JP3262952B2 - 分割型ポリエステル複合繊維 - Google Patents

分割型ポリエステル複合繊維

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JP3262952B2 JP24522694A JP24522694A JP3262952B2 JP 3262952 B2 JP3262952 B2 JP 3262952B2 JP 24522694 A JP24522694 A JP 24522694A JP 24522694 A JP24522694 A JP 24522694A JP 3262952 B2 JP3262952 B2 JP 3262952B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一方の成分が、他方の
成分により複数個に分割された繊維断面形状を有する分
割型ポリエステル複合繊維に関するものであり、更に詳
しくは、アルカリ減量処理によって、容易にかつ効率良
く極細繊度のポリエステル繊維を得ることができ、しか
も紡糸時の工程安定性に優れた分割型ポリエステル複合
繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複合繊維から一方の成分を除去して極細
繊維を得る方法は、従来より知られている。なかでも、
ポリエチレンテレフタレート成分とアルカリ加水分解速
度がポリエチレンテレフタレートより速い変性ポリエス
テル成分とからなる分割型ポリエステル複合繊維から、
アルカリ減量により変性ポリエステル成分を分解除去す
る方法が種々提案されている。かかる方法により得られ
る極細ポリエチレンテレフタレート繊維は、高融点、高
強度、高ヤング率、良好な電気特性、耐薬品性等の優れ
た特性を有していることから、絹様織編物、スポーツ衣
料、フィルター、その他各種衣料用、工業分野への展開
が期待されている。
【0003】かかる分割型ポリエステル複合繊維として
は、変性ポリエステル成分とポリエチレンテレフタレー
ト成分とのアルカリ減量速度差が十分に大きく、アルカ
リ減量処理により、変性ポリエステル成分が効率的に分
解除去されて、ポリエチレンテレフタレートの極細繊維
が得られ、しかも紡糸時の断糸が少なく、工程安定性に
優れていることが望まれる。しかしながら、これらを満
足し得るものは、未だ見出されていないのが実情であ
る。
【0004】アルカリ易溶解性成分として、各種第3成
分を共重合したポリエステルを用いた分割型複合繊維も
多数提案されている。例えば、特開昭54−13862
0号公報には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分
を共重合したポリエステルを用いる方法が提案されてい
る。しかし、5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合
ポリエステルは、ポリマー増粘性を有しており、重合反
応の際、溶融粘度が著しく増大するため、重合度を十分
に上げることが難しく、その結果、紡糸性が低下し、紡
糸時の工程安定性が悪化する。アルカリ減量速度を高め
ようとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重
合量を多くすると、この傾向はさらに顕著となる。
【0005】また、アルカリ易溶解性成分として、ポリ
エステルと非反応性のアルカリ易溶解性成分をを配合し
たポリエステルを用いた分割型複合繊維も種々提案され
ている。例えば、特公昭47−47532号公報には、
平均分子量が10,000以上のポリオキシアルキレン
グリコールを配合したポリエステルを用いる方法が提案
されている。しかし、ポリオキシアルキレングリコール
を添加すると、熱安定性が悪くなり、紡糸時の断糸が増
加し、工程安定性が低下する。従って、十分なアルカリ
減量速度が得られる程度まで、ポリオキシアルキレング
リコールの配合量を多くすることは困難である。
【0006】更に、特開昭59−36775号公報で
は、変性ポリエステルとして、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸を共重合したポリマーにポリオキシアルキレ
ングリコールをブレンドしたポリエステルが用いられて
いる。しかし、この変性ポリエステルを用いた場合も、
紡糸時の断糸が多く、工程安定性は満足できるものでは
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解消し、アルカリ減量処理で、容易にかつ効率良くポ
リエステル極細繊維を得ることができ、しかも紡糸時の
工程安定性に優れた分割型ポリエステル複合繊維を提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するため鋭意検討した結果、アルカリ易溶解性成分
の変性ポリエステルとして、ポリオキシアルキレングリ
コールを含む5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合
ポリエチレンテレフタレートに、特定量のカルボン酸ア
ルカリ金属塩とヒンダードフェノール化合物とを添加し
たものを使用することによって、熱安定性が向上して、
紡糸時の断糸が減少し、工程安定性が向上すると共に、
アルカリ減量処理における十分なアルカリ減量速度を得
ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0009】即ち、本発明によれば、成分A及び成分B
からなり、該成分Bが、該成分Aにより複数個に分割さ
れた繊維断面形状を有する複合繊維であって、該成分A
が、スルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸を1〜5
