JP3266128B2 - 漏洩磁束探傷法及び漏洩磁束探傷装置 - Google Patents

漏洩磁束探傷法及び漏洩磁束探傷装置

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JP3266128B2
JP3266128B2 JP02997799A JP2997799A JP3266128B2 JP 3266128 B2 JP3266128 B2 JP 3266128B2 JP 02997799 A JP02997799 A JP 02997799A JP 2997799 A JP2997799 A JP 2997799A JP 3266128 B2 JP3266128 B2 JP 3266128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性体金属被検
体を磁化し、被検体に存在する欠陥に起因して発生する
漏洩磁束を測定することにより、欠陥の検出を行う漏洩
磁束探傷方法に関するものであり、さらに詳しくは、1
つの磁化器に対して複数のセンサを配置し、各センサか
らの信号を演算することにより、欠陥の検出性能を向上
させた漏洩磁束探傷法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄のような強磁性体の内部に存在する欠
陥を検出する方法として、漏洩磁束探傷法が広く用いら
れている。その一例として、製鉄プラントにおける製鉄
検査ラインに組み込まれている、磁気センサを利用した
磁気探傷装置の構成を図6に示す。
【0003】製品検査ラインを搬送ローラ11、12に
より、ほぼ一定速度Vで搬送される薄鋼帯13の搬送路
に沿って磁気探傷装置14が配設されている。この磁気
探傷装置14は、走行状態の薄鋼帯13に磁界を印加す
る磁化器15と、薄鋼帯13を挟んで磁化器15の対向
位置に配設された磁気センサ16と、この磁気センサ1
6からの検出信号に基づいて薄鋼帯13の内部または表
面の欠陥17を検出する信号処理装置18とで構成され
ている。
【0004】薄鋼帯13に欠陥17が存在すると、この
欠陥17に起因して薄鋼帯13内の磁力線が乱され、薄
鋼帯13の外部に漏洩して漏洩磁束となる。磁気センサ
16はこの漏洩磁束を検出する。漏洩磁束の強度は欠陥
17の大きさに対応するので、磁気センサ16の検出信
号の信号レベルで欠陥17の大きさが評価できる。
【0005】以上のように、従来の、強磁性体金属被検
体の欠陥を、漏洩磁束を測定することによって検出する
方法においては、磁気センサの検出信号の信号レベルに
よって欠陥の大きさを検出していた。しかしながら、磁
気センサによって検出される磁気的な信号には、上記の
欠陥に起因する漏洩磁束信号以外にも、強磁性体金属被
検体における局部的な磁気的特性変化、むらなどに起因
する強磁性体金属被検体外部の磁束分布の乱れや、表面
粗さにより生じる磁束分布の乱れが含まれる場合があ
る。この磁束分布の乱れは、欠陥検出という観点からす
れば、不要な磁束(雑音磁束)である。
【0006】このような雑音磁束による影響を避けるた
め、欠陥漏洩磁束に起因する信号と雑音磁束に起因する
信号とで周波数が異なることを利用して、欠陥を判断す
る方法が用いられることがある。図7は欠陥信号と雑音
磁束の周波数特性の測定結果の一例を示す図である。す
なわち、図7は、薄鋼板を一定速度で走行させた状態に
おいて、欠陥に起因する漏洩磁束を磁気センサで検出し
た場合の欠陥信号の周波数特性と、雑音磁束を磁気セン
サにより検出した場合の周波数特性を示している。
【0007】図7に示されるように、一般に欠陥信号の
方が雑音磁束よりも高い周波数分布を持っている。そこ
で、信号処理装置に遮断周波数fを有するハイパスフィ
ルタを組み込むことにより、磁気センサから当該信号処
理装置に出力された検出信号の内、欠陥信号を雑音磁束
に比べて相対的に強調して抽出することが可能である。
このように漏洩磁束探傷法において、欠陥検出能を上げ
るため、適当な定数を持つフィルターを使用する方式は
実開昭61−119760号公報にも開示されている。
