JP3276567B2 - 皮膜特性の優れる絶縁皮膜剤及びそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

皮膜特性の優れる絶縁皮膜剤及びそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、張力付与性、絶縁
性、密着性等の皮膜特性と磁気特性を良好ならしめる方
向性電磁鋼板の絶縁皮膜剤及びそれを用いた皮膜特性の
優れる方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、例えばSiを2〜4
%含有するスラブを熱間圧延し、焼鈍した後1回或いは
焼鈍を挟む2回以上の冷延により最終板厚とし、次いで
脱炭焼鈍により一次再結晶と鋼板表面にSiO2 主体の
酸化層を形成後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、最終仕上げ焼鈍を施してゴス方位を持つ二次再結
晶の発達とS,N等の不純物の除去を行うと同時にグラ
ス皮膜の形成を行う。次いで、絶縁皮膜用のコーティン
グ剤を塗布し、焼き付けとヒートフラットニング処理を
同時に行って最終製品とされる。
【0003】こうして得られる方向性電磁鋼板は主とし
て電気機器、トランス等の鉄心材料として使用され、磁
束密度が高く、鉄損値が低いことが要求される。又、方
向性電磁鋼板がトランス鉄心として用いられる場合、巻
き鉄心の場合には、所定の寸法にスリットされたフープ
は高速で連続的に巻きほどかれながら切断、巻き加工、
圧縮成型、ひずみ取り焼鈍を経てレーシングと呼ばれる
巻き線作業を行った後ケースに入れられトランスとされ
る。積み鉄心の場合には、スリットされたフープを所定
サイズに切断後必要に応じてひずみとり焼鈍を行い巻き
線作業を行って鉄心とされる。この鉄心加工工程におい
ては、例えば巻き鉄心の場合、高速で連続的な加工作業
がスムースに行え、成型後のコアは端面やラップ部に凹
凸を生じず、形状が優れていることが重要で、このため
には、鋼板表面の滑り性や耐傷付き性が優れていること
が重要である。又、焼鈍時においては鋼板皮膜相互間の
焼き付きがなく、容易にレーシング作業が行えることが
鉄心加工能率の向上と皮膜性能、磁気特性の劣化を防止
する観点から重要である。
【0004】これらの問題に対して方向性電磁鋼板の絶
縁皮膜の性状が大きく影響するため、巻き加工性、耐熱
性、密着性が優れ、且つ、鉄損、磁歪等の改善効果の優
れる高張力の絶縁皮膜の開発が強く望まれている。この
ようなトランス鉄心加工性と磁気特性の向上手段とし
て、絶縁皮膜形成時の塗布材の改良がなされてきた。特
開昭61−41778号公報には、コーティング剤とし
てMg,Al等の第一リン酸塩と粒子径8nm以下の超微
粒子コロイダルシリカを主成分とし、クロム酸又はクロ
ム酸塩の1種又は2種以上からなる混合液を仕上げ焼鈍
後の鋼板に塗布し、焼き付け処理することにより、鋼板
表面に形成する絶縁皮膜を滑り性を改善する技術が開示
されている。また、特開平7−180064号公報に
は、本発明者等による新技術として、M2+ 1-X 3+(O
H)2+X-nyAy n-・mH2 Oの一般式で表される平均粒
子径1μm以下の固溶型複合金属水酸化物組成である方
向性電磁鋼板用皮膜が提案されている。前者は超微粒子
コロイダルシリカによる皮膜表面の平滑化と粒子表面積
増加によるフリーリン酸の固定能の向上により、滑り性
の改善と耐焼き付き性向上を実現するものである。後者
は、Cr化合物を有しない新皮膜組成により皮膜張力が
従来のリン酸塩とコロイダルシリカ主成分皮膜より優
れ、皮膜密着力が優れることが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術で
は、前者の場合、皮膜張力は第一リン酸塩とコロイダル
シリカの配合比率によって決まるものであり、その向上
に限界があり、皮膜の密着性や歪み取り焼鈍時の焼き付
き性についても更なる改善が望まれている。又、後者に
おいては、皮膜形成反応において、多量のアニオン物質
や添加剤として硼酸、燐酸等を必要とすることから、焼
鈍時の耐焼き付き性、吸湿性等の改善が必要であり、絶
縁皮膜の耐食性、表面の平滑性、歪み取り焼鈍における
耐熱性改善のために皮膜形成能を更に高めることが望ま
