JP3743191B2 - 渦流探傷法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強磁性金属被検体に交流磁界を印加し、それによって発生する渦電流に起因する磁場の、強磁性金属被検体の内部に存在する欠陥による変動を金属被検体の表面近傍に配置された磁気センサで検出することによって、欠陥を探傷する渦流探傷方法に関するものであり、さらに詳しくは、欠陥の検出性能(S/N比)を向上させた渦流探傷法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄のような強磁性体の内部に存在する欠陥を検出する方法として、渦流探傷法が広く用いられている。その例として、製鉄プラントにおける検査ラインに組み込まれている渦流探傷装置の構成の例を図8に示す。
【0003】
製品検査ラインを搬送ローラ12、13により、ほぼ一定速度Vで搬送されるたとえば薄鋼帯等の金属被検体11の搬送路に沿って渦流探傷装置14が配設されている。この渦流探傷装置14は、走行状態の金属被検体11表面近傍に配設された渦流プローブ(コイル)15と渦流プローブ15に交流電流を供給する交流電流源16と渦流プローブ15からの検出信号に基づいて金属被検体11の内部または表面の欠陥18を検出する信号処理装置17とで構成されている。
【0004】
金属被検体11に欠陥18が存在すると、この欠陥18に起因して金属被検体11の渦電流、ひいてはそれにより発生する磁場が乱される。渦流プローブ15はこの磁場の変化を検出する。磁場変化によって生じる信号の強さは欠陥18の大きさに対応するので、渦流プローブ15の検出信号の信号レベルで欠陥18の大きさが評価できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の金属被検体の欠陥検出においては、渦流プローブの検出信号の信号レベルによって欠陥を検出していた。
しかしながら、渦流プローブによって検出される磁気的な信号は、上記の欠陥に起因する渦電流の乱れに起因するものだけではなく、さまざまな要因により変化する。たとえば、センサと欠陥の距離(リフトオフ)の変動により、金属被検体中に発生する渦電流の強さ、分布が変化すると同時に、渦電流によって発生する磁場を検出する際にもセンサと金属被検体との相対的な位置が異なることで、センサにより検出される磁気的信号が変化する。このような、リフトオフ変動によって発生する信号はノイズとなり、検出能を低下させることとなる。
【0006】
また、渦流プローブの信号には、金属被検体における局部的な磁気的、電気的特性変化、むらなどに起因する金属被検体外部の磁束分布の乱れや表面粗さにより生じる磁場の乱れによる信号が含まれる場合がある。これらの信号は、欠陥検出という観点からすれば、不要な磁束(雑音磁束)であり、検出能を劣化させることになる。
【0007】
このような前者のリフトオフ変動への対策としては、たとえば特開昭61−2065号公報に、リフトオフ変動に伴う信号変化の影響をなくすため、位相弁別を使用する方法が述べられている。しかしながら、後者の「雑音磁束」は、このような方法では低減することはできない。
【0008】
雑音磁束への対策に関しては、雑音磁束による影響を避けるため、位相検波を行った後、欠陥に起因する信号と雑音磁束に起因する信号とで周波数が異なることを利用して欠陥を判断する方法が用いられることがある。
【0009】
図9は欠陥信号と、雑音磁束を位相検波した後の信号の周波数特性の測定結果の一例を示す図である。すなわち、図9は、薄鋼板を一定速度で走行させた状態において、欠陥に起因する漏洩磁束を磁気センサで検出した場合の欠陥信号の周波数特性と雑音磁束を磁気センサにより検出した場合の周波数特性を例示している。
【0010】
図9からもわかるように、一般に欠陥信号の方が雑音磁束よりも高い周波数分布を持っている。そこで、信号処理装置に遮断周波数fを有するハイパスフィルタを組み込み、磁気センサから当該信号処理装置に出力された検出信号の内、欠陥信号を雑音磁束に比べて相対的に強調して抽出することが可能である。
【0011】
