JP3277915B2 - 内燃機関の吸気管圧力予測方法および装置 - Google Patents

内燃機関の吸気管圧力予測方法および装置

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸気管
圧力予測方法および装置に係り、より詳しくは、スロッ
トル開度と機関回転速度とに基づいて吸気管圧力を検出
する内燃機関の吸気管圧力予測方法および装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来より、内燃機関の吸気管予測方法
は、内燃機関の燃料噴射量制御方法などに用いられてい
る。従来の内燃機関の燃料噴射量制御方法は、吸気管圧
力と機関回転速度とを検出し、この検出された吸気管圧
力と機関回転速度とに基づいて基本燃料噴射時間を演算
し、この基本燃料噴射時間を吸気温や機関冷却水温等に
応じて補正して燃料噴射時間を求め、この燃料噴射時間
に相当する時間燃料噴射弁を開弁することにより燃料噴
射量を制御するものである。この燃料噴射量制御方法に
おいては、ダイヤフラム式の圧力センサを吸気管に取付
け、機関脈動成分を除去するために時定数が3〜5msec
のフイルタを介して圧力センサ出力を処理することによ
り吸気管圧力を検出し、この検出された吸気管圧力と回
転速度センサで検出された機関回転速度とに基づいて基
本燃料噴射時間を演算するようにしている。 【0003】しかしながら、圧力センサのダイヤフラム
による応答遅れおよびフイルタの時定数による応答遅れ
が存在するため、加減速時等の過渡運転時には、実際の
吸気管圧力の変動に対して検出された吸気管圧力の変動
に時間遅れが生ずる。このため、加速時にはスロツトル
弁が急開されて実際の吸気管圧力が急激に上昇するのに
対して検出された吸気管圧力に時間遅れが生じ、実際の
吸気管圧力より小さい値の吸気管圧力によって基本燃料
噴射時間が演算されることになるため、空燃比がオーバ
リーンになり加速応答性が悪化すると共に排気エミツシ
ヨンが悪化する。逆に、減速時にはスロツトル弁が急閉
されることから吸気管圧力が急激に低下するため実際の
吸気管圧力より大きな値の吸気管圧力によって基本燃料
噴射時間が演算されることになり、空燃比がオーバリツ
チになってドライバビリテイが悪化すると共に排気エミ
ツシヨンが悪化する。この空燃比のオーバリツチおよび
オーバリーンを防止するために、加速増量や減速減量等
の各種の増減量補正を行なっているが、過渡時には検出
された吸気管圧力に時間遅れが存在するため全運転領域
で完全に目標空燃比に制御することが不可能であった。 【0004】一方、実際の値に対して時間遅れのない物
理量としてスロツトル開度を用い、スロツトル開度と機
関回転速度とに基づいて基本燃料噴射時間を演算する方
法(特開昭59−28031号公報)やスロツトル開度
と機関回転速度とに応じた吸気管圧力を記憶しておいて
圧力センサより得られる信号に応じて排ガス再循環時の
排ガスの分圧を考慮してこの吸気管圧力を補正して燃料
噴射量を制御することが行なわれている(特開昭59−
39948号公報)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常ス
ロツトル弁は圧力センサ取付位置および機関燃焼室から
離れた上流側の位置に配置されており、スロツトル弁を
通過した空気が圧力センサ取付位置や機関燃焼室へ到達
するまでに時間遅れが生じ、また、スロツトル弁と吸気
弁との間の容積のためスロツトル開度は実吸入空気量の
変化に対して位相が進むことになる。このため、スロツ
トル開度と機関回転速度とで定められた吸気管圧力P
(TA、NE)は図3に示すように実際の吸気管圧力P
より位相が進んだ値となる。なお、PMは圧力センサか
ら得られる吸気管圧力である。また、図4に示すよう
に、スロツトル開度と機関回転速度とで定められた基本
燃料噴射量TP(TA、NE)はスロツトル開度の変化
が実吸入空気量の変化に対して位相が進んでいるため要
求燃料噴射量よりも多くなる。このためスロツトル開度
と機関回転速度とに基づいて燃料噴射量を制御すると、
加速時には燃料噴射量が要求値より多くなって空燃比が
オーバリツチになり、減速時には燃料噴射量が要求値よ
り少なくなって空燃比がオーバリーンになる。また、加
速増量補正を行なった場合においても増量値は図4の斜
線で示すようになり、上記の位相進みを補正することは
できない。 【0006】本発明は上記問題点を解決すべく成された
もので、実際の吸気管圧力の変化に対して応答遅れのな
いスロツトル開度を用いて位相進みおよび遅れのない吸
気管圧力、すなわち実際の吸気管圧力を予測することが
できるようにした内燃機関の吸気管圧力推定方法および
装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1の発明は、以下の式にしたがって演算された
加重平均値PMSM i を次回の演算において以下の式の
過去に演算された加重平均値PMSM i-1 として用いて
所定回数繰り返し演算して加重平均値PMSM i を求
め、繰り返し演算後の加重平均値PMSM i を吸気管圧
力予測時点での吸気管圧力として予測するものである。 PMSM i =((n−1)・PMSM i-1 +PMTA)/n ただし、PMTAは、スロットル開度と機関回転速度と
に基づいて演算されると共に、繰り返し演算中は一定と
される定常状態での吸気管圧力、nは、過渡時の吸気管
圧力の変化に関する時定数と前記演算周期とを用いて演
算される重みに関する係数である。 【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記定常状態での吸気管圧力PMTAを、
スロットル開度の微分値及び機関回転速度の微分値の少
なくとも一方を用いて演算される吸気管圧力予測時点に
