JP3303985B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3303985B2
JP3303985B2 JP11554292A JP11554292A JP3303985B2 JP 3303985 B2 JP3303985 B2 JP 3303985B2 JP 11554292 A JP11554292 A JP 11554292A JP 11554292 A JP11554292 A JP 11554292A JP 3303985 B2 JP3303985 B2 JP 3303985B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐薬品性と制振性を著
しく改良した熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂はその優れた物性、外観、成
形加工性により、自動車の軽量化、電気・電子機器の外
観及び加工性の要求にマッチし、それらの分野で多く採
用されている。しかし、耐薬品性に関して十分でないた
め、ソルベントクラックによるクラック、割れが発生す
ることがある。また、大気オゾン対策としての代替フロ
ンに侵されるため改良が望まれている。
【0003】近年、自動車等交通機関の発達に伴い、こ
れに起因する騒音、振動が大きな社会問題となって来
た。また自動車内部にも低振動・低騒音が要求されてい
る。一般家庭でも複写機、プリンター等の事務機器が広
く使用されるようになり、これらの機器の発生する騒
音、振動の低減が重要な課題となっている。また、家庭
用電気製品の大型化から、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の
振動を伴う機器の低振動、低騒音化も重要な性能の一つ
となっている。このような要求に対して通常のABS樹
脂では適応できないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のAB
S樹脂では達し得なかった耐薬品性の改良と制振性の優
れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ビニル
芳香族化合物重合体ブロック(A)と共役ジエン重合体も
しくはビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共
重合体ブロック(B)とからなる(A)−(B)ブロック共重合
体、又はさらに必要に応じてビニル芳香族化合物と共役
ジエンのうちビニル芳香族化合物が漸増するテーパーブ
ロック(C)とからなる(A)−(B)−(C)ブロック共重合体も
しくはビニル芳香族重合体ブロック(A)からなる(A)−
(B)−(A)ブロック共重合体であって、ビニル芳香族化
合物/共役ジエンの割合が重量比で5〜60/95〜40、 (A)成分および必要に応じて構成される(C)成分中のビ
ニル芳香族化合物の結合含有量が全モノマーの3〜50重
量%、かつ(A)成分中のビニル芳香族化合物の結合含量が
少なくとも3重量%、 (B)成分中の共役ジエン部分のビニル結合含量が70%以
上のブロック共重合体を水素添加し、共役ジエン部分の
二重結合の少なくとも80%が飽和されており、数平均分
子量が5〜60万である水添ジエン系共重合体(a)の存在下
に、シアン化ビニル化合物5〜60重量%、芳香族ビニル化
合物5〜95重量%およびこれらと共重合可能な単量体化合
物0〜90重量%をグラフト共重合してなる熱可塑性樹脂5
〜95重量%と、 (b)ポリオレフィン5〜95重量%と、 (c)シアン化ビニル−芳香族ビニル共重合体および/ま
たはポリアミド0〜90重量%を混合してなることを特徴と
する熱可塑性樹脂組成物にある。
【0006】以下に本発明をさらに詳しく説明する。本
発明の水添ジエン系共重合体(a)に用いられるビニル
芳香族化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジ
エチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル
−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙
げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好まし
い。また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジ
エン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,
3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエ
ン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用で
き、また物性の優れた水添ジエン系共重合体を得るに
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンが好ましく、より好ましくは1,3−ブタジエン
である。
【0007】本発明の水添ジエン系共重合体(a)は、
ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A)と、共役ジエ
