JP3258245B2 - 硬貨識別装置 - Google Patents

硬貨識別装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動販売機等にお
いて硬貨の種類を識別するのに用いられる硬貨識別装置
に関し、詳しくは磁気インピーダンス素子を用い、従来
のように硬貨の材質,厚さ,径を判別する他に硬貨の絵
柄の凹凸をも判別できるようにした硬貨識別装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の硬貨識別装置では、いわゆる渦電
流磁気センサーにより硬貨の識別を行なっている。渦電
流磁気センサーでは、コイルに発振回路を接続し、交流
電流を流して交流磁界を発生させ、この交流磁界を硬貨
に印加する。すると電磁誘導により硬貨に渦電流が発生
し、磁界変化をもたらす。その結果、コイルのインピー
ダンスが変わるので、発振回路の振幅または周波数が変
化し、磁界変化を検出することができる。そして、この
検出出力から硬貨の材質,厚さ,径のデータを得て硬貨
の種類を判別している。なお、コイルの形態は、空芯コ
イル、あるいはフェライト材等の磁性体コアを芯に持つ
コイルであり、硬貨の通路の片側または両側に配置して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】硬貨識別装置は、主に
切符、清涼飲料水やたばこ等の自動販売機に使用されて
いるが、近年外国の硬貨が誤認識されるケースが増えて
きている。従来は上述のように渦電流磁気センサーの検
出出力から得た硬貨の材質,厚さ,径のデータより硬貨
の種類を判別しているが、他国硬貨の中には材質,外形
寸法が我国の硬貨と酷似する硬貨が有り、その硬貨は誤
認識され硬貨識別装置を通ってしまう。従って、従来の
硬貨識別の方法に新たな識別方法を追加し、類似硬貨を
識別する必要が生じている。
【0004】そこで、新しい識別方法のアイデアとし
て、硬貨の表面、裏面に刻まれた絵柄の凹凸の有無また
は大小判別がある。しかし、上述した従来の渦電流磁気
センサーで硬貨の凹凸や縁段差を識別するためには、硬
貨に印加する磁界のスポット径を数ミリ程度に小さくす
る必要があるが、印加磁界の範囲を狭くすると渦電流の
発生する領域も狭くなり、それにより発生する磁界変化
が小さくなることで、検出出力のS/Nが十分得られな
くなる。
【0005】そのS/Nを十分得るためには、磁界を検
出する感度の高い磁気検出素子を採用する必要が生ず
る。そこで、特開平7−181239号に記載されてい
る磁気インピーダンス素子が適している。磁気インピー
ダンス素子は、アモルファスワイヤーや磁性膜等の磁性
材にMHz帯の高周波電流を印加すると外部磁界に対し
て磁性体両端のインピーダンスが数10%変化する磁気
インピーダンス効果を利用したもので、極めて高い磁界
検出能力を有している。また、この素子は、フラックス
ゲートセンサーと比較し、反磁界が少ないため数ミリ程
度の長さにでき、さらに帯磁による状態変化が無い等の
優れた特性を持っている。
【0006】そこで本発明の課題は、磁気インピーダン
ス素子を用いた硬貨識別装置であって、硬貨の材質,厚
さ,径を判別可能であるのみならず、凹凸をも検知して
硬貨の識別を正確に行なえる硬貨識別装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め本発明によれば、硬貨に交流磁界を印加し、硬貨で発
生する渦電流による磁界変化を検出し、この検出結果に
基づいて硬貨の識別を行う硬貨識別装置であって、硬貨
の移動する通路に沿って所定間隔で並び、中心軸が前記
通路を移動する硬貨の表面と裏面に垂直な方向に沿うよ
うに配置された2つのコイルと、それぞれ前記2つのコ
イル内で該コイルの中心軸に沿うように配置された2つ