【0008】しかしながら、図7に示すように、欠陥信
号の周波数特性と雑音磁束の周波数特性は重なり合う部
分もあるため、検出すべき欠陥が小さくて欠陥信号のレ
ベルが小さい場合や、雑音磁束が大きい場合には、たと
え前記のようなハイパスフィルターを設けて欠陥信号を
周波数弁別したとしても、欠陥を検出できるレベルま
で、雑音磁束を除去することは困難であるという問題点
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、このよう
な問題点を解決し、強磁性の被検体が有する微小な欠陥
を確実に検出する方法を発明し、平成11年特許願第2
9782号として特許出願した(先願発明)。これは、
「強磁性体金属被検体を異なる複数の磁化条件で磁化
し、各々の磁化条件下で同一場所における漏洩磁束の測
定を行い、これらの測定結果同士を演算し、その演算結
果に基づいて欠陥判定を行うことを特徴とする漏洩磁束
探傷方法」である。
【0010】この先願発明は、 探傷において障害となるノイズが主として表面近傍か
ら発生していること 表面近傍からの信号は、磁化の程度の影響をあまり受
けないが、被検体内部からの信号は、磁化の大きな場合
に検出感度が良くなり、磁化が小さい場合には磁気シー
ルドの影響を受けて検出されにくくなること という知見に基づいて、複数の磁化条件で強磁性体金属
被検体を磁化し、各々の磁化条件下における測定信号同
士を演算処理することによりノイズ成分を消去してS/
N比を改善しようとするものである。
【0011】強磁性体金属被検体において、複数の磁化
レベルを実現する(磁化レベルを変化させる)ために通
常考え得る方法は、 磁化器の形状を変える 磁化器と強磁性体金属被検体の距離を変える 磁化電流を変化する などである。の方法としては、たとえば、磁極間隔を
非常に広く取ることで磁化レベルを下げることができ
る。また、の方法としては、磁化器を強磁性体金属被
検体から遠ざけることにより磁化レベルを下げることが
できる。の方法としては、磁化電流の増減に対応して
磁化レベルを増減することができる。
【0012】これらの方法を用いて、複数の磁化レベル
を実現する方式の一つは、磁化レベル条件毎に形状や磁
化電流の異なる磁化器を設けるものである。しかしこの
方式では、磁化器が複数になるため高価になる、装置に
必要なスペースが増す、少なくとも磁化器のサイズ分だ
け磁気センサを離す必要があり、磁気センサ相互での磁
化レベル以外の測定条件に差が生じる可能性が大きくな
る、等の問題点がある。
【0013】複数の磁化器を設置するのが不適当である
とすれば、一つの磁化器の条件を変化させて磁化レベル
を変える方式が考えられる。しかし、やの方法では
一般に重量のある磁化器を変形、移動することになり、
特にスピードの要求される鋼板のオンライン探傷などで
は適当とはいえない。その点、の方法は、一つの磁化
器で磁化力を時間的に変化させることで磁化レベルを変
更でき、かつセンサも一つで済むので都合がよい側面が
あるが、この場合も、回路が複雑になる点(磁化電流を
変化させつつ、それに同期して、対応する磁化レベルご
との信号を処理する回路が必要になる)が問題である。
【0014】また測定にスピードが要求される場合には
別の問題がある。つまり、強磁性体金属被検体上の測定
点ごとに複数の磁化条件を実現するためには、強磁性体
金属被検体とセンシングシステムとの相対移動速度より
も速い周期で磁化力、磁化電流を変える必要があるが、
強磁性体金属が速く動く場合には、磁化電流の周波数を
高くせざるを得ず、表皮効果の影響を受ける点、漏洩磁
束成分だけでなく渦流成分も関与してくる点など、単純
に漏洩磁束の磁化レベルを変えるという目的とは相容れ
ない外乱が発生する。
【0015】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、複数の磁化器を使用せず、かつ複雑な機能を付
加することなく、先願発明の優れた作用効果を実現でき
る漏洩磁束探傷法及び漏洩磁束探傷装置を提供すること
を課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、強磁性体金属被検体を磁化器により磁
