JP3277865B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JP3277865B2
JP3277865B2 JP30761497A JP30761497A JP3277865B2 JP 3277865 B2 JP3277865 B2 JP 3277865B2 JP 30761497 A JP30761497 A JP 30761497A JP 30761497 A JP30761497 A JP 30761497A JP 3277865 B2 JP3277865 B2 JP 3277865B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の蒸発燃料
処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク内で発生する蒸発燃料を一時
的に蓄えるキャニスタと、キャニスタから吸気通路内に
パージされる燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制
御弁とを具備し、燃料ベーパのパージ率が予め定められ
た目標パージ率となるように燃料ベーパのパージ量をパ
ージ制御弁によって制御するようにした内燃機関が公知
である(特開平7−305646号公報参照)。この内
燃機関では燃料ベーパがパージされても空燃比を目標空
燃比に適切に維持しうるように燃料噴射量をフィードバ
ック補正係数およびパージ空燃比補正係数により補正す
るようにしている。
【0003】即ち、通常内燃機関では空燃比を目標空燃
比、例えば理論空燃比にするのに必要な基本燃料噴射時
間を予め実験により求めて記憶しておき、機関排気通路
内に配置された空燃比センサの出力信号に基づいて空燃
比が理論空燃比となるように基本燃料噴射時間をフィー
ドバック補正係数により補正するようにしている。この
場合、フィードバック補正係数は通常基準値、例えば
1.0を中心として上下動を繰返している。
【0004】一方、燃料ベーパのパージ作用が開始され
ると吸入空気中のベーパ濃度を表すパージ空燃比補正係
数によって基本燃料噴射時間が補正され、パージ作用中
においてもフィードバック補正係数は1.0を中心とし
て上下動を繰返している。即ち、パージ作用が開始され
ると空燃比がリッチとなるためにフィードバック補正係
数は空燃比が理論空燃比となるまで低下する。このとき
のフィードバック補正係数の低下量は吸入空気中のベー
パ濃度を表している。そこでこのベーパ濃度を求めるた
めにフィードバック補正係数が1.0に戻るまでパージ
空燃比補正係数が徐々に更新される。この場合、最終的
なパージ空燃比補正係数はベーパ濃度を表すことにな
り、この最終的なパージ空燃比補正係数分だけ燃料噴射
時間が短かくされる。最終的なパージ空燃比補正係数が
算出されるとフィードバック補正係数は再び1.0を中
心として上下動を繰返す。
【0005】なお、実際にはベーパ濃度を算出するため
にフィードバック補正係数に対して1.0を中心とした
狭い範囲が設定されており、フィードバック補正係数が
この設定範囲を越えた場合に限ってフィードバック補正
係数が設定範囲内に戻るようにパージ空燃比補正係数が
減少又は増大せしめられる。このように燃料噴射量をフ
ィードバック補正係数とベーパ空燃比補正係数により補
正することによってパージ作用が行われたときでも空燃
比が理論空燃比に維持される。
【0006】一方、何らかの原因でもってフィードバッ
ク補正係数が1.0から大巾にずれると空燃比が過度に
リーンになるか又は過度にリッチになる。従ってこのよ
うにフィードバック補正係数が1.0から大巾にずれる
のを阻止しなければならない。そこで通常はフィードバ
ック補正係数に対して変動許容限界が定められており、
フィードバック補正係数はこの変動許容限界内でのみし
か変動しえないようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで燃料ベーパは
キャニスタ内の圧力と吸気通路内の圧力との圧力差によ
って吸気通路内に吸引されるのでパージ制御弁の開度を
一定にしておくと吸気通路内の負圧が大きくなるほどパ
ージ率が大きくなる。従ってこの場合、パージ率を一定
に維持するためには吸気通路内の負圧が大きくなるほど
パージ制御弁の開度を小さくする必要がある。従って従
来よりパージ率を目標パージ率に維持するために機関の
運転状態に応じてパージ制御弁の開度を制御するように
している。
【0008】ところでキャニスタの活性炭に吸着されて
いる燃料ベーパはキャニスタ内の圧力と吸気通路内の圧
力との圧力差によって吸気通路内に吸引されるのでキャ
ニスタの活性炭に吸着されている燃料ベーパがパージさ
れているときには上述の如く機関の運転状態に応じてパ
ージ制御弁の開度を制御すればパージ率を目標パージ率
に維持することができ、斯くして空燃比が変動するのを
阻止することができる。
【0009】ところが例えば機関の運転が開始されて暫
らくすると燃料タンク内の燃料温の上昇や振動によって
燃料タンク内に多量の蒸発燃料が発生し、燃料タンク内
に発生した蒸発燃料がパージ通路を介して直接吸気通路
内に流入するようになる。ところがこの場合、燃料ベー
パは燃料タンクから吸気通路内に押し出されるので燃料
タンクから吸気通路内に供給される燃料ベーパの量は吸
気通路内に発生している負圧の大きさに依存せず、燃料
タンク内に発生している蒸発燃料の量に依存することに
なる。従って燃料タンクから吸気通路内に直接供給され
る燃料ベーパの量が増大するとパージ制御弁によりパー
ジ率が目標パージ率となるように制御していたとしても
パージ量の変化に応じて吸入空気中の燃料ベーパ濃度が
大巾に変動するようになる。
【0010】即ち、パージ率が目標パージ率となるよう
に制御されているときには吸入空気量が減少すればパー
ジ量が減少せしめられ、吸入空気量が増大すればパージ
量が増大せしめられる。この場合、パージ量が増大せし
められるとそれに正比例してキャニスタからの燃料ベー
パのパージ量が増大せしめられるが燃料タンクからの燃
料ベーパのパージ量は一定に維持される。従ってパージ
量が増大せしめられると吸入空気中の燃料ベーパ濃度が
低くなる。このように燃料タンクから吸気通路内に直接
供給される燃料ベーパの量が増大するとパージ量が増大
したときには吸入空気中の燃料ベーパ濃度が低くなり、
パージ量が減少したときには吸入空気中の燃料ベーパ濃
度が高くなる。
【0011】ところでこのようにパージ量の変化に応じ
て燃料ベーパ濃度が大巾に変動する場合であっても燃料
ベーパ濃度の変動に追従してフィードバック補正係数が
変化すれば空燃比はさほど変動しない。即ち、例えば減
速運転時におけるように吸入空気量が低下し、パージ量
が減少すると燃料ベーパ濃度が大巾に増大し、従ってフ
ィードバック補正係数は空燃比を理論空燃比に維持すべ
く小さくなる。このとき空燃比が理論空燃比になるまで
フィードバック補正係数が小さくなり得れば空燃比はさ
ほど変動しない。
【0012】しかしながら従来では前述したようにフィ
ードバック補正係数が設定範囲を越えるとフィードバッ
ク補正係数は1.0付近の設定範囲内に戻される。即
ち、例えばパージ量が少なく、従って燃料ベーパ濃度が
高いときでもフィードバック補正係数は1.0付近の設
定範囲内に戻される。従ってこの状態から加速運転が行
われ、パージ量が増大すると燃料ベーパ濃度が大巾に低
下するためにフィードバック補正係数は空燃比を理論空
燃比に維持すべく1.0付近から増大することになる。
しかしながらこのとき燃料ベーパ濃度の変動量が大きい
ためにフィードバック補正係数は変動許容限界まで達
し、もはやそれ以上増大することができなくなる。即
ち、フィードバック補正係数は空燃比が理論空燃比にな
るまで大きくなり得ないことになる。その結果、空燃比
は大巾にリーンとなり、斯くして良好な加速運転が得ら
れないばかりでなく、排気エミッションが悪化するとい
う問題を生ずることになる。
【0013】同様なことが減速運転時におけるようにパ
ージ量が減少せしめられる場合にも生ずる。即ち、パー
ジ量が多く、燃料ベーパ濃度が低いときでもフィードバ
ック補正係数は1.0付近の設定範囲内に戻される。従
ってこの状態から減速運転が行われ、パージ量が減少す
ると燃料ベーパ濃度が大巾に増大するためにフィードバ
ック補正係数は空燃比を理論空燃比に維持すべく1.0
付近から低下することになる。しかしながらこのとき燃
料ベーパ濃度の変動量が大きいためにフィードバック補
正係数は変動許容限界まで達し、もはやそれ以上低下す
ることができなくなる。即ち、フィードバック補正係数
は空燃比が理論空燃比になるまで小さくなり得ないこと
になる。その結果、空燃比は大巾にリッチとなり、斯く
して排気エミッションが悪化するという問題を生ずるこ
とになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】1番目の発明では上記問
題点を解決するために、吸気通路内にパージされる燃料
ベーパのパージ率が予め定められた目標パージ率となる
ように該燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制御弁
と、空燃比を検出するための空燃比検出手段と、フィー
ドバック補正係数およびパージ空燃比補正係数により燃
料噴射量を補正する補正手段とを具備し、フィードバッ
ク補正係数は空燃比検出手段により検出された空燃比に
基づいて空燃比が目標空燃比となるように基準値に対し
て増大又は減少し、パージ空燃比補正係数はフィードバ
ック補正係数の変動平均値が上述の基準値を中心とする
予め定められた第1の設定範囲を越えたときにフィード
バック補正係数の変動平均値が第1の設定範囲内に戻る
ように増大又は減少し、フィードバック補正係数の変動
しうる変動許容限界が予め定められている内燃機関の蒸
発燃料処理装置において、吸入空気中の燃料ベーパ濃度
がパージ量の変化に応じて一定濃度以上変化する機関運
転状態であるか否かを判断する判断手段を具備し、燃料
ベーパ濃度がパージ量の変化に応じて一定濃度以上変化
しない機関運転状態のときにはパージ空燃比補正係数に
よってフィードバック補正係数の変動平均値が第1の設
定範囲内に戻るように制御され、燃料ベーパ濃度がパー
ジ量の変化に応じて一定濃度以上変化する機関運転状態
のときにはフィードバック補正係数の変動平均値が第1
の設定範囲よりも広くかつ上述の変動許容限界よりも範
囲が狭い予め定められた第2の設定範囲の上限又は下限
を越えたときにフィードバック補正係数の変動平均値が
夫々第2の設定範囲の上限又は下限付近まで戻るように
パージ空燃比補正係数が増大又は減少せしめられ、次い
でパージ空燃比補正係数は空燃比が目標空燃比となるよ
うに第2の設定範囲のほぼ上限又は下限において変動す
る。
【0015】即ち、燃料ベーパ濃度がパージ量に応じて
一定濃度以上変化する機関運転状態、云い換えると燃料
ベーパ濃度がパージ量に応じて大巾に変動する機関運転
状態のときにはフィードバック補正係数の変動平均値が
第2の設定範囲の上限を越えたときにフィードバック補
正係数の変動平均値が第2の設定範囲の上限付近まで戻
され、フィードバック補正係数の変動平均値が第2の設
定範囲の下限を越えたときにフィードバック補正係数の
変動平均値が第2の設定範囲の下限付近まで戻される。
即ち、パージ量が多いときにはフィードバック補正係数
の変動平均値は第2の設定範囲の上限付近に維持され、
パージ量の少ないときにはフィードバック補正係数の変
動平均値は第2の設定範囲の下限付近に維持される。
【0016】従って例えばパージ量の多い運転状態から
パージ量の少ない運転状態に移行したとするとフィード
バック補正係数は第2の設定範囲の上限付近から低下す
るのでフィードバック補正係数は変動許容限界に達する
ことなく空燃比が目標空燃比となるまで低下することが
できる。一方、パージ量の少ない運転状態からパージ量
の多い運転状態に移行したとするとフィードバック補正
係数は第1の設定範囲の下限付近から増大するのでフィ
ードバック補正係数は変動許容限界に達することなく空
燃比が目標空燃比となるまで増大することができる。
【0017】2番目の発明では1番目の発明において、
フィードバック補正係数の変動平均値が第2の設定範囲
を越えたときにはフィードバック補正係数の変動平均値
が第2の設定範囲を越えている分だけ第2の設定範囲に
向けて戻るようにパージ空燃比補正係数が増大又は減少
せしめられる。3番目の発明では1番目の発明におい
て、第1の設定範囲の上限および下限は一定値とされ、
第2の設定範囲の上限又は下限は燃料ベーパのパージ量
又は燃料ベーパのパージ量を代表する代表値に応じて変
化する。
【0018】4番目の発明では3番目の発明において、
代表値が吸入空気量、パージ制御弁の開弁量、吸気通路
内に発生する負圧、燃料噴射量および吸気通路内に配置
されたスロットル弁の開度のうちの少なくとも一つであ
る。5番目の発明では3番目の発明において、第2の設
定範囲の上限は燃料ベーパのパージ量又は代表値が増大
するほど第1の設定範囲の上限に対して大きくなる。
【0019】6番目の発明では3番目の発明において、
第2の設定範囲の上限は燃料ベーパのパージ量又は代表
値が予め定められた値よりも小さいときには第1の設定
範囲の上限に一致しており、燃料ベーパのパージ量又は
代表値が予め定められた値よりも大きいときには第1の
設定範囲の上限よりも大きくなる。7番目の発明では3
番目の発明において、第2の設定範囲の下限は燃料ベー
パのパージ量又は代表値が増大するほど第1の設定範囲
の下限に対して小さくなる。
【0020】8番目の発明では3番目の発明において、
第2の設定範囲の下限は燃料ベーパのパージ量又は代表
値が予め定められた値よりも小さいときには第1の設定
範囲の下限に一致しており、燃料ベーパのパージ量又は
代表値が予め定められた値よりも大きいときには第1の
設定範囲の下限よりも小さくなる。9番目の発明では1
番目の発明において、燃料ベーパ濃度がパージ量の変化
に応じて一定濃度以上変化する機関運転状態のときに吸
入空気中の燃料ベーパ濃度が低くなるにつれて第2の設
定範囲の上限を徐々に大きくし、第2の設定範囲の下限
を徐々に小さくする。
【0021】10番目の発明では9番目の発明におい
て、機関の運転状態がアイドリング運転以外の運転状態
であるときに吸入空気中の燃料ベーパ濃度が低くなるに
つれて第2の設定範囲の上限を徐々に大きくし、第2の
設定範囲の下限を徐々に小さくする。11番目の発明で
は1番目の発明において、判断手段は、機関の運転開始
後におけるパージ作用の実行時間が予め定められた時間
を越えたときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に応じて一
定濃度以上変化する機関運転状態であると判断する。
【0022】12番目の発明では11番目の発明におい
て、上述の予め定められた時間は大気温が高いほど短か
くされる。13番目の発明では1番目の発明において、
フィードバック補正係数の変動平均値を第1の設定範囲
内に維持するようにパージ空燃比補正係数の更新作用を
行う更新手段を具備し、判断手段は、パージ空燃比補正
係数の更新作用の回数が予め定められた回数を越えたと
きに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に応じて一定濃度以上
変化する機関運転状態であると判断する。
【0023】14番目の発明では1番目の発明におい
て、判断手段は、フィードバック補正係数の変動平均値
が上述の基準値を中心とする予め定められた範囲を越え
たときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に応じて一定濃度
以上変化する機関運転状態であると判断する。15番目
の発明では1番目の発明において、燃料タンク内の圧力
の代表値を検出する検出手段を具備し、判断手段は、燃
料タンク内の圧力の代表値が予め定められた値を越えた
ときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に応じて一定濃度以
上変化する機関運転状態であると判断する。
【0024】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、1は機関本
体、2は吸気枝管、3は排気マニホルド、4は各吸気枝
