JP3261454B2 - ケテンイミン化合物の製造方法 - Google Patents

ケテンイミン化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ケテンイミン化合
物の製造方法に関するものである。さらに詳細にはハロ
イミニウム塩を用いて,温和な条件でチオアミド化合物
からケテンイミン化合物を製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ケテンイミン化合物は,アミン類やアル
コール類等の求核試薬と容易に反応して,アミジン類
(J. Org. Chem., 30, 3718 (1965))やイミドイルエス
テル類(J. Am. Chem. Soc., 75, 657 (1953))等の化
合物に容易に変換できるため,有機合成における重要な
中間体である。また,ケテンイミン化合物は環状付加反
応を経由した複素環構築(たとえばAngew. Chem., 83,
171 (1971))における構成単位として利用されるため,
医薬品や農薬等の重要な合成中間体でもある。さらに,
ケテンイミン化合物はペプチド類を製造する際の縮合剤
として用いられる(J. Am. Chem. Soc., 80, 4069 (195
8))など産業上重要な化合物である。一方,従来一般的
に使用されているケテンイミン化合物の製造方法として
は,アミド類から五塩化リンによる脱水により合成する
方法(J. Org. Chem., 29, 34 (1964)),イミノクロラ
イド類の脱塩化水素による合成する方法(J. Am. Chem.
Soc., 76, 4398 (1958)),α-ハロアミド類から合成
する方法(J. Am. Chem. Soc., 75, 657 (1953)),ケ
テン類とリンイミン類の縮合による方法(J. Org. Che
m., 39, 3780 (1974)),チオアミド類から水銀塩を用
いて脱硫化水素により合成する方法(Bull. Chem. Soc.
Jpn., 43, 1874 (1970))等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来使
用されてきたケテンイミン化合物の製造方法には種々の
問題点が残されていた。すなわち,アミド類から五塩化
リンによる脱水により合成する方法は,反応に高い温度
を必要とする上,反応後,副生してくるリン化合物を除
去しなければならない。イミノクロライド類の脱塩化水
素による合成方法においては,イミノクロライドを製造
するための過程で生ずるオキシ塩化リンを取り除かなけ
ればならない。ハロアミド類からの合成方法は,鉄等の
金属に対して腐食性を有する臭素を用いるため,取扱い
には十分な注意が必要である。リンイミン類を用いる方
法は,不安定なケテン類を合成しなければならず,しか
も反応終了後にトリフェニルホスフィンオキシドが大量
に副生し,反応後これを分離しなければならない。水銀
塩を用いる方法は,重金属による環境汚染の問題があ
る。したがって,本発明の目的は,上記のような欠点が
無く,しかも煩雑な操作や特殊な条件を必要とせず,工
業的に有利にケテンイミン化合物を製造する方法を提供
することを目的になされたものである。
【0004】
【問題を解決するための手段】しかる実状において,本
発明者らはケテンイミン化合物の製造法について鋭意研
究を重ねた結果,チオアミド化合物に脱硫化水素剤とし
てハロイミニウム塩を反応させれば,穏やかな条件下で
しかも高収率でケテンイミン化合物が得られることを見
いだし,この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0005】すなわち本発明は,下記一般式(1)
【化4】 (式中R,Rは水素原子、アルキル基またはアリー
ル基を,Rはアルキル基またはアリール基を示す。た
だし、R,R ,Rがすべてアリール基の場合を
除く。)で表されるケテンイミン化合物を製造する方法
において、下記一般式(2)
【化5】 (式中のR〜Rは前記と同じ意味を持つ)で示され
るチオアミド化合物に下記一般式(3)
【化6】 (式中RおよびRは低級アルキル基を,Xはハロゲ
ン原子を,Yは対アニオンを,nは0または1を示す)
で表されるハロイミニウム塩を反応させることを特徴と
するケテンイミン化合物の製造方法を提供するものであ
る。
【0006】
【発明実施の形態】本発明の製造目的化合物であるケテ
ンイミン化合物を示す前記一般式(1)および,その出
発原料であるチオアミド化合物を示す前記一般式(2)
において,R,Rは水素原子、アルキル基またはア