おける定常状態での吸気管圧力としたものである。 【0009】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2記載の発明において、前記演算周期を一定とし、
スロットル開度と機関回転速度とに基いて、又は、定常
状態での吸気管圧力と機関回転速度とに基いて、前記重
みに関する係数nを演算するものである。 【0010】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3請
求項の何れか1項に記載の発明において、前記所定回数
を、現在時刻から吸気管圧力予測時点までの時間を演算
周期で除算して得られる値としたものである。 【0011】 【0012】請求項5記載の発明は、スロットル開度を
検出するスロットル開度検出手段と、機関回転速度を検
出する回転速度検出手段と、前記検出されたスロットル
開度と前記検出された機関回転速度とに基づいて所定の
演算周期で定常状態での吸気管圧力PMTAを演算する
吸気管圧力演算手段と、前記演算周期を一定とし、演算
された定常状態での吸気管圧力と検出された機関回転速
度とに基いて、または検出されたスロットル開度と検出
された機関回転速度とに基づいて、過渡時の吸気管圧力
の変化に関する時定数と前記演算周期とで定まる重みに
関する係数nを演算する重み係数演算手段と、繰り返し
演算中は定常状態での吸気管圧力PMTAを一定とする
と共に、以下の式にしたがって演算された加重平均値P
MSM i を次回の演算において以下の式の過去に演算さ
れた加重平均値PMSM i-1 として用て所定回数繰り返
し演算して加重平均値PMSM i を求め、繰り返し演算
後の加重平均値PMSM i を吸気管圧力予測時点での吸
気管圧力として予測する吸気管圧力予測手段と、を備え
ている。 PMSM i =((n−1)・PMSM i-1 +PMTA)/n 【0013】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記定常状態での吸気管圧力PMTAを、
スロットル開度の微分値及び機関回転速度の微分値の少
なくとも一方を用いて演算される吸気管圧力予測時点に
おける定常状態での吸気管圧力としたものである。 【0014】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記所定回数を、現在時刻から吸気管圧力
予測時点までの時間を演算周期で除算して得られる値と
したものである。 【0015】 【0016】 【0017】最初に、参考として、実際の吸気管圧力を
求める原理について説明する。図1に示すように、スロ
ツトル弁ThからサージタンクSを介して機関Eの吸気
弁までの吸気系を考え、吸気系内の空気の圧力(吸気管
絶対圧力)をP[mmHgabs.]、吸気系の容積をV
[l]、吸気系内に存在する空気の重量をQ[g]、吸
気系内の空気の絶対温度をT[°K]、大気圧をPc
[mmHgabs.]とすると共に、吸気系から機関Eの燃焼室
に吸入される単位時間当りの空気重量をΔQ1[g/se
c]、スロツトル弁Thを通過して吸気系内に吸入され
る単位時間当りの空気重量をΔQ2[g/sec]とし、微
小時間Δt内に吸気系の空気の重量が(ΔQ2−ΔQ 1)
・Δt変化し、このとき吸気系内の空気の圧力がΔP変
化したものとして、吸気系内の空気にボイル・シヤルル
の法則を適用すると以下の(1)式に示すようになる。 【0018】 【数1】 【0019】ただし、Rは気体定数である。 【0020】一方、PV=Q・R・Tであるから上記
(1)式を変形すると、以下の(2)式が得られる。 【0021】 【数2】 【0022】ここで、流量係数をψ、スロツトル弁の開
口面積(スロツトル開度)をAとするとスロツトル弁を
通過する単位時間当りの空気重量ΔQ2は以下の(3)式
で表わされ、行程容積をVS、機関回転速度をNE[r
pm]、吸入効率をηとすると機関の燃焼室に吸入され
る単位時間当りの空気重量ΔQ1は以下の(4)式で表わ
される。 【0023】 【数3】 【0024】上記(3)、(4)式を(2)式に代入する
と次の(5)式が得られる。 【0025】 【数4】 【0026】ここで、Δt→0の極限をとると、 【0027】 【数5】 【0028】となる。 【0029】今、圧力P0(≠PC)近傍での応答を考え
て圧力がP0からP0+Pに変化したものとして、上記
(6)式のPに代えてP0+P(ただし、Pは微小値)を
代入すると、以下の(7)式が得られる。 【0030】 【数6】 【0031】ここで、 【0032】 【数7】【0033】であるから、上記(7)式は以下の(9)式
のようになる。 【0034】 【数8】 【0035】ここで、 【0036】 【数9】 【0037】とすると、上記(9)式は次のようにな
る。 【0038】 【数10】 【0039】上記(12)式を次の(13)式のように変形
して両辺を積分し、積分定数をCとすると以下の(14)
式が得られる。 【0040】 【数11】 【0041】ここでt=0のときPの初期値はP0であ
るから上記(14)式より積分定数Cは次のようになる。 【0042】 【数12】 【0043】上記(14)式と(15)式からPを求めると
次のようになる。 【0044】 【数13】 【0045】ただし、eは自然対数の底である。 【0046】従って、スロツトル弁の開口面積Aすなわ
ちスロツトル開度TA、機関回転速度NEおよびスロツ
トル開度変化時点からの経過時間tを測定して上記(1
6)式に代入すれば、実際の吸気管圧力Pを求めること
ができる。そして、このようにして求めた実際の吸気管
圧力Pと機関回転速度NEとに基づいて、例えば以下の
式に示す演算を行なって基本燃料噴射時間TPを求め、
この基本燃料噴射時間TPを吸気温や機関冷却水温等に
