JP3296973B2 - 磁気浮上除振装置 - Google Patents

磁気浮上除振装置

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憲一 箭野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気浮上除振装置に
係り、特に半導体製造装置や電子顕微鏡等のように、設
置床からの振動により歩留りや精度上の問題の起こる設
備を、床振動から絶縁する高精度な除振装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置や電子顕微鏡等のよう
に、設置床からの振動により歩留りや精度上の問題の起
こる嫌振装置を床振動から絶縁するため、従来は、嫌振
装置を搭載する除振台床板の下側に空気ばねや防振用の
ゴムなどを使用していた。またアクティブに床板の運動
を制御するタイプの除振台では、油圧や空気圧のシリン
ダあるいは電磁ソレノイドを使用して、除振台床板の振
動を消滅せしめていた。
【0003】ここで、空気ばねや防振ゴムを用いて、鉛
直方向に支持した受動形除振台においては、バネとマス
(質量)との共振系を形成している。従ってその共振周
波数よりもかなり高い周波数では防振効果があるが、そ
の共振周波数以下の周波数では除振効果がまったく無い
という問題がある。
【0004】また、除振台のフレームが設置された建物
の水平方向の固有振動数は、鉛直方向の固有振動数より
も低く、地盤の水平方向振動を常時伝達するので、半導
体製造装置や電子顕微鏡などを設置するための除振台に
おいては、特に水平方向の除振効果が要求されている。
しかし、空気ばねや防振ゴムに用いられる支持材料は、
支持方向よりも大きな横剛性(水平方向剛性)を一般に
有するので、鉛直方向の支持を行っている場合でも、水
平方向に共振系を形成する。そして、その水平方向の共
振系における固有振動数は、鉛直方向と同等かあるいは
それ以上に高いので、水平方向の除振効果は鉛直方向の
それよりも劣り、上記要求に応えることができなかっ
た。
【0005】そこで、磁気浮上式の除振装置が考案され
ている(例えば、特開平2ー203040号公報、特公
平4−74053号公報等参照)。磁気浮上式の除振装
置は、振動を嫌う装置を搭載するテーブルを電磁石アク
チュエータで非接触支持することによって、テーブルを
空間に浮上した状態で保持するものである。従って、設
置床の振動は、勿論直接的にはテーブルに伝達しない
が、テーブルを保持する磁気吸引力と、嫌振装置を搭載
したテーブルとは、一種のバネとマスの共振系を構成す
る。このため、テーブルと電磁石磁極面間の相対変位、
テーブル上の絶対加速度等を検出して電磁石の励磁電流
にフィードバック制御しているが、この制御装置の構成
により、バネに相当する定数が変化して、除振特性が異
なったものとなる。
【0006】本発明者等は、係る磁気浮上除振装置の制
御装置の一例を、機械学会講演論文集No930-39[199
3年7月「磁気浮上除振装置の研究」(第二報、3次元
除振装置の除振特性)渡辺和英、金光陽一、箭野憲一、
水野孝之]に発表している。
【0007】この除振装置では、テーブルを浮上・除振
制御する電磁石アクチュエータには、鉛直方向と水平方
向に磁気吸引力を発生するDC電磁石と、設置床と除振
テーブルの相対変位を検出する変位センサが内蔵されて
いる。又、テーブルには加速度センサを内蔵しており、
鉛直方向及び水平方向の絶対加速度を検出する。
【0008】この制御システムは、水平方向制御系と鉛
直方向制御系とからなり、アナログコントローラで実現
している。この制御系は、まず設置床と除振テーブルと
の鉛直方向相対変位を変位センサで検出し、その相対変
位量をフィードバックすることによって除振テーブルを
一定の目標位置に浮上させる。水平方向には、鉛直方向
制御用電磁石が発生する復元力によって支持される。更
に、水平・鉛直方向の除振テーブル上の絶対加速度を加
速度センサにより検出して、この絶対量をフィードバッ
クすることにより水平・鉛直方向の除振制御を行う。
【0009】鉛直方向制御用電磁石は、発生する磁気吸
引力faによって除振テーブルを非接触支持すると共
に、水平方向にも受動安定剛性となる復元力frを発生
する。この復元力frは、吸引(鉛直)方向の磁気力に
