JP3319222B2 - 溶接継手のクリープ特性に優れた高クロムフェライト鋼の製造方法 - Google Patents

溶接継手のクリープ特性に優れた高クロムフェライト鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電、化学プラン
ト等に用いられる高クロムフェライト耐熱鋼の製造方法
に関し、特に良好な靱性を付与するとともに、溶接継手
のクリープ破断特性の向上を可能とする高クロムフェラ
イト鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】9〜12%Crを含有する高クロム耐熱
鋼板は、通常熱間圧延の後、1000℃以上の高温で焼
きならし処理され、さらに焼きもどしして使用される。
この場合、焼きならし温度が高いほど、焼きもどし後の
クリープ強度が向上することが知られている。
【0003】このため圧延での高温加熱を焼きならし処
理とみなし、熱間圧延後焼きならしを施すことなく、直
接焼きもどすことが行われる。このような方法は特開平
2−182826号公報等に開示されている。この方法
においては、靱性を確保するため、熱間加工時に再結晶
が促進される1125℃以上の温度域で50%以上の高
圧下が必要であるとしている。しかしながら、スラブ表
面では温度が低下しやすく、上記条件を満足することは
実製造上困難である。
【0004】またこれらの耐熱鋼を溶接すると、溶接熱
影響部内に軟化部が形成されるため、溶接継手のクリー
プ破断試験において破断がこの軟化部で生じる結果、継
手のクリープ破断強度が母材のそれに比較して低下する
場合があり、その改善が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱間圧延
後、焼きならし工程を省略して直接焼きもどすことによ
って、母材の靱性を損なうことなく、溶接継手のクリー
プ特性に優れた高クロムフェライト鋼を製造する方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高クロム
フェライト耐熱鋼を圧延後、焼きならし処理を省略して
焼きもどす製造方法を採用した場合における、これら耐
熱鋼の機械的特性について種々検討した結果、化学組成
と圧延条件との組み合わせを特定範囲に規定することに
より、母材の靱性を損なうことなく、母材のみならず溶
接継手が優れたクリープ破断強度を示すことを見出し
た。
【0007】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであって、質量%で、C:0.05〜0.15
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.0
%、Cr:8〜13%、Mo:0.7〜1.3%、V:
0.01〜0.3%、Nb:0.01〜0.15%、A
l:0.003〜0.05%、N:0.005〜0.1
%を含有する高クロムフェライト鋼を、1200℃以上
の温度に加熱し、1125℃以上の温度域で累積圧下率
10%以上50%未満の熱間圧延を行い、引き続き11
25℃未満の温度域でも熱間圧延を行い、800℃以上
の温度で圧延を終了し、次いでAc1点以下の温度焼戻
ことを特徴とする溶接継手のクリープ特性に優れた高
クロムフェライト鋼の製造方法を提供するものである。
【0008】
【作用】本発明の方法によって高クロムフェライト鋼溶
接継手のクリープ破断特性が向上する理由について、実
験結果に基づいて説明する。上述したように、この種の
系統の鋼の溶接熱影響部には軟化部が生成されるため、
溶接継手のクリープ破断強度が低下する場合があるが、
その主因が溶接時の溶接熱サイクルにともなうNb,V
等の炭窒化物の粗大化によるものと考えられることか
ら、溶接の前段階で鋼中のこれら析出物をできるだけ微
細に析出させておくことが必要である。そのためには、
まずスラブ加熱時に、Nb,Vの全量が固溶する温度に
加熱し、冷却後直接焼きもどし処理を行って、予めこれ
ら析出物を微細に分散させることが有効である。したが
ってスラブ加熱温度は1200℃以上とする必要がある
が、この場合、オーステナイト粒が粗大化して靱性が低
下することが懸念される。そこで熱間圧延条件として1
125℃以上の温度域で累積圧下率10%以上50%未
満の範囲で種々変化させて、引き続き1125℃未満の
温度域でも熱間圧延を行い、800℃以上の温度で圧延
を終了した後に、A c1 点以下の温度で焼戻すことによ
り、工業的に十分実現可能で、かつ高クロム耐熱鋼とし
て要求される靱性レベルを確保できることを確認した。
【0009】0.10C−0.34Si−0.44Mn
−8.52Cr−0.99Mo−0.20V−0.08
Nb:0.013Al−0.048N、残部Feおよび
不可避的不純物からなる100mm厚の鋼スラブを用
い、1250℃加熱の後、1125℃以上の温度域での
累積圧下率を10%以上50%未満の範囲で種々変化さ
て熱間圧延し、引き続き1125℃未満の温度域でも
熱間圧延することにより25mm厚鋼板とした。なお圧
延終了温度は、ミクロ組織の異方性が顕著となり、その
結果として靱性が低下する恐れのない800℃以上とし
ている。その後800℃で1時間の焼きもどし処理を行
い、2mmVノッチシャルピー衝撃特性、クリープ破断
特性を調査した。
【0010】図1に0℃の吸収エネルギーにおよぼす1
125℃以上の温度域での累積圧下率の影響を示す。図
から明らかなように、焼きもどし後の吸収エネルギー値
は、圧下率10%以上で200J程度と極めて良好で、
焼きならし−焼きもどし処理した従来鋼とほぼ同レベル
の値を示している。
【0011】図2は、本供試鋼をサブマージアーク溶接
して得られた溶接継手のクリープ破断試験結果を600
℃−14kgf/mm2のクリープ破断時間で示したも
のである。クリープ破断試験にはφ6×GL30mmの
引張試験片を用い、試験片中央に溶接部の溶融線(ボン
ド)がくるように採取している。得られた結果はいずれ
も焼きならし−焼きもどし処理した従来鋼の溶接継手に
比較して高いクリープ破断強度を示しており、そうした
傾向は50%を下回る累積圧下率でより顕著になってい
る。この理由としては、1125℃以上の温度域での
積圧下率が少ない場合、換言すれば1125℃未満での
圧下率が高い場合には、鋼材中に導入される転位密度が
上昇する結果、焼きもどし過程での炭窒化物の析出がよ
り微細となるためと考えられる。
【0012】したがって、本発明では加熱温度を120
0℃以上の加熱温度を前提として、1125℃以上の温
度域で10%以上50%未満の熱間加工を加えることと
した。そして、引き続き1125℃未満の温度域で熱間
圧延を行い、800℃以上の温度で圧延を終了し、次い
通常の焼もどし温度であるAC1点以下の温度で焼きも
どす。
【0013】次に、本発明における各成分元素の限定理
由について述べる。 C: Cは常温および高温の強度を高めるのに有効な元
素であり、高Cr耐熱鋼として要求される強度レベルか
ら、少なくとも0.05%を必要とする。しかしC量の
増加とともに溶接性が低下するため上限を0.15%と
する。
【0014】Si:は脱酸剤として添加されるが、0.
