JPH06220566A - 異方性の小さいモリブデン基合金と製造方法 - Google Patents

異方性の小さいモリブデン基合金と製造方法

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JPH06220566A
JPH06220566A JP845393A JP845393A JPH06220566A JP H06220566 A JPH06220566 A JP H06220566A JP 845393 A JP845393 A JP 845393A JP 845393 A JP845393 A JP 845393A JP H06220566 A JPH06220566 A JP H06220566A
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molybdenum
based alloy
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forging
temperature
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JP845393A
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Masanori Nakae
正典 中江
Masaaki Igarashi
正晃 五十嵐
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶粒径が均一、微細で、高強度かつ延性異
方性を示さない原子力用構造材料、高温成形加工用金
型、耐熱構造部材、発熱体用材料、マンドレル材料に使
用されるモリブデン基合金を提供することにある。 【構成】 Ti:0.20%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、
C :0.01%〜0.40%を含み、残部がモリブデンおよび不
可避的不純物から成るモリブデン基合金を再結晶温度以
下、500 ℃以上の温度域で鍛造加工するに際し、鍛造工
具と前記モリブデン基合金との間に前記温度域における
変形抵抗がモリブデン基合金の変形抵抗より小さい金
属、例えばSUS304、SUS314、SCM420H 等を前記温度に加
熱し介在させることによって、結晶粒の長径a と短径b
の比(a/b) が1.0 〜1.5 であり、結晶粒径が15μm 以下
の微細で均一な組織を有する異方性の小さいモリブデン
基合金が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異方性の小さいモリブ
デン基合金とその製造方法に関する。本発明により強度
および延性の異方性が改善されたモリブデン基合金は、
例えば原子力用構造材料、高温での成形加工用金型、80
0 ℃以上の高温燃焼ガスに曝されるような耐熱構造部
材、高温耐衝撃割れ性が要求される構造部材、発熱体用
材料、高合金製管用のマンドレル用材料、高温鍛造用の
金型素材等に使用できる。また、その製造方法はモリブ
デン基合金以外にもTa合金、Nb合金、W合金等の高融点
金属にも同様に適用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、モリブデン基合金は、一般に
ほゞ2600℃という高融点を持つ金属であることから、10
00℃以上の温度で構造材料として使用できる耐熱合金と
して開発、利用されている。
【0003】モリブデン基合金の製造方法としては大き
く分けて溶製法と粉末成形法に分類することができる。
【0004】まず、溶製法による製造方法は、モリブデ
ンが高融点金属であるため電子ビーム溶解(EB 溶解) 、
真空アーク溶解(VAR溶解) 等の方法で製造される。しか
し溶製法で作製したモリブデン基合金は結晶粒径が数10
0 μm 程度の粗大結晶粒となる。結晶粒の粗大化は合金
内応力の結晶粒界への集中により、強度の低下、ばらつ
きにつながることから結晶粒の微細化が望まれる。
【0005】そこで今日モリブデン基合金の製造方法と
しては結晶粒径の微細化が可能な粉末成形法が広く用い
られている。その場合、モリブデン基合金は高融点であ