比べ非常に小さく、水平方向には弱い剛性で安定に支持
されていることになり、浮上するだけで設置床の水平方
向の振動を除振することができる。
【0010】鉛直方向には、上方に位置する電磁石の磁
極面が下方に位置する平板を磁気吸引力で吸引保持して
いるので、この間の相対変位が小さくなると平板は電磁
石側に吸着され、相対変位が大きくなると、重力が勝
り、平板は離れる方向に動く、不安定系を構成する。こ
の不安定系を安定化するために、PIDコントローラG
(S)で相対フィードバック制御を行う。パラメータK
P,I,d を設定し安定化した制御系の振動伝達率を伝
達関数で表すと式(1)となる。
【0011】 G(s)=ー(kp+kdS+kl/S) (1)
【0012】この伝達系では、相対変位の応答周波数範
囲内で、床の振動を全て除振テーブル上に伝達してしま
う。ここで振動伝達率を改善するため、この相対フィー
ドバック系に絶対加速度、絶対速度フィードバックGav
(S)を付加する。
【0013】 Gav(S)=ー(kav2 +kvvS) (2) すると、設置床の変位W(S)とテーブルの変位Z
(S)との伝達関数は、式(3)のようになりKav,K
vvによって振動伝達率を改善することができる。
【0014】
【数9】
【0015】試作した除振装置を床の常微振動で評価試
験を行った。図14及び図15に床振動に対する制振性
能を示す。水平方向は、図14に示すように床振動を約
1/10まで除振できた。鉛直方向は、図15に示すよ
うに相対系(浮上系)に絶対フィードバック系を加える
ことによって、床振動を約1/2〜1/3に低減でき
た。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た磁気浮上除振装置においては、水平方向の除振性能は
十分なものであるが、鉛直方向の除振性能は相対(浮
上)系に加速度信号に基づいた絶対フィードバック系を
加えることによっても、床振動の低減量は1/2〜1/
3に過ぎず、必ずしも十分なものではない。
【0017】本発明は上述した事情に鑑みて為されたも
ので、鉛直方向にも十分な振動の除去を行うことができ
る磁気浮上除振装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気浮上除振装
置は、磁性材料製の平板を備えたテーブルと、該平板に
磁気吸引力を及ぼし前記テーブルを浮上懸架する電磁石
アクチュエータとからなる磁気浮上除振装置において、
前記平板表面と電磁石磁極面との間の相対変位を測定す
る変位センサと、前記テーブルの絶対加速度を測定する
加速度センサと、これらのセンサの信号に基づいて前記
電磁石の励磁電流を制御する制御装置とを備え、該制御
装置は前記変位センサの信号に基づき前記平板表面と電
磁石磁極面間の隙間を制御する制御則と、前記加速度セ
ンサの信号に基づき振動を制御する制御則とに分けて、
該加速度センサの信号に基づき振動を制御する制御則に
前記テーブルの相対変位の安定性制御を含ませたことを
特徴とする。
【0019】又、前記変位センサの信号に基づき前記平
板表面と電磁石磁極面間の隙間を制御する制御則はPI
(比例積分)制御であり、前記振動を制御する制御則に
前記隙間の安定性制御を含ませた制御則はH∞(無限
大)制御であることを特徴とする。
【0020】又、前記制御装置は、H∞(無限大)制御
に、PI(比例積分)制御を組み入れて構成したもので
あることを特徴とする。
【0021】又、前記磁気浮上除振装置は、前記テーブ
ルを浮上懸架する電磁石アクチュエータに、空気ばねか
らなるアクチュエータを併用したものであることを特徴
とする。
【0022】
【発明の実施の形態】図13に示すように、非接触で除
振テーブルを電磁石の磁気吸引力により浮上支持するの
で、電磁石磁極面とテーブル間の隙間(相対変位)Zを
一定の目標値Z0 に位置決めする相対位置フィードバッ
ク系が必要である。この相対位置フィードバックは、P
IDコントローラ21で行うのであるが、ここで積分制
御(I)は定常誤差を小さくするための制御であり、微
分制御(D)は安定化のための制御である。そして、加
速度及び速度のコントローラ22は、テーブルのZ方向
の絶対加速度及び速度をフィードバックすることによっ
て、テーブルの振動を減衰させるためのものである。
【0023】しかしながら、相対変位制御のための安定
