JP3318204B2 - 垂直磁化膜およびその製造法ならびに 垂直磁気記録媒体 - Google Patents
垂直磁化膜およびその製造法ならびに 垂直磁気記録媒体Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直磁気記録に用いら
れる垂直磁化膜及びその製造法並びにこの垂直磁化膜を
用いた垂直磁気記録媒体に関する。
れる垂直磁化膜及びその製造法並びにこの垂直磁化膜を
用いた垂直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Pt系合金は耐蝕性に優れた永久
磁石材料で歯科等の医療用としての応用が期待されてい
る。またCo−Pt系、Fe−Co−Pt系合金も優れ
た永久磁石材料であり、精密機器・健康医療機具等に用
いられている。先に本発明者らは、ガラス基板上に成膜
した50at%Pt付近の組成のFe−Pt系合金薄膜
が、その微細な結晶組織のために15kOe以上の非常
に大きな保磁力を示すことを開示した(特開平6−22
4038)。しかし、この合金薄膜はc軸配向膜ではな
く面内で高保磁力を有する面内磁化膜であり、光磁気記
録・垂直磁気記録等で必要とされる垂直磁化膜ではない
ので、これらの記録媒体には適さない。
磁石材料で歯科等の医療用としての応用が期待されてい
る。またCo−Pt系、Fe−Co−Pt系合金も優れ
た永久磁石材料であり、精密機器・健康医療機具等に用
いられている。先に本発明者らは、ガラス基板上に成膜
した50at%Pt付近の組成のFe−Pt系合金薄膜
が、その微細な結晶組織のために15kOe以上の非常
に大きな保磁力を示すことを開示した(特開平6−22
4038)。しかし、この合金薄膜はc軸配向膜ではな
く面内で高保磁力を有する面内磁化膜であり、光磁気記
録・垂直磁気記録等で必要とされる垂直磁化膜ではない
ので、これらの記録媒体には適さない。
【0003】現在実用化されている垂直磁気記録材料で
あるCo-Cr系合金垂直磁化膜はCoの一軸結晶磁気異方性
に基づいているが、この異方性磁界が飽和磁化の値に及
ばないため、副成分としてCrを添加して飽和磁化を下げ
て垂直磁化膜としている。従ってCo本来の飽和磁化の値
(〜1.8T)を生かしきれていない。それに対し(Fe 1-a C
o a ) 100-xPtx(0≦a≦0.4,30≦x≦55)合金の異方性磁
界は、飽和磁化4πMsの値(FePtの場合1.45T)よりも一
桁以上大きいため、副成分を添加して飽和磁化を下げて
使う必要がない。また、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx(0≦a≦
0.4,30≦x≦55)合金は、貴金属元素を含むためCo-Cr
系合金よりも耐食性に優れている。
あるCo-Cr系合金垂直磁化膜はCoの一軸結晶磁気異方性
に基づいているが、この異方性磁界が飽和磁化の値に及
ばないため、副成分としてCrを添加して飽和磁化を下げ
て垂直磁化膜としている。従ってCo本来の飽和磁化の値
(〜1.8T)を生かしきれていない。それに対し(Fe 1-a C
o a ) 100-xPtx(0≦a≦0.4,30≦x≦55)合金の異方性磁
界は、飽和磁化4πMsの値(FePtの場合1.45T)よりも一
桁以上大きいため、副成分を添加して飽和磁化を下げて
使う必要がない。また、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx(0≦a≦
0.4,30≦x≦55)合金は、貴金属元素を含むためCo-Cr
系合金よりも耐食性に優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、FePt合金とCoPt
合金は希土類系化合物に匹敵する一軸結晶磁気異方性定
数Kuの値を有しているので(FePt;7x107erg/cc、CoP
t;4x107erg/cc)、ガラスあるいは多結晶基板上に成長
させたこれら合金薄膜は、高保磁力の垂直磁化成分を有
するが、膜面内方向が容易軸である面内磁化膜であり角
型性に劣る。しかし、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx(0≦a≦0.
4,30≦x≦55)合金膜の結晶配向を制御し異方性化でき
れば、高飽和磁化・高保磁力、好ましくは8kG以上の飽
和磁化及び500Oe以上の保磁力を持つ垂直磁化膜が実現
でき、垂直磁気記録媒体として応用できるものと考えら
れる。また、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx系合金膜は、貴金属
ベースであるため高い耐食性を示すことも有利な点であ
る。本発明は(Fe1-aCoa)100-xPtx系合金の結晶配向を
揃えた垂直磁化膜及びこれを得る方法と、これを用いた
垂直磁気記録媒体を提供するものである。
合金は希土類系化合物に匹敵する一軸結晶磁気異方性定
数Kuの値を有しているので(FePt;7x107erg/cc、CoP
t;4x107erg/cc)、ガラスあるいは多結晶基板上に成長
させたこれら合金薄膜は、高保磁力の垂直磁化成分を有
するが、膜面内方向が容易軸である面内磁化膜であり角
型性に劣る。しかし、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx(0≦a≦0.