モル%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる
変性ポリエステルであり、数平均分子量が6,000以
上のポリエチレングリコールを1〜5重量%、カルボン
酸アルカリ金属塩を変性ポリエステルの全酸成分に対し
て20〜500ミリモル%、ヒンダードフェノール化合
物を0.02〜3重量%含有しており、該成分Bが、エ
チレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする
ポリエステルであることを特徴とする分割型ポリエステ
ル複合繊維が提供される。
【0010】本発明において、成分Bとして用いるポリ
エステルは、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り
返し単位とするポリエチレンテレフタレート系ポリエス
テルであって、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性
カルボン酸成分で置き換えたポリエステルであってもよ
く、さらには、エチレングリコール成分の一部を他のジ
オール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。
特に、アルカリ難溶解性であるという点で、ポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0011】ここで使用されるテレフタル酸以外の二官
能性カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、
1,4―シクロヘキサンジカルボン酸などの芳香族、脂
肪族、脂環族の二官能性カルボン酸を挙げることができ
る。また、エチレングリコール以外のジオール化合物と
しては、例えば、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、シクロヘキサン―1,4―ジメタノ
ール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビ
スフェノールSなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジオー
ル化合物を挙げることができる。
【0012】かかるポリエステルは、任意の方法によっ
て合成することができる。例えば、ポリエチレンテレフ
タレートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエ
チレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テ
レフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキル
エステルとエチレングリコールとをエステル交換反応さ
せるか、あるいは、テレフタル酸とエチレンオキサイド
とを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエス
テル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反
応と、第1段階の反応生成物を減圧下で加熱して、所望
の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応に
よって製造される。
【0013】一方、本発明において、成分Bを複数個に
分割する成分Aは、スルホン酸金属塩基を有するイソフ
タル酸成分を1〜5モル%共重合したポリエチレンテレ
フタレートからなる変性ポリエステルであることが必要
である。
【0014】該共重合ポリエチレンテレフタレートのス
ルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分としては、
5−リチウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸等が
挙げられる。
【0015】該共重合ポリエチレンテレフタレートに
は、スルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分が1
〜5モル%、より好ましくは2〜4%共重合されている
ことが必要である。1モル%未満の場合は、十分なアル
カリ減量性が得られず、5モル%より多い場合は、溶融
粘度が上昇して、高重合度のポリマーが得られず、複合
繊維紡糸時の断糸が増加し、工程安定性が悪化する傾向
があるので不適当である。
【0016】また、この成分Aとして用いる変性ポリエ
ステルは、数平均分子量が6,000以上、好ましくは
10,000〜50,000のポリエチレングリコール
を1〜5重量%、好ましくは2〜4重量%含有している
ことが必要である。該ポリエチレングリコールの数平均
分子量が6,000未満では、十分なアルカリ減量速度
が得られない。また、該ポリエチレングリコールの含有
量が1重量%未満の場合は、十分なアルカリ減量速度が
得られず、該ポリエチレングリコールの含有量が5重量
%より多い場合は、複合繊維紡糸時の断糸が増加し、工
程安定性が悪化する傾向があるので不適当である。
【0017】更に、成分Aとして用いる変性ポリエステ
ルは、カルボン酸金属塩を変性ポリエステルの全酸成分
に対して20〜500ミリモル%、好ましくは100〜
400ミリモル%含有していることが必要である。該カ
ルボン酸金属塩の含有量が20ミリモル%未満の場合
は、ジエチレングリコール(DEG)含有量が増加し
て、複合繊維紡糸時の断糸が増加し、工程安定性が悪く
なり、500ミリモル%を越えた場合も、熱安定性が悪
化して、紡糸時の断糸が増加し、紡糸調子が悪くなる。
【0018】該カルボン酸金属塩としては、例えば、酢
酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどを挙げ
ることができる。
【0019】更に加えて、成分Aとして用いる変性ポリ
エステルは、ヒンダードフェノール化合物を0.02〜
3重量%、好ましくは0.1〜2重量%含有しているこ
とが必要である。該ヒンダードフェノール化合物の含有
量が0.02重量%未満の場合は、熱安定性が悪く、複
合繊維紡糸時の断糸が増加し、工程安定性が悪くなり、
3重量%を越えた場合も、紡糸時の断糸が増加し、工程
安定性が悪化する。
【0020】該ヒンダードフェノール化合物としては、
例えば、下記の構造単位を有する化合物を挙げることが
できる。
【0021】
【化1】
【0022】(式中、RはH、―CH3又は―C25
表し、t―Buは―C(CH33を表す。) 本発明において、成分Aとして用いる変性ポリエステル
は、任意の方法により製造することができ、例えば、ス
ルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合し
たポリエチレンテレフタレートを合成する反応中の任意
の時期に、前記ポリエチレングリコール、カルボン酸金
属塩、ヒンダードフェノール化合物を添加する方法、あ
らじめ合成したポリエチレンテレフタレートと前記ポリ
エチレングリコール、カルボン酸金属塩、ヒンダードフ
ェノール化合物とを、エクストルーダーを使用してを溶
融混合させる方法などにより製造することができる。
【0023】本発明で成分Bとして使用するポリエステ
ル及び成分Aとして使用する変性ポリエステルは、溶融
紡糸時の断糸を減少させ、工程安定性を向上させるうえ
で、共に、固有粘度(35℃のオルソクロロフェノール
中で測定)が0.45以上であることが望ましい。
【0024】なお、本発明において、成分Bとして用い
るポリエステルと成分Aとして用いる変性ポリエステル
は、二酸化チタンなどの艶消剤、着色防止剤、酸化防止
剤、アニオン系、カチオン系、非イオン系等の界面活性
剤、帯電防止剤、易染化剤、無機微粒子着色剤、難燃剤
等を含んでいてもよい。
【0025】本発明においては、成分Aと成分Bとのア
ルカリ減量速度差によって、アルカリ難溶解性成分であ
る成分Bからなる分割極細繊維を得るものであり、その
アルカリ溶解度差は、大きいほど望ましく、成分Aのア
ルカリ減量速度は、成分Bの10倍以上、好ましくは2
0倍以上であることが望ましい。従って、成分Bを構成
するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートであ
ることが好ましい。
【0026】前記変性ポリエステル成分Aとポリエステ
ル成分Bとの複合形態及び各成分の断面形状は、成分A
により成分Bが複数個に分割された形態であれば任意で
あり、そのいくつかの例を図1(a)〜(i)に示す。
【0027】図1において、Aは変性ポリエステル成分
(成分A)であり、Bはポリエステル成分(成分B)で
ある。(a)〜(c)は、成分Bが成分Aにより16に
分割されている分割型複合繊維である。(d)は、成分
Aを海、成分Bを島とした海島型の分割型複合繊維であ
り、成分Bが成分Aにより26に分割されている。
(e)、(f)は、偏平断面形状の分割型複合繊維であ
り、(g)〜(i)は、それぞれ(a)〜(c)の外周
部を成分Aで被覆したものである。
【0028】このような分割型複合繊維は、布帛とした
後、アルカリ処理することにより、成分Aが溶解し、成
分Bが分割されて極細繊維となると共に、繊維間に空間
を持たせることができるので、嵩高でソフトな風合いを
呈する布帛とすることができる。
【0029】成分Aと成分Bとからなる分割型ポリエス
テル複合繊維における両成分の複合比率は、成分Aが多
いほどアルカリ処理による分割が容易となるが、逆に多
すぎると、複合繊維の物性が低下するため、後工程での
取扱い性が悪化し、さらには、溶解除去成分が多くなる
から、コスト的にも不利となる。かかる観点から、成分
A:成分Bは、重量比で80:20〜2:98の範囲が
好ましく、60:40〜5:95の範囲がより好まし
い。
【0030】また、本発明の分割型ポリエステル複合繊
維は、成分Bからなる極細繊維構成単位を0.3デニー
ル以下とし、かつ該構成単位の数を16以上、特に24
以上とすると、効果が顕著となり好ましい。
【0031】以上説明した本発明の分割型ポリエステル
複合繊維は、従来公知の複合紡糸口金及び複合紡糸装置
を用いて、常法により製造することができる。例えば、
500〜2,500m/分の引取速度で溶融紡糸し、延
伸、熱処理する方法、1,500〜5,000m/分の
引取速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同時又は逐
次的に行う方法、5,000m/分以上の高速で溶融紡
糸し、用途によっては延伸工程をを省略する方法などを
採用することができる。また、得られた極細繊維又はそ
の極細繊維から製造された布帛を、100℃以上の温度
で熱処理して構造の安定性を向上させてもよいし、更
に、必要に応じて弛緩熱処理などを併用してもよい。
【0032】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、実施例中の部は重量部を示す。紡糸調子は、紡糸
中、断糸がほとんど発生せず、安定している場合を○、
ときどき断糸が発生するが、おおむね安定している場合
を△、断糸が多発して不安定な場合を×とした。また、
固有粘度は、35℃のオルソクロロフェノール溶液で測
定した値から求めた。
【0033】[実施例1]テレフタル酸ジメチル100
部、5―ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル3.3
7部、エチレングリコール62部、酢酸カルシウム0.
