JP3276164B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサの駆動
用電解液（以下電解液という）に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より電解コンデンサの電解液にはエ
チレングリコールを主体とした溶液に有機酸あるいはそ
の塩を溶解した電解液が多用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
エチレングリコールを使用した電解コンデンサは低温で
の特性が悪いため、広温度範囲において使用可能な電解
液の溶媒としてγーブチロラクトンが使用されるように
なったが、その電解液を用いても最低保証温度は−５５
℃までが限界であり、さらに低温特性を向上するために
は根本的な対策を必要としていた。また、γーブチロラ
クトンは高温雰囲気中における蒸気圧が高いため、面実
装品へ使用した場合、半田リフロー炉中（２６０℃）の
熱によって電解液が気化してしまい、外観膨張を発生し
てしまうという問題を有していた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】これらの問題を解決する
には、使用する溶媒を高沸点かつ低凝固点のものにすれ
ば良い。すなわち、２ー（１ーシクロヘキセニル）シク
ロヘキサノンを主体とした溶液に、有機酸またはその塩
を溶解したことを特徴とする電解液である。

【０００５】

【作用】本発明の電解液に使用した２ー（１ーシクロヘ
キセニル）シクロヘキサノンは、高沸点・低凝固点であ
るため、電解液の気化による外観異常が発生せず、ま
た、低温においても電解液の凝固が起こりにくいため、
低温特性が向上する。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
１は、本発明に使用した溶媒と従来使用されている溶媒
の沸点および凝固点の比較を示す。表２は、表中に示し
た本発明の電解液と従来の電解液を用いて試作した、定
格１０Ｖ ３３０μＦの面実装品を実装した基板を半田
リフロー炉に通した後の外観膨張発生率を示した。表３
は、表２中に示した本発明の電解液と従来の電解液を用
いて試作した定格１０Ｖ ３３０μＦの面実装品によ
る、１０５℃高温負荷試験結果を示した。なお、表中電
解液試料記号Αは従来例、Ｂ，Ｃは本発明例であり、ま
た、エチレングリコールはＥＧ、γーブチロラクトンは
ＧＢＬ、Ｎ，ＮージメチルホルムアミドはＤＭＦ、２ー
（１ーシクロヘキセニル）シクロヘキサノンはＣＹＣと
略した。

【０００７】

【表１】

【０００８】

【表２】

【０００９】

【表３】

【００１０】表２および表３から明らかなように、本発
明に係わる試料記号Ｂ，Ｃの電解液は従来の電解液に比
べ、高温雰囲気中での電解液の気化による外観膨張が見
られず、高温雰囲気中における信頼性も向上する。な
お、２ー（１ーシクロヘキセニル）シクロヘキサノンの
配合量が５ｗｔ％未満の場合は改良の効果がみられず、
また、低比抵抗化のために溶質を１０ｗｔ％以上配合す
る必要があるため、２ー（１ーシクロヘキセニル）シク
ロヘキサノンの最大配合量は９０ｗｔ％が望ましい。

【００１１】

【発明の効果】以上のように、２ー（１ーシクロヘキセ
ニル）シクロヘキサノンを主体とした溶液中へ、有機酸
またはその塩を溶解したことを特徴とする電解液は、高
沸点・低凝固点であるため、この電解液を用いた電解コ
ンデンサは、低温での特性が良好であり、また、半田リ
フロー炉などでの高温雰囲気中においても、電解液の気
化による外観膨張が発生しないため、工業的ならびに実
用的価値の大なるものである。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２ー（１ーシクロヘキセニル）シクロヘ
   キサノンを主体とした溶液中へ、有機酸またはその塩を
   溶解したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解
   液。
2. 【請求項２】 上記２ー（１ーシクロヘキセニル）シク
   ロヘキサノンは、混合溶液中に５ｗｔ％〜９０ｗｔ％存
   在することを特徴とする請求項１の電解コンデンサの駆
   動用電解液。