JP3265961B2 - ワーク移動制御装置 - Google Patents

ワーク移動制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パンチプレスに
備えられたワーク移動手段をサーボ制御するワーク移動
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、ワ
ークを所定位置へ移動させるワーク移動手段では、所定
の速度曲線に従って移動させるようにしたサーボ制御手
段が一般に採られている。しかし、ワーク重量が種々異
なると、設定された速度曲線に対する追従性が得られ
ず、位置決め精度が低下する。ワーク移動手段が板材加
工機や一般の工作機械に備えられたものである場合、位
置決め精度の低下は加工精度の低下につながる。移動速
度を低下させると位置決めの高精度化が可能であるが、
生産性が低下する。パンチプレスを例として考えると、
ワークである板材の移動は、サーボモータにより台形制
御等の速度曲線でワーク送りが行われる。この場合に、
板材重量が一定であれば、常に一定の最適な速度ループ
ゲインを設定しておくことで、速度曲線への追従性を最
適に合わせることができる。しかし、種々の大きさ,板
厚,材質の板材を加工することが必要な場合が多く、板
材重量は、これらの大きさ、材質等によって相違する。
また、一枚の板材の加工途中においても、パンチ加工の
進行により徐々に板材重量が変化する。そのため、一定
の速度ループゲインで制御するのでは、各種の板材に対
応して加工精度を上げることが難しい。
【0003】この発明の目的は、ワーク重量が種々異な
っても設定された速度曲線に追従性良くワーク移動を行
わせることができるワーク移動制御装置を提供すること
である。この発明の他の目的は、加工の進行によりワー
ク重量が軽量化されても、設定速度曲線への追従性が保
て、加工精度の向上が図れるようにすることである。こ
の発明のさらに他の目的は、ワーク搬送面の種類に対応
して最適なワーク移動の制御が行えるようにすることで
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の構成を実施形
態に対応する図1と共に説明する。この発明のワーク移
動制御装置は、パンチプレス機におけるワーク移動制御
装置であって、板材からなるワーク(W)の移動手段
(3)を制御するサーボ制御手段(19)と、ワーク重
量に応じた速度ループゲイン(GS )および位置ループ
ゲイン(GP )の一方または両方を記憶した記憶手段
(31)と、ワーク重量に応じて前記記憶手段(31)
のループゲイン(GS ,GP )を選択し前記サーボ制御
手段(19)に設定する設定手段(30)とを備えたも
のである。このようにループゲイン(GS ,GP )を設
定することで、ワーク重量に応じた速度制御が行え、設
定された速度曲線への追従性が向上する。したがって、
無駄に移動速度を低下させることなく、位置決め精度を
向上させることができる。前記移動手段(3)はワーク
搬送面(S)に対してワーク(W)を移動させるもので
る。前記記憶手段は、複数種類のワーク搬送面(S)
について、ワーク重量に応じたループゲイン(G S ,G
P )を記憶していて、機械毎にワーク搬送面(S)の種
類が選択されるものである。ワーク搬送面(S)の種類
は、例えば搬送面(S)にフリーベアリングや滑り材等
の案内部材を設けた場合は、その案内部材の種類を言
う。このように搬送面の種類毎にループゲイン(GS
P )を設定しておくと、搬送面の種々異なる機械にこ
のワーク移動制御装置を使用する場合に、機械毎に搬送
面の種類の選択を行うだけで、多種の機械に対応でき
る。前記設定手段(30)は、重量対応設定部(30
a)を有していて、重量対応設定部(30a)は、加工
プログラム(16)に指令される材料データよりワーク
(W)の重量を計算する。前記設定手段(30)は、加
工により軽量化されたワーク重量に応じて、前記サーボ
制御手段(19)のループゲイン(GS ,GP )を変更
する加工量対応設定部(30b)を有するものとしても
良い。これにより、加工の進行に伴うワーク重量の変化
に対応して常に設定速度曲線への追従性を良い状態に保
持できる。
【0005】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ない
し図3に基づいて説明する。図2は、このワーク移動制
御装置を応用した板材加工装置であるパンチプレス機の
平面図である。フレーム1にタレット2が設置され、フ
レーム1に内蔵のパンチ駆動機構(図示せず)により、
