JP3122207B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサの駆動
用電解液（以下電解液という）に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より電解コンデンサの電解液にはエ
チレングリコ−ルおよび水を主体とした溶液に、有機酸
あるいはその塩を溶解した電解液が多用されていたが、
従来のエチレングリコ−ルおよび水を主体とした電解液
を使用した電解コンデンサは高温度雰囲気中での信頼性
が低いため、広温度範囲において使用可能な電解液の溶
媒としてγ−ブチロラクトンが使用されるようになっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、γ−ブチロラ
クトンは高温雰囲気中における蒸気圧が高いため、面実
装品へ使用した場合、半田リフロ−炉中の熱（約260
℃）によって電解液が気化してしまい、外観膨張を発生
してしまうという問題を有していた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】これらの問題を解決する
には、使用する溶媒を高沸点かつ低凝固点のものにすれ
ば良い。すなわち、２，２，４−トリメチル−１，３−
ペンタンジオ−ルモノイソブチレ−トを主体とした溶液
中へ有機酸あるいはその塩を溶解したことを特徴とする
電解液である。

【０００５】

【作用】本発明の電解液に使用した２，２，４−トリメ
チル−１，３−ペンタンジオ−ルモノイソブチレ−ト
は、高沸点・低凝固点であるため、電解液の気化による
外観異常が発生せず、また、低温においても電解液の凝
固が起こりにくいため、低温特性が向上する。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
１は、各種溶媒の沸点および凝固点を示す。表２は、表
中に示した本発明の電解液と従来の電解液を用いて試作
した、定格10WV 330μF の面実装品を実装した基板を半
田リフロ−炉に通した後の外観膨張発生率を示した。表
３は、表１中に示した本発明の電解液と従来の電解液を
用いて試作した、定格 10V 330μF の面実装品による、
105℃高温負荷試験結果を示す。なお、表中電解液試料
記号Ａは従来例Ｂ，Ｃは本発明例であり、また、エチレ
ングリコ−ルはＥＧ、γ−ブチロラクトンはＧＢＬ、
Ｎ，Ｎ−ジメチルホルムアミドはＤＭＦ、２，２，４−
トリメチル−１，３−ペンタンジオールモノイソブチレ
−トはＰＤＯと略した。

【０００７】

【表１】

【０００８】

【表２】

【０００９】

【表３】

【００１０】表から明らかなように、本発明に係る試料
記号Ｂ，Ｃの電解液は従来の電解液に比べ、高温雰囲気
中での電解液の気化による外観膨張が見られず、また、
信頼性の低下も見られない。なお、２，２，４−トリメ
チル−１，３−ペンタンジオ−ルモノイソブチレ−トの
配合量が5重量％未満の場合は改良の効果がみられず、
また、電解液の低比抵抗化のためには最低10重量％以上
の溶質を必要とするため、最大配合量は90重量％であ
る。

【００１１】

【発明の効果】以上のように、２，２，４−トリメチル
−１，３−ペンタンジオ−ルモノイソブチレ−トの溶液
中へ、有機酸あるいはその塩を溶解した事を特徴とする
電解液は、高沸点・低凝固点であるため、この電解液を
用いた電解コンデンサは、低温での特性が良好であり、
また、半田リフロ−炉などでの高温雰囲気中においても
外観膨張が発生しないため、工業的ならびに実用的価値
の大なるものである。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２，２，４−トリメチル−１，３−ペン
   タンジオ−ルモノイソブチレ−トを主体とした溶液中
   へ、有機酸あるいはその塩を溶解したことを特徴とする
   電解コンデンサの駆動用電解液。
2. 【請求項２】 上記２，２，４−トリメチル−１，３−
   ペンタンジオ−ルモノイソブチレ−トは、混合溶液中に
   5重量％〜90重量％存在することを特徴とする請求項1の
   電解コンデンサの駆動用電解液。