JP3297788B2 - 穴拡げ性と二次加工性に優れた高炭素薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

穴拡げ性と二次加工性に優れた高炭素薄鋼板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、打抜き、曲げ、絞り等
のプレス加工により所要の形状に成型後、焼入れ焼戻し
等の熱処理を行なって高強度の機械構造用部品に適用さ
れる、高炭素の薄鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プレスなどにより、打ち抜きや曲げ、張
り出し、絞りなどの加工をおこなって所要の形状に成形
後、焼入れ焼戻しなどの熱処理で調質して使用される高
炭素薄鋼板は、素材としては加工性が良好で、調質時に
は容易に所要性能の得られることが要求される。一般に
燒鈍状態の鋼板は、炭素量が低いほど軟らかく伸びが大
きく加工性は良好であるが、熱処理後の強度確保には炭
素量を下げることができない。このため、高炭素の薄鋼
板で大きな加工が必要な場合は、球状化燒鈍をおこなっ
て伸びや加工性を改善している。また、高炭素薄鋼板を
用いて部品を加工成型するユーザーの方は、加工工程を
簡略化したり、より複雑な形状の部品をプレスで加工し
たり、あるいは加工用工具の寿命を長くしたりしてコス
トの低減をはかるため、同じ炭素量でもより軟らかく加
工性のよい薄鋼板を要望している。
【0003】これに対し、同じ炭素量で、セメンタイト
の球状化よりもさらに軟らかくして加工性をよくする方
法として、鋼中炭素の黒鉛化がある。これは、鋼中に存
在する炭素の状態が、硬いセメンタイトであるよりも軟
らかい黒鉛になっている方が鋼としては軟らかく、加工
性がよいからである。
【0004】同じ炭素量の薄鋼板にて黒鉛化を充分に行
なわせるには、Si,Al,Niなど黒鉛化を促進する
元素を多くし、Mn,Cr,Moなどセメンタイトを安
定化して黒鉛化を阻害する元素を可能な限り少なくした
上で、要すれば冷間加工を加え、A1 変態点以下のでき
るだけ高い温度にて長時間焼鈍する。これらに加えてよ
り一層黒鉛化を容易にするため、熱延条件や燒鈍条件の
改良、さらにはBNやAl2 3 などの黒鉛化の際の析
出サイトになるような微細析出物を利用することなどが
提案されている。
【0005】鋼中炭素の黒鉛化により、確かに高炭素薄
鋼板としての硬さは低下し、加工性は向上するが、実用
に際してはいくつかの問題がある。
【0006】まずはじめに、高炭素鋼板は成型加工後焼
入れ焼戻しによる調質が前提であるのに、通常用いられ
る焼入れ性向上元素のMn、Cr、Moなどは、黒鉛化
を阻害するので多くは添加できない。一方、黒鉛化促進
元素であるSiは焼入れ性も向上させるが、素地を硬く
し表面性状を劣化させるため添加には限界があり、Al
も焼入れ性にほとんど関係しない点以外は、Siと同様
な影響がある。Niも黒鉛化及び焼入性に好ましい元素
ではあるけれども高価であり、その上添加量を多くしな
ければ効果は小さい。
【0007】このような各合金成分の特質からみて、実
用的に容易に黒鉛化が達成できると考えられる成分例が
特開平 4-14011号公報に示されている。これは、C:0.
32〜1.3%、Si:0.41〜 1.5%、Mn:0.04〜 0.4
%、Al:0.02〜1.00%、さらに必要によりNi: 1%
以下、微量のMo、V、Ti、Zr、Bなどを含有する
鋼を熱間圧延後、または冷関圧延後フェライト域で燒鈍
し、セメンタイトをほぼ完全に黒鉛化するものである。
この場合、一般的な機械構造用炭素鋼材と比較してC量
が多く、Mn量を低くおさえSiやAlを高くしている
が、Mnが低く焼入れ性が不十分であり、Siが高いの
で、黒鉛化しても強度が低下せず表面性状がよくないた
め、用途が制限されるであろう。
【0008】次に、成形後の製品の調質時にその鋼の炭
素量に見合った焼入れ硬さを得るには、オーステナイト
域に加熱する際、黒鉛化した炭素を素地の中へ充分再固
溶させなければならない。薄鋼板製造の際の黒鉛化のた
めの熱処理、すなわちフェライト域での高温長時間保持
は、セメンタイトを粗大化させ、それにともなって生じ
る黒鉛をも粗大化させる。粗大化した黒鉛粒子は固溶に
時間がかかるため、通常の焼入れのための加熱時間では
充分再固溶できず、焼入れ時の硬さ不足をもたらす。こ
の対策として、例えば特開昭64-25946号公報では熱延の
仕上温度を 800℃以下 500℃以上の低温にすることによ
って、その後の工程での黒鉛析出を微細化し再固溶を容
易にして、焼入れ硬さが低くならないようにしている。
【0009】この特開昭64-25946公報の例では、前述の
