアッベ数から、シミュレーシ
ョンの対象となる光学レンズの任意の波長に対する屈折
率を算出することができる。そして、各波長における屈
折率を用いて、人眼が回旋し光源画面に設定された視点
を見たときの光学系データを作成する。
【0030】図3は光源画面を見る時の光学系の変化を
示す図である。この図は、Z軸方向の回旋角度を一定に
し、Y軸方向の角度を変化させる場合を示している。こ
こで、人眼の回旋中心Oと眼鏡レンズの中心点とを結ぶ
直線を基準軸37とする。
【0031】(A)は、光源画面の上端を見るときの光
学系である。人眼30は上方向に回旋し、光源画面20
の任意の上端の視点(ym ,zi )に対し真っ直ぐに向
いている。つまり、基準軸37から角度α1 だけ上方向
に回旋している。従って、光源画面20の上端の光36
aは、眼鏡レンズ21に対し斜め上の方向から入射す
る。この眼鏡レンズ21を通過した光36aが人眼に入
射し、画像が認識される。この状態から、人眼30がY
軸の負の方向に回旋する。
【0032】(B)は、光源画面の中央を見るときの光
学系である。人眼30は回旋せず、光源画面20の中央
に対し真っ直ぐに向いている。つまり、基準軸37と人
眼の視線の方向は一致している。従って、光源画面20
の中央の光36bは、眼鏡レンズ21に対し垂直に入射
する。この眼鏡レンズ21を通過した光36bが人眼に
入射し、画像が認識される。この状態から、さらにY軸
の負の方向に回旋する。
【0033】(C)は、光源画面の下端を見るときの光
学系である。人眼30は下方向に回旋し、光源画面20
の下端に対し真っ直ぐに向いている。つまり、基準軸3
7から角度α2 だけ下方向に回旋している。従って、光
源画面20の下端の光36cは、眼鏡レンズ21に対し
斜め下の方向から入射する。この眼鏡レンズ21を通過
した光36cが人眼に入射し、画像が認識される。
【0034】このようにして、Y軸方向に回旋した場合
の、全ての視点のおける光学系データが求められる。こ
のように、人眼が回旋した場合には、各種データの値が
変化する。例えば、眼鏡レンズから角膜までの距離が回
旋に伴い変化する。また、眼鏡レンズが多焦点レンズで
あれば、レンズに光が入射する位置の変化にともない、
凹面、凸面の曲率半径も変化する。
【0035】図3には、光学画面上のZ軸の値を一定に
し、人眼が上下方向の回旋する場合の光学系を示してい
るが、さらにZ軸の値をz1 からzn まで変化させるこ
とにより、光源画面の左右方向に回旋する場合も含め
て、全ての視点に対応する光学系データを求められる。
【0036】次に、人眼が回旋した状態における光学系
データについて詳しく説明する。図4は人眼が回旋した
状態の光学系を示す図である。この例は、基準軸37よ
り下の方向にある視点を見ている場合である。視点から
出力された光36は、眼鏡レンズ21の下方向の周辺部
を斜めに通過し、人眼30に入射する。人眼30は回旋
し、視点に対し真っ直ぐに向いており、前面にレンズの
働きをする角膜31を有している。角膜31の後方には
瞳孔32があり、入射光の光量を絞る働きをする。瞳孔
32の後方にはレンズの働きをする水晶体33がある。
水晶体33の後方は硝子体34があり、その後方に網膜
35が位置している。
【0037】この光学系において、眼鏡レンズ21に関
するデータとして、凸面と凹面の曲率半径、及び屈折率
を設定する。人眼30に関するデータとしては、角膜と
水晶体との各面の曲率半径、および角膜31、水晶体3
3、硝子体34の屈折率を設定する。なお、人眼30内
の屈折率はグルストランドの模型から求め、眼鏡レンズ
21の屈折率は実際に測定をして求める。さらに人眼3
0内の角膜、瞳孔32、水晶体33、および網膜35の
それぞれの間の距離を設定する。人眼に関するデータは
基本的にグルストランドの模型のデータを使用し、網膜
までの距離か、角膜の凸面の曲率を、シミュレーション
の対象とする人眼の視力に合わせて設定する。
【0038】そして、光源画面の視点の位置を設定す
る。その位置からの光の光線追跡を行うことにより、眼
鏡レンズ21に入射する光36と基準軸37との成す角
度θ、および回旋角度αを求めることができる。なお、
光36と基準軸37との成す角度θと回旋角度αは同じ
ではない。それは、光36が眼鏡レンズ21を通過する
際に光の進行方向が若干変化するからである。
【0039】以上のように、任意の波長における光学系
データを得ることができる。この光学系データを、予め