ン重合体もしくはビニル芳香族化合物と共役ジエンとの
ランダム共重合体ブロック(B)とからなる(A)−
(B)ブロック共重合体、または、さらに必要に応じて
ビニル芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル芳香族化
合物が漸増するテーパーブロック(C)とからなる
(A)−(B)−(C)ブロック共重合体もしくはビニ
ル芳香族重合体ブロック(A)からなる(A)−(B)
−(A)ブロック共重合体からなるが、まず全モノマー
中のビニル芳香族化合物/共役ジエンの割合が重量比で
5〜60/95〜40、好ましくは7〜40/93〜6
0であることが必要である。ビニル芳香族化合物の含有
量が5重量%未満では、この水添ジエン系重合体をグラ
フト重合した熱可塑性樹脂と、ポリオレフィン、シアン
化ビニル−芳香族共重合体(以下、AS樹脂という)と
の混和が均一におこなわれず、耐衝撃性が低下する。一
方、ビニル芳香族化合物の含有量が60%を超える場
合、熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性が不足する。
【0008】また、ビニル芳香族化合物重合体ブロック
(A)と必要に応じて構成されるテーパーブロック
(C)中のビニル芳香族化合物の結合含量は全モノマー
の3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらに
好ましくは5〜25重量%、かつ(A)成分中のビニル
芳香族化合物の結合含量が少なくとも3重量%、好まし
くは3〜20重量%である。
【0009】(A)成分あるいは(A)成分と(C)成
分のビニル芳香族化合物の結合含量が、全モノマーの3
重量%未満では、得られる水添ジエン系共重合体を用い
てグラフト重合した熱可塑性樹脂とポリオレフィン、A
S樹脂とのブレンドが均一に行われなく成形外観に劣る
ものとなる。一方(A)成分あるいは(A)成分と
(C)成分のビニル芳香族化合物の結合含量が50重量
%を超えると、上記熱可塑性樹脂、ポリオレフィン、A
S樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低い。
【0010】さらに、共役ジエン重合体もしくはビニル
芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロッ
ク(B)中の共役ジエン部分のビニル結合量は70%
以上、さらに好ましくは80%以上である。このビニル
結合含有量が60%以下では熱可塑性樹脂組成物の制振
性が低い。
【0011】なお、ここでいうビニル結合とは、共役ジ
エン化合物が1,2−もしくは3,4−結合位の二重結
合で重合したモノマーユニットを示す。さらに、本発明
の水添ジエン系共重合体(a)は、ブロック(B)の共
役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%、好ましく
は90%以上、さらに好ましくは95〜100%が水添
されて飽和されていることが必要であり、80%未満で
は熱安定性に劣るものとなる。
【0012】さらに、本発明の水添ジエン系共重合体
(a)は、ポリスチレン換算数平均分子量が好ましくは
5万〜60万、さらに好ましくは8万〜50万であり、
この範囲を外れると他の樹脂とブレンドした組成物にお
いて、十分な改質効果が得られない。例えば、数平均分
子量が5万未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐
衝撃性が低下し、一方60万を超えると、流動性、加工
性が低下し表面外観の低下などを招来することになる。
【0013】本発明の水添ジエン系共重合体(a)は、
ブロック(A)、ブロック(B)、さらに必要に応じて
テーパーブロック(C)もしくはブロック(A)を、有
機溶媒中で有機アルカリ金属化合物を開始剤としてリビ
ングアニオン重合し、ブロック共重合体を得たのち、こ
のブロック共重合体に水素添加を行って得られる。
【0014】前記有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シク
ロヘキサン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が
用いられる。重合開始剤である有機アルカリ金属化合物
としては、有機リチウム化合物が好ましい。この有機リ
チウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機
ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が用いられ
る。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プ
ロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリ
チウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウ
ム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウ
ム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられ、単量体1
00重量部当たり0.02〜0.2重量部の量で用いら