しかし、欠陥信号の周波数特性と雑音磁束の周波数特性は重なり合う部分もあるため、検出すべき欠陥が小さくて欠陥信号のレベルが小さい場合や、雑音磁束が大きい場合には、たとえ欠陥信号を周波数弁別したとしても、欠陥を検出できるレベルまで、雑音磁束の信号レベルを低減することは困難である。
【0012】
本発明は、以上のような実状に鑑みてなされたもので、金属被検体に交流磁界を印加し、それによって発生する渦電流に起因する磁場の、前記金属被検体の内部に存在する欠陥による変動を、前記金属被検体の表面近傍に配置された磁気センサで検出することによって、欠陥を探傷する渦流探傷方法であって、リフトオフの変動や雑音磁束の影響を受けにくく、欠陥検出性能の高い渦流探傷方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、強磁性金属被検体に交流磁界を印加し、それによって発生する渦電流に起因する磁場の、前記強磁性金属被検体の内部に存在する欠陥による変動を、前記強磁性金属被検体の表面近傍に配置された磁気センサで検出することによって、欠陥を探傷する渦流探傷方法であって、前記強磁性金属被検体に強さの異なる少なくとも2種の磁化条件、すなわち強磁化条件と弱磁化条件を、雑音信号については前記強磁化条件と前記弱磁化条件とで同様の検出状況となり、かつ、欠陥信号については前記強磁化条件では十分に検出されるが前記弱磁化条件では検出されない条件で、少なくとも2種の直流磁界をさらに印加して測定を行い、その異なる条件での測定信号同士を演算することにより欠陥を検出することを特徴とする渦流探傷方法(請求項1)である。
【0014】
本手段により欠陥検出能向上を図ることができる理由を述べるため、まず雑音磁束の性質について説明する。以下は厚さ1mmの鋼板での調査結果例である。鋼板の表面より、歪みが入らないよう化学的に少しずつ削っていき、雑音磁束レベルの変化を調べたところ、図2に示すように雑音磁束は徐々に小さくなっていき、表層20μmほど削ったところで、削る前の状態の半分以下になることがわかった。つまり、雑音磁束の主要な源は表層にあることが判明した。この理由としては、例えば表面の粗さに起因して磁気的信号が変動すること、及び、鋼板製造時に表面から冷却されることにより生じる表層組織の局所的なばらつきなどにより磁気的性質のむらが表面に集中して生じることによるものと考えられる。このような現象はここで使用したサンプル以外でも見られ、雑音磁束が持つ性質の一つと考えることができる。
【0015】
以上説明したように、雑音磁束主要部は表層部にその源を持つが、内部欠陥は一般にそれよりも深い位置にある。強さの異なる直流磁界を印加した測定条件にて、渦流探傷時の雑音磁束と欠陥信号レベルの挙動を考えるとどのようなことが起こるかを以下に述べる。
【0016】
鋼などの強磁性体に交流磁束を印加すると、表皮効果により強磁性体に浸透する磁束は深くなればなるほど弱くなっていく。そのため深いところにある信号源ほど検出信号レベルが弱められることになる。この現象は強磁性体の透磁率が大きいほど顕著に現れる。たとえば、透磁率の大きい被検体の内部欠陥が検出できない場合でも、透磁率の小さい被検体の同じ深さの内部欠陥が十分に検出される場合があるし、また透磁率が大きい場合は、小さい場合と比べ、表層にその源を持つ雑音磁束が深い位置にある欠陥からの信号よりも相対的に強調される。つまり透磁率を変化させることにより深さ方向に感度の異なる探傷が可能となる。
【0017】
本手段においては、対象となる強磁性体の透磁率を変える手段として、強磁性体に加える直流磁界の強さを変える方法を用いる。図3は強磁性体のB(磁束密度)―H(磁界強度)曲線であるが、渦流探傷において透磁率とはこの曲線の局部的な傾き(△B/△H)を示す。H=0の時はこの透磁率は大きい値(△B0/△H0)をとり、直流磁界を強くした場合、例えば強磁性体がほぼ磁気飽和する時は透磁率は小さい値(△B1/△H1)となる。
【0018】
直流磁界を変化させたときの内部欠陥信号例を図4に示す。図4において横軸は直流磁界(直流磁化)の大きさ、縦軸は内部欠陥信号と雑音磁束との大きさの比、いわゆるS/N比を示す。直流磁界を上げていくと、欠陥信号が、雑音磁束信号に比べ大きくなっていくのが見て取れる。
【0019】