特開平 4-14011号公報の例に比較して、主要成分のSi
は 0.2〜2.00%とほぼ同等であるのに対して、Mnは
0.2〜1.5%と高め、Alは 0.001〜0.15%と低めであ
り、黒鉛化の困難さが予想されるが、熱延の仕上温度を
低温にすることによって、後の工程での黒鉛化を促進さ
せている。
【0010】黒鉛化促進や黒鉛粒微細化のために、熱間
圧延条件はできるだけ低温にすること、および冷間圧延
が有効であることは、特開平2-107742号公報にも述べら
れている。この公報例では、主要成分としてCは0.15〜
1.5%、Mnは0.05〜1.00%と広範囲で、Siは0.49%
以下と低く、Al量に関しては特に言及はない。これら
主要元素の他、黒鉛化促進のためのBとNの複合添加や
Ni、Co、Cu等の添加、焼入れ性向上のためのC
r、Mo添加が示されていて、特に黒鉛化したときの黒
鉛粒がフェライト相中に100 個/mm2 以上で分布した組
織とするのが重要であることを提示している。
【0011】このように、黒鉛化による高炭素鋼の加工
性の向上と、加工後の製品の熱処理特性の維持を両立さ
せるには、成分系の選定ばかりでなく、熱間圧延にて仕
上温度をできるだけ低くしその温度で加工度を多くする
などきびしい熱延条件が要求される。
【0012】以上に示した例は、いずれも黒鉛化が進め
ば進むほど加工性は良好になるとしているものである。
実際に黒鉛化した高炭素薄鋼板を実部品に適用してみる
と、黒鉛化による軟質化の効果は明らかで、曲げ、絞
り、張出しなどの一般的なプレス加工性は向上する。と
ころが、穴拡げのような局部伸びが支配的な加工や、絞
り成形後のカップの側壁をさらに加工する二次加工にお
いては、軟質化の程度ほどには加工性が向上しなかっ
た。硬さだけで判断すると、黒鉛化が進めば進むほど軟
らかくなるが、穴拡げ加工性や二次加工性は逆に悪くな
る傾向を示す。穴拡げ加工や二次加工は、薄鋼板をプレ
ス成形して使用する際に高い頻度で適用される加工であ
る。
【0013】同様な結果は、特開平4-311546号公報に示
されている。これは、黒鉛と球状化セメンタイトが共存
する場合、全ての炭素を黒鉛化するよりも、 1〜80%を
黒鉛化させ残りを球状化セメンタイトにする方が加工性
と焼入れ性のより優れてたものが得られ、すなわち、黒
鉛化の行き過ぎは加工性が悪くなるというのである。
【0014】この場合、C:0.10〜 0.8%、Mn:0.05
〜 1.0%または0.05〜 3.0%を含み、かつAl: 0.003
〜 1.0%およびB:0.0003〜 0.010%の1種以上、さら
に必要によりSi: 3%以下、Ni: 3%以下およびC
u: 1%以下の1種以上を含有する鋼をもちい、 700〜
900℃に 1分以上加熱保持した後、 500〜 700℃未満の
温度域で 1時間以上保持する焼鈍(箱焼鈍)をおこなっ
ている。
【0015】薄鋼板で通常おこなわれる、コイルに巻い
たの状態で外側から加熱するいわゆる箱焼鈍において
は、とくに昇温時コイル内の各部位間の温度のばらつき
が大きいため、所要焼鈍温度における均熱時間を長くし
て、これに対処する。したがって、箱焼鈍にて上記のよ
うな2段階の温度の焼鈍をおこなうとすれば、コイルの
各部位間の温度ばらつき、または温度履歴の相違は大幅
に拡大されるので、コイル全長にわたって均一な性能を
得るためには、きめ細かい管理が必要であろう。
【0016】上記のとおり、高炭素薄鋼板にてセメンタ
イトを黒鉛化すれば、軟らかくなり加工性が向上するこ
とは知られている。しかし、実際の製造では、成分面で
黒鉛化を容易にしようとすれば、硬くなって充分な効果
が得られなかったり、加工後の焼入れ性が劣化したりす
る。そして、成分は変えずに黒鉛化するには、熱延条件
や焼鈍条件など製造条件をきびしく管理する必要があ
る。その上黒鉛化を過剰に行なわせると、軟らかくはな
るが穴拡げ性や二次加工性が劣化してくるので、適度な
範囲に制御しなければならない。
【0017】以上のように、加工性にすぐれ調質後の特
性も良好な高炭素薄鋼板、すなわち特に穴拡げ性や二次
加工性に着目してセメンタイトを適度に黒鉛化させ、そ
してその上で、充分な焼入れ性を有する高炭素薄鋼板、
が提供されているとはいい難く、またその製造法も充分
確立されているとはいい難い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上に述べた
ような黒鉛化の実現に関連した諸問題に対処し、熱間圧
延や焼鈍に関しては、特に厳しい要求のない製造条件に
て処理することで、黒鉛化と焼入れ性を両立させ、しか
も穴拡げ加工性や二次加工性などの加工性が特に優れた