管2に夫々取付けられた燃料噴射弁を示す。各吸気枝管
2は共通のサージタンク5に連結され、このサージタン
ク5は吸気ダクト6およびエアフローメータ7を介して
エアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはスロ
ットル弁9が配置される。また、図1に示されるように
内燃機関は活性炭10を内蔵したキャニスタ11を具備
する。このキャニスタ11は活性炭10の両側に夫々燃
料蒸気室12と大気室13とを有する。燃料蒸気室12
は一方では導管14を介して燃料タンク15に連結さ
れ、他方では導管16を介してサージタンク5内に連結
される。導管16内には電子制御ユニット20の出力信
号に制御されるパージ制御弁17が配置される。燃料タ
ンク15内で発生した燃料蒸気は導管14を介してキャ
ニスタ11内に送り込まれて活性炭10に吸着される。
パージ制御弁17が開弁すると空気が大気室13から活
性炭10内を通って導管16内に送り込まれる。空気が
活性炭10内を通過する際に活性炭10に吸着されてい
る燃料蒸気が活性炭10から脱離され、斯くして燃料蒸
気を含んだ空気、即ち燃料ベーパが導管16を介してサ
ージタンク5内にパージされる。
【0025】電子制御ユニット20はディジタルコンピ
ュータからなり、双方向性バス21によって相互に接続
されたROM(リードオンリメモリ)22,RAM(ラ
ンダムアクセスメモリ)23,CPU(マイクロプロセ
ッサ)24、入力ポート25および出力ポート26を具
備する。エアフローメータ7は吸入空気量に比例した出
力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換器2
7を介して入力ポート25に入力される。スロットル弁
9にはスロットル弁開度を検出するためのスロットルセ
ンサ28が取付けられ、このスロットルセンサ28の出
力信号が対応するAD変換器27を介して入力ポート2
5に入力される。機関本体1には機関冷却水温に比例し
た出力電圧を発生する水温センサ29が取付けられ、こ
の水温センサ29の出力電圧が対応するAD変換器27
を介して入力ポート25に入力される。排気マニホルド
3には空燃比センサ31が取付けられ、この空燃比セン
サ31の出力信号が対応するAD変換器27を介して入
力ポート25に入力される。更に入力ポート25にはク
ランクシャフトが例えば30度回転する毎に出力パルス
を発生するクランク角センサ33が接続される。CPU
24ではこの出力パルスに基づいて機関回転数が算出さ
れる。一方、出力ポート26は対応する駆動回路30を
介して燃料噴射弁4およびパージ制御弁17に接続され
る。
【0026】図1に示す内燃機関では基本的には次式に
基づいて燃料噴射時間TAUが算出される。 TAU=TP・FW・(FAF+KGj−FPG) ここで各係数は次のものを表わしている。 TP:基本燃料噴射時間 FW:補正係数 FAF:フィードバック補正係数 KGj:空燃比の学習係数 FPG:パージ空燃比補正係数(以下、パージA/F補
正係数と称する) 基本燃料噴射時間TPは空燃比を目標空燃比とするのに
必要な実験により求められた噴射時間であってこの基本
燃料噴射時間TPは機関負荷Q/N(吸入空気量Q/機
関回転数N)および機関回転数Nの関数として予めRO
M22内に記憶されている。
【0027】補正係数FWは暖機増量係数や加速増量係
数を一まとめにして表わしたもので増量補正する必要が
ないときにはFW=1.0となる。フィードバック補正
係数FAFは空燃比センサ31の出力信号に基づいて空
燃比を目標空燃比に制御するために設けられている。パ
ージA/F補正係数FPGは機関の運転が開始されてか
らパージが開始されるまでの間はFPG=0とされ、パ
ージ作用が開始されると燃料ベーパ濃度が高くなるほど
大きくなる。なお、機関運転中においてパージ作用が一
時的に停止されたときはパージ作用の停止期間中、FP
G=0とされる。
【0028】ところで上述したようにフィードバック補
正係数FAFは空燃比センサ31の出力信号に基づいて
空燃比を目標空燃比に制御するためのものである。この
場合、目標空燃比としてはどのような空燃比を用いても
よいが図1に示す実施例では目標空燃比が理論空燃比と
されており、従って以下目標空燃比を理論空燃比とした
場合について説明する。なお、目標空燃比が理論空燃比
であるときには空燃比センサ31として排気ガス中の酸
素濃度に応じ出力電圧が変化するセンサが使用され、従
って以下空燃比センサ31をO2 センサと称する。この
2 センサ31は空燃比が過濃側のとき、即ちリッチの
とき0.9(V)程度の出力電圧を発生し、空燃比が稀
薄側のとき、即ちリーンのとき0.1(V)程度の出力
電圧を発生する。
【0029】図2は空燃比が目標空燃比に維持されてい
るときのO2 センサ31の出力電圧Vとフィードバック
補正係数FAFとの関係を示している。図2に示される
ようにO2 センサ31の出力電圧Vが基準電圧、例えば
0.45(V)よりも高くなると、即ち空燃比がリッチ
になるとフィードバック補正係数FAFはスキップ量S
だけ急激に低下せしめられ、次いで積分定数Kでもって
徐々に減少せしめられる。これに対してO2 センサ31
の出力電圧Vが基準電圧よりも低くなると、即ち空燃比
がリーンになるとフィードバック補正係数FAFはスキ
ップ量Sだけ急激に増大せしめられ、次いで積分定数K
でもって徐々に増大せしめられる。
【0030】即ち、空燃比がリッチになるとフィードバ
ック補正係数FAFが減少せしめられるので燃料噴射量
が減少せしめられ、空燃比がリーンになるとフィードバ
ック補正係数FAFが増大せしめられるために燃料噴射
量が増大せしめられ、斯くして空燃比が理論空燃比に制
御されることになる。図2に示されるようにこのときフ
ィードバック補正係数FAFは基準値、即ち1.0を中
心として上下動する。
【0031】また、図2においてFAFLは空燃比がリ
ーンからリッチになったときのフィードバック補正係数
FAFの値を示しており、FAFRは空燃比がリッチか
らリーンになったときのフィードバック補正係数FAF
の値を示している。本発明による実施例ではフィードバ
ック補正係数FAFの変動平均値(以下、単に平均値と
いう)としてこれらFAFLとFAFRとの平均値が用
いられている。
【0032】次に図3を参照しつつパージ作用の概略に
ついて説明する。なお、図3においてPGRは燃料ベー
パのパージ率を示している。図3に示されるように本発
明による実施例では機関の運転開始後、初めてパージ作
用が開始されたときにはパージ率PGRは零から徐々に
増大せしめられ、パージ率PGRが一定値、例えば6パ
ーセントに達するとその後はパージ率PGRが一定に維
持される。
【0033】一方、パージ作用が開始されるとキャニス
タ11の活性炭10に吸着されている蒸発燃料が導管1
6を介してサージタンク5内にパージされ、更にこのと
きには燃料タンク15内に発生している蒸発燃料の一部
が導管16を介して直接サージタンク5内にパージされ
る。しかしながら機関の運転が開始された直後は通常、
燃料タンク15内にさほど蒸発燃料は発生しておらず、
従ってこのときパージされる大部分の燃料ベーパは活性
炭10から脱離した蒸発燃料によるものである。
【0034】パージが開始されてパージ率PGRが徐々
に増大するとそれに伴なってパージ量が増大するために
吸入空気中の燃料ベーパ濃度は徐々に増大する。次いで
暫らくすると燃料ベーパ濃度は低下し始める。即ち、パ
ージを開始すると活性炭10に吸着されている蒸発燃料
の量が次第に少なくなり、従ってパージ開始後暫らくす
ると燃料ベーパ濃度が低下し始めることになる。パージ
が開始されてから燃料ベーパ濃度が低下するまでの期間
が図3においてIで示される。
【0035】一方、期間Iを経過すると燃料ベーパ濃度
が増大し始める。即ち、機関の運転が開始されると燃料
タンク15内の燃料温が次第に高くなり、斯くして燃料
タンク15内に多量の蒸発燃料が発生する。燃料タンク
15内に多量の蒸発燃料が発生すると燃料タンク15内
の蒸発燃料が導管14および導管16を介して直接サー
ジタンク5内に押し出され、斯くして燃料ベーパ濃度が
増大することになる。図3においてαは活性炭10から
脱離した蒸発燃料による燃料ベーパ濃度を表しており、
βは燃料タンク15から押し出された蒸発燃料による燃
料ベーパ濃度を表している。
【0036】これらα,βからわかるように活性炭10
から脱離した蒸発燃料による燃料ベーパ濃度は次第に減
少していくのに対して、燃料タンク15から押し出され
た蒸発燃料による燃料ベーパ濃度は次第に上昇してい
く。このように燃料タンク15から蒸発燃料が押し出さ
れる期間が図3においてIIで示される。なお、図3に示
される燃料ベーパ濃度の変化曲線およびαとβとの割合
は説明のためにおおよその傾向を示したものであり、特
にβについては運転状態に応じて種々に変化する。
【0037】次に図4を参照しつつ燃料ベーパ濃度の学
習について説明する。この燃料ベーパ濃度の学習は単位
パージ率当りのベーパ濃度を正確に求めることから始ま
る。この単位パージ率当りのベーパ濃度が図4において
FGPGで示されている。パージA/F補正係数FPG
はFGPGにパージ率PGRを乗算することによって得
られる。
【0038】単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGは
フィードバック補正係数FAFがスキップ(図2のS)
する毎に次式に基づいて算出される。 tFG=(1−FAFAV)/(PGR・a) FGPG=FGPG+tFG ここでtFGはFAFのスキップ毎に行われるFGPG
の更新量を示しており、FAFAVはフィードバック補
正係数の平均値(=(FAFL+FAFR)/2)を示
しており、本発明による実施例ではaは2に設定されて
いる。
【0039】即ち、パージが開始されると空燃比がリッ
チとなるために空燃比を理論空燃比とすべくフィードバ
ック補正係数FAFが小さくなる。次いで時刻t1 にお
いてO2 センサ31により空燃比がリッチからリーンに
切替ったと判断されるとフィードバック補正係数FAF
は増大せしめられる。この場合、パージが開始されてか
ら時刻t1 に至るまでのフィードバック補正係数FAF
の変化量ΔFAF(ΔFAF=(1.0−FAF))は
BR>パージ作用による空燃比の変動量を表しており、こ
の変動量ΔFAFは時刻t1 における燃料ベーパ濃度を
表わしている。
【0040】時刻t1 に達すると空燃比は理論空燃比に
維持され、その後空燃比が理論空燃比からずれないよう
にフィードバック補正係数の平均値FAFAVを1.0
まで戻すために単位パージ率当りのベーパ濃度FGPG
がフィードバック補正係数FAFのスキップ毎に徐々に
更新される。このときのFGPGの一回当りの更新量t
FGは1.0に対するフィードバック補正係数の平均値
FAFAVのずれ量の半分とされ、従ってこの更新量t
FGは上述した如くtFG=(1−FAFAV)/(P
GR・2)となる。
【0041】図4に示されるようにFGPGの更新作用
が数回繰返されるとフィードバック補正係数の平均値F
AFAVは1.0に戻り、その後は単位パージ率当りの
ベーパ濃度FGPGは一定となる。このようにFGPG
が一定になるということはこのときのFGPGが単位パ
ージ率当りのベーパ濃度を正確に表わしていることを意
味しており、従ってベーパ濃度の学習が完了したことを
意味している。なお、活性炭10に吸着されている蒸発
燃料の量が少なくなればそれに伴って単位パージ率当り
のベーパ濃度FGPGも小さくなるのでそのときには再
度FGPGの更新が行われる。
【0042】一方、実際の燃料ベーパ濃度は単位パージ
率当りのベーパ濃度FGPGにパージ率PGRを乗算し
た値となる。従って実際の燃料ベーパ濃度を表わすパー
ジA/F補正係数FPG(=FGPG・PGR)は図4
に示されるようにFGPGが更新される毎に更新され、
パージ率PGRが増大するにつれて増大する。上述した
ようにフィードバック補正係数FAFが基準値、即ち
1.0に対してずれるとフィードバック補正係数の平均
値FAFAVは1.0に戻される。この点に関し、本発
明による実施例ではフィードバック補正係数FAFに対
して基準値を中心とした第1の設定範囲が定められてお
り、フィードバック補正係数の平均値FAFAVがこの
第1の設定範囲を越えたときにFAFAVが第1の設定
範囲内に戻される。本発明による実施例では図4に示さ
れるように第1の設定範囲の上限値が1.02とされ、
下限値が0.98とされている。
【0043】このように本発明による実施例ではベーパ
濃度を求めるためにフィードバック補正係数の平均値F
AFAVが第1の設定範囲を越えるとフィードバック補
正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内に戻され
る。しかしながらフィードバック補正係数FAFをこの
ように制御すると燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が
発生したとき、即ち図3の期間IIにおいて問題を生ず
る。次にこのことについて図5および図6を参照しつつ
説明する。
【0044】前述したようにフィードバック補正係数F
AFは1.0を中心として上下動している。しかしなが
ら何らかの原因でもってフィードバック補正係数FAF
が1.0から大巾にずれる場合がある。フィードバック
補正係数FAFが1.0から大巾にずれると空燃比が過
度にリーンになるかリッチになるのでフィードバック補
正係数FAFが1.0から大巾にずれるのを阻止する必
要があり、従って通常フィードバック補正係数FAFに
対して変動許容限界が定められている。この変動許容限
界の上限は通常1.2であり、下限は0.8である。
【0045】一方、燃料タンク15内に多量の蒸発燃料
が発生すると燃料タンク15内の蒸発燃料がサージタン
ク5内に直接押し出されるようになる。このような状態
になると燃料タンク15内からサージタンク5内に直接
供給される蒸発燃料の量はサージタンク5内の負圧の大
きさに依存せず、燃料タンク15内に発生している蒸発
燃料の量に依存するようになる。この場合にはパージ制
御弁17によってパージ率が目標パージ率になるように
制御されていても冒頭で述べたようにパージ量の変化に
応じて吸入空気中の燃料ベーパ濃度が大巾に変動するこ
とになる。次にこのことについて図5および図6を参照
しつつ説明する。
【0046】図5はパージ制御弁17によりパージ率が
目標パージ率になるように制御されている場合において
燃料タンク5内に蒸発燃料がさほど発生していない場合
を示している。また、図5(A)はパージガス中に含ま
れる空気と燃料の割合を示している。燃料タンク5内に
蒸発燃料がさほど発生していない場合にはパージガス中
の燃料はキャニスタ11の炭性炭10から脱離した燃料
であり、この場合には図5(A)に示されるようにパー
ジ量の増大に比例してパージガス中に含まれる空気量お
よび燃料量が増大する。この場合には図5(B)に示さ
れるように吸入空気中のベーパ濃度はパージ量にかかわ
らずに一定に維持される。
【0047】一方、図6はパージ制御弁17によりパー
ジ率が目標パージ率になるように制御されている場合に
おいて燃料タンク5内に多量の蒸発燃料が発生している
場合を示している。この場合には燃料タンク5内から吸
気通路内に蒸発燃料が直接押し出されるので図6(A)
の燃料IIで示されるように燃料タンク5内から吸気通路
内に供給される燃料量はパージ量とは無関係に一定とな
る。一方、キャニスタ11の活性炭10から脱離した燃
料Iおよび空気はパージ量の増大に伴なって増大する。
【0048】このように燃料タンク5内に多量の蒸発燃
料が発生した場合にはパージガス中に含まれる燃料は燃
料Iと燃料IIとの和となり、従ってパージガスのベーパ
濃度はパージ量が少なくなるほど高くなる。その結果、
図6(B)に示されるように吸入空気中のベーパ濃度も
パージ量が少なくなるほど高くなり、パージ量が多くな
るほど低くなる。
【0049】図7および図8はこのようにパージ量に応
じて吸入空気中のベーパ濃度が大巾に変動する場合のフ
ィードバック補正係数FAFの変化を示している。な
お、図7は本発明の実施例と同様にフィードバック補正
係数FAFがスキップする毎にパージA/F補正係数F
PGが更新される場合を示している。図7に示されるよ
