JP3305168B2 - 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置

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JP3305168B2
JP3305168B2 JP17362095A JP17362095A JP3305168B2 JP 3305168 B2 JP3305168 B2 JP 3305168B2 JP 17362095 A JP17362095 A JP 17362095A JP 17362095 A JP17362095 A JP 17362095A JP 3305168 B2 JP3305168 B2 JP 3305168B2
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線発生装置お
よびこれを用いた画像表示装置等の画像形成装置に関わ
り、特に表面伝導型電子放出素子を多数個備える電子線
発生装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、熱電子源
と冷陰極電子源の2種類が知られており、また、これら
の電子源を利用した画像形成装置が知られている。
【0003】熱電子源を用いた平面型の画像形成装置と
しては、図11に示すものが知られている。図11は、
熱電子源を用いた従来の画像形成装置の概略構成図であ
る。この画像形成装置は、絶縁支持体1501上に平行
に配置され、表面に電子線衝撃により発光する部材(蛍
光体)が塗布された複数の陽極1502と、陽極150
2と平行に、かつ、対向して配置された複数のフィラメ
ント1503と、陽極1502とフィラメント1503
との間に、陽極1502およびフィラメント1503と
直交して配置された複数のグリッド1504とを有し、
これら陽極1502、フィラメント1503およびグリ
ッド1504は、透明の容器1505内に保持されてい
る。容器1505は、その内部の真空を保持できるよう
に絶縁支持体1501に気密接着(以下、「封着」とい
う)され、容器1505と絶縁支持体1501とで構成
される外囲器の内部は10-6Torr程度の真空に保た
れている。
【0004】フィラメント1503は、真空中で加熱さ
れることにより電子を放出し、グリッド1504と陽極
1502に適当な電圧を印加することにより、フィラメ
ント1503から放出された電子が陽極1502に衝突
し、陽極1502上に塗布された蛍光体が発光する。陽
極1502の列(X方向)とグリッド1504の列(Y
方向)をマトリクスアドレッシングすることにより、発
光する位置の制御が可能となり、容器1505を通して
画像を表示することができる。
【0005】しかし、熱電子源を用いた画像形成装置
は、 (1)消費電力が大きい。 (2)変調スピードが遅いため、大容量の表示が困難で
ある。 (3)各素子間のばらつきが生じやすく、また構造が複
雑となるため大画面化が難しい。 という問題点がある。
【0006】そこで、熱電子源にかえて、冷陰極電子源
を用いた画像形成装置が考えられている。
【0007】冷陰極電子源には電界放出型(以下、FE
型という)、金属/絶縁層/金属型(以下、MIM型と
いう)や表面伝導型電子放出素子等がある。
【0008】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an, "Field emission", Advance inElectron Physics,
8, 89(1956)、あるいはC.A.SPindt, "PHYSICAL Propert
iesof thin-filmfield emission cathodes with moybde
nium coces", J.Appl.Phys., 47, 5248(1976) 等が知ら
れている。
【0009】このFE型の電子源を用いた画像形成装置
の例について図12を用いて説明する。図12は、FE
型の電子源を用いた従来の画像形成装置を一部拡大して
示した概略構成図である。
【0010】図12に示すようにこの画像形成装置は、
多数の電子放出素子が形成された電子源2001と、電
子源2001に対向配置されたフェースプレート200
3とを有する。電子源2001は、絶縁性基板上201
1に導電体2012を介して電気的に接続されて形成さ
れた多数のマイクロポイント2013と、マイクロポイ
ント2013に対応した開口を有し、絶縁層2014に
よりマイクロポイント2013とは絶縁されて絶縁性基
板2011に支持されたグリッド2015とで構成され
る。マイクロポイント2013の底部の直径および高さ
は約2μmであり、グリッド2015の開口径も約2μ
mである。フェースプレート2003は、ガラス板20
31の内面に塗布された蛍光体2032と、蛍光体20
32を被覆し、マイクロポイント2013から放出され
た電子を加速するための電圧が印加される加速電極とし
て作用する導電膜2033とで構成される。
【0011】上記構造において、マイクロポイント20
13の先端部とグリッド2015間の距離は非常に小さ
く(1μm以下)、また、マイクロポイント2013の
先端部が突起状であることから、マイクロポイント20
13とグリッド2015間には100V以下の電位差で
も、電界電子放出可能な強電界(107 V/cm以上)
が形成できる。1つのマイクロポイント2013からの
電子放出量は数μA程度得られるが、平方mm当り数万
個程度のマイクロポイント2013を形成することが可
能なため、画像形成装置においては、通常は数千個から
数万個程度のマイクロポイント2013の集合で1つの
画素に対応する電子放出素子を構成する。したがって、
1画素に対応する電子放出素子当り数mA以上の電子放
出量が得られる。
【0012】グリッド2015およびマイクロポイント
2013へ与える電位としては、例えばグリッド201
5にアース電位(0V)を与え、マイクロポイント20
13には導電体2012を通じて負電位(−100V程
度)を印加することで電子放出が可能となる。さらに、
フェースプレート2003に導電膜2033を通じ、グ
リッド2015と同じかそれ以上の電位が印加されるこ
とにより、電子源2001から放出された電子が蛍光体
2032に衝突し、蛍光体を励起、発光させる。
【0013】この発光点を制御するために、複数のマイ
クロポイント2013が電気的に接続された導電体20
12がX方向に帯状に配列されて形成される複数の行配
線2041と、グリッド2015がY方向に電気的に接
続される列配線2042とを設け、この行列状の配線パ
ターンの交差部に形成される複数の電子放出素子領域2
010のうち所望の領域に、外部電源2043、204
4により所望の電子放出開始電圧以上の電圧が印加され
るようにマトリクスアドレッシングし、加速電圧印加電
源2045から導電膜2033を通じて電圧が印加され
ている蛍光体2032に電子が照射される位置を選択す
ることで画像を表示することができる。一方、MIM型
の例としては、C.A.Mead, "Operation of Tunnel-emiss
ion Devices", J.Appl.Phys., 32, 646(1961) 等が知ら
れている。
【0014】表面伝導型電子放出素子の例としては、M.