加工位置Pでタレット2の金型によるパンチ加工が行わ
れる。ワーク移動手段3は、板材からなるワークWをワ
ークホルダ8で把持し、テーブル上面からなるワーク搬
送面S上で移動させるものである。ワーク搬送面Sに
は、鉄製やウレタンゴム製等のフリーベアリングまたは
ローラベアリング、あるいはフェルト等の滑りの良い案
内部材が設けられる。
【0006】ワーク移動手段3のテーブルは、中央の固
定テーブル3aと両側のスライドテーブル3bとからな
る。両側のスライドテーブル3bは、キャリッジ4に一
体に固定され、ベッド5のレール6上をキャリッジ4と
共に前後方向(Y軸方向)に進退する。キャリッジ4に
は左右方向(X軸方向)に進退自在にクロススライド7
が搭載され、クロススライド7に設けられた複数のワー
クホルダ8により、ワーク搬送面S上のワークWが把持
される。
【0007】キャリッジ4の進退駆動は、ベッド5に設
置したY軸サーボモータ9と送りねじ11とで行われ、
クロススライド7の進退駆動は、キャリッジ4に設置し
たX軸サーボモータ10と送りねじ12とで行われる。
Y軸サーボモータ9は、位置検出手段および速度検出手
段として、ロータの一定微小角度毎のパルスと零相パル
スとを発生するパルスコーダ13(図1)を有してお
り、各パルスはモータ回転角を示すフィードバックカウ
ンタ14に入力される。X軸サーボモータ10も同様な
パルスコーダ(図示せず)を備えている。
【0008】図1は、このワーク移動制御装置の概念構
成を示すブロック図である。ワーク移動制御装置は、コ
ンピュータ式のNC装置15の一部で構成され、その演
算制御部およびメモリ装置等で、ソフトウェアサーボか
らなるX軸サーボ制御手段18およびY軸サーボ制御手
段19と、プログラム解読・背景部処理手段17とが構
成される。プログラム解読・背景部処理手段17は、加
工プログラム16を解読して各軸サーボ制御手段18,
19に、加工プログラム16の軸送り量の指令を与える
と共に、プログラマブルコントローラ部(図示せず)に
加工プログラムのシーケンス指令を与える手段である。
【0009】各軸サーボ制御手段18,19は、位置,
速度,および電流の各フィードバック制御機能を各々備
えており、各々位置ループゲインGP および速度ルール
ゲインGS を変数で与える可変ゲインとしてある。X軸
およびY軸のサーボ制御手段18,19は、ループゲイ
ン等の設定値が異なるだけで、他の構成は同じ構成であ
るため、以下の説明はY軸サーボ制御手段19のみにつ
き行う。
【0010】Y軸サーボ制御手段19は、位置制御手段
20、速度制御手段21、電流制御手段22、パラメー
タの設定手段30、およびフィードバック信号変換手段
35で構成される。フィードバック信号変換手段35
は、フィードバックカウンタ14のカウント値から位置
フィードバック信号Yfと、速度フィードバック信号ω
fと、ロータ角度信号Lωとを演算する手段である。
【0011】位置制御手段20は、位置指令発生部23
と位置制御部24とからなる。位置指令発生部23は、
プログラム解読・背景部処理手段17から転送された送
り量の指令Y0 に従い、予め設定した速度曲線aに応じ
た各時刻の位置指令Ycを出力する手段である。位置制
御部24は、位置フィードバック信号Yfと位置指令Y
cとを比較部33で比較し、その位置誤差Yeを位置誤
差増幅手段25により位置ループゲインGP 倍に乗算し
て速度指令ωcを出力する手段である。位置フィードバ
ック信号Yfは、Y軸サーボモータ9のパルスコーダ1
3からフィードバック信号変換手段35を介して得る。
【0012】速度制御手段21は、フィードバック信号
変換手段35から得られる速度フィードバック信号ωf
と速度指令ωcとを比較部34で比較し、その速度誤差
Yeを速度誤差増幅手段26で速度ループゲインGS
に乗算してトルク指令τcを出力する手段である。
【0013】電流制御手段22は、NC装置15のプロ
グラムで構成されるトルク制御手段と、電気素子で各々
構成されるD/A変換器、電流ループ電力増幅部、およ
び電流検出器(いずれも図示せず)からなる。前記トル
ク制御手段は、トルク指令τcに従い、Y軸サーボモー
タ9のロータ角度に応じた電流指令を出力する手段であ
り、Y軸サーボモータ9がACサーボモータや同期モー
タである場合はベクトル制御を行う。DCサーボモータ
の場合は、単にトルク指令τcに定数を掛けて電流指令
を出力する。
【0014】パラメータ設定手段30は、ループゲイン
の記憶手段30を構成する複数の可変パラメータテーブ
ル31aと、パラメータ選択手段32と、重量対応設定