5%を超えると靱性が低下するため上限を0.5%とす
る。 Mn: MnはSを固定し、強度を高めるのに有効な元
素であるが、添加量が多くなるとクリープ破断強度を低
下させるため、その添加量を0.1〜1.0%とする。
【0015】Cr: Crは耐酸化性、高温強度を向上
させるため8%以上必要であるが、溶接性の低下を回避
するため、13%以下とする。 Mo: Moは固溶強化および析出強化による高温強度
を向上させるが、0.7%未満の添加では効果が顕著で
なく、1.3%を超えると溶接性が低下しコストも高め
るためその添加量を0.7〜1.3%とする。
【0016】V: VはNbと同様に析出強化元素であ
って0.05%以上必要であるが、多量の添加は溶接性
を低下させるため、その添加量を0.05〜0.3%と
する。
【0017】Nb: Nbは析出強化により高温強度を
向上させるが、0.01%未満ではその効果が十分では
なく、0.15%超えでは添加量に応じた効果が得られ
ないため、その添加量を0.01〜0.15%とする。
【0018】Al: Alは脱酸剤として添加され、そ
のために0.003%以上添加されるが、添加量が高く
なるとクリープ破断強度を低下させるため、添加の上限
を0.05%とする。
【0019】N: Nは強度を向上させるが、0.00
5%未満ではその効果が十分ではなく、また通常の溶製
方法では0.1%超えの添加で鋼塊内に気孔を生成する
ため、その添加量を0.005〜0.1%とする。
【0020】以上のような化学組成を有する鋼は転炉、
電気炉で溶製した後、必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガ
ス処理を施して得られ、造塊後分塊圧延でスラブとされ
る。スラブは連続鋳造法により溶鋼から直接製造しても
よい。
【0021】
【実施例】表1に示すA〜Cの化学組成にて溶製した鋼
片に対し、表2中に示した種々の条件にて熱間加工を施
し、さらに焼きもどしした後、母材については溶接後熱
処理(PWHT)を施してシャルピー衝撃特性を調査
し、また溶接継手については、図3に示す条件にてサブ
マージアーク溶接を行い、PWHTを実施した後クリー
プ破断試験を行った。いずれの場合もPWHT条件は、
740℃×4時間とした。得られた結果を一括して表2
に示す。
【0022】表2から明らかなように、鋼組成および製
造条件が本発明の範囲にある本発明例では、焼きならし
−焼きもどし処理した従来鋼のみならず、1125℃以
上での累積圧下率が50%以上の比較鋼に比べて、優れ
た衝撃特性−クリープ破断特性バランスを示すことが確
認された。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、良好な靱性を示すばか
りでなく、その溶接継手が優れたクリープ特性を有する
高クロムフェライト耐熱鋼を製造することができる。本
発明によって製造された高クロムフェライト耐熱鋼は高
温高圧で使用される火力発電や化学プラントとして極め
て有用であり、プラントの高効率化等、工業上価値が大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】0℃の吸収エネルギーにおよぼす1125℃以
上の温度域での累積圧下率の影響を示すグラフ。
【図2】サブマージアーク溶接継手のクリープ破断試験
結果を600℃−14kgf/mm2 でのクリープ破断
時間で示すグラフ。
【図3】溶接継手のサブマージアーク溶接条件を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−182826(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.05〜0.15%、
    Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、
    Cr:8〜13%、Mo:0.7〜1.3%、V:0.
    01〜0.3%、Nb:0.01〜0.15%、Al:
    0.003〜0.05%、N:0.005〜0.1%を
    含有する高クロムフェライト鋼を、1200℃以上の温
    度に加熱し、1125℃以上の温度域で累積圧下率10
    %以上50%未満の熱間圧延を行い、引き続き1125
    ℃未満の温度域でも熱間圧延を行い、800℃以上の温
    度で圧延を終了し、次いでAc1点以下の温度で焼戻すこ
    とを特徴とする溶接継手のクリープ特性に優れた高クロ
    ムフェライト鋼の製造方法。
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