JP3271040B2 - モリブデン合金及びその製造方法 - Google Patents

モリブデン合金及びその製造方法

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JP3271040B2 JP24834894A JP24834894A JP3271040B2 JP 3271040 B2 JP3271040 B2 JP 3271040B2 JP 24834894 A JP24834894 A JP 24834894A JP 24834894 A JP24834894 A JP 24834894A JP 3271040 B2 JP3271040 B2 JP 3271040B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモリブデン合金及びその
製造方法に関し、特に、強度が高く、高温に加熱されて
も強度低下が少なく、低温脆性、再結晶脆性及び中性子
照射脆性を著しく改善したことにより、特に高温構造材
料、たとえば核融合プラズマ対向材料に有用なモリブデ
ン合金及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】モリブデンMoは融点が高く加工性が良
いため、発熱体、熱反射板、及び電子管部品などの高温
用材料として広く用いられている。しかし、延性−脆性
遷移温度(Ductile−Brittle Tran
sition Temperature.以下、DBT
Tと呼ぶ)が室温近傍にあり、この温度以下では著しく
脆くなる欠点がある。また、加工材を1000℃近傍に
加熱すると再結晶して等方的な結晶粒になって脆化し、
更に高温では結晶粒の粗大化が生じて著しく脆化する欠
点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらのモリブデンの
欠点を改良した材料として、チタン(Ti)、ジルコニ
ウム(Zr)、及び炭素(C)を添加したモリブデン合
金、いわゆるTZMが知られている。TZMは、モリブ
デンに比べてDBTTが低く、再結晶温度が高いため、
高温部材に古くから用いられている。しかしながら、T
ZMのDBTTは−20℃近傍、再結晶温度は1400
℃近傍であるため、−20℃以下、及び1400℃以上
での使用は著しく制限される。
【0004】本発明の課題は、強度が高いのみならず、
高温に加熱されても強度低下が極めて小さく、低温でも
靭性に富み、再結晶による脆化の少ないモリブデン合金
を提供することにある。
【0005】本発明の他の課題は、中性子照射損傷の生
じにくいモリブデン合金を提供することにある。
【0006】本発明の更に他の課題は、上記モリブデン
合金を得るための製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、メカニ
カルアロイング処理により粒径10nm以下のIVa族遷
移金属炭化物の超微粒子が0.05モル%以上5モル%
以下分散され、残部Moからなり、結晶粒径が1μm以
下であることを特徴とするモリブデン合金が得られる。
【0008】本発明によれば、また、延性−脆性遷移温
度が−30℃以下及び再結晶温度が1500℃以上であ
ることの少なくとも一方を満たしていることを特徴とす
るモリブデン合金が得られる。
【0009】本発明によれば、また、1800℃で1時
間加熱した後の延性−脆性遷移温度が0℃以下であるこ
とを特徴とするモリブデン合金が得られる。
【0010】本発明によれば、また、2000℃で1時