うに時刻t1 の前にはフィードバック補正係数の平均値
FAFAVが第1の設定範囲内に維持されていたとす
る。次いで時刻t1 において減速運転が行われたとする
と時刻t1 において吸入空気量Qが大巾に減少し、パー
ジ量が大巾に減少する。パージ量が大巾に減少するとベ
ーパ濃度が増大し、斯くして空燃比がリッチとなる。空
燃比がリッチになると空燃比を理論空燃比に維持すべく
フィードバック補正係数FAFが低下する。
【0050】ところが燃料タンク15内に多量の蒸発燃
料が発生しているときにパージ量が大巾に変化するとこ
のときの燃料ベーパ濃度の変化量は大きく、従って図7
に示されるように空燃比が理論空燃比となる前にフィー
ドバック補正係数FAFが変動許容限界の下限、即ち
0.8に到達することになる。フィードバック補正係数
FAFが変動許容限界の下限に達するとその後FAFは
0.8に維持される。このようにFAFが0.8に維持
されているとその間空燃比は大巾にリッチになり続け、
斯くして排気エミッションが悪化することになる。
【0051】次いで時刻t2 において吸入空気量Qが少
し増大せしめられたとするとパージ量も少し増大せしめ
られ、その結果ベーパ濃度が低くなるためにフィードバ
ック補正係数FAFが上昇を開始する。フィードバック
補正係数FAFが上昇を開始するとパージA/F補正係
数FPGの更新作用が開始され、フィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内に戻される。
【0052】次いで時刻t3 において加速運転が行われ
たとするとパージ量は大巾に増大し、その結果ベーパ濃
度が大巾に低下するために空燃比が理論空燃比になる前
にフィードバック補正係数FAFが変動許容限界の上
限、即ち1.2に到達する。従ってこの場合には空燃比
が大巾にリーンとなり続け、斯くして排気エミッション
が悪化すると共に良好な加速運転が確保できなくなるこ
とになる。
【0053】図8はフィードバック補正係数FAFが変
動許容限界の下限、即ち0.8に到達したときにはパー
ジA/F補正係数FPGを徐々に増大させ、フィードバ
ック補正係数FAFが変動許容限界の上限、即ち1.2
に到達したときにはパージA/F補正係数FPGを徐々
に低下させるようにした場合を示している。この場合で
もフィードバック補正係数FAFは0.8又は1.2に
一時的に維持されるので空燃比は大巾にリッチ又は大巾
にリーンになる。
【0054】そこで本発明では図9に示されるように第
1の設定範囲よりも広い第2の設定範囲(tK1とtK
2間の範囲)を設定し、フィードバック補正係数の平均
値FAFAVが第2の設定範囲の上限値tK1を越えた
ときにはフィードバック補正係数の平均値FAFAVを
上限値tK1付近に戻し、フィードバック補正係数の平
均値FAFAVが第2の設定範囲での下限値tK2を越
えたときにはフィードバック補正係数の平均値FAFA
Vを第2の設定範囲の下限値tK2付近まで戻すように
している。
【0055】図9の第2の設定範囲の上限値tK1およ
び下限値tK2は本発明による第1実施例を示してお
り、この第1実施例ではこれら上限値tK1および下限
値tK2は一定値とされている。具体的には上限値tK
1は1.02よりも大きく1.2よりも小さい値であっ
て例えば1.15であり、また、下限値tK2は0.9
8よりも小さく0.8よりも大きい値であって例えば
0.85である。
【0056】この第1実施例ではフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが上限値tK1を越えたときには
フィードバック補正係数の平均値FAFAVが上限値t
K1を越えた分だけ上限値tK1に向けて戻るようにパ
ージA/F補正係数FPGが更新される。従って図9に
示されるようにフィードバック補正係数の平均値FAF
AVが上限値tK1を越えるとその後FAFAVはほぼ
上限値tK1に維持される。一方、フィードバック補正
係数の平均値FAFAVが下限値tK2を越えたときに
はフィードバック補正係数の平均値FAFAVが下限値
tK2を越えた分だけ下限値tK2に向けて戻るように
パージA/F補正係数FPGが更新される。従って図9
に示されるようにフィードバック補正係数の平均値FA
FAVが下限値tK2を越えるとその後FAFAVはほ
ぼ下限値tK2に維持される。
【0057】この第1実施例では燃料タンク15内に多
量の蒸発燃料が発生する運転状態になるとフィードバッ
ク補正係数FAFに対する設定範囲が図4に示される第
1の設定範囲(0.98と1.02の間)から図9に示
される第2の設定範囲(tK1とtK2の間)に切換え
られる。第1の設定範囲から第2の設定範囲に切換えら
れた後に吸入空気量が大巾に増大せしめられ、従ってパ
ージ量が大巾に増大せしめられるとフィードバック補正
係数FAFは一旦は1.2に維持されるが最終的には図
9に示されるように第2の設定範囲の上限値tK1付近
に維持される。一方、第1の設定範囲から第2の設定範
囲に切換えられた後に吸入空気量が大巾に減少せしめら
れ、従ってパージ量が大巾に減少せしめられるとフィー
ドバック補正係数FAFは一旦は0.8に維持されるが
最終的には図9に示されるように第2の設定範囲の下限
値tK2付近に維持される。
【0058】このように例えばフィードバック補正係数
FAFが上限値tK1付近に維持されているときに吸入
空気量Qが大巾に減少せしめられ、パージ量が大巾に減
少せしめられると図9に示されるようにフィードバック
補正係数FAFは空燃比が理論空燃比になるまで低下し
うるようになる。斯くして空燃比が大巾にリッチになる
のを阻止することができる。一方、フィードバック補正
係数FAFが下限値tK2付近に維持されているときに
吸入空気量Qが大巾に増大せしめられ、パージ量が大巾
に増大せしめられると図9に示されるようにフィードバ
ック補正係数FAFは空燃比が理論空燃比になるまで上
昇しうるようになる。斯くして空燃比が大巾にリーンに
なるのを阻止することができる。
【0059】次に図10および図11を参照しつつパー
ジ制御ルーチンについて説明する。なお、このルーチン
は一定時間毎の割込みによって実行される。図10およ
び図11を参照するとまず初めにステップ50において
パージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比の計算時
期か否かが判別される。本発明による実施例ではデュー
ティ比の計算は100msec毎に行われる。デューティ比
の計算時期でないときにはステップ62にジャンプして
パージ制御弁17の駆動処理が実行される。これに対し
てデューティ比の計算時期であるときにはステップ51
に進んでパージ条件1が成立しているか否か、例えば暖
機が完了したか否かが判別される。パージ条件1が成立
していないときにはステップ63に進んで初期化処理が
行われ、次いでステップ64ではデューティ比DPGお
よびパージ率PGRが零とされる。これに対してパージ
条件1が成立しているときにはステップ52に進んでパ
ージ条件2が成立しているか否か、例えば空燃比のフィ
ードバック制御が行われているか否かが判別される。パ
ージ条件2が成立していないときにはステップ64に進
み、パージ条件2が成立しているときにはステップ53
に進む。
【0060】ステップ53では全開パージ量PGQと吸
入空気量QAとの比である全開パージ率PG100(=
(PGQ/QA)・100)が算出される。ここで全開
パージ量PGQはパージ制御弁17を全開にしたときの
パージ量を表わしている。全開パージ率PG100は例
えば機関負荷Q/N(吸入空気量QA/機関回転数N)
と機関回転数Nの関数であって予め実験により求められ
ており、下表に示すようなマップの形で予めROM22
内に記憶されている。
【0061】
【表1】
【0062】機関負荷Q/Nが低くなるほど吸入空気量
QAに対する全開パージ量PGQは大きくなるので表1
に示されるように全開パージ率PG100は機関負荷Q
/Nが低くなるほど大きくなり、また機関回転数Nが低
くなるほど吸入空気量QAに対する全開パージ量PGQ
は大きくなるので表1に示されるように全開パージ率P
G100は機関回転数Nが低くなるほど大きくなる。
【0063】次いでステップ54ではフィードバック補
正係数FAFが上限値KFAF15(=1.15)と下
限値KFAF85(=0.85)との間にあるか否かが
判別される。KFAF15>FAF>KFAF85のと
きには、即ち空燃比が理論空燃比にフィードバック制御
されているときにはステップ55に進んでパージ率PG
Rが零であるか否かが判別される。既にパージ作用が行
われているときにはPGR>0であるのでこのときには
ステップ57にジャンプする。これに対してまだパージ
作用が開始されていないときにはステップ56に進んで
パージ率PGROが再開パージ率PGRとされる。機関
の運転が開始されてから初めてパージ条件1およびパー
ジ条件2が成立したときには初期化処理(ステップ6
3)によりパージ率PGROは零とされているのでこの
ときにはPGR=0となる。これに対してパージ作用が
一旦中止され、その後パージ制御が再開されたときには
パージ制御が中止される直前のパージ率PGROが再開
パージ率PGRとされる。
【0064】次いでステップ57ではパージ率PGRに
一定値KPGRuを加算することによって目標パージ率
tPGR(=PGR+KPGRu)が算出される。即
ち、KFAF15>FAF>KFAF85のときには目
標パージ率tPGRが100msec毎に徐々に増大せしめ
られることがわかる。なお、この目標パージ率tPGR
に対しては上限値P(Pは例えば6%)が設定されてお
り、従って目標パージ率tPGRは上限値Pまでしか上
昇できない。次いでステップ59に進む。
【0065】一方、ステップ54においてFAF≧KF
AF15であるか又はFAF≦KFAF85であると判
別されたときにはステップ58に進み、パージ率PGR
から一定値KPGRdを減算することによって目標パー
ジ率tPGR(=PGR−KPGRd)が算出される。
即ち、燃料ベーパのパージ作用により空燃比を理論空燃
比に維持しえないときには目標パージ率tPGRが減少
せしめられる。なお、目標パージ率tPGRに対しては
下限値S(S=0%)が設定されている。次いでステッ
プ59に進む。
【0066】ステップ59では目標パージ率tPGRを
全開パージ率PG100により除算することによってパ
ージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比DPG(=
(tPGR/PG100)・100)が算出される。従
ってパージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比DP
G、即ちパージ制御弁17の開弁量は全開パージ率PG
100に対する目標パージ率tPGRの割合に応じて制
御されることになる。このようにパージ制御弁17の開
弁量を全開パージ率PG100に対する目標パージ率t
PGRの割合に応じて制御すると目標パージ率tPGR
がどのようなパージ率であったとしても機関の運転状態
にかかわらず実際のパージ率が目標パージ率に維持され
る。
【0067】例えば今、目標パージ率tPGRが2%で
あり、現在の運転状態における全開パージ率PG100
が10%であったとすると駆動パルスのデューティ比D
PGは20%となり、このときの実際のパージ率は2%
となる。次いで運転状態が変化し、変化後の運転状態に
おける全開パージ率PG100が5%になったとすると
駆動パルスのデューティ比DPGは40%となり、この
ときの実際のパージ率は2%となる。即ち、目標パージ
率tPGRが2%であれば機関の運転状態にかかわらず
に実際のパージ率は2%となり、目標パージ率tPGR
が変化して4%になれば機関の運転状態にかかわらずに
実際のパージ率は4%に維持される。
【0068】次いでステップ60では全開パージ率PG
100にデューティ比DPGを乗算することによって実
際のパージ率PGR(=PG100・(DPG/10
0))が算出される。即ち、前述したようにデューティ
比DPGは(tPGR/PG100)・100で表わさ
れ、この場合目標パージ率tPGRが全開パージ率PG
100よりも大きくなるとデューティ比DPGは100
%以上となる。しかしながらデューティ比DPGは10
0%以上にはなりえず、このときデューティ比DPGは
100%とされるために実際のパージ率PGRは目標パ
ージ率tPGRよりも小さくなる。従って実際のパージ
率PGRは上述した如くPG100・(DPG/10
0)で表わされることになる。
【0069】次いでステップ61ではデューティ比DP
GがDPGOとされ、パージ率PGRがPGROとされ
る。次いでステップ62においてパージ制御弁17の駆
動処理が行われる。この駆動処理は図12に示されてお
り、従って次に図12に示す駆動処理について説明す
る。図12を参照するとまず初めにステップ65におい
てデューティ比の出力周期か否か、即ちパージ制御弁1
7の駆動パルスの立上り周期であるか否かが判別され
る。このデューティ比の出力周期は100msecである。
デューティ比の出力周期であるときにはステップ66に
進んでデューティ比DPGが零であるか否かが判別され
る。DPG=0のときにはステップ70に進んでパージ
制御弁17の駆動パルスYEVPがオフとされる。これ
に対してDPG=0でないときにはステップ67に進ん
でパージ制御弁17の駆動パルスYEVPがオンにされ
る。次いでステップ68では現在の時刻TIMERにデ
ューティ比DPGを加算することによって駆動パルスの
オフ時刻TDPG(=DPG+TIMER)が算出され
る。
【0070】一方、ステップ65においてデューティ比
の出力周期ではないと判別されたときにはステップ69
に進んで現在の時刻TIMERが駆動パルスのオフ時刻
TDPGであるか否かが判別される。TDPG=TIM
ERになるとステップ70に進んで駆動パルスYEVP
がオフとされる。次に図13に示すフィードバック補正
係数FAFの算出ルーチンについて説明する。このルー
チンは例えば一定時間毎の割込みによって実行される。
【0071】図13を参照するとまず初めにステップ1
00において空燃比のフィードバック制御条件が成立し
ているか否かが判別される。フィードバック制御条件が
成立していないときにはステップ113に進んでフィー
ドバック補正係数FAFが1.0に固定され、次いでス
テップ114においてフィードバック補正係数の平均値
FAFAVが1.0に固定される。次いでステップ11
2に進む。これに対してフィードバック制御条件が成立
しているときにはステップ101に進む。
【0072】ステップ101ではO2 センサ31の出力
電圧Vが0.45(V)よりも高いか否か、即ちリッチ
であるか否かが判別される。V≧0.45(V)のと
き、即ちリッチのときにはステップ102に進んで前回
の処理サイクル時にリーンであったか否かが判別され
る。前回の処理サイクル時にリーンのとき、即ちリーン
からリッチに変化したときにはステップ103に進んで
フィードバック補正係数FAFがFAFLとされ、ステ
ップ104に進む。ステップ104ではフィードバック
補正係数FAFからスキップ値Sが減算され、従って図
2に示されるようにフィードバック補正係数FAFはス
キップ値Sだけ急激に減少せしめられる。次いでステッ
プ105ではFAFLとFAFRの平均値FAFAVが
算出される。次いでステップ106ではスキップフラグ
がセットされる。次いでステップ112に進む。一方、
ステップ102において前回の処理サイクル時にはリッ
チであったと判別されたときはステップ107に進んで
フィードバック補正係数FAFから積分値K(K≪S)
が減算され、次いで112に進む。従って図2に示され
るようにフィードバック補正係数FAFは徐々に減少せ
しめられる。
【0073】一方、ステップ101においてV<0.4
5(V)であると判断されたとき、即ちリーンのときに
はステップ108に進んで前回の処理サイクル時にリッ
チであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時
にリッチのとき、即ちリッチからリーンに変化したとき
にはステップ109に進んでフィードバック補正係数F
AFがFAFRとされ、ステップ110に進む。ステッ
プ110ではフィードバック補正係数FAFにスキップ
