JP3301251B2 - 電子ビーム処理方法および電子ビーム処理装置 - Google Patents

電子ビーム処理方法および電子ビーム処理装置

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JP3301251B2
JP3301251B2 JP02266495A JP2266495A JP3301251B2 JP 3301251 B2 JP3301251 B2 JP 3301251B2 JP 02266495 A JP02266495 A JP 02266495A JP 2266495 A JP2266495 A JP 2266495A JP 3301251 B2 JP3301251 B2 JP 3301251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ビームを被処理体
に照射し、被処理体の一部を分解し低分子活性種を発生
させることにより化学反応を促進させ、被処理体を処理
する電子ビーム処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭53−88656号公報に開示された
「電子ビームによる気体状物質の照射方法」では、タン
グステン等の金属を加熱し得た熱電子を電界で加速し生
成した電子ビームを、微小な孔から照射容器内にある排
ガスなどの被処理体に直接照射するウィンドレス型電子
ビーム発生装置について記載されている。
【0003】また、特開昭63−114036号公報に開示さ
れた「電子ビーム発生装置」では、断面積10(cm2)以
上の大出力電子ビーム量を有する単一の電子ビームを発
生させる方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭53−88656
号公報に開示された技術では、電子ビーム処理装置の処
理能力が小さいので、特開昭63−114036号公報に開示さ
れた大出力電子ビーム量の単一電子ビームを採用し、処
理能力を大きくすることが考えられる。しかしながら、
この場合 電子ビームの断面積が非常に大きいので、電
子ビームが通過する孔の開口面積が大きくなり、減圧室
を減圧するに、極めて大容量の排気ポンプシステムが必
要となり、実用化が困難であるという問題がある。
【0005】従って、本発明の目的は、小さな排気ポン
プシステムで、多量の被処理体を処理する電子ビーム処
理方法および電子ビーム処理装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する電子
ビーム処理方法は、所定出力電子ビーム量を複数個に分
割し、該複数個に分割した各電子ビームの出力電子ビー
ム量の総和が前記所定出力電子ビーム量となるようにし
て、単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源から
減圧室に、該複数個の各電子ビームを引き出し、前記各
電子ビームを、電子ビーム空間電荷効果が最大に発揮さ
れるための所定ビーム径に絞り、前記各電子ビームに対
応して 前記減圧室と大気圧室の間を仕切る隔壁に設け
た 前記所定ビーム径と同径である該複数個の電子ビー
ム通過孔を通過させて、前記大気圧室に取り出し、前記
大気圧室に導入された被処理体に前記各電子ビームを照
射し、前記被処理体を処理する方法である。
【0007】また、上記目的を達成する電子ビーム処理
装置は、単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源
と減圧室とを有し 所定処理能力の電子ビームを発生す
る電子ビーム発生手段と、該減圧室を減圧する排気手段
と、導入された被処理体を処理する大気圧室と、前記減
圧室と前記大気圧室の間を仕切る隔壁とを備え、前記電
子ビーム発生手段は、複数個に分割した各電子ビームの
処理能力の総和が前記所定処理能力となるよう 該複数
個の各電子ビームを、前記電子ビーム源から前記減圧室
に引き出すビーム引出手段と、前記各電子ビームを、電
子ビーム空間電荷効果が最大に発揮されるための所定ビ
ーム径に絞るビーム絞り手段とを有し、前記隔壁は、前
記各電子ビームを前記大気圧室に取り出すための、前記
各電子ビームの前記所定ビーム径と同径で、かつ、前記
各電子ビームと同個数の電子ビーム通過孔を有し、前記
各電子ビーム通過孔から取り出した前記各電子ビームを
前記被処理体に照射し、前記所定処理能力で前記被処理
体を処理するものである。