間加熱した後の延性−脆性遷移温度が70℃以下である
ことを特徴とするモリブデン合金が得られる。
【0011】本発明によれば、また、前記IVa族遷移金
属炭化物がTiC、ZrC、及びHfCの少なくとも1
種からなることを特徴とするモリブデン合金が得られ
る。
【0012】本発明によれば、モリブデン粉末に0.0
5モル%以上5モル%以下のIVa族遷移金属炭化物粉末
を混合して、粉体を高エネルギーで混合処理することに
より粉末の微粒化、非晶質化、または硬質微粒子の金属
粉末への埋め込みを行うメカニカルアロイング処理を行
、焼結と同時あるいは焼結後に熱間等方加圧して緻密
化し、塑性加工することを特徴とするモリブデン合金の
製造方法が得られる。
【0013】なお、前記混合の工程において3モル%未
満の炭素粉末を添加するようにしても良い。
【0014】本発明によれば、また、前記IVa族遷移金
属炭化物がTiC、ZrC、及びHfCの少なくとも1
種からなることを特徴とするモリブデン合金の製造方法
が得られる。
【0015】
【作用】本発明によれば、IVa族遷移金属炭化物超微粒
子の分散によりモリブデンの結晶粒界の強度が改善さ
れ、強度が高いのみならず、高温に加熱されても強度低
下が極めて小さく、低温でも靭性に富み、再結晶による
脆化が少なく、更に、広大な面積の結晶粒界やIVa族遷
移金属炭化物超微粒子とモリブデンの界面が中性子照射
で生じる結晶欠陥を吸収できて中性子照射損傷が生じに
くいモリブデン合金が提供される。
【0016】
【実施例】本来弱いとされているモリブデンの結晶粒界
の強度を改善する手段として、モリブデン粉末とIVa族
遷移金属炭化物粉末を高エネルギーで混合し、IVa族遷
移金属炭化物粉末を超微粒子としてモリブデン中に分散
することが有効であることを見いだした。
【0017】本発明においては、モリブデン合金におけ
るTiC等のIVa族遷移金属炭化物の効果的な存在状態
を鋭意検討した結果、モリブデン粉末と該IVa族遷移金
属炭化物粉末を高エネルギー混合(以下、メカニカルア
ロイング処理と呼ぶ)して該IVa族遷移金属炭化物を数
nmの超微粒子にすると同時に、該IVa族遷移金属炭化
物とモリブデンの結合を強固にすることによって、わず
か0.05モル%(以下、単に%と記す)の添加でもモ
リブデンの結晶粒界を強化できることを見いだし、本発
明を完成した。
【0018】また、IVa族遷移金属炭化物としては、T
iC、炭化ジルコニウム(ZrC)、及び炭化ハフニウ
ム(HfC)が特に効果があることを見いだした。
【0019】また、再結晶温度を高め、結晶粒の粗大化
を抑制するためには、高温における結晶粒界の移動が生
じにくいことが必要である。上述のIVa族遷移金属炭化
物の超微粒子が結晶粒界の移動をも抑制し、再結晶温度
を高め、再結晶してもなお結晶粒径は数μmと微細であ
ることを見いだした。
【0020】更に、上述のIVa族遷移金属炭化物の超微
粒子とモリブデンの界面及び微細な結晶粒によって生じ
る広大な界面が、中性子照射による結晶欠陥を吸収して
中性子照射によって避けられないDBTTの上昇(中性
子照射脆化)を抑制できることを見いだした。
【0021】以上の知見により、0.05%〜5%のIV
a族遷移金属炭化物粉末を添加したモリブデン粉体をメ
カニカルアロイング処理して数nm程度の該IVa族遷移
金属炭化物の超微粒子を分散することによって、強度が
高く、高温に加熱されても強度低下が極めて小さく、低
温脆性、再結晶脆性、及び中性子照射脆性を著しく改善
したモリブデン合金が得られた。
【0022】本発明によりIVa族遷移金属炭化物の超微