の磁気インピーダンス素子とからなるセンサー部を有
し、前記2つのコイルに交流電流を流して硬貨に交流磁
界を印加し、硬貨で発生する渦電流による磁界変化を前
記2つの磁気インピーダンス素子で検出し、該2つの磁
気インピーダンス素子の出力を差動増幅することによ
り、硬貨の識別信号を得る構成を採用した。
【0008】このような構成によれば、高感度の磁気イ
ンピーダンス素子を硬貨の表面と裏面に垂直な方向に沿
うコイルの中心軸に沿うように配置することにより、渦
電流による磁界変化を高感度に検出できる。また、差動
増幅を行うことにより、外部のノイズとなる磁界をキャ
ンセルし、渦電流による磁界のみを良好なS/Nで検出
できる。このため、コイル径を小さくして硬貨に対する
印加磁界のスポット径を小さくできる。
【0009】そして、差動増幅により得られる識別信号
は、正負の大きなピークを持った波形となり、そのピー
ク・ツー・ピーク出力が硬貨の材質に、ピーク位置が硬
貨のエッジに、正負のピーク間のうねりが硬貨の凹凸に
対応し、この識別信号から硬貨の材質,径のみならず凹
凸を判別できる。
【0010】また、凹凸の定量化のためには、上記差動
増幅で得た識別信号を微分し、さらに所定電圧でコンパ
レートすることにより、パルス出力に変換する。このパ
ルス出力のパルス数またはパルス幅ないしはパルスの位
置により硬貨の凹凸に関わる情報を得て硬貨の識別に用
いることができる。
【0011】さらに、上記センサー部を硬貨の移動する
通路を挟んで2つ配置し、硬貨の移動方向における2つ
のセンサー部の位置を所定距離ずらすことにより、硬貨
の1パスで硬貨の表裏両面のデータが得られ、さらに厚
さの情報が得られるとともに、硬貨の径の情報がより正
確に得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態を説明する。
【0013】[第1の実施形態]本発明の第1の実施形
態を図1〜図7により説明する。先ず図1は、第1の実
施形態の硬貨識別装置のセンサー部を説明するものであ
り、図1(a)は硬貨の通路の上方から、図1(b)は
硬貨の通路の側方から見たセンサー部の素子と硬貨の位
置関係と、センサー部の構成を示す。
【0014】10は硬貨であり、真っ直ぐな通路11の
斜面12上を転がり矢印方向に移動する。硬貨10の移
動手段は本実施形態では斜面上の落下であるが、水平方
向のベルト搬送や鉛直方向の落下でも構わない。
【0015】14A,14Bは硬貨に渦電流を発生させ
るための交流磁界印加用のコイルであり、円筒状または
角筒状に形成され、硬貨の通路11の片側で、通路11
に対し距離dを置き、通路11に沿って所定の間隔S
(中心軸どうしの間隔)で並び、それぞれの中心軸が通
路11の壁面に対し垂直な方向、すなわち通路11を移
動する硬貨10の表面と裏面に垂直な方向に沿うように
配置されている。コイル14A,14Bの直径と間隔
S,通路11との距離d等の最適値については、後で述
ベる。なお、コイル14A,14Bの斜面12からの高
さH(コイルの中心軸の高さ)は、扱う硬貨の中で最も
識別対象とすべき硬貨(例えばその中で最も高価な硬
貨)の径の半分に合わせるのが良い。
【0016】コイル14A,14B内には、渦電流によ
る磁界変化を検出する磁気検出素子として磁気インピー
ダンス素子(以下、MI素子と称する)16A,16B
がコイル14A,14Bの中心軸に沿うように保持され
ている。中心軸に沿うようにMI素子14A,14Bを
配置する理由は、硬貨10の渦電流による磁界変化が印
加磁界の中心軸方向で最も大きくなるからである。
【0017】MI素子16A,16Bは、アモルファス
のワイヤー、またはガラスやセラミック等の非磁性基板
上に成膜されパターン化されたアモルファスや微結晶膜
等の高透磁率磁性膜により構成されるが、ここでは図1
(c)に示すような非磁性基板18上につづら折りパタ