高炭素薄鋼板と、その鋼板の製造法を提供するものであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋼中の炭素
の黒鉛化の程度を種々変えて高炭素薄鋼板のプレス加工
性を調査した結果、まず、黒鉛化が充分進むほど鋼板は
軟らかくなるが、穴拡げ加工や、カップを成型後その壁
にさらに加工を加える二次加工の場合、軟らかくし過ぎ
ると逆に加工限界が悪くなることがあり、適正な黒鉛化
の範囲のあることを知った。
【0020】黒鉛化が不十分であれば、当然のことなが
ら硬さは低下しない。そして、黒鉛化の進行にともなっ
て、硬さは低下し伸びが大きくなって加工性が向上する
が、過度に進行すると、硬さは低下していくにもかかわ
らず、穴拡げ加工性や二次加工性が劣化するのである。
これは、穴拡げのような局部延性が関与するきびしい加
工の場合、黒鉛粒子を起点とした割れが観察され、過度
の黒鉛析出が加工性劣化の原因になっていると考えられ
た。
【0021】そこでまず黒鉛化の影響を明確に知るた
め、化学分析で酸溶解により黒鉛を抽出し定量する方
法、および光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡により試
料断面を研磨して黒鉛粒子の分布を観察する方法、とで
黒鉛化の程度を評価した。その結果、化学分析の評価に
よる黒鉛化の進行と、断面の顕微鏡観察における黒鉛粒
子の増加とはほぼ同じような傾向を示し、加工性、特に
穴拡げ加工性の良否に関しては後者の方がよりよい対応
があることがわかった。
【0022】薄鋼板の製造には熱間圧延設備、酸洗等脱
スケール設備、冷間圧延設備、燒鈍設備、調質圧延設備
等々の関連設備を使用する。高炭素薄鋼板の加工性向上
を目的とした黒鉛化に対しても、各プロセスの処理条件
はできる限りそれらの設備に過剰の負担をかけない範囲
内に留めることを配慮して、成分範囲を検討した。その
結果としてB添加とNおよびAl、さらにはCrの適量
添加の組み合わせが重要であることがわかった。
【0023】熱間圧延の仕上温度はできるだけ低温で行
なう方が黒鉛化の促進に有効であることは前述の通りで
ある。しかし、仕上温度の低下は板形状の劣化や表面疵
の多発など熱間圧延の作業上問題が多い。そこで、通常
の圧延条件で熱間圧延の後焼鈍することを前提に、窒化
物を黒鉛の析出核として利用し黒鉛化を促進することを
考え、Bを添加した上でN量を増した結果、黒鉛化促進
の効果が認められた。
【0024】それに加えて、黒鉛化に有効なAlも多め
に添加したところ、より一層黒鉛化が促進した。
【0025】この場合、N量増加に加えてAlの含有量
も多くしたことにより、AlNの析出も増加しており、
BNばかりでなくAlNも黒鉛化促進に有効に作用した
可能性がある。その上Alを多めに含有させることによ
り、成型加工後の熱処理における焼入れ性向上効果も認
められた。これは、熱処理の加熱によって黒鉛が再固溶
する際に、鋼中でBNが分解してNがAlと結合し、焼
入れ性向上に有効な固溶Bが増加したためと考えられ
た。
【0026】目標とする鋼板においては、一般には生じ
にくい黒鉛化を、成分や焼鈍前処理条件の管理によって
容易に起こさせるようにする一方、加工性の点からは黒
鉛化の進行の程度を、ある範囲内に管理しなければなら
ない。長時間均熱が必要な黒鉛化には、通常いわゆる箱
型のコイル焼鈍炉を用いるが、この場合コイルが大きく
なるとコイルの外周の最熱点とコイル内部の最冷点の熱
履歴は大きく異なってきて、黒鉛化の進行もコイルの部
位により大きく違ってくる危険性がある。
【0027】そこで、このような箱焼鈍炉を用いた場
合、10トンをこえる大重量のコイルにて黒鉛化の進行程
度が全長、全幅にわたりできるだけ均一に得られる方法
を検討した。その結果、若干量のCrを含有させること
によって、コイルの最熱部の均熱時間が長くなる部位で
の黒鉛化が抑えられることがわかった。
【0028】以上のように、加工性、特に穴拡げ性と二
次加工性がすぐれ、焼入れ性の良好な鋼板が、成分およ
び黒鉛化ないしは黒鉛粒子の分布を限定することによっ
て得られることがわかった。さらに、これら各元素の効
果や相互作用の機構は必ずしも充分明らかになったわけ
ではないが、黒鉛化ないしは黒鉛粒子分布の制御に関
し、各成分の添加範囲とプロセス条件の管理限界を明確
にすることによって、本発明を完成することができたの
である。
【0029】すなわち、高炭素薄鋼板に関する本発明は
次の通りである。
【0030】(1) 鋼成分としては重量割合で、C:0.20
〜0.60%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、
P:0.02%以下、S:0.01%以下、Cr:0.02〜0.05