I.Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10, (1965)等
がある。表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:"Thin SolidFilms", 9, 317(1972)]、I
23/SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell andC.G.
Fonstad:"IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975)]、カー
ボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第
1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0015】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、前述のM.Hartwellら
による素子の平面図を図13に示す。同図において30
01は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸
化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は
図示のようにH字形の平面形状に形成されている。該導
電性薄膜3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成
される。図中の間隔Lは、0.5〜1mm、Wは0.1
mmで設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出
部305は導電性薄膜3004の中央に矩形の形状で示
したが、これは摸式的なものであり、実際の電子放出部
の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0016】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型電子放出素子においては、電
子放出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理を施すことによりでんし放出部3
005を形成するのが一般的であった。すなわち、通電
フォーミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一
定の直流電流、もしくは、例えば1V/分程度の非常に
ゆっくりとしたレートで昇圧する直流電流を印加して通
電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形
もしくは変質させ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部
3005を形成することである。尚、局所的に破壊もし
くは変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部に
は、亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に導電性
薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀
裂付近において電子放出が行われる。
【0017】上述した冷陰極電子源は、例えばフォトリ
ソグラフィやエッチング等の技術を用いて形成できるた
め、多数個の素子を微小な間隔で配置することが可能で
ある。しかも熱電子源と比較すると、陰極や周辺部が比
較的低温の状態で駆動できるため、より微細な配列ピッ
チのマルチ電子線発生源を容易に実現できる。このよう
な冷陰極電子源の中でも、特に表面伝導型電子放出素子
は、素子構造が単純でしかも製造が容易であり、大面積
のものを容易に製造できるという利点があるので、近年
求められている大画面の画像形成装置に使用される電子
放出素子としては好適である。
【0018】例えば、この種の電子放出素子を用いた画
像形成装置としては、電子放出素子が設けられた電子源
と、電子の衝突により発光する蛍光体等を備えた画像形
成部材とを支持枠を介して対向配置し、これら電子源と
画像形成部材と支持枠とで構成される外囲器の内部を真
空にしたものが知られていいる。また、画像形成部材に
は、電子源から放出された電子を画像形成部材に向けて
加速するための加速電極が備えられ、加速電極に高電圧
を印加することで放出電子が画像形成部材へ向けて加速
され、画像形成部材に衝突する。そのため支持枠は、高
電圧に耐える絶縁性材料で構成されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の画像形成装置においては、電子源から放出される電子
が画像形成部材の蛍光体に衝突することによって発光す
る現象を利用しているが、電子の画像形成部材への衝突
の際の反応や、装置内部の雰囲気ガスを電離することに
より正イオンが発生する。この正イオンは、加速電極に
より電子源と画像形成部材との間に生じた電界により電
子源から放出された電子とは反対方向に加速され、電子
源上に到達する。一方、電子源には、電子放出素子の素
子電極のパターニングに必要な絶縁部分が多く存在して
いる。そのため、電子源に到達した正イオンが電子源の
絶縁部分に帯電すると、電子放出素子から放出される電
子は、帯電した絶縁部分の方向に曲げられて軌道がず
れ、発光位置のずれなどの問題が生じる。また、帯電電
荷によって放電等が引き起こされる確率が高くなり、装
置の信頼性や寿命も損なわれてしまう。電子源の帯電を
防止するためには、電子源の絶縁部分を導電材で覆い電
位を規定することが考えられるが、最低限、どの範囲ま
で導電材で覆えば確実に電子源の帯電を防止できるかと
いう点に関しては明確になっていなかった。電子源の絶
縁部分を全て導電材で覆えば確実に電子源の帯電を防止
できるが、必要以上に覆うことは無駄である。
【0020】本出願人は、表面伝導型電子放出素子を用
いた画像形成装置をより簡単な構成で実現する方法とし
て、複数本の行方向配線と複数本の列方向配線とによっ
て、表面伝導型電子放出素子の対向する1対の素子電極
をそれぞれ結線することで、行列状に、多数個の表面伝
導型電子放出素子を配列した単純マトリクス型の電子源