06部、酢酸ナトリウム0.11部をエステル交換反応
器に仕込み、3時間かけて140℃から220℃まで昇
温して、生成するメタノールを系外に留去しながらエス
テル交換反応させた。220℃で20分間撹拌した後、
安定剤として正リン酸0.06部を添加し、同時に過剰
エチレングリコールの昇温追い出しを開始した。10分
後、重合触媒として三酸化アンチモン0.04部を添加
した。内温が240℃に到達した時点でエチレングリコ
ールの追い出しを終了し、反応生成物を重合反応器に移
した。次いで昇温し、内温を260℃に到達させた後、
1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧
し、同時に1時間かけて内温を280℃まで昇温した。
ここで、数平均分子量20,000のポリエチレングリ
コール2部、ヒンダードフェノール化合物(住友化学工
業株式会社製、スミライザーGA―80)0.20部を
添加し、更に30分重合した時点で重合反応を打ち切
り、常法に従ってチップ化した。
【0034】得られた変性ポリエステルは、5―ナトリ
ウムスルホイソフタル酸の共重合量が2.2モル%、ポ
リエチレングリコール(数平均分子量20,000)の
含有量が2重量%、酢酸ナトリウムの含有量が変性ポリ
エステルの全酸成分に対して160ミリモル%、ヒンダ
ードフェノール化合物の含有量が0.2重量%、固有粘
度が0.50であった。
【0035】このようにして得た変性ポリエステルを成
分Aとして用い、一方、成分Bのポリエステルとして、
固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートを用
い、常法に従って複合紡糸、延伸して、図1の(C)に
示す中空環状多層貼合型複合繊維(但し、成分A、成分
Bは、それぞれ8層、複合比50/50、75デニール
/20フィラメント)を得た。紡糸時の断糸はほとんど
発生せず、紡糸調子は○であり、工程安定性は良好であ
った。
【0036】得られた複合繊維を平織物とし、温度10
0℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度35g/リット
ル)中で、アルカリ減量処理を行った。成分Bの分割に
必要なアルカリ減量率は、53%であり、成分B(ポリ
エチレンテレフタレート)をあまり分解させることなく
(すなわち減量率が低い段階で)、極細繊維に分割でき
た。
【0037】[実施例2〜11、比較例1〜5]実施例
1において、5―ナトリウムスルホイソフタル酸の共重
合量並びにポリエチレングリコールの数平均分子量及び
含有量を表1に示すように変更し、その他の条件は実施
例1と同様にして、複合繊維を作成した。
【0038】紡糸調子及び成分Bを分割するために必要
なアルカリ減量率は表1に示す通りであった。
【0039】
【表1】
【0040】表1の結果から明かなように、本発明の複
合繊維(実施例2〜11)は、紡糸調子が良好であり、
アルカリ減量が速やかに進行して、アルカリ難溶解性成
分B(ポリエチレンテレフタレート)をあまり分解させ
ることなく(すなわち減量率が低い段階で)、極細繊維
に分割できることがわかる。これに対して、成分Bの変
性ポリエステルの5―ナトリウムスルホイソフタル酸共
重合量が1重量%未満である場合(比較例1)は、十分
なアルカリ減量速度が得られず、成分Bを分割するため
に必要なアルカリ減量率が大きくなる。一方、5―ナト
リウムスルホイソフタル酸共重合量が5重量%を越える
場合(比較例2)は、複合繊維の紡糸時に断糸が発生す
るようになり、工程安定性が悪化する。また、ポリエチ
レングリコールの数平均分子量が6,000未満の場合
(比較例3)は、十分なアルカリ減量速度が得られず、
成分Bを分割するために必要なアルカリ減量率が大きく
なる。更に、ポリエチレングリコールの含有量が1重量
%未満である場合(比較例4)は、十分なアルカリ減量
速度が得られず、成分Bを分割するために必要なアルカ
リ減量率が大きくなり、5重量%を越える場合(比較例
5)は、複合繊維の紡糸時に断糸が発生するようにな
り、工程安定性が悪化する。
【0041】[実施例12〜19、比較例6〜9]実施
例1において、酢酸ナトリウム及びヒンダードフェノー
ル化合物の含有量を表2に示すように変更し、その他の
条件は実施例1と同様にして、複合繊維を作成した。
【0042】紡糸調子及び成分Bを分割するために必要
なアルカリ減量率は表2に示す通りであった。
【0043】
【表2】
【0044】表2の結果から明かなように、本発明の複