%、Al:0.05〜0.50%、N:0.003〜0.015%、B:5
〜50ppm、Ni:2.0%以下、Ca:0.01%以下で、
残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなり、そ
れに加えてC含有量の10〜50%が黒鉛化していて、断面
の鋼組織が、大きさ3μm以上の黒鉛粒子をC重量%×1
0個/mm2 以上C重量%×10個/mm2 以下含ん
だ、球状化セメンタイトの分散したフェライト相である
ことを特徴とする穴拡げ性および二次加工性にすぐれた
薄鋼板。
【0031】(2) 薄鋼板の形態や板厚等が熱延鋼板であ
る場合、その製造方法は、上記の各成分を含有する鋼
を、仕上温度 750〜900℃の範囲で熱間圧延し、400〜65
0℃の温度範囲で巻取って熱延コイルとし、脱スケール
後、600〜720℃の温度範囲の焼鈍をおこなうことを特徴
とする、C含有量の10〜50%が黒鉛化していて、断面の
鋼組織が、球状化セメンタイトと大きさ3μm以上の黒
鉛粒子をC重量%×10個/mm2 以上C重量%×10
個/mm2 以下含んだフェライト相である、穴拡げ性およ
び二次加工性にすぐれた薄鋼板とするものである。
【0032】(3) 薄鋼板の板厚がより薄く板厚精度のす
ぐれた冷延鋼板である場合、その製造方法は、上記(1)
と同じ成分の鋼を(2)と同じ熱間圧延条件、および巻取
り条件にて熱延コイルとした後、40〜80%の冷間圧延を
行い、600〜720℃にて焼鈍することを特徴とする、C含
有量の10〜50%が黒鉛化していて、断面の鋼組織が、球
状化セメンタイトと大きさ3μm以上の黒鉛粒子をC重
量%×10個/mm2 以上C重量%×10個/mm2 以下
含んだフェライト相である、穴拡げ性および二次加工性
にすぐれた薄鋼板とするものである。
【0033】(4) 薄鋼板の板厚がより薄く板厚精度がす
ぐれ、特に絞り性の良好な冷延鋼板である場合、その製
造方法は、上記(1)と同じ成分の鋼を(2)と同じ熱間圧延
条件、および巻取り条件にて熱延コイルとし、脱スケー
ル後、600〜720℃の温度範囲にて焼鈍し、ついで40〜80
%の冷間圧延を行い、600〜720℃にて焼鈍することを特
徴とする、C含有量の10〜50%が黒鉛化していて、断面
の鋼組織が、球状化セメンタイトと、大きさ3μm以上
の黒鉛粒子をC重量%×10個/mm2 以上C重量%×1
0個/mm2 以下含んだフェライト相である、穴拡げ性
および二次加工性にすぐれた薄鋼板とするものである。
【0034】
【作用】本発明において、鋼板中の黒鉛化および黒鉛粒
子の分布の範囲、合金組成、およびその製造条件を限定
した理由は次の通りである。
【0035】(1) 黒鉛化および黒鉛粒子 黒鉛化により、軟化や引張り試験の伸びの向上が顕著に
現われるのは、黒鉛の量が鋼板中に含まれる炭素の総量
の10%を超えてからである。黒鉛化がさらに進むにつれ
て硬さは低下し、伸びは向上していくが、穴拡げ性およ
び二次加工性をしらべると、黒鉛が炭素総量の50%を超
えれば逆に劣化してくる。特にこの穴拡げ性および二次
加工性にたいしては、黒鉛粒子の分布が影響しており、
黒鉛化の割合が炭素総量の10〜50%であって、かつ断面
の顕微鏡観察にて、析出黒鉛粒子の直径が 3μm 以上の
大きさのものが、C重量%×102 個/mm2 以上C重量%
×103 個/mm2 以下の範囲にある場合、すぐれた結果が
得られる。
【0036】黒鉛化が10%以下では加工性向上に不十分
である。しかし、50%を超えると穴拡げのような局部延
性が関与するきびしい加工の場合、黒鉛粒子を起点とし
た割れ発生の頻度が高くなり、加工の限界が低下してく
る。黒鉛化の程度が同じであっても、 3μm 以上の大き
さ黒鉛粒子が適量存在すると、より穴拡げ性および二次
加工性の優れた結果が得られる理由は、やはり割れ発生
の起点に関係していると思われるが、明らかでない。黒
鉛化の焼鈍の過程で、一方では、析出セメンタイトの球
状化も同時に進行する。したがって、黒鉛粒子の大きさ
は球状化の程度とも関係し、 3μm 以上の大きさ黒鉛粒
子がC重量%×102 個/mm2 以上存在することは、それ
だけセメンタイトの球状化も進行していて、加工性が向
上したのであろう。
【0037】生じた黒鉛の粒子には、 3μm 以下のもの
も数多く存在するが、小さい場合、加工性におよぼす影
響はほとんどない。また20μm を超える場合は少なくて
も割れが発生することがあるが、本発明の製造条件では
そのような大きな黒鉛粒子は生じない。
【0038】以上のように、穴拡げ性および二次加工性
のすぐれた高炭素の薄鋼板であるために、C含有量の10
〜50%が黒鉛化していて、断面の鋼組織が、球状化セメ
ンタイトと、大きさ 3μm 以上の黒鉛粒子をC重量%×