【0008】そして、電子ビーム空間電荷効果が最大に
発揮されるための所定ビーム径は、(数1)式から求め
られるビーム径dbとしても可である。
【0009】 db=cs(Ib1.36/Vb2.05) (数1) ( ただし、cs:レンズの焦点距離等の定数、Ib:ビー
ム電流 Vb:加速電圧 )
【0010】
【作用】本発明の構成によれば、所定処理能力の電子ビ
ームを有する電子ビーム処理装置において、減圧室と大
気圧室の間を仕切る隔壁に設けた電子ビーム通過孔の開
口面積が大幅に小さくなる。従って、大気圧室側から減
圧室側に流入する排ガス等の被処理体の流量が大幅に少
なくなり、減圧室を高真空にするための排気ポンプ容量
も大幅に小さくなる。即ち、所定処理能力を得るに非常
に小さな排気ポンプで済むことになり、換言すれば、実
用的な排気ポンプシステムで、多量に被処理体を処理す
ることが可能となると言える。
【0011】詳細に説明すれば、次の通りである。一般
に、電子ビームの処理能力を最大に発揮させるため、電
子ビーム空間電荷効果が考慮される。そして、この空間
電荷効果を考慮したときの最適な「電子ビームの最小絞
り径db」、すなわち、最適な所定ビーム径は、次の関
係式から求められる。
【0012】 db=cs(Ib1.36/Vb2.05) (数1) cs:レンズの焦点距離等の定数 Ib:ビーム電流 (但し、設定値) Vb:加速電圧 (但し、所定値) (数1)式の出典は、『菅田 他;電子・イオンビームハ
ンドブック 第2版p.359、日刊工業新聞社』である。
【0013】そして、隔壁に設けられる電子ビーム通過
孔の孔径は、上記の最適な所定ビーム径(最小絞り径d
b)と同径とされるのが望ましいとされる。その理由は、
電子ビーム通過孔が大きければ大きいほど、大気圧室側
から減圧室側に流入する排ガス等の流量が増え、排気ポ
ンプの容量が増大するからである。また、小さ過ぎれ
ば、電子ビームの進行が阻害され エネルギ損に繋がる
からである。なお、実際は電子ビームによって、孔径は
所定ビーム径にまで拡大穿孔されることになる。
【0014】次に、(数1)式から面積比の関係に変換す
れば、次式となる。
【0015】 db2=cs2(Ib2.72/Vb4.10) (数2) 例えば、100〜200(keV),4000(mA)の出力電子ビーム量
を、本発明の実施例のように、400(mA)の10本の電子
ビームに分割し、引き出すものとする。したがって、合
計の出力電子ビーム量は、4000(mA)である。
【0016】そして、10本の電子ビームを大気圧室側
に取り出すときの、電子ビーム通過孔の開口面積の合計
をs0とし、4000(mA)の単一電子ビームを取り出すとき
の 開口面積を Stとすると、それら面積比は次式で表
わせる。(但し、ib=400mA) St/s0=(10ib)2.72/(10ib2.72)=52 (数3) これより、出力電子ビーム量、すなわち、電子ビームの
処理能力を所定値とした場合は、本発明のように電子ビ
ームを複数の電子ビームに分割して引き出し、大気圧室
側に取り出すことにより、従来の単一電子ビームとして
取り出すより、電子ビーム通過孔の開口面積は、1/5
2と小さくなることが判る。
【0017】したがって、電子ビーム空間電荷効果を考
慮した最適な所定ビーム径(最小絞り径db)と同径で、
かつ、同個数の複数の電子ビーム通過孔を、減圧室と大
気圧室の間に設けることにより、大気圧室側から減圧室
側へ流入する被処理体が、大幅に、例えば、1/52に
低減できるので、排気ポンプの容量も1/52に小さく
することができる。
【0018】換言すれば、小さな 実用化可能な範囲の
容量の排気ポンプシステムで、大出力電子ビーム量の電
子ビームが得られ、多量に被処理体を処理できると言え
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明による実施例について、図面を
参照し説明する。図1は、本発明による一実施例の電子
ビーム処理装置を示す構成図である。図の構成は次の通
りである。大気圧室としての反応室1は、被処理体とし
ての排ガス等が導入され処理される室である。反応室1
に、減圧室としての差動排気室2,3,4が それぞれ
連結される。そして、差動排気室4に、電子ビーム発生
手段に含まれている もう1つ別の減圧室としての電子
ビーム室5が連結される。さらに、電子ビーム10を発
生する単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源6