化制御は、変位値Zの微分制御であり、振動減衰のため
のコントローラ22の変位量Zの微分及び2回微分制御
と同種の制御であり、互いに相関関係があるものとなっ
ていた。このため、例えば安定化制御で最適なパラメー
タとすると、振動減衰制御では減衰が不十分となり、振
動減衰制御で最適なパラメータとすると安定性を損ねて
しまうという問題があった。それ故、先行技術において
各種パラメータの選択を何回繰返しても、結局鉛直方向
の安定性及び十分な振動抑制効果が得られていなかっ
た。
【0024】本発明は、図12に示すように、安定化
(微分)制御を相対変位系の制御から除して、変位セン
サの信号に基づいて、隙間(相対変位Z)をPI(比例
積分)制御により制御するようにしたものである。そし
て、振動を制御する制御則に安定化制御を含ませたH∞
制御としたものである。これにより、微分制御が一元化
されたので、従来技術のように2個の制御則間で相関関
係が生じるという問題が解決され、比例、積分、微分系
でそれぞれ、独立にパラメータを設定できる。従って、
本発明のコントローラによれば、安定性を確保した上
で、十分な鉛直方向の除振性能が達成できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0026】図1に第1実施例の除振装置の構成を示
す。除振装置は、図1に示すように嫌振装置を搭載する
除振テーブル11と4つの電磁石アクチュエータ12及
び図示しないコントローラで構成されている。また、除
振テーブル11には除振テーブル上の振動を検出するた
めの加速度センサ13を取付けている。
【0027】図2に制御システムを示す。コントローラ
は、DSPを搭載したディジタルコントローラ15で、
A/Dコンバータ16及び,D/Aコンバータ17を実
装している。この制御系は、各電磁石アクチュエータに
内蔵した変位センサからの相対変位信号と除振テーブル
に取付けた加速度センサからの絶対加速度信号を検出し
A/Dコンバータ16を介してDSP18へ入力し、演
算後、D/Aコンバータ17、パワーアンプ19を通し
て電磁石を励磁し除振テーブルの浮上と除振制御を行
う。
【0028】電磁石アクチュエータ12には、除振テー
ブルの浮上と除振制御を行うための鉛直方向と水平方向
に磁気吸引力を発生するDC電磁石、及び設置床と除振
テーブルの相対変位を検出する変位センサが内蔵されて
いる。鉛直方向制御用電磁石は、4個で相当な重量の搭
載物を支承できる能力をもっている。
【0029】図3に除振装置のモデルを示す。この図
は、除振テーブル11を4つの電磁石アクチュエータで
支持した平衡状態を表している。ここで、各電磁石の力
の作用方向を座標軸の方向と一致させ、力の作用点は
x,y面(重心を含む水平面)内にある。使用した記号
は以下のとおりである。
【0030】G:重心, Fxi ,Fyi ,Fzxi(i=1〜4):各アクチュエ
ータの制御力, Mα,Mβ,Mγ:制御力モーメント、 Kxi ,yi(i=1〜4):各鉛直方向電磁石の水平方
向磁気復元力によるばね定数、 Cxi ,yi(i=1〜4):各鉛直方向電磁石の水平方
向磁気復元力による減衰係数、 x,y,z:除振テーブルの変位、 α,β,γ:除振テーブルの回転変位、 u,v,w:設置床の変位、 ε,η,ζ:設置床の回転変位。
【0031】この除振装置モデルは、理想的な剛体の完
全非連成支持の場合と仮定し、制御系を各自由度独立に
設計できるようにした。従って、以下の条件を満たした
モデルになっている。 (1)座標軸を装置の慣性主軸に一致させ、慣性連成項
を無くした。 (2)4個の鉛直方向電磁石の水平方向磁気復元力によ
る弾性中心及び弾性主軸を装置の重心及び慣性主軸に一
致させている。
【0032】以上より、除振装置の運動方程式は、式
(4)となる。ここでmは質量、Iα,Iβ,Iγは各
軸回りの慣性モーメント、Kx ,Ky ,Kγは鉛直方向
電磁石の磁気復元力によるばね定数、Cx ,Cy ,Cγ
は鉛直方向電磁石の磁気復元力による減衰係数である。
【0033】
【数1】
【0034】制御力ベクトルFは、平衡状態近傍で線形
化すると式(5)となる。ここでIは、制御電流であ
り、Kv ,Kc は、それぞれ変位と電流に掛かる定数
である。
【0035】
【数2】
【0036】装置のモデルは、前項より独立した6自由
度系と仮定し、制御系を設計した。ここでは除振装置の