れている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記の様な
複合金属水酸化物を主成分とする絶縁皮膜において、皮
膜のガラス化のためにかなりの量のアニオン物質と添加
剤を必要とする点に着目し、液組成の改善、作液条件の
改善及び焼き付け条件について検討した。その結果、2
価及び3価の複合金属水酸化物に一定量の1価金属の水
酸化物を複合させることにより、絶縁皮膜の皮膜形成能
が著しく向上する。これにより、皮膜形成助剤となる硼
酸、燐酸等の配合比率が抑えられ、焼き付け処理におい
ても、より低温、短時間で表面性状と皮膜性能の良好な
絶縁皮膜が得られることを見いだし、本発明を完成し
た。
【0007】即ち、本発明は以下の(1)〜(2)であ
る。 (1)M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)2+X-nyn- y ・m
2 Oの一般式で表される固溶型複合金属水酸化物組成
であることを特徴とする皮膜特性の優れる方向性電磁鋼
板用絶縁皮膜剤。 (2)M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)2+X-nyn- y ・m
2 Oの一般式で表される固溶型複合金属水酸化物10
0重量部に対し、硼酸、燐酸、珪酸、クロム酸、硼酸
塩、珪酸塩、クロム酸塩、水酸化物、酸化物の1種又は
2種以上を10〜500重量部添加配合した絶縁皮膜
剤。
【0008】(3)M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)
2+X-nyn- y ・mH2 Oの一般式で表される固溶型複合
金属水酸化物100重量部に対し、硼酸、燐酸、珪酸、
クロム酸、硼酸塩、珪酸塩、クロム酸塩、水酸化物、酸
化物の1種又は2種以上を10〜500重量部添加配合
した絶縁皮膜剤水溶液を最終仕上げ焼鈍後の鋼板表面に
塗布し、600〜1000℃で焼き付け処理することを
特徴とする皮膜特性の優れる方向電磁鋼板の製造方法。
【0009】 但し、M1+;Li,K,Na等の1価金属 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,Sb,Bi,In,
B,Ga,Ti等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
4 2- ,SiO3 2 - ,HPO4 2- ,CrO4 2- ,(CH3
COO)- ,Fe(CN)6 3- ,BO3 3- 等のn価のア
ニオン X=x1+x2, 0<X<1.0, 0<y<2.
0, m;層間水の分子数
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する無機化合物の種類は以下の通りであ
る。本発明では、2価金属元素と3価金属元素及び1価
金属元素で構成される複合水酸化物をゾル状の水溶液と
して、鋼板上に塗布焼き付けする。その水酸化物の形態
としては、M2+ 1- X 1+ x13+ x2(OH)2+X-nyn- y
・mH2 Oで表される。基本組成M2+ 1-X1+ x13+ x2
(OH)2+X-nyに適用される2価金属元素は、Be,M
g,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Zn等であり、3価金属としては、Al,F
e,Cr,Co,Sb,Bi,In,B,Ga,Tiで
あり、反応促進のための1価金属としては、Li,N
a,K,等である。
【0011】これらによる結晶構造はブルーサイト類似
のプラスに荷電した基本層、アニオンと層間水からなる
マイナスに荷電した中間層の2種類の層からなる層状構
造物である。これらは、同時に3価の水酸化物に1価及
び2価の水酸化物を固溶したものを含む。この様な物質
としては、例えば、3価の水酸化物に1価と2価の水
酸化物を固溶したもの、2価の水酸化物に1価と3価
の水酸化物を固溶したもの、或いはその両者が用いら
れる。これらの固溶型複合水酸化物物質では、主として
固溶により、そして副次的にアニオン物質と層間水によ
る効果が相乗的に作用して、単体水酸化物質では得られ
なかったような高反応性と低融点化が得られる。この際
の1価金属水酸化物の複合化はよりこの低融点化効果を
増大する。このため、2価と3価の複合水酸化物の場合