粒子を分散したモリブデン合金は、これらの合金粉体を
焼結して緻密化したのち熱間圧延などの熱間加工を施
し、必要によっては更に温間加工、冷間加工を施すなど
して、塑性加工によって所定の形状の材料とする。
【0023】なお、焼結で残留する微小なポアは、上述
の特性を損なうのみならず、素材を脆くして塑性加工を
困難にする。そのために、焼結と同時に、あるいは焼結
した後に熱間等方加工(Hot Isostatic
Press.以下、HIPと呼ぶ)によって高温で等方
的な圧力を加えることが、メカニカルアロイング処理さ
れた微細粉末の緻密化に特に有効であることを見いだし
た。
【0024】IVa族遷移金属炭化物の超微粒子の添加量
は、0.05%以上、5%以下で適当である。IVa族遷
移金属炭化物の量をこの範囲に制限したのは、0.05
%に満たないIVa族遷移金属炭化物の量では結晶粒界の
強化や高温における結晶粒界の移動の抑制効果が乏し
く、再結晶温度の上昇や再結晶後の結晶粒の粗大化を抑
制する効果が乏しいばかりでなく、低温脆性、再結晶脆
性、及び中性子照射脆性の改善、及び高温強度の向上が
できないためである。一方、5%を越えると、モリブデ
ン合金が脆化してしまうためである。
【0025】上記の説明では、混合したIVa族遷移金属
炭化物粉末はモリブデン中でも全てIVa族遷移金属炭化
物超微粒子として分散する場合を例に述べたが、本発明
では該IVa族遷移金属炭化物超微粒子が厳密な炭化物で
ある必要はない。すなわち、該炭化物超微粒子が酸素を
含んでいても良く、例えばX線マイクロアナライザーの
分析ではほとんど酸化物のように観察される場合でも、
再結晶温度の上昇や低温脆性、再結晶脆性、及び中性子
照射脆性が改善される。
【0026】IVa族遷移金属炭化物とともに3%未満の
炭素(以下、Cと記す)粉末を添加すると、該IVa族遷
移金属炭化物の添加の効果を向上できる。これは粉末の
取扱い中に酸化したモリブデン及びIVa族遷移金属炭化
物を還元し、IVa族遷移金属を有効に炭化物として機能
させるためと考えられる。なお、C粉末の量を3%未満
に制限したのは、3%を越えるとモリブデン合金中に遊
離炭素が生じたり、モリブデンの炭化物が生成してモリ
ブデン合金が脆化するためである。
【0027】本発明のモリブデン合金は、粉末の混合、
成形、焼結、及び塑性加工の一連の粉末冶金プロセスで
製造される。この場合、粉末の混合条件が特に重要であ
る。モリブデン粉末とIVa族遷移金属炭化物粉末を混合
する過程で、該IVa族遷移金属炭化物が超微粒子となっ
てモリブデン中に埋め込まれた状態にする必要がある。
【0028】粉末冶金法で一般的に行われているボール
ミルなどによる混合で上述の状態にすることは困難であ
り、メカニカルアロイング処理と呼ぶ高エネルギーの混
合が必要である。なお、本発明において適用されるメカ
ニカルアロイング処理とは、合金化を目的とする従来の
狭義の粉末処理法を意味するものではなく、粉体を高エ
ネルギーで混合処理することによって粉末の微粒化、非
晶質化、または硬質微粒子の金属粉末への埋め込みを行
う広義の粉末処理法を意味している。
【0029】また、上述の特性を得るためにはポアのな
い緻密な合金であることが望ましく、焼結中あるいは焼
結した後にHIP処理することが効果的である。
【0030】以下に、いくつかの実施例を例示して説明
する。
【0031】[実施例1]平均粒径4.1μmのモリブ
デン粉末に平均粒径0.57μmのTiC粉末を0.0
3〜5.2%添加し、超硬合金製ボールを用いた遊星型
ボールミルで50時間混合してメカニカルアロイング処