設定された全ての波長において求める。これにより、人
眼が任意の視点を向いた状態での光学系データを、設定
された波長ごとに全ての視点においてもとめることがで
きる。
【0040】さらに各単色画像データを、対応する波長
によって求められたPSFによってたたみ込み積分を行
い、単色情景画像データを求める。像面での理想像の光
強度分布をf(y,z)、点(y,z)におけるPSF
をp(x,y,u,v)とすると、網膜上の点(y,
z)における光強度は、以下の式で表すことができる。
【0041】
【数3】
【0042】ここで、p(u,v,u−y,u−z)は
各点(u,v)から(u−y,v−z)離れた点におけ
るPSFの値である。また、aはPSFの広がり半径で
ある。この式を用い、網膜上の点の光強度を、人眼の回
旋角度ごとに求めることにより、単色情景画像データを
得ることができる。この単色情景画像データを、全ての
波長において求める。
【0043】次に、生成された全ての単色情景画像デー
タを合成する。基本的な等色関数であるRGB等色系で
は、特定の波長の光が網膜に達したときに、眼細胞に対
しどの程度の刺激が与えられるかを、R(700.n
m)、G(546.3nm)、B(435.8nm)の
3色のスペクトル線の強度で示している。言い換える
と、この等色関数により、任意の色の光を3色の光(R
GB)で置き換えて人間に感知させるための、RGBの
光の強度を特定することができる。
【0044】ただし、RGB等色系には、3つの値のう
ち1つが負の値になる場合がある。そのため、一般的に
は、RGBによる原刺激の正量の加法混色によって等色
することができるような原刺激X、Y、Zを用いたXY
Z等色系が用いられる。この場合、F線、d線、C線そ
れぞれにおいてXYZ等色系で刺激値を求めた後、RG
B等色系の値に変換することにより、RGBのスペクト
ル線の強度を求める。つまり、各単色情景画像データを
RGBのスペクトル線のデータに変換し、RGBのスペ
クトル線ごとに各座標値ごとの強度を加算することによ
り、情景画像データが作成される。
【0045】なお、原画像が、3色に分解されている場
合には、それぞれの色の像をR(700.nm)、G
(546.3nm)、B(435.8nm)の3色のス
ペクトル線とみなす。例えば、d線、F線、C線の3色
に分解した場合には、d線、F線、C線をそれぞれG、
B、Rのスペクル線とみなす。また、e線、F’線、
C’線の組み合わせの場合には、e線、F’線、C’線
をそれぞれG、B、Rのスペクル線とみなす。これよ
り、表示装置に画面表示する際に、3つの色をCRT(C
athode Ray Tube)のRGBの各ドットに対応させること
ができ、容易に画面表示をすることができる。
【0046】以上のようにして得られる情景画像データ
は、眼鏡を掛けた人が眼を回旋させることにより周囲を
見渡した場合に、網膜に映し出される像を連続的に表示
したものであり、この像は、色収差の影響も考慮された
ものである。
【0047】このようにして、眼を回旋させることによ
り広い範囲を見渡した場合に人間が認識する像を、色収
差を考慮してシミュレーションすることができる。従っ
て、多焦点レンズの場合でも、そのレンズの色収差の影
響を含めた特性を正確に認識することが可能である。こ
の結果、眼鏡の装用者は、容易に自分に合ったレンズを
選定することができる。一方、累進多焦点レンズのよう
な複雑な光学系のレンズの設計や評価をする際にも、そ
のレンズの光学系のデータを入力すれば、そのレンズの
特性を正確に知ることができる。
【0048】次に上記のようなシミュレーションを行う
ためのハードウェアについて簡単に説明する。図5は上
記のシミュレーションを行うワークステーションのハー
ドウェアのブロック図である。
【0049】図に示すように、ワークステーションは、
プロセッサ61、グラフィック制御回路64及び表示装
置65と、マウス66、キーボード67、ハードディス
ク装置(HDD)68、フロッピーディスク装置(FD
D)69、プリンタ70、磁気テープ装置71から構成
されている。これ等の要素はバス72によって結合され
ている。
【0050】プロセッサ61はワークステーション全体
を統括的に制御する。読み取り専用メモリ62には立ち
上げ時に必要なプログラムが格納される。メインメモリ
63にはシミュレーションを行うためのシミュレーショ
ンプログラム等が格納される。
【0051】グラフィック制御回路64はビデオメモリ
を含み、得られた情景画像データを表示信号に変換し