れる。
【0015】また、この際、ミクロ構造、すなわち共役
ジエン部分のビニル結合含量の調節剤としてルイス塩
基、例えばエーテル、アミンなど、具体的にはジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、ブ
チルエーテル、高級エーテル、またエチレングリコール
ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエ
チレングリコールジメチルエーテルなどのポリエチレン
グリコールのエーテル誘導体、アミンとしてハテトラメ
チルエチレンジアミン、ピリジン、トリブチルアミンな
どの第3級アミンなどが挙げられ、前記有機溶媒ととも
に用いられる。
【0016】さらに、重合反応は、通常、−30℃〜1
50℃で実施される。また、重合は、一定温度にコント
ロールして実施しても、また熱除去をしないで上昇温度
下にて実施してもよい。ブロック共重合体にする方法
は、いかなる方法でもよいが、一般に前記有機溶媒中
で、前記アルカリ金属化合物などの重合開始剤を用い
て、まずブロック(A)またはブロック(B)を重合
し、続いてブロック(B)またはブロック(A)を重合
する。ブロック(A)あるいはブロック(B)のどちら
を先に重合するかは限定されない。
【0017】また、ブロック(A)とブロック(B)と
の境界は、必ずしも明瞭に区別される必要はない。ま
た、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体、あるい
は(A)−(B)−(A)ブロック共重合体を得るに
は、有機溶媒中で有機リチウム開始剤を用いて芳香族ビ
ニル化合物を添加してブロック(A)を重合し、次に共
役ジエンもしくは共役ジエンと芳香族ビニル化合物とを
添加してブロック(B)を作り、さらに共役ジエンと芳
香族ビニル化合物あるいは芳香族ビニル化合物を添加す
ることによりテーパーブロック(C)またはブロック
(A)を重合すればよい。この場合、まずテーパーブロ
ック(C)、あるいはブロック(A)を最初に重合し、
次いでブロック(B)、さらにブロック(A)を重合す
る方法でもよい。
【0018】このようにして得られる(A)−(B)ブ
ロック共重合体、(A)−(B)−(C)ブロック共重
合体、あるいは(A)−(B)−(A)ブロック共重合
体は、カップリング剤を添加することにより下記一般式
で表されるような、重合体分子鎖が延長または分岐され
たブロック共重合体であってもよい。 〔(A)−(B)〕n−X、 〔(A)−(B)−(C)〕n−X、または 〔(A)−(B)−(A)〕n−X (式中、(A)、(B)、(C)は前記に同じ、nは2
〜4の整数、Xはカップリング剤残基を示す。) この際のカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジ
エチル、ジビニルベンゼン、テトラクロロケイ素、ブチ
ルトリクロロケイ素、テトラクロロスズ、ブチルトリク
ロロスズ、ジメチルクロロケイ素、テトラクロロゲルマ
ニウム、1,2−ジブロムエタン、1,4−クロルメチ
ルベンゼン、ビス(トリクロルシリル)エタン、エポキ
シ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4
−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。この
ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物の結合含量
は、各段階における重合時のモノマーの供給量で調節さ
れ、共役ジエンのビニル結合含量は、前記ミクロ調整剤
の成分を変量することにより調節される。さらに、数平
均分子量は、重合開始剤、例えばn−ブチルリチウムの
添加量で調節される。
【0019】本発明の水添ジエン系共重合体(a)は、
このようにして得られるブロック共重合体を、不活性溶
媒中に溶解し、20〜150℃、1〜100kg/cm
2 の加圧水素下で水素化触媒の存在下で行われる。
【0020】水素化に使用される不活性溶媒としては、
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トル
エン、エチルベンゼンなどの炭化水素溶媒、またはメチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどの極性溶媒が挙げられる。
【0021】また、水素化触媒としては、ジシクロペン
タジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、
有機カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III 族の有機
金属化合物からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケ
イソウ土などで担持されたニッケル、白金、パラジウ
ム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバル
ト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体、あるいはリ
チウムアルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、さらにはZr−Ti−Fe−V−Cr