は、電子ビーム室5に連結される。そして、電子ビーム
発生手段としての電子ビーム室5及び電子ビーム源6に
おいて、引き出し電極105を介し、10本の電子ビーム
10が作られる。
【0020】一方、差動排気室2,3,4及び電子ビー
ム室5の各室間は、直径3(mm)のそれぞれ10個づつの
電子ビーム通過孔7,8,9を有する3つの隔壁で仕切
られている。 また、反応室1と差動排気室2の室間
は、直径1(mm)の10個の電子ビーム通過孔20を有す
る隔壁で仕切られている。従って、反応室1、差動排気
室2,3,4及び電子ビーム室5の各室は、電子ビーム
通過孔20,7,8,9を介して連通している。すなわ
ち、電子ビーム室5及び電子ビーム源6によって作られ
た 10本の電子ビーム10は、上記の10個づつの電
子ビーム通過孔98,7,20とそれぞれ対応し、該通
過孔を貫通している。
【0021】また、ビーム絞り手段としてのソレノイド
コイル18(磁界レンズ)により、電子ビーム10の進行
方向に平行に、各々200〜2000アンペアターン程度の磁
界が印加され、電子ビーム10が、段階的に、最適な所
定ビーム径(すなわち、最小絞り径db)に絞られてい
る。絞ることによりビームの発散が防止される。電子ビ
ーム10が10本と多数個あることを考慮すれば、この
電子ビーム発散防止手段は必要であり、特に、後述する
電子ビームと電子ビーム通過孔の組立てアライメント寸
法の確保からも重要な構成である。
【0022】さらに、差動排気室2,3に、バルブ21
と生成物補集用のメッシュフィルタ22を介し、10000
(l/min)のロ−タリポンプ11,12が各1台づつ接続
される。差動排気室4には、バルブ21とメッシュフィ
ルタ22の後に1500(l/sec)のメカニカルブースタポン
プ13と2000(l/min)のロータリポンプ14が接続され
る。そして、減圧室としての電子ビーム室5には、バル
ブ21とメッシュフィルタ22の後に3000(l/sec)のタ
ーボ分子ポンプ15とメカニカルブースタポンプ16と
ロータリポンプ17が接続される。
【0023】以上の多段減圧システム(排気ポンプシス
テム)により、大気圧(101325Pa)である反応室1に対
し、電子ビーム室5の圧力を 高真空(0.1Pa以下)に
して、電子ビーム発生手段による電子ビーム10の発生
を可能としている。
【0024】また、反応室1の形状は、高さ15(cm),
横45(cm)の断面を持つダクトである。そして、高さ1
5(cm)に相当する隔壁部分に、反応室1内にある被処理
体に照射する 10本の電子ビーム10を取り出すため
の 10個の電子ビーム通過孔20が設けられている。
そして、反応室1のもう1つ他の隔壁部分にも、差動排
気室2,3,4及び電子ビーム発生手段が接続されてい
る。
【0025】上記構成の動作を簡単に説明すれば、次の
通りである。10本の電子ビーム10が、単一のプラズ
マが閉じ込められた電子ビーム源6から、後述する直径
7(mm)の「引き出し電極孔」を有する引き出し電極105を
介して、電子ビーム室5に引き出される。本実施例の場
合は、多段減圧システムであるので、引き出された該電
子ビーム10は、それぞれのソレノイドコイル18によ
り絞られながら、直径3(mm)の電子ビーム通過孔7,
8,9をそれぞれ通過させられる。そしてさらに絞られ
て、最終的に、差動排気室2と反応室1との間の隔壁に
設けられた 直径1(mm)の電子ビーム通過孔20を介し
て、10本の電子ビーム10が反応室1へ取り出され、
反応室1内の被処理体に照射され、被処理体が分解処理
されるものである。
【0026】この時、電子ビーム10は、当該電子ビー
ム処理装置に設定される所定の出力電子ビーム量(電子
ビームの所定処理能力)が最大に発揮されるように、電
子ビームの空間電荷効果を考慮した所定ビーム径(たと
えば、(数1)式で求められる最小絞り径db)にまで絞
られている。そして電子ビーム通過孔20の孔径は、該
所定ビーム径に合わせ同径となっているものである。
【0027】次に、具体的な数値を示し効果について説
明する。 仮りに、電子ビーム処理装置に対し 設定さ
れた所定の出力電子ビーム量が、130(keV),4000(mA)と
する。従来技術であれば、1本の電子ビームの所定ビー
ム径としての最小絞り径db は、直径22.5(mm)と求
められる。これに対し本実施例の場合、10本の電子ビ
ームに対する 1本の電子ビームの最小絞り径 dbは、
直径1(mm)である。従って、同じ出力電子ビーム量にお
