JP3311490B2 - 超音波モータの駆動装置 - Google Patents

超音波モータの駆動装置

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JP3311490B2
JP3311490B2 JP10578094A JP10578094A JP3311490B2 JP 3311490 B2 JP3311490 B2 JP 3311490B2 JP 10578094 A JP10578094 A JP 10578094A JP 10578094 A JP10578094 A JP 10578094A JP 3311490 B2 JP3311490 B2 JP 3311490B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波モータの駆動装
置、詳しくは、電気−機械エネルギー変換素子に駆動信
号を印加することにより、縦振動と屈曲振動とを励起す
る超音波振動子を具備する超音波モータの駆動装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁型モータに代わる新しいモー
タとして超音波モータが注目されている。この超音波モ
ータは、従来の電磁型モータに比べ以下のような利点を
有している。
【0003】(1)ギヤーなしで低速高推力が得られ
る。
【0004】(2)保持力が大きい。
【0005】(3)ストロークが長く、高分解能であ
る。
【0006】(4)静粛性にとんでいる。
【0007】(5)磁気的ノイズを発生せず、また、ノ
イズの影響も受けない。
【0008】ここで、本出願人が先に特願平5−390
11号において提案した、超音波リニアモータを、図を
参照して説明する。
【0009】まず、超音波振動子の構成について説明す
る。
【0010】図9は、該従来の超音波振動子の一例を示
した外観斜視図である。
【0011】図中、符号100は超音波振動子であり、
基本弾性体101の上部には、二次の共振屈曲振動のほ
ぼ腹に対応する部分に積層型圧電素子103が配置され
ている。また、該積層型圧電素子103は、保持用弾性
体102により基本弾性体101の上部において固定さ
れている。さらに、図示はしないが上記基本弾性体10
1の上面には2か所にネジ用のタップが形成されてお
り、上記保持用弾性体102はビスにより基本弾性体1
01に固定される。これにより、上記積層型圧電素子1
03は保持用弾性体102によりつき当てて保持され
る。
【0012】上記基本弾性体101の正面中央部には保
持用の突起部104が設けられている。また、該基本弾
性体101の積層型圧電素子103が配置されている面
に対して反対側の面(被駆動体と接触する側の面)の屈
曲振動振幅が極大となる位置には摺動部材105が、た
とえばエポキシ系の接着剤を用いて接合されている。
【0013】次に、上記超音波振動子100の動作につ
いて説明する。
【0014】該超音波振動子100の寸法を適当に設定
することで一次の共振縦振動、及び二次の共振屈曲振動
がほぼ同一周波数で励起できる。図9において左側の積
層型圧電素子103から取り出されている電気端子を
A,GND(A相と呼ぶ)とし、右側の積層型圧電素子
103から取り出されている電気端子をB,GND(B
相と呼ぶ)とする。そこで、A相に周波数Frで所定の
振幅の交番電圧を印加し、B相に同一周波数、同振幅で
同位相の交番電圧を印加すると、一次の共振縦振動が励
起できる。次に、A相に周波数Frで同振幅の交番電圧
を印加し、B相に同一周波数、同振幅で逆位相の交番電
圧を印加すると二次の共振屈曲振動が励起できる。
【0015】さて、A相及びB相に周波数Frで同振幅
の交番電圧を印加し、その位相差を90度又は−90度
にすると一次の縦振動と二次の屈曲振動を同時に励起で
き、摺動部材105の位置に於て時計廻りまたは反時計
廻りの超音波楕円振動が励起できる。このとき該摺動部
材105の位置に対してジルコニアセラミクス材からな
る被駆動体を圧接すると該被駆動体は右方向または左方
向に駆動される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
願平5−39011号に記載された超音波リニアモータ