応じて補正して燃料噴射時間を求め、この燃料噴射時間
に相当する時間燃料噴射弁を開弁することにより機関が
要求する量の燃料を噴射することができる。 【0047】 【数14】 【0048】ただし、Kは定数である。 【0049】ところで、上記(16)式の吸気管圧力Pを
グラフで表わすと図2に示すようになり、t=0でP=
0、t→∞の極限(定常状態)ではP=b/a(定常
状態での吸気管圧力PMTA)となる1次遅れ要素の出
力である。従って、スロツトル開度TAと機関回転速度
NEとに基づいて定常状態での吸気管圧力PMTAを演
算し、定常状態での吸気管圧力PMTAを以下の(17)
式の伝達関数G(s) で表わされる1次遅れ要素で処理す
ることにより実際の吸気管圧力を演算するようにしても
よい。 【0050】 【数15】 【0051】ただし、sはラプラス変換の演算子、Tは
時定数である。 【0052】すなわち、所定周期毎にスロツトル開度と
機関回転速度とに基づいて定常状態での吸気管圧力を演
算し、演算された定常状態での吸気管圧力を1次遅れ要
素で処理することにより前記経過時間を変数とする吸気
管圧力を演算することもできる。 【0053】このように、実際の吸気管圧力を予測して
この吸気管圧力と機関回転速度とに基づいて燃料噴射量
を制御すれば、実際の吸入空気量に応じた量の燃料を噴
射することができ、これによって空燃比を目標空燃比に
制御して過渡時の空燃比のオーバリツチ、オーバリーン
を防止することができる。 【0054】次に、図6を参照して、他の参考例を説明
する。図6に示すように、スロツトル開度検出手段で検
出されたスロツトル開度TAと回転速度検出手段で検出
された機関回転速度とに基づいて吸気管圧力演算手段A
によって定常状態での吸気管圧力PMTAが演算され
る。吸気管圧力演算手段Aによって演算された定常状態
での吸気管圧力PMTAは、補正手段Bによって過渡時
の吸気管圧力の応答遅れ分の補正が行なわれる。この補
正手段としては1次遅れ要素を用いることができる。補
正手段Bによって補正された吸気管圧力は基本燃料噴射
時間演算手段Cに入力され、基本燃料噴射時間演算手段
に入力されている機関回転速度NEとに基づいて基本燃
料噴射時間TPが演算される。そして、基本燃料噴射時
間TPに基づいて燃料噴射量制御手段によって燃料噴射
量が制御される。 【0055】このように、圧力センサやフイルタを用い
ていないので、構造簡単でかつ精度よく実際の吸気管圧
力を予測して機関が要求する量の燃料を噴射することが
できる。 【0056】 【0057】 【0058】 【0059】 【0060】 【0061】 【0062】 【0063】 【0064】 【0065】 【0066】次に、本発明の原理を説明する。1次遅れ
要素をブロツク図で表わすと図5に示すようになり、入
力をx(t) とし、出力をy(t) とし、時定数をTとする
と、図5の入出力の関係は以下の式で表わされる。 【0067】 【数16】 【0068】ここで、t2を現在の演算タイミング、t1
を過去の演算タイミングとすると次の(21)式が得られ
る。 【0069】 【数17】 【0070】上記(21)において、x(t2)を定常状態での
吸気管圧力PMTA、y(t2)を現在の実際の吸気管圧力
PMSMi、y(t1)を過去の実際の吸気管圧力PMSM
i-1、t2−t1(=Δt)を演算周期とすれば、 【0071】 【数18】 【0072】となり、T/Δt=nとすると、以下の(2
3)式が得られる。 【0073】 【数19】 【0074】すなわち、上記(23)式は、過去の実際の吸
気管圧力PMSMi-1の重みをn−1とし、定常状態で
の吸気管圧力PMTAの重みを1とした加重平均を求め
ることにより、現在の実際の吸気管圧力PMSMiを演
算することができることを示している。また、重みに関
する係数nは時定数Tと演算周期Δtとの比で求められ
る。 【0075】従って、スロツトル開度と機関回転速度と
に基づいて所定周期Δtで定常状態での吸気管圧力PM
TAを演算し、過渡時の吸気管圧力の変化に関する時定
数Tと所定周期Δtとで重みに関する係数nを演算し、
過去に演算された加重平均値PMSMi-1の重みを重く
して過去に演算された加重平均値PMSMi-1と定常状
態での吸気管圧力PMTAと重みに関する係数nとで上
記(23)式に従って加重平均値PMSMiを演算すれば、
現在の実際の吸気管圧力が求められることになる。 【0076】そして、上記のようにして演算された加重
平均値(現在の実際の吸気管圧力)と機関回転速度とに
基づいて基本燃料噴射時間を演算し、演算された基本燃
料噴射時間に基づいて燃料噴射量を制御するようにして
もよい。 【0077】なお、上記(10)、(16)式から理解され
るように、時定数T=1/aは機関回転速度NEが大き
くなる程小さくなり、スロツトル開度TAが大きくなる
程小さくなる。このように、時定数はスロツトル開度T
Aと機関回転速度NEを変数とする関数で表わされる。
従って演算周期Δtを一定とすれば、重みに関する係数
nはスロツトル開度TAと機関回転速度NEとを変数と
する関数で定めることができる。なお、スロツトル開度
TAと機関回転速度NEとで定常状態での吸気管圧力P
MTAが一義的に定まるから、スロツトル開度TAと機
関回転速度NEとに代えて定常状態での吸気管圧力PM
TAと機関回転速度NEとに応じて重みに関する係数n
を定めるようにしてもよい。 【0078】ところで、機関燃焼室に供給される空気量
が確定するのは、吸気終了時点すなわち吸気弁閉弁時で
ある。しかしながら、燃料噴射時間を演算するために所
定時間必要であると共に、燃料噴射弁から噴射された燃
料が燃焼室に到達するまでに所定の飛行時間が必要であ
り、燃焼室に供給される空気量が確定したときに燃料噴
射量を演算すると時間遅れが生じるため、従来では、燃