部30aと、加工量対応設定部30bとを備える。各可
変パラメータテーブル31aは、ワーク搬送面Sの前記
フリーベアリングの材質等の種類毎に設けたものであ
り、各々そのワーク搬送面Sに対してワークWの重量毎
(例えば、数種ないし十数種に区分した各重量区分毎)
に最適の位置ループゲインGP および速度ループゲイン
S が設定されている。パラメータ選択手段32は、重
量対応設定部30aおよび加工量対応設定部30bの指
令に応じて可変パラメータテーブル31aの位置ループ
ゲインGP および速度ループゲインGS を選択し、位置
誤差増幅手段25および速度誤差増幅手段26に各々そ
の選択したループゲインGP ,GS を設定するものであ
る。
【0015】重量対応設定部30aは、加工プログラム
16の先頭に指令される材料データ(例えば、縦横寸
法,板厚,材質)よりワークWの重量を計算し、その計
算結果に応じてパラメータ選択手段32に重量に対応す
る位置ループゲインGP および速度ループゲインGS
選択させる手段である。また、重量対応設定部30a
は、X軸およびY軸の各々のサーボ制御手段18,19
について、前記の位置ループゲインGP および速度ルー
プゲインGS の選択および設定を行わせる。
【0016】加工量対応設定部30bは、各ワークWの
パンチ加工中に、打ち抜きに伴うワーク重量の軽量化分
を所定間隔で計算し、その都度、記憶手段31の可変パ
ラメータテーブル31aより対応する位置ループゲイン
P および速度ループゲインGS をパラメータ選択手段
32に選択させて、位置制御手段20および速度制御手
段21に設定する手段である。前記軽量化分の計算は、
例えばパンチ回数等で定めて定期的に行っても良く、ま
たタレットの回転による工具交換毎に行っても良い。軽
量化の計算は、加工プログラム17のパンチ孔位置や工
具種類のデータから行う。加工量対応設定部30bも、
X,Y両軸のサーボ制御手段18,19につきゲイン変
更を行う。なお、加工量対応設定部30bは、パンチ孔
の加工位置によるワーク重量の偏りを計算し、その偏り
に応じてX軸およびY軸のループゲインGP ,GS を補
正する機能を追加させたものとしても良い。
【0017】図3は、図1のY軸サーボ制御手段19を
構成する割込プログラムの例を示す。この割込プログラ
ムは、プログラム解読・背景部処理手段17のメインプ
ログラムに割り込ませるものであり、所定のサンプリン
グタイムで周期的に割り込ませる。この割込みプログラ
ムにおける電流制御ステップ(S4)は、図1の電流制
御手段22の一部となるトルク制御手段を構成するステ
ップであり、割り込み発生毎に実行される。速度制御ス
テップ(S3)は、図1の速度制御手段21を構成する
ステップであり、設定回数の割り込み発生毎に実行され
る。位置制御ステップ(S2)は、位置制御手段20を
構成するステップであり、設定回数の速度制御ステップ
(S3)の実行毎に実行される。フィードバック処理ス
テップ(S1)は、図1のフィードバック信号変換手段
35を構成するステップであり、割り込み毎に実行され
る。
【0018】図1のX軸サーボ制御手段18は、例え
ば、図3の各ステップS1〜S4において、前記のY軸
に関する処理の前または後に続けて、X軸に関する処理
をY軸と同様に行わせるようにしたプログラムで構成さ
れる。また、図1の加工量対応設定部30bは、例えば
図3とは別の割込プログラムで構成する。
【0019】上記構成の動作を説明する。記憶手段31
の可変パラメータテーブル31aは、機械据え付け時
等、実際の運転前にパンチプレス機の移動手段3の構成
に応じたテーブル31aを選択し、そのテーブル31a
が読み出されるように設定しておく。ワーク加工に際し
ては、加工プログラム16による加工の開始前に、加工
プログラム16の先頭に指令された材料データにより重
量対応設定部30aがワーク重量を計算し、X軸および
Y軸の各々につき、パラメータ選択手段32を介して可
変パラメータテーブル31aの該当する重量の位置ルー
プゲインGP および速度ループゲインGS を選択し、位
置制御手段20および速度制御手段21に設定する。し
たがって、ワークWの重量が種々異なっても、ワーク重
量に応じた位置ループゲインGP および速度ループゲイ
ンGS でワークWの移動が行われることになり、精度良
くワークWの位置決めが行える。したがって高精度のパ
ンチ加工が行える。また、不必要にワーク移動速度を低
下させることなく、ワークWの移動が行え、パンチ加工
の高速化が図れる。速度ループゲインGS に関しては、
最適な値よりも小さいと速度曲線aへの追従性が悪くな