においては、超音波振動子を長時間駆動して振動子の温
度が上昇すると、モータの推力や速さが低下してしまう
虞があった。すなわち、温度が上昇すると積層型圧電素
子と保持用弾性体との間の接着層の実効的なヤング率が
小さくなり、該積層型圧電素子の振動が基本弾性体に伝
達しにくくなる。これにより、高次振動モードが発生し
てしまい、モータの推力や速さが低下してしまうという
問題点が生じる。
【0017】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、振動子の温度上昇にも拘らず、高次振動モー
ドを抑えて、推力や速さの低下が生じない超音波モータ
の駆動装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明による超音波モータの駆動装置は、少なくと
も2個の積層型電気ー機械エネルギー変換素子に交番駆
動信号を印加することにより、縦振動と屈曲振動とを励
起する超音波振動子と、前記超音波振動子の振動を検出
する振動検出手段と前記振動検出手段の出力を基に
上記超音波振動子の使用温度範囲において高次モード周
波数成分が発生しないレベルの直流電圧を、前記積層型
電気ー機械エネルギー変換素子に印加するDC電源とを
具備することを特徴とする。
【0019】本発明による上記超音波モータの駆動装置
は、前記振動検出手段の出力を前記DC電源にフィード
バックするフィードバック手段を、さらに具備してい
る。
【0020】本発明による上記超音波モータの駆動装置
は、前記振動検出手段の出力を前記DC電源にフィード
バックするフィードバック手段を具備し、前記フィード
バック手段は、前記振動検出手段の出力から前記高次モ
ード周波数成分のみを抜き出すフィルターを備えてい
る。
【0021】
【作 用】本発明による上記超音波モータの駆動装置
は、少なくとも2個の積層型電気ー機械エネルギー変換
素子に交番駆動信号を印加することにより、超音波振動
子に縦振動と屈曲振動とが励起される。振動検出手段
は、この振動を検出し、その出力を基に、上記超音波振
動子の使用温度範囲において高次モード周波数成分が発
生しないレベルの直流電圧を、前記積層型電気ー機械エ
ネルギー変換素子にDC電源より印加する。
【0022】本発明による上記超音波モータの駆動装置
は、フィードバック手段により、前記振動検出手段の出
力を前記DC電源にフィードバックする。
【0023】本発明による上記超音波モータの駆動装置
において、前記フィードバック手段は、フィルターによ
り前記振動検出手段の出力から前記高次モード周波数成
分のみを抜き出す。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0025】図1は、本発明の第1実施例である超音波
モータの駆動装置の構成を示したブロック図である。以
下、信号の流れに沿って該超音波モータの駆動装置を説
明する。
【0026】図中、符号1は発振器であり、所定の駆動
周波数の駆動信号(交番電圧)が送出されるようになっ
ている。該発振器1からの出力信号は、まず増幅器3に
入力されて所定の増幅度で増幅され、その後、超音波振
動子10のA相の入力端子Aに印加される。また、上記
発振器1からの出力信号は移相器2にも入力され、該移
相器2においてその位相が+90度または−90度に移相さ
れる。そして、同移相器2からの出力信号は増幅器4に
おいて所定の増幅度で増幅された後、該超音波振動子1
0のB相の入力端子Bに印加される。また、上記増幅器
3,4の出力端、すなわち、該超音波振動子10のA相
及びB相の入力端子には図に示すように並列にDC電源
5が接続されている。
【0027】上記DC電源5は、所定の直流電圧を生成
して出力するようになっており、上記超音波振動子10
における積層型圧電素子13(詳しく後述する)に該直
流電圧を印加するようになっている。
【0028】図2は、本第1実施例における上記超音波
振動子10を示した外観斜視図である。
【0029】たとえば黄銅材からなる基本弾性体11
は、中央上面に突部11aが形成された矩形状を呈し、
本実施例では、その寸法は該突部11aを除き、幅30m
m、奥行4mm、高さ7.5mmとなっている。なお、以下、該