値Sが加算され、従って図2に示されるようにフィード
バック補正係数FAFはスキップ値Sだけ急激に増大せ
しめられる。次いでステップ105ではFAFLとFA
FRの平均値FAFAVが算出される。一方、ステップ
108において前回の処理サイクル時にはリーンであっ
たと判別されたときはステップ111に進んでフィード
バック補正係数FAFに積分値Kが加算される。従って
図2に示されるようにフィードバック補正係数FAFは
徐々に増大せしめられる。
【0074】ステップ112ではフィードバック補正係
数FAFが変動許容範囲の上限1.2と下限0.8によ
りガードされる。即ち、FAFが1.2よりも大きくな
らず、0.8よりも小さくならないようにFAFの値が
ガードされる。上述したように空燃比がリッチとなって
FAFが小さくなると燃料噴射時間TAUが短かくな
り、空燃比がリーンとなってFAFが大きくなると燃料
噴射時間TAUが長くなるので空燃比が理論空燃比に維
持されることになる。
【0075】図13に示すフィードバック補正係数FA
Fの算出ルーチンが完了すると図14に示される空燃比
の学習ルーチンに進む。図14を参照するとまず初めに
ステップ120において空燃比の学習条件が成立してい
るか否かが判別される。空燃比の学習条件が成立してい
ないときにはステップ128にジャンプし、空燃比の学
習条件が成立しているときにはステップ121に進む。
ステップ121ではスキップフラグがセットされている
か否かが判別され、スキップフラグがセットされていな
いときにはステップ128にジャンプする。これに対し
てスキップフラグがセットされているときにはステップ
122に進んでスキップフラグがリセットされ、次いで
ステップ123に進む。即ち、フィードバック補正係数
FAFがスキップせしめられる毎にステップ123に進
むことになる。
【0076】ステップ123ではパージ率PGRが零で
あるか否か、即ちパージ作用が行われているか否かが判
別される。パージ率PGRが零でないとき、即ちパージ
作用が行われているときには図15および図16に示さ
れるベーパ濃度の学習ルーチンへ進む。これに対してパ
ージ率PGRが零のとき、即ちパージ作用が行われてい
ないときにはステップ124に進んで空燃比の学習が行
われる。
【0077】即ち、まず初めにステップ124において
フィードバック補正係数の平均値FAFAVが1.02
よりも大きいか否かが判別される。FAFAV≧1.0
2のときにはステップ127に進んで学習領域jに対す
る空燃比の学習値KGjに一定値Xが加算される。即
ち、本発明による実施例では機関負荷に応じて複数個の
学習領域jが予め定められており、各学習領域jに対し
て夫々空燃比の学習値KGjが設けられている。従って
ステップ127では機関負荷に応じた学習領域jの空燃
比の学習値KGjが更新される。次いでステップ128
に進む。
【0078】一方、ステップ124においてFAFAV
<1.02であると判別されたときにはステップ125
に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが
0.98よりも小さいか否かが判別される。FAFAV
≦0.98のときにはステップ126に進んで機関負荷
に応じた学習領域jの空燃比の学習値KGjから一定値
Xが減算される。一方、ステップ125においてFAF
AV>0.98であると判別されたとき、即ちFAFA
Vが0.98と1.02との間にあるときには空燃比の
学習値KGjを更新することなくステップ128にジャ
ンプする。
【0079】ステップ128およびステップ129では
ベーパ濃度を学習するための初期化処理が行われる。即
ち、ステップ128では機関始動中であるか否かが判別
され、機関始動中のときにはステップ129に進んで単
位パージ率当りのベーパ濃度FGPGが零とされ、パー
ジ実行時間カウント値CPGRがクリアされる。次いで
図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
一方、始動時でない場合には図17に示される燃料噴射
時間の算出ルーチンに直接進む。
【0080】上述したようにステップ123においてパ
ージ作用が行われていると判断されたときには図15お
よび図16に示されるベーパ濃度の学習ルーチンに進
む。次にこのベーパ濃度の学習ルーチンについて説明す
る。図15および図16を参照すると、まず初めにステ
ップ140においてパージ実行時間カウント値CPGR
が1だけインクリメントされる。前述したようにパージ
実行時間カウント値CPGRは機関始動時にクリアされ
るのでこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始
動後においてパージ作用の行われている累積時間を表し
ていることになる。
【0081】次いでステップ141ではパージ率PGR
が0.5%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧
0.5%のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいと
き以外はステップ142に進んでフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ149に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ155に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0082】一方、ステップ142においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ143に進んでパージ実行時間カウント値CPGR
が予め定められた設定値KCPGR5よりも大きいか否
かが判別される。この設定値KCPGR5はほぼ5分間
に相当しており、従ってステップ143ではパージ実行
時間がほぼ5分間を越えたか否かが判別される。図3に
示す領域Iはほぼ5分間程度と考えられ、従ってステッ
プ143では図3の領域Iであるか領域IIであるかが判
別されていることになる。
【0083】CPGR≦KCPGR5のとき、即ち図3
の領域Iのときにはステップ150に進んで次式に基づ
きベーパ濃度FGPGの更新量tFGが算出される。 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは前述したように2である。即ち、図3の領域
Iにおいてはフィードバック補正係数の平均値FAFA
Vが第1の設定範囲(0.98と1.02との間)を越
えると1.0に対するFAFAVのずれ量の半分が更新
量tFGとされ、このときFAFAVは図4に示される
ように次第に第1の設定範囲内に戻される。
【0084】一方、ステップ143においてCPGR>
KCPGR5であると判別されると、即ち図3の領域II
である場合にはステップ144に進み、ステップ144
からステップ148においてフィードバック補正係数の
平均値FAFAVが第2の設定範囲(tK1とtK2と
の間、例えば0.85と1.15との間)を越えたとき
に第2の設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度
FGPGの更新量tFGとされる。
【0085】即ち、ステップ144ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ146に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは図9に示されるように次第に第2
の設定範囲の上限値tK1に戻される。
【0086】一方、ステップ144においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ145に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ147
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは図9に示されるよう
に次第に第2の設定範囲の下限値tK2に戻される。
【0087】一方、ステップ145においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ148に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。ステップ14
6,147,148,149又は150において更新量
tFGが算出されるとステップ155に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0088】一方、ステップ141においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ151に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ153に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ155に進む。一方、ステップ15
1においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ152に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ154に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ155に進む。ステ
ップ152においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0089】即ち、パージ率PGRが極めて小さいとき
にはフィードバック補正係数FAFの変動量をそのまま
ベーパ濃度FGPGの更新量tFGに反映させるとベー
パ濃度FGPGの誤差が大きくなる。従ってこの場合に
はフィードバック補正係数FAFが1.0に対して大き
く変動した場合に限って一定の小さな更新量−Y又はY
だけベーパ濃度FGPGを更新するようにしている。
【0090】次に図17に示される燃料噴射時間の算出
ルーチンについて説明する。図17を参照するとまず初
めにステップ160において機関負荷Q/Nおよび機関
回転数Nに基づき基本燃料噴射時間TPが算出される。
次いでステップ161では暖機増量等のための補正係数
FWが算出される。次いでステップ162では単位パー
ジ率当りのベーパ濃度FGPGにパージ率PGRを乗算
することによってパージA/F補正係数FPG(=FG
PG・PGR)が算出される。次いでステップ163で
は次式に基づいて燃料噴射時間TAUが算出される。
【0091】 TAU=TP・FW・(FAF+KGj−FPG) 次に図18から図22を参照しつつ第2実施例について
説明する。この第2実施例では図18に示されるように
第2の設定範囲の上限値tK1および下限値tK2が単
位時間当りのパージ量Qに応じて変化せしめられる。即
ち、第2の設定範囲の上限値tK1は第1の設定範囲の
上限値1.02に対してパージ量Qが増大するほど大き
くなり、第2の設定範囲の下限値tK2は第1の設定範
囲の下限値0.98に対してパージ量Qが減少するほど
小さくなる。このように上限値tK1および下限値tK
2を設定した理由について図18を参照しつつ説明す
る。
【0092】前述したように図3に示される領域IIにお
いて吸入空気量が増大し、パージ量Qが増大したとする
と最終的にはフィードバック補正係数FAFは第2の設
定範囲の上限値tK1付近に維持される。即ち、図19
においてパージ量がQbのときにはフィードバック補正
係数FAFはb点付近に維持され、パージ量がQcのと
きにはフィードバック補正係数FAFはc点付近に維持
されることになる。
【0093】次いでパージ量がQaまで減少したとす
る。このときパージ量Qの減少量が小さいほど燃料ベー
パ濃度の増大量が少なく、斯くしてフィードバック補正
係数FAFの低下量は少なくなる。即ち、パージ量の減
少量の少ない場合(Qb→Qa)の方がパージ量の減少
量の多い場合(Qc→Qa)に比べてフィードバック補
正係数FAFの低下量が少なくなる。従ってb点におけ
る第2の設定範囲の上限値tK1の値をc点における上
限値tK1の値より小さくしてもフィードバック補正係
数FAFは変動許容限界に達することなく空燃比が理論
空燃比になるまで変化することができる。即ち、上限値
tK1をパージ量Qの増大に伴ない大きくしてもフィー
ドバック補正係数FAFが変動許容限界に達する危険性
はない。
【0094】同様なことが第2の設定範囲の下限値tK
2についても言える。即ち、パージ量の減少量の少ない
場合(Qc→Qd)の方がパージ量の減少量の多い場合
(Qc→Qa)に比べてフィードバック補正係数FAF
の低下量が少なくなる。従ってd点における第2の設定
範囲の下限値tK2の値をa点における下限値tK2の
値より大きくしてもフィードバック補正係数FAFは変
動許容限界に達することなく空燃比が理論空燃比となる
まで変化することができる。即ち、下限値tK2をパー
ジ量Qの増大に伴ない大きくしてもフィードバック補正
係数FAFが変動許容限界に達する危険性はない。
【0095】ところでこのように上限値tK1および下
限値tK2を設定すると図3に示される領域IIではフィ
ードバック補正係数FAFが第1実施例に比べて基準
値、即ち1.0に近い位置に保持される。云い換えると
フィードバック補正係数FAFは第1実施例に比べて変
動許容限界から離れた位置で保持される。従ってフィー
ドバック補正係数FAFが変動許容限界に達し、次いで
変動許容限界に維持される機会を減少することができる
という利点がある。
【0096】図18に示されるようにこの第2実施例で
は第2の設定範囲の上限値tK1および下限値tK2は
単位時間当りのパージ量Qから算出され、このパージ量
Qは全開パージ量PGQにパージ制御弁17のデューテ
ィ比DPGを乗算することによって算出される。即ち、
図20(A)において実線で示されるように全開パージ
量PGQはサージタンク5内の絶対圧PMの関数とな
り、パージ制御弁17を全開にしたときの全開パージ量
PGQはサージタンク5内の絶対圧PMが小さくなるほ
ど増大する。
【0097】ところでサージタンク5内の絶対圧PMは
機関負荷QA/N(吸入空気量QA/機関回転数N)と
機関回転数Nとの関数であり、従って全開パージ量PG
Qは機関負荷QA/Nおよび機関回転数Nの関数とな
る。第2実施例では全開パージ量PGQが図20(B)
に示すマップの形で予めROM22内に記憶されてお
り、このマップから全開パージ量PGQが算出される。
次いでこの全開パージ率PGQにデューティ比DPGを
乗算することによってパージ量Qが算出される。なお、
図20(A)において破線はデューティ比DPGが40
%のときのパージ量Qを示している。
【0098】図21および図22はこの第2実施例を実
行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。
なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンに
ついては第1実施例において用いられているルーチンが
そのまま用いられる。図21および図22を参照する
と、まず初めにステップ200においてパージ実行時間
カウント値CPGRが1だけインクリメントされる。前
述したようにこのパージ実行時間カウント値CPGRは
機関始動後においてパージ作用の行われている累積時間
を表している。
【0099】次いでステップ201ではパージ率PGR
が0.5%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧
0.5%のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいと
き以外はステップ202に進んでフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ210に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ216に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0100】一方、ステップ202においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ203に進んでパージ実行時間カウント値CPGR