4,30≦x≦55)合金膜の結晶配向を制御し異方性化でき
れば、高飽和磁化・高保磁力、好ましくは8kG以上の飽
和磁化及び500Oe以上の保磁力を持つ垂直磁化膜が実現
でき、垂直磁気記録媒体として応用できるものと考えら
れる。また、(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx系合金膜は、貴金属
ベースであるため高い耐食性を示すことも有利な点であ
る。本発明は(Fe1-aCoa)100-xPtx系合金の結晶配向を
揃えた垂直磁化膜及びこれを得る方法と、これを用いた
垂直磁気記録媒体を提供するものである。
【0005】本発明はFePt合金の高い結晶磁気異方性と
飽和磁化に着目し、結晶配向性と結晶組織を制御するこ
とにより、高飽和磁化・高保磁力の垂直磁化膜が得られ
ることを見出したものである。薄膜製造法としては真空
蒸着法、各種スパッタリング法(直流スパッタ、高周波
スパッタ、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッ
タ、イオンプレーティング)と、各種化学的気相成長法
(CVD、MOCVD等)が適用できる。
飽和磁化に着目し、結晶配向性と結晶組織を制御するこ
とにより、高飽和磁化・高保磁力の垂直磁化膜が得られ
ることを見出したものである。薄膜製造法としては真空
蒸着法、各種スパッタリング法(直流スパッタ、高周波
スパッタ、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッ
タ、イオンプレーティング)と、各種化学的気相成長法
(CVD、MOCVD等)が適用できる。
【0006】成膜方法は、真空中または各種ガス(アル
ゴン、ネオン、キセノン、窒素など)雰囲気中において
先ず100〜1000℃の単結晶基板上に5μm以下(0を含ま
ず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を積層
し、次いでその上に400〜700℃の基板温度で(Fe 1-a C
o a ) 100-xPtx(0<a≦0.4,30≦x≦55)または(Fe 1-a C
o a ) 100-x-yPtxMy(0≦ a≦0.4,30≦x≦55,0.001≦y
≦15)合金層を積層する。上記一般式(Fe 1-a Co a )
100-x Pt x のa=0のFePt合金層の場合は、バッファ層を積
層する前に100A以下(0を含まず)の厚さのFeからなる
シード層を積層する。a>0の合金の場合もシード層を成
膜すれば、より結晶配向性の良好な薄膜が得られる。
ゴン、ネオン、キセノン、窒素など)雰囲気中において
先ず100〜1000℃の単結晶基板上に5μm以下(0を含ま
ず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を積層
し、次いでその上に400〜700℃の基板温度で(Fe 1-a C
o a ) 100-xPtx(0<a≦0.4,30≦x≦55)または(Fe 1-a C
o a ) 100-x-yPtxMy(0≦ a≦0.4,30≦x≦55,0.001≦y
≦15)合金層を積層する。上記一般式(Fe 1-a Co a )
100-x Pt x のa=0のFePt合金層の場合は、バッファ層を積
層する前に100A以下(0を含まず)の厚さのFeからなる
シード層を積層する。a>0の合金の場合もシード層を成
膜すれば、より結晶配向性の良好な薄膜が得られる。
【0007】またバッファ層と(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtx
Myあるいは(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx合金層を交互に積層し
た多層膜としても、良好な磁気特性の垂直磁化膜が得ら
れる。多層膜を構成するバッファ層厚は、磁気特性の低
下を防ぐため100 A以下が望ましい。
Myあるいは(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx合金層を交互に積層し
た多層膜としても、良好な磁気特性の垂直磁化膜が得ら
れる。多層膜を構成するバッファ層厚は、磁気特性の低
下を防ぐため100 A以下が望ましい。
【0008】本発明に関る基板としてはMgO、サファ
イア、Si、Ge、GaAs、スピネル、アルカリハラ
イド、マイカ等の単結晶基板を用いることができるが、
バッファ層の金属との格子整合がよいことが望ましい。
シード層としてはFe、Co、Ni、Mn、Cr等の遷
移金属あるいは遷移金属合金が望ましい。バッファ層と
してはFePt層との格子整合がよい面心立方晶の金属
・合金が望ましく、具体的にはPt、Au、Ag、C
u、Pdとこれらの元素からなる合金があげられる。
イア、Si、Ge、GaAs、スピネル、アルカリハラ
イド、マイカ等の単結晶基板を用いることができるが、
バッファ層の金属との格子整合がよいことが望ましい。
シード層としてはFe、Co、Ni、Mn、Cr等の遷
移金属あるいは遷移金属合金が望ましい。バッファ層と
してはFePt層との格子整合がよい面心立方晶の金属
・合金が望ましく、具体的にはPt、Au、Ag、C
u、Pdとこれらの元素からなる合金があげられる。
【0009】また、ガラスまたは多結晶基板上にMg
O、Si、Ge、GaAsの(100)配向膜を成膜
し、これを基板として用いてもよい。
O、Si、Ge、GaAsの(100)配向膜を成膜
し、これを基板として用いてもよい。
【0010】また、必要により200℃〜700℃の温
度で熱処理することで垂直磁気異方性が増すため、優れ
た垂直磁化膜を得ることができる。
度で熱処理することで垂直磁気異方性が増すため、優れ
た垂直磁化膜を得ることができる。
【0011】[ 第1発明 ](a) 単結晶基板上に、5μm以下(0を含まず)の厚さの
面心立方金属からなるバッファ層と、該バッファ層上に
一般式(Fe 1-a Co a ) 100-xPtxで表わされ,組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層する
か、あるいは (b) 単結晶基板上に、100Å以下(0を含まず)の厚さ
のFeからなるシード層と、該シード層上に5μm以下(0
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層
と、該バッファ層上にFePtの組成と少量の不純物からな
り、かつ膜面垂直方向が磁化容易軸である合金層を成膜
してなり、 高飽和磁化と高保磁力を有することを特徴と
する垂直磁化膜。
面心立方金属からなるバッファ層と、該バッファ層上に
一般式(Fe 1-a Co a ) 100-xPtxで表わされ,組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層する
か、あるいは (b) 単結晶基板上に、100Å以下(0を含まず)の厚さ
のFeからなるシード層と、該シード層上に5μm以下(0
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層
と、該バッファ層上にFePtの組成と少量の不純物からな
り、かつ膜面垂直方向が磁化容易軸である合金層を成膜
してなり、 高飽和磁化と高保磁力を有することを特徴と
する垂直磁化膜。
【0012】[ 第2発明 ] 単結晶基板上に、5μm以下(0を含まず)の厚さの面心
立方金属からなるバッファ層と、該バッファ層上に一般
式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表され、MはBe、B、C、
Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、M