102 個/mm2 以上C重量%×103 個/mm2 以下含んだフ
ェライト相であることとする。
【0039】以下に各成分の作用とその範囲の限定理由
を説明する。
【0040】(2) C:0.20〜0.60% 加工性だけを考えればCは低いほど良いが、焼入れ焼戻
し等の熱処理により所要強度に調質するには、少なくと
も0.20%以上は必要である。一方、黒鉛化の生じやすさ
や、最終製品の耐摩耗性が必要な場合を考えればCは多
いほど良い。しかし本発明では加工性をよくしたいこ
と、および後述のようにMnを低くすることによる焼入
れ性の低下分をB添加で補うため、Cを多くするとBの
焼入れ性向上効果がなくなるので、上限を0.60%とす
る。
【0041】(3) Si:0.05〜0.50% 黒鉛化を促進する成分なので、0.05%以上存在すること
が好ましいが、素地が硬くなることおよび製品の表面性
状が悪くなるので、上限を0.50%とする。
【0042】(4) Mn:0.05〜0.30% Sによる熱間脆性の防止や焼入れ性のために、鋼ではあ
る程度の含有が必須の元素であるが、黒鉛化を著しく阻
害するのでできるだけ低くしておきたい。0.30%をこえ
ると黒鉛化を阻害し、0.05%未満ではSの害を防止でき
ない。
【0043】(5) P:0.02%以下 Pは黒鉛化を大きく阻害する元素であり少ないほどよ
い。阻害の影響が顕著でない限界として0.02%以下とす
るが、望ましくは0.005 %以下である。
【0044】(6) S:0.01%以下 黒鉛化を阻害するばかりでなく、調質後の靭性を劣化さ
せる。このためSも少ないほどよく、上限を0.01%とす
るが、好ましくは0.003 %以下とする。
【0045】(7) Cr:0.02〜0.05% Crは黒鉛化を阻害する元素であるが、本発明のように
過剰な黒鉛化を抑制したい場合は有効に活用できる。特
にコイルの箱焼鈍では、コイル内の部位により温度履歴
のばらつきがあり、黒鉛化の進行をコイルの全長全幅に
わたってできるだけ均一にするのに有効である。0.02%
未満では効果がなく、多すぎると黒鉛化が起きなくなる
ので、上限を0.05%とする。
【0046】(8) Al:0.05〜 0.50 % 鋳造の際の脱酸剤として必要であり、高炭素鋼鋳片の表
面疵防止に0.01%以上の添加が普通である。しかし、黒
鉛化の促進、およびB添加と組合せた焼入れ性向上の効
果もあるので、本発明では、通常の脱酸剤としてよりも
多めに添加し、含有量を0.05%以上とする。ただし、多
すぎると素地を硬くしたり、熱処理後の製品の靭性を劣
化させるので 0.50 %までを限度とする。
【0047】(9) N: 0.003〜 0.015% Bとの共存により黒鉛化を促進し、黒鉛粒子を微細に分
散させる。通常の熱延条件でも大きな促進効果を得るに
は最少限 0.003%必要であり、本発明のようにAlを高
めにする場合、望ましくは 0.005%以上である。 0.015
%をこえると伸びが悪くなる。
【0048】(10)B: 5〜50ppm 黒鉛化の促進効果と調質時の焼入れ性確保のため添加す
る。5ppm未満では効果がなく、 50ppmをこえると鋼が脆
化する。Nを高くしているのでその効果が減退するた
め、下限は多めが良い。また多くしても効果は飽和する
ので、10〜30ppmの範囲が好ましい。
【0049】(11)Ni: 2.0%以下 黒鉛化を促進し、焼入れ性を向上させるが、添加しなく
てもよい。Siほどには素地を硬化させないので、最終
用途の成形部品形状により、焼入れ性が不足するような
場合、必要により添加する。効果はそれほど大きくない
ので、添加する場合 0.1%以上含有させるのが望まし
い。多くなれば硬くなるので 2.0%を限度とする。
【0050】(12)Ca:0.01%以下 添加しなくてもよいが、黒鉛化の促進効果があり、硫化
物の形態を変えて加工性や靭性を向上させるので、最終
用途の部品の状況によりにより活用する。その場合は、
含有量として 0.001%以上が望ましい。ただし、0.01%
をこえると介在物が増加する。
【0051】次に本発明の高炭素薄鋼板の製造工程の条
件について説明する。
【0052】(13)熱間圧延条件 本発明の鋼板の製造は、前述のように3種の方法によっ
て行なうことができるが、成分を調整した鋼片を熱間圧
延し、巻取った後酸洗等の脱スケールをおこなってコイ
ルにする工程までは、いずれの方法においても共通であ
る。
【0053】まず熱間圧延および巻取り条件は、仕上温
度を 750〜 900℃とし、巻取り温度400〜 650℃とした
時、その後の工程において最も効果的に本発明の範囲の
黒鉛化および黒鉛粒子の分布が得られる。仕上温度は 7
50℃以下では黒鉛化が進行しすぎる危険性があり、 900
