JP3258470B2 - 積層金属シートの接合方法及びその接合工具セット - Google Patents

積層金属シートの接合方法及びその接合工具セット

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、積層した金属シートを
部分的な塑性変形により接合して、互いに結合された接
続部を形成する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】この種の方法の典型的なものは、米国特
許第４，６０１，０９０号、特にその図８，９及び図１
１ないし１５に開示されている。ここでは、適宜なダイ
によって所定量の金属シート材料が、金属シート表面に
対してほぼ直角な方向に変位される。そして、これによ
って発生する突き出した部分は押しつぶされて、金属材
料の側方への冷間流れを引き起こし、これによって互い
に結合された接続部が形成される。こうして形成された
接続部は、形成後も金属シート表面よりも盛り上がった
まま突き出している。このような突出は、しばしば機能
上も美観上も欠点と考えられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】このため、このような
接続部を平坦にする試みが、欧州特許出願第２８２９０
２号に開示されているように、なされている。この欧州
特許出願では、この種の接合技術に適したいくつかの工
具が開示されている。
【０００４】本発明は、上述した方法と基本的特徴を同
一にし、かつ金属シートの結合部分が、金属シートの外
面にはみ出ないように、接続部の外観を向上させること
が可能な方法を提供することを目的とする。
【０００５】本発明の他の目的は、本発明の方法の実施
に適した工具セットを提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明に係る方法は、積
層した複数枚の金属シートを準備するステップと、部分
的な塑性変形により、前記金属シートの少なくとも一方
に、内壁から離間していて該内壁の表面全体を包囲する
外壁を有し且つ相互係合結合を形成すべき領域を限定す
る中空空間を製作するステップと、前記領域内の金属シ
ートを前記外壁に向けて流動せしめて前記金属シートの
相互係合結合を形成するため前記金属シートを塑性変形
させるステップとを含んでいる。
【０００７】また、本発明に係る工具セットは、積層し
た複数枚の金属シートの上表面に隣接するように配置さ
れた上方の挾持部と、環状の横断面を有し前記上方の外
表面から前記複数枚の金属シート内へ突入するように配
置され引っ込められたとき前記金属シート内に環状の自
由空間を残す上方のパンチ部とを有する第１のダイと、
前記上表面に対向する前記複数枚の金属シートの下表面
に隣接するように配置された下方の挾持部と、前記下表
面から前記金属シート内へ突入せしめられ且つ前記環状
の中空空間によって限定された領域内にあって、前記金
属シートを前記上方の挾持部に押し付けて前記領域内の
金属シートを前記中空空間内の外方へ流動せしめるよう
にする下方のパンチ部とを備えている。
【０００８】
【作用】本発明に係る方法によれば、まず、金属シート
の少なくとも一枚に、部分的な塑性変形によって中空空
間を形成する。この中空空間は、好ましくは円形の溝状
である。次に、互いに結合された接続部が、シートの中
空空間内部への塑性変形によって形成される。ここで、
中空空間が上記のような溝状である場合、中空空間によ
って円形に囲まれた部分が押しつぶされて、中空空間を
埋めるように冷間流れを起こす。
【０００９】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図面は、実物を忠実に反映する
ように、本発明の技術によって接合された二枚の金属シ
ート１０，１２の接続部の断面を詳細に示している。全
ての図面は接続部の断面図であって、工具セットは、図
１及び図２にのみ概略的に示されている。
【００１０】図１は、本発明の第１の実施例の第１の過
程を示す。本発明の工具セットは、挟持部２０とこの内
部を上下動するパンチ部２２とを有する上方のダイ１６
と、挟持部２４とこの内部を上下動するパンチ部２６と
を有する下方のダイ１８とを具備する。まず、二枚の金
属シート１０，１２が、上方のダイ１６の上方の挟持部
２０と、下方のダイ１８の下方の挟持部２４との間に挟
持される。それから、管状の上方のパンチ部２２が、図
示しない手段によって金属シート１０に向けて押圧さ