を構成し、行方向と列方向に適当な駆動信号を与えるこ
とで、多数の表面伝導型電子放出素子を選択し、電子放
出量を制御し得る系を考えている。このような、表面伝
導型電子放出素子を用いた単純マトリクス型の画像形成
装置においても、同様に絶縁性部材の表面に帯電が生
じ、電子軌道に影響が出るおそれがある。上述した電子
の軌道がずれるという問題は、電子被照射部材として蛍
光体を用いていない電子線発生装置においても画像形成
装置と同様に発生する。
【0021】そこで本発明は、最小限の範囲を電位規定
することで確実に電子源の帯電を防止し、放出電子軌道
を安定させる電子線発生装置および画像形成装置を提供
することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の電子線発生装置は、電子放出素子が設けられた
電子源と、前記電子放出素子から放出された電子を照射
させるために前記電子源に真空雰囲気中で対向配置さ
れ、前記電子放出素子から放出された電子を加速するた
めの加速電極を備えた電子被照射部材とを有する電子線
発生装置において、前記電子被照射部材の前記電子放出
素子から放出された電子が照射される位置から見て、前
記電子被照射部材の面に垂直な方向に対する角度をθと
したとき、tanθ≦2を満たす範囲内に、電位が規定
されている電位規定部が存在し、 前記電子源の表面に電
位規定膜が形成されるとともに、前記電子源の外周に、
前記電子被照射部材へ向かって延びる壁状電極が形成さ
れ、前記電子放出素子およびその電気配線と、前記電位
規定膜と、前記壁状電極とで前記電位規定部が構成され
ことを特徴とする。
【0023】前記電位規定部は、その全表面積に対し
て、50%以上の面積については表面抵抗が1×105
Ω/□以下の導電体で構成され、残りの面積については
表面抵抗が1×1012Ω/□以下の導電体で構成されて
いるものであってもよい。
【0024】また、前記電子被照射部材から前記電位規
定部までの距離をdとしたとき、前記電位規定部の、前
記電子が照射される位置と対向する位置から、前記電子
源の面と平行ないずれの方向にも少なくとも2dの範囲
内に前記電位規定部が存在しているものであっても
【0025】
【0026】さらに、前記電子放出素子は、冷陰極型電
子放出素子であってもよく、その中でも特に表面伝導型
電子放出素子を用いたものであってもよい。
【0027】
【0028】本発明の画像形成装置は、上記本発明の電
子線発生装置を用い、前記電子被照射部材に代えて、前
記電子源に対向配置され、前記電子放出素子から放出さ
れた電子が衝突することにより発光する蛍光体および前
記電子放出素子から放出された電子を加速するための加
速電極を備えた画像形成部材としたものである。
【0029】上記のとおり構成された本発明の電子線発
生装置では、電子源の電子放出素子から電子が放出さ
れ、電子被照射部材に照射されると、電子被照射部材か
らは正イオンが発生する。この正イオンは、加速電極に
電圧を印加することにより電子源と電子被照射部材との
間に生じる電位差によって、電子放出素子から放出され
た電子とは逆方向、すなわち電子源に向けて加速され
る。このとき、電子被照射部材の電子放出素子から放出
された電子が照射される位置から見て、電子被照射部材
の面に垂直な方向に対する角度をθとすると、正イオン
はtanθ≦2を満たす範囲内にある部材に付着する。
そこで、前記範囲内の電位を規定する電位規定部を設け
ることにより正イオンは電子源に帯電することがなくな
り、電子放出素子から放出される電子の軌道が安定す
る。
【0030】このとき、電位規定部全体を抵抗値が低い
導電体で構成することが不可能な場合は、電位規定部の
全表面積に対して、50%以上の面積については表面抵
抗が1×105 Ω/□以下の導電体で構成され、残りの
面積については表面抵抗が1×1012Ω/□以下の導電
体で構成すれば、電子源の帯電を防止するのに十分であ
る。
【0031】
【0032】さらに、電子源の外周に、電子被照射部材
へ向かって延びる壁状電極が形成され、この壁状電極で
電位規定部の一部を構成することで、電子源の大きさが
tanθ≦2を満たす範囲よりも小さくても、これを越
える範囲については壁状電極で電位が規定される。その
結果、電子源の大きさが小さくてすみ、同じ電子被照射
部材の大きさでより小さな電子線発生装置が構成され
る。
【0033】そして本発明は、複数本の行方向配線と複
数本の列方向配線とによって表面伝導型電子放出素子を
それぞれ結線することで、行列状に多数個の表面伝導型
電子放出素子を配列した単純マトリクス型の電子源を用
いた電子線発生装置に好適である。上記単純マトリクス
型の電子源は、行方向と列方向に適当な駆動信号を与え
ることで、多数の表面伝導型電子放出素子を選択し電子
放出量を制御し得るので、基本的には他の制御電極を付
加する必要がなく、1枚の基板上で容易に構成できる。
【0034】もちろん、本発明は電子源と電子被照射部
材との間に何らかの付加構造(例えば集束電極や偏向電
極等)を有する場合についても、上記の考え方を該付加
構造間の各々の空間に適用し、支持部材に設けられる複
数の電極の構成を決めることで同様の効果を与える。さ
らに、上記付加構造が上記複数の電極の一部を兼ねる場
合についても適用できる。
【0035】本発明の画像形成装置では、本発明の電子
線発生装置で用いた電子被照射部材に代えて、電子源に
対向配置され、電子放出素子から放出された電子が衝突
することにより発光する蛍光体および電子放出素子から
放出された電子を加速するための加速電極を備えた画像
形成部材を用いているので、上述したように電子放出素
子から放出される電子の軌道が安定し、その結果、発光
位置のずれのない良好な画像が形成される。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照
して説明する。
【0037】(第1参考例)図1は、本発明の電子線発
生装置を応用した画像形成装置の第1参考例の一部を破
断した斜視図であり、図2は、図1に示した画像形成装
置をY方向から見た断面を模式的に示した図である。
【0038】図1において、リアプレート2には、複数
の表面伝導型の電子放出素子15がマトリクス状に配列
された電子源1が固定されている。電子源1には、ガラ
ス基板6の内面に蛍光膜7と加速電極であるメタルバッ
