JP3274492B2 - 物性バランスの優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物、及びその製造方法 - Google Patents

物性バランスの優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物、及びその製造方法

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JP3274492B2 JP07971492A JP7971492A JP3274492B2 JP 3274492 B2 JP3274492 B2 JP 3274492B2 JP 07971492 A JP07971492 A JP 07971492A JP 7971492 A JP7971492 A JP 7971492A JP 3274492 B2 JP3274492 B2 JP 3274492B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形物の外観と、耐衝
撃性とのバランスに優れた、高光沢を有するゴム変性ス
チレン系樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂は成形物の外観と、衝撃強度
とのバランスの良い樹脂であり、家庭電気製品、電子機
器等に広く用いられている。最近、これらの製品のコス
トダウン指向が高まり、ABS樹脂に代えてゴム変性ス
チレン系樹脂の使用が多くなり、また大型でより複雑な
形状を有し、しかも肉厚が薄い成形物にも用いられるよ
うになった。このような状況から、光沢がよく、成形加
工性に優れ、しかも高い衝撃強度を有するゴム変性スチ
レン系樹脂が求められるようになった。
【0003】ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム粒子をス
チレン系樹脂に分散させたものであるが、その分散ゴム
粒子の粒子径が、製品性能に重要な影響を及ぼし、分散
ゴム粒子の粒子径が小さい程、成形物の光沢が向上す
る。通常ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム粒子径(平均
粒子径、以下同様)は、1.0〜5.0μm程度である
が、最近では成形物の光沢を向上させるため、1.0μ
m以下のゴム粒子を分散させた樹脂も開発されている。
しかしゴム変性スチレン系樹脂において、そのゴム粒子
径が1.0μm以下になると、通常衝撃強度の低下が著
しく、従って成形物の衝撃強度を保ちながら光沢を向上
させることには限界があった。これらの問題を改良する
為、1.0μm以下のゴム粒子を分散させたゴム変性ス
チレン系樹脂と、1.0μm以上の粒子を分散させたゴ
ム変性スチレン系樹脂をブレンドする方法が、特公昭4
6−41467、特開昭59−1519、特開昭63−
241053、米国特許4,146,589等で提案さ
れている。しかし、これらの方法においては、光沢がま
だ充分でない、また衝撃強度と光沢とのバランスがよく
ない等の問題があった。
【0004】一方ゴム成分としてスチレン含有量の多い
スチレン−ブタジエンブロック共重合体を溶解したスチ
レンモノマーの重合を行うと、単一オクルージョン構造
を有する0.5μm以下のゴム粒子がポリスチレン中に
分散された状態で形成される事は良く知られている(例
Angew.Makromol.Chem.58/59
P175〜198(1977))。これを利用して、成
形物の光沢、透明性の非常に優れたゴム変性スチレン系
樹脂を製造する方法が、特公昭48−18594、特開
昭61−500497、特開昭63−48317、特開
昭64−74209等に提案されている。これらの方法
によれば、確かに成形物の表面光沢、透明性は今までの
ゴム変性スチレン系樹脂に比べて格段に改良されてい
る。しかし、衝撃強度については改良は試みられている
ものの、まだ充分ではなかった。
【0005】又、上記スチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ムを用いて形成された単一オクルージョン構造のゴム粒
子を分散させたゴム変性スチレン系樹脂と、少量のサラ
ミ構造のゴム粒子を分散させた通常のゴム変性スチレン
系樹脂をブレンドし、分散ゴム粒子の粒径分布曲線を二
山形状(2つの極大値を有する分布曲線)とすること
で、成形物の光沢を高いレベルに保ちながら、耐衝撃性
を改良しようとする試みが、米国特許4,493,92
2、特開昭63−112646等にみられる。これらの
方法においては、確かに衝撃強度は向上するものの、ま
だ光沢が不充分であったり、また衝撃強度が不充分な
為、樹脂中にポリジメチルシロキサン等を添加する必要
がある等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のゴム変性スチレン系樹脂に比べて、成形物外観が格段
に向上し、しかも衝撃強度も優れたゴム変性スチレン系
樹脂、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】本発明の今一つの目的は、例えば射出成形
法で成形される大型で薄肉で複雑な形状を有する成形物
用の樹脂材料として適当な、ゴム変性スチレン系樹脂、
及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の重要性に鑑み、鋭意検討した結果、ゴム変性スチレン
系樹脂組成物において、 (1)サラミ構造を有するゴム粒子を小粒径化し (2)単一オクルージョン構造を有するゴム粒子を分散
状態とし、粒径分布を三山形状にして体積平均径を0.
