JP3300932B2 - 高張力鋼線の製造方法 - Google Patents
高張力鋼線の製造方法Info
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
などのゴム製タイヤの補強用に使用されるスチールコー
ドあるいはベルトの補強用に使用されるベルトコードな
どの高強度の細径ワイヤを撚り合わせることによって得
られる高張力鋼線の製造方法に関するものである。
法は、古くから用いられている。一般的にA3 点以上の
温度域(750〜1100℃)に加熱し、γ化処理した
後、急冷して550〜680℃の温度範囲で恒温変態処
理を行いパーライト組織を得、さらにこの組織を伸線加
工してワイヤとして使用している。
して特開平1−316420号公報記載の方法がある。
これはオーステナイト域の900〜800℃に冷却し、
この温度域で加工度20〜40%の範囲で塑性加工した
後、鉛中に浸漬する高強度、高疲労強度コードワイヤの
製造方法である。
場合に最も重要なのが最終パテンティングにおいて形成
される組織である。一般的にはパテンティング処理によ
って均一なパーライト組織をつくるように熱処理過程を
調整している。しかし、今までのパテンティング処理に
おいては過共析鋼においても旧γ粒界に沿って薄いフェ
ライトあるいは擬似パーライト組織が析出する。この相
は、伸線過程においてクラックの起点となるため、でき
るだけ抑える必要がある。そこでこの相を無害化する製
造方法の出現が期待されている。
ろは、下記のとおりである。 (1) 最終パテンティング処理後の鋼線に伸線加工を
行うことからなる鋼線の製造方法において、オーステナ
イト化した後、A1 変態温度以下の温度において、最終
パテンティング処理により引き起こされる鋼の変態、す
なわちパーライト変態の初期に形成される薄いフェライ
トあるいは疑似パーライト組織が生成する前あるいはパ
ーライト変態途中の鋼線に加工を施しつつ前記最終パテ
ンティング処理を行うことを特徴とする高張力鋼線の製
造方法。
に伸線加工を行うことからなる鋼線の製造方法におい
て、重量%で C :0.90%以上1.10%以下、 Si:0.4%以下、 Mn:0.5%以下、 さらに Cr:0.10%以上0.30%以下、 Ni:0.10%以上1.00%以下、 Cu:0.10%以上0.80%以下 の1種以上を含み、残部鉄及び不可避的不純物よりな
り、かつ不可避的に入るAl含有量を0.003%以下
とした鋼線を用い、オーステナイト化した後、A1変態
温度以下の温度において、最終パテンティング処理によ
り引き起こされる鋼の変態、すなわちパーライト変態の
初期に形成される薄いフェライトあるいは疑似パーライ
ト組織が生成する前あるいはパーライト変態途中の前記
鋼線に加工を施しつつ前記最終パテンティング処理を行
うことを特徴とする高張力鋼線の製造方法。
に伸線加工を行うことからなる鋼線の製造方法におい
て、オーステナイト化した後、A1 変態温度以下の温度
において、最終パテンティング処理により引き起こされ
る鋼の変態、すなわちパーライト変態の初期に形成され
る薄いフェライトあるいは疑似パーライト組織が生成す
る前あるいはパーライト変態途中の鋼線に、D/d≦2
0(D:ロール直径、d:ワイヤの直径)を満足するロ
ールによる曲げ加工を施しつつ前記最終パテンティング
処理を行うことを特徴とする高張力鋼線の製造方法。
る。Cは経済的かつ有効な強化元素であるが、このCの
効果を十分に発揮させるには添加量を0.90%以上と
する必要がある。しかし、高すぎると延性が低下し、伸
線性が劣化するのでその上限を1.10%とする。
り、従ってその含有量があまりに少ない場合には脱酸効
果が不十分となる。またSiは熱処理後に形成されるパ
ーライト中のフェライト相に固溶し、パテンティング後
の強度を上げるが、反面フェライトの延性を低下させ、
伸線後の極細線の延性を低下させるため0.4%以下と
する。
添加することが望ましい。しかし、多量のMnの添加は
偏析を引き起こし、パテンティングの際にベイナイト、
マルテンサイトなどの過冷組織が発生し、その後の伸線
性を害するため0.5%以下とする。Cr、Ni、Cu
は以下の理由で1種以上添加するものとする。
ィング後の組織においてセメンタイトのネットワークが
発生しやすく、セメンタイトの厚みのあるものが析出し
やすい。この鋼において高強度高延性を実現するために
は、パーライトを微細にし、かつ先に述べたようなセメ
ンタイトネットワークや厚いセメンタイトをなくす必要
がある。Crはこのようなセメンタイトの異常部の出現
を抑制しさらにパーライトを微細にする効果を持ってい
る。しかし、多量の添加は熱処理後のフェライト中の転
位密度を上昇させるため、引き抜き加工後の極細線の延