に比し、アニオン物質や硼酸等の添加剤の添加量を低く
抑えられる効果がある。又、より、低温度、短時間の焼
き付け条件でも安定して表面性状の優れた高張力皮膜を
形成する。
【0012】又、これらの皮膜剤物質は、従来のリン酸
塩−コロイダルシリカ−クロム酸塩系皮膜に比して張力
発現に重要な低熱膨張係数、高伸び特性の皮膜素材を任
意的に選べる利点がある。このため、従来の皮膜剤に比
較して、高張力の絶縁皮膜が形成できる。本発明で使用
する処理剤の組成は以下の通りである。
【0013】本発明では、1価、2価、3価の金属によ
る複合水酸化物を絶縁皮膜剤の基本成分とする場合、一
定量含有する1価金属とその水酸化物構造中のアニオン
基により飛躍的な低融点化効果が得られる。また、1価
のアルカリ金属元素の存在は、添加剤に硼酸、燐酸等を
用いる場合には焼き付け時に反応し、これらを安定に固
定する効果があり、耐熱性や吸湿性を改善する。更に、
理由は明確ではないが、1価金属を複合水酸化物に含有
する場合には、焼き付け課程における表面酸化が抑えら
れる傾向がある。1価金属の水酸化物の量は、特に限定
するものではないが、好ましくは、全水酸化物中に占め
る割合としては20%以下が良い。これは、その固溶に
限界があり、また、1価金属の水酸化物の割合が多くな
りすぎると焼き付け処理の条件によっては、皮膜の耐食
性が低下したり、皮膜張力を低下するためである。
【0014】複合水酸化物構造中のアニオン物質は、低
融点化効果と共に、硼酸等の他の反応促進剤を添加した
場合には、容易に置換し、構造中に安定に取り込む性質
を有しており、添加剤の安定化にも作用する。この複合
水酸化物に対し、更に、密着性の向上と皮膜形成を工業
的に容易にする目的で、硼酸、燐酸、珪酸、クロム酸、
硼酸塩、燐酸塩、珪酸塩、クロム酸塩、水酸化物、酸化
物の1種又は2種以上を複合水酸化物物質100重量部
に対し、10〜500重量部の割合で配合することが望
ましい。これらの化合物の添加により、絶縁皮膜形成反
応の低温化、短時間化がより促進される。更に皮膜のシ
ール性を向上して、皮膜形成時の鋼板表面の酸化を抑制
し、密着性を向上する。これら添加剤の配合比率が10
重量部未満では、このような効果が極度に小さくなる。
一方、500重量部超では、皮膜張力の低下が生じた
り、過剰の硼酸、燐酸、珪酸、クロム酸、硼酸塩、燐酸
塩、珪酸塩、クロム酸塩等による吸湿性による皮膜表面
のベタツキや耐熱性、歪み取り焼鈍での焼き付き性が生
じるため制限される。
【0015】処理液の塗布・焼き付け方法としては、連
続ラインにおいて処理剤を水で適当濃度に希釈し、ロー
ルコーターで所定量塗布し、600℃〜1000℃で短
時間の焼き付け処理を行う。焼き付け温度が600℃よ
り低いと複合水酸化物のガラス化に時間を要するため、
工業的な使用上問題がある。又、焼き付け時の鋼板の熱
膨張が不足して皮膜張力が小さくなる。一方、1000
℃超では連続炉中の焼き付けにおいて、鋼板の伸びの制
御が困難になるため制限される。張力発現と生産性を考
慮した場合には、もっとも好ましい条件は750〜95
0℃である。
【0016】本発明の処理剤は最終焼鈍を施した方向性
電磁鋼板に適用される。この場合、4つのケースがあ
る。第一は最終焼鈍後のグラス皮膜上に塗布する場合、
第二はグラス皮膜上に他の絶縁皮膜を塗布・焼き付けし
た製品に塗布する場合、第三は本発明の絶縁皮膜剤を塗
布・焼き付け後他の絶縁皮膜剤を塗布する場合、第四は
仕上げ焼鈍時にグラス皮膜形成を抑制したり、仕上げ焼
鈍後に酸洗等により表面皮膜を除去後本発明の処理剤を
塗布・焼き付けする。これら種々のケースでは、絶縁皮
膜処理前に予備処理として軽酸洗を行うか、水洗を十分
に行った後塗布するのが均一な塗布性を得るのに好まし
い。これらの用途によっては、皮膜剤の塗布量、鋼板の
焼き付け炉内張力、ヒートサイクル等を制御して皮膜形
成が行われる。
【0017】本発明では、絶縁皮膜成分として、1価、
2価、3価の金属元素による微粒子の複合水酸化物と必
要に応じて添加される反応促進剤の硼酸、燐酸、珪酸、
クロム酸及び/又はこれらの金属塩、水酸化物、酸化物
等を添加することにより、600〜1000℃で短時間
焼き付け処理で絶縁皮膜を形成する。この際、1価金属
水酸化物の複合化により、皮膜形成の低温・短時間形成
と均一化、表面性状の安定化に大きい役割を果たしてい