合繊維(実施例12〜19)は、紡糸調子が良好であ
り、アルカリ減量が速やかに進行して、アルカリ難溶解
性成分B(ポリエチレンテレフタレート)をあまり分解
させることなく(すなわち減量率が低い段階で)、極細
繊維に分割できることがわかる。これに対して、成分B
の変性ポリエステルの酢酸ナトリウム含有量が変性ポリ
エステルの全酸成分に対して20ミリモル%未満である
場合(比較例6)は、複合繊維紡糸時の断糸が増加し、
工程安定性が悪くなり、500ミリモル%を越えた場合
(比較例7)も、熱安定性が悪化して、紡糸時の断糸が
増加し、紡糸調子が悪くなる。また、ヒンダードフェノ
ール化合物の含有量が0.02重量%未満である場合
(比較例8)は、熱安定性が悪く、複合繊維紡糸時の断
糸が増加し、工程安定性が悪くなり、3重量%を越えた
場合(比較例9)も、紡糸時の断糸が増加し、紡糸調子
が悪化する。
【0045】[実施例20]実施例1において、成分B
のポリエチレンテレフタレートに代えて、3モル%のイ
ソフタル酸を共重合させたポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.64)を用い、成分Aの酢酸ナトリウム
に代えて、酢酸カリウムを用いた以外は、実施例1と同
様にして複合繊維を作成した。
【0046】紡糸時の断糸はほとんど発生せず、紡糸工
程安定性は良好であり、成分Bを分割するために必要な
アルカリ減量率は54%であり、アルカリ減量処理によ
る複合繊維の分割性も良好で、成分Bの極細繊維を容易
に得ることができた。
【0047】[実施例21]実施例1において、海島型
複合繊維紡糸装置を使用し、成分Aを海成分、成分Bを
島成分として、それ以外の条件は実施例1と同様にし
て、図1の(d)に示す海島型複合繊維(成分A/成分
Bの複合比=50/50、75デニール/20フィラメ
ント)を得た。
【0048】紡糸時の断糸はほとんど発生せず、紡糸工
程安定性は良好であり、成分Bを分割するために必要な
アルカリ減量率は54%であり、アルカリ減量処理によ
る複合繊維の分割性も良好で、成分Bの極細繊維を容易
に得ることができた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、断糸を伴うことなく、
良好な紡糸工程安定性の下で、分割型ポリエステル複合
繊維を紡糸することができ、得られた複合繊維は、アル
カリ減量処理により分割することができ、容易にかつ効
率良く極細繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分割型ポリエステル複合繊維の例を示
す拡大横断面図である。
【符号の説明】
A 成分A B 成分B
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−36775(JP,A) 特開 平6−240536(JP,A) 特開 平6−184825(JP,A) 特開 昭62−78213(JP,A) 特開 平6−2221(JP,A) 特開 平5−331758(JP,A) 特開 平6−123066(JP,A) 特開 平4−153320(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/14 D06M 11/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分A及び成分Bからなり、該成分B
    が、該成分Aにより複数個に分割された繊維断面形状を
    有する複合繊維であって、該成分Aが、スルホン酸金属
    塩基を有するイソフタル酸を1〜5モル%共重合したポ
    リエチレンテレフタレートからなる変性ポリエステルで
    あり、数平均分子量が6,000以上のポリエチレング
    リコールを1〜5重量%、カルボン酸アルカリ金属塩を
    変性ポリエステルの全酸成分に対して20〜500ミリ
    モル%、ヒンダードフェノール化合物を0.02〜3重
    量%含有しており、該成分Bが、エチレンテレフタレー
    ト単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルである
    ことを特徴とする分割型ポリエステル複合繊維。
  2. 【請求項2】 成分Aの変性ポリエステルの固有粘度及
    び成分Bのポリエステルの固有粘度が、共に0.45以
    上である請求項1記載の分割型ポリエステル複合繊維。
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