焼室に供給される空気量が確定する前の吸気管圧力を用
いて基本燃料噴射時間を演算している。このため、実際
に燃焼室内に吸入された空気量に適合した量の燃料が噴
射されなくなり、加速時には吸入空気量が確定する吸気
管圧力より小さい値の吸気管圧力によって燃料噴射量が
制御されるため、空燃比がリーンとなり、減速時には吸
入空気量が確定する吸気管圧力より大きい値の吸気管圧
力によって燃料噴射量が制御されるため、空燃比がリツ
チとなる。 【0079】一方、上記(23)式においてスロツトル開度
TAと機関回転速度NEとが変化しないものと仮定する
と、加重平均値演算時から吸入空気量が確定するまでの
間、すなわち加重平均値演算時から所定時間先までの間
定常状態での吸気管圧力PMTAは一定である。従っ
て、上記(23)式の加重平均値を繰り返し演算することに
よって吸入空気量確定時の実際の吸気管圧力を予測する
ことができる。このため請求項1の発明では、上記(23)
式にしたがって演算された加重平均値PMSM i を次回
の演算において上記(23)式の過去に演算された加重平均
値PMSM i-1 として用いて所定回数繰り返し演算して
加重平均値PMSM i を求め、繰り返し演算後の加重平
均値PMSM i を吸気管圧力予測時点での吸気管圧力と
している。また、請求項5の発明は、スロットル開度を
検出するスロットル開度検出手段と、機関回転速度を検
出する回転速度検出手段と、前記検出されたスロットル
開度と前記検出された機関回転速度とに基づいて所定の
演算周期で定常状態での吸気管圧力PMTAを演算する
吸気管圧力演算手段と、前記演算周期を一定とし、演算
された定常状態での吸気管圧力と検出された機関回転速
度とに基いて、または検出されたスロットル開度と検出
された機関回転速度とに基づいて、過渡時の吸気管圧力
の変化に関する時定数と前記演算周期とで定まる重みに
関する係数nを演算する重み係数演算手段と、繰り返し
演算中は定常状態での吸気管圧力PMTAを一定とする
と共に、上記(23)式にしたがって演算された加重平均値
PMSM i を次回の演算において上記(23)式の過去に演
算された加重平均値PMSM i-1 として用て所定回数繰
り返し演算して加重平均値PMSM i を求め、繰り返し
演算後の加重平均値PMSM i を吸気管圧力予測時点で
の吸気管圧力として予測する吸気管圧力予測手段と、を
備えている。 請求項1及び請求項5の発明では、定常状
態での吸気管圧力を演算した時点から機関に吸入される
空気量が確定するまでの時間を演算周期Δtで除算する
ことにより演算回数を求め、この演算回数だけ上記(23)
式の加重平均の演算を繰り返すことにより、機関に吸入
される空気量が確定する時点での加重平均値すなわち機
関に吸入される空気量が確定する時点での実際の吸気管
圧力を予測して燃料噴射量を制御するのが好ましい。 【0080】なお、上記では燃料噴射時間演算時から機
関に吸入される空気量が確定するまでの間スロツトル開
度と機関回転速度とが変化しないものと仮定したが、ス
ロツトル開度や機関回転速度が変化する場合には、燃料
噴射時間演算時でのスロツトル開度の微分値および/ま
たは機関回転速度の微分値を用いて次の燃料噴射時間演
算時点でのスロツトル開度および/または機関回転速度
を予測して、吸入空気量が確定するときの定常状態での
吸気管圧力を予測し、上記のように加重平均値の演算を
繰り返して実際の吸気管圧力を予測すれば、スロツトル
開度や機関回転速度変動時の実際の吸気管圧力の予測値
の精度が更に向上する(上記請求項2記載の発明参
照)。 【0081】また、燃料噴射弁から噴射された燃料は、
インテークマニホールド内壁面等の機関壁面に付着して
噴射された燃料の全てが燃焼室に供給されないので、こ
の燃料付着分を補正して燃料噴射量を制御するのが好ま
しい。この燃料付着量は、吸気管圧力の大きさに依存
し、吸気管圧力が小さいと燃料の蒸発量が多くなるため
燃料付着量は少なくなり、吸気管圧力が大きいと燃料の
蒸発量が少なくなるため燃料付着量は多くなる。このた
め本態様では、加重平均によって演算された実際の吸気
管圧力から機関壁面への燃料付着量の変化量を予測し、
この変化量に相当する量の燃料噴射量を補正して機関に
吸入される実際の吸入空気量に対応した量の燃料を機関
に供給するのが好ましい。なお、燃料の壁面への付着量
は機関温度や機関回転速度によっても変化する(機関温
度が高いと燃料の蒸発量が多くなるため燃料付着量は少
なくなり、機関回転速度が速くなると空気流速が速くな
って蒸発量が多くなるため燃料付着量は少なくなる)た
め、機関温度や機関回転速度の関数として燃料付着量の
変化量を定めるようにしても良く、また壁面への燃料付
着量は瞬時に安定しないため燃料噴射量の補正量を時間
減衰させて今回噴射したときの燃料付着量を次回以降の
噴射に反映させるようにしても良い。 【0082】以上説明したように本発明においては、所
定周期で加重平均値を演算することにより実際の吸気管
圧力を予測しているため、スロツトル開度変化時点から
の経過時間を計測することなく実際の吸気管圧力を予測
することができる。 【0083】これによって過渡時においても空燃比を目
標空燃比に制御すれば、加速応答性、ドライバビリテイ
および排気エミツシヨン等の悪化を防止することができ
る。 【0084】 【0085】 【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図7は本実施の形態に係る内
燃機関の概略図である。 【0086】エアクリーナ(図示せず)の下流側にはス
ロツトル弁8が配置されている。このスロツトル弁8に
は、スロツトル弁8の開度を検出するスロツトル開度セ
ンサ10が取付けられている。スロツトル開度センサ1
0は、図8の等価回路に示すように、スロツトル弁8の