2〜0.8μmの範囲とし、更に (3)粒径分布を従来より広くし、従来の知見と全く異
なる新しい、ゴム状重合体粒子の体積基準の粒径の累積
分布の5%値と95%値の比の値という特別な指標を見
出し、これをコントロールする事により、このゴム変性
スチレン系樹脂を成形物に用いた場合、成形物の外観、
特に光沢が格段に向上し、衝撃強度も優れたものとなる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明はスチレン系単量体の単独重
合体又は共重合体にゴム状重合体粒子を分散させてなる
ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、(a)ゴム状重合体粒子がサラミ構造及び単一オクルー
ジョン構造を有する粒子を含み、サラミ構造を有する粒
子の体積平均径が0.3〜2.0μmであり、単一オク
ルージョン構造を有する粒子の体積平均径が0.1〜
1.0μmであって、かつ単一オクルージョン構造を有
する粒子の数の全粒子数に対する割合が30〜99%
で、サラミ構造を有する粒子の数の割合が70〜1%で
あり、)ゴム状重合体粒子の体積平均径が0.2〜0.8
μmの範囲であり、 ()ゴム状重合体粒子の体積基準の粒径分布曲線の形
状が三つの山からなり、 ()ゴム状重合体粒子の体積基準の粒径の累積分布の
5%値と95%値の比の値が3〜45の範囲であり、 ()5重量%スチレン溶液粘度が20〜50センチポ
イズでスチレン含有量25重量%〜50重量%のスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体(I)と5重量%スチ
レン溶液粘度が20〜50センチポイズでスチレン含有
量5重量%〜20重量%のスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(II)とから成り、(I)と(II)の重量比
が(I)/(II)=95/5〜40/60であるゴム状
重合体をゴム状重合体粒子の形成原料として用いること
を特徴とする物性バランスの優れたゴム変性スチレン系
樹脂組成物である。
【0010】また本発明は、ゴム状重合体(I)及び
(II)をスチレン系単量体又はこれらの混合物に溶解し
た溶液を重合することによる請求項1記載のゴム変性ス
チレン系樹脂組成物の製造方法において、ゴム状重合体
を粒子化する反応槽でのスチレン系重合体の量をX重量
%、ゴム状重合体の総量をY重量%、ゴム状重合体
(I)のスチレン含有量をZ重量%として、スチレン系
単量体又はこれらの混合物の転化率を下記式(III ) 42≦X+2.33×Y+(Z−40)≦52…(III ) を満足させる範囲にすることを特徴とする物性バランス
の優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法であ
り、ゴム状重合体を粒子化する際に有機過酸化物をゴム
状重合体を溶解した溶液100重量部に対し0.000
5〜0.007重量部添加することを含む。
【0011】本発明でいうスチレン系単量体とは、スチ
レン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンのよう
な側鎖アルキル置換スチレン、ビニルトルエン、ビニル
キシレン、o−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルス
チレン、p−メチルスチレンのような核アルキル置換ス
チレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリ
ブロモスチレン、テトラヒドロスチレン等のハロゲン化
スチレン及びp−ヒドロキシスチレン、o−メトキシス
チレン等が挙げられるが、特に好ましくは、スチレン、
α−メチルスチレン、及びp−メチルスチレンである。
スチレン系単量体はこれらのうちの一種又は二種以上を
混合して用いることができる。
【0012】ゴム状重合体粒子は、後述するゴム状重合
体、即ちスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(I),(II)の所定量を添加した上記スチレン系単量
体又は同単量体の混合物を重合させることにより、スチ
レン系重合体中に分散して形成させるものである。
【0013】ここで、スチレン−ブタジエンブロック共
重合体(I)はスチレン含有量が25〜50重量%で、
その5重量%スチレン溶液粘度が20〜50センチポイ
ズのものである。また、スチレン−ブタジエンブロック
共重合体(II)はスチレン含有量が5〜20重量%で、
その5重量%スチレン溶液粘度が20〜50センチポイ
ズのものである。
【0014】本発明においては、上記のようにして形成
するゴム状重合体粒子の体積平均粒子径は0.2〜0.