超音波振動子に関する寸法は好ましい大きさを示すもの
であって、示される寸法以外の形状を呈する超音波振動
子も利用可能であることはいうまでもない。上記突部1
1aの寸法は、幅4mm、奥行4mm、高さ2.5mmとなってい
て、また、該基本弾性体11の正面中央部で、かつ底面
から6mmの位置には、直径φ2mmのステンレス材からなる
ピン14が圧入されている。
【0030】また、上記基本弾性体11上面における上
記突部11aの両端には、電極処理された圧電素子を数
十枚から数百枚積層した積層型圧電素子13が配設され
ている。なお、本実施例においては、該積層型圧電素子
13は、トーキン株式会社製の積層型圧電素子NLA−
2×3×9を採用しており、その寸法は、2mm×3.1mm×
9mmである。該積層型圧電素子13の、両端以外の各圧
電素子の端面には、エポキシ系樹脂等により被覆されて
いる。なお、本実施例においては、該被覆厚は約20μm
となっている。また、図中、右側の積層型圧電素子13
からは電気端子が取り出されており、入力端子Aおよび
アース端子GND(A相と呼ぶ)を構成している。一
方、左側の積層型圧電素子13からも電気端子が取り出
されており、入力端子Bおよびアース端子GND(B相
と呼ぶ)を構成している。
【0031】上記基本弾性体11の下面、すなわち上記
積層型圧電素子13が配置されている面に対して反対側
の面(被駆動体と接触する側の面)には、2つの矩形状
(寸法:幅3mm、奥行4mm、厚み1mm)の駆動子15が配
設されている。該2つの駆動子15は、該超音波振動子
の共振屈曲振動の振動振幅が極大値を示す2箇所にそれ
ぞれ配置されており、該位置は、本超音波振動子では下
面両端部から9mmの位置となっている。また、上記駆動
子15は、たとえば樹脂にアルミナの砥粒を分散させた
砥石材料で構成されており、エポキシ系等の接着剤を用
いて接合されている。
【0032】次に上記超音波振動子10の組立方法につ
いて図2を参照して説明する。
【0033】まず、基本弾性体11の突部11aの両側
面に、それぞれ積層型圧電素子13の一端面を当接させ
つつ、該基本弾性体11の上面に載設する。そして、そ
れぞれの積層型圧電素子13の他端面に、それぞれ保持
用弾性部材12(幅4mm、奥行4mm、高さ2.5mm)を当接
させながら、該基本弾性体11の上面に載設する。な
お、図示はしないが上記基本弾性体11の上面の、該保
持用弾性体12が載設される箇所にはネジ用のタップ部
が形成されており、図2に示すように上記保持用弾性体
12は2本のビス12aによりそれぞれ基本弾性体11
に固定される。これにより、積層型圧電素子13は、基
本弾性体11の突部11aと保持用弾性体12との間で
圧縮力をかけた状態で保持固定される。
【0034】さらに、上記積層型圧電素子13の一端面
と基本弾性体11の突部11aにおける対向面および該
積層型圧電素子13の他端面と保持用弾性体12におけ
る対向面とは、エポキシ系等の接着剤で固定される。ま
た、上記積層型圧電素子13の下面と基本弾性体11に
おける対向面とも、エポキシ系樹脂等を用いて接着され
る。さらに、上記保持用弾性体12の下面と基本弾性体
11における対向面ともエポキシ系等の接着剤により接
合される。
【0035】次に、本実施例における上記超音波振動子
10の動作について説明する。
【0036】上記超音波振動子10は、上述した寸法の
形状を呈するとき、最大長さ方向の一次の共振縦振動お
よび最大面積を有する面内の二次の共振屈曲振動がほぼ
同一周波数Fr(53kHz〜56kHz)で励起できる。これに
基づき、まず、上記発振器1において、該周波数Fr
(53kHz〜56kHz)の駆動信号を生成・出力し、該出力信
号の一方が上記増幅器3において、たとえば振幅10Vp
−p(ピークトゥーピーク)の信号に増幅される。ま
た、該出力信号は他方において上記移相器2を経て増幅
器4で、たとえば振幅10Vp−pの信号に増幅される。
【0037】これにより、上記超音波振動子10の入力
端子A,B(図1参照)には、周波数Fr(53kHz〜56k
Hz)、振幅10Vp−p、位相差±90度の交番電圧が印加
される。そして、該交番電圧が印加されると該超音波振
動子10には、上記駆動子15の位置で右回りまたは左