ーンに形成された高透磁率磁性膜としての形態を採用し
ている。
【0018】次に、図2は、MI素子16A,16Bを
駆動して同素子による磁界変化の検出出力から硬貨を識
別するための識別信号の出力を得るための回路の構成を
示している。
【0019】MI素子はMHz帯の高周波電流を印加す
ることにより外部磁界の変化に応じてインピーダンスが
変化するので、図2の構成で、高周波発振回路19から
高周波電流がバッファー20A,20B、DC分除去用
のコンデンサ、及び出力インピーダンス調整及び差動入
力のバランス調整のための抵抗を介してMI素子16
A,16Bに印加される。MI素子16A,16Bの他
端側は接地されている。硬貨に発生する渦電流による磁
界変化に応じてMI素子16A,16Bのインピーダン
スが変化し、それぞれの両端電圧が変化する。その信号
のそれぞれが2組の検波回路22により検波されて磁気
検出信号として取り出され、さらにそれぞれが差動増幅
回路24に入力されて差動増幅されることにより、第1
の識別信号としての差動出力Aが得られる。
【0020】MI素子は素子長手方向に強い検知感度を
持つため、差動検出により外部からのノイズとなる磁界
をキャンセルし、渦電流による磁界のみを良好なS/N
で検出できる。差動出力Aからは、後述のように硬貨の
材質の情報が得られる。
【0021】また、図2の構成で、差動出力Aは微分回
路26により微分され、さらにコンパレータ28によっ
てゼロクロス付近の所定電圧でコンパレートされること
により、第2の識別信号としてのパルス出力Bが得られ
る。このパルス出力Bから後述のように硬貨の径と凹凸
の情報が得られる。
【0022】次に、上記構成の基本動作と各要素の最適
条件について説明する。
【0023】先ずコイル14A,14Bに数10KHz
から数100KHzの所定周波数の交流電流を流して交
流磁界を発生させるとともに、図2の回路を上述のよう
に駆動し、図1(a),(b)のように硬貨10を通路
11の斜面12上で移動させる。すると、図3(a)の
様な正負極に大きなピークを持つ差動出力Aが得られ
る。コイル14AとMI素子16Aに硬貨10が掛かり
始めると硬貨10の渦電流による磁界変化が発生し、M
I素子16Aのインピーダンスが変化し、MI素子16
Bと相対的にインピーダンスに差が現れることで差動出
力が大きくなる。まさに図1(b)に示す硬貨10が実
線の位置にある状態で、出力Aが図3(a)の正極ピー
クP1となり、また同様に硬貨10が点線の位置にある
状態で負極ピークP2となる。
【0024】また、穴のある硬貨では、図3(a’)の
様にピークP1,P2の間にもう一対明確なピークPH
1とPH2ができ、穴の検知も容易に行なえる。
【0025】コイル14A,14B及びMI素子16
A,16Bを硬貨の移動方向に沿って並べたことによ
り、硬貨の1パス(1回の通過)で2回の渦電流計測を
行うことができ、ピーク・ツー・ピーク出力Vpを捉え
れば、その2回の計測の和の出力が自動的に得られ、測
定誤差の低減が図れる。
【0026】作動出力AのピークP1,P2の状態で
は、図1(b)に示す様に片方のMI素子が硬貨10の
縁よりS/2の距離の位置にあり、出力Vpは硬貨の縁
からS/2内側の渦電流を計測した出力が反映されてい
る。各硬貨を調べると縁から1.5mm〜3mmのとこ
ろは比較的絵柄が無いか凹凸の少ない所に当たるので、
出力のばらつきを考えればコイル14A,14B及びM
I素子16A,16Bの間隔Sは、3mm〜6mmの範
囲が適当である。
【0027】この出力Vpは、硬貨の材質による抵抗率
の違いに応じた渦電流の大きさに対応しているので、出
力Vpの大きさから硬貨の材質を判別することができ
る。
【0028】ところで、出力Vpの感度を最適にするに
は、MI素子16A,16Bのバイアスにも関わるコイ
