JP3274409B2 - 被膜密着性に優れ鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

被膜密着性に優れ鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向性電磁鋼板およ
びその製造方法に係り、特に鉄損が極めて低い方向性電
磁鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は主として変圧器その他
の電気機器の鉄心材料として使用され、磁束密度および
鉄損値等の磁気特性に優れることが基本的に重要であ
る。特にエネルギーロスを少なくするため、低鉄損の材
料が求められている。鉄損の低減には板厚を低減する、
Si含有量を増す、結晶方位の配向性を高める等の方法
があるが、それに加えて鋼板に張力を付加することが有
効である。
【0003】そのため、鋼板より熱膨張係数の小さい物
質からなる被膜を形成することが現在行われている。具
体的には、いわゆる仕上焼鈍工程において鋼板表面の酸
化物と鋼板表面に塗布した焼鈍分離剤とを反応させてフ
ォルステライトを主成分とする被膜が形成させ、さらに
該フォルステライト質被膜の上に上塗りの低熱膨張性被
膜を張力付与型絶縁被膜として施し製品とすることが一
般的に行われる。
【0004】この張力付与型の絶縁被膜は、Alやアル
カリ土類金属のりん酸塩とコロイダルシリカ、無水クロ
ム酸またはクロム塩酸を主成分とした処理液を塗布し、
焼付けすることによって形成されているものが多く、鋼
板より熱膨張係数の小さいコロイダルシリカに代表され
る無機質被膜を高温で形成することにより、地鉄と絶縁
被膜との熱膨張差を利用して常温において張力を鋼板に
付与している。その代表的な形成方法として、例えば、
特公昭53−28375号公報あるいは特公昭56−5
2117号公報記載の技術が挙げられる。
【0005】ところで近年、電磁鋼板の表面を磁気的に
平滑化し、磁化過程において鋼板の表面近傍の磁壁移動
の妨げとなるピニングサイトを減少させ、鉄損を著しく
低減する手段が提案されている。例えば、特公昭52−
24499号公報には仕上焼鈍後、酸洗により表面生成
物を除去し、次いで化学研磨または電解研磨により鏡面
状態に仕上げる方法が開示され、特開平5−43943
号公報にはフォルステライト被膜を除去後、1000〜
1200℃のH2中でサーマルエッチングする方法が開
示されている。
【0006】しかしながら、これらの方法はいわゆる張
力付与型の被膜の密着性が劣るという欠点がある。すな
わち、電磁鋼板上に張力付与効果の大きい被膜を被成し
ようとすると、張力付与効果の大きい被膜ほど下地部分
との密着力が強くなければ被膜が剥落してしまうにもか
かわらず、鏡面化等の表面平滑化処理によりフォルステ
ライト系の仕上焼鈍被膜を欠く場合には、金属素地上に
直接上記張力付与型被膜が被成されることとなり、密着
性が極めて劣る結果となる。そのため電磁鋼板表面を磁
気的に平滑化し鉄損を低減する技術と張力付与型絶縁被
膜による鉄損低減技術とを両立させることが重要な課題
となってきた。
【0007】その課題を解決するために、例えば、特公
昭52−24499号公報には金属めっき後、特開平6
−184762号公報にはSiO2を形成させた後、張
力付与被膜を形成するコーティング溶液を塗布、焼付け
る方法が示されている。また、特公昭56−4150号
公報にはセラミックス薄膜を蒸着、スパッタリング、溶
射などによって形成させる方法が、さらに特公昭63−
54767号公報には窒化物や炭化物のセラミックス被
膜をイオンプレ−ティングまたはイオンインプランテー
ションによって形成する方法が示されている。さらに、
特公平2−243770号公報には、いわゆるゾル−ゲ
ル法によってセラミックス被膜を形成する技術など張力
付与型の絶縁被膜を鋼板表面に直接形成する方法が開示
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの提案は、平滑
化された表面を有する電磁鋼板に対して張力を付与する
方法として発明されたものではあるが、それぞれ種々の
問題点を有し、未だ実用化されるに至っていない。すな
わち、特公昭52−24499号公報に示される方法で
は、めっき面が平滑であるため被膜の密着性が十分でな
く、特開平6−184762号公報記載のSiO2薄膜
を形成させる方法は張力付与効果が劣り、鉄損の改善効
果は不十分であった。また、特公昭56−4150号公
報記載の方法は、セラミックス被膜の熱膨張係数が地鉄
と比較してかなり低いため熱膨張係数差による張力効果
は大きいが、それゆえ地鉄と被膜との曲げ密着性に問題
があった。さらに、特公昭63−54767号公報記載
の蒸着などによるセラミックス被膜の形成はコスト高で
ある上、大面積を大量処理する際の均一性確保が困難で
あり、特公平2−243770号公報記載のゾル−ゲル
法は、焼付けによる被膜形成が可能であるものの、0.