安定浮上と除振制御を同時に達成するための鉛直方向の
制御について述べる。鉛直方向の制御系は、運動方程式
より並進1自由度と回転2自由度からなる。今回設計に
は、ロバスト性のあるH∞(無限大)制御理論を適用
し、3自由度に対してそれぞれ独立に設計した。実際
に、各センサで検出した信号(相対変位、絶対加速度)
と各電磁石への制御電流をコントローラ内部で座標変換
し、各自由度毎の制御を可能にしている。以下、並進1
自由度の制御系設計について述べる。
【0037】鉛直方向並進1自由度の制御対象を状態空
間で表すと式(6)(7)となる。ここで、zは鉛直方
向の絶対変位である。また、鉛直方向の磁気吸引力は、
無垢材を使用しているため渦電流発生による位相遅れが
ある。この特性Ka(S)を式(8)(9)の状態方程
式で表す。また、Af,Bf,Cfは、一次遅れで近似
した時の定数である。
【0038】
【数3】
【0039】また、ここで設計するコントローラは、浮
上制御と除振装置を同時に達成しなければならない。従
って、除振テーブルと設置床との相対変位と除振テーブ
ル上の絶対加速度の双方をフィードバックする必要があ
る。そこで今回一般化プラントに、あらかじめ相対変位
フィードバック系を含めた。この相対フィードバック系
のコントローラには、電磁石の空隙中央に浮上位置決め
するのに必要なPI(比例、積分)コントローラKr
(S)とした。PIコントローラKr(S)を式(1
0)(11)で表す。従って、操作入力uは式(12)
となる。
【0040】
【数4】
【0041】図4に作成した一般化プラントを示す。系
に加わる外乱は、床振動w1 と加速度センサノイズw2
とした。ここで外乱に対する重み係数Kl ,Kn を掛け
たd1 ,d2 が直接系に加わる。
【0042】
【数5】
【0043】また、制御量に除振テーブル上の絶対量
(変位、速度、加速度)と相対変位を選んだ。操作入力
(制御電流)も適当に小さく抑えたいことから評価し
た。これらをまとめると式(14)となる。各制御量と
操作入力に対する重み係数はスカラで与える。ここで、
全ての絶対量(加速度、速度、変位)を評価することに
よって、周波数重みを導入したのと同等の重み付けとな
っている。これは、コントローラの低次元化につなが
る。出力yは、加速度センサで検出した絶対加速度で式
(15)となる。以上のことから図4に示す一般化プラ
ントを導くことができる。ここでKas は加速度セン
サ、Kds は変位センサのゲインである。よって、一般
化プラントの状態空間モデルは、式(16)(17)
(18)となる。
【0044】
【数6】
【0045】前項で作成した相対変位をフィードバック
するPIコントローラを含む拡大系に対して、H∞コン
トローラを設計する。一般化プラントの状態空間モデル
より伝達関数は式(19)と表せる。
【0046】
【数7】
【0047】この拡大系に対する制御則を u=K(s)y と定めフィードバック制御系を構成すると、wからzま
での閉ループ伝達関数は、式(24)となる。 φ=G11+G12K(I−G22K)-121 (24) ここでG(s)を内部安定化し、不等式(25)を満足
するコントローラK(s)を求める。
【0048】
【数8】
【0049】コントローラを求める際に、磁気浮上系の
安定化と同時に良好な除振性能を得るため、外乱d1
ら絶対変位zまでの感度が極力低周波数まで小さくなる
ように各重み係数とγを選択し、繰り返し計算を行っ
た。図5に設計した一例のH∞コントローラとPIコン
トローラの周波数特性を示す。
【0050】また、図6にステップ応答、図7に外乱d
1 から制御量zまでの感度すなわち振動伝達率を示す。
これらの図より、安定浮上可能で良好な振動伝達率が得
られることが分かる。回転2自由度系のコントローラに
ついても同様に設計した。
【0051】設計した3自由度のコントローラをディジ
タルコントローラで実現し、評価試験を行った。各自由
度のコントローラは、H∞コントローラとPIコントロ
ーラを組み合わせ、2入力1出力のコントローラとなっ
た。図8に除振テーブルが浮上した時の応答特性を示
す。また、平衡状態における設置床と除振テーブル上の
加速度の振動伝達率を図9に、時間歴波形を図10に示
す。これらの結果から、ほぼシミュレーションに近い性
能が得られ、安定浮上を達成すると同時に床振動を1/
10に除振することができた。また、図11には直接除