この原理に従い、たとえば2種の直流磁化条件をえらび、その異なる条件から得られたサンプル上で同じ位置に対応する信号同士の適当な演算を行うことで、それぞれの測定条件に共通に大きく存在する雑音磁束を低減し、欠陥信号を相対的に強めることができる。演算としては、欠陥信号、雑音ノイズの性質に応じて検出能が向上できるよう適当なものを選択すればよい。
【0020】
また、リフトオフ変動による磁気センサー信号変化に対しても、測定条件の異なる信号を演算するときに消去され、結果としてリフトオフ変動の影響を小さくすることができる。
【0021】
なお、以上の説明においては、2種の直流磁化条件を用いる場合について述べたが、3種以上の直流磁化条件で測定を行い、その結果の測定対象の同じ位置に対応するデータを演算し、様々な深さに対応する場合にも同様の考え方、方法により欠陥検出能向上が図れることはいうまでもない。
【0022】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、強い直流磁界を印加している状態での測定値から、より弱い直流磁界を印加している状態での測定値を、重みを付けて減算した結果より、欠陥を検出することを特徴とするもの(請求項2)である。
【0023】
雑音磁束信号の大きさは、強い直流磁界を印加している状態においても、より弱い直流磁界を印加している状態においても、それほど大きく変化しない。それに対し、前述のように、内部欠陥に起因する磁束信号の大きさは、直流磁界の強さにより大きく変化する。本手段においては、この性質を利用して、強い直流磁界を印加している状態での測定値から、より弱い直流磁界を印加している状態での測定値を、重みを付けて減算することにより、両方に共通に含まれる雑音磁束信号を消去するようにしている。これにより、ほぼ内部欠陥に起因する磁束信号のみが残って検出信号として現れるので、大きなS/N比で内部欠陥を検出することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る渦流探傷法実施する装置の概要を示す図であり、薄鋼板の内部介在物探傷に適用する例を示すものである。図1において、1は薄鋼板、2、3は搬送ロール、4は渦流探傷装置、5a、5bは交流磁化器と磁気センサーを兼ねた渦流プローブ、6a、6bは交流電源、7a、7bは直流磁化器、8は信号処理装置、9は内部欠陥である。
【0029】
この製品検査ラインでは、鋼板1の搬送路に沿って渦流探傷装置4が設置されている。この渦流探傷装置4は、主に渦流プローブ5a、5b、直流磁化器7a、7b、信号処理装置8によって構成されている。渦流プローブ5a、5bは、それぞれ交流電源6a(周波数f1)、6b(周波数f2)により励磁される。この渦流プローブ5a、5bと鋼板1との距離であるリフトオフの値は双方とも同じでL1である。
【0030】
直流磁化器7a、7bは、薄鋼板1に対し渦流プローブ5a、5bと同じ側にあっても、反対側にあってもよい。これらは、薄鋼板1から同じ距離L2を隔てて配置される。渦流プローブ5a、直流磁化器6aを用いて第1の条件での測定を行う。また渦流プローブ5b、直流磁化器6bは第2の条件での測定を行う。
【0031】
たとえば、渦流プローブ5aを励磁する交流電源6aの周波数f1は低く、かつ、直流磁化器6aによる直流磁化は強くし、これに対し、渦流プローブ5bを励磁する交流電源6bの周波数f2は高く、かつ、直流磁化器6bによる直流磁化は弱くしておく。これにより、渦流プローブ5aからは、薄鋼板1の表面近傍から発生するノイズと共に、内部欠陥9によって発生する信号が検出される。それに対し、渦流プローブ5bからは、内部欠陥9によって発生する信号は検出されないか検出されても小さく、主として薄鋼板1の表面近傍から発生するノイズが検出される。
【0032】
渦流プローブ5a、5bで検出された磁気信号(交流)の振幅を求めるため、交流電源6a、6bの出力からの参照信号を使用して、信号処理装置8により位相検波処理が施されるが、これは渦流探傷法における常套手段であるので、その説明を省略する。さらに、位相検波後の信号について、信号信号処理装置8により鋼板上の同一位置からの信号同士で演算をし、雑音磁束を低減し、相対的に欠陥信号を強調しS/N向上がなされる。
【0033】