るために通常1700〜2300℃での水素雰囲気中での焼結を
行う。しかし、この焼結を行っても嵩密度98%〜99%程
度にしか密度を上げることができない。そこで高密度化
のために1000℃〜1400℃で高温加工( 圧延、押出等) を
さらに行うことで、嵩密度をほぼ 100%にしている。
【0006】ところが、この様な方法で作製されたモリ
ブデン基合金は強度および延性の異方性を示す。モリブ
デン基合金は1400℃以上の熱処理によって再結晶化する
ことが知られており、そのような再結晶化処理を行うこ
とで延性の異方性は改善できるものの、今度は再結晶化
することによって結晶粒が粗大化し、延性および強度は
著しく低下することが知られている。
【0007】しかし、再結晶現象を利用して素材を改質
させる方法以外では、モリブデン基合金の強度および延
性の異方性を改善する方法は現在まで報告されていな
い。モリブデン基合金が強度および延性の異方性を示す
原因として次のような様々な問題が考えられる。
【0008】高密度化のために必要不可欠な高温加工
によって結晶粒は加工方向に延び延伸粒を示すことから
この延伸結晶粒が原因になっていることが考えられる。 体心立方晶金属(bcc金属、以下同じ)特有の強い(11
0) 繊維集合組織[(110)Fiber Texture : 加工軸方向に
(110) の強い配向組織] を示すことから集合組織の影響
が考えられる。 この他に結晶粒界に存在する不純物元素や析出物の悪
影響も考えられる。
【0009】しかしながら、モリブデン基合金の異方性
原因の本質的解明には至っておらず、いまだに延性およ
び強度の異方性によると見られる急速割れ等のため、そ
の適用範囲は極めて制限されているのが実情である。
【0010】このような加工に伴う特性の異方性の問題
は、例えば、ボイラ用の酸化物分散合金(ODS合金) のク
リープ強度にも見られる。そのような合金に生成する集
合組織は、特開平3-146617号公報、特開平3-243202号公
報に示してあるように、クリープ強度等の強度の異方性
を示すことが明らかにされている。その異方性を改善す
るためには集合組織を除去する方法を採用するか、
製造過程において集合組織が出来ないような加工法を採
用するかの二つの方法が考えられる。
【0011】上記公報においてはの繊維集合組織がで
きないような加工法としてスピニング加工仕上げ法、一
方向圧延法を提示している。しかし、モリブデン基合金
においては高温変形抵抗が非常に高く、高温変形挙動が
全く異なるためこの公報開示の方法では異方性改善は不
可能である。またこれらの公報においても、強加工によ
り一旦形成された集合組織を再び加工によって均一に除
去することは、デットメタル形成等の問題により不可能
であることが示唆されている。
【0012】次に、再結晶現象を利用した集合組織除去
方法としては、特開昭54-146206 号公報、特公昭58-360
43号公報に示されている方法がある。しかし融点が2600
℃というモリブデン基合金では、再結晶温度は約1400℃
以上であり再結晶すると著しい結晶粒粗大化が起こり強
度の著しい低下が起こるため再結晶による異方性改善は
有効でないことが分かる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように現在、強度
および延性の異方性のために、800 ℃以上の高温からの
急速冷却によってモリブデン基合金の急速な破壊および
割れを示すことが問題となっている。従ってこの延性の
異方性を改善する製造方法を確立することが要求されて
いる。
【0014】すでに述べたように、モリブデン基合金の
素形材の強加工による強度および延性の異方性の改善に
ついては先行技術はないものの、一般的な合金について
言えば再結晶処理を利用して強度および延性の異方性を
改善する方法が従来より種々提案されている。しかし、
モリブデン基合金は再結晶することにより結晶粒の粗大
化が起こり、著しい強度の低下が起こるため、再結晶を
利用した延性異方性改善策は適用することができない。
【0015】ここに、本発明の目的は、結晶粒径が均
一、微細で、高強度かつ強度および延性の異方性を示さ
ない原子力用構造材料、高温成形加工用金型、耐熱構造