る。このようにして得られた絶縁皮膜は、緻密で耐食
性、密着性、絶縁性、耐熱性、占積率等が優れる。更
に、本発明では、添加剤の選択によっては、従来の絶縁
皮膜の主成分に用いられてきたリン酸、クロム化合物を
全く利用しない組成とすることが出来るため、鉄心加工
工程における皮膜剥離当による作業環境汚染の問題もな
い皮膜形成が実現できる。
【0018】本発明の複合水酸化物主成分皮膜によるも
う一つの利点としては、アニオン物質や添加剤等の安定
化がある。複合水酸化物では、これらのアニオン物質や
添加剤物質を皮膜構造中に容易に取り込める性質を有し
ており、添加剤による吸湿性や歪み取り焼鈍における融
着性を極度に小さくできる。
【0019】
【実施例】
〈実施例1〉高磁束密度方向性電磁鋼板素材スラブを公
知の方法で熱延、熱延板焼鈍、酸洗、冷延により処理し
最終板厚0.225mmの冷延板とした。このコイルを、
225%+H2 75%、露点65℃雰囲気中で840
℃×120秒間の脱炭焼鈍を行った。次いで、Mg01
00重量部、TiO2 5重量部、硼酸ソーダ0.3重量
部からなる組成の焼鈍分離剤を塗布・乾燥後1200℃
×20Hrの最終仕上げ焼鈍を行い、二次再結晶、純化と
グラス皮膜形成を行い出発材とした。
【0020】このコイルを水洗により、表面の余剰Mg
Oを除去し、2%H2 SO4 、液温80℃で10秒間の
軽酸洗の後、表1に組成の複合水酸化物、アニオン物質
の主成分ゾルに対し、硼酸を配合した水溶液を焼き付け
後の重量で3g/m2 なる用に塗布し、連続炉中で乾燥
後、850℃×30秒間処理を行った。この試験におけ
る皮膜特性と磁気特性を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】この結果、本発明によるものは、何れも高
張力で光沢のある透明なガラス皮膜を形成し、皮膜表面
はなめらかで、密着性も良好であった。一方、比較例の
複合水酸化物ゾルに1価金属水酸化物を含有しない2
価、3価金属の複合水酸化物によるものは、本発明剤に
よる皮膜に比し、ややガラス化が不十分で、光沢がやや
鈍く、密着性と皮膜張力もやや劣る傾向が見られた。
又、リン酸塩−コロイダルシリカによる比較材では、密
着正、皮膜張力、磁性の面で、本発明より大幅に悪い結
果となった。
【0024】〈実施例2〉重量%でC;0.050%、
Si;3.35%、Mn;0.11%、Al;0.03
3%、S;0.007%、N;0.0075%、含有
し、残部が鉄と不可避の不純物からなるスラブを125
0℃で加熱した後、公知の方法で熱延、熱延板焼鈍、酸
洗、冷延を行い、最終板厚0.22mmとした。次いで、
840℃×120秒、雰囲気ガスとしてN2 25%+H
2 75%露点60℃で脱炭焼鈍後N225%+H2 75
%NH3 中で鋼中N量が210ppm になるよう窒化処理
を行った。この鋼板にMg0100重量部+BiCl3
3%からなる焼鈍分離剤を塗布し、1200℃×20
Hrの最終焼鈍を行い、グラス皮膜を有しない高磁束密度
方向性電磁鋼板素材を製造した。
【0025】この鋼板をH2 SO4 2%、液温80℃×
15秒の軽酸洗を行った後、表3に示すように1価、2
価、3価金属による複合酸化物に硼酸を配合した処理剤
を塗布焼き付け後の重量で5.0g/m2 になる様に塗
布し、850℃×30秒の焼き付け処理を行った。次い
で、サンプルを取り出し、圧延方向と直角方向に5mm間
隔でレーザー照射し磁区細分化処理後磁気特性と皮膜特
性を評価した。結果を表4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】この試験の結果、本発明の1価金属の水酸
化物を複合水酸化物中に含有したものは、何れも皮膜の
光沢、透明度、表面粗度等の表面性状が優れ、且つ、密
着性、皮膜張力が極めて優れ、磁気特性も良好であっ
た。一方、比較例の2価、3価の金属のみによる複合水
酸化物では、実施例と同様に皮膜特性の面で本発明に比
しかなり劣り、磁気特性もやや劣る傾向が見られた。
又、リン酸塩−コロイダルシリカによる皮膜例では、密
着性、皮膜張力、磁気特性の面で本発明に比し劣る結果
であった。
【0029】
【発明の効果】本発明は表面性状が良好で高張力で密着