理した。得られた粉体を鉄製の容器に封入して脱気した
のち、アルゴンガス中で1300℃、200MPaでH
IP処理して焼結体を得た。厚さ10mmの該焼結体を
1200℃で熱間鋳造して圧延しやすい形状にした後、
1250〜900℃で約1.5mmまで熱間圧延し、更
に冷間圧延により厚さ約1mmの板材を作製した。
【0032】この板材から寸法1×1×20mmの試験
片を切り出し、衝撃試験(動的3点曲げ試験、スパン1
2.5mm、負荷速度5m/s)を行いDBTTを調べ
た。また、種々の温度で加熱して組織観察及び硬度測定
を行い、再結晶挙動及び高温加熱による強度低下を調べ
た。ここで、図1に示す上部棚エネルギー部2と下部棚
エネルギー部3とを呈する加熱温度−衝撃破壊エネルギ
ー曲線1の上部棚エネルギー部2の低温側終端部4の1
/2に相当する衝撃破壊エネルギー5を示す点6の温度
(延性−脆性遷移温度)をもってDBTTとした。
【0033】図2に、本発明の0.8%TiC−Mo合
金の圧延材(図2a)及び比較材料であるTZM(図2
b)の組織の光学顕微鏡写真を示す。本発明のMo合金
の結晶粒径は約1μm以下で、光学顕微鏡では識別でき
ないほど微細である。
【0034】図3に、本発明の0.8%TiC−Mo合
金(図3a)及びTZM(図3b)を1400℃でそれ
ぞれ1時間加熱した後の光学顕微鏡写真を示す。図4は
同様にして、1800℃でそれぞれ1時間加熱した後の
0.8%TiC−Mo合金(図4a)及びTZM(図4
b)の光学顕微鏡写真を示す。TZMは1400℃での
加熱で結晶粒径は約30μmに成長しているが、本発明
のモリブデン合金の結晶粒径は、1800℃で加熱して
も約1〜2μm程度であり、結晶粒の粗大化が著しく抑
制されていることを示している。
【0035】表1に各種組成のTiC−Mo合金につい
て上述の衝撃試験で調べた圧延材のDBTT、再結晶温
度、圧延材及び1000℃、1800℃でそれぞれ1時
間加熱した後のビッカース微小硬さを示す。例えば、
0.3%TiC−Mo合金のDBTTは−105℃以下
であり、また、1%を越えるTiCを分散すると明瞭な
遷移温度を示さず、低温脆性が著しく改善されているこ
とを示している。TiCを分散したモリブデン合金の圧
延材の硬さはいずれもTZMより高く、再結晶温度も高
い。0.8%TiC−Mo合金の再結晶温度は約190
0℃と極めて高い。
【0036】
【表1】 [実施例2] 平均粒径4.1μmのモリブデン粉末に平均粒径45μ
mのHfC粉末を0.03〜5.2%添加し、実施例1
と同様の方法で厚さ約1mmの板材を作製した。この板
材から実施例1と同様の寸法の試験片を切り出し、実施
例1と同様の試験を行った。
【0037】表1に各種組成のHfC−Mo合金につい
て、実施例1と同様の衝撃試験で調べたDBTT、再結
晶温度、圧延材及び1000℃、1800℃でそれぞれ
1時間加熱した後のビッカース微小硬さを示す。0.8
%HfC−Mo合金のDBTTは−100℃以下で、低
温脆性が著しく改善されていることを示している。Hf
Cを分散したモリブデン合金の圧延材の硬さはいずれも
TZMより高く、再結晶温度も高い。2%HfC−Mo
合金の再結晶温度は2000℃以上と極めて高い。
【0038】[実施例3]平均粒径4.1μmのモリブ
デン粉末に平均粒径45μmのZrC粉末を0.1%〜
0.5%添加し、実施例1と同様の方法で厚さ約1mm
の板材を作製した。この板材から実施例1と同様の寸法
の試験片を切り出し、実施例1と同様の試験を行った。
【0039】表1に0.1%ZrC−Mo合金、0.5