性を著しく害することになる。従ってCr添加量はその
効果が期待できる0.10%以上とし、フェライト中の
転位密度を増加させ、延性を害することのない0.30
%以下とする。
よりその効果を発揮する0.10%以上添加する。Ni
も添加量が多くなりすぎるとフェライト相の延性を低下
させるので、上限を1.00%とする。Cuはワイヤの
腐食疲労特性を向上させる元素であるのでその効果を発
揮する0.10%以上添加することが望ましい。Cuも
添加量が多くなりすぎるとフェライト相の延性を低下さ
せるので、上限を0.80%とする。
めSの含有量を0.020%以下とし、PもSと同様に
線材の延性を害するのでその含有量を0.020%以下
とするのが望ましい。極細線の延性を低下させる原因と
してAl2 O3 、MgO−Al2 O3 等のAl2 O3 を
主成分とする非延性介在物の存在がある。従って、本発
明においては非延性介在物による延性低下を避けるため
に、Al含有量を0.003%以下とする。
るとおりである。最終熱処理によって旧オーステナイト
粒界に添ってフェライト相あるいは擬似パーライト相が
析出する。この相は伸線加工の際に割れの起点となるた
めできるだけ析出を抑制するか、析出形態を割れが発生
しにくい形態に変える必要がある。通常のパテンティン
グ処理においてはこの析出を抑えることができない。従
って、この析出形態を変えることによって無害化する必
要がある。析出形態を無害化するには、旧オーステナイ
ト粒界に歪みを与えて析出のサイトを面から点に変える
必要がある。このためには、最も加工歪みの入りやす
い、オーステナイト化した後にA1 変態温度以下の温度
で、最終パテンティング処理により引き起こされる鋼の
変態、すなわちパーライト変態の初期に形成される薄い
フェライトあるいは疑似パーライト組織が生成する前あ
るいはパーライト変態途中の鋼線に加工を施しつつ最終
パテンティング処理を行う必要がある。
とが可能であれば、どのような加工でもよい。例えば、
圧延、曲げ加工、スウェージング加工など、いずれでも
効果がある。さらに、曲げ加工は加工によるワイヤの形
状の変化がほとんどないので、導入が最も容易に行え
る。しかし、曲げ加工ではワイヤに導入される加工歪み
が小さいので、少なくともD/d≦20(D:ロール直
径、d:ワイヤの直径)を満足する曲げ加工を行う必要
がある。
び特性)に示すように、本発明に基づく1〜10の製造
方法と比較のために製造方法11〜14を用いてソーワ
イヤを製造した。製造工程は図1に示すとおりで、熱間
圧延によって製造された5.5mmφの線材を伸線加工
とLP処理によって表2に示す最終パテンティング処理
を行う線径のワイヤとする。このワイヤを用いて表2に
示す本発明法と比較法に従って熱処理を行った。その
後、ダイスアプローチ角が14°のものを用いて伸線加
工により最終線径のワイヤとした。この時、伸線加工に
おける減面率が真歪みで約1.0となるところでワイヤ
中のミクロクラックの存在数をL断面1/2部で測定を
行った。また、最終ワイヤにおいて引張試験と捻回試験
を行い、最終ワイヤの機械的性質の調査を行った。
クは観察されず、その後の伸線加工によって製造された
ワイヤにおいても捻回試験によってデラミネーションの
発生しないワイヤが得られている。番号11はA1 点以
下での加工を行わなかった水準である。伸線過程でミク
ロクラックが発生し、最終ワイヤにおいてもデラミネー
ションが発生している。
った水準である。伸線過程でミクロクラックが発生し、
最終ワイヤにおいてもデラミネーションが発生してい
る。番号13は加工をA1 点超で行った場合である。こ
の場合は、加工温度が高いために加工の影響が残らず、
不良組織の改善が期待できない。このため、伸線過程で
ミクロクラックが発生し、最終ワイヤにおいてもデラミ
ネーションが発生している。
0を越えた場合である。この場合は、加工が軽いために
加工の影響が残らず、不良組織の改善が期待できない。
このため、伸線過程でミクロクラックが発生し、最終ワ
イヤにおいてもデラミネーションが発生している。
により、伸線加工性の優れたワイヤが得られるため、そ
の後の伸線加工により、より延性の優れた高張力鋼線を
得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 最終パテンティング処理後の鋼線に伸線
加工を行うことからなる鋼線の製造方法において、オー
ステナイト化した後、A1 変態温度以下の温度におい
て、最終パテンティング処理により引き起こされる鋼の
変態、すなわちパーライト変態の初期に形成される薄い
フェライトあるいは疑似パーライト組織が生成する前あ
るいはパーライト変態途中の鋼線に加工を施しつつ前記
最終パテンティング処理を行うことを特徴とする高張力