回動軸に固定された接触子10Bと一端に電源が接続さ
れかつ他端が接地された可変抵抗10Aとで構成されて
おり、スロツトル弁8の開度が変化するに伴って、接触
子10Bと可変抵抗10Aとの接触状態が変化し、スロ
ツトル弁8の開度に応じた電圧が接触子10Bから得ら
れるように構成されている。スロツトル弁8の上流側の
吸気管壁には、吸入空気の温度を検出するサーミスタで
構成された温度センサ14が取付けられている。スロツ
トル弁8の下流側にはサージタンク12が配置されてお
り、サージタンク12はインテークマニホールド18、
吸気ポート22および吸気弁23を介して機関本体20
の燃焼室25に連通されている。このインテークマニホ
ールド18には、各気筒に対応するように燃料噴射弁2
4が取付けられており、各気筒独立にまたは各気筒グル
ープ毎にまたは全気筒一斉に燃料を噴射できるように構
成されている。 【0087】燃焼室25は、排気弁27、排気ポート2
6およびエキゾーストマニホールド28を介して三元触
媒を充填した触媒装置(図示せず)に連通されている。
このエキゾーストマニホールド28には、排ガス中の残
留酸素濃度を検出して理論空燃比に対応する値を境に反
転した信号を出力するO2センサ30が取付けられてい
る。 【0088】シリンダブロツク32には、ウオータジヤ
ケツト内に突出するように機関温度を代表する機関冷却
水温を検出するサーミスタ等で構成された冷却水温セン
サ34が取付けられている。シリンダブロツク36に
は、各々の燃焼室25内に突出するように点火プラグ3
8が取付けられている。点火プラグ38はデイストリビ
ユータ40および点火コイルを備えたイグナイタ42を
介してマイクロコンピユータ等で構成された制御回路4
4に接続されている。デイストリビユータ40には、デ
イストリビユータシヤフトに固定されたシグナルロータ
とデイストリビユータハウジングに固定されたピツクア
ツプとで各々構成された気筒判別センサ46および回転
角センサ48が取付けられている。気筒判別センサ46
は、例えば720°CA毎に気筒判別信号を出力し、回
転角センサ48は、例えば30°CA毎に回転角信号を
出力する。そして、この回転角信号の周期から機関回転
速度を演算することができる。 【0089】マイクロコンピユータ等で構成された制御
回路44は、図9に示すように、マイクロプロセツシン
グユニツト(MPU)60、リード・オンリ・メモリ
(ROM)62、ランダム・アクセス・メモリ(RA
M)64、バツクアツプRAM(BU−RAM)66、
入出力ポート68、入力ポート70、出力ポート72、
74およびこれらを接続するデータバスやコントロール
バス等のバス75を備えている。入出力ポート68に
は、アナログ−デジタル(A/D)変換器78およびマ
ルチプレクサ80が順に接続されており、このマルチプ
レクサ80には、バツフア82を介して吸気温センサ1
4が接続されると共に、バツフア84およびバツフア8
5をそれぞれ介して水温センサ34およびスロツトル開
度センサ10が接続されている。また、入出力ポート6
8は、A/D変換器78およびマルチプレクサ80に接
続されて、MPUからの制御信号に応じて吸気温センサ
14、水温センサ34及びスロツトル開度センサ10出
力を順次所定周期でA/D変換するように制御する。 【0090】入力ポート70には、コンパレータ88お
よびバツフア86を介してO2センサ30が接続される
と共に波形整形回路90を介して気筒判別センサ46お
よび回転角センサ48が接続されている。そして、出力
ポート72は駆動回路92を介してイグナイタ42に接
続され、出力ポート74は駆動回路94を介して燃焼
射弁24に接続されている。 【0091】上記ROM62には、以下で説明する制御
ルーチンのプログラムや図10に示すスロツトル開度T
Aと機関回転速度NEとで定められた定常状態での吸気
管圧力PMTAのマツプ、図11に示す機関回転速度N
Eと定常状態での吸気管圧力PMTA(またはスロツト
ル開度TA)とで定められた重みに関する係数nのマツ
プ、および実際の吸気管圧力PMSMと機関回転速度N
Eとで定められた基本燃料噴射時間TPのマツプが予め
記憶されている。図10に示す定常状態での吸気管圧力
PMTAのマツプは、スロツトル開度TAと機関回転速
度NEとを設定し、設定したスロツトル開度TAと機関
回転速度NEに対応する吸気管圧力を測定し、吸気管圧
力が安定したときの値を用いることにより作成される。
図11に示す重みに関する係数nのマツプは、スロツト
ル弁をステツプ状に開いたときの吸気管圧力の応答(イ
ンデシヤル応答)時の時定数Tを測定し、この測定値と
図13に示す演算ルーチンの実行周期Δtsec とからT
/Δt( ≒n)を機関回転速度NEと実際の吸気管圧
力PMTA(またはスロツトル開度TA)とに対応して
求めることにより作成される。そして図12の基本燃料
噴射時間TPのマツプは、機関回転速度と吸気管圧力と
を設定し目標空燃比となる基本燃料噴射時間TPを測定
することにより作成される。 【0092】次に、本実施の形態の繰り返し演算におけ
る吸気管圧力予測ルーチンを説明する前に、予測しない
吸気管圧力を用いて燃料噴射時間を演算するルーチンを
図13に基いて説明する。このルーチンは、所定時間
(例えば、8msec)毎に実行される。ステツプ100に
おいてA/D変換されたスロツトル開度TA(例えば、
8msec毎にA/D変換する)および機関回転速度NEを
取込み、ステツプ102において図10のマツプからス
ロツトル開度TAと機関回転速度NEに対応する定常状
態での吸気管圧力PMTAを演算する。次のステツプ1
04では、ステツプ102で演算された吸気管圧力PM
TAとステツプ100で取込んだ機関回転速度NEとに
基づいて図11に示すマツプから重みに関する係数nを
演算する。なお、スロツトル開度と機関回転速度で重み