リール基を,Rはアルキル基またはアリール基を示す
が,アルキル基としては、メチル基,エチル基,プロピ
ル基,イソプロピル基,ベンジル基等が挙げられ、アリ
ール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、
ナフチル基、ブフェニル基等が挙げられる。これらのア
リール基はハロゲン原子,アルコキシ基,ニトロ基,ジ
アルキルアミノ基,アシル基,アルコキシカルボニル基
等の置換基を有していてもよい。
【0007】本発明において,脱硫化水素剤として使用
される一般式(3)
【化7】 (式中RおよびRは低級アルキル基を,Xはハロゲ
ン原子を,Yは対アニオンを,nは0または1を示す)
で示されるハロイミニウム塩において,RおよびR
で示される低級アルキル基としては,メチル基,エチル
基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソ
ブチル基等が挙げられる。また,Xで示されるハロゲン
原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ
素原子が挙げられるが,その中でも塩素原子が特に望ま
しい。また,Yで示される対アニオンとしては,Cl
,Br,I,BF ,FSO 等が挙げられ
るが,その中でもClあるいはBF が特に望まし
い。また,ハロイミニウム塩(3)の好ましい具体例と
しては,塩化2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウ
ム,塩化2-クロロ-1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ
ピリミジニウム等を挙げることができる。
【0008】本発明における脱硫化水素反応を実施する
には,塩基の存在が必要であるが,この場合の塩基とし
ては,トリエチルアミン,トリプロピルアミン,トリブ
チルアミン,ジメチルアニリン,ピリジン,ピコリン等
の第三級アミン類が挙げられる。
【0009】前記脱硫化水素反応は,好ましくは反応溶
媒の存在下で実施されるが,この場合の反応溶媒は,ハ
ロゲン化炭化水素,炭化水素,エーテル類,芳香族炭化
水素,アセトニトリル等の反応に関与しない溶媒が挙げ
られる。また,これらの溶媒は単独で用いてもよいし,
2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】前記脱硫化水素の方法における反応温度
は,-80度〜20度付近の温度で行うことができる
が,あまり高すぎると分解反応や副反応が多くなるの
で,−30度〜0度の範囲で実施するのが好ましい。反
応時間は反応温度に左右され,一概に定めることはでき
ないが,通常は30分〜5時間で十分である。
【0011】本発明の脱硫化水素反応を具体化した次の
実施例により、化学式(イ)〜(ホ)で示されるケテン
イミン化合物を製造することができた。
【化8】
【0012】本発明方法によって得られるケテンイミン
類化合物は不安定で,単離精製が困難である場合が多
い。しかし不純物として一般式(4)
【化9】 (式中RおよびRは低級アルキル基を,nは0また
は1を示す)で示される環状尿素化合物と一般式(5)
【化10】 (式中RおよびRは低級アルキル基を,nは0また
は1を示す)で示される環状チオ尿素化合物を少量含む
だけであり,これらの化合物は通常の反応においては不
活性であるので,ケテンイミン化合物を用いた反応にお
いては,ケテンイミン化合物を精製せずにそのまま原料
として使用することができる。
【0013】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明するが,本発明の実施例は本反応の理解を容易にする
ために代表的な例を挙げた物であり,本発明はこれだけ
に限定されるものではない。また,実施例により製造さ
れた化合物(イ)〜(ホ)の物性値をそれぞれ示した。
【0014】実施例1 塩化メチレン10ml中にフェニル酢酸チオアニリド1
mmolを溶解させ,氷浴中で塩化メチレン5mlに塩
化2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウム1.5mm
olを溶かした溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了
後,トリエチルアミン4mmolを加え,氷浴中で3時
間攪拌した。減圧下溶媒を留去し,ヘキサンを加え−1
0度に冷却して固体を濾別した。減圧下ヘキサンを留去
して前記化合物(イ)のケテンイミンを収率94%で得