回りの超音波楕円振動が励起できる。このとき、該駆動
子15に被駆動体を押圧すると、被駆動体は左右に移動
する。
【0038】次に、本実施例における上記DC電源5で
生成される直流電圧の好適値の設定方法について説明す
る。なお、該好適値は、本出願人の実験に基づいて設定
されたものであり、以下、該設定の手段を示す。
【0039】図3は、上記第1実施例の超音波モータの
駆動装置において、上記DC電源で生成される直流電圧
の好適値を設定する際の、超音波振動子の(a)正面
図、(b)背面図、(c)一側面図である。
【0040】同図に示すように、上記超音波振動子10
の正面および背面の下部に、縦横の寸法が3mm×5mmで厚
さ0.2mmの振動検出圧電素子20(電気−機械エネルギ
ー変換素子の一種)を接着する。このとき、該超音波振
動子10の正面側には、分極の向きが互いに同一となる
ように2枚の振動検出圧電素子20を図示の如く接着
し、直列にリード線を配して電気端子F1を設けた。一
方、該超音波振動子10の背面側には、分極の向きが互
いに異なるように2枚の振動検出圧電素子20を図示の
如く接着し、直列にリード線を配して電気端子F2を設
けた。また、上記端子F1,F2からの出力信号は、図
示しない検出装置に入力され、該装置においてモニタさ
れるようになっている。
【0041】このように上記振動検出圧電素子20を配
置した後、上述したように超音波振動子10を振動させ
ると、上記端子F1からは一次の縦振動に比例した電気
出力が得られ、また、端子F2からは二次の屈曲振動に
比例した電気出力が得られる。そして、この検出結果よ
り、以下に示す好適値が設定される。
【0042】図4は、該実験において、初期状態(超音
波振動子の温度が室温と同じときで、本出願人による実
験では25℃である)において、上記端子F1,F2か
らの出力信号を示した線図である。
【0043】該図4に示すように、上記超音波振動子1
0の屈曲振動、縦振動は、共にほぼ正弦波状の振動であ
る。なお、このとき、超音波リニアモータの起動推力と
して400gf、無負荷速度として300mm/secが得られ
た。
【0044】一方、図5は、該実験において、上記超音
波振動子の連続運転後の、上記端子F1,F2からの出
力信号を示した線図である。
【0045】該実験によると、上記超音波振動子10を
連続して振動させると、該超音波振動子10の温度が6
0℃まで上昇した。このとき、端子F1,F2からの信
号は図5に示すようになった。この図からも明かなよう
に、超音波振動子の振動波形は、屈曲振動及び縦振動と
もに駆動基本周波数の他に高次モードの振動が見られ
る。また、このとき、超音波リニアモータの起動推力と
無負荷速度は上記初期状態の1/10程度に低下した。
【0046】ところで、この状態のとき、すなわち、上
記超音波振動子10を連続して振動させた後、積層型圧
電素子13に対して該積層型圧電素子13が伸びようと
する方向の直流電圧を印加し、徐々に該電圧を上昇させ
ていくと高次振動モードが減少していき、該直流電圧が
50Vになると完全に図4に示した初期状態の振動に戻っ
た。また、このとき、超音波モータの特性も初期状態に
戻った。
【0047】上記第1実施例の超音波モータの駆動装置
においては、以上の実験結果から、上記DC電源5から
出力する直流電圧値を50Vと設定した。また、このよう
に設定された該超音波モータの駆動装置においては、超
音波振動子の温度が室温から60℃の範囲において超音
波モータの起動推力として400gf、無負荷速度として
300mm/secが得られたことも確認されている。
【0048】本第1実施例では、上述した方法で直流電
圧値を決定し、DC電源からの直流電圧を積層型圧電素
子に対して印加することで、超音波振動子の連続運転を
行い、該超音波振動子の温度が上昇しても、モータ特性
が低下することなく、安定した動作を続けることが可能
となった。
【0049】なお、本第1実施例においては、超音波振
動子の最高温度が60℃である場合について述べたが、
超音波モータの使用環境によっては、超音波振動子の温
度が70℃ないし80℃に達する場合もある。このよう
な場合においては、該超音波振動子の温度に対応する直
流電圧、すなわち、同超音波振動子の高次振動モードを