に関する係数nのマツプを定めた場合には、ステツプ1
04でステツプ100で取込んだスロツトル開度TAと
機関回転速度NEとで重みに関する係数nを演算するよ
うにしてもよい。次のステツプ106では、ステツプ1
02で演算された吸気管圧力PMTAとステツプ104
で演算された重みに関する係数nと前回のこのルーチン
の実行時にステツプ106で演算された前回の加重平均
値PMSMi-1とを用いて上記で説明した(23)式に従っ
て今回の加重平均値PMSMiを演算する。次のステツ
プ108では今回の加重平均値PMSMiと機関回転速
度NEとに基づいて図12に示すマツプから基本燃料噴
射時間TPを演算する。そして、次のステツプ110に
おいて吸気温や機関冷却水温等で定まる補正係数FKを
基本燃料噴射時間TPに乗算することによって燃料噴射
時間TAU演算する。そして、図示しない制御ルーチン
において所定クランク角になったときに燃料噴射時間T
AUに相当する時間燃料噴射弁を開弁して燃料噴射を実
行する。 【0093】図14は所定クランク角毎に割込みによっ
て点火進角θを演算するルーチンを示すものである。な
お、図14において図13と同一部分については同一符
号を付して説明を省略する。ステツプ112では、今回
演算された加重平均値PMSMiと機関回転速度NEと
により基本点火進角θ BASE を演算する。この基本点火進
角θ BASE は、演算式によって演算してもよく、また基本
燃料噴射時間と同様にマツプを作成してこのマツプから
演算するようにしてもよい。そして、次のステツプ11
4において基本点火進角θBASEに吸気温や機関冷却
水温等で定まる補正係数IKを乗算して点火進角θを求
める。そして図示しない点火時期制御ルーチンにおいて
基本点火進角θでイグナイタをオフすることにより点火
を実行する。 【0094】図15(1)、(2)に、加速時における
従来での加速増量を行なわない場合の空燃比の変化と本
実施の形態での空燃比の変化とを比較して示すと共に燃
料噴射量を求めるための本実施の形態での加重平均値P
MSMと従来の検出した吸気管圧力PMとの相異を示
す。図15から理解されるように、従来例の空燃比は加
速時にリーンスパイクが生じているが、本実施の形態の
空燃比は略フラツトになっている。 【0095】以上説明したように、本参考例では実際の
吸気管圧力を予測して燃料噴射量と点火時期とを制御す
ることにより圧力センサやフイルタを用いることなく、
精度良い燃料噴射量制御と点火時期制御を行なうことが
できる。 【0096】次に上記内燃機関に本発明を適用した第1
実施の形態を説明する。この実施の形態は加重平均値
の演算を所定回繰り返すことによって吸入空気量確定時
(吸気弁全閉時)の実際の吸気管圧力を予測するもので
ある。なお、本実施の形態では更にこの予測した吸気管
圧力によって燃料噴射量を制御するようにしたものであ
る。図16は所定時間(本実施の形態では8msec)毎に
実行して吸入空気量確定時の吸気管圧力の予測値PMS
M2を演算するルーチンを示すものである。ステツプ2
00において機関回転速度NEを取込むと共に、スロツ
トル開度TAのA/D変換を行なってスロツトル開度T
Aを取込む。ステツプ202では図10に示すマツプか
ら機関回転速度NEとスロツトル開度TAとに対応する
定常状態での吸気管圧力PMTAを演算する。次のステ
ツプ204では図11に示すマツプから重み付けに関す
る係数nを演算する。次のステツプ206とステツプ2
08では、レジスタPMSM1に記憶されている前回演
算した加重平均値PMSMi-1をRAMから読出して上
記(23)式に基づいて今回の加重平均値PMSMiを演算
し、ステツプ210においてこの加重平均値PMSMi
をレジスタPMSM1に記憶しておく。次のステツプ2
12では、現在時刻から吸気管圧力予測時点までの時間
Tmsecを図16のルーチンの演算周期Δt(=8msec)
で除算することにより演算回数T/Δtを演算する。こ
の予測時間Tmsecは、現在時刻から吸入空気量確定まで
の時間すなわち現在時刻から吸気弁が閉じるまでの時間
を採用することができ、各気筒独立に燃料を噴射しない
場合には燃料噴射弁から燃焼室までの燃料の飛行時間等
も考慮して決定されるが、現時点から予測先までのクラ
ンク角が同一であってもこの予測時間Tmsecは機関回転
速度が速くなると短くなるので機関回転速度等の運転条
件によって可変することが好ましい(例えば、機関回転
速度が速くなるに従って短くする)。次のステツプ21
4では、演算回数T/Δt回上記(23)式の演算を繰り返
して実行し、ステツプ216においてこの演算した値を
吸気管圧力の予測値PMSM2とする。このように加重
平均値を繰り返して実行することにより最新の加重平均
値は定常運転状態での吸気管圧力値に近づくので、加重
平均値の演算回数を上記のように定めることにより現在
時刻からTmsec先の吸気管圧力(現時点より定常状態に
近い状態での吸気管圧力)を予測することができる。 【0097】図17は所定クランク角(例えば、120
°CA)毎に燃料噴射時間TAUを演算するルーチンを
示すもので、機関回転速度NEとステツプ216で演算
された吸気管圧力の予測値PMSM2とに基づいて図1
2に示すマツプから基本燃料噴射時間TPを演算する。
そして、ステツプ220において上記のステツプ110
と同様にして燃料噴射時間TAUを演算する。 【0098】なお、現在時刻からTmsec経過した時点で
はスロツトル開度や機関回転速度が変化することがある
ため、スロツトル開度の微分値や機関回転速度の微分値
を用いてTmsec先のスロツトル開度や機関回転速度を予
測してTmsec先の定常状態での吸気管圧力を予測し、上
記の加重平均値の演算を繰り返すようにすれば、さらに
精度は向上する。 【0099】上記のように演算したときの加重平均値お