鋼線の製造方法。 - 【請求項2】 最終パテンティング処理後の鋼線に伸線
加工を行うことからなる鋼線の製造方法において、重量
%で C :0.90%以上1.10%以下、 Si:0.4%以下、 Mn:0.5%以下、 さらに Cr:0.10%以上0.30%以下、 Ni:0.10%以上1.00%以下、 Cu:0.10%以上0.80%以下 の1種以上を含み、残部鉄及び不可避的不純物よりな
り、かつ不可避的に入るAl含有量を0.003%以下
とした鋼線を用い、オーステナイト化した後、A1変態
温度以下の温度において、最終パテンティング処理によ
り引き起こされる鋼の変態、すなわちパーライト変態の
初期に形成される薄いフェライトあるいは疑似パーライ
ト組織が生成する前あるいはパーライト変態途中の前記
鋼線に加工を施しつつ前記最終パテンティング処理を行
うことを特徴とする高張力鋼線の製造方法。 - 【請求項3】 最終パテンティング処理後の鋼線に伸線
加工を行うことからなる鋼線の製造方法において、オー
ステナイト化した後、A1 変態温度以下の温度におい
て、最終パテンティング処理により引き起こされる鋼の
変態、すなわちパーライト変態の初期に形成される薄い
フェライトあるいは疑似パーライト組織が生成する前あ
るいはパーライト変態途中の鋼線に、D/d≦20
(D:ロール直径、d:ワイヤの直径)を満足するロー
ルによる曲げ加工を施しつつ前記最終パテンティング処
理を行うことを特徴とする高張力鋼線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10705292A JP3300932B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | 高張力鋼線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10705292A JP3300932B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | 高張力鋼線の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11068599A Division JP3340698B2 (ja) | 1992-04-24 | 1999-04-19 | 高張力鋼線材及び細径高張力鋼線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05302120A JPH05302120A (ja) | 1993-11-16 |
JP3300932B2 true JP3300932B2 (ja) | 2002-07-08 |
Family
ID=14449293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10705292A Expired - Lifetime JP3300932B2 (ja) | 1992-04-24 | 1992-04-24 | 高張力鋼線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3300932B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2500786B2 (ja) * | 1992-11-16 | 1996-05-29 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱間圧延鋼線材、極細鋼線および撚鋼線、並びに極細鋼線の製造法 |
JP3737354B2 (ja) | 2000-11-06 | 2006-01-18 | 株式会社神戸製鋼所 | 捻回特性に優れた伸線加工用線材およびその製造方法 |
US6783609B2 (en) | 2001-06-28 | 2004-08-31 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High-carbon steel wire rod with superior drawability and method for production thereof |
JP5553384B2 (ja) * | 2010-04-12 | 2014-07-16 | 株式会社ブリヂストン | 高炭素鋼線材の製造方法 |
-
1992
- 1992-04-24 JP JP10705292A patent/JP3300932B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05302120A (ja) | 1993-11-16 |
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