合金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaN
5 合金などの水素貯蔵合金などが挙げられる。
【0022】本発明の水添ジエン系共重合体(a)のブ
ロック(B)の共役ジエン部分の二重結合の水添率は、
水素化触媒、水素化化合物の添加量、または水素添加反
応時における水素圧力、反応時間を変えることにより調
節される。水素化されたブロック共重合体溶液からは、
触媒の残渣を除去し、フェノール系またはアミン系の老
化防止剤を添加し、重合体溶液から水添ジエン系共重合
体を容易に単離することができる。
【0023】水添ジエン系共重合体の単離は、例えば共
重合体溶液に、アセトンまたはアルコールなどを加えて
沈澱させる方法、重合体溶液を熱湯中に攪拌下、投入し
溶媒を蒸留除去する方法などで行うことができる。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂は、前記水添ジエン
系共重合体(a)の存在下にシアン化ビニル単量体、芳
香族ビニル単量体、及びこれらと共重合可能な単量体化
合物をラジカル重合する各種重合方法が知られており、
例えば乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などを採用
することができる。本発明において用いる上記単量体は
芳香族ビニル化合物単量体、シアン化ビニル化合物単量
体、およびこれらと共重合可能な単量体化合物である。
【0025】シアン化ビニル化合物としてはアクリロニ
トリル、メタクリロニトリルであり2種以上併用しても
よい。芳香族ビニル化合物単量体としては、スチレン、
α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレ
ン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロ
ムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p
−タ−シャリーブチルスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどがあり、これらは1種または2種以上
で使用される。好ましい芳香族ビニル化合物単量体は、
スチレンまたは芳香族ビニル化合物中にスチレンを50
重量%以上含んだものである。
【0026】共重合可能な単量体化合物としては、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、プロピレンアク
リレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレー
ト、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなど
のアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘ
キシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタ
クリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタク
リレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不
飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和
酸など、また、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸の
イミド化合物などが挙げられ、これらは、本発明の目的
とする熱可塑性樹脂に支障のない範囲で、1種または2
種以上で使用される。
【0027】シアン化ビニル化合物の配合量は5〜60
重量%であり、好ましくは10〜50重量%である。5
重量%未満では耐衝撃性が低くなり、60重量%を超え
ると熱安定性が低下する。
【0028】芳香族ビニル化合物としては5〜95重量
%であり、好ましくは10〜85重量%である。5重量
%未満では熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、ポ
リオレフィン、AS樹脂と混和しにくくなり、熱可塑性
樹脂組成物の物性が低下する。
【0029】上記の製造方法で得られる熱可塑性樹脂
は、メチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(30
℃で測定)が好ましくは0.2dl/g以上、さらに好
ましくは0.25〜1.5、特に好ましくは0.3〜
1.2のものである。また、本発明の熱可塑性樹脂のグ
ラフト率は、好ましくは20〜90%の範囲のものであ
り、さらに好ましくは25〜85%、特に好ましくは3
0〜80%のものである。グラフト率20%以下の場
合、特開昭51−9183号に示されている如く、実質
的にグラフトしていなくとも、衝撃強度は十分である
が、耐灯油性、耐ガソリン性などの耐溶剤性が著しく低
下し、成形外観も悪くなる。
【0030】熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の割
合は5〜95重量%、好ましくは10〜85重量%、さ
らに好ましくは10〜75重量%である。5重量%未満