減衰させる直流電圧を選択して積層型圧電素子13に対
して印加すればよい。
【0050】また、上記DC電源から出力される直流電
圧は、超音波振動子に対して常時印加しておいてもよい
し、超音波モータの駆動時のみに印加してもよい。
【0051】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。
【0052】図6は、本第2実施例の超音波モータの駆
動装置の構成を示したブロック図である。なお、図中、
上記第1実施例と同一の構成要素に対しては同一の符号
を付与しており、重複を避けるためここでの説明は省略
する。また、本第2実施例における超音波振動子は、上
記第1実施例と同等の超音波振動子を使用しているた
め、ここでの図示および説明は省略する。以下、信号の
流れに沿って該第2実施例の超音波モータの駆動装置を
説明する。
【0053】発振器1より、上記第1実施例と同様に駆
動周波数Fr(53kHz〜56kHzの間の周波数)の駆動信号
が送出され、移相器2および増幅器3,4を経て上記超
音波振動子の入力端子A,B(図1参照)に、駆動周波
数Fr(53kHz〜56kHz)、振幅10Vp−p、位相差±90
度の交番電圧が印加されるようになっている。また、上
記超音波振動子の入力端子A,Bには、上記第1実施例
におけるDC電源5の代わりに、後述するAC−DCコ
ンバータ型DC電源6が並列に接続されている。 本第
2実施例における超音波振動子には、上述した振動検出
圧電素子20が予め配設されていると共に、上記電気端
子F1,F2が配設されている。そして、該振動検出圧
電素子20からのフィードバック信号は該端子F1また
は端子F2を介して加算された後、増幅器8において所
定の増幅度で増幅される。該増幅器8で増幅されたフィ
ードバック信号は、その後、カットオフ周波数が60kHz
程度であるハイパスフィルター7に入力されるようにな
っている。そして、該フィードバック信号はハイパスフ
ィルター7によりその高次モード周波数成分のみが抜き
出され出力される。
【0054】この後、該信号はフィードバック型の上記
AC−DCコンバータ型DC電源6に入力されるように
なっている。また、該AC−DCコンバータ型DC電源
6からの出力である直流電圧は、上記超音波振動子の入
力端子Aおよび入力端子Bに印加されるようになってい
る。
【0055】上記AC−DCコンバータ型DC電源6で
は、その交番入力信号が実効値ゼロとなるまで、出力と
しての直流電圧を徐々に増加させる作用をする。すなわ
ち、超音波振動子の高次振動モードに対応した周波数成
分が除去されるように、該直流電圧を制御する。ただ
し、発振現象を無くすために、本実施例では、該AC−
DCコンバータ型DC電源6の応答時間は数十msecない
し数secとした。
【0056】なお、本実施例に述べた超音波モータの駆
動装置によれば、超音波振動子の温度が室温から60℃
の範囲において超音波モータの起動推力として400g
f、無負荷速度として300mm/secが得られた。
【0057】上記第2実施例の超音波モータの駆動装置
においては、上記第1実施例における効果に加え、常に
超音波振動子の振動を検出して高次モードの振動を除去
するように直流電圧を印加し、超音波モータ特性の低下
を防止したので、必要最低限の直流電圧が印加されるこ
とになり、積層型圧電素子における負担が軽減されると
いう効果を奏する。
【0058】図7は、上記第2実施例の変形例を示す、
超音波振動子の正面図である。
【0059】この図に示すように、該変形例は、振動検
出圧電素子を2枚要した上記第2実施例において該振動
検出圧電素子を1枚にした例である。この変形例の場合
には、得られるフィードバック信号は縦振動と屈曲振動
が合成されたものとなるが、より簡単な構成で上記第2
実施例と同様な効果を得ることができる。
【0060】図8は、本発明の第3実施例の超音波モー
タの駆動装置の構成を示したブロック図である。なお、
図中、上記第1,第2実施例と同一の構成要素に対して
は同一の符号を付与しており、重複を避けるためここで
の説明は省略する。また、本第3実施例における超音波
振動子は、上記第1実施例と同等の超音波振動子を使用
しているため、ここでの図示および説明は省略する。