例えば、位相検波後の渦流プローブ5aの信号をVa(t)、渦流プローブ5bの信号をVb(t)とすると、
V(t)=Va(t)−k・Vb(t)
として、検出信号を演算する。ここでkは定数であり、Va(t)とVb(t)に含まれる雑音磁束を消去するように、実験的に求められる。実際には、渦流プローブ5aと渦流プローブ5bの距離が離れているので、上記の式においては、渦流プローブ5aの位置から渦流プローブ5bの位置まで薄鋼板1が走行する時間だけ、信号Va(t)を遅延させたものを使用することになる。
なお、リフトオフL1、は必ずしも、渦流プローブ5a、5bで同じである必要はなく、相互に異なっていてもよい。リフトオフL2についても同様である。
【0034】
また、強い直流磁化条件での測定値と弱い直流磁化条件での測定値の減算、遅延処理、フィルタリングなどの処理は、アナログ信号にて行ってよいし、アナログ信号をディジタル信号に変換後に行ってもよい。また、ディジタル信号に変換してから行う場合でも、ハードウエアによってもソフトウエアによって行っても構わない。
【0035】
直流磁化・励磁周波数の組み合わせを3種以上にした場合も、欠陥信号の深さと共通雑音磁束の深さに応じて減算の係数を調整する事により検出性能を向上させることができる。例えば、図5に示すように深さ方向の感度が異なる条件1、条件2、条件3がある時、条件3から条件1を減算したときは深さ領域1、条件3から条件2を減算したときは深さ領域2までの表層における共通雑音磁束信号を減ずることができ、それぞれの領域内に存在する欠陥の感度が良くなる。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を、薄鋼板(薄鋼帯)中の微小な内部介在物をオンラインにて検出する装置に適用した例について、図6を参照しながら説明する。図6に示す渦流探傷装置は、図1に示したものと同じであるが、図1においては、信号処理装置8の内部に置かれて図示されていなかった遅延処理回路10が独立の要素として構成され、図示されている点が異なっているのみである。その他の符号は、図1に示されたものと同じものを示すので、その説明を省略する。
【0037】
製品検査ラインを搬送される薄鋼板1の厚さは1mmであった。また、この鋼板1は搬送ローラ2、3によりほぼ一定速度V=20m/minで搬送されていた。
各渦流プローブ5a、5bと薄鋼板1の表面までの距離であるリフトオフL1は0.7mmに設定した。また、図示していないが複数個の渦流プローブ5a、5bが板幅方向に直線的に10mmピッチで配列されており、100組、計200個の渦流プローブ5a、5bにて板幅方向1mをカバーするようになっている。直流磁化器7a、7bは渦流プローブ5a、5bとは薄鋼板1を挟んで反対側に設置し、鋼板との距離L2は5mmとした。
【0038】
強い直流磁化条件としては、弱い直流磁化条件と比べ、雑音ノイズレベルに対する欠陥信号レベルの比率が大きく変化なる条件を選ぶ必要がある。ただし、この条件における雑音磁束信号が強い直流磁化条件においても存在するよう、両方の雑音検出状況を似せるという意味で、不必要に小さくならない条件とする必要もある。これらの条件を勘案し、ここでは5000ATを選択して、直流磁化装置7aをこの値に設定した。主に雑音磁束を検出する弱い直流磁化条件として2000ATを選択し、直流磁化装置7bをこの値に設定した。
【0039】
渦流の励磁周波数は鋼板速度との関係で、信号の変化を十分に捉えられる周波数とした。また、ここではf1=f2とした。欠陥信号周波数は上限で700Hz程度を考えておけばよく、10kHzの励磁周波数であれば十分検出が可能である。
【0040】
渦流プローブ5a、5bからの信号は、信号処理装置8において、励磁電源からの参照信号を使って位相検波される。
位相検波後の検出信号Va(t)、およびVb(t)は直流分や周波数の低い地合ノイズ成分の低減、欠陥信号周波数より高い電気ノイズなどをカットするため、バンドパスフィルタにかけられる。通過帯域は、両磁化条件とも同じで、200〜500Hzである。
【0041】
また、信号処理装置8は、位相検波された渦流プローブ5a、5bの検出信号Va(t)、Vb(t)を10kHzのサンプリング周波数によりアナログ-ディジタル変換し、以後の計算はディジタル値を使用して行う。