れ、金属シート１０中に突入する。そして上方のパンチ
部２２が引き出される時、内壁２８ａと該内壁から離間
して該内壁の表面全体を包囲する外壁２８ｂとを有する
円形のリング状の凹部である中空空間２８が金属シート
１０に形成される。この変形は、図示のように金属シー
ト１０の中空空間２８の周囲の部分の膨張の原因にな
る。この段階では、金属シート１０，１２には、切断も
結合も発生していない。
【００１１】金属シート１０，１２の間の結合は、図２
に示す第２の段階で行われる。ここでは、第１の段階で
下方の挟持部２４と面一だった下方のパンチ部２６が、
金属シート１２に向けて移動されて、これに突入する。
この円柱状の下方のパンチ部２６は、管状の上方のパン
チ部２２の内径よりも僅かに小さい直径を有する。この
第２の段階では、上方の挟持部２０と上方のパンチ部２
２の先端部は、対向する上方の金属シート１０に面一で
ある。下方の挟持部２４は、僅かに押し下げられて、金
属シート１２が膨張するための経路を設けている。金属
シート１０の中空空間２８は押しつぶされ、この金属部
分即ち内壁２８ａの部分とこれに隣接した金属シート１
２の部分は外壁２８ｂに向けて側方に流れて、これが金
属シート１０，１２を相互係合結合する接続部を形成す
る。そして両方のダイ１６，１８が退避された後に、こ
の接続部が金属シート１０の上表面と面一になる。
【００１２】図３及び図４に示す第２の実施例では、ま
ず図１と同様に第１の段階で中空空間２８を形成する
（図３）。そして図４に示すように第２の段階で、下方
の挟持部２４を静止保持し、その間に、上方のパンチ部
２２と、上方の挟持部２０の上方のパンチ部２２で囲ま
れた部分が共に、僅かに押し上げられる。これによっ
て、接続部が一旦形成されると、凹部３２が、金属シー
ト１２の凹部３２の周囲の部分と面一になると共に、二
枚の金属シート１０，１２の相互係合結合に供される突
出部が金属シート１０側に形成される。
【００１３】図５ないし図７に示す第３の実施例は、三
つの過程を含んでいる。すなわち図５に示す第１の過程
では、碗状の凹部が形成されて、これが中空空間２８に
なるべき部分の外側の境界となる。図６に示す第２の過
程では、碗状の凹部の底部の中央部３４が、下方のパン
チ部２６（図示せず）によって、再度上方に移動され
る。この移動は、中央部３４の上にある金属シート１０
の部分が、上方の挟持部２０（図示せず）に当接するま
で行われ、これによって、中空空間２８の内側の境界が
形成される。そして、下方のパンチ部２６は、さらに入
り込み、これによって金属シート１０，１２が押しつぶ
されて、図７に示される結合部が形成される。このよう
にして、非常に平坦な突出部が接続部の両方の面に残る
だけになる。
【００１４】なお、上述の実施例において、二枚の金属
シート１０，１２が接合されているが、本発明の方法
は、二枚の金属シートの接合にのみ限定されるのではな
い。また、金属シート１０，１２は同一の厚さを有する
ように示されているが、これもまた限定されるものでは
ない。さらに、形成しようとする接続部は平面視して円
形であるので、可動な工具面もまた円形断面を有してい
るが、他の形状の接続部を製造することもできる。また
中空空間２８も例えば円形のような閉ル─プ状である必
要はなく、例えば二つの短い平行な溝状であるように、
複数別個に形成してもよい。また中空空間の形状とし
て、矩形にすることも可能である。
【００１５】上述の全ての実施例において、金属シート
１０，１２の接合に供される突出部は、金属シート１
０，１２の表面から極めて僅かな高さだけしか突出しな
い。また、全ての実施例において、接合動作そのものは
二枚の金属シート１０，１２の外面からはみ出さない空
間内で行われる。従って、金属シートの接続部の外観を
向上させることが可能である
【００１６】また、図１及び図２に示される工具セット
は、上方のダイ１６と下方のダイ１８とを具備するが、
これらの図では、単に明瞭化のため、二つのダイ１６，
１８のみが示されているのであって、同様の上下動する
工具セットを、他のどの位置に設けてもよい。さらに、
接続部は単一のワークステーションで形成されるが、こ
れも限定されるものではなく、二つの連続したワークス
テーションを設け、各ワークステーションで、本発明の
接合方法の各過程を実行することも可能である。以上の
ことは、上述の全ての実施例について適用可能なことで
ある。
【００１７】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によれば、金属シートの接合に供される突出部が金属