ル14A,14Bへの印加電流、同コイルの径、及びセ
ンサー部と硬貨検知部との距離を適切に選択することが
重要である。以下、その最適条件について述ベる。
【0029】まず、コイルの印加電流については、コイ
ル14A,14Bは硬貨に印加する交流磁界を供給する
だけでなく、MI素子16A,16Bに対するバイアス
磁界を決定する役割も合わせて持っている。図4に検討
で使用したMI素子の磁気インピーダンス特性を示す
が、±3ガウスのところにピークを持つ対称な双峰特性
を持っており、最大で12%/ガウスの感度を持ってい
る。
【0030】コイル14A,14Bにより発生する交流
磁界Hb(最大値)の大きさと前記センサー出力Vpと
は図5の関係となり、磁気インピーダンス特性の最大イ
ンピーダンス変化ピークを示す磁界Hpを超える交流磁
界Hbをかけると出力Vpが急激に低下するので、コイ
ルへの印加電流を交流磁界HbがHp以下になるように
設定する必要がある。交流磁界Hbの下限は、地磁気
(約0.5ガウス程度)等の外乱磁界による変動が予測
されるため、最低±0.5ガウス以上は欲しい。従っ
て、交流磁界Hbの絶対値が0.5ガウス以上でHp以
下になるようにコイルに印加する交流電流を設定するの
がよい。
【0031】次にコイル14A,14Bの径(直径)に
関してであるが、コイル径は、硬貨の検知面(表面また
は裏面)での渦電流の大きさを左右し、図6のようにコ
イル径の2乗、すなわちコイル径によるコイル開口の面
積におおむね比例した出力変化を示すので、小さくしす
ぎると感度が低下してしまう。ある程度の計測距離dを
離す必要を考えれば、2mmを切るような径は実用的で
ない。コイル径の上限については、感度面では制約が無
いが、後で説明する凹凸検知の観点より制約があり、凹
凸検知のところで説明する。
【0032】そして、硬貨検知面とセンサー部との距離
であるが、図1(a)で記号dで示す距離が大きくなる
と、図7に示すように出力が低下する。これは、距離d
が離れると硬貨検知面での磁界が小さくなり、それに伴
い渦電流が減少することによる。コイルの径を大きくす
れば、距離dが離れていてもS/Nが確保できるが、凹
凸検知のためにコイル径を小さくする必要があるので、
できる限り距離dを小さくして使用する必要がある。
【0033】以上の3つの要素を適切に選択すれば、セ
ンサー出力の感度が最適となる。
【0034】次に、本題に戻り、硬貨の凹凸検知につい
て説明する。まず硬貨の凹凸とセンサー出力の関係を説
明する。
【0035】図3(a)のセンサー出力波形でピークP
1,P2間の小さなピークQ1からQ4は、硬貨表面な
いし裏面の凹凸に起因するピークであり、各硬貨の凹凸
の量,その位置により出方や大きさが異なる。凹凸が無
い金属円盤を通した場合は、このQ1からQ4の様なピ
ークは現れない。
【0036】硬貨の表面には、様々な絵柄が刻印されて
おり、凹凸の量は大きい所で大体0.1〜0.3mm程
度ある。この凹凸量はコイル14A,14Bとそれぞれ
対向する硬貨の検知部分の距離d1,d2の差となり、
Q1〜Q4の様なピークを形成する。
【0037】先程説明した図7のデータは、硬貨の無い
状態を基準とした距離dでの硬貨検知部分の渦電流によ
る磁界変化を出力として表しているが、コイル14A,
14Bとそれぞれ対向する検知部分の距離d1,d2の
差による出力は図7のΔVとなって現れる。
【0038】コイル径がφ2mmとφ4mmの場合とを
比較して判るように、コイルの径が大きい方が距離dに
対する変化が大きくなり、ΔVが大きく取れる。このデ
ータからは、凹凸検知の感度を上げるためには、コイル
径を大きくし、検知面(通路11のコイル側壁面ないし
硬貨の表面または裏面)との距離dを小さくすることが
要求される。
【0039】しかし、コイルの径を大きくしすぎると硬