部材、発熱体用材料、マンドレル材料に使用されるモリ
ブデン基合金とその製造方法を提供することである。さ
らに本発明の具体的目的は、強度および延性の異方性を
解消すべく集合組織を均一に除去したモリブデン基合金
とその製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】モリブデン基合金の低い
延性および延性異方性について、bcc 金属固有の塑性異
方性と粒界強度の観点から、その改善方法を検討した結
果、以下の知見を得た。
【0017】すなわち、 bcc金属であるモリブデン基合
金の延性は、粉末成形に必要不可欠な高温押し出しによ
って形成される(110) 繊維集合組織および結晶延伸粒組
織に大きく依存する。このような延伸粒組織が形成され
ると高温押出し軸に対して垂直方向(T方向) の延性は著
しく低下するかまたは延性を示さない。室温でのT 方向
の引張試験の結果、破壊形態は粒内劈開破壊を示すこと
から前述の繊維集合組織および延伸粒組織を除去するこ
とにより、延性の異方性を低減できることが判明した。
【0018】そこで、これらの改善には、押出し軸方向
からの据込変形が有効と考えられるが、従来の押出し軸
方向(L方向) からの高温プレスおよび鍛造等によってモ
リブデン基合金の繊維集合組織および延伸結晶粒の除去
を試みたところ、特に高温変形抵抗が極めて大きいため
均一変形が極めて困難となり、素材内が不均一な性質(
引張強度、伸び、延性の部分不均一性) を示すことが分
かった。
【0019】その原因は、通常の据込プレスの場合、素
形材の変形が工具面と素形材との間の摩擦力によって据
込み面に沿う素形材の横方向の移動が妨げられるため、
変形は不均一になる。このような不均一な変形により材
料側面は樽型に膨らむと共に、断面上の格子線は複雑・
不均一なゆがみを示す。そのため材料側面と上下工具面
中心付近にはデッドゾーンまたはデッドメタルと呼ばれ
る塑性変形がゼロまたは非常にわずかな領域がみられ
る。このことにより、塑性変形を受けた部分と受けなか
った部分が素形材内に存在することから素形材内の強度
は不均一となる。また、素形材内に存在する延性および
強度異方性の原因である繊維集合組織および結晶延伸粒
組織を均一に除去することはできない。
【0020】そこで、本発明者らが種々検討を重ねたと
ころ、素形材としてのプレス鍛造材と鍛造工具であるプ
レス鍛造台との間に、モリブデン基合金よりも変形抵抗
が低いスペーサ、例えば、SUS304鋼製スペーサを加熱
し、挟み込むことにより、素材の均一変形が可能とな
り、繊維集合組織および結晶延伸粒を軽減できることを
知った。
【0021】さらに詳細な検討の結果、特定の据込条
件、合金組成の組み合わせにより結晶粒の長径a と短径
b の比(a/b) が1.0 〜1.5 であり、かつ平均粒径が15μ
m 以下の均一微細粒を実現でき、その結果、高強度でか
つ強度および延性の異方性の飛躍的向上が可能であるこ
とを見い出し、本発明を完成した。
【0022】ここに、本発明は、重量割合で、Ti:0.20
%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、C :0.01%〜0.40%
を含み、残部がモリブデンおよび不可避的不純物から成
り、結晶粒の長径a と短径b の比(a/b) が1.0 〜1.5 で
あり、結晶粒径が15μm 以下の微細で均一な組織を有す
ることを特徴とする強度および延性の異方性の小さいモ
リブデン基合金である。
【0023】さらに別の面からは、本発明は、 重量割
合で、Ti:0.20%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、C :
0.01%〜0.40%を含み、残部がモリブデンおよび不可避
的不純物から成るモリブデン基合金の素形材を鍛造加工
して所定形状にする異方性の少ないモリブデン基合金の
製造方法であって、鍛造加工を再結晶温度以下、500 ℃
以上の温度域で行い、鍛造工具と前記モリブデン基合金
との間にその鍛造加工温度における変形抵抗がモリブデ
ン基合金の変形抵抗より小さい金属、例えばSUS304、SU
S314、SCM420H 等を介在させるとともに、該金属を予め