o、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから選択される1種ま
たは2種以上の元素であり、その組成比aと原子比率x、y
は 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなり、かつ膜面垂直方向
が磁化容易軸である合金層を積層してなり、高飽和磁化
と高保磁力を有することを特徴とする垂直磁化膜。
立方金属からなるバッファ層と、該バッファ層上に一般
式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表され、MはBe、B、C、
Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、M
o、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから選択される1種ま
たは2種以上の元素であり、その組成比aと原子比率x、y
は 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなり、かつ膜面垂直方向
が磁化容易軸である合金層を積層してなり、高飽和磁化
と高保磁力を有することを特徴とする垂直磁化膜。
【0013】[ 第3発明] 単結晶基板上とバッファ層の間に、100 A以下(0を含ま
ず)の厚さのシード層を成膜したことを特徴とする第2
発明に係る垂直磁化膜。
ず)の厚さのシード層を成膜したことを特徴とする第2
発明に係る垂直磁化膜。
【0014】[第4発明] 単結晶基板がMgO、サファイア、Si、Ge、GaAs、スピネ
ル、アルカリハライドまたはマイカからなり、バッファ
層がPt、Au、Ag、CuおよびPdの1種または2種以上の金属
からなることを特徴とする上記何れかの発明に係る垂直
磁化膜。
ル、アルカリハライドまたはマイカからなり、バッファ
層がPt、Au、Ag、CuおよびPdの1種または2種以上の金属
からなることを特徴とする上記何れかの発明に係る垂直
磁化膜。
【0015】シード層はFeからなるものとする。
【0016】[ 第5発明 ] 単結晶基板が、ガラスまたは多結晶基板上にMgO、Si、G
e、GaAsの(100)配向膜を成膜してなることを特徴とす
る第1〜第3発明に係る垂直磁化膜。
e、GaAsの(100)配向膜を成膜してなることを特徴とす
る第1〜第3発明に係る垂直磁化膜。
【0017】[ 第6発明 ] バッファ層と合金層とを交互に積層した多層膜からなる
ことを特徴とする上記何れかの発明に係る垂直磁化膜。
ことを特徴とする上記何れかの発明に係る垂直磁化膜。
【0018】[第7発明](a) 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5μm以下(0
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe1-a Coa)100-xPtxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である合金層を積層するか、あるいは(b)100℃〜1000℃
の単結晶基板上に、先ず100Å以下(0を含まず)の厚さ
のFeからなるシード層を成膜し、次いで5μm以下(0を
含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を成
膜し、その後基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上に
FePtで組成が表される合金層を積層することを特徴と
し、合金層の膜面垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和
磁化と高保磁力を有する垂直磁化膜の製造法。
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe1-a Coa)100-xPtxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である合金層を積層するか、あるいは(b)100℃〜1000℃
の単結晶基板上に、先ず100Å以下(0を含まず)の厚さ
のFeからなるシード層を成膜し、次いで5μm以下(0を
含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を成
膜し、その後基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上に
FePtで組成が表される合金層を積層することを特徴と
し、合金層の膜面垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和
磁化と高保磁力を有する垂直磁化膜の製造法。
【0019】[第8発明](a) 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5μm以下(0
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-x Ptxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層する
か、あるいは(b) 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先
ず100Å以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード層
を成膜し、次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面心
立方金属からなるバッファ層を成膜し、その後基板温度
400℃〜700℃で該バッファ層上にFePtで組成が表される
合金層を積層することを特徴とし、前記合金層の膜面垂
直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を有
する垂直磁化膜の製造法。
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-x Ptxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層する
か、あるいは(b) 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先
ず100Å以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード層
を成膜し、次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面心
立方金属からなるバッファ層を成膜し、その後基板温度
400℃〜700℃で該バッファ層上にFePtで組成が表される
合金層を積層することを特徴とし、前記合金層の膜面垂
直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を有
する垂直磁化膜の製造法。
【0020】[ 第9発明 ](a) 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5μm以下(0
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、その後基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe1-a Coa)100-xPtxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物から合金層を積層するか、あ