ク8が形成された、画像形成部材としてのフェースプレ
ート3が、絶縁性材料からなる支持枠4を介して対向配
置されており、電子源1とメタルバック8との間には、
不図示の電源により高電圧が印加される。これらリアプ
レート2、支持枠4およびフェースプレート3は互いに
フリットガラス等で封着され、リアプレート2と支持枠
4とフェースプレート3とで外囲器10を構成する。
【0039】また、電子源1の表面には、各電子放出素
子15およびそれらを電気的に接続する配線を除く部位
の所定の範囲(図1中、破線で示した範囲)にSnO2
膜からなる電位規定膜が形成され、この範囲内が電位規
定部9となっている。
【0040】電位規定部9は、図2に示すように、メタ
ルバック8と電子源1との間の距離をdとし、メタルバ
ック8上において各電子放出素子15から放出された電
子が実際に照射される最大の領域をAとしたとき、この
領域Aの最外郭から電子源1に向かって垂線を下ろし、
この垂線で囲まれた領域よりも電子源1の面に平行ない
ずれの方向にも2dだけ大きい領域Bに位置する。すな
わち、図2に示した領域C(領域A、B、Cは、それぞ
れ図2ではX方向の線分で示されているが、Y方向につ
いても同様に考える)のX方向およびY方向の長さが2
dということである。これを言い替えると、メタルバッ
ク8の、電子放出素子15から放出された電子が実際に
照射される位置から見て、電子源1の面に垂直な方向に
対する角度をθとしたとき、tanθ≦2を満たす範囲
に電位規定部9が存在することになる。本実施例では、
電子源1とメタルバック8との間の距離dを5mmとし
た。
【0041】以下に、上述した各構成要素について詳細
に説明する。
【0042】(1)電子源1 図3は、図1に示した画像形成装置の電子源の要部平面
図であり、図4は、図3に示した電子源のA−A’線断
面図である。
【0043】図3および図4に示すように、ガラス基板
等からなる絶縁性基板11には、m本のX方向配線12
とn本のY方向配線13とが、層間絶縁層14で電気的
に分離されてマトリクス状に配線されている。各X方向
配線12と各Y方向配線13との間には、それぞれ表面
伝導型の電子放出素子15が電気的に接続されている。
各電子放出素子15は、それぞれX方向に間をおいて配
置された1対の素子電極16、17と、各素子電極1
6、17を連絡する電子放出部形成用薄膜18とで構成
され、1対の素子電極16、17のうち一方の素子電極
16が、層間絶縁層14に形成されたコンタクトホール
14aを介してX方向配線12に電気的に接続され、他
方の素子電極17がY方向配線13に電気的に接続され
る。各素子電極16、17は、それぞれ導電性金属等か
らなるものであり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
で形成される。
【0044】絶縁性基板11の大きさ及び厚みは、絶縁
性基板11に設置される電子放出素子15の個数および
個々の素子の設計上の形状や、電子源1の使用時に容器
の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持する
ための条件等に依存して適宜設定される。
【0045】各X方向配線12および各Y方向配線13
は、それぞれ絶縁性基板11上に、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等により所望のパターンに形成された導
電性金属等からなり、多数の電子放出素子15にできる
だけ均等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線
巾が設定される。また、層間絶縁層14は、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であ
り、X方向配線12を形成した絶縁性基板11の全面或
いは一部に所望の形状で形成され、特にX方向配線12
とY方向配線13の交差部の電位差に耐え得るように、
膜厚、材料、製法が適宜設定される。
【0046】また、X方向配線12には、X方向に配列
する電子放出素子15の行を任意に走査するための走査
信号を印加するための不図示の走査信号発生手段と電気
的に接続されている。一方、Y方向配線13には、Y方
向に配列する電子放出素子15の各列を任意に変調する
ための変調信号を印加するための不図示の変調信号発生
手段と電気的に接続されている。ここにおいて、各電子
放出素子15に印加される駆動電圧は、当該素子に印加
される走査信号と変調信号の差電圧として供給されてい
るものである。
【0047】ここで、電子源1の製造方法の一例につい
て図5により工程順に従って具体的に説明する。尚、以
下の工程a〜hは、図5の(a)〜(h)に対応する。
【0048】工程a:清浄化した青板ガラス上に厚さ
0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した絶
縁性基板11上に、真空蒸着により厚さ50オングスト
ロームのCr、厚さ6000オングストロームのAuを
順次積層した後、ホトレジスト(AZ1370 ヘキス
ト社製)をスピンナーにより回転塗布、べークした後、
ホトマスク像を露光、現像して、X方向配線12のレジ
ストパターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエ
ッチングして、所望の形状のX方向配線12を形成す
る。
【0049】工程b:次に、厚さ0.1μmのシリコン
酸化膜からなる層間絶縁層14をRFスパッタ法により
堆積する。
【0050】工程c:工程bで堆積したシリコン酸化膜
にコンタクトホール14aを形成するためのホトレジス
トパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁層14
をエッチングしてコンタクトホール14aを形成する。
エッチングはCF42 とガスを用いたRIE(Rea
ctive Ion Etching)法による。
【0051】工程d:その後、素子電極と素子電極間ギ
ャップとなるべきパターンをホトレジスト(RDー20
00Nー41 日立化成社製)で形成し、真空蒸着法に
より厚さ50オングストロームのTi、厚さ1000オ
ングストロームのNiを順次堆積した。ホトレジストパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフト
オフし、素子電極間隔L1(図3参照)が3μm、素子
電極幅W1(図3参照)が300μmである素子電極1
6、17を形成する。
【0052】工程e:素子電極16、17の上にY方向
配線13のホトレジストパターンを形成した後、厚さ5
0オングストロームのTi、厚さ5000オングストロ
ームのAuを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフに
より不要の部分を除去して、所望の形状のY方向配線1
3を形成する。
【0053】工程f:図6に示すような、素子電極間隔
L1だけ間をおいて位置する1対の素子電極16、17
を跨ぐような開口20aを有するマスク20を用い、膜
厚1000オングストロームのCr膜21を真空蒸着に
より堆積・パターニングし、その上に有機Pd(ccp
4230 奥野製薬(株)社製)をスピンナーにより回
転塗布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。
【0054】このようにして形成されたPdを主元素と
する微粒子からなる電子放出部形成用薄膜18の膜厚は
約100オングストローム、シート抵抗値は5×104
Ω/□であった。なお、ここで述べる微粒子膜とは、複
数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、
微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が
互いに隣接、あるいは、重なり合った状態(島状も含
む)の膜をさし、その粒径とは、前記状態で粒子形状が
認識可能な微粒子についての径をいう。
【0055】工程g:酸エンチャントによりCr膜21
を除去して、所望のパターン形状を有する電子放出部形
成用薄膜18を形成した。
【0056】工程h:コンタクトホール14a部分以外
にレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空蒸
着により厚さ50オングストロームのTi、厚さ500
0オングストロームのAuを順次堆積した。リフトオフ
により不要の部分を除去することにより、コンタクトホ
ール14aを埋め込んだ。
【0057】以上の工程を経て、X方向配線12、Y方
向配線13および電子放出素子15が絶縁性基板11上
に2次元状に等間隔に形成配置される。
【0058】その後、層間絶縁層14が露出している部
位、すなわちX方向配線12、Y方向配線13、素子電
極16、17、および電子放出部形成用薄膜18で覆わ
れていない部位の表面抵抗値が1×1011Ω/□程度に
なるように、イオンプレーティング法によりSnO2
(電位規定膜)をマスクパターニングして蒸着し、X方
向配線12、Y方向配線13、素子電極16、17、電
子放出部形成用薄膜18、および電位規定膜で電位規定
部9とした。電位規定膜の膜厚は1000オングストロ
ームとした。また、電位規定部9の大きさは、電子源1
とメタルバック8との間の距離d(図2参照)を5mm
としたとき、電子放出部23(図4参照)から放出され
る電子が後述する駆動条件の下では、電子源1の面に垂
直な方向に対して約1mmずれるという実験結果に基づ
き、最も外側の電子放出部23からX方向およびY方向
にそれぞれ11mmずつ大きく製作した。
【0059】このようにして作製された電子源1は、フ
リットガラスによりリアプレート2に固定されて外囲器
10の内部に収容され、外囲器10を、不図示の排気管
を通じて真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した
後、容器外端子Dox1ないしDoxmとDoy1ない
しDoynを通じ、電子放出素子15の素子電極16、
17間に電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜18を通
電処理(フォーミング処理)することにより電子放出部
形成用薄膜18が局所的に破壊して電子放出部形成用薄
膜18に電子放出部23(図4参照)が形成される。例
えば、フォーミング処理として、10-6Torrの真空
雰囲気下で、図7に示すようなパルス幅T1が1ミリ
秒、波高値(フォーミング時のピーク電圧)が5Vの三
角波を、10ミリ秒のパルス間隔T2 で60秒間、素子
電極16、17間に通電することにより、電子放出部形
成用薄膜18が局所的に破壊され、電子放出部形成用薄
膜18に電子放出部23を形成できる。
【0060】このようにして形成された電子放出部23
は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置さ
れた状態となり、その微粒子の平均粒径は30オングス
トロームであった。
【0061】(2)蛍光膜7 蛍光膜7は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成る
が、カラーの場合は、図8に示されるように蛍光体の配
列によりブラックストライプあるいはブラックマトリク
スなどと呼ばれる黒色導電材7bと蛍光体7aとで構成
される。蛍光体7aは電子放出素子15に対応して配置
する必要があるので、外囲器10を構成する場合、フェ
ースプレート3とリアプレート2との位置合わせを精度
よく行なわなければならない。ブラックストライプ、ブ
ラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場
合必要となる三原色蛍光体の、各蛍光体7a間の塗り分
け部を黒くすることで混色を目立たなくすることと、蛍
光膜7における外光反射によるコントラストの低下を抑
制することである。黒色導電材7bの材料としては、通
常よく用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでな
く、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料であ
れば適用できる。また、ガラス基板6に蛍光体7aを塗
布する方法はモノクローム、カラーによらず、沈殿法や
印刷法が用いられる。
【0062】(3)メタルバック8 メタルバック8の目的は、蛍光体7aの蛍光のうち内面
側への光をフェースプレート3側へ鏡面反射することに
より輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加す