8μmにする必要がある。ここでいう体積平均粒子径
は、次のようにして測定する。すなわち、樹脂の超薄切
片法による電子顕微鏡写真を撮影し、写真中のゴム粒子
500〜700個の粒子の短径及び長径を測定してその
平均を粒子径とし、次式により平均したものである。
【0015】体積平均粒子径=ΣnD4 /ΣnD3 (但し、nは粒子径Dμmのゴム粒子の個数である。) この体積平均粒子径が0.2μm未満の場合には、得ら
れたゴム変性スチレン系樹脂の衝撃強度が低く、又0.
8μmを超える場合は成形物の外観、特に表面光沢が低
下し、好ましくない。
【0016】本発明においては、ゴム状重合体粒子の分
布曲線の形状は三山にする必要がある。
【0017】本発明でいうゴム状重合体粒子の分布曲線
の形状が三つの山からなるということは、横軸に0.1
μm単位で体積基準の粒径、縦軸に頻度をプロットした
場合、接線の傾きの符号(正、負)が変わる変曲点が五
箇所ある分布のことである。
【0018】分布曲線の形状が二山では衝撃強度の向上
効果はあるが、成形物の外観が劣り、特に光沢勾配が大
きくなる。本発明の分布は使用するゴム状重合体の分子
量分布、混合するゴム状重合体の量比等によって調整さ
れる。本発明において光沢勾配とは、射出成形の成形物
におけるゲートからの距離の差による光沢の差、肉厚の
変化する部位又は角の形状の部位等射出成形時に流動状
態が大きく変化する部位と標準的な部位との光沢の差の
ことを示す。
【0019】更に、本発明においては、ゴム状重合体粒
子の体積基準の粒径の大きい方の粒子から個数を累積し
てカウントし、その累積分布の5%と95%とにそれぞ
れ対応する各粒子径の比の値、すなわち累積分布の5%
値と95%値の比の値(以下、分布係数という)を3〜
45の範囲にする。好ましくは3.5〜40の範囲に、
特に好ましくは4〜35の範囲にする。3未満では衝撃
強度の向上効果が低く、45を超えた場合は成形物の外
観が劣り、特に光沢勾配が大きくなる。かかる量は、使
用するゴム状重合体の分子量分布、混合するゴム状重合
体の量比、或いは、重合時の撹拌強度、滞留時間等によ
って調整する。
【0020】本発明においては、前記ゴム状重合体
(I)とゴム状重合体(II)の比は(I)/(II)=9
5/5〜40/60の範囲にする必要がある。95/5
を越えると衝撃強度が低くなり、又40/60未満では
光沢が低下する。
【0021】ゴム状重合体(I)及び(II)を分散させ
た本発明に係るゴム変性スチレン系樹脂は、例えばゴム
状重合体(I)を含有するゴム変性スチレン系樹脂組成
物とゴム状重合体(II)を含有するゴム変性スチレン系
樹脂とを別々に製造し、押出機等でブレンドする方法、
ゴム状重合体(I)と(II)をスチレン系樹脂の重合
時、予め重合反応槽にて混合する方法等によって得られ
るが、ゴム状重合体(I)と(II)を重合反応槽にて混
合する方法が好ましい。
【0022】本発明においては、ゴム状重合体粒子がサ
ラミ構造、及び単一オクルージョン構造を有する粒子で
ある場合を含むものである。
【0023】本発明でいうサラミ構造とは、樹脂の超薄
切片法による電子顕微鏡写真を撮影し観察したとき、一
つのゴム粒子内に複数のオクルージョンを有する粒子の
構造のこと示す。又単一オクルージョン構造とは、一つ
のゴム粒子内にただ一つのオクルージョンを有する粒子
の構造のことを示す。
【0024】本発明においては、ゴム状重合体粒子のう
ちサラミ構造を有する粒子の体積平均径を0.3〜2.