るいは100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず100Å以上
(0を含まず)の厚さのFeからなるシード層を成膜し、
次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属か
らなるバッファ層を成膜し、その後基板温度400℃〜700
℃で該バッファ層上にFePtで組成が表される合金層を積
層し、これらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の
200〜700℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金
層の膜面垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高
保磁力を有する垂直磁化膜の製造法。
を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を
成膜し、その後基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上
に一般式(Fe1-a Coa)100-xPtxで表され、組成比aと原
子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物から合金層を積層するか、あ
るいは100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず100Å以上
(0を含まず)の厚さのFeからなるシード層を成膜し、
次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属か
らなるバッファ層を成膜し、その後基板温度400℃〜700
℃で該バッファ層上にFePtで組成が表される合金層を積
層し、これらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の
200〜700℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金
層の膜面垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高
保磁力を有する垂直磁化膜の製造法。
【0021】[第10発明] 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5μm以下(0を含
まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を成膜
し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上に一
般式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表され、MはBe、B、
C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、
Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから選択される1種ま
たは2種以上の元素であり、その組成比aと原子比率x、y
は 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層し、こ
れらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の200〜700
℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金層の膜面
垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を
有する垂直磁化膜の製造法。
まず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層を成膜
し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッファ層上に一
般式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表され、MはBe、B、
C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、
Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから選択される1種ま
たは2種以上の元素であり、その組成比aと原子比率x、y
は 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層し、こ
れらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の200〜700
℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金層の膜面
垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を
有する垂直磁化膜の製造法。
【0022】[第11発明] バッファ層と合金層とを交互に積層し多層膜とすること
を特徴とする第7〜第10発明に係る垂直磁化膜の製造
法。
を特徴とする第7〜第10発明に係る垂直磁化膜の製造
法。
【0023】[第12発明] 単結晶基板上とバッファ層の間に、第8発明の(a)k、第
9発明の[a)および第10発明100Å以下(0を含まず)の厚
さのシード層を成膜することを特徴とする第7発明、第8
発明の(a)、第9発明の(a)および第10発明に係る垂直磁
化膜の製造法。
9発明の[a)および第10発明100Å以下(0を含まず)の厚
さのシード層を成膜することを特徴とする第7発明、第8
発明の(a)、第9発明の(a)および第10発明に係る垂直磁
化膜の製造法。
【0024】[第13発明]上記何れかの発明 の垂直磁化膜からなることを特徴とす
る垂直磁気記録媒体。
る垂直磁気記録媒体。
【0025】
【作用】本発明の一般式(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx系合金層の
組成比aと原子比率xを 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 と限定したのは、この組成範囲ではバッファ層の存在に
より(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx合金層の組織制御がなされ、そ
の結果高保磁力と高角型比の優れた垂直磁化膜が得られ
るが、この組成を外れると結晶磁気異方性が低下し良好
な垂直磁化膜が得られないからである。
組成比aと原子比率xを 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 と限定したのは、この組成範囲ではバッファ層の存在に
より(Fe 1-a Co a ) 100-xPtx合金層の組織制御がなされ、そ
の結果高保磁力と高角型比の優れた垂直磁化膜が得られ
るが、この組成を外れると結晶磁気異方性が低下し良好
な垂直磁化膜が得られないからである。
【0026】また、一般式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMy系合
金層の組成比aと原子比率x、yを 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ x ≦ 55 のように限定したのは、その組成を外れた場合には結晶
磁気異方性が低下するため良好な垂直磁化膜が得られな
くなり、飽和磁化とキュリー点が低下しすぎるためであ
る。