貨の検知面での磁界スポット径内の凹凸が平均化され、
前述の距離d1,d2の差が小さくなってしまうこと
や、差動検知するための隣接コイルとの間隔Sの制約か
ら上限が制約される。硬貨の絵柄の大きさ及び素子間隔
の実用上限が6mmであることを考えると、コイルの径
は6mm以下にすべきである。従って、先で説明した感
度面でのコイル径2mm以上と合わせると、コイル径は
2mm〜6mmの範囲で選択するのが望ましい。
【0040】次に硬貨の径の計測と凹凸の判別の方法に
ついて説明する。
【0041】図3(a)で示した差動出力Aの波形を図
2に示した回路の微分回路26で微分すると、図3
(b)の様な微分波形が得られ、さらに、これをコンパ
レータ28によりゼロクロス近傍の所定電圧でコンパレ
ートすると、図3(c)の様なパルス出力Bが得られ
る。
【0042】この波形を示した硬貨は、検知面の中央部
で0.2mm程度凸の硬貨となっているが、図3(b)
の微分波形では中央部にその凸部に対応したピークPs
が現れている。この波形をピーク値とアースの間の所定
電圧でコンパレートすると図3(c)の様に3つのパル
スが得られる。この3つのパルスの左端は図3(a)の
ほぼP1に、また右端は同様にP2にあたり、その間隔
である時間tcは、硬貨の通過時間を表し、硬貨の径を
計測するのに使用される。
【0043】すなわち、時間tcは、図1(b)中で硬
貨10が実線の位置から破線の位置まで硬貨10の直径
に相当する距離だけ移動するのに要した時間にほぼ相当
し、ここで予め硬貨10の移動速度がわかっており、一
定であれば、移動速度×時間tcで硬貨10の直径を求
めることができる。
【0044】また、このコンパレータ出力のパルス数や
パルス幅及びパルスの位置の情報を使用して硬貨の凹凸
を判別できる。例えば、凹凸の少ない(高低差が小さ
い)硬貨であれば、パルスは2個しか得られないが、中
央部に高い凸が1個存在する硬貨では、パルスが3個の
信号が得られる。また、両端のパルスを除く絵柄の凹凸
に応じたパルスで、その幅の大小及び位置により凹凸領
域の大きさ及び位置も比較できる。
【0045】このようにして、硬貨の凹凸を判別でき、
硬貨の識別のための新たな条件として加えることがで
き、誤認識の少ない硬貨識別装置が可能となる。
【0046】[第2の実施形態]以上説明した第1の実
施形態は、本発明によるMI素子を用いた硬貨の渦電流
による識別の基本的な実施形態であるが、実用的には硬
貨の1パスでの表裏の計測、及び硬貨の厚さ情報の必要
性より、上述したセンサー部を硬貨の通路を挟んで2つ
設置する必要がある。
【0047】そうした第2の実施形態の構成を図8に示
す。この構成では第1の実施形態で説明したコイル14
A,14BとMI素子16A,16Bからなるセンサー
部がセンサーF,Rとして示されるように硬貨10の通
過する通路11を挟んで両側に2つ配置されており、硬
貨の移動方向におけるセンサーF,Rの位置は所定距離
Lだけずらされている。
【0048】この構成では、硬貨の1パスで硬貨の表裏
両面のデータが得られ、さらに厚さの情報と精度の高い
硬貨の径の情報が得られる。硬貨の厚さについては、以
下のようにして判別できる。
【0049】例えば、硬貨10が通路11のセンサーF
側の壁面に接しながら移動するケースを考えると、セン
サーF側の硬貨検知面との距離dfは一定となり、硬貨
の厚さWによらず出力は変化しない。しかし、センサー
R側は硬貨の厚さに応じて硬貨検知面との距離drが変
わり、図7で説明したグラフに対応して出力が変化す
る。この結果、センサーR側で厚さの情報が得られる。
【0050】また、硬貨10が通路11のセンサーF側
の壁面に接して移動するとは限らない場合は、センサー
FとセンサーRの出力を加算すれば、距離df,drの
一方が離れても、もう一方が近くなる事で、その変化分
がほぼ相殺できることで硬貨の浮きに対する影響はほと