が予め定められた設定値KCPGR5よりも大きいか否
かが判別される。この設定値KCPGR5はほぼ5分間
に相当しており、従ってステップ203ではパージ実行
時間がほぼ5分間を越えたか否かが判別される。前述し
たように図3に示す領域Iはほぼ5分間程度と考えら
れ、従ってステップ203では図3の領域Iであるか領
域IIであるかが判別されていることになる。
【0101】CPGR≦KCPGR5のとき、即ち図3
の領域Iのときにはステップ211に進んで次式に基づ
きベーパ濃度FGPGの更新量tFGが算出される。 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは前述したように2である。即ち、図3の領域
Iにおいてはフィードバック補正係数の平均値FAFA
Vが第1の設定範囲(0.98と1.02との間)を越
えると1.0に対するFAFAVのずれ量の半分が更新
量tFGとされ、このときFAFAVは図4に示される
ように次第に第1の設定範囲内に戻される。
【0102】一方、ステップ202においてCPGR>
KCPGR5であると判別されると、即ち図3の領域II
である場合にはステップ204に進んで図20(B)に
示すマップとデューティ比DPGからパージ量Qが算出
され、次いで図18に示す関係に基づきパージ量Qに応
じた第2の設定範囲の上限値tK1および下限値tK2
が算出される。次いでステップ205からステップ20
9ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに
は第2の設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度
FGPGの更新量tFGとされる。
【0103】即ち、ステップ205ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ207に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが図18
に示される第2の設定範囲の上限値tK1を越えたとき
には上限値tK1とFAFAVとの差の半分だけが更新
量tFGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設
定範囲の上限値tK1に戻される。
【0104】一方、ステップ205においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ206に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが図
18に示される第2の設定範囲の下限値tK2よりも小
さいか否かが判別される。FAFAV<tK2のときに
はステップ208に進んで次式に基づき更新量tFGが
算出される。
【0105】 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには下
限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量tF
Gとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範囲
の下限値tK2に戻される。
【0106】一方、ステップ206においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ209に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。ステップ20
7,208,209,210又は211において更新量
tFGが算出されるとステップ216に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0107】一方、ステップ201においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ212に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ214に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ216に進む。一方、ステップ21
2においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ213に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ215に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ216に進む。ステ
ップ213においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0108】図18に示される実施例では第2の設定範
囲の上限値tK1および下限値tK2がパージ量Qに応
じて変化せしめられる。この場合、図23に示されるよ
うにパージ量Qに代えてパージ量Qを代表する代表値を
用いることができる。この場合には図23に示されるよ
うに第2の設定範囲の上限値tK1は第1の設定範囲の
上限値1.02に対して代表値が大きくなるほど大きく
なり、第2の設定範囲の下限値tK2は第1の設定範囲
の下限値0.98に対して代表値が小さくなるほど小さ
くなる。
【0109】パージ量Qの代表値としては、吸入空気
量、サージタンク5内の絶対圧、パージ制御弁17のデ
ューティ比、燃料噴射量、又はスロットル弁9の開度の
うちの少くとも一つを用いることができる。図24はパ
ージ量Qに対する第2の設定範囲の上限値tK1および
下限値tK2の変化のしかたを変えた例を示している。
図25は図24のパージ量Qに代えて代表値を用いた場
合を示している。この代表値としても、吸入空気量、サ
ージタンク5内の絶対圧、パージ制御弁17のデューテ
ィ比、燃料噴射量、又はスロットル弁9の開度のうちの
少くとも一つを用いることができる。
【0110】図26は特別な例で、スロットル弁9がア
イドリング位置にあるときのみ下限値tK2を第1の設
定範囲の下限値よりも小さくするようにしている。次に
パージA/F補正係数FPGの更新作用の回数から図3
に示される領域Iであるか領域IIであるかを判別するよ
うにした第3実施例について説明する。即ち、機関始動
後パージ作用が開始されるとパージA/F補正係数FP
Gの更新作用、即ちベーパ濃度FGPGの更新作用が行
われる。この場合、ベーパ濃度FGPGの更新作用の回
数がほぼ一定回数を越えると図3に示される領域Iから
領域IIに移行する。従って第3実施例ではベーパ濃度F
GPGの更新作用が行われる毎に更新回数カウント値C
FGPGをインクリメントし、この更新回数カウント値
CFGPGが予め定められた値KCFGPGを越えたと
きに図3に示す領域Iから領域IIに移行したと判断する
ようにしている。
【0111】図27および図28はこの第3実施例を実
行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。
なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンに
ついては第1実施例において用いられているルーチンが
そのまま用いられる。図27および図28を参照する
と、まず初めにステップ300においてパージ率PGR
が0.5%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧
0.5%のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいと
き以外はステップ301に進んでフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ309に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ308に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0112】一方、ステップ301においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ302に進んで更新回数カウント値CFGPGが予
め定められた値KCFGPGよりも大きいか否かが判別
される。CFGPG≦KCFGPGのとき、即ち図3の
領域Iのときにはステップ310に進んで次式に基づき
ベーパ濃度FGPGの更新量tFGが算出される。
【0113】 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは前述したように2である。即ち、図3の領域
Iにおいてはフィードバック補正係数の平均値FAFA
Vが第1の設定範囲(0.98と1.02との間)を越
えると1.0に対するFAFAVのずれ量の半分が更新
量tFGとされ、このときFAFAVは図4に示される
ように次第に第1の設定範囲内に戻される。
【0114】一方、ステップ302においてCFGPG
>KCFGPGであると判別されると、即ち図3の領域
IIである場合にはステップ303に進み、ステップ30
3からステップ307においてフィードバック補正係数
の平均値FAFAVが第2の設定範囲(tK1とtK2
との間)を越えたときに第2の設定範囲を越えている分
の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされ
る。
【0115】即ち、ステップ303ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ305に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは次第に第2の設定範囲の上限値t
K1に戻される。
【0116】一方、ステップ303においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ304に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ306
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範
囲の下限値tK2に戻される。
【0117】一方、ステップ304においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ307に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。ステップ30
5,306,307,309又は310において更新量
tFGが算出されるとステップ308に進んで更新回数
カウント値CFGPGが1だけインクリメントされる。
次いでステップ315においてベーパ濃度FGPGに更
新量tFGが加算される。次いで図17に示される燃料
噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0118】一方、ステップ300においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ311に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ313に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ315に進む。一方、ステップ31
1においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ312に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ314に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ315に進む。ステ
ップ312においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0119】次に第1の設定範囲から第2の設定範囲に
切換える時期を大気温により変更するようにした第4実
施例について図29および図30を参照しつつ説明す
る。大気温が高くなると機関始動後燃料タンク15内に
多量の蒸発燃料が発生するまでの時間が短かくなり、従
って大気温が高くなるほど第1の設定範囲から第2の設
定範囲に切換える時期を早くする必要がある。そこでこ
の第4実施例では大気温、即ち吸気温を検出するために
図29に示されるように吸気通路内に吸気温センサ40
を取付け、パージ実行時間カウント値CPGRが吸気温
の関数である設定値tKCを越えたときに第1の設定範
囲から第2の設定範囲に切換えるようにしている。
【0120】この設定値tKCは図30に示されるよう
に吸気温度が高くなるにつれて小さくなり、従って吸気
温度が高くなるほど第1の設定範囲から第2の設定範囲
に切換えられる時期が早められる。図31および図32
はこの第4実施例を実行するためのベーパ濃度の学習ル
ーチンを示している。なお、このベーパ濃度の学習ルー
チン以外のルーチンについては第1実施例において用い
られているルーチンがそのまま用いられる。
【0121】図31および図32を参照すると、まず初
めにステップ400においてパージ実行時間カウント値
CPGRが1だけインクリメントされる。前述したよう
にこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動後
においてパージ作用の行われている累積時間を表してい
る。次いでステップ401ではパージ率PGRが0.5
%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧0.5%
のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいとき以外は
ステップ402に進んでフィードバック補正係数の平均
値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否か、即ち
1.02>FAFAV>0.98であるか否かが判別さ
れる。フィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>FAFAV
>0.98であるときにはステップ410に進んで単位
パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量tFGが零
とされ、次いでステップ416に進む。従ってこのとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0122】一方、ステップ402においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ403に進んで図30に示す関係から吸気温度に応
じた設定値tKCが算出される。次いでステップ404
ではパージ実行時間カウント値CPGRが設定値tKC
よりも大きいか否かが判別される。CPGR≦tKCの
とき、即ち図3の領域Iのときにはステップ411に進
んで次式に基づきベーパ濃度FGPGの更新量tFGが
算出される。
【0123】 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは前述したように2である。即ち、図3の領域
Iにおいてはフィードバック補正係数の平均値FAFA
Vが第1の設定範囲(0.98と1.02との間)を越
えると1.0に対するFAFAVのずれ量の半分が更新
量tFGとされ、このときFAFAVは図4に示される
ように次第に第1の設定範囲内に戻される。
【0124】一方、ステップ404においてCPGR>
tKCであると判別されると、即ち図3の領域IIである
場合にはステップ405に進み、ステップ405からス
テップ409においてフィードバック補正係数の平均値
FAFAVが第2の設定範囲(tK1とtK2との間)
を越えたときに第2の設定範囲を越えている分の半分だ
けベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0125】即ち、ステップ405ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ407に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは次第に第2の設定範囲の上限値t