金層の組成比aと原子比率x、yを 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ x ≦ 55 のように限定したのは、その組成を外れた場合には結晶
磁気異方性が低下するため良好な垂直磁化膜が得られな
くなり、飽和磁化とキュリー点が低下しすぎるためであ
る。
【0027】Be、B、C、Mg、Al、Si、Ti、
V、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、Mo、A
g、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、Ta、W、
Λu、Biのいずれかを15%以下添加すると、保磁力
を大きくする効果がある。さらに、Cr、Ru、Rh、
Pd、Re、Os、Irのいずれかを15%以下添加す
ると、合金膜の耐食性を向上させる効果がある。
V、Ni、Mn、Cu、Ge、Zr、Nb、Mo、A
g、In、Sn、Sb、希土類元素、Hf、Ta、W、
Λu、Biのいずれかを15%以下添加すると、保磁力
を大きくする効果がある。さらに、Cr、Ru、Rh、
Pd、Re、Os、Irのいずれかを15%以下添加す
ると、合金膜の耐食性を向上させる効果がある。
【0028】図6に示すように、バッファ層の磁気特性
改善効果は500nm〜1000nm(1μm)程度で最も大きくな
る。また、バッファ層の厚さが1000nm(1μm)までは改善
効果は甚だし低下はせず、これ以上の厚さでは保磁力・
角型比とも徐々に低下してくるので、バッファ層厚さを
5μm以下(0を含まず)に限定した。
改善効果は500nm〜1000nm(1μm)程度で最も大きくな
る。また、バッファ層の厚さが1000nm(1μm)までは改善
効果は甚だし低下はせず、これ以上の厚さでは保磁力・
角型比とも徐々に低下してくるので、バッファ層厚さを
5μm以下(0を含まず)に限定した。
【0029】また、ガラスあるいは多結晶基板上にMg
O、Si、Ge、GaAs等の(100)配向膜を成膜
し、これを基板として用いれば若干特性は低下するが同
等の効果が得られる。
O、Si、Ge、GaAs等の(100)配向膜を成膜
し、これを基板として用いれば若干特性は低下するが同
等の効果が得られる。
【0030】100Å以下の単体金属あるいは合金から
なるシード層をバッファ層の前に成長させれば、結晶配
向性が改善され、より良好な磁気特性を有する垂直磁化
膜が得られる。
なるシード層をバッファ層の前に成長させれば、結晶配
向性が改善され、より良好な磁気特性を有する垂直磁化
膜が得られる。
【0031】シード層とバッファ層の成長中基板温度は
100〜1000℃としているが、1000℃以上の基
板温度では薄膜の平滑性が悪くなり、100℃以下では
エピタキシャル成長が困難となるためである。一般に3
00℃以下の比較的低温の場合にはエピタキシャル成長
が難しくなってくるため、最終到達真空度をあげて清浄
な雰囲気中で成膜することが望ましい。
100〜1000℃としているが、1000℃以上の基
板温度では薄膜の平滑性が悪くなり、100℃以下では
エピタキシャル成長が困難となるためである。一般に3
00℃以下の比較的低温の場合にはエピタキシャル成長
が難しくなってくるため、最終到達真空度をあげて清浄
な雰囲気中で成膜することが望ましい。
【0032】(Fe a Co 1-a ) 100-x-yPtxMy合金層成長中の
基板温度は400℃〜700℃としているが、これは400℃以
下では(Fe a Co 1-a ) 100-x-yPtxMy合金層が規則化せず、
700℃以上ではバッファ層との拡散を抑えることができ
ないためである。
基板温度は400℃〜700℃としているが、これは400℃以
下では(Fe a Co 1-a ) 100-x-yPtxMy合金層が規則化せず、
700℃以上ではバッファ層との拡散を抑えることができ
ないためである。
【0033】さらに必要に応じて成膜後に200℃〜7
00℃で加熱することにより、規則化が促進されその結
果垂直磁気異方性が大きくなり、優れた垂直磁化膜が得
られるが、200℃以下では効果が小さくまた700℃
以上ではバッファ層との拡散を抑えることができないの
で200℃〜700℃と限定した。
00℃で加熱することにより、規則化が促進されその結
果垂直磁気異方性が大きくなり、優れた垂直磁化膜が得
られるが、200℃以下では効果が小さくまた700℃
以上ではバッファ層との拡散を抑えることができないの
で200℃〜700℃と限定した。
【0034】次に本発明の実施例につき説明する。 実施例1(Fe 1-a Co a ) 100-x-y Ptx のa=0の場合、すなわちFe
100-xPtx薄膜の製造と評価について説明する。
100-xPtx薄膜の製造と評価について説明する。
【0035】図1に、本発明の垂直磁化膜の形成に用い
た3元マグネトロン高周波スパッタリング装置を示す。
真空チャンバ内にFe−Pt層形成用ターゲット1と、
PtおよびAuバッファ層形成用ターゲット2と、Fe
シード層形成用ターゲット3を設置してある。Fe−P
t層形成用ターゲットは、Feターゲット上にPtチッ
プを対称に配置した複合ターゲットである。各ターゲッ
トをスパッタリング電極に取り付けた後に、真空チャン
バ内を2x10−7Torr以下に排気した。その後M
gO(100)単結晶基板をヒータで加熱し、600℃
まで昇温した。温度が安定した後に、アルゴンガスを真
空チャンバ内に導入し、20mTorrの圧力となるよ
うにメインバルブを調整した。その後、高周波電力を電
源から各ターゲットに与えて予備スパッタを30分間行
った後に、基板上に薄膜成長を始めた。先ず、600℃
の基板温度でシード層であるFe層を10Åと、次いで
PtおよびAuバッファ層を200Å〜1μmの厚さま
で成長を行った。Fe−Pt層の形成は500℃で行っ
た。その後アルゴンガスを真空チャンバ内に導入し冷却
した。同様の方法で、MgO(100)単結晶基板上に
Fe50Pt50合金層とAuバッファ層からなる多層
膜を作製した。Fe50Pt50合金層厚とAu層厚
は、それぞれ100Åと50Åで、積層回数は10周期
である。多層膜部分の成長中基板温度は500℃であ
る。
た3元マグネトロン高周波スパッタリング装置を示す。
真空チャンバ内にFe−Pt層形成用ターゲット1と、
PtおよびAuバッファ層形成用ターゲット2と、Fe
シード層形成用ターゲット3を設置してある。Fe−P
t層形成用ターゲットは、Feターゲット上にPtチッ
プを対称に配置した複合ターゲットである。各ターゲッ
トをスパッタリング電極に取り付けた後に、真空チャン
バ内を2x10−7Torr以下に排気した。その後M
gO(100)単結晶基板をヒータで加熱し、600℃
まで昇温した。温度が安定した後に、アルゴンガスを真
空チャンバ内に導入し、20mTorrの圧力となるよ
うにメインバルブを調整した。その後、高周波電力を電
源から各ターゲットに与えて予備スパッタを30分間行
った後に、基板上に薄膜成長を始めた。先ず、600℃
の基板温度でシード層であるFe層を10Åと、次いで
PtおよびAuバッファ層を200Å〜1μmの厚さま
で成長を行った。Fe−Pt層の形成は500℃で行っ
た。その後アルゴンガスを真空チャンバ内に導入し冷却
した。同様の方法で、MgO(100)単結晶基板上に
Fe50Pt50合金層とAuバッファ層からなる多層
膜を作製した。Fe50Pt50合金層厚とAu層厚
は、それぞれ100Åと50Åで、積層回数は10周期
である。多層膜部分の成長中基板温度は500℃であ
る。
【0036】図2に作製したFe−Pt薄膜とFe50
Pt50/Au多層膜の構成を示す。
Pt50/Au多層膜の構成を示す。
【0037】図3に、一例として作製したFe50Pt