℃をこえると黒鉛粒子が粗大化しすぎる。巻取り温度が
400℃より低いと熱延コイルが硬くなりすぎ、 650℃よ
り高いと黒鉛化が遅れる。したがって、熱延の仕上温度
を 750〜 900℃とし、巻取り温度を 400〜 650℃とす
る。
【0054】(14)熱延板の焼鈍条件 熱延板は、表面からの脱炭防止のため酸洗等によりスケ
ールを除去後、焼鈍をおこなう。 600℃よりも低い温度
では黒鉛化に時間がかかりすぎ、 720℃をこえると鋼成
分によっては変態温度をこえてオーステナイト相が現れ
ることがあり、黒鉛化が阻害される。焼鈍温度での加熱
時間は特には限定しないが、 4時間以下では不十分であ
り、48時間を超えると黒鉛化が過剰になる危険性があ
る。
【0055】(15)冷間圧延の圧下率と圧延後の焼鈍 冷間圧延は、板厚が薄くきびしい板厚精度を要求される
場合に適用する。冷間圧延の圧下率と圧延後の焼鈍条件
とは、黒鉛化のための熱延板焼鈍を前もっておこなって
いるかいないかにより多少異る。
【0056】(a) 熱延板焼鈍のない場合 冷間圧延の加工により熱延板中のセメンタイトを破壊分
散させ、その後の焼鈍によりセメンタイトの黒鉛化およ
び球状化をおこなわせる。この場合40%未満の圧下率で
は加工不足で黒鉛化促進に効果なく、80%を超える圧延
は割れの発生や、硬くなりすぎて圧延できなくなる。
【0057】圧延後の焼鈍は 600℃以上 720℃以下でお
こなう。 600℃未満では黒鉛化が充分進まず、 720℃を
こえる温度では変態温度をこえてオーステナイト相が現
れることがあり、黒鉛化が阻害される。この場合、焼鈍
時間は特には限定しないが、適度の黒鉛化が得られる条
件として、 4〜48時間が望ましい。
【0058】そこで、熱延板焼鈍のない場合は、冷間圧
延の圧下率は40〜80%、焼鈍の温度は 600〜 720℃とす
る。
【0059】(b) 熱延板焼鈍のある場合 熱延板焼鈍により、目的とする黒鉛化をおこなった後、
冷間圧延するのは、特に絞り性を向上させたい場合で、
焼鈍時に深絞りに好ましい集合組織を発達させるためで
ある。圧下率40%未満の冷間圧延では集合組織の発達が
不充分であり、80%を超える圧延は硬化して困難であ
る。
【0060】焼鈍温度は、低すぎても高すぎても集合組
織の発達が不完全になるので、 630〜 780℃とする。焼
鈍時間は特には限定せず焼鈍の再結晶集合組織が充分に
発達し、かつ黒鉛が再固溶しない範囲であればよい。ま
た焼鈍の方法は、連続焼鈍法でも箱焼鈍法でもよい。
【0061】
【実施例】
〔実施例1〕表1の上段に示す、Cr含有量の異った組
成の鋼種 1〜 6の鋼を溶製し、熱間圧延して 3.0mm厚の
薄鋼板とした。この場合、熱間圧延条件としては、いず
れも200mm厚のスラブを加熱温度1250℃で 1時間均熱
し、仕上温度 850℃、巻取温度500℃である。脱スケー
ル後 680℃にて36時間の焼鈍を行なった。
【0062】燒鈍後、黒鉛化率を化学分析で評価し、板
断面の顕微鏡観察により黒鉛粒の分布を調査した。黒鉛
の粒子は大きさが 3μm 以上のものを計測した。各鋼の
黒鉛化の調査結果も表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】加工性の評価は、穴拡げ性と二次加工性を
調査した。穴拡げ性は、直径10mmの切削穴(d0 )を頂
角60°の円錐ポンチにて押し拡げ、穴の周囲に亀裂の発
生しない限界の穴径(d)を測定し、 穴拡がり率=(d−d0 )/d0 ×100 (%) として穴拡がり率を求めた。
【0065】二次加工性については、実際の成形におい
てカップ状に絞った後、側壁を加工する場合に延性が乏
しく割れることが多い。そこで、簡便法として圧下率20
%の冷間圧延を行なった後、圧延方向に対し90°方向の
JIS 13号B引張り試験片を切出し、引張り試験を行なっ
て伸びを測定した。この二次加工伸びと実際の成形限界
とにはよい対応がある。
【0066】Cr量と黒鉛粒数、穴広がり率、および二
次加工伸びの関係を図1に示す。穴広がり率および二次
加工伸び共、大きいほど加工性は優れている。この図か
ら、黒鉛の析出粒子数はCr量が少ない場合多くなり、
Cr量が多くなると減少することがわかる。一方、加工
性に対しては最適の黒鉛析出量があり、多すぎても少な
すぎても劣化している。
【0067】〔実施例2〕表1の下段に示す、C含有量
の異る鋼種 7〜12の鋼を溶製し、 200mm厚のスラブにし
た後、仕上温度 850℃、巻取温度 500℃として熱間圧延
を行ない、板厚 3mmの薄鋼板にした。脱スケール後、 6
80℃にて36時間焼鈍し、実施例1と同様に黒鉛化の評価
をおこなった。結果を同じく表1下段に示す。
【0068】次に実施例1と同じ方法で、穴拡がり率お