5μm以上の厚さの健全な被膜の形成がきわめて困難で
あり、そのため、大きな張力付与効果をもたらすには至
らず、所期の鉄損改善効果が得られなかった。
【0009】本発明は、上記の従来技術の問題点を解決
し、磁気的に平滑化された表面を有する方向性電磁鋼上
にいわゆる張力付与型被膜を密着性よく被成させる新た
な手段を提供し、それにより従来に比べ張力付与効果の
大きい被膜の密着性に優れ、鉄損が極めて低い方向性電
磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は金属めっき
特有の地鉄との強固な密着性すなわち電気的吸着の有利
性と、張力付与型絶縁被膜との密着性を両立させるべ
く、鋭意検討を行ったところ、めっき層中にめっき金属
の酸素含有物質を一定量以上存在せしめた場合に、著し
い被膜密着性の改善を達成できることを見いだし、本発
明を完成させた。
【0011】具体的には、本発明は、上記目的を達成す
るために、方向性電磁鋼板を、磁気的に平滑な表面を有
する方向性電磁鋼板の地鉄上に、金属と該金属の酸素含
有物質からなるめっき層であって、該めっき層の厚みが
0.05μm以上であり、かつ、該金属の酸素含有物質
の含有割合が酸素濃度換算で20ppm以上であるめっ
き層を有するものとし、かつ、上記めっき層上に張力付
与型絶縁被膜が被成されているものとする。
【0012】その際、めっき層を構成する金属がクロム
および/またはニッケル、もしくはそれらの合金である
ことを好適とし、また、電磁鋼板には磁区細分化処理が
施されていることを好適とするものである。
【0013】さらに、上記方向性電磁鋼板の製造方法と
して、磁気的に平滑な表面を有する方向性電磁鋼板を
得、該方向性電磁鋼板の地鉄上に金属と該金属の酸素含
有物質からなるめっき層であって、その厚みが0.05
μm以上であり、かつ、該酸素含有物質の含有割合が酸
素濃度換算で20ppm以上であるめっきを施し、しか
る後、張力付与型被膜を被成することとするものであ
る。
【0014】その際、めっき層中にめっき金属の酸素含
有物質を含有せしめる手段として、金属めっきの際に、
直接めっき層中に酸素含有物質を析出せしめること、あ
るいは、一旦、実質的に金属のみから成る金属めっき層
を得、しかる後、該めっき層を酸化することを選択的
に、あるいは、併せて採用しうるものである。
【0015】さらに、上記方法において、めっき金属が
クロムおよび/またはニッケル、もしくはそれらの合金
であることを好適とし、また、方向性電磁鋼板の製造過
程のいずれかの段階で磁区細分化処理が施されることを
好適とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に基づき
詳細に説明する。本発明が適用されるのは、上記本発明
の目的に基づき、方向性電磁鋼板、とりわけ、高度に
(110)[001]方位に配向した磁束密度の高い電
磁鋼板である。その製造方法は常法に従えばよいが、一
般に所定の成分に調整されたスラブから、公知の方法に
より熱間圧延および冷間圧延により最終板厚とした後、
2次再結晶のための各種処理を行う方法をとればよい。
【0017】スラブの成分としては、重量%で、Siを