50薄膜のX線回折パターンを示す。Fe50Pt50
層は、(001)、(002)、(003)面のピーク
のみが観察され、ほぼ100%膜面垂直にc軸配向して
いることが分かる。
50薄膜のX線回折パターンを示す。Fe50Pt50
層は、(001)、(002)、(003)面のピーク
のみが観察され、ほぼ100%膜面垂直にc軸配向して
いることが分かる。
【0038】図4に、作製したFe50Pt50薄膜の
膜面垂直と膜面内に磁場を印加した時のヒステリシスル
ープを示す。膜面垂直方向が磁化容易方向の垂直磁化膜
であり、ほぼ100%の角型比と約5kOeの保磁力が
得られた。
膜面垂直と膜面内に磁場を印加した時のヒステリシスル
ープを示す。膜面垂直方向が磁化容易方向の垂直磁化膜
であり、ほぼ100%の角型比と約5kOeの保磁力が
得られた。
【0039】図5に、キュリー点、保磁力および角型比
のPt組成依存性を示す。キュリー点はほぼ50at%
Ptで約480℃の最大値をとり、Fe側あるいはPt
側に組成がずれると低下するが、FePt3の反強磁性
相の存在のために、Pt側の低下が顕著である。保磁力
および角型比は、ともにFePt規則相の存在する50
at%付近で最大値をとり、この組成からずれるほど特
性は低下する。
のPt組成依存性を示す。キュリー点はほぼ50at%
Ptで約480℃の最大値をとり、Fe側あるいはPt
側に組成がずれると低下するが、FePt3の反強磁性
相の存在のために、Pt側の低下が顕著である。保磁力
および角型比は、ともにFePt規則相の存在する50
at%付近で最大値をとり、この組成からずれるほど特
性は低下する。
【0040】図6に、角型比および保磁力のバッファ層
厚依存性を示す。バッファ層厚の増大とともに角型比と
保磁力が増大し、磁気特性の改善に非常に有効であるこ
とが分かる。バッファ層厚が0.5μm以上ではやや特
性の低下が見られる。
厚依存性を示す。バッファ層厚の増大とともに角型比と
保磁力が増大し、磁気特性の改善に非常に有効であるこ
とが分かる。バッファ層厚が0.5μm以上ではやや特
性の低下が見られる。
【0041】図7に、Fe50Pt50/Au多層膜の
ヒステリシスループを示す。垂直磁化膜となり、飽和磁
化11.0kG保磁力3.0kOeが得られた。
ヒステリシスループを示す。垂直磁化膜となり、飽和磁
化11.0kG保磁力3.0kOeが得られた。
【0042】実施例2 本実施例では各種副成分元素Mを添加した場合の(Fe
aCo1−a)100−x−yPtxMy(0≦a≦
0.4,30≦x≦55,0.001≦y≦15)合金
薄膜の磁気特性について示す。副成分添加はFe−Co
およびCoターゲット上にPtチップと同時に添加元素
のチップを対称に配置して行い、他の作製方法は実施例
1と同様である。表1および表2に、(FeaCo
1−a)100−x−yPtxMy合金薄膜の代表的な
ものについて、その磁気特性(保磁力、飽和磁化)の値
を示す。
aCo1−a)100−x−yPtxMy(0≦a≦
0.4,30≦x≦55,0.001≦y≦15)合金
薄膜の磁気特性について示す。副成分添加はFe−Co
およびCoターゲット上にPtチップと同時に添加元素
のチップを対称に配置して行い、他の作製方法は実施例
1と同様である。表1および表2に、(FeaCo
1−a)100−x−yPtxMy合金薄膜の代表的な
ものについて、その磁気特性(保磁力、飽和磁化)の値
を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】シード層は10ÅのFe層、バッファ層は
1000ÅのPt層の順でMgO(100)単結晶基板
上に成長させた。シード層およびバッファ層成長時の基
板温度は500℃で(FeaCo1−a)
100−x−yPtxMy合金層成長時の基板温度は4
00℃である。
1000ÅのPt層の順でMgO(100)単結晶基板
上に成長させた。シード層およびバッファ層成長時の基
板温度は500℃で(FeaCo1−a)
100−x−yPtxMy合金層成長時の基板温度は4
00℃である。
【0046】さらに各種副成分元素を添加する場合に
は、変態温度が低下し規則度も低下する。そのため、成
膜後に熱処理を行えば規則化が促進されて垂直異方性も
増加し、特性向上も期待される。表1および表2に、4
00℃で成膜後熱処理した場合と熱処理しない場合の磁
気特性を比較して示す。飽和磁化の熱処理前後の変化
は、ほとんどない。
は、変態温度が低下し規則度も低下する。そのため、成
膜後に熱処理を行えば規則化が促進されて垂直異方性も
増加し、特性向上も期待される。表1および表2に、4
00℃で成膜後熱処理した場合と熱処理しない場合の磁
気特性を比較して示す。飽和磁化の熱処理前後の変化
は、ほとんどない。
【0047】図8〜図14に、(Fe0.7C
o0.3)55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁
力Hcおよび飽和磁化4πMsと副成分組成yとの関係
を示す。なお、希土類元素はSc、Yおよびランタン系
元素からなるものであるが、その効果は均等である。
o0.3)55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁
力Hcおよび飽和磁化4πMsと副成分組成yとの関係
を示す。なお、希土類元素はSc、Yおよびランタン系
元素からなるものであるが、その効果は均等である。
【0048】実施例3 本実施例では、あらかじめMgO(100)配向膜が成
膜されたガラス基板上に作製したFe30Co20Pt
50垂直磁化膜の磁気特性について示す。作製方法は実
施例1および2と同様である。図15に、膜面垂直と膜
面内方向に磁場を印加した時のヒステリシスループを示
す。MgO(100)単結晶基板上に成膜した場合より
は角型性に若干劣るが、垂直磁化膜が得られていること
がわかる。
膜されたガラス基板上に作製したFe30Co20Pt
50垂直磁化膜の磁気特性について示す。作製方法は実
施例1および2と同様である。図15に、膜面垂直と膜
面内方向に磁場を印加した時のヒステリシスループを示
す。MgO(100)単結晶基板上に成膜した場合より
は角型性に若干劣るが、垂直磁化膜が得られていること
がわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の垂直磁化膜は高い飽和磁化と高
保磁力を有するため、垂直磁気記録媒体等に好適であ
る。
保磁力を有するため、垂直磁気記録媒体等に好適であ
る。
【図1】図1は、本発明の成膜に用いた3元高周波マグ
ネトロンスパッタ装置の模式図である。
ネトロンスパッタ装置の模式図である。
【図2】図2は、Fe−Pt垂直磁化膜とFe50Pt
50/Au多層膜の構成を示す模式図である。
50/Au多層膜の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、Fe50Pt50垂直磁化膜のX線回
折パターンを示す特性図である。
折パターンを示す特性図である。
【図4】図4は、Fe50Pt50垂直磁化膜の磁化の
ヒステリシスループを示す特性図である。
ヒステリシスループを示す特性図である。
【図5】図5は、Fe−Pt垂直磁化膜のキュリー点T
c、角型比Mr/Msおよび保磁力HcのPt組成依存
性を示す特性図である。
c、角型比Mr/Msおよび保磁力HcのPt組成依存
性を示す特性図である。
【図6】図6は、Fe50Pt50垂直磁化膜の角型比
Mr/Msおよび保磁力HcのPtバッファ層厚依存性
を示す特性図である。
Mr/Msおよび保磁力HcのPtバッファ層厚依存性
を示す特性図である。
【図7】図7は、Fe50Pt50(100Å)/Au
(50Å)多層垂直磁化膜のヒステリシスループを示す
特性図である。