前記温度域の温度に加熱しておくことを特徴とする上述
のモリブデン基合金の製造方法である。
【0024】ここに、上記金属の介在の形態は、単に鍛
造工具と被加工材であるモリブデン基合金との間に挟持
させる場合ばかりでなく、モリブデン基合金の全体を包
囲するように設ける場合であってもよい。その他、多く
の形態が考えられよう。いずれにしても、鍛造工具とモ
リブデン基合金との間にあって、急激な温度降下を防止
して均一な変形を可能とする作用をなす限りににおいて
特に制限はない。
【0025】同様に、その介在させる金属の種類につい
ても、鍛造加工温度、つまり実際に加工が行われている
ときの変形抵抗がモリブデン基合金より小さければよ
い。なお、上記素形材は一般には焼結材あるいは焼結後
熱間加工材であるが、同様に溶製材であってもよい。
【0026】
【作用】次に、本発明にかかる成形方法の具体的操作と
それによる作用効果について説明するとともに、本発明
において合金組成および処理方法を上記のように限定し
た理由を詳述する。なお、以下の説明では据込み鍛造を
例にとって本発明を説明するが、その他、型鍛造、タッ
プ鍛造、熱間鍛伸についても本発明は同様に適用され
る。
【0027】図1は、本発明にかかる据込みプレス法の
操作例を示す概略説明図であって、図1(a) は据込み
前、図1(b) は据込み後の形態をそれぞれ示す。まず、
図1(a) に示すように、モリブデン基合金の延性および
強度の異方性を改善すべく、変形抵抗の低いスペーサ10
を鍛造加工工具12、12と素形材14との間にそれぞれ挟み
込む。このように据込プレス台、つまり鍛造加工工具と
鍛造温度(500℃〜再結晶温度) に加熱されたモリブデン
基合金の素形材との間に500 ℃からMoの再結晶温度に加
熱したスペーサを挟み込みプレスまたは鍛造するのであ
る。据込み量を10〜50%とすることによって、鍛造材中
の繊維集合組織および結晶延伸粒組織を均質に除去する
ことが可能となる。
【0028】ここで、モリブデン基合金は2600℃という
非常に高い融点を持つことから耐熱材料として知られて
おり据込鍛造する500 ℃以上の温度において非常に高い
変形抵抗を示す。そこでスペーサには鍛造温度範囲内で
モリブデン基合金よりも変形抵抗の低い材料を用いるこ
とを特徴とする。
【0029】このスペーサは次に示す二つの特徴的な効
果を有する。 鍛造加工工具が高温に加熱されたモリブデン基合金に
接触することによりモリブデン基合金が急激に温度低下
することを高温に加熱されたスペーサは防止する役割を
示す。もしモリブデン基合金の端面の温度が急激に低下
した場合には鍛造材は均質に鍛造することは不可能であ
る。 高温に加熱されたスペーサは据込時にモリブデン基合
金よりも圧縮強度が劣るために据込鍛造によって圧縮変
形を受け易いので、モリブデン基合金よりも外周部に広
がる。
【0030】そこでこの高温に加熱されたスペーサは据
込時にモリブデン基合金との接触部において、モリブデ
ン基合金を外周部に押し広げる効果を発揮する。この押
し広げ効果によりモリブデン基合金の形状は均一に変形
する。ここで、鍛造加工温度を500 ℃以上、再結晶温度
以下に限定したのは、モリブデン基合金は500 ℃以上に
加熱しないと据込鍛造時に結晶粒界で脆性破壊割れを起
こすため、500 ℃以上に加熱しなければならない。一
方、再結晶温度より高温に加熱すると粒成長が著しくな
って結晶粒の粗大化を阻止できないことから、再結晶温
度以下に素形材を加熱する。
【0031】通常のスペーサを用いない高温据込プレス
鍛造においては、前述の繊維集合組織および結晶延伸粒
組織を除去する場合には鍛造およびプレス台と据込材の
間で不均一な変形がみられ、据込材に未変形部分が形成
され均一に繊維集合組織および結晶延伸組織が残存し除
去することは困難である。本発明においてスペーサとし
て使用される金属としては、SUS304、SUS314のようなオ
ーステナイト系ステンレス鋼が例示されるが、それ以外
でも所定の特性を備えている限りにおいて使用できる。
【0032】本発明のモリブデン基合金は、重量割合
で、Ti:0.20%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、C :0.