1.5〜7.0%、Mnを0.03〜2.5%の範囲で
含有させることが望ましい。SiやMnは製品の電気抵
抗を高め鉄損を低減するのに有効な成分であるが、Si
は7.0%を超えると硬度が高くなり製造や加工が困難
になりがちであり、Mnは2.5%を超えると熱処理時
γ変態を誘起して磁気特性を劣化させる可能性があるか
らである。また、上記の元素の他に、公知のように、A
l、B、Bi、Sb、Mo、Te、Sn、P、Ge、A
s、Nb、Cr、Ti、Cu、Pb、ZnおよびInな
どをインヒビター成分として単独、または複合で含有さ
せ、好ましい2次再結晶組織を得る。
【0018】上記、所定の組成に調整されたスラブは、
公知の方法により熱間圧延および冷間圧延により最終板
厚とした後、2次再結晶のための一連の処理を行い、目
的とする結晶組織と組成を有する鋼板とする。その際、
C、S、Nなどの不純物はいずれも磁気特性上有害な作
用があり、特に鉄損を劣化させるので、それぞれC:
0.003%以下、N:0.002%以下にすることが
好ましい。
【0019】上記によって得た方向性電磁鋼板は、磁気
的に平滑な表面を有し、かつ、金属めっきが適用できる
ように仕上げられる。その手段は特に限定する必要はな
いが、一般には、酸洗によるフォルステライト被膜の除
去、あるいは、これに続くサーマルエッチングや化学研
磨等による鏡面仕上げ、さらにはハロゲン化物水溶液中
での電解による結晶方位強調処理が好適に実施しうる。
特に結晶方位強調処理で得られるグレイニング様面、す
なわち、Fe−Si(110)面のテラスとステップが
交互に配列する表面では、鏡面と異なり粗度が高いこと
による密着性の向上に加えて、電析速度が個々の2次再
結晶粒の面方位に依存電析層の厚さや密着性を左右する
結合力にバラツキを生じないので被膜特性が安定してお
り、本発明のめっきを施す面として非常に優れている。
なお、平滑化処理と鋼板表面の酸化被膜の除去と兼ねて
行うことは、コスト削減のため有利である。
【0020】本発明における磁気的に平滑な表面には、
単に平均粗度(Ra)で表される表面粗度が小さいもの
のみならず、ヒステリシス損失の小さくなる状態がすべ
て含まれ、磁気的に平滑である限り、2次再結晶焼鈍を
改良してフォルステライト被膜や酸化被膜が実質的に生
じないようにした場合も包含される。しかしながら、鋼
板と金属めっきとの界面の平均粗度はできるだけ平滑で
あることが望ましく、平滑化処理を施した方が鉄損値の
低下に対し、より有利である。
【0021】上記処理によってヒステリシス損失が小さ
くなった状態の鋼板の表面に、めっき層中にめっき金属
の酸化物を酸素換算で20ppm(重量比)以上含有す
る金属めっきが施される。その根拠となった実験結果を
以下に示す。
【0022】3%Siを含有する最終仕上げ焼鈍済みの
板厚0.23mmの方向性電磁鋼板を硫酸酸洗して表面
のフォルステライトを除去し、次いでふっ酸−過酸化水
素水溶液中で化学研磨を行い、表面を平滑化し、表面粗
さRa(中心線平均粗さ)を0.15μmとした。
【0023】得られた鋼板に対しをクロム酸と硫酸から
なるサージェント浴にて、電流密度、クロム酸濃度およ
び浴温度を変化させてながら、めっき厚さが一定(0.