るための加速電極として作用すること、外囲器10内で
発生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体7
aの保護等である。メタルバック8は、蛍光膜7を作製
後、蛍光膜7の内側表面の平滑化処理(通常フィルミン
グと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積
することで作製できる。フェースプレート3には、さら
に蛍光膜7の導電性を高めるため、蛍光膜7とガラス基
板6との間にITO等の透明電極(不図示)を設けても
よい。
【0063】(4)外囲器10 外囲器10は、不図示の排気管に通じ、10-6Torr
程度の真空度にされた後、封止される。そのため、外囲
器10を構成するリアプレート2、フェースプレート
3、支持枠4は、外囲器10に加わる大気圧に耐えて真
空雰囲気を維持でき、かつ、電子源1とメタルバック8
間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有するも
のを用いることが望ましい。その材料としては、例えば
石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、
青板ガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が挙げら
れる。ただし、フェースプレート3については可視光に
対して一定以上の透過率を有するものを用いる必要があ
る。また、各々の部材の熱膨張率が互いに近いものを組
み合わせることが好ましい。
【0064】また、フェースプレート3と支持枠4との
フリットガラスによる封着、およびリアプレート2と支
持枠4とのフリットガラスによる封着は、それぞれの接
合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰
囲気中で400〜500℃で10分以上焼成することで
行なった。
【0065】一方、リアプレート2は、主に電子源1の
強度を補強する目的で設けられるため、電子源1自体で
十分な強度をもつ場合にはリアプレート2は不要であ
り、電子源1に直接支持枠4を封着し、電子源1と支持
枠4とフェースプレート3とで外囲器10を構成しても
よい。
【0066】また、外囲器10の封止後の真空度を維持
するために、ゲッター処理を行う場合もある。これは、
外囲器10の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加
熱あるいは高周波加熱等により、外囲器10内の所定の
位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜
を形成する処理である。ゲッターは通常Baが主成分で
あり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10-5
〜1×10-7Torrの真空度を維持するものである。
【0067】次に、本参考例の動作について説明する。
【0068】各電子放出素子15に、容器外端子Dox
1ないしDoxmとDoy1ないしDoynを通じて電
圧を印加すると、電子放出部23から電子が放出され
る。それと同時にメタルバック8(あるいは不図示の透
明電極)に高圧端子HV を通じて5kVの高電圧を印加
して電子放出部23から放出された電子を加速し、フェ
ースプレート3の内面に衝突させる。これにより、蛍光
膜7の蛍光体7a(図8参照)が励起されて発光し、画
像が表示される。
【0069】ところで、電子放出素子15から放出され
た電子は、電子源1の面と平行な方向、具体的には電子
放出素子15の各素子電極16、17(図3参照)の正
極側の方向に初速度を持っている。そのため、電子放出
素子15から放出された電子は、加速されることによっ
て放物線軌道を描いて飛翔し、メタルバック8上におい
て、電子放出部23から延ばした電子源1の面との垂線
に対して約1mmずれた位置に衝突する。
【0070】上述したように電子放出部23から放出さ
れたがフェースプレート3の内面に衝突することにより
蛍光体7aが発光するが、この発光現象以外に、蛍光膜
7やメタルバック8に付着した粒子が電離・散乱される
現象が生じる。この散乱粒子のうち、正イオンはメタル
バック8に印加される電圧により電子源1側に向かって
加速され、電界に対して垂直方向の初速度に応じて放物
線軌道をとって飛翔する。
【0071】ここで、電子源1とメタルバック8との間
の電位差をVa、正イオンの水平方向の初期運動エネル
ギーの最大値をeVi(エレクトロンボルト;eは単位
電荷量)とすると、メタルバック8の表面に発生した正
イオンが距離dだけ離れた電子源1に到達するまでに電
子源1の面に平行な方向への移動距離ΔSは、正イオン
の垂直方向への初速度を0としたとき、 ΔS=2d×√(eVi/Va)…(1) で表わされる。なお、本参考例では、メタルバック8と
蛍光体7とをあわせた厚さは約50μm以下であるの
で、電子源1とメタルバック8との距離dを、絶縁性基
板11とガラス基板6との距離としても実用上は差し支
えない。
【0072】仮に、メタルバック8の表面で発生した正
イオンが、メタルバック8に印加された電圧によるエネ
ルギーの全てを受けて電子源1の面と水平な方向に飛び
出したとすると、この正イオンが電子源1に到達するま
での移動距離ΔSは、(1)式においてViにVaを代
入し、2dとなる。すなわち、メタルバック8の、実際
に電子が衝突する位置から電子源1の面に対する垂線を
延ばし、電子源1の内面上において、この垂線の電子源
1との交点を中心とする半径2dの範囲内が、メタルバ
ック8の表面で発生した正イオンが到達する可能性のあ
る部位である。これを角度で表わすと、正イオンが到達
する可能性のある範囲は、 tanθ≦2d/d=2 …(2) を満たす範囲ということになる。
【0073】したがって、少なくとも(2)式を満たす
範囲内を電位規定しておけば、メタルバック8の表面で
発生した正イオンの飛翔方向に電位不定面が存在せず、
電子源1が帯電することがなくなる。本実施例では、上
述したように電位規定部9を設けているので、この電位
規定部9は(2)式を満たしている。もちろん、電位規
定部9の大きさを上述した範囲よりも大きくしても、
(2)式を満たす範囲内が電位規定されていることにな