んど除去でき、加算結果の出力で厚さの情報が得られ
る。
【0051】図9に同一金属材で厚さを変えた円盤を複
数作成し、本装置を通過させたときのセンサーFとセン
サーRの和との関係を示すが、ばらつきの少ない厚さデ
ータに対応した出力が得られていることが判る。
【0052】また、本実施形態では、硬貨の径を計測す
る上で、硬貨の移動速度によらずに高精度で計測するこ
とが可能となる。すなわち、第1の実施形態では硬貨の
移動速度のばらつきが直接直径の計測に影響を及ぼすた
め、移動速度を一定にする管理が必要であったが、本実
施形態ではそれが解決される。硬貨の径は以下のように
計測される。
【0053】すなわち、図10にセンサーF,Rの図2
の出力Bに相当するコンパレータ出力を示すが、センサ
ーFとセンサーRの先頭パルスの立上りの時間差tuと
センサーF−R間の距離Lから硬貨の移動速度(V=L
/tu)が硬貨のパス毎に求められ、センサーFまたは
センサーRの図3(a)のピークP1,P2間の時間、
すなわち(c)の時間tcに対応する時間tfまたはt
rと移動速度Vとの積から硬貨の径が求められる。硬貨
の移動速度Vが1パス毎に求められるので、硬貨の移動
速度に対して精度が左右されず、高精度に径を計測でき
る。
【0054】なお、図11に硬貨の径と時間tf/tu
との比の相関を示すが、良好なデータが得られているの
が判る。ここで、時間tf/tuの比は硬貨径/センサ
ー距離Lの比と等しいので、時間tf/tuの比を見る
ことで、センサー距離Lを基準にして硬貨の径を評価す
ることができる。また、tr/tuのデータを合わせて
使用し、平均値を取る事で硬貨通過中の移動速度の変化
による誤差の低減を行なったり、tf/tuからのtr
/tuの変化の監視をすることで硬貨の通路での引っ掛
かり等トラブルを検知することも可能である。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、硬貨に交流磁界を印加し、硬貨で発生する渦
電流による磁界変化を検出し、この検出結果に基づいて
硬貨の識別を行う硬貨識別装置であって、硬貨の移動す
る通路に沿って所定間隔で並び、中心軸が前記通路を移
動する硬貨の表面と裏面に垂直な方向に沿うように配置
された2つのコイルと、それぞれ前記2つのコイル内で
該コイルの中心軸に沿うように配置された2つのMI素
子とからなるセンサー部を有し、前記2つのコイルに交
流電流を流して硬貨に交流磁界を印加し、硬貨で発生す
る渦電流による磁界変化を前記2つのMI素子で検出
し、該2つのMI素子の出力を差動増幅することによ
り、硬貨の識別信号を得る構成を採用したので、渦電流
による磁界変化を高感度且つ良好なS/N比で検出で
き、硬貨に対する印加磁界のスポット径を小さくできる
ため、差動増幅で得た識別信号から硬貨の材質と径のみ
ならず凹凸に関する情報を得ることが可能になり、硬貨
の識別をより正確に行うことが可能になった。
【0056】さらに、前記センサー部が硬貨の移動する
通路を挟んで2つ配置され、硬貨の移動方向における前
記2つのセンサー部の位置が所定距離ずれている構成を
採用することにより、硬貨の1パスで硬貨の表裏両面の
検知ができ、且つ硬貨の厚さ情報を得ることができると
ともに、硬貨の径の計測精度を向上でき、精度及び信頼
性の高い硬貨識別装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による硬貨識別装置の第1の実施形態に
おけるセンサー部の構成及び配置等を示す説明図であ
る。
【図2】図1中のMI素子を駆動して磁界変化の検出出
力から硬貨を識別するための識別信号の出力を得るため
の回路の構成を示す回路図である。
【図3】図2中の差動増幅回路、微分回路、コンパレー
タのそれぞれの出力波形及び穴のある硬貨の場合の差動