【0042】
また、薄鋼板1の移動方向における渦流プローブ5aと渦流プローブ5bの位置ずれ量dを、逐次実測した鋼板速度Vで除して、同じ鋼板位置に対応する時間差Δtをもとめ、遅延処理回路10により渦流プローブ5aの信号Va(t)を相対的に磁気センサ11bの信号Vb(t)に対して遅らせてVa(t-Δt)とVb(t)を対応させるようにしている。すなわち、欠陥判定に使用する信号V(t)として、
V(t)=Va(t-Δt)-k・Vb(t)
を用いている。ここで、kは定数であり、Va(t-Δt)とVb(t)に含まれる雑音磁束を消去するように、実験的に求めた。
【0043】
図7に検出能改善効果を示す。強い直流磁化(渦流プローブ5aにて測定)では、材料に起因するノイズが大きくS/N比は1.6である。弱い直流磁化条件(渦流プローブ5bにて測定)では、強い直流磁化条件で出ていた雑音磁束が同様に現れているが、欠陥信号に対応する信号が検出されていないのがわかる。弱い直流磁化条件での信号を0.5倍し、対応する位置の強い直流磁化条件での信号より引いた結果が差分処理結果である。雑音磁束が激減し、相対的に欠陥信号が強調され、S/N比が向上(3.5)していることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る発明においては、異なる条件から得られたサンプル上で同じ位置に対応する測定信号同士の適当な演算を行うことで、それぞれの測定条件において共通に大きく存在する雑音磁束を低減し、欠陥信号を相対的に強めることができる。
【0045】
請求項2に係る発明においては、強い直流磁界を印加している状態での測定値から、より弱い直流磁界を印加している状態での測定値を、重みを付けて減算することにより、両方に共通に含まれる雑音磁束信号を消去するようにしているので、簡単な演算により高いS/N比で内部欠陥信号を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る渦流探傷法実施する装置の概要を示す図である。
【図2】鋼板の表面の削除厚さと、正規化された雑音磁束信号レベルとの関係の例を示す図である。
【図3】強磁性体のB−Hカーブの例を示す図である。
【図4】直流磁化レベルと内部欠陥のS/N比との関係を示す図である。
【図5】深さ方向の感度が異なる3つの条件で検出を行ったときの、検出可能な欠陥位置を示す図である。
【図6】本発明の実施例に使用した渦流探傷装置の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例におけるS/N比の改善結果を示す図である。
【図8】従来の渦流探傷装置の例を示す概略図である。
【図9】欠陥信号と雑音磁束の周波数特性の測定結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…薄鋼板
2、3…搬送ロール
4…渦流探傷装置
5a、5b…渦流プローブ
6a、6b…交流電源
7a、7b…直流磁化器
8…信号処理装置
9…内部欠陥
10…遅延処理回路

Claims (2)

  1. 強磁性金属被検体に交流磁界を印加し、それによって発生する渦電流に起因する磁場の、前記強磁性金属被検体の内部に存在する欠陥による変動を、前記強磁性金属被検体の表面近傍に配置された磁気センサで検出することによって、欠陥を探傷する渦流探傷方法であって、
    前記強磁性金属被検体に強さの異なる少なくとも2種の磁化条件、すなわち強磁化条件と弱磁化条件を、雑音信号については前記強磁化条件と前記弱磁化条件とで同様の検出状況となり、かつ、欠陥信号については前記強磁化条件では十分に検出されるが前記弱磁化条件では検出されない条件で、少なくとも2種の直流磁界をさらに印加して測定を行い、その異なる条件での測定信号同士を演算することにより欠陥を検出することを特徴とする渦流探傷方法。
  2. 強い直流磁界を印加している状態での測定値から、より弱い直流磁界を印加している状態での測定値を、重みを付けて減算した結果より、欠陥を検出することを特徴とする請求項1に記載の渦流探傷方法。
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