よびTmsec経過後の予測値PMSM2を図18および図
19に示す。図18では、16msec先の予測値と理論値
とを示したが、予測値は理論値と略等しくなっている。
なお、スロツトル開度のA/D変換タイミングは燃料噴
射時間演算タイミングと一致する場合もあるが、最大演
算周期Δtに相当する時間ずれる。従って、このずれ時
間を平均(0+Δt)/2して T± Δt/2時間先
の吸気管圧力を予測するようにしても良い。 【0100】次に、第2実施の形態を説明する。本実施
の形態は燃料の機関壁面付着量を予測し燃料噴射量を補
正するようにしたものである。 【0101】機関燃焼室へ吸入されないで機関壁面に付
着している燃料付着量は、吸気弁閉弁時の吸気管圧力に
よって定まり、例えば、吸気管圧力がPM1の状態から
PM2の状態へ加速した場合、各々の吸気管圧力での燃
料付着厚さをT1、T2とすると、燃料の付着厚さをT
1からT2に増加させるために必要な、壁面への燃料供
給量は、スロツトル開放速度および燃料噴射回数等に関
係なく定まる。そこで、本実施の形態では、ある基準吸
気管圧力(例えば、0mmHgabs )から任意の吸気管圧力
まで変化させたときの壁面に供給すべき噴射量の総付着
量を図22に示すように吸気弁全閉時での吸気管圧力に
対して予めマツプの形でROMに記憶させておく。 【0102】図20は、本実施の形態の所定クランク角
(360°CA)毎に実行される燃料噴射量演算ルーチ
ンを示すもので、ステツプ230においては上記図16
で演算された吸気管圧力の予測値PMSM2と機関回転
速度NEとから基本燃料噴射時間TPを上記と同様に演
算する。次のステツプ232では、吸気温や機関冷却水
温等によって定まる燃料噴射量の補正係数FKを算出す
る。次のステツプ234では、図22のマツプから吸気
管圧力の予測値PMSM2に対応する機関壁面への燃料
付着量FMWETを算出する。そして次のステツプ23
6において基本燃料噴射時間と補正係数FKとを乗算す
ると共に、今回求めた燃料の付着量FMWETから前回
燃料の付着量FMWET OLD を減算した値を補正加算値
として加算することにより燃料噴射時間TAUを求め
る。この補正加算量は吸気管圧力の変化によって生ずる
燃料付着量の変化量を表わしている。そしてステツプ2
38において今回求めた燃料の付着量FMWETを前回
の付着量FMWET OLD としてRAMに記憶する。 【0103】以上のように燃料噴射量を制御することに
よって、図21に示すように斜線で示す部分の量の燃料
が増量され、これによって機関の内壁面に燃料付着厚さ
だけの燃料が付着しても補正加算量によって機関に供給
する燃料は要求値になる。なお、図24はスロツトル開
度、吸気管圧力の予測値および空燃比の変化を示すもの
であり、本実施の形態では破線で示す従来例のようにリ
ーンスパイクは生ぜず空燃比の変動が少なくなってい
る。 【0104】次に第3実施の形態を説明する。上記の
2実施の形態では噴射毎の燃料付着量によって燃料噴射
量を制御するようにしてたが、機関壁面への燃料の付着
は瞬時には安定しないことを考慮して本実施の形態では
各噴射での補正加算量を時間減衰させることによって次
回以降の噴射にも反映させることにより燃焼室への燃料
の供給量を要求値と等しくするようにしている。図25
は本実施の形態の燃料噴射演算ルーチンを示すもので、
例えば所定クランク角(360°CA)毎に実行され
る。なお、図25において図20と同一部分には同一符
号を付して説明を省略する。ステツプ234で燃料付着
量FMWETを算出した後は、ステツプ240において
以下の式に従って補正加算量FAEを算出する。 FAE=0.2・FAE OLD +FMWET −FMWET OLD …(24) なお、FAE OLD は前回演算した補正加算量、FMWE
OLD は前回演算した燃料の壁面への付着量である。 【0105】上記(24)式では、前回の補正加算量FAE
OLD に0. 2を乗算しているので、前回の補正加算量を
80%減衰させて前回の補正加算量の20%を今回の補
正加算量に反映させている。なお、この減衰の仕方は機
関によって最適な方法が選択され、上記のように所定ク
ランク角(上記の例では360°CA)毎に所定量づつ
減衰させても良く、また所定時間毎に所定量づつ減衰さ
せるようにしても良い。 【0106】次のステツプ242では、上記と同様にし
て基本燃料噴射時間と補正係数FKと補正加算量FAE
とを用いて燃料噴射時間TAUを演算する。そして、ス
テツプ244において補正加算量FAEを前回の補正加
算量FAE OLD としてRAMに記憶すると共に、燃料付
着量FMWETを前回の燃料付着量FMWET OLD とし
てRAMに記憶する。 【0107】なお、上記図22では、吸気弁全閉状態で
の吸気管圧力に応じて燃料付着量を定める例について説
明したが、燃料付着量は機関回転速度に応じても変化す
るため図23に示すように吸気管圧力と機関回転速度を
変数として変化するマツプとして記憶させても良い。ま
た、燃料付着量は機関温度によっても変化し、機関温度
が低い程燃料付着量が多くなるので更にこの機関温度を
変数として定めるようにしても良い。また、上記実施の
形態では、加重平均値によって吸気管圧力を予測する例
について説明したが、上記(16)式に従って吸気管圧力
を予測しても良く、定常状態の吸気管圧力を1次遅れ要
素で処理して吸気管圧力を予測しても良い。 【0108】 【発明の効果】以上説明したように本発明は、所定期間
先の吸気管圧力の予測値を求めるようにしたので、所定
期間として現在から吸入空気量が確定するまでの期間を
取れば、吸入空気量確定時の実際の吸気管圧力を予測で
きる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】 【図1】参考例の原理を説明するための線図である。 【図2】吸気系内の実際の吸気管圧力の時間に対する変