0μmの範囲に、単一オクルージョン構造を有する粒子
の体積平均径を0.1〜1.0μmの範囲にし、かつ単
一オクルージョン構造を有する粒子の全粒子数に対する
割合を30〜99%の範囲にし、サラミ構造を有する粒
子の数の割合を70〜1%の範囲にすることが好まし
い。この場合、ゴム状重合体粒子の体積平均径が0.2
〜0.8μmの範囲にあるように注意する必要がある。
【0025】サラミ構造を有する粒子の体積平均径が
2.0μmより大きいと成形物の外観が劣り、特に光沢
勾配が大きくなり、0.3μm未満では衝撃強度が低く
なる。一方、単一オクルージョン構造を有する粒子の体
積平均径が1.0μmより大きいと光沢が低くなり、
0.1μm未満では衝撃強度が低くなる。又、単一オク
ルージョン構造を有する粒子の数が30%未満の場合、
光沢が低下したり光沢勾配が大きくなる。99%より多
いと衝撃強度が低下する。
【0026】上記条件を満す本発明に係るゴム変性スチ
レン系樹脂組成物中のゴム状重合体とスチレン系重合体
の割合は、3/97から25/75の範囲が好ましい。
3/97未満の場合は、成形物の光沢は優れるものの衝
撃強度が低くなり、25/75を越える場合は、衝撃強
度は向上するが光沢が低下したり光沢勾配が大きくな
る。
【0027】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を
製造する方法としては、ゴム状重合体(I)及び(II)
をスチレン系単量体に溶解した溶液を塊状重合又は塊状
−懸濁二段重合法にて重合すること等により得られる
が、いずれの場合もゴム状重合体を粒子化する反応槽で
のスチレン系重合体の量をX重量%、ゴム状重合体の総
量をY重量%、ゴム状重合体(I)のスチレン含有量を
Z重量%とすると、下記(IV)式の値を42〜52の範
囲にするようにスチレン系単量体の転化率を調整する必
要がある。
【0028】 X+2.33×Y+(Z−40)……(IV) この範囲以外でも粒子形成は可能であるが、その場合異
常粒子が発生する。42未満では得られた製品の電子顕
微鏡写真観察を行うと棒状に見えるゴム粒子が生成し、
光沢、衝撃強度が低くなる。又52を越える場合は巨大
粒子が生成し、光沢が低下する。上記(IV)式を所定の
値にするということは、具体的にはゴム状重合体を粒子
化する反応槽でのゴム状重合体の量が多い場合、又はゴ
ム状重合体(I)のスチレン含有量が多い場合は、ゴム
状重合体を粒子化する反応槽でのスチレン系重合体の量
が多くなるようにスチレン系単量体の転化率を調整し、
逆の場合は、ゴム状重合体を粒子化する反応槽でのスチ
レン系重合体の量が少なくなるようにスチレン系単量体
の転化率を調整することを意味する。
【0029】本発明においては、スチレン系単量体の転
化率は公知の方法、例えば重合温度、使用する重合開始
剤の種類、濃度、重合時間、連続重合法の場合には滞留
時間等によって調節される。
【0030】本発明においては、ゴム状重合体を粒子化
する際に重合開始剤を使用しなくてもよいが、重合開始
剤として有機過酸化物をゴム状重合体を溶解した溶液1
00重量部に対し、0.0005〜0.007重量部使
用することが好ましい。0.007重量部より多く使用
すると巨大粒子が一部生成し、光沢が低下することがあ
る。本発明のゴム変性スチレン系樹脂には必要に応じて
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止
剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤、ミネラル油等
の流動性改良剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、有
機ポリシロキサン等の離型剤を原料溶液或いは重合の途
中もしくは重合の終了した時点で添加してもよい。
【0031】
【実施例】以下実施例を示して本発明を具体的に説明す
るが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。 物性の評価 (1)アイゾット衝撃強度:JIS K−6871に準
じて測定 (2)実用衝撃強度の評価:射出成形により図1
(a)、図1(b)で示される形状の成形物1の3ケ所
の部位、即ち部位(1)、部位(2)、部位(3)につ
いて、落錘衝撃強度試験を行った。落錘の先端部R=
6.4m/m、荷台の内径25m/mとした。部位
(1)は厚みの変化する部位であり、部位(2)は角の
近辺の部位、部位(3)は標準的な部位である。 (3)光沢:JIS 8741(入射角60°)に準じ
て図1(a),図1(b)で示される形状の成形物の3
ケ所の部位、部位(1)、部位(2)、部位(3)につ