K1に戻される。
【0126】一方、ステップ405においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ406に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ408
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範
囲の下限値tK2に戻される。
【0127】一方、ステップ406においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ409に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。ステップ40
7,408,409,410又は411において更新量
tFGが算出されるとステップ416に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0128】一方、ステップ401においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ412に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ414に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ416に進む。一方、ステップ41
2においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ413に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ415に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ416に進む。ステ
ップ413においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0129】次に燃料ベーパ濃度が予め定められた一定
濃度を越えたことを実際に検出したときに第1の設定範
囲から第2の設定範囲に切換えるようにした第5実施例
について説明する。図3に示される領域Iにおけるよう
にフィードバック補正係数FAFを第1の設定範囲内に
維持するようにしている場合において燃料タンク15内
に多量の蒸発燃料が発生するとスロットル弁9が閉弁せ
しめられて吸入空気量が減少したときにフィードバック
補正係数FAFが基準値、即ち1.0から大きく低下す
る。一方、スロットル弁9が閉弁状態から大きく開弁せ
しめられて吸入空気量が増大するとフィードバック補正
係数FAFは基準値、即ち1.0から大きく増大する。
即ち、スロットル弁9がアイドリング位置にあるときに
フィードバック補正係数FAFが基準値から大きく低下
しかつスロットル弁9が開弁しているときにフィードバ
ック補正係数FAFが基準値から大きく増大したときに
は燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発生しているこ
とになる。
【0130】そこでこの第5実施例ではスロットル弁9
がアイドリング位置にあるときにフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが設定値、例えば0.9よりも小
さくなり、かつスロットル弁9が開弁しているときにフ
ィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定値、例
えば1.1よりも大きくなったときには燃料タンク15
内に多量の蒸発燃料が発生していると判断し、このとき
第1の設定範囲から第2の設定範囲に切換えるようにし
ている。
【0131】図33から図35はこの第5実施例を実行
するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。な
お、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンにつ
いては第1実施例において用いられているルーチンがそ
のまま用いられる。図33から図35を参照すると、ま
ず初めにステップ500においてパージ実行時間カウン
ト値CPGRが1だけインクリメントする。前述したよ
うにこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動
後においてパージ作用の行われている累積時間を表して
いる。
【0132】次いでステップ501ではパージ率PGR
が0.5%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧
0.5%のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいと
き以外はステップ502に進んでフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ510に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ522に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0133】一方、ステップ502においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ503に進んでパージ実行時間カウント値CPGR
が予め定められた設定値KCPGR2よりも大きいか否
かが判別される。この設定値KCPGR2はほぼ2分間
に相当しており、従ってステップ503ではパージ実行
時間がほぼ2分間を越えたか否かが判別される。CPG
R≦KCPGR2のとき、即ちパージ実行時間がほぼ2
分間以内であるときにはステップ509に進んでフラグ
XTNK1およびXTNK2がリセットされ、次いでス
テップ511に進む。
【0134】一方、ステップ503においてCPGR>
KCPGR2であると判別されたとき、即ちパージ実行
時間がほぼ2分間を越えたときにはステップ504に進
んでアイドリング運転時にセットされるアイドルフラグ
XIDLがセット(XIDL=1)されているか否かが
判別される。アイドルフラグXIDLがセット(XID
L=1)されているとき、即ちアイドリング運転時には
ステップ505に進んでフィードバック補正係数の平均
値FAFAVが0.9よりも小さいか否かが判別され
る。FAFAV≧0.9のときにはステップ511にジ
ャンプする。これに対してFAFAV<0.9のときに
はステップ506に進んでフラグXTNK1がセット
(XTNK1=1)され、次いでステップ511に進
む。
【0135】これに対しステップ504においてアイド
ルフラグXIDLがリセット(XIDL=0)されてい
ると判断されたとき、即ちアイドリング運転時でないと
きにはステップ507に進んでフィードバック補正係数
の平均値FAFAVが1.1よりも大きいか否かが判別
される。FAFAV≦1.1のときにはステップ511
にジャンプする。これに対してFAFAV>1.1のと
きにはステップ508に進んでフラグXTNK2がセッ
ト(XTNK2=1)され、次いでステップ511に進
む。
【0136】ステップ511ではフラグXTNK1およ
びフラグXTNK2が共にセットされているか否か、即
ちアイドリング運転時にFAFAV<0.9となりかつ
アイドリング運転時以外にFAFAV>1.1となった
か否かが判別される。云い換えると燃料タンク15内に
多量の蒸発燃料が発生しているか否かが判別される。フ
ラグXTNK1およびフラグXTNK2が共にセットさ
れていないとき、即ち燃料タンク15内に多量の蒸発燃
料が発生していないときにはステップ517に進んで次
式に基づきベーパ濃度FGPGの更新量tFGが算出さ
れる。
【0137】 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。このときにはフィードバッ
ク補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲(0.
98と1.02との間)を越えると1.0に対するFA
FAVのずれ量の半分が更新量tFGとされ、従ってこ
のときFAFAVは図4に示されるように次第に第1の
設定範囲内に戻される。
【0138】一方、ステップ511においてフラグXT
NK1およびフラグXTNK2が共にセットされている
と判別されたとき、即ち燃料タンク15内に多量の蒸発
燃料が発生しているときにはステップ512に進み、ス
テップ512からステップ516においてフィードバッ
ク補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲(tK
1とtK2との間)を越えたときに第2の設定範囲を越
えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tF
Gとされる。
【0139】即ち、ステップ512ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ514に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは次第に第2の設定範囲の上限値t
K1に戻される。
【0140】一方、ステップ512においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ513に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ515
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範
囲の下限値tK2に戻される。
【0141】一方、ステップ513においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ516に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGが更新されない。ステップ51
0,514,515,516又は517において更新量
tFGが算出されるとステップ522に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0142】一方、ステップ501においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ518に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ520に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ522に進む。一方、ステップ51
8においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ519に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ521に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ522に進む。ステ
ップ519においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0143】次にキャニスタ11内の圧力を実際に計測
することにより燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発
生しているか否かを判断するようにした第6実施例につ
いて説明する。この第6実施例では図36に示されるよ
うにキャニスタ11内の圧力を検出するために圧力セン
サ41が設けられており、この圧力センサ41によって
燃料蒸気室12内の圧力が導管42を介して検出され
る。この場合、燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発
生すると燃料蒸気室12内の圧力が上昇するので燃料蒸
気室12内の圧力から燃料タンク15内に多量の蒸発燃
料が発生しているか否かを判断することができる。そこ
で本発明による実施例では燃料蒸気室12内の圧力から
燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発生していると判
断されたときにはベーパ多発生フラグXPCNをセット
し、ベーパ多発生フラグXPCNがセットされたときに
は第1の設定範囲から第2の設定範囲に切換えるように
している。
【0144】ところで燃料タンク15内に多量の蒸発燃
料が発生していたとしても燃料蒸気室12内の圧力はパ
ージ作用が停止されているときと、パージ作用中とでは
異なる。従って本発明による実施例では燃料タンク15
内に多量の蒸発燃料が発生しているか否かをパージ作用
停止中とパージ作用中とで別個に判断するようにしてい
る。そこでまず初めに図37および図38を参照しつつ
パージ作用停止中における判断方法について説明する。
【0145】図37において時刻t1 前にはパージ作用
が行われており、このときには燃料蒸気室12の圧力P
CNは負圧となっている。次いで時刻t1 においてパー
ジ率PGRが零になると、即ちパージ作用が停止せしめ
られると圧力PCNは徐々に上昇する。このとき燃料タ
ンク15内に多量の蒸発燃料が発生していない場合には
図37において破線で示されるように圧力PCNはほぼ
大気圧に維持される。これに対して燃料タンク15内に
多量の蒸発燃料が発生しているときには図37において
実線で示されるように圧力PCNは正圧となって上昇し
続け、設定値KCPN1よりも高くなる。この場合、圧
力PCNが正圧となってから一定時間Δtを経過すれば
圧力PCNは安定するものと考えられる。そこで本発明
による実施例では圧力PCNが正圧となってから一定時
間Δtを経過した後に圧力PCNが設定値KCPN1よ
りも高ければ燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発生
しているものと判断し、ベーパ多発生フラグXPCN1
をセットするようにしている。
【0146】図38はパージ作用停止中におけるベーパ
多発生フラグの制御ルーチンを示しており、このルーチ
ンは一定時間毎の割込みによって実行される。図38を
参照するとまず初めにステップ600においてパージ率
PGRが零であるか否か、即ちパージ作用停止中である
か否かが判別される。パージ率PGRが零でないとき、
即ちパージ作用が行われているときにはステップ603
に進んで待ち時間カウント値CPCNが零とされる。次
いでステップ608に進んで圧力センサ41により検出
された燃料蒸気室12内の圧力PCNがPCN0とされ
る。一方、パージ率PGRが零のとき、即ちパージ作用
停止中にはステップ601に進んで前回の割込み時にお
ける燃料蒸気室12内の圧力PCN0が零よりも大きい
か否かが判別される。PCN0<0のときにはステップ
603に進み、これに対してPCN0≧0であればステ
ップ602に進む。
【0147】ステップ602では待ち時間カウント値C
PCNが1だけインクリメントされ、次いでステップ6
04では待ち時間カウント値CPCNが図37のΔt時
間に相当する一定値KCPCN3を越えたか否かが判別
される。CPCN<KCPCN3のときにはステップ6
08にジャンプし、これに対してCPCN≧KCPCN
3になるとステップ605に進む。ステップ605では
燃料蒸気室12内の圧力PCNが図37に示す設定値K
CPN1よりも高いか否かが判別される。PCN<KC
PN1のときにはステップ607に進んでベーパ多発生
フラグXPCN1がリセット(XPCN1=0)され
る。これに対してPCN≧KCPN1のときにはステッ
プ606に進んでベーパ多発生フラグXPCN1がセッ
ト(XPCN1=1)される。
【0148】次に図39および図40を参照しつつパー
ジ作用が行われているときの判断方法について説明す
る。図39の縦軸は燃料蒸発室12内の圧力PCNを示
しており、横軸はサージタンク5内の負圧PMを表わし
ている。また、図39において実線PCN100はパー
ジ制御弁17のデューティ比DPGが100%のとき
の、即ちパージ制御弁17が全開しているときの燃料蒸