化し、被検体に存在する欠陥に起因して発生する漏洩磁
束を、被検体の表面に配置した磁気センサで測定するこ
とにより、欠陥の検出を行う漏洩磁束探傷方法であっ
て、磁化器の磁化方向に沿って設置位置を変えた複数の
磁気センサにより、被検査体の磁化レベルが実質的に異
なるような条件下で、被検体上の同一位置に対応する漏
洩磁束信号を測定し、測定結果同士を演算し、その演算
結果より欠陥判定を行うことを特徴とする漏洩磁束探傷
方法(請求項1)である。前記課題を解決するための第
2の手段は、前記第1の手段であって、前記「被検査体
の磁化レベルが実質的に異なるような条件」とは、磁化
の強度が異なるものであり、強磁化条件と弱磁化条件に
おける欠陥信号レベルの変化が、雑音磁束信号レベルの
変化の割合より大きくなるような条件であることを特徴
とするもの(請求項2)である。前記課題を解決するた
めの第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であ
って、前記「被検査体の磁化レベルが実質的に異なるよ
うな条件」とは、磁化の強度が異なるものであり、強磁
化条件における雑音磁束が弱磁化条件においても存在す
るような条件であることを特徴とするもの(請求項3)
である。前記課題を解決するための第4の手段は、強磁
性体金属被検体を磁化器により磁化し、被検体に存在す
る欠陥に起因して発生する漏洩磁束を、被検体の表面に
配置した磁気センサで測定することにより、欠陥の検出
を行う漏洩磁束探傷装置であって、磁化器と、被検査体
の磁化レベルが実質的に異なるような条件下で、磁化器
の磁化方向に沿って設置位置を変えた複数の磁気センサ
と、被検体上の同一位置に対応する漏洩磁束信号を測定
し、測定結果同士を演算し、その演算結果より欠陥判定
を行う信号処理装置を有することを特徴とする漏洩磁束
探傷装置(請求項4)である。前記課題を解決するため
の第5の手段は、前記第4の手段であって、前記「被検
査体の磁化レベルが実質的に異なるような条件」とは、
磁化の強度が異なるものであり、強磁化条件と弱磁化条
件における欠陥信号レベルの変化が、雑音磁束 信号レベ
ルの変化の割合より大きくなるような条件であることを
特徴とするもの(請求項5)である。前記課題を解決す
るための第6の手段は、前記第4の手段又は第5の手段
であって、前記「被検査体の磁化レベルが実質的に異な
るような条件」とは、磁化の強度が異なるものであり、
強磁化条件における雑音磁束が弱磁化条件においても存
在するような条件であることを特徴とするもの(請求項
6)である。
【0017】磁化器の磁化方向における磁化の程度は、
磁化器の中心において最も大きく、中心から離れるに従
って小さくなっていく、よって、磁化器の磁化方向に沿
って設置位置を変えた複数の磁気センサにより、被検体
上の同一位置に対応する漏洩磁束信号を測定すれば、異
なった磁化レベル下において測定を行ったことになり、
この信号同士を演算することにより、先願発明における
効果を、一つの磁化器を用いて得ることができる。
【0018】以下に、磁極センタから磁化方向に沿って
測定位置をずらすことで、強磁性体金属披検体の磁化レ
ベルが変る理由を、図2を用いて説明する。図2は磁化
器5によって強磁性体金属被検体1が磁化されるとき
の、両磁極から供給される磁束の一部を模式的に描いた
ものである。磁化器5のN極から出た磁束のうちある部
分は図2に示すように、強磁性体金属被検体1内部を通
り、強磁性体金属被検体1を磁化する。強磁性体金属被
検体1内部を通る磁束の数が多いほど、つまり磁束密度
が高いほど磁化レベルも高くなるが、磁束密度は磁極セ
ンタ上で最大で、センタから遠ざかるほど低くなる。
【0019】その理由は、図2に模式的に示されている
ように、磁化器5より強磁性体金属被検体1に供給され
る磁束の量は、磁極センタに近づくにしたがって増して
行き、磁極センタにて最大となるからである。
【0020】磁極センタから磁気センサをずらすことで
磁化レベルが変えられることを調査した実験の結果を図