では相溶性が悪く、耐衝撃性が低い。95重量%を超え
ると剛性が低くなる。次に本発明のポリオレフィン
(b)はエチレン、プロプレン、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−
ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1
−ペンテンなどのα−オレフィンモノマーを単独で重合
させ、あるいはこれらのα−オレフィンモノマーを共重
合させることにより得られるポリオレフィンである。こ
れらのポリオレフィンのうちポリプロピレンが好まし
い。ポリプロピレンとしては、アイソタクチック−ポリ
プロピレンのホモポリマーエチレンとのブロック共重合
体やランダム共重合体などを挙げることができる。上記
ポリオレフィンとしては通常の製法によって合成、重合
したものを用いることができる。熱可塑性樹脂組成物中
のポリオレフィンの含有量としては5〜95重量%であ
り、好ましくは10〜80重量%である。5重量%未満
では耐薬品性、制振性が悪くなる。95重量%を超える
と剛性が低くなる。
【0031】本発明のシアン化ビニル−芳香族ビニル共
重合体(c)は例えばAS樹脂として市販されている。
分子量は好ましくは50,000〜350,000の範
囲のものである。ここでのシアン化ビニル化合物ならび
に芳香族ビニル化合物は上記に示したものが挙げられ
る。
【0032】本発明に有用なポリアミド樹脂は、通常、
【式1】 (式中、Xは3〜12の整数である。)で表わされる線
状ジアミンと、式
【式2】 (式中、yは2〜12の整数である。)で表わされる線
状ジカルボン酸との縮合によって製造されたもの、若し
くはラクタムの開環重合によって製造されたものを使用
することができる。これらのポリアミド樹脂の好ましい
例としては、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイ
ロン6,12、ナイロン4,6、ナイロン3,4、ナイ
ロン6,9、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン1
1、ナイロン4などがある。またナイロン6/6,1
0、ナイロン6/6,12、ナイロン6/4,6、ナイ
ロン6/12、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,
6,/6,10、ナイロン6/4,6/6,6、ナイロ
ン6/6,6/6,12、ナイロン6/4,6/10、
ナイロン6/4,6/12などの共重合体ポリアミド類
を挙げることができる。さらにナイロン6/6,T
(T:テレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とメタキシリレンジアミン
または脂環族ジアミンとにより得られる半芳香族ポリア
ミド樹脂、メタキシリレンジアミンと上記線状ジカルボ
ン酸とにより得られるポリアミド樹脂、ポリエステルア
ミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂およびポリエステル
エーテルアミド樹脂などを挙げることができる。
【0033】熱可塑性樹脂組成物中のシアン化ビニル−
芳香族ビニル共重合体(c)の含有量は0〜90重量%
であり、好ましくは5〜80重量%さらに好ましくは1
0〜70重量%である。90重量%を超えると耐薬品性
が悪くなる。また熱可塑性樹脂組成物中のポリアミド
(c)の含有量は、0〜90重量%であり、好ましくは
15〜80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%
である。90重量%をこえると制振性が劣る。かくして
得られる熱可塑性樹脂組成物は、耐薬品性、耐衝撃性、
制振性が優れており、これらの特性を生かした種々の用
途に広く利用することができる。なお、本発明の熱可塑
性樹脂組成物に対し、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑
剤、着色剤、難燃剤、増強剤などの通常用いられる添加
剤、充填剤を添加することができる。
【0034】
【実施例】
(水添ジエン系共重合体の製造)内容積10リットルの
オートクレーブに、脱気・脱水したシクロヘキサン5,
000g、1,3−ブタジエン950gを仕込み、テト
ラヒドロフラン200g、n−ブチルリチウム0.3g
を加えて、10℃からの断熱重合を行った。45分後に
スチレン50gを加え、さらに重合を行った。次いで反
応液を70℃にし、n−ブチルリチウム1.5gと2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1.5gを加え、
さらにビス(シクロペンジエニル)チタニウムジクロラ
イド0.5g、ジエチルアルミニウムクロライド2gを
加え、水素圧10kg/cm2 で1時間水添した。
【0035】反応液を常温、常圧に戻してオートクレー
プより抜き出し、水中に攪拌投入したのち、溶媒を水蒸
気蒸留で除去することによって、水添ポリマーを得た。
得られた水添ポリマーの水素添加率は98%、数平均分
子量は295,000、230℃、12.5kgの荷重
で測定したメルトフローレートは2.0g/10分であ
った。また、水添前のポリマーのブタジエン部分のビニ
ル結合含量は、81%であった。同様な方法で重合した