り、大きいとサーボモータ9が発振して故障の原因とな
るが、このような問題がワーク重量に応じた設定で解消
される。また、パンチ加工が開始されると、次第にワー
クWの重量が軽量化されるが、この軽量化分が加工量対
応設定部30bで定期的(例えば30〜50回程度の設
定パンチ回数毎、またはある設定時間毎)に計算され、
位置ループゲインGP および速度ループゲインGS が最
適の値に変更されるため、一層速度曲線aに対する追従
性の良いワーク移動が行え、加工の開始から終了まで、
高精度のパンチ加工が行える。
【0020】なお、前記実施例では位置ループゲインG
P と速度ループゲインGS の両方を変更するように構成
したが、いずれか一方のループゲインGP ,GS のみを
変更させるようにしても良い。いずれか一方とする場合
は、速度ループゲインGS を変更することが望ましい。
また、前記実施形態ではソフトウェアサーボで可変ゲイ
ンを実現したが、位置および速度誤差の増幅手段25,
26を電気回路で構成してそのゲインを変更可能として
も良い。
【0021】
【発明の効果】この発明のワーク移動制御装置は、パン
チプレス機におけるワーク移動制御装置であって、板材
からなるワークの移動手段を制御するサーボ制御手段
と、前記ワークの重量に応じた速度ループゲインおよび
位置ループゲインの一方または両方を記憶した記憶手段
と、ワーク重量に応じて前記記憶手段のループゲインを
選択し前記サーボ制御手段に設定する設定手段とを備え
たものであるため、ワーク重量が種々異なっても設定さ
れた速度曲線に追従性良くワーク移動を行わせることが
できる。 前記記憶手段はワーク重量に応じたループゲイ
ンをワーク搬送面の種類毎に記憶したものであるため、
ワーク搬送面の種類に対応して最適なワーク移動の制御
が行える。 記設定手段に、加工により軽量化されたワ
ーク重量に応じて、サーボ制御手段に設定するループゲ
インを変更する加工量対応設定部を設けた場合は、加工
の進行に伴うワーク重量の変化に応じて、設定速度曲線
への追従性が保て、加工精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の概念構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】その板材加工機を示す平面図である。
【図3】ソフトウェアサーボを構成する割込プログラム
の流れ図である。
【符号の説明】
3…ワーク移動手段、4…キャリッジ、7…クロススラ
イド、8…ワークホルダ、9…Y軸サーボモータ、10
…X軸サーボモータ、13…パルスコーダ、15…NC
装置、18…X軸サーボ制御手段、19…Y軸サーボ制
御手段、20…位置制御手段、21…速度制御手段、2
2…電流制御手段、25…位置誤差増幅手段、30…パ
ラメータ設定手段、30a…重量対応設定部、30b…
加工量対応設定部、31…記憶手段、31a…可変パラ
メータテーブル、32…パラメータ選択手段、P…加工
位置、S…搬送面、W…ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 B23Q 15/20 B21D 28/00 G05B 19/404 G05D 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パンチプレス機におけるワーク移動制御
    装置であって、板材からなるワークの移動手段を制御す
    るサーボ制御手段と、前記ワークの重量に応じた速度ル
    ープゲインおよび位置ループゲインの一方または両方を
    記憶した記憶手段と、ワーク重量に応じて前記記憶手段
    のループゲインを選択し前記サーボ制御手段に設定する
    設定手段とを備え、前記移動手段はワーク搬送面に対し
    てワークを移動させる物であり、前記記憶手段は、複数
    種類のワーク搬送面について、ワーク重量に応じたルー
    プゲインを記憶していて、機械毎にワーク搬送面の種類
    が選択されるものであり、前記設定手段は、重量対応設
    定部を有していて、重量対応設定部は、加工プログラム
    に指令される材料データよりワークの重量を計算するワ
    ーク移動制御装置。
  2. 【請求項2】 記設定手段は、加工により軽量化され
    たワーク重量に応じて、前記サーボ制御手段のループゲ
    インを変更する加工量対応設定部を有するものである請
    求項1記載のワーク移動制御装置。
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