01%〜0.40%を含んでいる。ここでそれぞれの元素の添
加理由について示す。
【0033】Ti :Tiの配合は、モリブデン中にTiC と
して微細分散させることを目的としており、TiC の微細
分散効果によるピン止め効果により、高温強度を上昇さ
せるためである。そのような効果を発揮させるためには
Tiは0.20%以上を添加する。しかし、Ti:0.60 %超とい
うようにこの組成範囲を越えて多量に添加するとTiはTi
C として分散しなく、数μm以上の粗大なTi系化合物の
介在物として存在し強度を低下させるのでTiは上記組成
内に抑えられなければならない。
【0034】また、Ti添加は、モリブデン粒界への不可
避不純物である数百ppm 程度の酸素偏析による粒界割れ
を防止する働きがある。これはTiが酸素と結びつきTiO2
となり、酸素のモリブデン粒界への偏析を防ぐと共に、
TiO2が微細分散しピン止め効果の役割を果たし、強度改
善を促進する働きがある。このような作用効果は上述の
組成範囲内で発揮される。
【0035】Zr :高温強度の向上と高温延性を向上さ
せるために0.05%以上添加する。ZrはTiと同様にZrC を
形成し分散することによって、高温強度を向上させる働
きを持つと共に固溶して高温延性を向上させる重要な働
きを有する。すなわち、Zrはモリブデン中に600 ℃で約
6.7 重量%固溶することができ、Cと結びつかなかった
Zrは結晶粒内に固溶することで高温変形を助ける役割を
する。そこでZrの添加は室温でモリブデン中に固溶でき
る0.20重量%以下とした。
【0036】このようにZr添加は、高温据込時に据込変
形を促進する働きがあるが、この組成割合を超えてZrを
添加すると、高温での破壊の起点となり易い、低融点の
hcp構造 (最密六方格子) のZr相が析出し、高温強度を
低下させる。
【0037】C :TiおよびZrと炭化物を形成させ、モ
リブデン中に分散させるため0.01%以上添加する。結晶
粒界にC が必要以上に存在すると結晶粒界強度を減少さ
せる働きがあるため、C 添加量はTiおよびZrと炭化物を
形成できる範囲内に抑えなければならない。そこで重量
割合で0.01%〜0.40%C とする。次に、本発明の作用効
果について実施例によってさらに具体的に説明する。
【0038】
【実施例】
(実施例1)代表的なモリブデン基合金として(0.5%Ti-
0.08%Zr-0.02%C-Mo) を用い、2000℃で焼結後、慣用の
熱間押出加工を行った。このようにして得た素形材に本
発明にかかる鍛造加工を行った。スペーサ材としてSUS3
04を用いて1000℃〜1200℃の温度範囲で据込プレス (据
込み率40%) を行い、据込材各部から引張試験片を採取
し、試験を行った。その結果を図2(a) および図2(b)
にまとめて示す。
【0039】[引張試験の条件] 温度 : 室温 試験片 : 直径 6.0 mm(平行部長さGL=20mm) 歪速度 : 0.5 ×10-3[S-1] 試験項目 : 引張強度、伸び 図2(a) および図2(b) にそれぞれT方向、L方向の結
果を示すように、試験片の採取場所による引張強度、お
よび伸びの大きな差異は認められず、据込材内部におい
て均質であるといえる。
【0040】また、bcc 金属に特有の(110) 繊維集合組
織 (押出軸方向) の有無を据込前後で測定した結果をそ
れぞれ図3(a) および図3(b) に極点図で示す。これら
の極点図の結果からも明らかなように本発明にかかる据
込によって均一に(110) 繊維集合組織を除去することが
可能であることが分かる。
【0041】また、結晶延伸粒組織も均一に除去するこ
とが可能であることも分かった。これらの結果をさらに
究明したところ、据込素材の側面と上下据込み台中心部
にできるデッドゾーンまたはデッドメタル( 塑性変形は
ゼロもしくは極わずかな部分) をなくすることができ、
すべての部分に均一に圧縮変形を与え得ることが判明し
た。
【0042】(実施例2)実施例1と同様にして表1に示
す組成を有するモリブデン基合金について熱間押出材の
据込鍛造を行った。結果をその処理条件とともに表1に