るので差し支えない。
【0074】また、電位規定部9を構成する電位規定膜
の抵抗値は比較的高いが、電位規定部9全体に対する電
位規定膜の面積の比率は30%以内であり、他の部分は
金属からなる電極等、抵抗値が十分に低い導電材で覆わ
れているため、電位を規定するには十分である。すなわ
ち電位規定部9は、その全てが抵抗値が低い導電材で構
成される必要はなく、抵抗値が低いものと高いものとを
組み合せて構成してもよい。この場合、電位規定部9の
面積のうち50%以上を表面抵抗値が1×10 5 Ω/□
以下の導電材で構成し、残りの部分を表面抵抗値が1×
1012Ω/□以下の導電材で構成することが好ましい。
【0075】以上説明したように電子源1上に電位規定
部9を設けることで、フェースプレート3の内面の帯電
が発生しなくなるので、電子放出素子15から放出され
た電子の軌道が安定し、位置ずれのない良好な画像が得
られた。また、放電等が引き起こされる確率も極めて低
くなり、信頼性の高い画像形成装置が得られた。
【0076】通常、電子放出素子15の対の素子電極1
6、17間の印加電圧は12〜16V程度、メタルバッ
ク8と電子源1との距離dは2mm〜8mm程度、メタ
ルバック8の印加電圧Vaは1kV〜10kV程度であ
る。本実施例では、対の素子電極16、17間の印加電
圧は14V、メタルバック8と電子源1との距離は上述
したように5mm、メタルバック8の印加電圧Vaは5
kVとした。
【0077】(第2参考例)図9は、本発明の画像形成
装置の第2参考例の一部を破断した斜視図である。本
考例では、電子源51の表面に電位規定膜を形成する代
りに、電子源51上に、厚さが約100μmの絶縁支持
柱(不図示)を介して金属導電板55が配置されている
点が第1参考例のものと異なる。
【0078】金属導電板55は、厚さが約100μmの
金属板であり、電子源51に設けられた複数の電子放出
素子(不図示)から放出された電子が通過可能な電子通
過孔55aが、各電子放出素子に対応して形成されてい
る。また、フェースプレート53のメタルバック58と
金属導電板55との間の距離は5mmとし、金属導電板
55の大きさを、最も外側の電子放出素子の電子放出部
からX方向およびY方向にそれぞれ11mmずつ大きく
製作した。金属導電板55には、外部電源(不図示)に
より、電子放出素子からフェースプレート53の内面へ
の電子の衝突を妨げないような適当な電圧が印加され、
この金属導電板55と電子源上の電子放出素子の電極と
で電位規定部が構成されている。その他の構成および駆
動条件については第1参考例と同様なので、その説明は
省略する。
【0079】このように、電子源51から離間した位置
に金属導電板55を配置し、この金属導電板55で電位
規定部の一部を構成しても、第1参考例と同様の効果を
得ることができる。
【0080】(実施例)図10は、本発明の画像形成装
置の実施例の概略断面図である。
【0081】本実施例では、電子源の101外周に、フ
ェースプレート103に向かって延びる壁状電極105
を設け、この壁状電極105と、電子源101上に形成
された電位規定膜(不図示)とで、前述した(2)式を
満たす範囲が電気規定されている点が第1参考例のもの
と異なる。
【0082】壁状電極105は電子放出素子115の素
子電極または電子源101の電位規定膜と電気的に接続
されて電位が規定されている。また、壁状電極105の
材料は、導電材であれば特に限定されないが、本実施例
では厚さが100μmの426合金を用い、フリットガ
ラスにより固定した。その他の構成および駆動条件につ
いては第1参考例と同様なので、その説明は省略する。
【0083】このように壁状電極105を設けることで
も、電子放出素子115から放出された電子がメタルバ
ック108に衝突することによりメタルバック108で
発生する正イオンの到達可能な範囲が電位規定され、電
子源101が帯電しなくなるので、第1参考例と同様に
電子放出素子115から放出される電子の軌道が安定
し、良好な画像が形成できる。また本実施例では、電子
源101の大きさを第1実施例のものに比較して小さく
しても、前述した(2)式を満たす範囲のうち電子源1
01の大きさを越える範囲については壁状電極105で
電位規定されるので、電子源101の大きさを小さくで
きる。その結果、同じ画面の大きさでより小さな画像形
成装置を構成することができるようになる。
【0084】以上の実施例においては、本発明の画像形
成装置を画像表示装置に応用した例で示したが、本発明
はこの範囲に限られるものではなく、光プリンタの画像
形成用発光ユニットとして用いるなど、記録装置への応
用も可能である。この場合、通常の形態としては1次元
的に配列された画像形成ユニットを用いることが多い
が、上述のm本の行方向配線とn本の列方向配線を、適
宜選択することで、ライン状発光源だけでなく、2次元
状の発光源としても応用できる。
【0085】また、電子被照射体は特定せず、マルチの
平面電子源をなす電子線発生装置としての応用も可能で
ある。
【0086】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。
【0087】本発明の電子線発生装置は、電子被照射部
材の、電子放出素子から放出された電子が照射される位
置から見て、電子被照射部材の面に垂直な方向に対する
角度をθとしたとき、tanθ≦2を満たす範囲内は電
位規定部により電位が規定されているので、電子放出素
子から放出された電子が電子被照射部材に照射されるこ
とにより発生する正イオンの電子源への帯電を防止する
ことができる。その結果、電子放出素子から放出される
電子の軌道を安定させることができる。
【0088】このとき、電位規定部全体を抵抗値が低い
導電体で構成することが不可能な場合であっても、電位
規定部の全表面積に対して、50%以上の面積について
は表面抵抗が1×105 Ω/□以下の導電体で構成し、
残りの面積については表面抵抗が1×1012Ω/□以下
の導電体で構成すれば、電子源の帯電を十分に防止する
ことができる。
【0089】
【0090】さらに、電子源の外周に、電子被照射部材
へ向かって延びる壁状電極が形成され、この壁状電極で
電位規定部の一部を構成することで電子源の大きさを小
さくすることができ、同じ電子被照射部材の大きさでよ
り小さな電子線発生装置を構成することができる。