振テーブルに外乱を加えた時の衝撃応答特性を示し、瞬
時に収束させることができた。
【0052】尚、上記の実施例は除振テーブルを電磁石
アクチュエータを用いて、アクチュエータから非接触で
浮上した場合についてのものであるが、電磁石アクチュ
エータに併用して空気ばねアクチュエータを用いても、
本発明の趣旨を同様に適用できる。
【0053】図16は、本発明の第2実施例の除振装置
の立面図を示し、図17はその平面図を示す。除振テー
ブル30上には、振動を嫌う電子顕微鏡、半導体製造装
置等の機械装置が搭載される。除振テーブル30は、そ
の四隅において空気ばね31により鉛直方向に支持され
ている。空気ばね31は、設置床上に固定された共有ベ
ース12にその一端が固定されている。また、除振テー
ブル上には、X,Y,Z方向の加速度を検出する加速度
センサ33が備えられている。
【0054】空気ばね31は、図示しない圧力を制御す
る制御装置により、同様に図示しない変位センサの信号
によりテーブル30を鉛直方向に位置決めし、除振テー
ブル及びこれに搭載される機械装置の重量の大部分を支
持する。尚、変位センサは、鉛直方向の電磁石アクチュ
エータ35に内蔵され、設置床側と除振テーブル側との
空隙を検出することにより、除振テーブル10の相対変
位を検出する。加速度センサ33で検出された振動は、
電磁石アクチュエータ35の励磁電流を制御することに
より、電磁石磁極に対向する磁性体に及ぼす磁気吸引力
を制御することにより、除振テーブル上の振動を水平方
向・鉛直方向に除振制御する。
【0055】本実施例においては、水平方向の位置決め
を行うコイルバネ36を、図示するようにX,Y,θ方
向の6カ所に備える。そして、このバネ要素をX,Y,
θ方向に備えることにより、バネ力により、水平方向の
電磁石空隙中央にバランスする位置に除振テーブル30
が位置決めされる。
【0056】図18は、空気ばねを併用した磁気浮上除
振装置の鉛直方向制御の制御装置の一例を示す。変位セ
ンサ38の信号はPI(比例積分)制御コントローラ3
9に入力され、位置決め制御が行なわれる。加速度セン
サ33の信号はH∞コントローラ40に入力され、除振
制御が行なわれる。この制御装置は、H∞は制御に、P
I(比例積分)制御を組み入れて構成したものであり、
H∞制御には位置決めの安定性制御を含ませた構成とな
っている。従って、位置決めの安定性を確保した上で、
十分な鉛直方向の除振性能が達成される。空気ばね31
は、設定値により空気圧源43からの空気圧がコントロ
ーラ42で調整される。
【0057】この第2実施例の除振装置は空気ばねで、
除振テーブル上に搭載する機械の荷重の大部分を支持す
るので、電磁石アクチュエータの容量を、一例として1
/10以下に低減することができる。テーブル位置決め
の合せ精度も、電磁石アクチュエータでPI制御を行う
ことから、数μmの精度で位置合せが可能であり、又、
高速の位置合せが可能である。
【0058】図19に示す制御系は、図18の制御系の
一変形例を示す。変位センサ38の信号はPI(比例積
分)制御コントローラ39に入力され、その出力が空気
圧コントローラ42で空気圧力を制御し、除振テーブル
の鉛直方向の位置決めを行う。加速度センサ33の信号
はH∞コントローラ40に入力され、その出力が電力増
幅器44を介して電磁石アクチュエータ41に入力され
除振制御が行なわれる。この実施例のH∞制御にも、空
気ばねによる位置決めの安定性制御を含ませた構成とな
っており、位置決めの安定性を確保した上で、十分な鉛
直方向の除振性能が達成される。
【0059】この制御系によれば、空気ばねのみにより
位置決めが行なわれるので、電磁石アクチュエータの容
量を更に小型化することができる。しかしながら、位置
決めが空気ばねの圧力調整によって行なわれるので、電
磁石アクチュエータと比較して位置決め精度も悪く、
又、応答性も遅いという問題がある。
【0060】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の磁気浮
上除振装置によればH∞コントローラをPIコントロー
ラと組み合せることにより、鉛直方向の除振性能を格段
に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気浮上除振装置の構造を示す平面図及び立面