【0061】図8に示すように、本第3実施例において
は、電流検出回路として、ホール素子25を用いて超音
波振動子の振動を検出するようになっている。すなわ
ち、本実施例は、上記超音波振動子の入力端子A,Bに
流れる電流が該超音波振動子の振動速度に比例すること
に着目し、該入力端子A,Bの近傍に該入力電流を検出
するホール素子25を配設している。以下、信号の流れ
に沿って該第3実施例の超音波モータの駆動装置を説明
する。
【0062】まず、発振器1より、上記第1,第2実施
例と同様に駆動周波数Fr(53kHz〜56kHzの間の周波
数)の駆動信号が送出され、移相器2および増幅器3,
4を経て超音波振動子の入力端子A,B(図1参照)
に、駆動周波数Fr(53kHz〜56kHz)、振幅10Vp−
p、位相差±90度の交番電圧が印加されるようになって
いる。また、上記超音波振動子の入力端子A,Bには、
上記第1実施例におけるDC電源5の代わりに、後述す
るフィードバック型DC電源21が並列に接続されてい
る。なお、該フィードバック型DC電源21は、上記第
2実施例におけるAC−DCコンバータ型DC電源6と
同様な働きを行うようになっており、ここでの詳しい説
明は省略する。
【0063】上記超音波振動子の入力端子A,Bの近傍
に配設された上記ホール素子25からの出力信号は、増
幅器23,24で増幅され、上記第2実施例と同様なハ
イパスフィルター7を経てフィードバック型DC電源2
1に入力される。このハイパスフィルター7およびフィ
ードバック型DC電源21の動作は、上記第2実施例と
同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0064】この第3実施例によると、上記超音波振動
子の入力端子A,Bに流れる電流が該超音波振動子の振
動速度に比例することを利用し(但し、振動子の制動容
量分は除く)ているので、超音波振動子に振動検出圧電
素子を配設することなく、上記第2実施例と同様な効果
を得ることができる。
【0065】一方、上記第2,第3実施例において、上
述したDC電源6,21に出力インピーダンスの高い電
源を使用する場合は、以下に示す変形例を構成すること
ができる。すなわち、該実施例において、上記ハイパス
フィルター7を省略し、新たにDC電源の電圧検出回路
(図示しない)を設けて該DC電源の出力電圧波形をモ
ニタし、超音波振動子への印加電圧を制御するものであ
る。これは、DC電源からの出力電圧が該電源に入力す
る高調波振動成分に比例して歪むことを利用したもので
あり、この出力電圧をモニタすることで超音波振動子へ
の印加電圧を制御することを可能とするものである。
【0066】さらに別の変形例として、振動検出用の圧
電素子は、上記第2,第3実施例においては、基本弾性
体の側面に設けたが、積層型圧電素子と保持用弾性体と
の間に設けてもよい。
【0067】このような実施例によると、上記第1実施
例では、単純な構成により、積層型圧電素子に適切な直
流電圧を印加することにより、広い温度範囲に亘り超音
波モータの適正な特性を維持することができる。
【0068】また、上記第2ないし第3実施例による
と、超音波振動子の振動を常にモニタして、高次振動モ
ードを除去するように直流電圧を印加するので、積層型
圧電素子の絶縁破壊を防止できるとともに、広い温度範
囲に亘り超音波モータの適正な特性を維持することがで
きる。
【0069】なお、以上説明した上記各実施例の駆動装
置は、その対象となる超音波モータとしてリニア型超音
波モータを採用したが、これに限ることなく超音波振動
子の移動体を回転体とすれば回転型の超音波モータにも
適用できる。
【0070】また、上記各実施例においては、直流電圧
の値を2つの積層型圧電素子で同一としたが、実施例に
述べた目的を達成するために異なる値とした方が効果が
ある場合には異なる値でもよい。
【0071】[付記]以上詳述した如き本発明の実施態様
によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1)少なくとも2個の電気−機械エネルギー変換素子
に駆動信号を印加することにより、縦振動と屈曲振動と
を励起する超音波振動子と、上記電気−機械エネルギー