ものを表1に示す。
【表1】
【0036】(グラフト共重合) リポン型攪拌翼を備えた内容積10リットルのステンレ
ス製オートクレーブに、予め均一溶液にした水添ジエン
系共重合体(Q−1)を30重量部、アクリロニトリル
17重量部、スチレン53重量部、トルエン120重量
部およびターシャリードデシルメルカプタン0.1重量
部を仕込み、攪拌しながら昇温し、50℃にてベンゾイ
ルパーオキサイド0.5重量部、ジクミルパーオキサイ
ド0.1重量部を添加し、さらに昇温し、80℃に達し
たのちは80℃で一定に制御しながら攪拌回転数200
rpmにて重合反応を行わせた。反応開始後6時間目か
ら1時間かけて120℃まで昇温し、さらに2時間反応
を行って終了した。重合転化率は97%であった。10
0℃まで冷却後、2,2−メチレンビス−4−メチル−
6−t−プチルフェノール0.2重量部を添加したの
ち、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気
蒸留により未反応物と溶媒を留去し、細かく粉砕したの
ち、40mmφベント付押出機(220℃、700mm
Hg真空)にて実質的に揮発分を留去するとともに、重
合体をペレット化した。同様な方法でグラフト重合した
ものを表2に示す。 (ポリオレフィン) ポリプロピレン「J 5010B」(東リ社製)(A−
1) ポリエチレン「ペトロセン」(ユニオンポリマー製)
(A−2) (アクリロニトリル−スチレン共重合体:AS樹脂) AN含有% 23.5% 分子量 17,500
【表2ー1】
【0037】(物性測定) 耐衝撃性:IZOd.Imp(ASTM D256,試験
片1/8″ノッチ付) 剛 性:曲げ弾性率(ASTM D790、試験片3
/2″×1/8″×5″) 損失係数:試験片(2mmの厚)を用いて共振法にて測
定 耐薬品性:試験片(1/8″×1/2″×5″)に定歪
1%をかけた状態でフロンR1416に浸漬し、24時
間後の割れを判定する。 ○:ワレなし、 ×ワレる
【0038】実施例1〜5、比較例1〜3 (a)成分として表2−1のp−2、(b)成分として
ポリプロピレン(A−1)及び、ポリエチレン(A−
2)、(c)成分としてAS樹脂を用い、これらを表3
−1の如く変量させて混合し、50mm押出機を用いて
230℃でペレットを作成した。物性測定結果を表3−
1に示す。
【表2−2】
【表3−1】
【0039】実施例6〜15、比較例4〜9 (a)成分として表2−1のp−1,p−3〜p−7,
p−9およびp−10を70重量部、(b)成分として
ポリプロピレン(A−1)20重量部、(c)成分とし
てAS樹脂10重量部を混練した。物性測定結果を〔表
3−2〕に示す。
【表3ー2】
【0040】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は従来のA
BS樹脂では得ることのできなかった耐薬品性が改良さ
れ、制振性能に優れ、自動車用部品、電気、電子用部
品、OA機器用部品として有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−265649(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 - 53/02 C08L 23/02 - 23/24 C08L 25/12 C08L 77/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A)と
    共役ジエン重合体もしくはビニル芳香族化合物と共役ジ
    エンとのランダム共重合体ブロック(B)とからなる(A)−
    (B)ブロック共重合体、または、さらに必要に応じてビ
    ニル芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル芳香族化合
    物が漸増するテーパーブロック(C)とからなる(A)−(B)
    −(C)ブロック共重合体もしくはビニル芳香族重合体ブ
    ロック(A)からなる(A)−(B)−(A)ブロック共重合体であ
    って、 ビニル芳香族化合物/共役ジエンの割合が重量比で5〜
    60/95〜40、 (A)成分および必要に応じて構成される(C)成分中のビ
    ニル芳香族化合物の結合含有量が全モノマーの3〜50重
    量%、かつ(A)成分中のビニル芳香族化合物の結合含量が
    少なくとも3重量%、 (B)成分中の共役ジエン部分のビニル結合含量が70%以
    上のブロック共重合体を水素添加し、共役ジエン部分の
    二重結合の少なくとも80%が飽和されており、数平均分
    子量が5〜60万である水添ジエン系共重合体(a)の存在下
    に、シアン化ビニル化合物5〜60重量%、芳香族ビニル化
    合物5〜95重量%およびこれらと共重合可能な単量体化合
    物0〜90重量%をグラフト共重合してなる熱可塑性樹脂5
    〜95重量%と、 (b)ポリオレフィン5〜95重量%と、 (c)シアン化ビニル−芳香族ビニル共重合体および/また
    はポリアミド0〜90重量%を混合してなることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。
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