性の優れた絶縁皮膜を有する方向性電磁鋼板を製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 収 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の 59 日鐵プラント設計株式会社 (56)参考文献 特開 平8−35014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)2+X-ny
    n- y ・mH2 Oの一般式で表される固溶型複合金属水酸
    化物組成であることを特徴とする皮膜特性の優れる方向
    性電磁鋼板用絶縁皮膜剤。 但し、M1+;Li,K,Naの中から選ばれる1価金属 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
    e,Co,Ni,Cu,Zn等の中から選ばれる2価金
    属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,Sb,Bi,In,
    B,Ga,Tiの中から選ばれる3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
    4 2- ,SiO3 2 - ,HPO4 2- ,CrO4 2- ,(CH3
    COO)- ,Fe(CN)6 3- ,BO3 3- 等のn価のア
    ニオン X=x1+x2, 0<X<1.0, 0<y<2.
    0, m;層間水の分子数
  2. 【請求項2】 M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)2+X-ny
    n- y ・mH2 Oの一般式で表される固溶型複合金属水酸
    化物100重量部に対し、硼酸、燐酸、珪酸、クロム
    酸、硼酸塩、珪酸塩、クロム酸塩、水酸化物、酸化物の
    1種又は2種以上を10〜500重量部添加配合した絶
    縁皮膜剤。 但し、M1+;Li,K,Naの中から選ばれる1価金属 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
    e,Co,Ni,Cu,Zn等の中から選ばれる2価金
    属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,Sb,Bi,In,
    B,Ga,Tiの中から選ばれる3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
    4 2- ,SiO3 2 - ,HPO4 2- ,CrO4 2- ,(CH3
    COO)- ,Fe(CN)6 3- ,BO3 3- 等のn価のア
    ニオン X=x1+x2, 0<X<1.0, 0<y<2.
    0, m;層間水の分子数
  3. 【請求項3】 M2+ 1-X 1+ x13+ x2(OH)2+X-ny
    n- y ・mH2 Oの一般式で表される固溶型複合金属水酸
    化物100重量部に対し、硼酸、燐酸、珪酸、クロム
    酸、硼酸塩、珪酸塩、クロム酸塩、水酸化物、酸化物の
    1種又は2種以上を10〜500重量部添加配合した絶
    縁皮膜剤水溶液を最終仕上げ焼鈍後の鋼板表面に塗布
    し、600〜1000℃で焼き付け処理することを特徴
    とする皮膜特性の優れる方向電磁鋼板の製造方法。 但し、M1+;Li,K,Naの中から選ばれる1価金属 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
    e,Co,Ni,Cu,Zn等の中から選ばれる2価金
    属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,Sb,Bi,In,
    B,Ga,Tiの中から選ばれる3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
    4 2- ,SiO3 2 - ,HPO4 2- ,CrO4 2- ,(CH3
    COO)- ,Fe(CN)6 3- ,BO3 3- 等のn価のア
    ニオン X=x1+x2, 0<X<1.0, 0<y<2.
    0, m;層間水の分子数
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