(50Å)多層垂直磁化膜のヒステリシスループを示す
特性図である。
【図8】図8は、(Fe0.7Co0.3)55−yP
t45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとおよび飽和磁
化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性図である。
副成分はBe、B、C、Λl、Mgである。
t45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとおよび飽和磁
化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性図である。
副成分はBe、B、C、Λl、Mgである。
【図9】図9は、(Fe0.7CO0.3)55−yP
t45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとおよび飽和磁
化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性図である。
副成分はSi、Ti、V、Ni、Mnである。
t45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとおよび飽和磁
化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性図である。
副成分はSi、Ti、V、Ni、Mnである。
【図10】図10は、(Fe0.7Co0.3)
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はCu、Ge、Zr、Nb、Moであ
る。
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はCu、Ge、Zr、Nb、Moであ
る。
【図11】図11は、(Fe0.7Co0.3)
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はAg、In、希土類、Sn、Sbで
ある。
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はAg、In、希土類、Sn、Sbで
ある。
【図12】図12は、(Fe0.7Co0.3)
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はHf、Ta、W、Au、Biであ
る。
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はHf、Ta、W、Au、Biであ
る。
【図13】図13は、(Fe0.7Co0.3)
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はCr、Ru、Rh、Pd、Reであ
る。
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はCr、Ru、Rh、Pd、Reであ
る。
【図14】図14は、(Fe0.7Co0.3)
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はOs、Irである。
55−yPt45My合金垂直磁化膜の保磁力Hcとお
よび飽和磁化4πMsと副成分組成yの関係を示す特性
図である。副成分はOs、Irである。
【図15】図15は、ガラス基板上にMgO(100)
配向膜を成膜し、その上に作製したFe30Co20P
t50垂直磁化膜のヒステリシスループを示す特性図で
ある。
配向膜を成膜し、その上に作製したFe30Co20P
t50垂直磁化膜のヒステリシスループを示す特性図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 10/16 H01F 10/16 (56)参考文献 特開 平6−76260(JP,A) PHYSICAL REVIEW B,米国,1994年 8月 1日,VOL UME50,NUMBER5,3419−3422 Journal of Magnet ism and Magnetic M aterials,米国,vol.113, no.1−3,110−114 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/858 H01F 10/16
Claims (16)
- 【請求項1】 単結晶基板上に、5μm以下(0を含ま
ず)の厚さの面心立方金属からなるバッファ層と、該バ
ッファ層上に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-xPtxで表わさ
れ,組成比aと原子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなり、かつ膜面垂直方向
が磁化容易軸である合金層を積層してなり、高飽和磁化
と高保磁力を有することを特徴とする垂直磁化膜。 - 【請求項2】 単結晶基板上に、100Å以下(0を含ま
ず)の厚さのFeからなるシード層と、該シード層上に5
μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバ
ッファ層と、該バッファ層上にFePtの組成と少量の不純
物からなり、かつ膜面垂直方向が磁化容易軸である合金
層を積層してなり、高飽和磁化と高保磁力を有すること
を特徴とする垂直磁化膜。 - 【請求項3】単結晶基板上に、5μm以下(0を含まず)
の厚さの面心立方金属からなるバッファ層と、該バッフ
ァ層上に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表され、M
はBe、B、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、Cu、G
e、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希土類
元素、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから選択
される1種または2種以上の元素であり、その組成比aと
原子比率x、yは 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなり、かつ膜面垂直方向
が磁化容易軸である合金層を積層してなり、高飽和磁化
と高保磁力を有することを特徴とする垂直磁化膜。 - 【請求項4】前記単結晶基板上と前記バッファ層の間
に、100 A以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード
層を成膜したことを特徴とする請求項1または3に記載
の垂直磁化膜。 - 【請求項5】前記単結晶基板がMgO、サファイア、Si、G
e、GaAs、スピネル、アルカリハライドまたはマイカか
らなり、前記バッファ層がPt、Au、Ag、CuおよびPdの1
種または2種以上の金属からなることを特徴とする請求
項1ないし4のいずれか1項に記載の垂直磁化膜。 - 【請求項6】前記単結晶基板が、ガラスまたは多結晶基
板上にMgO、Si、Ge、GaAsの(100)配向膜を成膜してな
ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に
記載の垂直磁化膜。 - 【請求項7】前記バッファ層と前記合金層とを交互に積
層した多層膜からなることを特徴とする請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の垂直磁化膜。 - 【請求項8】100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5μ