て、表示装置65に表示する。マウス66は表示装置上
のマウスの制御、各種のアイコン、メニューを選択する
ポインティングデバイスである。
【0052】ハードディスク装置68にはシステムプロ
グラム、シミュレーションプログラムが格納され、電源
投入後にメインメモリ63にローディングされる。ま
た、シミュレーションデータ等を一時的に格納する。
【0053】フロッピーディスク装置69は原画像デー
タ等の必要なデータをフロッピィ69aから入力した
り、必要に応じてフロッピィ69aにセービィングす
る。プリンタ装置70はPSF、情景画像データ等をプ
リントアウトするのに使用する。
【0054】磁気テープ装置71は必要に応じて、シミ
ュレーションデータを磁気テープにセービィングするの
に使用する。なお、ワークステーション以外に高性能の
パーソナルコンピュータ、あるいは一般の汎用コンピュ
ータを使用することもできる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、眼を回
旋させることにより見渡すことのできる範囲に設定され
た画像データから複数設定された波長ごとの単色情景画
像データを作成し、作成された単色情景画像データを合
成することにより情景画像を生成するようにしたため、
眼鏡等の光学レンズを装用した際の人眼の回旋を伴う広
い角度の情景を、色収差の影響を含めてシミュレーショ
ンできるようになった。この結果、多焦点レンズのよう
に複雑な光学系を有する光学レンズであっても、色収差
の影響を含めたレンズ特性を客観的に認識することが可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の眼光学系のシミュレーション装置の原
理図である。
【図2】光源画面を示す図である。
【図3】光源画面を見る時の光学系の変化を示す図であ
る。
【図4】人眼が回旋した状態の光学系を示す図である。
【図5】本発明のシミュレーションを行うためのワーク
ステーションのハードウェアのブロック図である。
【符号の説明】
1 原画像データ 2 画像分解手段 3a,3b,3c 単色画像データ 4a,4b,4c 単色情景画像データ 5 情景画像合成手段 6 情景画像データ 7 表示制御手段 8 表示装置 10a,10b,10c 情景画像生成部 11 情景画像演算手段 12,13,14 PSF算出部 12a,13a,14a PSF 12b,13b,14b PSF演算手段 12c,13c,14c 光学系データ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−121412(JP,A) 特開 平4−50813(JP,A) 特開 平6−201990(JP,A) 特開 平7−100107(JP,A) 特開 平6−215084(JP,A) 特開 平2−198547(JP,A) 特開 平4−195019(JP,A) 特開 平2−305544(JP,A) 特開 平1−40926(JP,A) 特開 平4−327831(JP,A) 特開 昭61−10740(JP,A) 特開 昭61−85917(JP,A) Pablo Artal,Javie r Santamaria,Julia n Bescos,Optical−d igital procedure f or the retinal ima ges of a point tes t,OPTICAL ENGINERR ING,Vol.28,No.6,p. 687−690 Rafael Navarro,Ma nuel Ferro,Pblo Ar tal,Ismael Mirand a,Modulation trans fer functions of e yes of implanted w ith intraocular le nses,APPLIED OPTIC S,Vol.32,No.31,p.6359− 6367 金子俊一、大矢倫子、大多庸悟,視覚 におけるぼけ特性のモデル化とそれによ る両眼立体表示,情報処理学会第40回全 国大会講演論文集(▲I▼)p.109− 110 祁華、根津孝也、下條朗、平山典夫、 池田五郎、大沼一彦,眼光学系の像のシ ミュレーション,視覚の科学,日本眼光 学学会,1994年 8月25日,第15巻、第 3号,p.171−176 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 3/00 - 3/16 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学レンズを装用したときの網膜像をシ