まとめて示すが全ての合金において、L方向、T方向の
伸び比は70%〜130 %である。
【0043】このように伸びの異方性は押出後に比べて
大幅に低減できることが判明した。表1中の素材均一性
は合金ビレット中より引張試験片を据込鍛造軸および鍛
造軸に垂直方向に様々な場所で採取し、前述の引張試験
条件で20回引張試験を行った場合、伸び値が0〜80%の
範囲の値を示し、バラツキが生じる場合を×で表し、伸
び値が10〜30%の範囲内に入る場合を○として表示し
た。比較のため、粗大介在物が多いために素材均一性が
満足されない場合を示した。また、本発明例において比
較のために本発明にかかる据込方法を行なう前 (熱間押
出のままの状態)の特性を示すがビレット素材内部の均
一性は満足されないことが分かる。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】モリブデン基合金を各種耐熱構造材料と
して使用する場合、延性および強度の異方性を示す材料
であれば、冷間では急速な破壊および割れを示す。しか
し、このモリブデン基合金より高温で強度の低い材料(S
US304 鋼等) を挟み込んだ本発明にかかる高温据込プレ
スおよび鍛造法により、(110) 繊維集合組織および延伸
粒組織を改善でき、延性および強度の異方性をもたない
素材を製造することが可能となる。
【0046】またこの延性異方性を改善したモリブデン
基合金は通常のモリブデン基合金によく起こる800 ℃以
上の高温使用時に急激な冷却が起こった場合に示す熱応
力割れを防止することができる。このように本発明によ
り延性および強度の異方性を改善することによって、現
在までに耐熱構造材料としてモリブデン基合金の用途を
限定されていた分野にも用途を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) および(b) は、本発明にしたがってス
ペーサを挟み込んで行う据込プレスのそれぞれ据込前、
据込後の形態の概略説明図である。
【図2】図2(a) は、鍛造プレス後のT方向強度および
伸び、図2(b) は、L方向の引張強度および伸びをそれ
ぞれ示すグラフである。
【図3】熱間押出後の極点図とこの押出材の据込鍛造材
の極点図の比較を示すもので、図3(a) は据込前 (押出
し後) の極点図 (110)、図3(b) は据込後の極点図 (11
0)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合で、 Ti:0.20%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、C :0.01%
    〜0.40%を含み、 残部がモリブデンおよび不可避的不純物から成り、結晶
    粒の長径a と短径b の比(a/b) が1.0 〜1.5 であり、結
    晶粒径が15μm 以下の微細で均一な組織を有することを
    特徴とする強度および延性の異方性の小さいモリブデン
    基合金。
  2. 【請求項2】 重量割合で、 Ti:0.20%〜0.60%、Zr:0.05%〜0.20%、C :0.01%
    〜0.40%を含み、 残部がモリブデンおよび不可避的不純物から成るモリブ
    デン基合金の素形材を鍛造加工して所定形状にする異方
    性の少ないモリブデン基合金の製造方法であって、鍛造
    加工を再結晶温度以下、500 ℃以上の温度域で行い、鍛
    造工具と前記モリブデン基合金との間にその鍛造加工温
    度における変形抵抗がモリブデン基合金の変形抵抗より
    小さい金属を介在させるとともに、該金属を予め前記温
    度域の温度に加熱しておくことを特徴とする請求項1に
    記載のモリブデン基合金の製造方法。
JP845393A 1993-01-21 1993-01-21 異方性の小さいモリブデン基合金と製造方法 Withdrawn JPH06220566A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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