気室12内の圧力PCNとサージタンク5内の負圧PM
との関係を示している。このPCN100は図39に示
されるように負圧PMが零のときには大気圧となり、負
圧PMが大きくなるにつれて次第に低下する。このPC
N100と負圧PMとの関係は予めROM22内に記憶
されており、従って負圧PMがわかればPCN100を
求めることができる。この負圧PMは圧力センサを用い
て直接検出することもできるし、機関負荷Q/Nおよび
機関回転数Nの関数として負圧PMを予め求めておいて
機関負荷Q/Nおよび機関回転数Nから負圧PMを求め
ることもできる。
【0149】一方、パージ制御弁17のデューティ比D
PGが100%でないときの燃料蒸気室12内の圧力P
CNDPGはそのときのデューティ比DPGにPCN1
00を乗算することによって得られる。この圧力PCN
DPG(=PCN100・DPG/100)が図39に
おいて鎖線で示されている。燃料タンク15内に多量の
蒸発燃料が発生していないときの燃料蒸気室12内の圧
力PCNはこのPCNDPGにほぼ一致する。ところが
燃料タンク15内に多量の蒸発燃料が発生すると燃料蒸
気室12内の圧力PCNがPCNDPGに比べて高くな
る。そこで本発明による実施例では燃料蒸気室12内の
圧力PCNがPCNDPGに一定値ΔPを加算した値
(図39において破線で示すPCNDPG+ΔP)より
も大きくなったときには燃料タンク15内に多量の蒸発
燃料が発生しているものと判断し、ベーパ多発生フラグ
XPCN2をセットするようにしている。
【0150】図40はパージ作用中におけるベーパ多発
生フラグの制御ルーチンを示しており、このルーチンは
一定時間毎の割込みによって実行される。図40を参照
するとまず初めにステップ610においてパージ率DP
Gが一定デューティ比、即ちパージ量の安定する一定デ
ューティ比KDPGよりも高いか否かが判別される。D
PG<KDPGのときには処理サイクルを完了し、これ
に対してDPG≧KDPGのときにはステップ611に
進んで図39に示されるデューティ比DPGが100%
のときの圧力PCN100が算出される。次いでステッ
プ612ではデューティ比DPGに応じた圧力PCND
PG(=PCN100・PGR/100)が算出され
る。次いでステップ613では燃料蒸気室12内の圧力
PCNがPCNDPGよりも低いか否かが判別され、P
CN≦PCNDPGであればステップ615に進んでベ
ーパ多発生フラグXPCN2がリセット(XPCN2=
0)される。一方、PCN>PCNDPGであればステ
ップ614に進んで圧力PCNが図39において破線で
示される(PCNDPG+ΔP)よりも高いか否かが判
別される。このときPCN≧PCNDPG+ΔPであれ
ばベーパ多発生フラグXPCN2がセット(XPCN2
=1)される。
【0151】図41および図42はこの第6実施例を実
行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。
なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンに
ついては第1実施例において用いられているルーチンが
そのまま用いられる。図41および図42に示すベーパ
濃度の学習ルーチンを参照すると、まず初めにステップ
620においてパージ実行時間カウント値CPGRが1
だけインクリメントされる。前述したようにこのパージ
実行時間カウント値CPGRは機関始動後においてパー
ジ作用の行われている累積時間を表している。
【0152】次いでステップ621ではパージ率PGR
が0.5%よりも大きいか否かが判別される。PGR≧
0.5%のとき、即ちパージ率PGRが極度に小さいと
き以外はステップ622に進んでフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ630に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ637に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0153】一方、ステップ623においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ623に進んでパージ実行時間カウント値CPGR
が予め定められた設定値KCPGR2よりも大きいか否
かが判別される。この設定値KCPGR2はほぼ2分間
に相当しており、従ってステップ623ではパージ実行
時間がほぼ2分間を越えたか否かが判別される。CPG
R≦KCPGR2のときにはステップ631に進んでベ
ーパ多発生フラグXPCN1およびXPCN2が共にリ
セット(XPCN1=0,XPCN2=0)され、次い
でステップ632において次式に基づきベーパ濃度FG
PGの更新量tFGが算出される。
【0154】 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは前述したように2である。このときフィード
バック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲
(0.98と1.02との間)を越えると1.0に対す
るFAFAVのずれ量の半分が更新量tFGとされ、従
ってFAFAVは図4に示されるように次第に第1の設
定範囲内に戻される。
【0155】一方、ステップ623においてCPGR>
KCPGR2であると判別されるとステップ624に進
んでベーパ多発生フラグXPCN1およびXPCN2の
いずれか一方がセットされているか否かが判別される。
いずれのベーパ多発生フラグXPCN1,XPCN2も
セットされていないときにはステップ632に進む。こ
れに対していずれか一方のベーパ多発生フラグXPCN
1,XPCN2がセットされているときにはステップ6
25に進み、ステップ625からステップ629におい
てフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第2の
設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに第2
の設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGP
Gの更新量tFGとされる。
【0156】即ち、ステップ625ではフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲の上限値
tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>t
K1のときにはステップ627に進んで次式に基づき更
新量tFGが算出される。 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは次第に第2の設定範囲の上限値t
K1に戻される。
【0157】一方、ステップ625においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ626に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ628
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範
囲の下限値tK2に戻される。
【0158】一方、ステップ626においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ629に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGは更新されない。ステップ62
7,628,629,630又は632において更新量
tFGが算出されるとステップ637に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0159】一方、ステップ621においてPGR<
0.5%であると判別されたときにはステップ633に
進んでフィードバック補正係数FAFが1.1よりも大
きいか否かが判別される。FAF>1.1のときにはス
テップ635に進んで更新量tFGが一定値−Yとさ
れ、次いでステップ637に進む。一方、ステップ63
3においてFAF≦1.1であると判別されたときには
ステップ634に進んでフィードバック補正係数FAF
が0.9よりも小さいか否かが判別される。FAF<
0.9のときにはステップ636に進んで更新量tFG
が一定値Yとされ、次いでステップ637に進む。ステ
ップ634においてFAF≧0.9であると判別された
ときには図17に示される燃料噴射時間の算出ルーチン
に進む。
【0160】次に、ベーパ濃度FGPGに応じて第2の
設定範囲の上限値tK1および下限値tK2を変えるよ
うにした第7実施例について説明する。即ち、燃料タン
ク15内に多量の蒸発燃料が発生し、その結果濃い燃料
ベーパが燃料タンク15から供給されていたとすると、
このときキャニスタ11からも濃い燃料ベーパが供給さ
れていればパージ量にかかわらずに吸入空気中のベーパ
濃度FGPGはさほど変化しない。従ってこのときには
機関の運転状態が変化しても空燃比がさほど変動しな
い。
【0161】これに対し、燃料タンク15から濃い燃料
ベーパが供給されており、キャニスタ11から薄い燃料
ベーパが供給されているときにはパージ量が変化すると
ベーパ濃度FGPGが大きく変化する。例えば吸入空気
量が多くなると燃料タンク15からの濃い燃料ベーパの
パージ量は変化しないがキャニスタ11からの薄い燃料
ベーパのパージ量は吸入空気量に比例して多くなる。従
って、吸入空気量が増大するとベーパ濃度FGPGが低
下し、斯くして空燃比が大巾に変動するようになる。
【0162】そこでこの第7実施例ではキャニスタ11
から濃い燃料ベーパが供給されているときにはパージ量
が変化しても空燃比がさほど変化しないので、このとき
にはベーパ濃度FGPGを正確に求めるために第2の設
定範囲が狭くされる。これに対し、キャニスタ11から
薄い燃料ベーパが供給されているときにはパージ量が変
化すると、例えば吸入空気量が変化すると空燃比が大巾
に変動するのでこのときには空燃比が極度にリーン又は
リッチになるのを阻止するために第2の設定範囲が拡大
される。
【0163】ところでアイドリング運転時以外の運転状
態では燃料タンク15からの燃料ベーパはベーパ濃度F
GPGにほとんど影響を与えず、ベーパ濃度FGPGは
キャニスタ11からの燃料ベーパの影響を強く受ける。
即ち、キャニスタ11からの燃料ベーパが濃い場合には
ベーパ濃度FGPGが高くなり、キャニスタ11からの
燃料ベーパが薄い場合にはベーパ濃度FGPGが低くな
る。そこで第7実施例ではアイドリング運転時以外の運
転状態のときにベーパ濃度FGPGが高ければ第2の設
定範囲を狭くし、ベーパ濃度FGPGが低ければ第2の
設定範囲を広くするようにしている。
【0164】図43および図44はこの第7実施例を実
行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。
なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンに
ついては第1実施例において用いられているルーチンが
そのまま用いられる。図43および図44を参照する
と、まず初めにステップ700においてパージ実行時間
カウント値CPGRが1だけインクリメントする。前述
したようにこのパージ実行時間カウント値CPGRは機
関始動後においてパージ作用の行われている累積時間を
表している。
【0165】次いでステップ701ではアイドリング運
転時にセットされるアイドルフラグXIDLがリセット
されているか否かが判別される。アイドリングフラグX
IDLがセット(XIDL=1)されているときにはス
テップ704にジャンプする。これに対してアイドリン
グフラグXIDLがリセット(XIDL=0)されてい
るとき、即ちアイドリング運転時以外の運転時にはステ
ップ702に進んでXIDL=0になってからのフィー
ドバック補正係数FAFのスキップ回数CSKIPが一
定回数、例えば6回を越えたか否かが判別される。CS
KIP<6のときにはステップ704にジャンプし、C
SKIP≧6になるとステップ703に進んでベーパ濃
度FGPGがFGPGOFとされる。即ち、アイドリン
グ運転以外の運転状態になった後、CSKIP≧6のと
き、即ちベーパ濃度FGPGの学習が完了すると最新の
ベーパ濃度FGPGがFGPGOFとされる。次いでス
テップ704に進む。
【0166】ステップ704ではフィードバック補正係
数の平均値FAFAVが第1の設定範囲内にあるか否
か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否か
が判別される。フィードバック補正係数の平均値FAF
AVが第1の設定範囲内にあるとき、即ち1.02>F
AFAV>0.98であるときにはステップ712に進
んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量t
FGが零とされ、次いでステップ723に進む。従って
このときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0167】一方、ステップ704においてフィードバ
ック補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲を越
えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02
であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステ
ップ705に進んでパージ実行時間カウント値CPGR
が予め定められた設定値KCPGR2よりも大きいか否
かが判別される。この設定値KCPGR2はほぼ2分間
に相当しており、従ってステップ705ではパージ実行
時間がほぼ2分間を越えたか否かが判別される。CPG
R≦KCPGR2のとき、即ちパージ実行時間がほぼ2
分間以内であるときにはステップ711に進んでフラグ
XTNK1およびXTNK2がリセットされ、次いでス
テップ713に進む。
【0168】一方、ステップ705においてCPGR>
KCPGR2であると判別されたとき、即ちパージ実行
時間がほぼ2分間を越えたときにはステップ706に進
んでアイドリング運転時にセットされるアイドルフラグ
XIDLがセット(XIDL=1)されているか否かが
判別される。アイドルフラグXIDLがセット(XID
L=1)されているとき、即ちアイドリング運転時には
ステップ707に進んでフィードバック補正係数の平均
値FAFAVが0.95よりも小さいか否かが判別され
る。FAFAV≧0.95のときにはステップ713に
ジャンプする。これに対してFAFAV<0.95のと
きにはステップ708に進んでフラグXTNK1がセッ
ト(XTNK1=1)され、次いでステップ713に進
む。
【0169】これに対しステップ706においてアイド
ルフラグXIDLがリセット(XIDL=0)されてい
ると判断されたとき、即ちアイドリング運転時でないと
きにはステップ709に進んでフィードバック補正係数
の平均値FAFAVが1.05よりも大きいか否かが判
別される。FAFAV≦1.05のときにはステップ7
13にジャンプする。これに対してFAFAV>1.0
5のときにはステップ710に進んでフラグXTNK2
がセット(XTNK2=1)され、次いでステップ71
3に進む。
【0170】ステップ713ではフラグXTNK1およ
びフラグXTNK2が共にセットされているか否か、即
ちアイドリング運転時にFAFAV<0.95となりか
つアイドリング運転時以外にFAFAV>1.05とな
ったか否かが判別される。云い換えると燃料タンク15
内に多量の蒸発燃料が発生しているか否かが判別され
る。フラグXTNK1およびフラグXTNK2が共にセ
ットされていないとき、即ち燃料タンク15内に多量の
蒸発燃料が発生していないときにはステップ724に進
んで次式に基づきベーパ濃度FGPGの更新量tFGが
算出される。
【0171】 tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。このときにはフィードバッ
ク補正係数の平均値FAFAVが第1の設定範囲(0.