    ミュレーションする眼光学系のシミュレーション装置に
    おいて、 所定の位置に置かれた光源画面に複数の視点が定めら
    れ、複数設定された波長それぞれにおいて、前記視点に
    おける像が網膜に焦点を結ぶように人眼が回旋した状態
    での前記光学レンズ及び前記人眼に関する光学系データ
    に基づいて、前記視点ごとのPSF(Point Spread Fun
    ction )を演算するPSF演算手段と、 原画像データと、それぞれの前記波長に対応する前記視
    点ごとの前記PSFによってたたみ込み積分を行い、
    眼が回旋することにより見渡した場合に網膜に写し出さ
    れる像の前記波長に対応した像を連続的に表示した前記
    波長ごとの単色情景画像を演算する情景画像演算手段
    と、 前記波長ごとの前記単色情景像を合成し、情景画像を生
    成する情景画像合成手段と、 を有することを特徴とする眼光学系のシミュレーション
    装置。
  2. 【請求項2】 光学レンズを装用したときの網膜像をシ
    ミュレーションする眼光学系のシミュレーション装置に
    おいて、 所定の位置に置かれた光源画面に複数の視点が定めら
    れ、複数設定された波長それぞれにおいて、前記視点に
    おける像が網膜に焦点を結ぶように人眼が回旋した状態
    での前記光学レンズ及び前記人眼に関する光学系データ
    に基づいて、前記視点ごとのPSF(Point Spread Fun
    ction )を演算するPSF演算手段と、 所定の位置に置かれた原画像データを、複数設定された
    波長ごとの単色画像データに分解する画像分解手段と、 それぞれの前記波長に対応する、前記単色画像データと
    前記視点ごとの前記PSFによってたたみ込み積分を行
    い、人眼が回旋することにより見渡した場合に網膜に写
    し出される像の前記波長に対応した像を連続的に表示し
    前記波長ごとの単色情景画像を演算する情景画像演算
    手段と、 前記波長ごとの前記単色情景像を合成し、情景画像を生
    成する情景画像合成手段と、 を有することを特徴とする眼光学系のシミュレーション
    装置。
  3. 【請求項3】 前記複数設定された波長は、少なくとも
    e線、F’線、C’線の組み合わせ、またはd線、F
    線、C線の組み合わせを含むことを特徴とする請求項2
    記載の眼光学系シミュレーション装置。
  4. 【請求項4】 前記情景画像を表示装置に表示する表示
    制御手段をさらに有することを特徴とする請求項2記載
    の眼光学系のシミュレーション装置。
  5. 【請求項5】 前記情景画像合成手段は、波長ごとの前
    記単色情景画像に対するR(赤)、G(緑)、B(青)
    の原色の強度を等色関数を用いて求めることにより、前
    記情景画像を生成することを特徴とする請求項2記載の
    眼光学系のシミュレーション装置。
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Title
Pablo Artal,Javier Santamaria,Julian Bescos,Optical−digital procedure for the retinal images of a point test,OPTICAL ENGINERRING,Vol.28,No.6,p.687−690
Rafael Navarro,Manuel Ferro,Pblo Artal,Ismael Miranda,Modulation transfer functions of eyes of implanted with intraocular lenses,APPLIED OPTICS,Vol.32,No.31,p.6359−6367
祁華、根津孝也、下條朗、平山典夫、池田五郎、大沼一彦,眼光学系の像のシミュレーション,視覚の科学,日本眼光学学会,1994年 8月25日,第15巻、第3号,p.171−176
金子俊一、大矢倫子、大多庸悟,視覚におけるぼけ特性のモデル化とそれによる両眼立体表示,情報処理学会第40回全国大会講演論文集(▲I▼)p.109−110

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