%ZrC−Mo合金について衝撃試験で調べたDBT
T、再結晶温度、圧延材及び1000℃、1800℃で
それぞれ1時間加熱した後のビッカース微小硬さを示
す。いずれの合金のDBTTも−80℃で、低温脆性が
著しく改善されていることを示している。ZrCを分散
したモリブデン合金の圧延材の硬さはいずれもTZMよ
り高く、再結晶温度も1500℃以上である。
【0040】[実施例4]平均粒径4.1μmのモリブ
デン粉末に平均粒径0.57μmのTiC粉末を0.1
〜0.08%、平均粒径45μmのHfC粉末を0.0
5〜0.07%添加し、実施例1と同様の方法で厚さ約
1mmの板材を作製した。この板材から実施例1と同様
の寸法の試験片を切り出し、実施例1と同様の試験を行
った。
【0041】表1に各種組成のTiC−HfC−Mo合
金について衝撃試験で調べたDBTT、再結晶温度、圧
延材及び1000℃、1800℃でそれぞれ1時間加熱
した後のビッカース微小硬さを示す。0.1%TiC−
0.05%HfC−Mo合金及び0.08%TiC−
0.07%HfC−Mo合金のDBTTはそれぞれ−9
0℃及び−70℃で、低温脆性が著しく改善されている
ことを示している。
【0042】[実施例5]平均粒径4.1μmのモリブ
デン粉末に平均粒径0.57μmのTiC粉末を1.5
%添加し、更に平均粒径10μmのグラファイト(C)
粉末を3〜1.6%混合した場合、及び平均粒径4.1
μmのモリブデン粉末に平均粒径45μmのHfC粉末
を0.8%添加し、更に平均粒径10μmのグラファイ
ト粉末を0.8%混合した場合についてそれぞれ、実施
例1と同様の方法で厚さ約2mmの板材を作製した。
【0043】図5に、1.5%TiC−1.6%C−M
o合金圧延材の組織の透過型電子顕微鏡写真を示す。約
0.5μmの結晶粒の粒界に約5nmの極めて微細なT
iCが分散していることを示している。
【0044】図6に、1.5%TiC−1.6%C−M
o合金圧延材(図6a)、1400℃(図6b)及び1
800℃(図6c)でそれぞれ1時間加熱した後の組織
の光学顕微鏡写真を示す。1800℃で加熱されても、
微細な結晶粒を維持している。
【0045】表1に示すように、1.5%TiC−Mo
合金及び0.8%HfC−Mo合金にそれぞれ1.6
%、2.5%及び0.8%のCを添加することにより、
いずれの合金でも再結晶温度が高くなるのみならず、高
温で加熱した後の硬さも高くなり、高温加熱による強度
低下が著しく抑制されている。CはTiC及びHfCの
効果を高めていることを示している。Cが3%になると
遊離炭素が析出し、緻密な合金が得られなかった。
【0046】[実施例6]実施例1に記載した方法で作
製した0.3〜0.8%TiC−Mo合金(試料No.
4、5)の圧延材及び比較材であるTZM圧延材をそれ
ぞれ1800℃及び2000℃で1時間加熱して再結晶
処理し、実施例1と同様の衝撃試験を行い、DBTT及
びビッカース微小硬さを測定した。
【0047】表2に測定結果を示す。1800℃での再
結晶処理では、0.8%TiC−Mo合金は十分再結晶
せず、再結晶温度が高くなっていることを示していた。
0.3%TiC−Mo合金のDBTTは−50℃と、モ
リブデンやTZMの加工材のDBTTより低かった。
0.3%以上のTiC超微粒子の分散によって、200
0℃の高温で再結晶処理してもDBTTは約60℃以下
である。また、再結晶処理後の微小硬さも約200を維
持しており、高温に加熱されても強度低下が少ないこと
を示している。
【0048】
【表2】 [実施例7]実施例1に記載した方法にて作製した0.