98と1.02との間)を越えると1.0に対するFA
FAVのずれ量の半分が更新量tFGとされ、従ってこ
のときFAFAVは図4に示されるように次第に第1の
設定範囲内に戻される。
【0172】一方、ステップ713においてフラグXT
NK1およびフラグXTNK2が共にセットされている
と判別されたとき、即ち燃料タンク15内に多量の蒸発
燃料が発生しているときにはステップ714に進み、パ
ージ量Qの基づいて例えば図18に示される第2の設定
範囲の上限値tK1と下限値tK2とが算出される。次
いでステップ715ではステップ703において求めら
れたFGPGOFに基づいて図45に示される関係から
補正値KFが算出される。図45からわかるように補正
値KFはベーパ濃度FGPGOFが小さくなるほど大き
くなる。次いでステップ716およびステップ717で
は次式に基づいて最終的な第2設定範囲の上限値tk1
および下限値tK2が算出される。
【0173】 tK1=1.02+(tK1−1.02)・KF tK2=0.98+(tK1−0.98)・KF 即ち、ベーパ濃度FGPGOFが高いときにはKF=0
となり、従ってtK1=1.02,tK2=0.98と
なる。これに対してベーパ濃度FGPGOFが低いとき
にはKF=1.0となり、tK1=tk1,tK2=t
K2となる。従ってベーパ濃度FGPGOFが低くなる
につれてtK1は1.02から徐々に大きくなり、tK
2は0.98から徐々に小さくなる。
【0174】次いでステップ718からステップ722
ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第2
の設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに第
2の設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FG
PGの更新量tFGとされる。即ち、ステップ718で
はフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1よりも大きいか否かが判別さ
れ、FAFAV>tK1のときにはステップ720に進
んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
【0175】 tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2の
設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1
とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされ、
このときFAFAVは次第に第2の設定範囲の上限値t
K1に戻される。
【0176】一方、ステップ718においてFAFAV
≦tK1であると判別されたときにはステップ719に
進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが第
2の設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別
される。FAFAV<tK2のときにはステップ721
に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。 tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが第2
の設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには
下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量t
FGとされ、このときFAFAVは次第に第2の設定範
囲の下限値tK2に戻される。
【0177】一方、ステップ719においてFAFAV
≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック
補正係数の平均値FAFAVが第2の設定範囲内にある
ときにはステップ722に進んで更新量tFGが零とさ
れる。従ってFAFAVが第2の設定範囲内にあるとき
にはベーパ濃度FGPGが更新されない。ステップ71
2,720,721,722又は724において更新量
tFGが算出されるとステップ723に進んでベーパ濃
度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図17
に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0178】
【発明の効果】吸入空気量に応じて燃料ベーパ濃度が大
巾に変動する場合であっても空燃比の変動を抑制するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】フィードバック補正係数FAFの変化を示す図
である。
【図3】燃料ベーパ濃度の変化を示す図である。
【図4】パージ作用開始時におけるフィードバック補正
係数FAF等の変化を示す図である。
【図5】パージ量とベーパ濃度の関係を示す図である。
【図6】パージ量とベーパ濃度の関係を示す図である。
【図7】空燃比の変動が生じる場合のフィードバック補
正係数FAF等の変化を示す図である。
【図8】空燃比の変動が生じる場合のフィードバック補
正係数FAF等の変化を示す図である。
【図9】本発明におけるフィードバック補正係数FAF
等の変化を示す図である。
【図10】パージ制御を行うためのフローチャートであ
る。
【図11】パージ制御を行うためのフローチャートであ
る。
【図12】パージ制御弁駆動処理のためのフローチャー
トである。
【図13】フィードバック補正係数FAFを算出するた
めのフローチャートである。
【図14】空燃比の学習を行うためのフローチャートで
ある。
【図15】ベーパ濃度の学習を行うためのフローチャー
トである。
【図16】ベーパ濃度の学習を行うためのフローチャー
トである。
【図17】燃料噴射時間の算出を行うためのフローチャ
ートである。
【図18】第2の設定範囲の上限値tK1と下限値tK
2とを示す図である。
【図19】フィードバック補正係数FAFの挙動を説明
するための図である。
【図20】パージ量を示す図である。
【図21】第2実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図22】第2実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図23】第2の設定範囲の上限値tK1と下限値tK
2とを示す図である。
【図24】第2の設定範囲の上限値tK1と下限値tK
2とを示す図である。
【図25】第2の設定範囲の上限値tK1と下限値tK
2とを示す図である。
【図26】第2の設定範囲の上限値tK1と下限値tK
2とを示す図である。
【図27】第3実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図28】第3実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図29】第3実施例において用いられる内燃機関の全
体図である。
【図30】設定値tKCを示す図である。
【図31】第4実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図32】第4実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図33】第5実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図34】第5実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図35】第5実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図36】第6実施例において用いられる内燃機関の全
体図である。
【図37】キャニスタの燃料蒸気室内の圧力PCNの変
化を示す図である。
【図38】ベーパ多発生フラグを制御するためのフロー
チャートである。
【図39】キャニスタの燃料蒸気室内の圧力PCNの変
化を示す図である。
【図40】ベーパ多発生フラグを制御するためのフロー
チャートである。
【図41】第6実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図42】第6実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図43】第7実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図44】第7実施例において用いられるベーパ濃度の
学習をするためのフローチャートである。
【図45】補正値KFを示す図である。
【符号の説明】
4…燃料噴射弁 5…サージタンク 11…キャニスタ 17…パージ制御弁 31…空燃比センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 25/08 301 F02D 41/02 330 F02D 41/04 330 F02D 41/14 310

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気通路内にパージされる燃料ベーパの
    パージ率が予め定められた目標パージ率となるように該
    燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制御弁と、空燃
    比を検出するための空燃比検出手段と、フィードバック
    補正係数およびパージ空燃比補正係数により燃料噴射量
    を補正する補正手段とを具備し、フィードバック補正係
    数は空燃比検出手段により検出された空燃比に基づいて
    空燃比が目標空燃比となるように基準値に対して増大又
    は減少し、パージ空燃比補正係数はフィードバック補正
    係数の変動平均値が該基準値を中心とする予め定められ
    た第1の設定範囲を越えたときにフィードバック補正係
    数の変動平均値が第1の設定範囲内に戻るように増大又
    は減少し、フィードバック補正係数の変動しうる変動許
    容限界が予め定められている内燃機関の蒸発燃料処理装
    置において、吸入空気中の燃料ベーパ濃度がパージ量の
    変化に応じて一定濃度以上変化する機関運転状態である
    か否かを判断する判断手段を具備し、燃料ベーパ濃度が
    パージ量の変化に応じて一定濃度以上変化しない機関運
    転状態のときにはパージ空燃比補正係数によってフィー
    ドバック補正係数の変動平均値が該第1の設定範囲内に
    戻るように制御され、燃料ベーパ濃度がパージ量の変化
    に応じて一定濃度以上変化する機関運転状態のときには
    フィードバック補正係数の変動平均値が上記第1の設定
    範囲よりも広くかつ上記変動許容限界よりも範囲が狭い
    予め定められた第2の設定範囲の上限又は下限を越えた
    ときにフィードバック補正係数の変動平均値が夫々第2
    の設定範囲の上限又は下限付近まで戻るようにパージ空
    燃比補正係数が増大又は減少せしめられ、次いで該パー
    ジ空燃比補正係数は空燃比が目標空燃比となるように第
    2の設定範囲のほぼ上限又は下限において変動する内燃
    機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 フィードバック補正係数の変動平均値が
    第2の設定範囲を越えたときにはフィードバック補正係
    数の変動平均値が第2の設定範囲を越えている分だけ第
    2の設定範囲に向けて戻るようにパージ空燃比補正係数
    が増大又は減少せしめられる請求項1に記載の内燃機関
    の蒸発燃料処理装置。
  3. 【請求項3】 第1の設定範囲の上限および下限は一定
    値とされ、第2の設定範囲の上限又は下限は該燃料ベー
    パのパージ量又は該燃料ベーパのパージ量を代表する代
    表値に応じて変化する請求項1に記載の内燃機関の蒸発
    燃料処理装置。
  4. 【請求項4】 該代表値が吸入空気量、パージ制御弁の
    開弁量、吸気通路内に発生する負圧、燃料噴射量および
    吸気通路内に配置されたスロットル弁の開度のうちの少
    なくとも一つである請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃
    料処理装置。
  5. 【請求項5】 第2の設定範囲の上限は該燃料ベーパの
    パージ量又は該代表値が増大するほど第1の設定範囲の
    上限に対して大きくなる請求項3に記載の内燃機関の蒸
    発燃料処理装置。
  6. 【請求項6】 第2の設定範囲の上限は該燃料ベーパの
    パージ量又は該代表値が予め定められた値よりも小さい
    ときには第1の設定範囲の上限に一致しており、該燃料
    ベーパのパージ量又は該代表値が予め定められた値より
    も大きいときには第1の設定範囲の上限よりも大きくな
    る請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  7. 【請求項7】 第2の設定範囲の下限は該燃料ベーパの
    パージ量又は該代表値が増大するほど第1の設定範囲の
    下限に対して小さくなる請求項3に記載の内燃機関の蒸
    発燃料処理装置。
  8. 【請求項8】 第2の設定範囲の下限は該燃料ベーパの
    パージ量又は該代表値が予め定められた値よりも小さい
    ときには第1の設定範囲の下限に一致しており、該燃料
    ベーパのパージ量又は該代表値が予め定められた値より
    も大きいときには第1の設定範囲の下限よりも小さくな
    る請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  9. 【請求項9】 燃料ベーパ濃度がパージ量の変化に応じ
    て一定濃度以上変化する機関運転状態のときに吸入空気
    中の燃料ベーパ濃度が低くなるにつれて第2の設定範囲
    の上限を徐々に大きくし、第2の設定範囲の下限を徐々
    に小さくする請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料処理
    装置。
  10. 【請求項10】 機関の運転状態がアイドリング運転以
    外の運転状態であるときに吸入空気中の燃料ベーパ濃度
    が低くなるにつれて第2の設定範囲の上限を徐々に大き
    くし、第2の設定範囲の下限を徐々に小さくする請求項
    9に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  11. 【請求項11】 上記判断手段は、機関の運転開始後に
    おけるパージ作用の実行時間が予め定められた時間を越
    えたときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に応じて一定濃
    度以上変化する機関運転状態であると判断する請求項1
    に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  12. 【請求項12】 上記予め定められた時間は大気温が高
    いほど短かくされる請求項11に記載の内燃機関の蒸発
    燃料処理装置。
  13. 【請求項13】 フィードバック補正係数の変動平均値
    を第1の設定範囲内に維持するようにパージ空燃比補正
    係数の更新作用を行う更新手段を具備し、上記判断手段
    は、パージ空燃比補正係数の更新作用の回数が予め定め
    られた回数を越えたときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量
    に応じて一定濃度以上変化する機関運転状態であると判
    断する請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  14. 【請求項14】 上記判断手段は、フィードバック補正
    係数の変動平均値が上記基準値を中心とする予め定めら
    れた範囲を越えたときに燃料ベーパ濃度が吸入空気量に
    応じて一定濃度以上変化する機関運転状態であると判断
    する請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  15. 【請求項15】 燃料タンク内の圧力の代表値を検出す
    る検出手段を具備し、上記判断手段は、燃料タンク内の
    圧力の代表値が予め定められた値を越えたときに燃料ベ
    ーパ濃度が吸入空気量に応じて一定濃度以上変化する機
    関運転状態であると判断する請求項1に記載の内燃機関
    の蒸発燃料処理装置。
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