5μm)になるように通電時間を調節して、クロムめっ
きを行った。その後、りん酸マグネシウム−コロイダル
シリカを50%含有させた組成を主成分とするコーティ
ング液を塗布し、800℃で焼き付け、張力付与型の絶
縁被膜を被成させた。
【0024】上記工程により得られた絶縁被膜の密着性
を評価するために、得られた試料を種々の径を有する丸
棒に試料を巻き付け、被膜が剥落しない最小径を測定し
た。図1は、上記測定結果をめっき層中に含まれる酸素
含有物質の含有量を酸素濃度に換算し、該酸素含有量と
の関係で整理したものであるが、めっき層中の含有酸素
濃度の増加とともに被膜密着性が著しく改善し、20p
pm以上含有した場合に最小曲げ剥離径40m以下の良
好な密着性が得られることがわかる。なお、めっき層中
の酸素濃度とは、めっき処理中に増加した酸素量をめっ
き層重量で除した値である。
【0025】このようにめっき層中の酸素濃度の増加と
ともに被膜密着性が著しく改善される原因としては、め
っき層の物理的性状の変化と、絶縁被膜との親和性の変
化、いわば化学的な変化があると推定される。
【0026】化学的な変化の生ずるメカニズムは以下の
ように考えられる。上記実験におけるカソード反応は下
式のようになる。 HCrO4 -+7H++3e-→Cr3 ++4H2O (Cr6+→Cr3 +への還元反応) (1) HCrO4 -+7H++6e-→Cr+4H2O (Cr6+→Cr:金属クロムの析出) (2) このカソード反応において、均一な金属めっきを形成す
るめっき適正条件下では(2)式の反応により均一な金
属クロム層のみが形成されるが、その条件を外れると、
6価クロムが金属クロムまで完全には還元されず、
(1)式の段階で反応が中断された物質が生じ、その結
果、3価クロム等がめっき層中に酸化物あるいは水酸化
物のような形態で取り込まれると推定される。そして、
この酸化物あるいは水酸化物と上塗りの張力付与型絶縁
被膜の構成成分との親和性が極めて高いため、密着性の
著しい向上がもたらされると推定される。
【0027】物理的性状の変化としては、まず、めっき
面が平滑でないことが挙げられる。ちなみに本発明に係
る酸素を含むめっき面は金属光沢を有していない。次
に、めっき層中に生成される酸化物等の熱膨張係数は、
表1に示すように金属単体と比較して一般に低く、酸化
物ガラスを主成分とする絶縁被膜のそれと近い値を示
し、そのため、めっき層全体の熱膨張係数を下げる作用
があるために、絶縁被膜との密着性を高めると考えられ
る。
【0028】
【表1】
【0029】このような作用のある金属めっきは、その
めっき層を構成する金属の酸素含有物質を酸素量に換算
して20ppm以上含有するものであればよい。めっき
層中における酸素含有物質の酸素含有量が20ppm以
未満である場合には、張力付与型絶縁被膜との密着性が
改善されない。なお、酸素含有量を増しても、金属が電
析し得る範囲内であれば、磁気特性、めっき面と平滑化
した鏡面との密着性等に特に不利な現象を生ずることは
なく、その意味で酸素含有量の上限は存在しない。
【0030】一方、めっき厚みについては0.05μm
未満では、めっき層が不連続となるためか、密着性向上
には効果がなく、0.05μm以上必要である。したが
って、めっき厚みは0.05μm以上としなければなら
ない。
【0031】このような特性を有する金属めっきを得る
条件は、特に限定されるものではなく、めっき金属の種
類、めっき浴の種類、めっき金属イオン濃度、めっき浴
温度、めっき電流密度などを適宜選択して行うことがで
きる。総じて金属元素を完全に還元させずに析出させる
条件で酸素を金属の酸素含有物質の形で含有しためっき
層が形成できる。また、上記のめっき層中の酸素含有物
質における金属と酸素の結合状態は明らかでないが、特
に限定されているものではなく、酸化物の他、水酸化物
など多種類のものが使用しうる。さらに、めっきの過程
においてめっき層中に酸素含有物質を形成、析出させな