変換素子に直流電圧を印加するDC電源と、を具備する
超音波モータの駆動装置において、上記直流電圧は、上
記超音波振動子の使用温度範囲において駆動周波数以外
の振動数の高次モードが発生しないレベルの直流電圧で
あることを特徴とする超音波モータの駆動装置。
【0072】(2)少なくとも2個の電気−機械エネル
ギー変換素子に駆動信号を印加することにより、縦振動
と屈曲振動とを励起する超音波振動子と、この超音波振
動子の振動を検出する振動検出手段と、この振動検出手
段からの出力信号に基づいて上記電気−機械エネルギー
変換素子に直流電圧を印加するDC電源と、を具備し
た、上記(1)に記載の超音波モータの駆動装置。
【0073】(3)上記振動検出手段は、上記超音波振
動子に設けられた電気−機械エネルギー変換素子であ
る、上記(2)に記載の超音波モータ駆動装置。
【0074】(4)上記振動検出手段は、上記超音波振
動子に印加される電圧検出回路または超音波振動子に流
れる電流検出回路である、上記(2)に記載の超音波モ
ータ駆動装置。
【0075】(5)上記超音波振動子の振動を検出する
電気−機械エネルギー変換素子は圧電素子である、上記
(3)に記載の超音波モータ駆動装置。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、振
動子の温度上昇にも拘らず、高次振動モードを抑えて、
推力や速さの低下が生じない超音波モータの駆動装置を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である超音波モータの駆動
装置の構成を示したブロック図である。
【図2】上記第1実施例の超音波モータの駆動装置にお
ける超音波振動子を示した外観斜視図である。
【図3】上記第1実施例の超音波モータの駆動装置にお
いて、DC電源で生成される直流電圧の好適値を設定す
る際の、超音波振動子の(a)正面図、(b)背面図、
(c)一側面図である。
【図4】上記第1実施例の超音波モータの駆動装置にお
いて、DC電源で生成される直流電圧の好適値を設定す
る際の、初期状態における、モニタ端子からの出力信号
を示した線図である。
【図5】上記第1実施例の超音波モータの駆動装置にお
いて、DC電源で生成される直流電圧の好適値を設定す
る際の、超音波振動子の連続運転後の、モニタ端子から
の出力信号を示した線図である。
【図6】本発明の第2実施例の超音波モータの駆動装置
の構成を示したブロック図である。
【図7】上記第2実施例の超音波モータの駆動装置の変
形例における、超音波振動子の正面図である。
【図8】本発明の第3実施例の超音波モータの駆動装置
の構成を示したブロック図である。
【図9】従来の超音波モータの駆動装置における超音波
振動子の一例を示した外観斜視図である。
【符号の説明】
1…発振器 2…移相器 3,4…増幅器 5…DC電源 10…超音波振動子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 2/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2個の積層型電気ー機械エネル
    ギー変換素子に交番駆動信号を印加することにより、縦
    振動と屈曲振動とを励起する超音波振動子と、前記超音波振動子の振動を検出する振動検出手段と前記振動検出手段の出力を基に 、上記超音波振動子の使
    用温度範囲において高次モード周波数成分が発生しない
    レベルの直流電圧を、前記積層型電気ー機械エネルギー
    変換素子に印加するDC電源と、 を具備することを特徴とする超音波モータの駆動装置。
  2. 【請求項2】前記振動検出手段の出力を前記DC電源に
    フィードバックするフィードバック手段を、さらに具備
    したことを特徴とする請求項1記載の超音波モータの駆
    動装置。
  3. 【請求項3】前記フィードバック手段は、前記振動検出
    手段の出力から前記高次モード周波数成分のみを抜き出
    すフィルターを備えていることを特徴とする請求項2記
    載の超音波モータの駆動装置。
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