増幅回路の出力波形を示す波形図である。
【図4】MI素子の磁気インピーダンス特性を示すグラ
フ図である。
【図5】図1中のコイルにより発生する交流磁界Hbの
大きさとセンサー出力Vpの関係を示すグラフ図であ
る。
【図6】同コイルの径とセンサー出力Vpの関係を示す
グラフ図である。
【図7】硬貨検知面,センサー間の距離dとセンサー出
力Vpの関係を示すグラフ図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるセンサー部の
構成及び配置等を示す説明図である。
【図9】硬貨の代わりの金属円盤のサンプルの厚さと図
8中のセンサーF,Rの出力の和との関係を示すグラフ
図である。
【図10】センサーF,Rのコンパレータ出力を示す波
形図である。
【図11】硬貨の径と図10中の時間tf/tuの比と
の相関を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 硬貨 11 硬貨の通路 12 通路の斜面 14A,14B コイル 16A,16B MI素子(磁気インピーダンス素子) 18 非磁性基板 19 高周波発振回路 22 検波回路 24 差動増幅回路 26 微分回路 28 コンパレータ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬貨に交流磁界を印加し、硬貨で発生す
    る渦電流による磁界変化を検出し、この検出結果に基づ
    いて硬貨の識別を行う硬貨識別装置であって、 硬貨の移動する通路に沿って所定間隔で並び、中心軸が
    前記通路を移動する硬貨の表面と裏面に垂直な方向に沿
    うように配置された2つのコイルと、それぞれ前記2つ
    のコイル内で該コイルの中心軸に沿うように配置された
    2つの磁気インピーダンス素子とからなるセンサー部を
    有し、 前記2つのコイルに交流電流を流して硬貨に交流磁界を
    印加し、硬貨で発生する渦電流による磁界変化を前記2
    つの磁気インピーダンス素子で検出し、該2つの磁気イ
    ンピーダンス素子の出力を差動増幅することにより、硬
    貨の識別信号を得ることを特徴とする硬貨識別装置。
  2. 【請求項2】 前記センサー部が硬貨の移動する通路を
    挟んで2つ配置され、硬貨の移動方向における前記2つ
    のセンサー部の位置が所定距離ずれていることを特徴と
    する請求項1に記載の硬貨識別装置。
  3. 【請求項3】 前記センサー部の2つのコイル及び磁気
    インピーダンス素子どうしの間隔が3mm〜6mmの範
    囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    硬貨識別装置。
  4. 【請求項4】 前記コイルで発生する交流磁界の最大値
    の絶対値が0.5ガウス以上で、前記磁気インピーダン
    ス素子のインピーダンス変化ピークを示す磁界以下にな
    るように前記コイルに流す交流電流を設定することを特
    徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の硬
    貨識別装置。
  5. 【請求項5】 前記コイルの直径が2mm〜6mmの範
    囲であることを特徴とする請求項1から4までのいずれ
    か1項に記載の硬貨識別装置。
  6. 【請求項6】 前記識別信号を微分し、さらに所定電圧
    でコンパレートすることにより、パルス出力に変換し、
    該パルス出力のパルス数またはパルス幅より硬貨表面ま
    たは裏面の凹凸情報を得ることを特徴とする請求項1か
    ら5までのいずれか1項に記載の硬貨識別装置。
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