ければならないものではなく、めっき後、酸性雰囲気
中、たとえば、湿水素含有雰囲気中で、酸化処理を施し
てめっき層中の酸素酸素含有物質を形成し、その酸素濃
度を20ppm以上とすることも可能であり、同様の効
果が得られる。
【0032】めっき金属としては、800℃程度の張力
付与型被膜の焼付け温度や歪取り焼鈍温度で液化する低
融点金属あるいは合金でなければ特に限定するものでは
なく、Cr、Ni、Co、Fe、Cu、等が工業的にも
利用しやすく、単独、複合あるいは合金めっきとして用
いることができる。特にイオン化価数の大きいCrは本
発明に有利な元素である。
【0033】電析層の上には、さらに張力付与型被膜を
被成する。張力付与型被膜としては、従来からフォルス
テライト被膜を有する方向性電磁鋼板に用いられている
りん酸塩−コロイダルシリカ−クロム酸系の被膜等がそ
の効果およびコスト、均一処理性などの点から好適であ
る。被膜の厚みとしては、張力付与効果や占積率、被膜
密着性等の点から0.3〜10μm程度の範囲が好まし
い。なお、これ以外にも、たとえば特開平6−6575
4号公報、特開平6−65755号公報、特開平6−2
99366号公報などで提案されているホウ酸−アルミ
ナ等の酸化物系被膜を適用することも可能である。
【0034】このようにして得られた鋼板に、更なる鉄
損低減を目的としてレーザーあるいはプラズマ炎等を照
射して、磁区の細分化を行ない、鉄損値のさらなる改善
を図ることも可能である。その場合でも本発明によって
形成された被膜の密着性にはまったく問題がない。な
お、方向性電磁鋼板の製造工程の任意の段階で磁区細分
化のため、表面にエッチングや歯形ロールで一定間隔の
溝を形成し、その後本発明に係るめっき層を含む被膜形
成を行うこともでき、一層の鉄損低減を図ることができ
る。
【0035】
【実施例】
【実施例1】Siを3%含有し、板厚0.23mmに圧
延された冷延板に対し、脱炭、1次再結晶焼鈍を施した
後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、2次再
結晶過程と鈍化過程を含む最終焼鈍に付した。得られた
仕上焼鈍板を硫酸酸洗し、表面のフォルステライト被膜
を除去し、次いでりん酸−クロム酸浴中で電解研磨を行
い、表面を磁気的に平滑化した。
【0036】得られた鋼板に、CrO3:250g/
l、H2SO4:2.5g/lからなるサージェント浴を
使用し、鋼板は陰極電解することによってクロムめっき
を行った。その際、電析条件を種々に変え、めっき層中
にクロムの酸化物を主とする酸素含有物質の含有量を変
動させた。
【0037】めっき層上にりん酸マグネシウム、コロイ
ダルシリカおよび無水クロム酸を主成分とする水性処理
液を塗布し、800℃で焼き付け約3.0μmの厚さの
張力付与型被膜を被成させた。さらに、得られた鋼板の
うち一部についてはさらに磁区細分化処理としてプラズ
マジェツトを線状に10mmの間隔で照射し製品とし
た。
【0038】得られた鋼板の鉄損値(W17/50)を
測定し、さらに被膜密着性を評価した。被膜の密着性は
種々の径を持つ丸棒に試料を巻き付け、被膜が剥離しな
い最小径で評価した。表2に評価結果を、めっき層厚
み、めっき層中の酸素含有物質の含有量を酸素量に換算
して示す。表2から明らかなように、本発明の実施例で
ある試料No.1〜4は鉄損が極めて低く、被膜密着性
も優れていた。また、プラズマジェットにより磁区細分
化処理を施した試料No.2、4は鉄損改善効果はが一
層著しく、本発明を磁区細分化処理と組み合わせれば一
層有利であることがわかる。これに対し、めっきを行わ
なかった比較例の試料No.8は被膜被成時に被膜の剥
離が見られ、密着性はきわめて悪かった。そのため張力
付与型被膜を施しても張力効果が生じないため鉄損値も
不良であった。また、めっき厚が十分でない比較例の試
料No.5や酸素を20ppm以上含有しないNo.