【0091】電子放出素子として冷陰極型電子放出素子
を用いることで、省電力で応答速度が速く、しかも大型
の電子線発生装置を構成することができる。その中でも
特に表面伝導型電子放出素子は、素子構造が簡単で、か
つ複数の素子を容易に配置することができるので、表面
伝導型電子放出素子を用いることによって、構造が簡単
で、しかも大型の電子線発生装置が達成できる。
【0092】さらに、複数個の表面伝導型電子放出素子
を2次元のマトリクス状に配置し、複数本の行方向配線
と複数本の列方向配線とによってそれぞれを結線するこ
とで、行方向と列方向に適当な駆動信号を与えること
で、多数の表面伝導型電子放出素子を選択し電子放出量
を制御し得るので、基本的には他の制御電極を付加する
必要がなく、電子源を1枚の基板上で容易に構成でき
る。
【0093】本発明の画像形成装置は、本発明の電子線
発生装置を用いているので上述したように電子の軌道が
安定し、発光位置ずれのない良好な画像を形成すること
ができるようになる。特に、電子放出素子として表面伝
導型電子放出素子を用いることで、構造が簡単で、か
つ、大画面の画像形成装置が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の第1参考例の一部を破
断した斜視図である。
【図2】図1に示した画像形成装置をY方向から見た断
面を模式的に示した図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の電子源の要部平面
図である。
【図4】図3に示した電子源のA−A’線断面図であ
る。
【図5】図1に示した画像形成装置の電子源の製造工程
を順に示した図である。
【図6】電子放出部形成用薄膜を形成する際に用いられ
るマスクの一例の平面図である。
【図7】フォーミング処理に用いられる電圧波形の一例
を示す図である。
【図8】蛍光膜の構成を説明するための図である。
【図9】本発明の画像形成装置の第2参考例の一部を破
断した斜視図である。
【図10】本発明の画像形成装置の実施例の概略断面図
である。
【図11】熱電子源を用いた従来の画像形成装置の概略
構成図である。
【図12】電界放出型の電子源を用いた従来の画像形成
装置を一部拡大して示した概略構成図である。
【図13】表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成
を示す図である。
【符号の説明】
1、51、101 電子源 2 リアプレート 3、53、103 フェースプレート 4 支持枠 6 ガラス基板 7 蛍光膜 7a 蛍光体 8、58、108 メタルバック 9 電位規定部 10 外囲器 11 絶縁性基板 12 X方向配線 13 Y方向配線 14 層間絶縁層 14a コンタクトホール 15、115 電子放出素子 16、17 素子電極 18 電子放出部形成用薄膜 20 マスク 20a 開口 21 Cr膜 23 電子放出部 55 金属導電板 55a 電子通過孔 105 壁状電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−298624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 31/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子が設けられた電子源と、前
    記電子放出素子から放出された電子を照射させるために
    前記電子源に真空雰囲気中で対向配置され、前記電子放
    出素子から放出された電子を加速するための加速電極を
    備えた電子被照射部材とを有する電子線発生装置におい
    て、 前記電子被照射部材の前記電子放出素子から放出された
    電子が照射される位置から見て、前記電子被照射部材の
    面に垂直な方向に対する角度をθとしたとき、tanθ
    ≦2を満たす範囲内に、電位が規定されている電位規定
    部が存在し、 前記電子源の表面に電位規定膜が形成されるとともに、
    前記電子源の外周に、前記電子被照射部材へ向かって延
    びる壁状電極が形成され、前記電子放出素子およびその
    電気配線と、前記電位規定膜と、前記壁状電極とで前記
    電位規定部が構成される ことを特徴とする電子線発生装
    置。
  2. 【請求項2】 前記電位規定部は、その全表面積に対し
    て、50%以上の面積については表面抵抗が1×105
    Ω/□以下の導電体で構成され、残りの面積については
    表面抵抗が1×1012Ω/□以下の導電体で構成されて
    いる請求項1に記載の電子線発生装置。
  3. 【請求項3】 前記電子被照射部材から前記電位規定部
    までの距離をdとしたとき、前記電位規定部の、前記電
    子が照射される位置と対向する位置から、前記電子源の
    面と平行ないずれの方向にも少なくとも2dの範囲内に
    前記電位規定部が存在している請求項1または2に記載
    の電子線発生装置。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子は、冷陰極型電子放出
    素子である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電
    子線発生装置。
  5. 【請求項5】 前記冷陰極型電子放出素子は表面伝導型
    電子放出素子である請求項4に記載の電子線発生装置。
  6. 【請求項6】 前記表面伝導型電子放出素子が2次元の
    マトリクス状に複数個配置され、前記各表面伝導型電子
    放出素子は、複数本の行方向配線と複数本の列方向配線
    とによって、それぞれ結線されている請求項5に記載の
    電子線発生装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の電子線発生装置を用いた画像形成装置であって、前記
    電子被照射部材に代えて、前記電子源に対向配置され、
    前記電子放出素子から放出された電子が衝突することに
    より発光する蛍光体および前記電子放出素子から放出さ
    れた電子を加速するための加速電極を備えた画像形成部
    材とした画像形成装置。
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