15〜0.8%TiC−Mo合金(試料No.3、4、
5)の圧延材及び比較材であるTZM圧延材にそれぞれ
300℃で1023n/m2 の高速中性子(>0.1Me
V)を照射し、実施例1と同様の衝撃試験を行った。
【0049】表3に高速中性子照射前後のDBTTを示
す。中性子照射によってTZMはDBTTが約65℃上
昇し、室温で完全脆性破壊した。0.15〜0.8%T
iC−Mo合金の場合、高速中性子照射した後もDBT
Tは−50℃以下であり、本発明の合金は中性子照射脆
性を著しく改善したモリブデン合金であることを示して
いる。
【0050】[実施例8]実施例1に記載した方法で作
製した0.3%TiC−Mo合金(試料No.4)につ
いて、衝撃試験片のU型ノッチの有無によるDBTTの
変化も調べた。表3に結果を示す。ノッチを導入すると
DBTTは上昇し、TZMでは110℃上昇する。これ
に対して、本発明の合金では約80℃の上昇でTZMの
2/3の上昇であり、本発明のモリブデン合金は衝撃破
壊に対するノッチ感受性が低い優れた材料である。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、モリブデン及びIVa族遷移金属炭化物の粉末をメカ
ニカルアロイング処理し、焼結、HIP処理、及び塑性
加工して超微粒子を分散することによって、再結晶温度
が高く、高温に加熱されても強度低下が極めて少なく、
低温脆性、再結晶脆性、及び中性子照射脆性を著しく改
善したモリブデン合金を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を定義するための加熱温度−衝撃
破壊エネルギー曲線を示した図である。
【図2】本発明による0.8%TiC−Mo合金(図
a)と従来のTZM(図b)の金属組織を示す顕微鏡写
真である。
【図3】本発明による0.8%TiC−Mo合金(図
a)と従来のTZM(図b)の加熱後の金属組織を示す
顕微鏡写真である。
【図4】本発明による0.8%TiC−Mo合金(図
a)と従来のTZM(図b)の加熱後の金属組織を示す
顕微鏡写真である。
【図5】本発明による1.5%TiC−1.6%C−M
o合金の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図6】本発明による1.5%TiC−1.6%C−M
o合金の加熱後の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 加熱温度−衝撃破壊エネルギー曲線 2 上部棚エネルギー部 3 下部棚エネルギー部 4 上部棚エネルギー部の低温側終端部 5 上部棚エネルギー部の低温側終端部の1/2の衝
撃破壊エネルギー 6 延性−脆性遷移温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗下 裕明 茨城県水戸市けやき台二丁目39番地 (72)発明者 茅野 秀夫 茨城県水戸市元吉田町2847−9番地 (72)発明者 平岡 裕 岡山県岡山市津島福居一丁目7番30−5 号 (72)発明者 武部 克嗣 山形県酒田市大浜二丁目1番12号 酒田 東京タングステン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−220566(JP,A) 特開 平6−25792(JP,A) 特開 平6−49581(JP,A) 特開 昭61−19756(JP,A) 桑野寿、濱口由和,ボールミリングに よるナノサイズMo合金の作製,粉体お よび粉末冶金,日本,社団法人粉体粉末 冶金協会,1992年 3月15日,第39巻3 号,P.211−215 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 27/04 C22C 1/04 - 1/10 B22F 1/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メカニカルアロイング処理により粒径1
    0nm以下のIVa族遷移金属炭化物の超微粒子が0.0
    5モル%以上5モル%以下分散され、残部Moからな
    り、結晶粒径が1μm以下であることを特徴とするモリ
    ブデン合金。
  2. 【請求項2】 延性−脆性遷移温度が−30℃以下及び
    再結晶温度が1500℃以上であることの少なくとも一
    方を満たしていることを特徴とする請求項1記載のモリ
    ブデン合金。
  3. 【請求項3】 1800℃で1時間加熱した後の延性−
    脆性遷移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項
    1記載のモリブデン合金。
  4. 【請求項4】 2000℃で1時間加熱した後の延性−
    脆性遷移温度が70℃以下であることを特徴とする請求
    項1記載のモリブデン合金。
  5. 【請求項5】 前記IVa族遷移金属炭化物がTiC、Z
    rC、及びHfCの少なくとも1種からなることを特徴
    とする請求項1あるいは2記載のモリブデン合金。
  6. 【請求項6】 モリブデン粉末に0.05モル%以上5
    モル%以下のIVa族遷移金属炭化物粉末を混合して、粉
    体を高エネルギーで混合処理することにより粉末の微粒
    化、非晶質化、または硬質微粒子の金属粉末への埋め込
    みを行うメカニカルアロイング処理を行い、焼結と同時
    あるいは焼結後に熱間等方加圧して緻密化し、塑性加工
    することを特徴とする請求項1記載のモリブデン合金の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記混合の工程において3モル%未満の
    炭素粉末を添加することを特徴とする請求項6記載のモ
    リブデン合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記IVa族遷移金属炭化物がTiC、Z
    rC、及びHfCの少なくとも1種からなることを特徴
    とする請求項6あるいは7記載のモリブデン合金の製造
    方法。
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