6、7は張力付与型被膜の密着性が悪く、鉄損値の改善
が十分でなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
【実施例2】Siを3.0%含有し、板厚0.23mm
に圧延された冷延板に対し、脱炭、1次再結晶焼鈍を施
した後、Al23を主成分としCaSiO3およびMg
Oを含む焼鈍分離剤を塗布し、2次再結晶過程と鈍化過
程を含む最終焼鈍に付した。得られた鋼板を塩酸酸洗
し、表面に存在するフォルステライト被膜を除去した
後、ふっ酸−過酸化水素浴中での化学研磨による鏡面化
処理あるいは塩化ナトリウム水溶液中での電解による結
晶方位強調処理を施し、表面を磁気的に平滑化した。
【0041】得られた鋼板を硫酸ニッケル:400g/
l、塩化ニッケル:85g/l、ほう酸:50g/lか
らなるワット浴を使用しニッケルの電析を行った。その
際めっき層中に酸素が実質的に含有されない電析条件を
選び、その後めっき層を酸化性雰囲気中で酸化させて表
3に示すようにニッケルの一部を酸化させ、ニッケルの
酸化物を含むめっき層に変換した。
【0042】得られためっき層上に、ほう酸、アルミナ
ゾルを主成分とする水性処理液を繰返し塗布、焼成し、
最後に950℃で焼き付け、約5.0μmの厚さの張力
付与型被膜を形成させた。かくして得られた方向性電磁
鋼板について、実施例1と同様に磁気特性および被膜密
着性を評価した。表3に酸化処理前後のめっき層中の酸
化物量を酸素に換算して示し、併せて磁気特性、被膜密
着性の測定結果を示した。
【0043】表3から明らかなように、本発明の実施例
である試料No.1〜5は鉄損値が極めて低く、かつ、
格段に優れた被膜密着性を示している。特に塩化ナトリ
ウム水溶液中での電解による結晶方位強調処理を行った
試料No.4、5の鉄損低減効果は大きい。これに対
し、めっきを行わなかった試料No.8は、平滑処理を
行った地鉄面自身が酸化されてしまい鉄損値が著しく劣
った。また、めっき層厚みが十分でない試料No.6や
酸化処理後の酸素量の不十分な試料No.7も張力被膜
の密着性、鉄損値とも不良である。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明は、上記のように構成したから、
仕上焼鈍被膜のない磁気的に平滑な表面を有する方向性
電磁鋼板上に張力付与型絶縁被膜を密着性よく形成する
ことができ、従来に比し、鉄損の極めて低い方向性電磁
鋼板を製造する事が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき層中に含まれる酸素含有物質の含有量と
被膜の密着性との関係図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤尾 謙一郎 岡山県倉敷市水島川崎通一丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C21D 9/46 501 H01F 1/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気的に平滑な表面を有する方向性電磁
    鋼板の地鉄上に、 金属と該金属の酸素含有物質からなるめっき層であっ
    て、該めっき層の厚みが0.05μm以上であり、か
    つ、該金属の酸素含有物質の含有割合が酸素濃度換算で
    20ppm以上であるめっき層を有し、 かつ、上記めっき層上に張力付与型絶縁被膜が被成され
    ていることを特徴とする被膜密着性に優れ鉄損が極めて
    低い方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき層を構成する金属がクロムおよび
    /またはニッケル、もしくはそれらの合金であることを
    特徴とする請求項1記載の被膜密着性に優れ鉄損が極め
    て低い方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 磁区細分化処理が施されているものであ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の被膜密着性
    に優れ鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 磁気的に平滑な表面を有する方向性電磁
    鋼板を得、 該方向性電磁鋼板の地鉄上に金属と該金属の酸素含有物
    質からなるめっき層であって、その厚みが0.05μm
    以上であり、かつ、酸素含有物質の含有割合が酸素濃度
    換算で20ppm以上であるめっきを施し、 しかる後、張力付与型被膜を被成することを特徴とする
    被膜密着性に優れ鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 金属めっきの際に、直接めっき層中に
    金属の酸素含有物質を析出せしめることを特徴とする請
    求項4記載の被膜密着性に優れ鉄損が極めて低い方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸素含有物質を実質的に含有しない金属
    めっき層を得、しかる後、該めっき層を酸化することを
    特徴とする請求項4記載の被膜密着性に優れ鉄損が極め
    て低い方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 めっき金属がクロムおよび/またはニッ
    ケル、もしくはそれらの合金であることを特徴とする請
    求項4ないし6のいずれかに記載の被膜密着性に優れ鉄
    損が極めて低い方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 方向性電磁鋼板の製造過程のいずれかの
    段階で磁区細分化処理が施されることを特徴とする請求
    項4ないし7のいずれかに記載の被膜密着性に優れ鉄損
    が極めて低い方向性電磁鋼板の製造方法。
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