いて、直径22.5(mm)の1個の通過孔から直径1(mm)
の10個の通過孔となり、差動排気室2と反応室1との
間の隔壁の通過孔の開口面積の合計は、本実施例の方が
1/50に小さくなる。具体的に、St=395(mm2)、s0
=7.85(mm2)である。そして、このような開口面積s0
対しての実施例として、図1の構成が示されているもの
である。
【0028】すなわち、図1に示したように、差動排気
室2,3に接続される排気ポンプは10000(l/min)のロ
−タリポンプ11,12が各1台づつである。これに対
し、従来技術の開口面積であれば、各50台づつのロ−
タリポンプ11,12が必要となる。そして、実効容量
として 10000(l/min)の性能が確保されるロ−タリポン
プ 1台の諸元を示せば、重量 2〜3トン、価格 5〜7百
万円、消費電力 50〜60Kw位である。従って、このよ
うな排気ポンプを各50台づつも設置することは実用的
でないと言える。なお、本実施例に挙げた出力電子ビー
ム量は、出力10万Kwの石炭火力発電所の排ガスを処
理する場合に必要とされるものである。
【0029】したがって、石炭火力発電所用の大形処理
装置としても実用的な観点から判断すれば、排気ポンプ
を各10台づつを設置する位が限界と言え、これから逆
算すれば、電子ビーム通過孔20の個数は、3個以上が
望ましいと言える。(なお、通過孔が1個の場合のポン
プ数を50台として計算すると、2個で14台、3個で7
台、4個で4台、5個で3台、10個で1台となる。)
また、100〜200(keV),4000(mA)以上の出力電子ビーム
量を保有する電子ビーム処理装置であれば、ますます実
用化が困難であり、本発明による効果が更に発揮される
ことになる。
【0030】一方参考に記述すれば、反応室1、差動排
気室2,3,4及び電子ビーム室5のそれぞれの圧力
は、101325Pa、1000,10,1Pa、0.1Pa以下で
ある。これから判るように、反応室1と差動排気室2の
間の圧力差が極端に大きい。従って、隔壁に設けられた
通過孔の開口面積は、反応室1と差動排気室2の間で最
も小さくする必要があることが判る。換言すれば、通過
孔径を所定ビーム径に合わせ同径とするのは、反応室1
と差動排気室2の間の電子ビーム通過孔20である。た
だし、差動排気室2,3,4の無い1段減圧システムで
あれば、反応室1と電子ビーム室5の間の隔壁に設けら
れた電子ビーム通過孔を、所定ビーム径に合わせること
になる。すなわち、大気圧室と減圧室との間に設けられ
電子ビーム通過孔を所定ビーム径に合わせることであ
る。
【0031】また、各室間の上記圧力差を考慮に入れ
て、各隔壁に設けられた通過孔の孔径(即ち、開口面積)
を、違えても可である。例えば、φ7,φ5,φ3,φ1(m
m)というようにである。さらに、電子ビーム通過孔20
は、本実施例のようにφ1 の孔が10個の同径分割でな
く、φ1 以外の孔が混じった異径分割でも可である。
【0032】ところで、電子ビームが分割されると、出
力電子ビーム量の電流値が小さくなるので、電子ビーム
の空間電荷効果によるビーム径拡大の影響も小さなもの
となる。該影響が小さいと、磁界や電界のレンズ作用を
利用し、より小さいビーム径に絞ることができる。これ
は、分割数を増やし、それに伴って電子ビーム通過孔を
小さくすることが、より容易になることに繋がり、従っ
て、さらに排気ポンプシステムを小さくすることが可能
となる。
【0033】図2は、本発明による一実施例の電子ビー
ム発生手段を示す構成図である。電子ビーム発生手段
は、複数の電子ビーム10が引き出される電子ビーム室
5と、単一のプラズマが閉じ込められている電子ビーム
源6とから構成される。
【0034】図2に示すように、電子ビーム源6は、ガ
ス導入口101よりヘリウムガスあるいは水素ガスを導入
し、プラズマ生成室102において アノード103とカソー
ド104間に直流のアーク放電を発生させ、タングステン
からなる熱フィラメントであるカソード104を直流電流
で加熱し、プラズマ(熱電子)を放出するものである。こ
の時、アノード103の外壁に多数の永久磁石106が設けら
れ、N極とS極を交互に並べて多極磁界が形成され、該
多極磁界が単一のプラズマを電子ビーム源6の中に閉じ
込めている。
【0035】10本の電子ビーム10を、電子ビーム室
5に引き出すビーム引出手段としての引き出し電極105
は、10個の直径7(mm)の「引き出し電極孔」を有する電
極板3枚を、5〜20(mm)の絶縁距離を確保して重ねたも