図。
【図2】フィードバック制御系を示す説明図。
【図3】除振装置のモデルを示す説明図。
【図4】本発明の一実施例の制御系のブロック図。
【図5】本発明の一実施例のH∞コントローラとPIコ
ントローラの周波数特性を示す線図。
【図6】本発明の一実施例のH∞コントローラとPIコ
ントローラのステップ応答を示す線図。
【図7】本発明の一実施例のH∞コントローラとPIコ
ントローラの振動伝達率を示す線図。
【図8】本発明の一実施例のテーブルの浮上時の応答特
性を示す線図。
【図9】本発明の一実施例の設置床上とテーブル上の加
速度の振動伝達率を示す線図。
【図10】本発明の一実施例の設置床上とテーブル上の
それぞれの振動の状況(加速度)を示す線図。
【図11】本発明の一実施例のテーブルに直接外乱を加
えた時の衝撃特性を示す線図。
【図12】本発明の磁気浮上除振装置の制御装置の概念
を示す説明図。
【図13】従来の磁気浮上除振装置の制御装置の概念を
示す説明図。
【図14】従来の水平方向の設置床上とテーブル上のそ
れぞれの振動の状況(加速度)を示す線図。
【図15】従来の鉛直方向の設置床上とテーブル上のそ
れぞれの振動の状況(加速度)を示す線図。
【図16】本発明の第2実施例の空気ばねを併用した磁
気浮上除振装置の立面図。
【図17】図16に示す除振装置の平面図。
【図18】図16及び図17に示す空気ばねを併用した
磁気浮上除振装置の制御装置の概念と示す説明図。
【図19】空気ばねを併用した磁気浮上除振装置の他の
実施例の制御装置の概念を示す説明図。
【符号の説明】
11 除振テーブル 12 電磁石アクチュエータ 13 加速度センサ 14 変位センサ 15 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芳我 尚秀 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 箭野 憲一 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (72)発明者 水野 孝之 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (72)発明者 片村 立太 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−286641(JP,A) 特開 平2−203040(JP,A) 特開 平2−203941(JP,A) 特開 平6−288430(JP,A) 特開 平8−219229(JP,A) 特開 平5−297907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/02 F16F 15/03 G05D 19/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料製の平板を備えたテーブルと、
    該平板に磁気吸引力を及ぼし前記テーブルを浮上懸架す
    る電磁石アクチュエータとからなる磁気浮上除振装置に
    おいて、前記平板表面と電磁石磁極面との間の相対変位
    を測定する変位センサと、前記テーブルの絶対加速度を
    測定する加速度センサと、これらのセンサの信号に基づ
    いて前記電磁石の励磁電流を制御する制御装置とを備
    え、該制御装置は前記変位センサの信号に基づき前記平
    板表面と電磁石磁極面間の隙間を制御する制御則と、前
    記加速度センサの信号に基づき振動を制御する制御則と
    に分けて、前記変位センサの信号に基づき前記平板表面
    と電磁石磁極面間の隙間を制御する制御則はPI(比例
    積分)制御であり、前記加速度センサの信号に基づき振
    動を制御する制御則はH∞(無限大)制御であり、前記
    制御装置は、H∞(無限大)制御に、PI(比例積分)
    制御を組み入れて構成したものであることを特徴とした
    磁気浮上除振装置。
  2. 【請求項2】 前記磁気浮上除振装置は、前記テーブル
    を浮上懸架する電磁石アクチュエータに、空気ばねから
    なるアクチュエータを併用したものであることを特徴と
    した請求項1に記載の磁気浮上除振装置。
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