3、図4に示す。図3において、1は鋼板、2,3は搬
送ロール、4は磁気探傷装置、5は磁化器、6は磁気セ
ンサ、7は信号処理装置、8は欠陥である。
【0021】製品検査ラインを搬送ローラ2、3によ
り、ほぼ一定速度Vで搬送される鋼板1の搬送路に沿っ
て磁気探傷装置4を配設した。この磁気探傷装置4は、
走行状態の鋼板1に磁界を印加する磁化器5と、鋼板1
を挟んで磁化器5の対向位置に配設された磁気センサ6
と、この磁気センサ6からの検出信号に基づいて鋼板1
の内部または表面の欠陥8を検出する信号処理装置7と
で構成されている。
【0022】鋼板1に欠陥8が存在すると、この欠陥8
に起因して鋼板1内の磁力線が乱され、鋼板1の外部に
漏洩して漏洩磁束となる。磁気センサ6はこの漏洩磁束
を検出する。漏洩磁束の強度は欠陥8の大きさに対応す
るので、磁気センサ6の検出信号の信号レベルで欠陥8
の大きさが評価できる。
【0023】図3に示すように、磁極センタから距離S
だけ磁化方向に沿ってずらした位置において、磁気セン
サ6により漏洩磁束の測定を行い、その効果を調査し
た。ここで、強磁性体金属被検体である鋼板1として
は、厚さ1[mm]の薄鋼板を使用した。鋼板1と磁気セン
サ6との距離、すなわちリフトオフLは1[mm]とし、鋼
板速度Vは、300[m/min]、磁化器5の磁極間隔は12[m
m]、磁化器5と鋼板1の距離は4[mm]、磁化力は3000
[AT]とした。
【0024】ある欠陥からの信号レベルを調べたとこ
ろ、磁極センタからずれるに従い、上記に示した考え方
どおり漏洩磁束信号が小さくなっていく傾向があること
がわかった(図示せず)。この現象が磁化レベルが変化
したことに起因するものか、あるいは別の要因によりた
またま欠陥出力が変化したのかを詳細に調べるため、磁
化レベルを変えるために従来行われてきた方法、つまり
磁極センタ上に磁気センサ6を固定し、磁化力だけを変
えた場合(磁化力M)と、センサを磁極センタからずら
した場合(ずれ量S)とを比べた結果を図4に示す。
【0025】図4は、欠陥2種類、材料起因ノイズ1種
類を漏洩磁束の発生源とし、両方法でそれらの出力レベ
ルが同じになるSとMの組をプロットしたものである。
このプロットが漏洩磁束の発生源によらず、ほぽ同じ位
置になっていることから、磁極センタから磁気センサを
磁化方向にずらして測定することで強磁性体金属被検体
の磁化レベルが変化しているということができる。
【0026】なお、ここでは、わかりやすいように3種
の漏洩磁束発生源についてのみの結果を示したが、これ
は他の欠陥、材料起因ノイズについても同様であった。
このように、磁極センタから磁気センサを磁化方向に沿
ってずらして測定することで強磁性体金属被検体の磁化
レベルの異なる状態での測定が可能であることから、複
数の磁化レベル条件での漏洩磁束測定が、単純な構成
で、磁化器を複数用いること無く実現でき、また高速な
測定が要求される場合にも適用できることがわかる。
【0027】また、ここでは2種の磁化レベルでの測定
を行う場合を示したが、3種以上の磁化レベルでの測定
を行う場合にも同様のやり方が可能であることはいうま
でもない。また、この実験においては、磁気センサ6と
磁化器5は被検体を挟んで、お互いに反対の側に配置し
たが、同じ側であっても全く同様の結果が得られる。ま
た、図3においては、磁化レベルを下げるためにセンサ
位置をずらす方向は、鋼帯の移動先方向としているが、
反対側にずらしても同様の結果が得られる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。図1は、本発明を実施するために使用した漏洩磁束
探傷装置の概略構成図である。図1において、図3に示
した構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付してそ
の説明を省略する。図1において、6a,6bは磁気セ
ンサであり、6aは磁化器5の磁化方向中心近傍に、6
bはそれから4[mm]離れた位置に設けた。この実施例に
おいては、磁気センサ6a,6bと鋼板1との距離、す
なわちリフトオフLは、両磁気センサについて同じ(0.