シートの表面から極めて僅かな高さだけしか突出しな
い。また、接合動作そのものは金属シートの外面からは
み出さない空間内で行われる。従って、金属シートの接
続部の外観のみならず結合強度を向上させることが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明方法の第１実施例における第１の段階を
示す図である。
【図２】図１に示す第１実施例の第２の段階を示す図で
ある。
【図３】本発明方法の第２実施例における第１の段階を
示す図である。
【図４】図３に示す第２実施例の第２の段階を示す図で
ある。
【図５】本発明の第３実施例における第１の段階を示す
図である。
【図６】図５に示す第３実施例の第２の段階を示す図で
ある。
【図７】図５に示す第３実施例の第３の段階を示す図で
ある。
【符号の説明】
１０，１２ 金属シート １６ 上方のダイ １８ 下方のダイ ２０ 上方の挟持部 ２２ 上方のパンチ部 ２４ 下方の挟持部 ２６ 下方のパンチ部 ２８ 中空空間 ３２ 凹部 ３４ 中央部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−256231（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B21D 39/03

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 積層した複数枚の金属シートを準備する
    ステップと、 部分的な塑性変形により、前記金属シートの少なくとも
    一方に、内壁から離間していて該内壁の表面全体を包囲
    する外壁を有し且つ相互係合結合を形成すべき領域を限
    定する中空空間を製作するステップと、 前記領域内の金属シートを前記外壁に向けて流動せしめ
    て前記金属シートの相互係合結合を形成するため前記金
    属シートを塑性変形させるステップと、 を含む積層金属シートの接合方法。
  2. 【請求項２】 前記中空空間は溝状に形成される請求項
    １に記載の方法。
  3. 【請求項３】 前記中空空間は閉じたループ状に形成さ
    れる請求項１に記載の方法。
  4. 【請求項４】 前記中空空間は複数別個に形成される請
    求項１又は２に記載の方法。
  5. 【請求項５】 前記金属シートの一つは外側のシート表
    面を画成し、前記相互係合結合は前記外側シート表面と
    共に流動して形成される請求項１に記載の方法。
  6. 【請求項６】 前記金属シートは、上部シート表面と下
    部シート表面を画成し、前記相互係合結合は実質上、前
    記上部シート表面及び下部シート表面と共に流動して形
    成される請求項１に記載の方法。
  7. 【請求項７】 前記中空空間は環状をなしている請求項
    １に記載の方法。
  8. 【請求項８】 積層した複数枚の金属シートの上方の外
    表面に隣接するように配置された上方の挾持部と、環状
    の横断面を有し前記上方の外表面から前記複数の金属シ
    ート内へ突入するように配置され引っ込められたとき前
    記金属シート内に環状の自由空間を残す上方のパンチ部
    とを有する第１のダイと、 前記上方の外表面に対向する前記複数枚の金属シートの
    下方の外表面に隣接するように配置された下方の挾持部
    と、前記下方の外表面から前記金属シート内へ突入せし
    められ且つ前記環状の自由空間によって限定された領域
    内にあって、前記金属シートを前記上方の挾持部に押し
    付けて前記領域内の金属シートを前記環状の自由空間内
    の外方へ流動せしめるようにする下方のパンチ部と、 を備えた、相互係合結合が形成されるように部分的な塑
    性変形により積層された複数枚の金属シートを接合する
    ための工具セット。
  9. 【請求項９】 前記下方のパンチ部は、前記上方のパン
    チ部の環状の横断面の内径よりも小さい直径を有する円
    柱状をなしている請求項８に記載の工具セット。
JP29357993A 1992-12-05 1993-11-24 積層金属シートの接合方法及びその接合工具セット Expired - Fee Related JP3258470B2 (ja)

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