のである。これにより、電子ビーム室5にて、100〜200
(keV)のエネルギーで、400(mA)のビーム電流である10
本の電子ビーム10が、すなわち、合計で 4000(mA)の
出力電子ビーム量を有する電子ビームが 引き出され
る。
【0036】図3は、本発明による他の実施例の電子ビ
ーム発生手段を示す構成図である。図3の実施例では、
図2の熱フィラメント方式の代わりに、マイクロ波方式
を用いている。即ち、マイクロ波導波管107を介し、マ
イクロ波をプラズマ生成室102に導き、プラズマを発生
させる。プラズマの閉じ込めは、上記と同様に永久磁石
106による多極磁界で行っている。そして、10個の電
極孔を有する引き出し電極105から、10本の電子ビー
ム10が電子ビーム室5に引き出される。
【0037】ところで、複数本の電子ビームを得るため
に、単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源を複
数個併設する方法が考えられるが、その構造は複雑とな
り部品点数も多く、価格、信頼性、保全などの点で不利
であることは自明である。
【0038】図1に戻って、反応室1と差動排気室2間
の隔壁に設けられた10個の、電子ビーム通過孔20の
直径1(mm)は、前述の(数1)式から求められた所定ビ
ーム径としての「電子ビームの最小絞り径db」に相当
する径であり、すなわち、所定ビーム径と通過孔径とは
同じであることが基本である。しかし、単に、隔壁に1
0個の直径1(mm)の孔を開けただけでは、直径1(mm)の
電子ビームの10本を全て偏芯させずに、確実に直径1
(mm)の電子ビーム通過孔を通過させることは困難であ
る。すなわち、電子ビームと電子ビーム通過孔の組立て
アライメント寸法の確保、すなわち、偏芯をゼロにする
ことは困難で、特に、図1の実施例のように差動排気室
が複数個あるほど難しくなる。
【0039】上記の偏芯を回避するためにも従来技術で
は、電子ビームの本数は1本でありかつ、所定ビーム径
より通過孔径を大きくする方法が採用されている。
【0040】これに対し、本発明による組立てアライメ
ント寸法の確保の対策法は、装置自身の電子ビームで通
過孔を加工する方法である。すなわち、電子ビーム処理
装置を組立てた後に、該装置自身が作り出した10本の
電子ビームを隔壁に照射し、電子ビームで通過孔を穿孔
する加工方法である。これによって、電子ビーム通過孔
の直径を、電子ビームの所定ビーム径と ほぼ同じにす
ることが可能となり、偏芯をゼロにすることができる。
【0041】この場合、穿孔加工する隔壁は、大気圧室
と差動排気室を含めた減圧室間の全てであっても良い
し、大気圧室に隣接した隔壁のみとしても可である。後
者の場合は、加工時間などの生産性から考えれば有利で
あると言える。
【0042】尚、上記通過孔の加工方法により、次のよ
うな効果が新たに生じる。即ち、電子ビームと通過孔と
がほぼ同じであることは、電子ビームの最外径と電子ビ
ーム通過孔との間に、隙間が殆どないことである。従っ
て、電子ビームが通過孔を埋め尽くして通過することに
なるので、電子ビーム通過孔を介し大気圧室側より減圧
室側に流入する気体分子は、電子ビームの電子流と必ず
衝突する。従って、電子ビームの最外径と電子ビーム通
過孔との間に隙間がある場合に比べて、該気体分子の減
圧室側への流入が、阻止されるという効果が生じる。こ
れは、大気圧室側より減圧室側に流入する気体の量が、
さらに減少することに結び付いている。
【0043】図4は、本発明による電子ビーム処理装置
を用いて排ガスを処理する一実施例を示す図である。図
に示す構成は、冷却塔201と、反応室1と、差動排気室
2,3,4、電子ビーム室5及び電子ビーム源6と、電
気集塵器203と、加熱装置204と、排風機205とからな
る。
【0044】動作は次の通りである。冷却塔201で冷却
された、窒素酸化物や硫黄酸化物などを含む排ガス200
が、導入手段を介し電子ビーム10を照射する反応室1
に導入される。別途、窒素酸化物や硫黄酸化物をアンモ
ニウム塩にするためのアンモニアガス202が、別の導入
手段から反応室1に導入される。反応室1の両側の隔壁
には、 差動排気室2,3,4、電子ビーム室5及び電
子ビーム源6等が接続されていて、それらにより得られ
た電子ビーム10が、両側の隔壁に設けられた電子ビー
ム通過孔20を通じて、反応室1の排ガス200とアンモ
ニアガス202の混合ガスに照射される。
【0045】そして、反応室1で処理された排ガス200