いて測定した。 実施例1 3基の直列の撹拌機付き反応器の出口に予熱器、ついで
真空槽を連結した連続塊状重合装置を用いてゴム変性ス
チレン系樹脂を製造した。第1基目の撹拌機付き反応槽
にゴム状重合体(I)としてスチレン含有量40%、5
%スチレン溶液粘度35センチポイズのスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体4.2重量部、ゴム状重合体
(II)として、スチレン含有量15%、5%スチレン溶
液粘度30センチポイズのスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体1.8重量部、エチルベンゼン15重量部、
スチレン79重量部、有機過酸化物として1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン0.005重量部より成る原料液を連続的に
供給した。第1基目の撹拌機の撹拌は250rpm、反
応温度は144℃、滞留時間を1.0時間とした。第2
基目は反応温度145℃、滞留時間を2時間とし、第3
基目は反応温度を148℃、滞留時間を2.5時間とし
た。予熱器の温度は、210〜240℃に保持し、真空
槽の真空度は40Torrとした。結果を表1、表2に
示す。 実施例2 第1基目の撹拌を180rpmとした以外は実施例1と
同様の条件で行った。 実施例3 第1基目の撹拌を400rpmとした以外は実施例1と
同様の条件で行った。 比較例1 第1基目の撹拌を80rpmとした以外は実施例1と同
様の条件で行った。得られた製品中のゴム状重合体粒子
の平均粒径は1.00μmと大きく、光沢が低かった。 比較例2 第1基目の撹拌を550rpmとした以外は実施例1と
同様の条件で行った。得られた製品中のゴム状重合体粒
子の平均粒径は0.17μmと小さく、衝撃強度が低か
った。 比較例3 実施例1においてゴム状重合体(I)を6重量部とし、
ゴム状重合体(II)は使用せず、第1基目の撹拌を30
0rpm、反応温度を142℃、滞留時間1.5時間と
した以外は実施例1と同様の条件で、ゴム状重合体粒子
の平均粒子径0.35μmの単一オクルージョン構造を
有する小粒径のゴム変性スチレン系樹脂(A)を製造し
た。別途実施例1においてゴム状重合体(I)及び(I
I)の代わりに5%スチレン溶液粘度50センチポイズ
のポリブタジエン6重量部を使用し、第1基目の撹拌を
300rpm、反応温度を142℃、滞留時間を1.5
時間とした以外は実施例1と同様の条件でゴム状重合体
粒子の平均粒子径1.15μmのサラミ構造を有する大
粒径のゴム変性スチレン径樹脂(B)を製造した。ゴム
変性スチレン系樹脂(A)と(B)を85/15の比で
混合し、押出機にて溶融混練し製品を得た。ゴム状重合
体の粒径分布は二山であり、成形物の光沢勾配が大きか
った。 比較例4 実施例1において第1基目の反応温度を148℃とし、
滞留時間を40分とした以外は実施例1と同様の条件で
行った。得られた製品は、分布係数が51と大きく成形
物の光沢勾配が大きくなった。 比較例5 実施例1において第1基目の反応温度を140℃とし、
滞留時間を3時間とした以外は実施例1と同様の条件で
行った。得られた製品は分布係数が2.7と小さく衝撃
強度が低かった。 実施例4 実施例1においてゴム状重合体(I)5.4重量部、
(II)を0.6重量部とした以外は実施例1と同様の条
件で行った。 実施例5 実施例1においてゴム状重合体(I)2.7重量部、
(II)を3.3重量部とした以外は実施例1と同様の条
件で行った。 比較例6 比較例3で製造したゴム変性スチレン系樹脂(A)をそ
のまま成形し物性評価した。光沢は高いが、衝撃強度が
低かった。 比較例7 実施例1においてゴム状重合体(I)を1.8重量部、
(II)を4.2重量部とした以外は実施例1と同様の条
件で行った。光沢が低かった。 実施例6 実施例1において、反応温度を140℃とした以外は実
施例1と同様の条件で行った。第1基目のスチレンモノ
マーの転化率は36.7%であった。 実施例7 実施例1において反応温度を150℃とした以外は実施
例1と同様の条件で行った。第1基目のスチレンモノマ
ーの転化率は45.6%であった。 実施例7 実施例1において反応温度を147℃とし、有機過酸化
物を使用しなかった以外は実施例1と同様の条件で行っ
た。 比較例8 実施例1において反応温度を136℃とした以外は実施
例1と同様の条件で行った。第1基目のスチレンモノマ
ーの転化率は33%であった。製品の電子顕微鏡写真観
察を行うと棒状の粒子がみられ、光沢、衝撃強度が低か
った。 比較例9 実施例1において反応温度を154℃とした以外は実施
例1と同様の条件で行った。第1基目のスチレンモノマ