よび二次加工伸びを測定した。C量と黒鉛粒数および加
工性の関係を図2に示す。C量増加と共に、黒鉛析出粒
数は増し、穴拡がり性および二次加工性は劣化する。加
工性はC量の低いほど良好であるが、Cが低くなると焼
き入れても所要の硬さは得られず、本発明の目的から逸
脱する。またC量が多すぎる場合、黒鉛化しても穴拡が
り性や二次加工性は改善されない。
【0069】〔実施例3〕C量を0.33〜0.43%、Cr量
を0.02〜0.04%として、各種成分の変化した表2に示す
鋼を溶製し、それぞれを実施例1と同様の条件で熱間圧
延、脱スケール後焼鈍を行ない、黒鉛粒の析出状態、引
張り試験、穴拡がり率および二次加工伸びを調査した。
結果を表3に示す。この結果から明らかなように、化学
成分が本発明の範囲内にある場合は、黒鉛化率および黒
鉛粒数が容易に本発明の目標とする範囲内に入り、加工
性の優れた鋼板が得られる。本発明の範囲外の成分では
加工性がよくなく、たとえ穴拡がり率が高くても、2次
加工伸びが劣るという結果になっている。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】〔実施例4〕実施例1の表1に示した鋼3
を用い、熱延薄鋼板に対する製造条件の影響を調査し
た。この場合、標準の製造条件としては、スラブの加熱
温度1250℃、仕上温度 850℃、巻取温度 500℃、焼鈍は
680℃にて36時間とした。
【0073】3 μm 以上の黒鉛粒数、穴拡がり率、およ
び二次加工伸び率に対する、仕上温度、巻取温度および
焼鈍温度の影響をそれぞれ図3、図4、および図5に示
す。
【0074】この場合、影響を調査した条件以外の前後
の工程は標準条件にしている。
【0075】これから黒鉛粒数が適正に制御されている
条件では、優れた加工性を示す鋼板の得られることがわ
かる。
【0076】〔実施例5〕実施例1の表1に示した鋼3
の熱間圧延後の薄板を用い、次の2種の工程における冷
間圧延の圧下率の影響を調査した。
【0077】(a) 熱間圧延後、冷間圧延して黒鉛化のた
めの焼鈍。
【0078】(b) 熱延板にて黒鉛化焼鈍を行なった後、
冷間圧延して焼鈍。
【0079】黒鉛化焼鈍は冷間圧延後および熱間圧延後
のいずれの場合も、 680℃にて24時間とした。また、
(b) の冷間圧延後の焼鈍は、 680℃にて12時間とした。
冷間圧延の圧下率による 3μm 以上の黒鉛粒数、穴拡が
り率および二次加工伸び率の変化を、(a) の場合は図6
に、(b) の場合は図7にそれぞれ示す。図6からわかる
ように圧下率の上昇とともに黒鉛化は促進されるが、最
適の黒鉛粒分布を得るには適正範囲がある。
【0080】図7の場合、冷圧前に黒鉛化が行なわれて
いるので、圧下率が低くても黒鉛粒の分布としては適当
な範囲に入り、穴拡がり率、および二次加工伸び率も良
好である。しかし圧下率が低い場合、目的とする絞り性
に関しては不十分で、絞り性が必要ないなら、このプロ
セスを採用する必要はない。また、圧下率が高すぎる
と、冷間圧延後の黒鉛化が進行し、必要以上に黒鉛化し
てしまう。
【0081】
【発明の効果】本発明の薄鋼板は、鋼中炭素が適度に黒
鉛化されていることにより、成形加工時には軟らかく、
加工後の熱処理にて所要の強度が得られる、特に穴拡げ
性および二次加工性に優れた鋼板である。さらに、この
鋼板の熱間圧延や焼鈍に際しては、特に厳しい条件を要
求することなく、目的とする薄鋼板が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延後焼鈍を行なった鋼板の、鋼中黒鉛粒子
数、加工性の指標としての穴拡がり率、および二次加工
性を示す加工後の伸び、に対するCr量の影響の例を示
す図である。
【図2】同じく、C量の影響の例を示す図である。
【図3】同じく、熱延後の焼鈍温度の影響の例を示す図
である。
【図4】同じく、熱延の仕上温度の影響の例を示す図で
ある。
【図5】同じく、熱延の巻取温度の影響の例を示す図で
ある。
【図6】熱延後冷間圧延し焼鈍を行なった鋼板の、鋼中
黒鉛粒子数、加工性の指標としての穴拡がり率、および
二次加工性を示す加工後の伸びに対する冷間圧延圧下率
の影響の例を示す図である。
【図7】熱延後焼鈍し冷間圧延を行なってさらに焼鈍を
行なった鋼板の、鋼中黒鉛粒子数、加工性の指標として
の穴拡がり率、および二次加工性を示す加工後の伸びに
対する冷間圧延圧下率の影響の例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−107742(JP,A) 特開 平1−25946(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 8/00 - 8/04 C21D 9/46 - 9/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合で、C:0.20〜0.60%、Si:0.