化を示す線図である。 【図3】従来のスロツトル開度と機関回転速度とで定ま
る吸気管圧力と実際の吸気管圧力との相異を示す線図で
ある。 【図4】従来のスロツトル開度と機関回転速度とで定ま
る燃料噴射量と要求燃料噴射量との相異を示す線図であ
る。 【図5】他の参考例を説明するためのブロツク図であ
る。 【図6】更に他の参考例を説明するためのブロツク図で
ある。 【図7】内燃機関を示す概略図である。 【図8】スロツトル開度センサの等価回路図である。 【図9】図8の制御回路の詳細を示すブロツク図であ
る。 【図10】定常状態での吸気管圧力のマツプを示す線図
である。 【図11】加重平均値の重み付けに関する係数のマツプ
を示す線図である。 【図12】基本燃料噴射時間のマツプを示す線図であ
る。 【図13】参考例の燃料噴射量演算ルーチンを示す流れ
図である。 【図14】参考例の点火進角演算ルーチンを示す流れ図
である。 【図15】(1)、(2)は従来例と参考例との空燃比
および吸気管圧力の変化を示す線図である。 【図16】第の実施の形態の吸気管圧力の予測値を演
算するルーチンを示す流れ図である。 【図17】第の実施の形態の燃料噴射時間演算ルーチ
ンを示す流れ図である。 【図18】第の実施の形態の吸気管圧力の予測値等の
変化を示す線図である。 【図19】第の実施の形態の吸気管圧力の予測値等の
変化を示す線図である。 【図20】第の実施の形態の燃料噴射時間演算ルーチ
ンを示す流れ図である。 【図21】燃料の壁面付着厚さと吸気管圧力との関係を
示す線図である。 【図22】補正噴射量のマツプを示す線図である。 【図23】補正噴射量のマツプを示す線図である。 【図24】第の実施の形態の空燃比等の変化を従来例
と比較して示す線図である。 【図25】第の実施の形態の燃料噴射量演算ルーチン
を示す流れ図である。 【符号の説明】 8 スロツトル弁 10 スロツトル開度センサ 48 回転角センサ

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.以下の式にしたがって演算された加重平均値PMS
    i を次回の演算において以下の式の過去に演算された
    加重平均値PMSM i-1 として用いて所定回数繰り返し
    演算して加重平均値PMSM i を求め、繰り返し演算後
    の加重平均値PMSM i を吸気管圧力予測時点での吸気
    管圧力として予測する内燃機関の吸気管圧力予測方法。 PMSM i =((n−1)・PMSM i-1 +PMTA)/n ただし、PMTAは、スロットル開度と機関回転速度と
    に基づいて演算されると共に、繰り返し演算中は一定と
    される定常状態での吸気管圧力、 nは、過渡時の吸気管圧力の変化に関する時定数と前記
    演算周期とを用いて演算される重みに関する係数であ
    る。 2.前記定常状態での吸気管圧力PMTAは、スロット
    ル開度の微分値及び機関回転速度の微分値の少なくとも
    一方を用いて演算される吸気管圧力予測時点における定
    常状態での吸気管圧力である請求項1記載の内燃機関の
    吸気管圧力予測方法。 3.前記演算周期を一定とし、スロットル開度と機関回
    転速度とに基いて、又は、定常状態での吸気管圧力と機
    関回転速度とに基いて、前記重みに関する係数nを演算
    する請求項1または2記載の内燃機関の吸気管圧力予測
    方法。 4.前記所定回数を、現在時刻から吸気管圧力予測時点
    までの時間を演算周期で除算して得られる値とした請求
    項1〜3のいずれか1項記載の内燃機関の吸気管圧力予
    測方法。 5.スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段
    と、 機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、 前記検出されたスロットル開度と前記検出された機関回
    転速度とに基づいて所定の演算周期で定常状態での吸気
    管圧力PMTAを演算する吸気管圧力演算手段と、前記演算周期を一定とし、演算された定常状態での吸気
    管圧力と検出された機関回転速度とに基いて、または検
    出されたスロットル開度と検出された機関回転 速度とに
    基づいて、過渡時の吸気管圧力の変化に関する時定数と
    前記演算周期とで定まる重みに関する係数nを演算する
    重み係数演算手段と、 繰り返し演算中は定常状態での吸気管圧力PMTAを一
    定とすると共に、以下の式にしたがって演算された加重
    平均値PMSM i を次回の演算において以下の式の過去
    に演算された加重平均値PMSM i-1 として用て所定回
    数繰り返し演算して加重平均値PMSM i を求め、繰り
    返し演算後の加重平均値PMSM i を吸気管圧力予測時
    点での吸気管圧力として予測する吸気管圧力予測手段
    と、 を備えた内燃機関の吸気管圧力予測装置。 PMSM i =((n−1)・PMSM i-1 +PMTA)/n 6.前記定常状態での吸気管圧力PMTAは、スロット
    ル開度の微分値及び機関回転速度の微分値の少なくとも
    一方を用いて演算される吸気管圧力予測時点における定
    常状態での吸気管圧力である請求項5記載の内燃機関の
    吸気管圧力予測装置。 7.前記所定回数を、現在時刻から吸気管圧力予測時点
    までの時間を演算周期で除算して得られる値とした請求
    項5または6記載の内燃機関の吸気管圧力予測装置。
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