7[mm])とされているが、これは必ずしも同じとする必
要はない。
【0029】なお、製品検査ラインを搬送される鋼板1
の厚さは1[mm]であった。また、この鋼板1は搬送ロ
ーラ2,3により、ほぼ一定速度V=[100m/mim]で搬送
された。また、図示していないが、複数個の磁気センサ
6a,6bが板幅方向に直線的に5[mm]ピッチで配列さ
れており、200組400個の磁気センサ6a,6bにて板幅
方向1mをカバーする。磁化器5の磁極の間隔は12[mm]
である。より強い磁化レベル条件(強磁化条件)として
は、上述のように磁気センサ6aを磁極センタ上に配置
した上で、磁化力として、欠陥信号と雑音磁束が両方と
も大きく検出される飽和磁化レベル近傍(3000AT)を
選んだ。この際、強磁化条件における雑音磁束信号がよ
り弱い方の磁化条件においても存在するよう、強磁化レ
ベルも弱い方の磁化条件に近づけるという意味で、不必
要に大きくならない条件とした。
【0030】より弱い磁化レベル条件(弱磁化条件)と
しては、磁気センサ6bの、磁化器5の磁化方向中心か
らの距離Sを、以下のような条件となるよう選定した。
つまり磁化条件として、磁化を下げたことによる欠陥信
号レベルの変化が、雑音磁束信号レベルの変化の割合よ
りもできるだけ大きい範囲で、かつ強磁化条件における
雑音磁束が弱磁化条件においても存在するよう、小さく
なりすぎないようなレベルとした。その結果、距離Sは
前述のように4[mm]となった。
【0031】信号処理装置7は、各磁気センサ6a,6
bの検出信号Va(t),Vb(t)を20kHzのサンプ
リング周波数によりアナログーディジタル変換する。ま
た、鋼板2の移動方向における磁気センサ6aと磁気セ
ンサ6bの位置ずれ量Sを、逐次実測した鋼板速度Vで
除して、同じ鋼板位置に対応する時間差△tを求め、遅
延処理回路(図示せず)により6aの信号Va(t)
を、相対的に磁気センサ6bの信号Vb(t)に対して
遅らせて、Va(t−△t)とVb(t)を対応させる
ようにする。また、検出信号Va(t−△t)、及びV
b(t)は直流分や周波数の低い地合ノイズ成分の低
減、欠陥信号周波数より高い電気ノイズなどをカットす
るため、バンドパスフィルタにかけられる。通過帯域
は、両磁化条件とも同じで、lkHz〜2kHzである。
【0032】図5に、この実施例における検出能改善効
果を示す。強磁化条件(磁気センサ6aの信号)では材
料に起因するノイズが大きくS/Nは1.3である。弱磁
化条件(磁気センサ6bの信号)では、強磁化条件で出
ていた雑音磁束が同様に現れているのがわかる。弱磁化
信号を2.5倍し、対応する位置の強磁化信号より引いた
結果が差分処理結果である。雑音磁束が激減し、相対的
に欠陥信号が強調され、S/Nが向上しているのがわか
る。なお、強磁化条件での測定値と弱磁化条件での測定
値の減算、遅延処理、フィルタリングなどの処理は、ア
ナログ信号にて行ってもよいし、アナログ信号をディジ
タル信号に変換後に行ってもよい。また、ディジタル信
号に変換してから行う場合でも、ハードウエアによって
もソフトウエアによって行っても構わない。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明の漏洩磁束探
傷方法においては、強磁性体金属被検体の漏洩磁束によ
る探傷を、複数の磁化レベルで行うために、磁化器の磁
極センタからの磁化方向のずれ量を相互に違えた位置に
複数のセンサを配置する。そして、被検査体の磁化レベ
ルが実質的に異なるような条件下で、それらの測定出力
を相互演算することで、内部欠陥の検出を行う。材料に
起因するノイズと欠陥信号とでは、磁化条件を変えたと
きの信号レベル変化の大きさが異なるため、適当な演算
により、強磁化での測定結果と弱磁化での測定結果を適
当な演算により組み合わせることでノイズを低減し、相
対的に欠陥信号を強調することができる。これにより、
一つの磁化器で、特に複雑な機能を付加すること無く、
従来どおりの単純なシステム構成により、S/N比の高
い漏洩磁束探傷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用した漏洩磁束探傷装置の概
略構成図である。
【図2】磁化器により強磁性体金属被検体が磁化される
ときの磁束の一部を模式的に描いた図である。