    05〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、Cr:0.02〜0.05%、Al:0.05〜0.
    50%、N:0.003〜0.015%、B:5〜50ppm、Ni:
    2.0%以下、Ca:0.01%以下で、残部は実質的にFe
    および不可避的不純物からなり、それに加えてC含有量
    の10〜50%が黒鉛化していて、断面の鋼組織が、大きさ
    3μm以上の黒鉛粒子をC重量%×10個/mm2 以上C
    重量%×10個/mm2 以下含んだ、球状化セメンタイ
    トの分散したフェライト相であることを特徴とする穴拡
    げ性および二次加工性にすぐれた薄鋼板。
  2. 【請求項2】重量割合で、C:0.20〜0.60%、Si:0.
    05〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、Cr:0.02〜0.05%、Al:0.05〜0.
    50%、N:0.003〜0.015%、B:5〜50ppm、Ni:
    2.0%以下、Ca:0.01%以下で、残部は実質的にFe
    および不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度 750〜90
    0℃の範囲で熱間圧延し、400〜650℃の温度範囲で巻取
    り、脱スケール後600〜720℃の温度範囲焼鈍おこな
    うことを特徴とする、C含有量の10〜50%が黒鉛化し、
    その断面の鋼組織が大きさ3μm以上の黒鉛粒子をC
    重量%×10個/mm2 以上C重量%×10個/mm2
    下含み、かつ球状化セメンタイトの分散したフェライト
    相である、穴拡げ性および二次加工性にすぐれた熱延薄
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量割合で、C:0.20〜0.60%、Si:0.
    05〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、Cr:0.02〜0.05%、Al:0.05〜0.
    50%、N:0.003〜0.015%、B:5〜50ppm、Ni:
    2.0%以下、Ca:0.01%以下で、残部は実質的にFe
    および不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度 750〜90
    0℃の範囲で熱間圧延し、400〜650℃の温度範囲で巻取
    り、圧下率40〜80%の冷間圧延をおこなった後、600〜7
    20℃にて焼鈍することを特徴とする、C含有量の10〜50
    %が黒鉛化し、その断面の鋼組織が、大きさ3μm以上
    の黒鉛粒子をC重量%×10個/mm2 以上C重量%×1
    0個/mm2 以下含み、かつ球状化セメンタイトの分散
    したフェライト相である、穴拡げ性および二次加工性に
    すぐれた冷延薄鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】重量割合で、C:0.20〜0.60%、Si:0.
    05〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、Cr:0.02〜0.05%、Al:0.05〜0.
    50%、N:0.003〜0.015%、B:5〜50ppm、Ni:
    2.0%以下、Ca:0.01%以下で、残部は実質的にFe
    および不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度 750〜90
    0℃の範囲で熱間圧延し、400〜650℃の温度範囲で巻取
    り、脱スケール後600〜720℃の温度範囲での焼鈍をおこ
    ない、ついで圧下率40〜80%の冷間圧延をおこなった
    後、600〜720℃にて焼鈍することを特徴とする、C含有
    量の10〜50%が黒鉛化し、その断面の鋼組織が大きさ
    3μm以上の黒鉛粒子をC重量%×10個/mm2 以上C
    重量%×10個/mm2 以下含み、かつ球状化セメンタ
    イトの分散したフェライト相である、穴拡げ性および二
    加工性にすぐれた冷延薄鋼板の製造方法。
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