m以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバッ
ファ層を成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バッ
ファ層上に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-xPtxで表され、組
成比aと原子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層するこ
とを特徴とし、前記合金層の膜面垂直方向が磁化容易軸
であり、高飽和磁化と高保磁力を有する垂直磁化膜の製
造法。 - 【請求項9】 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず1
00 A 以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード層を
成膜し、次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面心立
方金属からなるバッファ層を成膜し、その後基板温度40
0℃〜700℃で該バッファ層上にFePtで表される組成と少
量の不純物からなる合金層を積層することを特徴とし、
前記合金層の膜面垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和
磁化と高保磁力を有する垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項10】100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5
μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバ
ッファ層を成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バ
ッファ層上に一般式(Fe 1-a Co a ) 100-x-yPtxMyで表さ
れ、MはBe、B、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、C
u、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希
土類元素、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから
選択される1種または2種以上の元素であり、その組成比
aと原子比率x、yは 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層するこ
とを特徴とし、前記合金層の膜面垂直方向が磁化容易軸
であり、高飽和磁化と高保磁力を有する垂直磁化膜の製
造法。 - 【請求項11】 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先
ず5μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属からな
るバッファ層を成膜し、その後基板温度400℃〜700℃で
該バッファ層上に一般式(Fe1-a Coa)100-xPtxで表さ
れ、組成比aと原子比率xは 0 < a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層し、こ
れらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の200〜700
℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金層の膜面
垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を
有する垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項12】 100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先
ず100 A 以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード
層を成膜し、次いで5μm以下(0を含まず)の厚さの面
心立方金属からなるバッファ層を成膜し、その後基板温
度400℃〜700℃で該バッファ層上にFePtで組成が表され
る組成と少量の不純物からなる合金層を積層し、これら
をさらに真空中または非酸化性雰囲気中の200〜700℃の
温度で加熱することを特徴とし、前記合金層の膜面垂直
方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を有す
る垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項13】100℃〜1000℃の単結晶基板上に、先ず5
μm以下(0を含まず)の厚さの面心立方金属からなるバ
ッファ層を成膜し、次いで基板温度400℃〜700℃で該バ
ッファ層上に一般式(Fe1-a Coa)100-x-yPtxMyで表さ
れ、MはBe、B、C、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Ni、Mn、C
u、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、希
土類元素、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Biのうちから
選択される1種または2種以上の元素であり、その組成比
aと原子比率x、yは 0 ≦ a ≦ 0.4 30 ≦ x ≦ 55 0.001 ≦ y ≦ 15 である組成と少量の不純物からなる合金層を積層し、こ
れらをさらに真空中または非酸化性雰囲気中の200〜700
℃の温度で加熱することを特徴とし、前記合金層の膜面
垂直方向が磁化容易軸であり、高飽和磁化と高保磁力を
有する垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項14】前記バッファ層と前記合金層とを交互に
積層し多層膜とすることを特徴とする請求項8ないし1
3のいずれか1項に記載の垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項15】前記単結晶基板上と前記バッファ層の間
に、100Å以下(0を含まず)の厚さのFeからなるシード
層を成膜することを特徴とする請求項10,11または
13に記載の垂直磁化膜の製造法。 - 【請求項16】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
の垂直磁化膜からなることを特徴とする垂直磁気記録媒
体。
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-
1996
- 1996-05-31 JP JP17536696A patent/JP3318204B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
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Journal of Magnetism and Magnetic Materials,米国,vol.113,no.1−3,110−114 |
PHYSICAL REVIEW B,米国,1994年 8月 1日,VOLUME50,NUMBER5,3419−3422 |
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