は、排風機205により大気に放出される。また、反応室
1で生成されたアンモニウム塩は、電気集塵器203で補
集される。補集されたアンモニウム塩は、加熱装置204
で加熱され、化学的に安定化させた後硝安や硫安として
回収され、別途利用される。
【0046】上記実施例は、石炭火力発電所の排ガス処
理の例で示したが、家庭あるいは産業用廃棄物を焼却し
た時に発生する ダイオキシンやポリ塩化ビフェニルな
どを含んだ気体の無害化処理にも、本発明による電子ビ
ーム処理装置を利用することができる。そして、この処
理装置等の小型化にも本発明は適用される。
【0047】ところで、電子ビーム通過孔の開口面積が
減ることは、排気ポンプ側へ汚れた排ガスが流れ込む流
量も減ることに繋がっている。従って、汚れた排ガスに
よる排気ポンプ等の汚染度合いが減り、排気ポンプの詰
まり事故などが少なくなる。即ち、本発明により、排気
ポンプ等の信頼性や保全性が改善される。
【0048】そして、更にこれを改善する例を次に説明
する。図5は、大気圧室と減圧室の間にバッファ室を設
けた実施例を示す図である。図に示すように、反応室1
と差動排気室2の間に、清浄な空気層を有するバッファ
室19を設けたものである。これによってバッファ室1
9のバッファ効果が加わり、電子ビーム通過孔20を介
し大気圧室側より減圧室側に流入する排ガス等の量が、
更に低減できるという効果がある。
【0049】同時に、清浄な空気層を介在させたので、
減圧室側に流入する気体は清浄な空気である。従って、
汚れた排ガス等が排気ポンプに侵入することがなくな
り、汚染による排気ポンプ等の故障を更に低減できる効
果もある。なお、被処理体としては、気体をはじめ、液
体、固体およびそれらの混合物がある。液体や固体処理
の場合は、大気圧室という気体の雰囲気中に液体や固体
が置かれた場合が一般的である。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、電子ビーム通過孔の開
口面積が大幅に小さくなるので、大気圧室側から減圧室
側へ流れ込む被処理体の流量が減り、減圧室を減圧する
ための排気ポンプの台数を大幅に削減することができる
効果がある。
【0051】すなわち、同一の出力電子ビーム量であれ
ば、小さな排気ポンプの容量で被処理体を処理すること
ができ、低コスト、省エネルギに繋がる効果がある。
【0052】また、汚れた排ガス等が排気ポンプなどに
侵入することも減るので、排気ポンプの汚損による不具
合(たとえば、詰まり事故など)が少なくなり、信頼性や
保全性が改善される。
【0053】さらに、組立てアライメント寸法の確保が
容易となり、処理効率の向上に加えて、生産性(穿孔加
工性や装置組立性)が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の電子ビーム処理装置を
示す構成図である。
【図2】本発明による一実施例の電子ビーム発生手段を
示す構成図である。
【図3】本発明による他の実施例の電子ビーム発生手段
を示す構成図である。
【図4】本発明による電子ビーム処理装置を用いて排ガ
スを処理する一実施例を示す図である。
【図5】大気圧室と減圧室の間にバッファ室を設けた実
施例を示す図である。
【符号の説明】
1…反応室 2,3,4…差動排気室 5…電子ビーム
室 6…電子ビーム源 7,8,9,20…電子ビーム通過孔 10…電子ビー
ム 11,12,14,17…ロータリポンプ 13,16…メカニカルブースタポンプ 15…ターボ
分子ポンプ 18…ソレノイドコイル 19…バッファ室 21…バ
ルブ 22…メッシュフィルタ 101…ガス導入口 102…プラ
ズマ生成室 103…アノード 104…カソード 105…引き出し電極 1
06…永久磁石 200…排気ガス 201…冷却塔 202…アンモニアガス 2
03…電気集塵器 204…加熱装置 205…排風機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩野 繁男 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株 式会社 日立製作所 国分工場内 (72)発明者 上出 泰生 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株 式会社 日立製作所 国分工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 5/04 B01D 53/32 B01J 19/08 G21K 5/00 H01J 37/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定出力電子ビーム量を複数個に分割し、