た。このもののH-NMRスペクトルおよびIRスペクトル
は下記のとおりである。ここで製造した化合物(イ)は
単離・精製ができるほど安定な化合物ではないので,収
率はNMRにより求めた。 H-NMR (δ, CDCl) 5.26 (s, 1H), 7.09-7.39 (m, 1
0H). IR (νmax, KBr) 2016 cm−1
【0015】実施例2 実施例1において,フェニル酢酸チオアニリドの代わり
にフェニル酢酸チオp-トルイドを用いて,前記化合物
(ロ)のケテンイミンを収率87%で得た。このものの
H-NMRスペクトルおよびIRスペクトルは下記のとおり
である。ここで製造した化合物(ロ)は単離・精製がで
きるほど安定な化合物ではないので,収率はNMRによ
り求めた。 H-NMR (δ, CDCl) 2.36 (s, 3H), 5.23 (s, 1H),
7.07-7.29 (m, 9H). IR (νmax, KBr) 2004 cm−1
【0016】実施例3 実施例1において,フェニル酢酸チオアニリドの代わり
にフェニル酢酸チオ(p-メトキシ)アニリドを用いて,前
記化合物(ハ)のケテンイミンを収率78%で得た。こ
のもののH-NMRスペクトルおよびIRスペクトルは下記
のとおりである。ここで製造した化合物(ハ)は単離・
精製ができるほど安定な化合物ではないので,収率はN
MRにより求めた。 H-NMR (δ, CDCl) 3.82 (s, 3H), 5.22 (s, 1H),
6.87 (d, 2H, J=9.1Hz), 7.10-7.18 (m, 3H), 7.24-7.3
2 (m, 4H). IR (νmax, KBr) 2004 cm−1
【0017】実施例4 実施例1において,フェニル酢酸チオアニリドの代わり
にN-ベンジルジフェニル酢酸チオアミドを用いて,前記
化合物(ニ)のケテンイミンを収率86%で得た。この
もののH-NMRスペクトルおよびIRスペクトルは下記の
とおりである。ここで製造した化合物(ニ)は単離・精
製ができるほど安定な化合物ではないので,収率はNM
Rにより求めた。 H-NMR (δ, CDCl) 4.77 (s, 2H), 7.14-7.35 (m, 1
5H). IR (νmax, KBr) 2012 cm−1
【0018】実施例5 実施例1において,フェニル酢酸チオアニリドの代わり
にN-ベンジルフェニル酢酸チオアミドを用いて,前記化
合物(ホ)のケテンイミンを,N-ベンジルフェニルケテ
ンイミンを収率82%で得た。このもののH-NMRスペ
クトルおよびIRスペクトルは下記のとおりである。ここ
で製造した化合物(ホ)は単離・精製ができるほど安定
な化合物ではないので,収率はNMRにより求めた。 H-NMR (δ, CDCl) 4.17 (d, 2H, J=2.2 Hz), 4.82
(t, 1H, J=2.2 Hz), 7.02-7.07 (m, 2H), 7.19-7.36
(m, 8H). IR (νmax,KBr) 2022 cm−1
【0019】
【発明の効果】本発明の製造法によれば,穏やかな条件
でチオアミド類からケテンイミン類を工業的に効率よく
製造することができる。しかも,重金属を用いないため
に,環境汚染の問題が無いという利点を持っている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許3038380(JP,B1) CA,133:58565 CA,88:169697 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 249/02 C07C 251/10 C07C 251/16 CASREACT(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 (式中R,Rは水素原子、アルキル基またはアリー
    ル基を,Rはアルキル基またはアリール基を示す。た
    だし、R,R ,Rがすべてアリール基の場合を
    除く。)で表されるケテンイミン化合物を製造する方法
    において,下記一般式(2) 【化2】 (式中のR〜Rは前記と同じ意味を持つ)で表され
    るチオアミド化合物を,下記一般式(3) 【化3】 (式中RおよびRは低級アルキル基を,Xはハロゲ
    ン原子を,Yは対アニオンを,nは0または1を示す)
    で表されるハロイミニウム塩により脱硫化水素反応をさ
    せることを特徴とするケテンイミン化合物の製造方法。
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