ーの転化率は50.5%であった。製品の電子顕微鏡写
真観察を行うと巨大粒子が存在しており、光沢が低かっ
た。 比較例10 実施例1において反応温度を141℃、有機過酸化物を
0.01重量部使用した以外は実施例1と同様の条件で
行った。第1基目のスチレンモノマーの転化率は43%
であった。製品の電子顕微鏡写真観察を行うと巨大粒子
が存在しており、光沢が低かった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上記述した如く、本発明の方法によっ
て得られるゴム変性スチレン系樹脂は、衝撃強度、及び
外観、特に光沢とのバランスが優れており、家庭電気製
品、電子機器等の部品材料の用途において産業上の利用
価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実用衝撃強度及び光沢の評価に用いた射出成形
試験片の平面図(a)及び同断面図(b)である。
【符号の説明】
1 成形物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 功三 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 中島 明彦 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 高久 真人 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−34614(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 287/00 C08F 279/02 C08L 51/04 C08L 55/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体の単独重合体又は共重
    合体にゴム状重合体粒子を分散させてなるゴム変性スチ
    レン系樹脂組成物において、(a)ゴム状重合体粒子がサラミ構造及び単一オクルー
    ジョン構造を有する粒子を含み、サラミ構造を有する粒
    子の体積平均径が0.3〜2.0μmであり、単一オク
    ルージョン構造を有する粒子の体積平均径が0.1〜
    1.0μmであって、かつ単一オクルージョン構造を有
    する粒子の数の全粒子数に対する割合が30〜99%
    で、サラミ構造を有する粒子の数の割合が70〜1%で
    あり、)ゴム状重合体粒子の体積平均径が0.2〜0.8
    μmの範囲であり、 ()ゴム状重合体粒子の体積基準の粒径分布曲線の形
    状が三つの山からなり、 ()ゴム状重合体粒子の体積基準の粒径の累積分布の
    5%値と95%値の比の値が3〜45の範囲であり、 ()5重量%スチレン溶液粘度が20〜50センチポ
    イズでスチレン含有量25重量%〜50重量%のスチレ
    ン−ブタジエンブロック共重合体(I)と5重量%スチ
    レン溶液粘度が20〜50センチポイズでスチレン含有
    量5重量%〜20重量%のスチレン−ブタジエンブロッ
    ク共重合体(II)とから成り、(I)と(II)の重量比
    が(I)/(II)=95/5〜40/60であるゴム状
    重合体をゴム状重合体粒子の形成原料として用いること
    を特徴とする物性バランスの優れたゴム変性スチレン系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のゴム状重合体(I)及
    び(II)をスチレン系単量体又はこれらの混合物に溶解
    した溶液を重合することによる請求項1記載のゴム変性
    スチレン系樹脂組成物の製造方法において、ゴム状重合
    体を粒子化する反応槽でのスチレン系重合体の量をX重
    量%、ゴム状重合体の総量をY重量%、ゴム状重合体
    (I)のスチレン含有量をZ重量%として、スチレン系
    単量体又はこれらの混合物の転化率を下記式(III) 42≦X+2.33×Y+(Z−40)≦52……(III) を満足させる範囲に制御することを特徴とする物性バラ
    ンスの優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ゴム状重合体を粒子化する際に有機過酸
    化物をゴム状重合体を溶解した溶液100重量部に対し
    0.0005〜0.007重量部添加する請求項記載
    のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
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