    該複数個に分割した各電子ビームの出力電子ビーム量の
    総和が前記所定出力電子ビーム量となるようにして、 単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源から減圧
    室に、該複数個の各電子ビームを引き出し、 前記各電子ビームを、電子ビーム空間電荷効果が最大に
    発揮されるための所定ビーム径に絞り、 前記各電子ビームに対応して 前記減圧室と大気圧室の
    間を仕切る隔壁に設けた 前記所定ビーム径と同径であ
    る該複数個の電子ビーム通過孔を通過させて、前記大気
    圧室に取り出し、 前記大気圧室に導入された被処理体に前記各電子ビーム
    を照射し、前記被処理体を処理する電子ビーム処理方
    法。
  2. 【請求項2】所定出力電子ビーム量を複数個に分割し、
    該複数個に分割した各電子ビームの出力電子ビーム量の
    総和が前記所定出力電子ビーム量となるようにして、 単一のプラズマが閉じ込められた電子ビーム源から減圧
    室に、該複数個の各電子ビームを引き出し、 前記各電子ビームを、(数1)式から求められるビーム
    径dbに絞り、 前記各電子ビームに対応して 前記減圧室と大気圧室の
    間を仕切る隔壁に設けた 前記ビーム径dbと同径である
    該複数個の電子ビーム通過孔を通過させて、前記大気圧
    室に取り出し、 前記大気圧室に導入された被処理体に前記各電子ビーム
    を照射し、前記被処理体を処理する電子ビーム処理方
    法。 db=cs(Ib 1.36/Vb 2.05) (数1) ( ただし、cs:レンズの焦点距離等の定数、Ib:ビーム電流 Vb:加速電圧 )
  3. 【請求項3】 単一のプラズマが閉じ込められた電子ビー
    ム源と減圧室とを有し 所定処理能力の電子ビームを発
    生する電子ビーム発生手段と、該減圧室を減圧する排気
    手段と、導入された被処理体を処理する大気圧室と、前
    記減圧室と前記大気圧室の間を仕切る隔壁とを備え、 前記電子ビーム発生手段は、複数個に分割した各電子ビ
    ームの処理能力の総和が前記所定処理能力となるよう
    該複数個の各電子ビームを、前記電子ビーム源から前記
    減圧室に引き出すビーム引出手段と、 前記各電子ビームを、電子ビーム空間電荷効果が最大に
    発揮されるための所定ビーム径に絞るビーム絞り手段と
    を有し、 前記隔壁は、前記各電子ビームを前記大気圧室に取り出
    すための、前記各電子ビームの前記所定ビーム径と同径
    で、かつ、前記各電子ビームと同個数の電子ビーム通過
    孔を有し、 前記各電子ビーム通過孔から取り出した前記各電子ビー
    ムを前記被処理体に照射し、前記所定処理能力で前記被
    処理体を処理することを特徴とする電子ビーム処理装
    置。
  4. 【請求項4】 単一のプラズマが閉じ込められた電子ビー
    ム源と減圧室とを有し 所定処理能力の電子ビームを発
    生する電子ビーム発生手段と、該減圧室を減圧する排気
    手段と、導入された被処理体を処理する大気圧室と、前
    記減圧室と前記大気圧室の間を仕切る隔壁とを備え、 前記電子ビーム発生手段は、複数個に分割した各電子ビ
    ームの処理能力の総和が前記所定処理能力となるよう
    該複数個の各電子ビームを、前記電子ビーム源から前記
    減圧室に引き出すビーム引出手段と、前記各電子ビーム
    を、(数1)式から求められるビーム径dbに絞るビー
    ム絞り手段とを有し、 前記隔壁は、前記各電子ビームを前記大気圧室に取り出
    すための、前記各電子ビームの前記所定ビーム径と同径
    で、かつ、前記各電子ビームと同個数の電子ビーム通過
    孔を有し、 前記各電子ビーム通過孔から取り出した前記各電子ビー
    ムを前記被処理体に照射し、前記所定処理能力で前記被
    処理体を処理することを特徴とする電子ビーム処理装
    置。 db=cs(Ib 1.36/Vb 2.05) (数1) ( ただし、cs:レンズの焦点距離等の定数、Ib:ビーム電流 Vb:加速電圧 )
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