【図3】漏洩磁束探傷装置の概略構成図である。
【図4】同一の漏洩磁束発生源から同一の大きさの信号
が得られる、センサーの磁極センターからのずれ量[mm]
と、磁化力[AT]の対応関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例における検出能改善効果を示す
図である。
【図6】従来の漏洩磁束探傷装置の概略構成を示す図で
ある。
【図7】欠陥信号と雑音磁束の周波数特性の測定結果の
一例を示す図である。
【符号の説明】
1…鋼板 2,3…搬送ロール 4…磁気探傷装置 5…磁化器 6,6a,6b…磁気センサ 7…信号処理装置 8…欠陥
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−274016(JP,A) 特開 昭58−2649(JP,A) 特開 昭63−133054(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/72 - 27/90

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性体金属被検体を磁化器により磁化
    し、被検体に存在する欠陥に起因して発生する漏洩磁束
    を、被検体の表面に配置した磁気センサで測定すること
    により、欠陥の検出を行う漏洩磁束探傷方法であって、
    磁化器の磁化方向に沿って設置位置を変えた複数の磁気
    センサにより、被検査体の磁化レベルが実質的に異なる
    ような条件下で、被検体上の同一位置に対応する漏洩磁
    束信号を測定し、測定結果同士を演算し、その演算結果
    より欠陥判定を行うことを特徴とする漏洩磁束探傷方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の漏洩磁束探傷方法であ
    って、前記「被検査体の磁化レベルが実質的に異なるよ
    うな条件」とは、磁化の強度が異なるものであり、強磁
    化条件と弱磁化条件における欠陥信号レベルの変化が、
    雑音磁束信号レベルの変化の割合より大きくなるような
    条件であることを特徴とする漏洩磁束探傷方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の漏洩磁束
    探傷方法であって、前記「被検査体の磁化レベルが実質
    的に異なるような条件」とは、磁化の強度が異なるもの
    であり、強磁化条件における雑音磁束が弱磁化条件にお
    いても存在するような条件であることを特徴とする漏洩
    磁束探傷方法。
  4. 【請求項4】 強磁性体金属被検体を磁化器により磁化
    し、被検体に存在する欠陥に起因して発生する漏洩磁束
    を、被検体の表面に配置した磁気センサで測定すること
    により、欠陥の検出を行う漏洩磁束探傷装置であって、
    磁化器と、被検査体の磁化レベルが実質的に異なるよう
    な条件下で、磁化器の磁化方向に沿って設置位置を変え
    た複数の磁気センサと、被検体上の同一位置に対応する
    漏洩磁束信号を測定し、測定結果同士を演算し、その演
    算結果より欠陥判定を行う信号処理装置を有することを
    特徴とする漏洩磁束探傷装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の漏洩磁束探傷装置であ
    って、前記「被検査体の磁化レベルが実質的に異なるよ
    うな条件」とは、磁化の強度が異なるものであり、強磁
    化条件と弱磁化条件における欠陥信号レベルの変化が、
    雑音磁束信号レベルの変化の割合より大きくなるような
    条件であることを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載の漏洩磁束
    探傷装置であって、前記「被検査体の磁化レベルが実質
    的に異なるような条件」とは、磁化の強度が異なるもの
    であり、強磁化条件における雑音磁束が弱磁化条件にお
    いても存在するような条件であることを特徴とする漏洩
    磁束探傷装置。
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